JP2008199200A - ループバック遅延推定装置及びループバック遅延推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ループバック信号のループ遅延を補正する場合に、極座標変換出力のデータ系列の不連続をなくし、これにより伝送信号の変調時に生じる歪みに対する補償精度を向上し得るループバック遅延推定装置を提供する。
【解決手段】遅延推定部23によるループバック信号の遅延の推定処理の実行に先立ち、FFT演算器11により元信号を周波数領域の信号に変換するとともに、ループバック信号を周波数領域の信号に変換し、複素除算器14,15による演算処理を経た後、位相差検出器18により元信号とループバック信号との位相差を検出し、この位相差に基づいて、各位相差補正器19,20によりデータ系列が直線となるように元信号及びループバック信号それぞれの初期位相を補正するようにしている。
【選択図】 図2
【解決手段】遅延推定部23によるループバック信号の遅延の推定処理の実行に先立ち、FFT演算器11により元信号を周波数領域の信号に変換するとともに、ループバック信号を周波数領域の信号に変換し、複素除算器14,15による演算処理を経た後、位相差検出器18により元信号とループバック信号との位相差を検出し、この位相差に基づいて、各位相差補正器19,20によりデータ系列が直線となるように元信号及びループバック信号それぞれの初期位相を補正するようにしている。
【選択図】 図2
Description
この発明は、例えば中波、短波、地上波・衛星・ケーブルテレビ等の伝送系における送信装置に用いられ、送信装置の直交変調器に対する補償器に用いられるループバック遅延推定装置及びループバック遅延推定方法に関する。
現在、地上波放送システムにおいては、デジタル放送が開始されている。このようなデジタル放送では、日本において標準方式(ISDB−T)が決定されている。このISDB−T方式では、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等を用いた方式が規定されている。
OFDM方式は、広帯域信号を互いに直交する多数の搬送波で伝送することにより、地上デジタル放送において必須の伝送条件であるマルチパス伝搬路における耐遅延干渉特性を改善できる等の特徴がある。
ところで、地上デジタル放送における送信装置から送出される送信信号は、直交変調時に振幅誤差、位相誤差、DCオフセットといった歪みの影響を受ける。そこで、送信装置にあっては、変調時に生じる歪みを検出して補正する補償器を備えることで、変調時に生じる歪みを抑圧することが考えられている(例えば、特許文献1)。
上記補償器では、IF信号をループバックし補償制御をかける際に、元信号とループバック信号(IF信号)を比較し補償量を求めるが、比較するためにはループバック信号のループ遅延を補正する必要がある。ここで、ループ遅延、すなわち位相回転φは以下のように表すことができる。
ところで、実装上ではI,Qデータから直交−極座標変換を行うがこのとき偏角が−π〜+πの範囲しか表すことができないという問題がある。すなわちk−ψ平面で考えると(傾きが正のとき)データ系列(ki , ψi)のψが+πを越えると−πとなり不連続なデータ系列となり直線に近似することができないことになる。
そこで、この発明の目的は、ループバック信号のループ遅延を補正する場合に、極座標変換出力のデータ系列の不連続をなくし、これにより伝送信号の変調時に生じる歪みに対する補償精度を向上し得るループバック遅延推定装置及びループバック遅延推定方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明に係わるループバック遅延推定装置は、伝送信号を扱う被補償機器の入力信号と当該被補償機器の出力信号となるループバック信号とを比較し、この比較結果に基づいて伝送信号の振幅及び位相補償を行う補償器に用いられ、被補償機器の入力信号及びループバック信号をそれぞれ座標変換部にて直交座標から極座標に変換し遅延推定部にて入力信号に対するループバック信号の遅延を推定するループバック遅延推定装置において、被補償機器の入力信号を第1の周波数軸信号に変換し、ループバック信号を第2の周波数軸信号に変換するフーリエ変換手段と、このフーリエ変換手段で得られた第1及び第2の周波数軸信号を位相比較して位相差を検出する位相差検出手段と、この位相差検出手段により検出される位相差に基づいて、遅延推定部にて測定したデータ系列が直線となるように第1及び第2の周波数軸信号それぞれの直流成分となる初期位相を補正して座標変換部に供給する位相補正手段とを備えるようにしたものである。
