JP2008197819A - 識別装置及び識別方法 - Google Patents

識別装置及び識別方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008197819A
JP2008197819A JP2007030926A JP2007030926A JP2008197819A JP 2008197819 A JP2008197819 A JP 2008197819A JP 2007030926 A JP2007030926 A JP 2007030926A JP 2007030926 A JP2007030926 A JP 2007030926A JP 2008197819 A JP2008197819 A JP 2008197819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
event
threshold
road surface
identification
feature quantities
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007030926A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Tenmoku
健二 天目
Osamu Hattori
理 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2007030926A priority Critical patent/JP2008197819A/ja
Publication of JP2008197819A publication Critical patent/JP2008197819A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】路面の状態を識別することができる識別装置及び識別方法を提供する。
【解決手段】車載装置は、路面状態判定領域(識別領域)P1内の地点P10、P11、…それぞれを通過する時点で、距離変換係数を算出する。車両が領域P1内を走行することにより、車載装置は、実時間で時系列データとして距離変換係数を複数(地点P10、11、…の数)取得し、取得した距離変換係数の時系列データの統計分布(度数分布)に応じて路面状態、すなわち、路面乾燥(降雨のない状態)、又は路面湿潤(降雨中又は降雨後の状態)を識別(判定)する。
【選択図】図1

Description

本発明は、路面の状態を識別する識別装置及び識別方法に関する。
従来、路上に設置した交通情報収集装置又は車両で収集した車両の走行軌跡データ(プローブデータ)を管制センタ又はプローブ情報センタへ送信して、車両が所定の出発地点と目的地点との間を通過するのに要する旅行時間情報を作成し、ナビゲーション又は交通管制などの目的に活用するための技術が実用化されている。
また、車両の安全運転支援を目的として、車両が交差点を通過することが危険である場合に、車両の走行状態を制御して車両を交差点の手前で確実に停止させるための技術開発が行われている。例えば、交差点付近の停止線で車両を確実に停止させるためには、車両の位置を精度良く検出することが必須条件となる。仮に車両の位置を精度良く検出することができない場合には、車両を停止させたとしても、車両が横断歩道にはみ出して停止してしまい、横断中の歩行者に危害を与える恐れがある。
一般に、ナビゲーション目的で車両位置を検出するには、GPS(Global Positioning
System)又は地図データ等を用いて、走行距離の計測に用いられる距離変換係数(車輪の回転に応じた電気信号、例えば、パルス信号の計数値に対する車両の走行距離)を算出している。しかし、GPSにより車両の位置を検出する方法では、GPSの位置検出に10m〜数十m程度の誤差が生じるため、短い走行距離を計測する場合には、計測される走行距離に対する誤差の割合が大きくなる。このため、GPSで走行距離を計測する場合には、誤差による影響を小さくするため、比較的長い距離を計測する。しかし、長い走行距離を計測するには、長い時間を要する上、距離を計測している間に大きな較差点又は複雑な交差点を含む確率が高くなるため、地図データの誤差、地図データのマッチングミス、右左折等の走行の仕方の差異等による誤差が問題となる。
そこで、車両の移動距離を高精度に算出する方法として、任意の2点間におけるGPS受信により得られた車速と時間差からGPS移動距離を算出し、2点間における車輪の回転に比例して出力されるパルス差と算出されたGPS移動距離とに基づいて距離補正係数を算出し、車両毎に予め設定された1パルス当りの距離に距離補正係数を乗じることにより移動距離を算出する車両用ナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、GPS受信による誤差が生じるという従来からの問題を解決し、車両の安全運転支援に活用するためには、車両の位置検出の誤差を、例えば、0.1〜0.2%程度内にする必要があり、時々刻々の走行距離計測のために、距離変換係数を精度良く算出する方法が求められていた。
一方で、車両の安全性を向上させる目的で、走行中の路面状態(例えば、路面乾燥又は路面湿潤など)をセンサ装置で検出し、検出結果に応じて、時々刻々の車両の走行状態を自動制御する技術、車両の走行状態に応じて運転者に対して注意を喚起し又は警告を行うための技術などの開発が行われている。
特開平8−75485号公報
しかしながら、従来の路面状態の識別方法は、路面状態を検出するための専用のセンサ
装置を新たに設ける必要があり、広範囲の道路の路面状態を識別するには多大な設置費用が必要となるという問題があった。また、車両のワイパー又は油滴感知器の作動状況を検知して降雨を判定する方法があるものの、雨が止んだ後は、路面が湿潤しているか否かを識別することができないという問題もあった。また、従来から交通管制又は安全運転支援のために車両の旅行時間情報の作成、あるいは距離変換係数の算出などが行われているものの、道路の路面状態の識別には全く活用されていない。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、距離変換係数又は旅行時間情報に基づいて路面の状態を識別することができる識別装置及び識別方法を提供することを目的とする。
第1発明に係る識別装置は、路面状態に関する複数の事象を識別する識別装置において、前記事象に関連付けて予め定められた閾値を記憶する記憶手段と、車両の走行状態に関する特徴量を複数取得する取得手段と、該取得手段で取得した複数の特徴量と前記閾値とを比較する比較手段と、該比較手段で比較した結果、前記特徴量の値が前記閾値より大又は小のいずれかである特徴量の数に基づいて、事象を識別する識別手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る識別装置は、第1発明において、前記閾値は、第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第2閾値より小さい特徴量の数を計数する第1計数手段と、該第1計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第1の事象であるか否かを識別する第1識別手段とを備えることを特徴とする。
第3発明に係る識別装置は、第1発明において、前記閾値は、第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第1閾値より大きい特徴量の数を計数する第2計数手段と、該第2計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第2の事象であるか否かを識別する第2識別手段とを備えることを特徴とする。
第4発明に係る識別装置は、第1発明において、前記閾値は、第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第2閾値より小さい特徴量の数を計数する第1計数手段と、該第1計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第1の事象であるか否かを識別する第1識別手段と、前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第1閾値より大きい特徴量の数を計数する第2計数手段と、該第2計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第2の事象であるか否かを識別する第2識別手段とを備え、前記識別手段は、前記第1識別手段で第1の事象であると識別し、前記第2識別手段で第2の事象でないと識別した場合、第1の事象であると識別するように構成してあることを特徴とする。
第5発明に係る識別装置は、第1発明において、前記閾値は、第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第2閾値より小さい特徴量の数を計数する第1計数手段と、該第1計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第1の事象であるか否かを識別する第1識別手段と、前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第1閾値より大きい特徴量の数を計数する第2計数手段と、
該第2計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第2の事象であるか否かを識別する第2識別手段とを備え、前記識別手段は、前記第1識別手段で第1の事象でないと識別し、前記第2識別手段で第2の事象であると識別した場合、第2の事象であると識別するように構成してあることを特徴とする。
