JP2008197206A - 光走査装置及びその製造方法 - Google Patents

光走査装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】入射光束を揺動する振動ミラー部により反射して反射光束を走査する光走査装置に集光レンズを組み込んで、小型化、製造コストの低減化を図る。
【解決手段】反射面が形成された振動ミラー部2、振動ミラー部2の揺動軸をなす支持部3、支持部3を保持する枠部5を有する光走査部1と、光走査部1を収納する筐体14とを備え、入射光束を振動ミラー部2により走査して反射光束を出射する光走査装置20であり、振動ミラー部2は、揺動軸の軸方向の幅が揺動軸に直交する方向の幅よりも狭い形状を有し、筐体14は、入射光束及び前記反射光束を透過する透過部12を備え、透過部12は、入射光束を振動ミラー部2の形状に応じた形状に収束させる第1の光学素子を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザープリンタや投影型表示装置に用いられる光スキャナー用の光走査素子に関する。特に、振動体を振動させることにより反射ミラーを揺動させる光走査素子に関する。
従来から、投影型表示装置等においては画像信号により変調されたレーザー光を走査して投映像を形成するための光走査素子が知られている。例えば、回転多面鏡(ポリゴンミラー)や振動駆動型反射鏡(ガルバノミラー)が用いられてきた。レーザープリンタで回転多面鏡を使用する場合は、高速回転する回転多面鏡に画像信号により変調されたレーザー光を照射して、その反射光を走査し、走査されたレーザー光により記録媒体が形成された回転ドラムに潜像を書き込み、これを紙等に転写する。また、振動駆動型反射鏡を使用する画像表示装置においては、振動ミラーを圧電体や静電気力等により高速振動を行い、振動ミラーに画像信号により変調されたレーザー光を照射し、反射光をスクリーンや直接網膜に照射して、画像表示装置とする。振動駆動型反射鏡は回転多面鏡と比較して駆動部を小型化することができ、軽量小型の光走査素子に適する。
図14は、レーザープリンタやレーザーファクシミリ等に使用される光偏向器100を表す模式的断面図である(特許文献1を参照)。レーザー発振器からのレーザー光Iinはシリンドリカルレンズ103によって所定のビーム形状に集光され、高速回転する回転多面鏡101の反射面に集光する。回転多面鏡101の反射面により反射されたレーザービームは透光性の窓104を透過して球面レンズ105及びfθ機能を有するトーリックレンズ106を通過して、走査光Ioutとして図示しない回転ドラムの回転体に照射される。回転多面鏡101は防塵及び防音対策のためにカバー部材102により密閉されている。
特許文献2には、振動ミラーをシリコンマイクロマシニングにより形成し、この振動ミラーを光偏向器として用いて画像記録を行う光走査装置が記載されている。シリコン半導体基板から振動ミラー、振動ミラーを軸支するねじり梁、ねじり梁を固定する固定部を一体的に形成する。この一体形成した振動体を固定枠に取り付け、揺動空間を確保するようにして周囲をカバー等で覆う。この種の振動体は、振動ミラー部の慣性モーメントとこの振動ミラー部を軸支するねじり梁のバネ定数により定まる共振周波数で振動する。しかし、振動ミラーの厚さが薄く、高い周波数で振動する場合には振動ミラーが湾曲し、走査されるレーザー光の焦点ズレが発生する。この焦点ズレを補正するために、レーザー光源と振動ミラーとの間にカップリングレンズを挿入し、このカップリングレンズの位置を振動ミラーの共振周波数に同期させて移動させ、焦点ズレの補正を行うことが記載されている。
特開2003−57586号公報 特開2004−191416号公報
高速回転する回転多面体を用いる光走査装置は、光走査装置の容積が大きくなり、コンパクトな構成することが困難である。また、回転多面体をモーター等により駆動するために消費電力が大きいこと、また、高速で回転多面体が回転するために、外部へ騒音を出す、などの課題があった。一方、振動駆動型反射鏡は、小型、低消費電力であり、騒音も出さないという利点があるが、更に高速での光走査が望まれていること、また、光走査装置自体の小型化と共に、光走査装置へ入射する入射光束また光走査装置から出射する出射光束を集光させるための外部光学系を含めた装置全体の簡素化、低コスト化が望まれている。
本発明においては上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