なお、位相差検出手段は、第1及び第2の周波数軸信号それぞれの周波数ポイントが1または整数の時のデータを使用して第1及び第2の周波数軸信号の位相差を検出し、位相補正手段は、位相差検出手段による検出結果に基づいて、第1及び第2の周波数軸信号間の位相差がπ/4以内となるように、第1及び第2の周波数軸信号それぞれの位相を補正することを特徴とする。
この構成によれば、遅延推定部によるループバック信号の遅延の推定処理の実行に先立ち、被補償機器の入力信号を周波数領域の信号に変換した第1の周波数軸信号と、ループバック信号を周波数領域の信号に変換した第2の周波数軸信号との位相差を複素形式により検出し、この位相差に基づいて、遅延推定部にて測定したデータ系列が直線となるように第1及び第2の周波数軸信号それぞれの初期位相を補正するようにしている。この場合、被補償機器はDC(直流)オフセットがあるため、第1及び第2の周波数軸信号それぞれの周波数ポイントが1または整数の時のデータを使用して位相差を求め、この位相差がπ/4以内となるように補正するようにしている。
従って、座標変換部の出力データ系列の不連続性をなくすことができ、これによりループバック信号のループ遅延を正しく補正できるようになり、伝送信号の変調時に生じる歪みに対する補償精度を向上させることができる。
以上詳述したようにこの発明によれば、ループバック信号のループ遅延を補正する場合に、極座標変換出力のデータ系列の不連続をなくし、これにより伝送信号の変調時に生じる歪みに対する補償精度を向上し得るループバック遅延推定装置及びループバック遅延推定方法を提供することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明に係わるループバック遅延推定装置が適用されるOFDM送信装置の構成を示すもので、本装置に入力されるベースバンドOFDM信号SI,SQは、補償器1に導入される。補償器1で補償されたSI,SQ信号は、A/D変換器2,3でデジタル信号に変換されて直交変調器4に供給される。直交変調器2で直交変調されてRF(Radio Frequency)周波数に変換され、RF増幅器5にて電力増幅され、図示しない送信機により送信信号として出力される。
図1は、この発明に係わるループバック遅延推定装置が適用されるOFDM送信装置の構成を示すもので、本装置に入力されるベースバンドOFDM信号SI,SQは、補償器1に導入される。補償器1で補償されたSI,SQ信号は、A/D変換器2,3でデジタル信号に変換されて直交変調器4に供給される。直交変調器2で直交変調されてRF(Radio Frequency)周波数に変換され、RF増幅器5にて電力増幅され、図示しない送信機により送信信号として出力される。
一方、直交変調器4の出力は、ダウンコンバータ6によりIF周波数に変換され、ループバック信号としてD/A変換器7を介して補償制御ユニット8に供給される。補償制御ユニット8は、補償器1に導入されるIF周波数のOFDM信号SI,SQ(元信号)とダウンコンバータ6からのループバック信号とを比較して直交変調器4の出力信号の歪み特性を求め、その歪み特性が許容範囲となるように補償器1を補償制御するものである。
また、上記補償制御ユニット8には、この発明に係わるループバック遅延推定装置10が設けられている。
図2は、上記ループバック遅延推定装置10の要部構成を示すブロック図である。
図2において、SI,SQの元信号及びループバック信号Xi,XQは、FFT演算器11によりFFT処理が施され、時間軸信号から周波数軸信号に変換される。このうち、元信号の周波数軸信号は変換部12に供給され、ループバック信号の周波数軸信号は変換部13に供給される。
変換部12は、入力した元信号の周波数軸信号でI側、Q側のそれぞれ正負の周波数のSI[k]、SQ[k]、SI[−k]、SQ[−k]を生成するもので、SI[k]、SQ[k]は複素除算器14に供給され、SI[−k]、SQ[−k]は複素除算器15に供給される。
変換部13は、入力した元信号の周波数軸信号を90°位相シフトすることで、XI[k]、XQ[k]、XI[−k]、XQ[−k]を生成するもので、XI[k]、XQ[k]は複素除算器14に供給され、XI[−k]、XQ[−k]は複素除算器15に供給される。