第6発明に係る識別装置は、第2発明乃至第5発明のいずれかにおいて、所定の期間に前記取得手段で取得した特徴量の統計値を算出する統計値算出手段と、該統計値算出手段で算出した統計値に基づいて、前記第1閾値及び第2閾値を算出する閾値算出手段とを備えることを特徴とする。
第7発明に係る識別装置は、第2発明乃至第5発明のいずれかにおいて、所定の期間の経過の都度、該期間に前記取得手段で取得した特徴量の統計値を算出する統計値算出手段と、該統計値算出手段で算出した各統計値の相関を算出する相関算出手段と、該相関算出手段で算出した相関に基づいて、任意の時点に前記取得手段で取得した特徴量を所定の基準時点に対応する特徴量に補正する補正手段と、該補正手段で補正した特徴量の統計分布に基づいて、特異点を抽出する抽出手段と、該抽出手段で抽出した特異点に基づいて、前記第1閾値及び第2閾値を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
第8発明に係る識別装置は、第7発明において、前記抽出手段は、前記期間に前記取得手段で取得した特徴量の統計分布に基づいて、特異点を抽出するように構成してあり、前記抽出手段で少なくとも2つの特異点が抽出されない場合、前記期間に取得した特徴量を無効にする無効手段とを備えることを特徴とする。
第9発明に係る識別装置は、第2発明乃至第8発明のいずれかにおいて、前記特徴量は、車輪の回転に応じて生成される信号と車両の走行距離とを関連付ける距離変換係数であり、前記第1の事象及び第2の事象は、それぞれ路面乾燥及び路面湿潤であることを特徴とする。
第10発明に係る識別装置は、第2発明乃至第6発明のいずれかにおいて、前記特徴量は、車両が所定の2地点間を通過するのに要する旅行時間であり、前記第1の事象及び第2の事象は、それぞれ路面湿潤及び路面乾燥であることを特徴とする。
第11発明に係る識別方法は、路面状態に関する複数の事象を識別する識別方法において、前記事象に関連付けて予め定められた閾値を記憶し、車両の走行状態に関する特徴量を複数取得し、取得した複数の特徴量と前記閾値とを比較し、前記特徴量の値が前記閾値より大又は小のいずれかである特徴量の数に基づいて、事象を識別することを特徴とする。
第1発明及び第11発明にあっては、識別装置(例えば、車載装置)は、路面状態に関する複数の事象、例えば、路面乾燥(降雨のない状態)、又は路面湿潤(降雨中又は降雨後の状態)に関連付けて予め定められた閾値を記憶しておき、車両の走行状態に関する特徴量、例えば、距離変換係数を複数取得する。距離変換係数は、例えば、道路上の所定の地点間の距離と車両が該地点間を走行する間に車輪の回転に比例したパルス信号のパルス数とに基づいて算出することができ、車両が道路上の複数の地点で距離変換係数を算出することにより、複数の距離変換係数を時系列データとして取得することができる。
路面乾燥時に取得された距離変換係数の統計分布(度数分布)は、正規分布に従う。一方、路面湿潤時には、路面乾燥時に比べて回転中のタイヤ(車輪)にスリップが生じやすい。スリップには、走行時の空回りによる場合と、制動時の場合とがある。前者では、路面乾燥時よりも路面湿潤時の方が、走行距離が長くなり、後者では、路面乾燥時よりも路
面湿潤時の方が、走行距離が短くなる。一般的に、また、本発明においても、走行時のスリップによる機会が多く、かつ、走行距離に差が大きいため、距離変換係数が小さくなる。すなわち、路面湿潤時に取得された距離変換係数は路面乾燥時に取得された距離変換係数よりも小さい値になる傾向があるとともに、湿潤の程度にも差があることから、路面湿潤時の距離変換係数の統計分布は、路面乾燥時の距離変換係数の統計分布よりも値が小さい側に分布するとともに、正規分布ではなく、やや路面乾燥側に裾野が広がるような分布になる。また、雨天総時間は、晴天又は曇の総時間に比べて少ないため、所定期間における路面湿潤時の距離変換係数の統計分布の最頻値(又は平均値)の度数(ピーク値)は、路面乾燥時のものに比べて小さい。そこで、路面乾燥時及び路面湿潤時に取得された距離変換係数の統計分布に基づいて、路面乾燥側の最頻値又は平均値などの特異点に関連付けて閾値を決定するとともに、路面湿潤側の極大点又は変曲点などの特異点に関連付けて閾値を決定する。
取得した複数の車両の走行状態に関する特徴量と閾値とを比較する。比較した結果、閾値より大きい特徴量の数、又は閾値より小さい特徴量の数に基づいて事象を識別する。例えば、路面乾燥側に関連付けて決定された閾値よりも大きい距離変換係数の数が少ない場合には、路面は湿潤であると識別(判定)する。また、路面湿潤側に関連付けて決定された閾値よりも小さい距離変換係数の数が少ない場合には、路面は乾燥であると識別(判定)する。これにより、路面状態を識別(判定)するための専用のセンサ装置などを設置することなく、車両が道路を走行して実時間で得られた距離変換係数を用いて、その時点の路面の状態を時々刻々識別(判定)することができる。
また、識別装置(例えば、交通管制センタにおけるセンタ装置)は、路面状態に関する事象、例えば、路面乾燥(降雨のない状態)、又は路面湿潤(降雨中又は降雨後の状態)に関連付けて予め定められた閾値を記憶しておき、車両の走行状態に関する特徴量、例えば、車両の旅行時間を複数取得することにより、路面状態を識別することができる。旅行時間は、例えば、路面状態の識別対象地点の特定時刻における多数の車両の走行軌跡データ(プローブデータ)をセンタ装置で取得し、取得したプローブデータに基づいて、車両が所定の出発地点と目的地点との間を通過するのに要する旅行時間を複数取得することができる。
路面湿潤時には、路面乾燥時に比べて車両の速度は平均的に遅くなるため、路面湿潤時の旅行時間の統計分布は、路面乾燥時の旅行時間の統計分布よりも値が大きい側に分布する。また、雨天総時間は、晴天又は曇の総時間に比べて少ないため、所定期間における路面湿潤時の旅行時間の統計分布の最頻値(又は平均値)の度数(ピーク値)は、路面乾燥時のものに比べて小さい。そこで、路面乾燥時及び路面湿潤時に取得された旅行時間の統計分布に基づいて、路面乾燥側の最頻値又は平均値などの特異点に関連付けて閾値を決定するとともに、路面湿潤側の極大点又は変曲点などの特異点に関連付けて閾値を決定する。
取得した複数の特徴量と閾値とを比較する。比較した結果、閾値より大きい特徴量の数、又は閾値より小さい特徴量の数に基づいて事象を識別する。例えば、路面湿潤側に関連付けて決定された閾値よりも大きい旅行時間の数が少ない場合には、路面は乾燥であると識別(判定)する。また、路面乾燥側に関連付けて決定された閾値よりも小さい旅行時間の数が少ない場合には、路面は湿潤であると識別(判定)する。これにより、路面状態を識別(判定)するための専用のセンサ装置などを設置することなく、多数の車両が道路を走行して実時間で得られた旅行時間を用いて、その時点の路面の状態を時々刻々識別(判定)することができる。
第2発明にあっては、閾値は、第1の事象(例えば、路面乾燥)に関連する第1閾値(
例えば、距離変換係数の統計分布の路面乾燥側の最頻値又は平均値)及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象(路面湿潤)に関連する第2閾値(例えば、距離変換係数の統計分布の路面湿潤側の極大点又は変曲点に対応する値)を含む。この場合、複数取得した距離変換係数のうち第2閾値より小さい距離変換係数の数を計数し、計数した距離変換係数の数が所定の識別閾値より小さい場合、第1識別手段は、路面乾燥(第1の事象)であると識別し、計数した距離変換係数の数が所定の識別閾値より小さくない場合、路面乾燥でないと識別する。
また、第1の事象が、例えば、路面湿潤であり、第2の事象が路面乾燥であり、第1閾値が、例えば、旅行時間の統計分布の路面湿潤側の極大点又は変曲点に対応する値であり、第2閾値が旅行時間の統計分布の路面乾燥側の最頻値又は特徴値である場合、複数取得した旅行時間のうち第2閾値より小さい旅行時間の数を計数し、計数した旅行時間の数が所定の識別閾値より小さい場合、第1識別手段は、路面湿潤(第1の事象)であると識別し、計数した旅行時間の数が所定の識別閾値より小さくない場合、路面湿潤でないと識別する。これにより、路面が乾燥しているのか、あるいは湿潤しているのか精度良く識別することができる。
第3発明にあっては、閾値は、第1の事象(例えば、路面乾燥)に関連する第1閾値(例えば、距離変換係数の統計分布の路面乾燥側の最頻値又は平均値)及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象(路面湿潤)に関連する第2閾値(例えば、距離変換係数の統計分布の路面湿潤側の極大点又は変曲点に対応する値)を含む。この場合、複数取得した距離変換係数のうち第1閾値より大きい距離変換係数の数を計数し、計数した距離変換係数の数が所定の識別閾値より小さい場合、第2識別手段は、路面湿潤(第2の事象)であると識別し、計数した距離変換係数の数が所定の識別閾値より小さくない場合、路面湿潤でないと識別する。
また、第1の事象が、例えば、路面湿潤であり、第2の事象が路面乾燥であり、第1閾値が、例えば、旅行時間の統計分布の路面湿潤側の極大点又は変曲点に対応する値であり、第2閾値が旅行時間の統計分布の路面乾燥側の最頻値又は平均値である場合、複数取得した旅行時間のうち第1閾値より大きい旅行時間の数を計数し、計数した旅行時間の数が所定の識別閾値より小さい場合、第2識別手段は、路面乾燥(第2の事象)であると識別し、計数した旅行時間の数が所定の識別閾値より小さくない場合、路面乾燥でないと識別する。これにより、路面が乾燥しているのか、あるいは湿潤しているのか精度良く識別することができる。
第4発明にあっては、第1識別手段で第1の事象であると識別し、第2識別手段で第2の事象でないと識別した場合、第1の事象であると識別する。例えば、距離変換係数を複数取得して路面状態を識別する場合、第1識別手段が路面乾燥(第1の事象)であると識別し、第2識別手段が路面湿潤(第2の事象)でないと識別した場合に、最終的に路面乾燥であると識別する。また、旅行時間を複数取得して路面状態を識別する場合、第1識別手段が路面湿潤(第1の事象)であると識別し、第2識別手段が路面乾燥(第2の事象)でないと識別した場合に、最終的に路面湿潤であると識別する。これにより、路面乾燥、路面湿潤の区別を精度良く識別することができる。