請求項1に係る発明においては、反射面が形成された振動ミラー部と、前記振動ミラー部の揺動軸をなす支持部と、前記支持部を保持するための枠部とを有する光走査部と、前記光走査部を収納する筐体とを備え、揺動する前記振動ミラー部により入射光束を反射して走査された反射光束を出射する光走査装置であって、前記振動ミラー部は、前記揺動軸の軸方向の幅が前記揺動軸に直交する方向の幅よりも狭い形状を有し、前記筐体は、前記入射光束及び前記反射光束を透過する透過部を備え、前記透過部は、前記入射光束を前記振動ミラー部の形状に応じた断面形状に収束させる第1の光学素子を有することを特徴とする光走査装置とした。
請求項2に係る発明においては、前記振動ミラー部は、前記揺動軸の軸方向を短軸とし、前記軸方向に直交する方向を長軸とする略多角形又は楕円形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置とした。
請求項3に係る発明においては、前記第1の光学素子は、前記反射光束が光走査装置より出射される際に通過するように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光走査装置とした。
請求項4に係る発明においては、前記透過部は、前記反射光束が光走査装置より出射される際に通過するように配置されている第2の光学素子を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項5に係る発明においては、前記第1の光学素子は、前記揺動軸の軸方向に対するパワーが前記揺動軸に直交する方向に対するパワーよりも大きい光学特性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項6に係る発明においては、前記第1の光学素子は、前記第1の光学素子の光軸に対して回転非対称な形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項7に係る発明においては、前記第1の光学素子は、シリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項8に係る発明においては、前記第1の光学素子は、フレネルレンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項9に係る発明においては、 前記第1の光学素子は、回折格子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項10に係る発明においては、前記第1の光学素子は、屈折率分布型レンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項11に係る発明においては、前記第2の光学素子はfθ特性を有することを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項12に係る発明においては、前記第2の光学素子はアークサイン特性を有することを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項13に係る発明においては、前記筐体は、前記光走査部を収納する収納部と前記収納部を覆うための蓋部とから構成され、前記蓋部は前記透過部及び前記第1の光学素子と同一の材料により一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光走査装置とした。
請求項14に係る発明においては、前記収納部と前記蓋部は略等しい線膨張係数を有することを特徴とする請求項13に記載の光走査装置とした。
請求項15に係る発明においては、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光走査装置を備え、画像信号に応じて変調された光束を前記光走査装置により走査して網膜上に投影表示する網膜走査型画像表示装置とした。
請求項16に係る発明においては、揺動軸の軸方向の幅が前記軸方向に直交する方向の幅よりも狭い形状を有する振動ミラー部と、前記振動ミラー部の揺動軸をなす支持部と、前記支持部を保持するための枠部とを有する光走査部を形成する工程と、前記光走査部を収納するための収納部を同一の収納部材に複数形成する工程と、前記振動ミラー部の形状に応じた形状に入射光束を収束させるための第1の光学素子を有する蓋部を、同一の蓋部材に複数形成する工程と、前記収納部材に前記光走査部を設置する工程と、前記蓋部材を前記収納部材に固定する工程と、前記収納部材及び前記蓋部材を個々の光走査装置に分離する工程と、から成る光走査装置の製造方法とした。