複素除算器14は、入力されたSI[k]、SQ[k]、XI[k]、XQ[k]からSI[k]・XI[k]+SQ[k]・XQ[k]、SQ[k]・XI[k]+SI[k]・XQ[k]を演算する。
複素除算器15は、入力されたSI[−k]、SQ[−k]、XI[−k]、XQ[−k]からSI[−k]・XI[−k]+SQ[−k]・XQ[−k]、SQ[−k]・XI[−k]+SI[−k]・XQ[−k]を演算する。
これら複素除算器14,15で得られる演算結果SI[k]・XI[k]+SQ[k]・XQ[k]、SI[−k]・XI[−k]+SQ[−k]・XQ[−k]は、加算器16で加算される。また、複素除算器14,15で得られる演算結果SQ[k]・XI[k]+SI[k]・XQ[k]、SQ[−k]・XI[−k]+SI[−k]・XQ[−k]は、加算器17で加算される。これら加算器16,17の加算結果は、位相差検出器18に供給される。
位相差検出器18は、入力された加算結果から元信号とループバック信号との位相差を求めるもので、ここで得られた位相差信号は位相差補正器19,20にそれぞれ供給される。
位相差補正器19は、複素除算器14の演算結果SI[k]・XI[k]+SQ[k]・XQ[k]、SQ[k]・XI[k]+SI[k]・XQ[k]を入力し、位相差信号に従って演算結果SI[k]・XI[k]+SQ[k]・XQ[k]、SQ[k]・XI[k]+SI[k]・XQ[k]の位相特性を補正し、補正後のSI[k]・XI[k]+SQ[k]・XQ[k]、SQ[k]・XI[k]+SI[k]・XQ[k]をコーデック21に出力する。
位相差補正器20は、複素除算器15の演算結果SI[−k]・XI[−k]+SQ[−k]・XQ[−k]、SQ[−k]・XI[−k]+SI[−k]・XQ[−k]を入力し、位相差信号に従って演算結果SI[−k]・XI[−k]+SQ[−k]・XQ[−k]、SQ[−k]・XI[−k]+SI[−k]・XQ[−k]の位相特性を補正し、補正後のSI[−k]・XI[−k]+SQ[−k]・XQ[−k]、SQ[−k]・XI[−k]+SI[−k]・XQ[−k]をコーデック22に出力する。
コーデック21は、位相差補正器19の出力をIQ座標から極座標に変換して遅延推定部23に出力する。また、コーデック22は、位相差補正器20の出力をIQ座標から極座標に変換して遅延推定部23に出力する。
遅延推定部23は、各コーデック21,22の変換出力から、元信号とループバック信号との時間差を求める。
次に、上記構成における動作について説明する。
以前の遅延推定方法では、I,Qデータから直交−極座標変換を行った場合に、偏角が−π〜+πの範囲しか表すことができない。すなわちk−ψ平面で考えると(傾きが正のとき)データ系列(ki , ψi)のψが+πを越えると−πとなり不連続なデータ系列となり直線に近似することができないことになる。
以前の遅延推定方法では、I,Qデータから直交−極座標変換を行った場合に、偏角が−π〜+πの範囲しか表すことができない。すなわちk−ψ平面で考えると(傾きが正のとき)データ系列(ki , ψi)のψが+πを越えると−πとなり不連続なデータ系列となり直線に近似することができないことになる。
そこで、本実施形態では、遅延推定部23による遅延推定処理の実行の前に、各位相差補正器19,20により遅延推定部23で測定したデータ系列が直線となるように元信号及びループバック信号それぞれのDC成分となる初期位相を補正して各コーデック21,22に供給するようにしている。つまり、図3に示すように、初期位相がπ〜−πの範囲内に入るように位相調整が行われる。
ここで(SI[k]・XI[k]+SQ[k]・XQ[k])をψI(k)、(SI[k]・XQ[k]−SQ[k]・XI[k])をψQ(k)とし、k=0のときの(ψI(0)、ψQ(0))の位置をI−Q平面上で判定し、図4に示すように、±π/4以内となるように処理を行う。その際にk=0のデータは使用することができないので次式のようにk=±1のデータをベクトル加算することで求める。
そして、求めた(ψI(0)、ψQ(0))を用いて下記のように判定を行なう。
ここでシフトした量(±π/2、+π)を式(3)で得られる係数a0から減算することで正しい推定値となる。