第5発明にあっては、第1識別手段で第1の事象でないと識別し、第2識別手段で第2の事象であると識別した場合、第2の事象であると識別する。例えば、距離変換係数を複数取得して路面状態を識別する場合、第1識別手段が路面乾燥(第1の事象)でないと識別し、第2識別手段が路面湿潤(第2の事象)であると識別した場合に、最終的に路面湿潤であると識別する。また、旅行時間を複数取得して路面状態を識別する場合、第1識別手段が路面湿潤(第1の事象)でないと識別し、第2識別手段が路面乾燥(第2の事象)
であると識別した場合に、最終的に路面乾燥であると識別する。これにより、路面乾燥、路面湿潤の区別を精度良く識別することができる。
第6発明にあっては、所定の期間(例えば、日時、走行距離など)に取得した特徴量の統計値(例えば、最頻値、平均値、変曲点又は極大点等に対応する値など)を算出する。算出した特徴量の統計値に基づいて、例えば、大きい方を第1閾値とし、小さい方を第2閾値として算出する。これにより、所定の期間に取得した特徴量の統計分布に応じて閾値を算出することができる。
第7発明にあっては、所定の期間(例えば、日時、走行距離など)の経過の都度、その期間中に取得した特徴量の統計値(例えば、最頻値、平均値など)を算出する。所定の期間毎に算出された各統計値の相関(例えば、1次近似式のパラメータ)を算出し、算出した相関に基づいて、任意の時点に取得した特徴量を所定の基準時点(例えば、距離変換係数の経年変化が無視できる初期の時点)に対応する特徴量に補正する。すなわち、経年変化とともに変動する距離変換係数の値を初期の時点の値に補正(正規化)する。補正した特徴量の統計分布に基づいて、複数の特異点(例えば、ピーク点、変曲点、極大点など)を抽出する。抽出した特異点のうち、例えば、大きい方を第1閾値とし、小さい方を第2閾値として決定する。また、実時間で取得する特徴量に対しても、相関に基づいて補正し、補正後の特徴量を用いて路面状態の識別を行う。これにより、経年変化する特徴量であっても、経年変化による影響をなくすことができる。
第8発明にあっては、所定の期間内に取得した特徴量の統計分布に基づいて、特異点を抽出し、少なくとも2つの特異点が抽出されない場合、所定の期間内に取得された特徴量は、例えば、降雨時の特徴量が含まれていないものとして、取得した特徴量を無効にして統計値を算出するデータとして使用しない。また、抽出した特異点が少なくとも2つある場合には、所定の期間内に取得された特徴量は、降雨時の特徴量も含まれるとして、統計値を算出するデータとして使用する。これにより、晴れ又は曇り、雨天等すべての天候における特徴量を取得して統計値を算出することができ、路面識別を行うための閾値を適切に決定することができる。
第9発明にあっては、特徴量は、車輪の回転に応じて生成される信号(例えば、パルス信号)と車両の走行距離とを関連付ける距離変換係数であり、第1の事象及び第2の事象は、それぞれ路面乾燥及び路面湿潤である。これにより、車両の走行時に実時間で路面識別を行うことができ、識別結果に応じて車両の走行状態の制御を行って安全運転を支援することが可能となる。
第10発明にあっては、特徴量は、車両が所定の2地点間を通過するのに要する旅行時間であり、第1の事象及び第2の事象は、それぞれ路面湿潤及び路面乾燥である。これにより、旅行時間のデータと路面状態との関係を把握することができ、道路を走行する多数の車両に旅行時間に関する情報及び安全運転に関する情報を提供することが可能となる。
本発明にあっては、路面状態を識別するための専用のセンサ装置などを設置することなく、路面の状態を時々刻々識別(判定)することができる。
実施の形態1
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る識別装置を備える車載装置で路面状態を識別(判定)する例を示す模式図である。図1に示すように、道路上に路面状態判定領域(識別領域)P1が設けられてあり、領域P1内で路面
状態を判定(識別)する地点P10、P11、…が道路に沿って設けてある。車載装置を備えた車両は、例えば、図中矢印の方向に走行し、各地点P10、P11、…それぞれを通過する時点で、距離変換係数を取得(算出)する。車両が路面状態判定領域P1内を走行することにより、車載装置は、実時間で時系列データとして距離変換係数を複数(地点P10、11、…の数)取得し、取得した距離変換係数の時系列データの統計分布(度数分布)に応じて路面状態、すなわち、路面状態が路面乾燥(降雨のない状態)であるか否か、又は路面湿潤(降雨中又は降雨後の状態)であるか否か判定(識別)する。なお、判定方法の詳細は後述する。
図2は距離変換係数の算出例を示す模式図である。図2に示すように、距離変換係数を算出する地点Pijには、光ビーコン10及び路上装置20を設置している。光ビーコン10は、道路上の上流側の地点付近に設置され、光ビーコン10の下流側の所定の地点には、路上装置20を設置している。光ビーコン10は、道路上に車載装置30との交信領域Aを有する。また、路上装置20は、例えば、超音波感知器、ICタグ、磁気ネール、光センサ等であり、電波、音波、光、磁気などをセンシングすることにより交信地点を特定することができるものであり、道路上に車載装置30との交信領域Bを有する。なお、光ビーコン10以外に、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)などを用いることもできる。
車両が領域Aを通過する際に、車載装置30は、光ビーコン10から所定の情報を受信する。所定の情報としては、例えば、領域Aを通過することを示す信号、光ビーコン10との交信地点と路上装置20との交信地点との間の距離(区間距離D)などである。また、車両が領域Bを通過する際、車載装置30は、領域Bを通過することを示す信号を路上装置20から受信する。なお、光ビーコン10と路上装置20との離隔距離、すなわち、所定の地点間の距離は、例えば、500m程度にすることができる。
車載装置30は、領域Aの交信地点を通過した際に、光ビーコン10から領域Aを通過することを示す信号及び光ビーコン10との交信地点と路上装置20との交信地点との間の距離を受信し、後述する距離変換係数算出部は、信号を受信した時点から、車輪の回転に比例して生成されるパルス信号のパルス数の計数を開始する。車両が走行を続け、車載装置30が、車両が領域Bを通過することを示す信号を路上装置20から受信した時点で、距離変換係数算出部は、光ビーコン10との交信地点と路上装置20との交信地点との間の距離を、計数したパルス数(すなわち、光ビーコン10との交信地点と路上装置20との交信地点との間に計数されたパルス数)で除算して、距離変換係数を算出する。
図3は車載装置30の構成を示すブロック図である。車載装置30は、各種の演算処理を行うCPUからなる制御部31を備える。なお、制御部31は、路面状態を判定するための処理を組み込んだ専用のハードウエア回路で構成してもよく、又は予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行する構成であってもよい。制御部31には、内部バスを介して通信部32、測位部33、地図データベース34、表示部35、操作部36、報知部37、記憶部38、距離変換係数算出部39などが接続され、測位部33は、GPS(Global Positioning System)331、ジャイロセンサ332、走行距離を計測する距離計333などを備えている。
通信部32は、光ビーコン10との間の通信(交信)を行う通信機能を有する。なお、通信部32は、光ビーコン、電波ビーコン、DSRCなどの狭域通信に限定されるものではなく、例えば、中域通信としてUHF帯又はVHF帯等の無線LAN機能を備えるものでもよく、あるいは、広域通信として携帯電話、PHS、多重FM放送、インターネット通信などの通信機能を備えるものでもよい。また、通信部32は、路上装置20が送信する信号を受信する受信機能を備えている。
測位部33は、複数のGPS衛星からの電波をGPS331で受け取り、自車の位置を測位する。なお、GPS331に加えて、DGPS(ディファレンシャルGPS)を搭載することもできる。DGPSは、予め位置が分かっている基準局から発信されるFM放送又は中波を受信し、GPS331で算出した位置のずれを補正することができ、自車の位置の精度を向上させることができる。また、測位部33は、距離計333及びジャイロセンサ332から出力される信号に基づいて、車両の走行距離、車両の速度を計測して制御部31へ出力する。なお、距離計333は、距離変換係数算出部39で算出した距離変換係数及び車両制御部から出力される車輪の回転に比例したパルス信号に基づいて車両の走行距離を計測する。また、測位部33は、ジャイロセンサ332から出力される信号及びGPS331及び地図データベース34のデータに基づいて、車両の走行方位を計測するとともに、道路の方向との方位差を算出して制御部31へ出力する。
表示部35は、フロントガラスディスプレイ又はヘッドアップディスプレイ、あるいは、カーナビゲーションシステム又は後方監視モニタなどの液晶表示パネルであって、運転者に所要の情報を表示する。例えば、路面状態の判定結果に応じて車両の走行状態を制御する場合、運転者に注意を促し又は警告するためその旨を表示する。
操作部36は、各種操作パネルを備え、運転者と車載装置30とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部36は、運転者の操作により車載装置30の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
報知部37は、スピーカを備え、制御部31の制御のもと、運転者に注意又は警告する場合、注意又は警告の内容を音声で出力する。例えば、路面状態の判定結果に応じて車両の走行状態を制御する場合、その旨を出力する。