請求項1の光走査装置によれば、反射面が形成された振動ミラー部と、振動ミラー部の揺動軸をなす支持部と、支持部を保持するための枠部を有する光走査部と、この光走査部を収納する筐体とを備えており、振動ミラー部は、振動軸方向の幅が狭くこれに直交する方向の幅が広い形状を有し、筐体は透過部を有し、この透過部には入射光束を上記振動ミラー部の形状に応じた断面形状に収束させるための第1の光学素子を有する。これにより、振動ミラー部の質量及び慣性モーメントを減少させて、走査の高速化、触れ角の増大化及び低消費電力化を図ることができる。また、入射光束を振動ミラー部の形状に沿った形状に収束させるので、振動ミラー部の反射面の面積を有効に利用して解像度の向上を図ることができる。その結果、軽量、小型、低消費電力で反射損失の少ないコンパクトな光走査装置を実現することができる。
請求項2の光走査装置によれば、振動ミラー部は、揺動軸の軸方向を短軸とし、上記軸方向と直交する方向を長軸とする略多角形、又は楕円形の形状を有する。これにより、第1の光学素子により収束された入射光束の形状に振動ミラー部の反射面の形状を合わせることができるので、振動ミラー部の質量を軽量化しつつ、入射光束を反射する反射面の面積を確保することができる、という利点を有する。
請求項3の光走査装置によれば、上記第1の光学素子は、振動ミラー部により反射された反射光を反射光束として出射する際に通過するようにした。これにより、入射光束用と出射光束用のレンズを1つの光学素子により行うことができるので、装置全体をコンパクトに構成することができる、という利点を有する。
請求項4の光走査装置によれば、透過部は、振動ミラー部により反射された反射光を反射光束として出射する際に通過する第2の光学素子を有している。これにより、入射光束と出射光束とを分離して収束させることができるので、光学素子の体積を小さくしてなお入射方向と反射方向との間の角度を大きくとることができ、この光走査装置を使用する装置の設計の自由度を大きくとることができる、という利点を有する。
請求項5の光走査装置によれば、第1の光学素子は、揺動軸の軸方向に対するパワーが揺動軸に直交する方向に対するパワーよりも大きい。これにより、揺動軸方向の幅が狭く、揺動軸に直交する方向の幅が広い振動ミラー部に合致して入射光束を集光させることができ、振動ミラー部の表面を有効に利用して反射効率の低下を防止することができる、という利点を有する。
請求項6の光走査装置によれば、第1の光学素子は、この光学素子の光軸に対して回転非対称な形状を有する。これにより、振動ミラー部の形状に沿って入射光束を集光させることができる、という利点を有する。
請求項7の光走査装置によれば、第1の光学素子は、シリンドリカルレンズとした。これにより、簡易な構成で特に振動ミラー部の短軸方向にのみ入射光束を収束させることができ、振動ミラー部の表面の面積を有効に利用して反射損失を低減させることができる、という利点を有する。
請求項8、請求項9又は請求項10の光走査装置によれば、第1の光学素子をフレネルレンズ、回折格子又は屈折率分布型レンズとした。これにより、レンズ部の厚さを薄くすることができ、光走査装置の全体をコンパクトに構成することができる、という利点を有する。
請求項11の光走査装置によれば、第2の光学素子はfθ特性を有するようにした。これにより、出射光束により記録媒体等に記録させるためのfθレンズを別に設置する必要がないので、装置全体を小型化することができる、という利点を有する。
請求項12の光走査装置によれば、第2の光学素子はアークサイン特性を有するようにした。これにより、出射光束により記録媒体等に記録させるためのアークサインレンズを別に設置する必要がないので、装置全体を小型化することができ、かつ、記録媒体等の投影面において投射光を略等角速度で走査することができるという利点を有する。
請求項13の光走査装置によれば、筐体は収納部と蓋部とを有し、その蓋部は透過部及び第1の光学素子と同一の材料により一体的に形成されるようにした。これにより、透過部に別体の光学素子を取り付ける工程を省くことができ、光走査装置のコストを低減化することができる、という利点を有する。
請求項14の光走査装置によれば、収納部と蓋部とは略等しい線膨張係数を有する。これにより、周囲の温度が変化したときに、蓋部と収納部の位置ズレにより入射光束に対する反射光束の反射効率が悪化したり、蓋部と収納部との接着部が破損したりすることを防止することができる、という利点を有する。
請求項15の網膜走査型画像表示装置によれば、上記の光走査装置を備えることから、軽量でコンパクトな表示装置を構成することができる、という利点を有する。