以上のように上記実施形態では、遅延推定部23によるループバック信号の遅延の推定処理の実行に先立ち、FFT演算器11により元信号を周波数領域の信号に変換するとともに、ループバック信号を周波数領域の信号に変換し、複素除算器14,15による演算処理を経た後、位相差検出器18により元信号とループバック信号との位相差を検出し、この位相差に基づいて、各位相差補正器19,20によりデータ系列が直線となるように元信号及びループバック信号それぞれの初期位相を補正するようにしている。この場合、直交変調器2はDC(直流)オフセットがあるため、元信号及びループバック信号それぞれのk=1の時のデータを使用して位相差を求め、この位相差がπ/4以内となるように補正するようにしている。なお、k=1以外にも、他の整数を用いるようにしてもよい。
従って、コーデック21,22の出力データ系列の不連続性をなくすことができ、これによりループバック信号のループ遅延を正しく補正できるようになり、伝送信号の直交変調時に生じる歪みに対する補償精度を向上させることができる。
なお、上記実施形態はOFDM送信装置に適用した場合であるが、この発明はこれに限定されるものではなく、他のデジタル通信系の電子回路における直交変調時の歪み補償についても適用可能である。
1…補償器、2,3…A/D変換器、4…直交変調器、5…RF増幅器、6…ダウンコンバータ、7…D/A変換器、8…補償制御ユニット、10…ループバック遅延推定装置、11…FFT演算器、12,13…変換部、14,15…複素除算器、16,17…加算器、18…位相差検出器、19,20…位相差補正器、21,22…コーデック、23…遅延推定部。
Claims (3)
- 伝送信号を扱う被補償機器の入力信号と当該被補償機器の出力信号となるループバック信号とを比較し、この比較結果に基づいて前記伝送信号の振幅及び位相補償を行う補償器に用いられ、前記被補償機器の入力信号及び前記ループバック信号をそれぞれ座標変換部にて直交座標から極座標に変換し遅延推定部にて前記入力信号に対する前記ループバック信号の遅延を推定するループバック遅延推定装置において、
前記被補償機器の入力信号を第1の周波数軸信号に変換し、前記ループバック信号を第2の周波数軸信号に変換するフーリエ変換手段と、
このフーリエ変換手段で得られた前記第1及び第2の周波数軸信号を位相比較して位相差を検出する位相差検出手段と、
この位相差検出手段により検出される位相差に基づいて、前記遅延推定部にて測定したデータ系列が直線となるように前記第1及び第2の周波数軸信号それぞれの直流成分の位相差の初期位相を補正して前記座標変換部に供給する位相補正手段とを具備したことを特徴とするループバック遅延推定装置。 - 前記位相補正手段は、前記位相差検出手段による検出結果に基づいて、前記第1及び第2の周波数軸信号間の位相差がπ/4以内となるように、前記第1及び第2の周波数軸信号それぞれの位相を補正することを特徴とする請求項1記載のループバック遅延推定装置。
- 伝送信号を扱う被補償機器の入力信号と当該被補償機器の出力信号となるループバック信号とを比較し、この比較結果に基づいて前記伝送信号の振幅及び位相補償を行う補償器に用いられ、前記被補償機器の入力信号及び前記ループバック信号をそれぞれ座標変換部にて直交座標から極座標に変換し遅延推定部にて前記入力信号に対する前記ループバック信号の遅延を推定するループバック遅延推定方法において、
前記被補償機器の入力信号を第1の周波数軸信号に変換し、前記ループバック信号を第2の周波数軸信号に変換し、
これら前記第1及び第2の周波数軸信号を位相比較して位相差を検出し、
この位相差に基づいて、前記遅延推定部にて測定したデータ系列が直線となるように前記第1及び第2の周波数軸信号それぞれの直流成分の位相差の初期位相を補正して前記座標変換部に供給するようにしたことを特徴とするループバック遅延推定方法。
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JP2007030786A JP2008199200A (ja) | 2007-02-09 | 2007-02-09 | ループバック遅延推定装置及びループバック遅延推定方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7973601B2 (en) | 2009-05-21 | 2011-07-05 | Fujitsu Limited | Distortion compensation apparatus |
-
2007
- 2007-02-09 JP JP2007030786A patent/JP2008199200A/ja active Pending
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