距離変換係数算出部39は、光ビーコン10との交信地点の通過を示す信号を受信した時点から、車輪の回転に比例して生成されるパルス信号を車両制御部から取得し、取得したパルス信号のパルス数の計数を開始する。距離変換係数算出部39は、路上装置20との交信地点の通過を示す信号を受信した時点で、計数したパルス数を取得し、光ビーコン10との交信地点と路上装置20との交信地点との間の区間距離Dを、取得したパルス数で除算して距離変換係数を算出する。距離変換係数算出部39は、算出した距離変換係数を記憶部38に記憶する。なお、算出する距離変換係数は、光ビーコン10との交信地点と路上装置20との交信地点との間の区間距離Dを、取得したパルス数で除算した結果得られる値に限定されるものではなく、所定の定数を加算あるいは乗算したものでもよく、あるいは、取得したパルス数を区間距離Dで除算した値でもよい。
また、距離変換係数算出部39は、道路状況が異なることによる要因、又は光ビーコン10及び路上装置20との交信に関する通信誤差などのばらつきを考慮して、算出した値を平滑化(例えば、直近に算出したデータと今回算出したデータに基づいて、距離変換係数を算出する)し、あるいは、所定単位(例えば、所定の走行距離、所定の走行時間、所定の時間、所定の算出数、所定距離以上のトリップ等であり、例えば、5km走行)毎に平均値化して常時最新値を算出することができる。距離変換係数算出部39は、所定単位毎に算出した最新値を記憶部38に記憶する。
記憶部38は、路面状態の判定に用いる閾値(第1閾値Th1、第2閾値Th2)を記憶している。また、記憶部38は、第1閾値Th1又は第2閾値Th2より大きい又は小さい距離変換係数の数を判定するための計数閾値Tk、車両の走行方位と道路方向の方位との方位差の大小を判定するための方位閾値、車両の速度の大小を判定するための速度閾値を記憶している。また、記憶部38は、光ビーコン10との交信地点と路上装置20と
の交信地点との間の区間距離Dを光ビーコン10から受信して記憶している。また、記憶部38は、通信部32を通じて交信される光ビーコン10及び路上装置20との交信位置及びその誤差範囲を記憶している。
また、記憶部39は、制御部31の制御のもと、距離変換係数算出部39で算出した距離変換係数を記憶する。
図4は光ビーコン10の交信位置の誤差範囲の例を示す説明図である。直交座標系(X方向及びY方向)において、光ビーコン10との道路上の交信範囲(図2において、領域Aに相当)が図4の例のように矩形状に想定される場合、この交信範囲(道路方向の長さが4s)を交信位置の誤差範囲として設定する。すなわち、光ビーコン10との交信地点の位置は、矩形領域の中心位置であり、誤差範囲は、中心位置から道路方向に+/−2sの範囲だけ広がる。例えば、sをシグマと設定した場合、道路方向の誤差の分散はs2 となり、標準偏差はsと設定することができる。路上装置20についても、同様の誤差範囲が設定された場合、光ビーコン10及び路上装置20の両装置での誤差の和は、+/−1.4s程度となる。仮に、s=1mとし、光ビーコン10及び路上装置20の両装置間の離隔距離Dが500mとすれば、誤差の和の離隔距離Dに占める割合は、0.28%となる。算出するデータ数を多くして平均化すれば、誤差の和は、0.2%以下にすることが可能となる。なお、道路状況に起因する要因による影響は通信誤差による影響よりも小さいと考えることができる。
次に距離変換係数に基づいて路面状態を判定する判定方法について説明する。路面状態を示す事象は、例えば、路面乾燥(降雨のない状態)、及び路面湿潤(降雨中又は降雨後の状態)である。まず、距離変換係数の時系列データを多数集計して得られる距離変換係数の統計分布について説明する。
図5は距離変換係数の統計分布の例を示す説明図である。図5において、横軸は距離変換係数を示し、縦軸はその度数を示す。図5(a)は、路面乾燥時にのみ取得したならば得られる距離変換係数の度数分布p1、及び路面湿潤時にのみ取得したならば得られる距離変換係数の度数分布p2を示す。また、図5(b)は、路面乾燥時及び路面湿潤時の両者を含み実際に取得した距離変換係数のデータを集計して求められる距離変換係数の度数分布p0を示す。すなわち、2つの事象での距離変換係数のデータを多数集計した場合、度数分布p1及びp2を合計したような度数分布p0を得ることができる。
図5(a)に示すように、路面乾燥時の距離変換係数の度数分布p1は、正規分布に従う。一方、路面湿潤時には、路面乾燥時に比べて回転中のタイヤ(車輪)にスリップが生じやすい。スリップには、走行時の空回りによる場合と、制動時の場合とがある。前者では、路面乾燥時よりも路面湿潤時の方が、走行距離が長くなり、後者では、路面乾燥時よりも路面湿潤時の方が、走行距離が短くなる。一般的に、また、本発明においても、走行時のスリップによる機会が多く、かつ、走行距離に差が大きいため、距離変換係数が小さくなる。すなわち、路面湿潤時の距離変換係数は、路面乾燥時の距離変換係数よりも小さい値になる傾向があるとともに、湿潤の程度にも差があることから、路面湿潤時の距離変換係数の度数分布p2は、路面乾燥時の距離変換係数の度数分布p1よりも値が小さい側に分布するとともに、正規分布ではなく、やや距離変換係数の大きい値の方に裾野が広がるような分布になる。また、雨天総時間は、晴天又は曇の総時間に比べて少ないため、所定期間における路面湿潤時の距離変換係数の統計分布の最頻値(又は平均値)の度数(ピーク値)は、路面乾燥時のものに比べて小さい。
図5(b)に示すように、実際に取得した距離変換係数のデータを集計して得られる度数分布p0においては、度数分布p1に見られる最頻値又は平均値(図中丸印)よりも左
側(距離変換係数の値が小さくなる方向)に若干ずれたところに最頻値又は平均値(図中丸印)が得られる特異点があり、これを第1閾値Th1とする。また、度数分布p0においては、度数分布p2に見られる最頻値又は平均値(図中丸印)よりも右側(距離変換係数の値が大きくなる方向)に若干ずれたところに極大点、変曲点など(図中△印)が得られる特異点があり、これを第2閾値Th2とする。なお、度数分布p2の形状に応じて、第2閾値Th2に対応する特異点は、極大点又は変曲点などになる。
次に、上述の第1閾値Th1、第2閾値Th2に基づいて、路面状態(事象)の判定について説明する。路面状態の判定は、実時間で取得した距離変換係数の時系列データがどのように分布しているかを分析することにより行うことができる。例えば、路面乾燥である場合、実時間で取得した距離変換係数の時系列データが、第1閾値Th1より大きい範囲、すなわち、図5(b)において斜線で示した範囲に生起する確率は、例えば、50%より大きい。したがって、路面乾燥である場合、実時間で取得した距離変換係数の時系列データのうち、半数以上は第1閾値Th1より大きい値を有し、そうでない場合には、路面湿潤であると判定することができる。
より具体的には、実時間で取得した距離変換係数の時系列データの個数をn個、このうち、第1閾値Th1より大きい値のデータの個数をk個、実時間で取得した距離変換係数の時系列データが第1閾値Th1より大きい値の範囲に生起する確率をwとすると、それぞれの生起する事象の確率は二項分布で決定することができる。例えば、w=50%、n=10、k≦2であるとき、k≦2となる確率は、二項分布表から0.0547であるので、危険率5%で路面湿潤であると判定することができる。
また、同様に、路面湿潤である場合、実時間で取得した距離変換係数の時系列データが、第2閾値Th2より小さい範囲、すなわち、図5(b)において格子線で示した範囲に生起する確率は、例えば、50%より大きい。したがって、路面湿潤である場合、実時間で取得した距離変換係数の時系列データのうち、半数以上は第2閾値Th2より小さい値を有し、そうでない場合には、路面乾燥であると判定することができる。
路面状態の判定精度をさらに向上させるために、上述の判定結果に基づいて最終的な判定を行うことができる。すなわち、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥であると判定し、かつ、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤でないと判定した場合に、路面乾燥であると判定することができる。また、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤であると判定し、かつ、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥でないと判定した場合に、路面湿潤であると判定することができる。また、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥であると判定し、かつ、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤であると判定した場合、雨が止んで路面湿潤から路面乾燥に向かっていると判定することもできる。なお、仮に、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤でないと判定し、かつ、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥でないと判定した場合には、判定不能とすることもできる。
なお、上述の判定方法は、一例であって、これに限定されるものではない。実時間で取得した距離変換係数の時系列データの平均値、標準偏差、データのばらつき度合い、あるいは、路面乾燥時又は路面湿潤時のいずれの度数分布に合致しているかの検定等の方法を用いることもできる。
次に車載装置30による距離変換係数の算出方法について説明する。図6は距離変換係数の算出手順を示すフローチャートである。制御部31は、光ビーコン10との通信の有無を判定し(S11)、通信がない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を続け、光ビーコン10との通信があるまで待機する。
光ビーコン10との通信があった場合(S11でYES)、制御部31は、光ビーコン10から区間距離Dを受信し(S12)、車両制御部から入力される車輪の回転に比例するパルス信号を計数する(S13)。パルス信号は、車輪の回転に基づいて所定の周期でパルスを発生させるもの、あるいは、車速に応じてパルスを発生させるもの(例えば、車速が60km/hであれば、1秒間に所定数のパルス信号を生成する)などがある。なお、パルス信号の計数はパルス数の計数であるが、これに限定されるものではなく、パルス数にパルス信号の周期を積算した値を計測してもよい。また、車速に応じてパルスを発生させ、このパルス信号を計数してもよい。
制御部31は、車両の走行方位のずれ(車両の走行方位と道路方向の方位との方位差の大小)の有無を判定する(S14)。なお、走行方位のずれの有無の判定方法としては、例えば、道路方向の方位と車両の走行方位とが異なる距離が所定の距離閾値以上である場合、道路方向の方位と車両の走行方位とが異なる時間が所定の時間閾値以上である場合、又は、任意の道路区間の両端地点における、道路方向の方位差と車両の走行方位差とが異なる場合に車両の走行方位ずれがあると判定することができる。
走行方位にずれがない場合(S14でNO)、制御部31は、車両の速度が速度閾値より小さいか否かを判定する(S15)。車両の速度が速度閾値より小さくない場合(S15でNO)、制御部31は、路上装置20との交信の有無を判定し(S16)、交信がない場合(S16でNO)、ステップS13以降の処理を続け、パルス信号の計数を続ける。
路上装置との交信があった場合(S16でYES)、制御部31は、計数したパルス数を取得し、受信した区間距離Dを計数したパルス数で除算して距離変換係数を算出する(S17)。制御部31は、算出した距離変換係数を所定の基準時点(例えば、距離変換係数の経年変化が無視できる初期の時点)に対応する値に補正する(S18)。なお、距離変換係数の補正方法については、後述する。
制御部31は、対象道路を通過したか否か、すなわち路面状態判定領域を通過したか否かを判定し(S19)、未だ通過していない場合(S19でNO)、ステップS11以降の処理を続け、繰り返し距離変換係数の算出を行う。対象道路を通過した場合(S19でYES)、制御部31は、処理を終了する。一方、車両の走行方位のずれがある場合(S14でYES)、制御部31は、例えば、車両が道路脇の施設に立ち寄ったとして、パルス信号の計数を中止し(S20)、距離変換係数を算出することなくステップS19の処理を行う。また、車両の速度が速度閾値より小さい場合(S15でYES)、制御部31は、誤差が大きくなるとして、パルス信号の計数を中止し(S20)、距離変換係数を算出することなくステップS19の処理を行う。
次に距離変換係数の補正方法について説明する。距離変換係数の補正は、車両の累積走行距離の増加又は日時の経過に応じて、算出される距離変換係数が変化する場合、経年変化による影響を低減するために行うことができる。
図7は距離変換係数の補正例を示す説明図である。図7において、横軸は車両の走行距離又は日時を示し、縦軸は距離変換係数を示す。また、図7において、丸印は所定の期間(例えば、走行距離が100km増加する期間、1週間など)が経過する都度、その期間内において取得された距離変換係数の統計分布に基づいて算出された統計値(例えば、最頻値、平均値など)を示す。また、所定の期間としては、取得される距離変換係数の経年変化による影響がない限度で長い期間を設定することができる。
制御部31は、所定の期間毎に算出した統計値と走行距離又は日時との間の相関式(例
えば、図中の式y=ax+b)を算出する。ここで、a、bは、相関式を算出することで求められる相関パラメータである。また、図中、「d」で示される統計値は、例えば、異常値であり、このような異常値は、相関式を算出する際に除外することができる。なお、距離変換係数は、走行距離の増加又は日時の経過に応じて小さくなるため、相関式で表される直線は右下がりになる。
制御部31は、算出した相関パラメータa、b(相関式)及び所定の基準時点(日時)x0(例えば、走行距離が少ない時点又は日時が余り経過していない初期の時点)を用いて、複数の各期間にある任意の時点(日時)に取得した距離変換係数の値を、基準時点の値に換算(正規化)するための補正を行う。例えば、基準時点x0における距離変換係数の値をy0=ax0+bとし、任意の日時x1に取得した距離変換係数の時系列データ(例えば、路面状態判定領域P1内で取得した距離変換係数の時系列データ)をy1とすると、補正後の距離変換係数ysをys=(ax0+b)・y1/(ax1+b)により算出する。
制御部31は、複数の所定の期間内の任意の日時における補正した距離変換係数のデータに基づいて統計分布(例えば、度数分布)を作成、作成した統計分布の分布状態に基づいて、特異点(例えば、ピーク点、変曲点、極大点など)を抽出し、例えば、大きい方の特異点を第1閾値Th1として算出し、小さい方の特異点を第2閾値として算出し、算出した第1閾値Th1及び第2閾値Th2を記憶部38に記憶する。なお、走行距離が増加又は日時の経過に応じて、所定の期間が経過する都度、制御部31は、上述の処理を繰り返し、その都度第1閾値Th1、第2閾値Th2を更新することができる。
所定の期間が経過する都度、その期間内において取得された距離変換係数の統計分布に基づいて統計値(例えば、最頻値、平均値、極大点又は変曲点に対応する値など)を算出する場合、制御部31は、統計分布に基づいて、特異点(例えば、ピーク点、変曲点、極大点など)を抽出し、少なくとも2つの特異点が抽出されない場合、所定の期間内に取得された距離変換係数のデータは、例えば、降雨時のデータが含まれていないものとして、その期間内取得した距離変換係数を無効にして統計値を算出しない。また、抽出した特異点が少なくとも2つある場合には、所定の期間内に取得された距離変換係数のデータは、降雨時のデータも含まれるとして、統計値を算出するデータとして使用する。これにより、晴れ又は曇り、雨天等すべての天候における距離変換係数のデータを取得して統計値を算出することができ、路面判定を行うための閾値を適切に算出することができる。
制御部31は、路面状態を判定する際に、実時間で取得した距離変換係数の時系列データについても、上述の補正方法で補正し、補正した距離変換係数の時系列データに基づいて路面状態の判定を行う。なお、路面判定の方法については後述する。
図8は距離変換係数の経年変化を補正する補正処理点順を示すフローチャートである。制御部31は、所定の期間内において取得された距離変換係数のデータを多数収集して度数分布(統計分布)を作成し(S31)、作成した度数分布に基づいて、特異点を抽出する(S32)。
制御部31は、抽出した特異点の数が1より大きいか否かを判定し(S33)、特異点の数が1より大きい場合(S33でYES)、所定の期間における度数分布の最頻値を算出する(S34)。なお、算出した所定期間の最頻値は、記憶部38に記憶される。また、最頻値に代えて平均値などを算出することもできる。
制御部31は、記憶部38に記憶している各期間の最頻値の相関パラメータ(相関式)を算出し(S35)、算出した相関パラメータ及び所定の基準日時の距離変換係数に基づ
いて、任意の日時の距離変換係数を補正する(S36)。
制御部31は、複数の期間(又は、過去のすべての期間)における補正後の距離変換係数のデータを収集して度数分布を作成し(S37)、作成した度数分布の特異点を抽出することにより第1閾値Th1、第2閾値Th2を更新して(S38)、処理を終了する。一方、特異点の数が1より大きくない場合(S33でNO)、制御部31は処理を終了する。
図9は路面状態を判定する判定処理手順を示すフローチャートである。制御部31は、実時間で取得した距離変換係数の時系列データ(経年変化がある場合には、補正後のデータ)と第1閾値Th1及び第2閾値Th2とを比較し(S41)、第1閾値Th1より大きい距離変換係数の数L1を計数し(S42)、第2閾値Th2より小さい距離変換係数の数L2を計数する(S43)。
制御部31は、計数した数L1が計数閾値Tkより小さいか否かを判定し(S44)、数L1が計数閾値Tkより小さい場合(S44でYES)、路面湿潤であると判定する(S45)。数L1が計数閾値Tkより小さくない場合(S44でNO)、制御部31は、路面湿潤でないと判定する(S46)。
制御部31は、計数した数L2が計数閾値Tkより小さいか否かを判定し(S47)、数L2が計数閾値Tkより小さい場合(S47でYES)、路面乾燥であると判定する(S48)。数L2が計数閾値Tkより小さくない場合(S47でNO)、制御部31は、路面乾燥でないと判定する(S49)。なお、計数閾値Tkは、数L1、L2の大小を判定する場合に同じ値、あるいは異なる値を用いることができる。
制御部31は、ステップS45、S46、S48、S49での判定結果に基づいて、最終判定を行い(S50)、処理を終了する。これにより、路面乾燥、路面湿潤(降雨)、路面湿潤(非降雨)の区別を時々刻々精度良く判定することができる。
最終的な判定により路面状態の判定精度をさらに向上させることができる。すなわち、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥であると判定し、かつ、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤でないと判定した場合に、路面乾燥であると判定することができる。また、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤であると判定し、かつ、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥でないと判定した場合に、路面湿潤であると判定することができる。また、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥であると判定し、かつ、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤であると判定した場合、雨が止んで路面湿潤から路面乾燥に向かっていると判定することもできる。なお、仮に、第1閾値Th1に基づいて路面湿潤でないと判定し、かつ、第2閾値Th2に基づいて路面乾燥でないと判定した場合には、判定不能とすることもできる。
なお、上述の判定方法は、一例であって、これに限定されるものではない。実時間で取得した距離変換係数の時系列データの平均値、標準偏差、データのばらつき度合い、あるいは、路面乾燥時又は路面湿潤時のいずれの度数分布に合致しているかの検定等の方法を用いることもできる。
車載装置30が所定の交信地点を通過したことを示す信号を受信する方法は、上述の例に限定されるものではなく、他の構成を用いることができる。例えば、図2の例では、距離変換係数の算出地点毎に光ビーコン10及び路上装置20を設ける構成であるが、これに限定されるものではなく、路面状態判定領域内の最初の地点に光ビーコン10及び路上装置20を配置し、他の地点には路上装置20のみを設ける構成とすることもできる。この場合には、光ビーコン10を通過する際に、光ビーコン10と路上装置20との区間距
離Dに加えて、各路上装置20間の区間距離Dを車載装置30へ送信することができ、車載装置30は、路上装置20との交信の都度、パルス信号の計数値をリセットするとともに計数開始することができる。
図10は距離変換係数の他の算出例を示す模式図である。図10に示すように、路上装置20に代えて、光ビーコン10を設置することもできる。この場合には、下流側の光ビーコン10が、区間距離Dを車載装置30へ送信することもできる。なお、光ビーコン10に代えて、電波ビーコン、DSRCなどを用いることもできる。
図11は距離変換係数の他の算出例を示す模式図である。図11に示すように、図2の光ビーコン10に代えて、路上装置20及び無線LANなどの中域通信機能を備えた通信装置40を設置することもできる。この場合、通信装置40は、区間距離Dを車載装置30へ送信する。なお、通信装置40は、信号制御、交通情報収集、交通情報提供などの処理を行う装置などを利用することも可能である。また、通信装置40は、中域通信に限らず、FM放送、携帯電話、インターネット通信等の広域通信機能を備えた装置でもよい。
実施の形態2
上述の実施の形態1では、距離変換係数を取得して路面状態を判定する構成であったが、多数の車両が所定の出発地点と目的地点との間を通過するのに要する旅行時間のデータを多数収集して路面状態を判定することもできる。
図12は実施の形態2における識別装置50を備えるセンタ装置で路面状態を識別(判定)する例を示す模式図である。図12に示すように、道路上に路面状態判定領域(識別領域)Q1、Q2、Q3が設けられている。各路面状態判定領域Q1、Q2、Q3には、予め所定の出発地点と目的地点とが定められてあり、各路面状態判定領域Q1、Q2、Q3の特定時刻における多数の車両の走行軌跡データ(プローブデータ)をセンタ装置50で取得し、センタ装置50は、取得したプローブデータに基づいて、車両が所定の出発地点と目的地点との間を通過するのに要する旅行時間のデータを多数収集し、旅行時間の統計分布(度数分布)に応じて路面状態、すなわち、路面乾燥(降雨のない状態)、又は路面湿潤(降雨中又は降雨後の状態)を判定する。
図13はセンタ装置50の構成を示すブロック図である。センタ装置50は、各種の演算処理を行うCPUからなる制御部51を備える。なお、制御部51は、路面状態を判定するための処理を組み込んだ専用のハードウエア回路で構成してもよく、又は予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行する構成であってもよい。制御部51には、内部バスを介して通信部52、記憶部53などが接続してある。
通信部52は、各路面状態判定領域Q1、Q2、Q3内の道路に設置された光ビーコン10、交通情報を提供する情報提供装置60との間の通信を行う通信機能を備えている。通信部52は、車載装置30、30、…が光ビーコン10の付近を通過する際に、光ビーコン10を通じて各車載装置30から受信した走行軌跡データ(プローブデータ)を取得する。また、通信部52は、センタ装置50で算出した旅行時間のデータを光ビーコン10、情報提供装置60へ出力する。
記憶部53は、路面状態の判定に用いる閾値(第3閾値Th3、第4閾値Th4)を記憶している。また、記憶部38は、第3閾値Th3又は第4閾値Th4より大きい又は小さい旅行時間の数を判定するための計数閾値Tkを記憶している。
次に旅行時間に基づいて路面状態を判定する判定方法について説明する。路面状態を示す事象は、例えば、路面乾燥(降雨のない状態)、及び路面湿潤(降雨中又は降雨後の状
態)である。まず、路面状態を判定する対象地域における複数地点の特定時刻での旅行時間のデータを多数集計して得られる旅行時間の統計分布について説明する。
図14は旅行時間の統計分布の例を示す説明図である。図14において、横軸は旅行時間を示し、縦軸はその度数を示す。図14(a)は、路面乾燥時にのみ取得したならば得られる旅行時間の度数分布q1、及び路面湿潤時にのみ取得したならば得られる旅行時間の度数分布q2を示す。また、図14(b)は、路面乾燥時及び路面湿潤時の両者を含み実際に取得した旅行時間のデータを集計して求められる旅行時間の度数分布q0を示す。すなわち、2つの事象での旅行時間のデータを多数集計した場合、度数分布q1及びq2を合計したような度数分布q0を得ることができる。
図14(a)に示すように、路面湿潤時には、路面乾燥時に比べて車両の走行速度が小さくなるため、路面湿潤時に取得された旅行時間は、路面乾燥時に取得された旅行時間よりも大きい値になる傾向があるため、路面湿潤時の旅行時間の度数分布q2は、路面乾燥時の旅行時間の度数分布q1よりも値が大きい側に分布する。また、雨天総時間は、晴天又は曇の総時間に比べて少ないため、所定期間における路面湿潤時の旅行時間の統計分布の最頻値(又は平均値)の度数(ピーク値)は、路面乾燥時のものに比べて小さい。
図14(b)に示すように、実際に取得した旅行時間のデータを集計して得られる度数分布q0においては、度数分布q1に見られる最頻値又は平均値(図中丸印)より右側(旅行時間の値が大きくなる方向)に若干ずれたところに最頻値又は平均値(図中丸印)が得られる特異点があり、これを第4閾値Th4とする。また、度数分布q0においては、度数分布q2に見られる最頻値又は平均値(図中丸印)よりも左側(旅行時間の値が小さくなる方向)に若干ずれたところに極大点、変曲点など(図中△印)が得られる特異点があり、これを第3閾値Th3とする。なお、度数分布q2の形状に応じて、第3閾値Th3に対応する特異点は、極大点又は変曲点などのいずれかになる。
第3閾値Th3、第4閾値Th4は、路面状態を判定する対象地域の地点毎に集計された旅行時間の統計分布により決定されるため、地点毎に異なる場合がある。また、同じ地点であっても、車両の交通量は時間帯によって異なるため、旅行時間は、曜日又は日時により統計分布が異なる可能性がある。そこで、旅行時間の統計分布を地点毎に曜日又は日時を分けてグループ化して作成することができる。あるいは、通常渋滞しない地点、時間帯(例えば早朝、昼間)のデータのみを用いて、非渋滞に限定した統計分布を作成して路面状態を判定することもでき、非渋滞でかつ上流の交通量がほぼ同一であるデータごとに統計分布を作成して判定することもできる。
次に、上述の第3閾値Th3、第4閾値Th4に基づいて、路面状態(事象)の判定について説明する。路面状態の判定は、路面状態を判定する対象地域における複数地点の特定時刻での旅行時間のデータがどのように分布しているかを分析することにより行うことができる。この場合、例えば、路面乾燥である場合、旅行時間のデータが、第4閾値Th4より小さい範囲、すなわち、図14(b)において格子線で示した範囲に生起する確率は、例えば、50%より大きい。したがって、路面乾燥である場合、旅行時間のデータのうち、半数以上は第4閾値Th4より小さい値を有し、そうでない場合には、路面湿潤であると判定することができる。
また、同様に、路面湿潤である場合、旅行時間のデータが、第3閾値Th3より大きい範囲、すなわち、図14(b)において斜線で示した範囲に生起する確率は、例えば、50%より大きい。したがって、路面湿潤である場合、旅行時間のデータのうち、半数以上は第3閾値Th3より大きい値を有し、そうでない場合には、路面乾燥であると判定することができる。
路面状態の判定精度をさらに向上させるために、上述の判定結果に基づいて最終的な判定を行うことができる。すなわち、第3閾値Th3に基づいて路面乾燥であると判定し、かつ、第4閾値Th4に基づいて路面湿潤でないと判定した場合に、路面乾燥であると判定することができる。また、第4閾値Th4に基づいて路面湿潤であると判定し、かつ、第3閾値Th3に基づいて路面乾燥でないと判定した場合に、路面湿潤であると判定することができる。また、第3閾値Th3に基づいて路面乾燥であると判定し、かつ、第4閾値Th4に基づいて路面湿潤であると判定した場合、雨が止んで路面湿潤から路面乾燥に向かっていると判定することもできる。なお、仮に、第4閾値Th4に基づいて路面湿潤でないと判定し、かつ、第3閾値Th3に基づいて路面乾燥でないと判定した場合には、判定不能とすることもできる。
図15は旅行時間による路面状態の判定に用いる閾値の算出手順を示すフローチャートである。制御部51は、地点毎、曜日又は特定時刻毎などのグループ毎に収集したプローブデータに基づいて旅行時間を算出する(S61)。制御部51は、旅行時間のデータに基づいて旅行時間の度数分布(統計分布)を作成し(S62)、作成した度数分布から特異点を抽出することにより、第3閾値Th3、第4閾値Th4を算出する(S63)。
制御部51は、他のグループがあるか否かを判定し(S64)、他のグループがある場合(S64でYES)、ステップS61以降の処理を続ける。他のグループがない場合(S64でNO)、制御部51は、処理を終了する。
図16は路面状態を判定する判定処理手順を示すフローチャートである。なお、路面状態の判定は、上述のグループ毎に集計された統計分布に基づいて、各グループに対応する旅行時間のデータを収集して、グループ毎に行われる。制御部51は、路面状態を判定する対象地域の特定地点、特定時刻の旅行時間を取得し(S71)、取得した旅行時間と第3閾値Th3及び第4閾値Th4とを比較し(S72)、第3閾値Th3より大きい旅行時間の数L3を計数し(S73)、第4閾値Th4より小さい旅行時間の数L4を計数する(S74)。
制御部51は、計数した数L3が計数閾値Tkより小さいか否かを判定し(S75)、数L3が計数閾値Tkより小さい場合(S75でYES)、路面乾燥であると判定する(S76)。数L3が計数閾値Tkより小さくない場合(S75でNO)、制御部51は、路面乾燥でないと判定する(S77)。
制御部51は、計数した数L4が計数閾値Tkより小さいか否かを判定し(S78)、数L4が計数閾値Tkより小さい場合(S78でYES)、路面湿潤であると判定する(S79)。数L4が計数閾値Tkより小さくない場合(S78でNO)、制御部51は、路面湿潤でないと判定する(S80)。なお、計数閾値Tkは、数L3、L4の大小を判定する場合に同じ値を用いることもでき、あるいは異なる値を用いることもできる。
制御部51は、ステップS76、S77、S79、S80での判定結果に基づいて、最終判定を行い(S81)、判定結果及び旅行時間を光ビーコン10、情報提供装置60などに出力し(S82)、処理を終了する。これにより、路面乾燥、路面湿潤(降雨)、路面湿潤(非降雨)の区別を時々刻々精度良く判定することができるとともに、旅行時間のデータを路面状態に分けて取得することができる。
以上説明したように、本発明にあっては、路面状態を判定するための専用のセンサ装置などを設置することなく、路面乾燥、路面湿潤(降雨)、路面湿潤(非降雨)の区別を時々刻々精度良く判定することができる。また、自動車の制御性能は、路面の状態により大
きく変動するため、路面乾燥、路面湿潤(降雨)、路面湿潤(非降雨)の判定結果に応じて、制御パラメータ(ブレーキ特性等)を自動的に変更し、運転者に対して適切な注意喚起又は警告等の情報提供(例えば、スリップ注意、適正車間距離等)を行うことにより、安全運転支援に役立てることができる。また、路面乾燥、路面湿潤(降雨)、路面湿潤(非降雨)の別を考慮して、路上に設置した情報提供装置で、適切な注意喚起又は警告等の情報提供(例えば、スリップ注意、適正車間距離等)を行うこともできる。さらに、路面乾燥、路面湿潤(降雨)、路面湿潤(非降雨)の情報を個別の多数の車両に送信し、車両では、制御パラメータ(ブレーキ特性等)を自動的に変更し、運転者に対して適切な注意喚起又は警告等の情報提供(例えば、スリップ注意、適正車間距離等)を行うこともできる。
上述の実施の形態2では、光ビーコン10を通じて車両の走行軌跡データ(プローブデータ)をセンタ装置50へ送信する構成であったが、これに限定されるものではなく、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)を用いることもできる。また、各車載装置30から光ビーコン10を介さずにセンタ装置50へ送信する構成であってもよい。例えば、中域通信としてUHF帯又はVHF帯等の無線LAN機能、あるいは、広域通信として携帯電話、PHS、多重FM放送、インターネット通信などの通信機能を用いることもできる。
本発明は、雨天時の場合だけでなく、降雪時の場合であっても適用することができる。
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る識別装置を備える車載装置で路面状態を識別(判定)する例を示す模式図である。 距離変換係数の算出例を示す模式図である。 車載装置の構成を示すブロック図である。 光ビーコンの交信位置の誤差範囲の例を示す説明図である。 距離変換係数の統計分布の例を示す説明図である。 距離変換係数の算出手順を示すフローチャートである。 距離変換係数の補正例を示す説明図である。 距離変換係数の経年変化を補正する補正処理点順を示すフローチャートである。 路面状態を判定する判定処理手順を示すフローチャートである。 距離変換係数の他の算出例を示す模式図である。 距離変換係数の他の算出例を示す模式図である。 実施の形態2における識別装置を備えるセンタ装置で路面状態を識別(判定)する例を示す模式図である。 センタ装置の構成を示すブロック図である。 旅行時間の統計分布の例を示す説明図である。 旅行時間による路面状態の判定に用いる閾値の算出手順を示すフローチャートである。 路面状態を判定する判定処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 光ビーコン
20 路上装置
30 車載装置
31 制御部
32 通信部
33 測位部
34 地図データベース
35 表示部
36 操作部
37 報知部
38 記憶部
39 距離変換係数算出部
40 通信装置
50 センタ装置
51 制御部
52 通信部
53 記憶部
60 情報提供装置

Claims (11)

  1. 路面状態に関する複数の事象を識別する識別装置において、
    前記事象に関連付けて予め定められた閾値を記憶する記憶手段と、
    車両の走行状態に関する特徴量を複数取得する取得手段と、
    該取得手段で取得した複数の特徴量と前記閾値とを比較する比較手段と、
    該比較手段で比較した結果、前記特徴量の値が前記閾値より大又は小のいずれかである特徴量の数に基づいて、事象を識別する識別手段と
    を備えることを特徴とする識別装置。
  2. 前記閾値は、
    第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、
    前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第2閾値より小さい特徴量の数を計数する第1計数手段と、
    該第1計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第1の事象であるか否かを識別する第1識別手段と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
  3. 前記閾値は、
    第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、
    前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第1閾値より大きい特徴量の数を計数する第2計数手段と、
    該第2計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第2の事象であるか否かを識別する第2識別手段と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
  4. 前記閾値は、
    第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、
    前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第2閾値より小さい特徴量の数を計数する第1計数手段と、
    該第1計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第1の事象であるか否かを識別する第1識別手段と、
    前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第1閾値より大きい特徴量の数を計数する第2計数手段と、
    該第2計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第2の事象であるか否かを識別する第2識別手段と
    を備え、
    前記識別手段は、
    前記第1識別手段で第1の事象であると識別し、前記第2識別手段で第2の事象でないと識別した場合、第1の事象であると識別するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
  5. 前記閾値は、
    第1の事象に関連する第1閾値及び該第1閾値より小さく前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する第2閾値を含み、
    前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第2閾値より小さい特徴量の数を計数する第1計数手段と、
    該第1計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第1の事象であるか否かを識別する第1識別手段と、
    前記取得手段で取得した特徴量のうち前記第1閾値より大きい特徴量の数を計数する第2計数手段と、
    該第2計数手段で計数した特徴量の数が所定の識別閾値より小さいか否かに応じて、前記第2の事象であるか否かを識別する第2識別手段と
    を備え、
    前記識別手段は、
    前記第1識別手段で第1の事象でないと識別し、前記第2識別手段で第2の事象であると識別した場合、第2の事象であると識別するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
  6. 所定の期間に前記取得手段で取得した特徴量の統計値を算出する統計値算出手段と、
    該統計値算出手段で算出した統計値に基づいて、前記第1閾値及び第2閾値を算出する閾値算出手段と
    を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の識別装置。
  7. 所定の期間の経過の都度、該期間に前記取得手段で取得した特徴量の統計値を算出する統計値算出手段と、
    該統計値算出手段で算出した各統計値の相関を算出する相関算出手段と、
    該相関算出手段で算出した相関に基づいて、任意の時点に前記取得手段で取得した特徴量を所定の基準時点に対応する特徴量に補正する補正手段と、
    該補正手段で補正した特徴量の統計分布に基づいて、特異点を抽出する抽出手段と、
    該抽出手段で抽出した特異点に基づいて、前記第1閾値及び第2閾値を決定する決定手段と
    を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の識別装置。
  8. 前記抽出手段は、
    前記期間に前記取得手段で取得した特徴量の統計分布に基づいて、特異点を抽出するように構成してあり、
    前記抽出手段で少なくとも2つの特異点が抽出されない場合、前記期間に取得した特徴量を無効にする無効手段と
    を備えることを特徴とする請求項7に記載の識別装置。
  9. 前記特徴量は、車輪の回転に応じて生成される信号と車両の走行距離とを関連付ける距離変換係数であり、
    前記第1の事象及び第2の事象は、それぞれ路面乾燥及び路面湿潤であることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の識別装置。
  10. 前記特徴量は、車両が所定の2地点間を通過するのに要する旅行時間であり、
    前記第1の事象及び第2の事象は、それぞれ路面湿潤及び路面乾燥であることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の識別装置。
  11. 路面状態に関する複数の事象を識別する識別方法において、
    前記事象に関連付けて予め定められた閾値を記憶し、
    車両の走行状態に関する特徴量を複数取得し、
    取得した複数の特徴量と前記閾値とを比較し、
    前記特徴量の値が前記閾値より大又は小のいずれかである特徴量の数に基づいて、事象を識別することを特徴とする識別方法。
JP2007030926A 2007-02-09 2007-02-09 識別装置及び識別方法 Pending JP2008197819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007030926A JP2008197819A (ja) 2007-02-09 2007-02-09 識別装置及び識別方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007030926A JP2008197819A (ja) 2007-02-09 2007-02-09 識別装置及び識別方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008197819A true JP2008197819A (ja) 2008-08-28

Family

ID=39756716

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007030926A Pending JP2008197819A (ja) 2007-02-09 2007-02-09 識別装置及び識別方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008197819A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013218512A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Mitsubishi Electric Corp データ処理装置及びデータ処理方法及びプログラム
JP2018124871A (ja) * 2017-02-02 2018-08-09 富士通株式会社 走行支援システム、走行支援装置、及び走行支援方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000123289A (ja) * 1998-10-13 2000-04-28 Hitachi Ltd 走行環境情報収集装置および情報提供システム
JP2005125812A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Fuji Heavy Ind Ltd 路面判定装置および路面判定方法
JP2006521237A (ja) * 2003-03-21 2006-09-21 ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト 道路と車両タイヤとの間で作用する摩擦を表す摩擦値を決定するための方法及び装置
JP2006329693A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Alpine Electronics Inc ナビゲーション装置の到着予定時刻算出方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000123289A (ja) * 1998-10-13 2000-04-28 Hitachi Ltd 走行環境情報収集装置および情報提供システム
JP2006521237A (ja) * 2003-03-21 2006-09-21 ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト 道路と車両タイヤとの間で作用する摩擦を表す摩擦値を決定するための方法及び装置
JP2005125812A (ja) * 2003-10-21 2005-05-19 Fuji Heavy Ind Ltd 路面判定装置および路面判定方法
JP2006329693A (ja) * 2005-05-24 2006-12-07 Alpine Electronics Inc ナビゲーション装置の到着予定時刻算出方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013218512A (ja) * 2012-04-09 2013-10-24 Mitsubishi Electric Corp データ処理装置及びデータ処理方法及びプログラム
JP2018124871A (ja) * 2017-02-02 2018-08-09 富士通株式会社 走行支援システム、走行支援装置、及び走行支援方法
US10282987B2 (en) 2017-02-02 2019-05-07 Fujitsu Limited System, apparatus, and method for driving support

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Peng et al. Assessing the impact of reduced visibility on traffic crash risk using microscopic data and surrogate safety measures
CN109389824B (zh) 一种驾驶风险的评估方法及装置
US9799219B2 (en) Vehicle data system and method
JP5424754B2 (ja) リンク旅行時間算出装置及びプログラム
US8645052B2 (en) Motor vehicle acceleration determining system
EP2955479A1 (en) Detection of short term irregularities in a road surface
US20100112529A1 (en) Safe driving evaluation system and safe driving evaluation program
CN112289054A (zh) 道路安全预警方法、obu、rsu、mec设备及系统
WO2005078679A1 (ja) 交通情報算出装置、交通情報算出方法、交通情報表示方法及び交通情報表示装置
CN108564803B (zh) 一种车辆超速提醒方法及系统
JP6690702B2 (ja) 異常走行検出装置、異常走行検出方法とそのプログラム
JP2009003577A (ja) 車両運転支援システム、運転支援装置、車両及び車両運転支援方法
CN104827963A (zh) 一种用于车辆防撞智能预警的方法、控制系统以及控制装置
CN110852542B (zh) 一种道路平整度的计算方法及系统
CN115060283A (zh) 用于识别受天气状况影响的可导航元素的方法及系统
JP7389359B2 (ja) 車両及び車両用の診断システム
JP3775394B2 (ja) 走行リンク確定システム及びリンク旅行時間計測システム
CN113112817A (zh) 一种基于车联网和跟驰行为的隧道车辆定位和预警系统及其方法
CN112356849A (zh) 一种危险驾驶的预警方法及装置
CN107680396A (zh) 一种驾驶行为的监控方法及其装置
CN206848501U (zh) 一种高速公路气象监测系统
JP3876653B2 (ja) 交通流の異常検知装置及び方法
CN103593972B (zh) 一种用于预先检测路口车辆闯红灯的设备及其方法
JP2008197819A (ja) 識別装置及び識別方法
CN113793509A (zh) 基于运动传感器的路况分析方法、装置、设备及介质

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100105

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100427

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02