請求項16の光走査装置の製造方法によれば、揺動軸の軸方向の幅が前記軸方向に直交する方向の幅よりも狭い形状を有する振動ミラー部と、揺動軸をなす支持部と、これを保持する枠部とを有する光走査部を形成する工程と、光走査部を収納するための収納部を同一の収納部材に複数形成する工程と、振動ミラー部の形状に応じた形状に入射光束を収束させるための第1の光学素子を有する蓋部を、同一の蓋部材に複数形成する工程と、収納部材に光走査部を設置する工程と、蓋部材を収納部材に固定する工程と、収納部材及び蓋部材を個々の光走査装置に分離する工程と、を有する。これにより、光走査装置の多数個取りを可能とし、製造コストを大幅に低減させることができるといる利点を有する。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光走査部を表す斜視図である。光走査部1は、短冊状の振動ミラー部2と、この振動ミラー部2を両側から保持し、振動ミラー部2の揺動軸をなす支持部3と、この支持部3に揺動を伝達する二股形状の左右2つの梁部4と、この梁部4を固定して保持するための枠部5と、梁部4と枠部5に跨って接着固定されている4つの圧電体7a、7b、7c、7dと、振動ミラー部2に揺動空間9を形成するための固定枠部6とから構成されている。圧電体の表面と裏面には図示しない電極が形成され、更に圧電体7a〜7dが接着固定される領域の枠部5及び梁部4の表面には電極8a〜8dが形成されている。圧電体7a〜7dの裏面に形成した電極と、これに対応して形成された枠部5の上の電極8a〜8dのそれぞれとは、導電接着剤により接着固定されている。
振動ミラー部2は、ねじれ振動を行う支持部3の揺動軸方向の幅L1は、この揺動軸に対して直角方向の幅L2のよりも短い形状を有する。また、振動ミラー部2の表面は反射面を構成している。反射面としては、振動ミラー部2の材質をそのまま利用してもよいし、金属膜を形成しても良い。振動ミラー部2を短冊状の形状とすることにより、振動部の質量を低下させて、高周波の共振揺動を実現することができるようにしている。振動ミラー部2の幅L1及び幅L2は、入射光束の集光が可能な大きさにするとともに、必要な共振振動を得ることができるようにする。例えば振動ミラー部2の幅L1を300μm、幅L2を1mm〜1.5mmの形状とすることができる。
振動ミラー部2は次のようにして揺動を行う。圧電体7aの表面の電極とその下部の枠部5の上の電極8aに高周波の交番電圧を印加する。これにより、圧電体7aは梁部に上下振動を伝達する。圧電体7bの表面の電極とその下部に形成した電極8bとの間には、上記圧電体7aに印加した電圧と逆相の高周波の交番電圧を印加する。圧電体7c及び圧電体7dに対しても、圧電体7a及び圧電体7bと同様に高周波の交番電圧を印加する。これにより、支持部3に対してはねじれ振動が伝達され、振動ミラー部2は、支持部3のねじれ弾性係数と振動ミラー部2の揺動軸に対する慣性モーメント等により定まる捻じれ共振周波数に等しい周波数の交番電圧が印加されると、対応したモードの共振振動を行う。
図2は、光走査部1を筐体に収納した光走査装置20を分解した状態を示す斜視図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。光走査部1は収納部11と蓋部10とからなる筐体14により封入される。そして、蓋部10には透光性の透過部12が形成され、透過部12には第1の光学素子としてのシリンドリカルレンズ13が形成されている。光走査部1を収納部11及び蓋部10により封止することにより、外部から塵等が進入して振動ミラー部2に付着して、振動ミラー部2の表面に形成した反射面の反射効率を悪化させることを防止する。
図3は、蓋部10に形成したシリンドリカルレンズ13により振動ミラー部2に入射光を収束させる状態を示す斜視図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分は同一の符号を付した。シリンドリカルレンズ13は、入射された断面が円形の入射光束Iinを振動ミラー部2の反射面の形状に応じた形状に収束させる。即ち、揺動軸の軸方向に対するパワーはこれに直交する方向のパワーよりも大きい。また、シリンドリカルレンズ13はその光軸に対して回転非対称な形状を有している。
シリンドリカルレンズ13を通過した入射光束は、揺動軸Xに直交するY方向に対しては収束されないが、揺動軸X方向に対しては収束される。即ち、揺動軸X方向に対しては振動ミラー部2の反射面がシリンドリカルレンズ13の焦点となる。そして、振動ミラー部2が揺動軸Xを中心にして揺動を行うことにより、反射光は反射光束Iout1、Iout2、Iout3のように揺動軸Xに対して直交するY方向に走査される。振動ミラー部2の反射面から反射された光束は、シリンドリカルレンズ13を通過することにより、入射光束と同じ断面が円形の反射光束に収束される。このようにして、光走査装置20は入射光束Iinを走査して反射光束Iout1、Iout2、Iout3などの走査光に変換する。
本実施の形態においては、振動ミラー部2はシリコン半導体基板から形成している。即ち、シリコン半導体基板を用いて、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を通して、振動ミラー部2、支持部3、梁部4及び枠部5を一体的に形成している。振動ミラー部2の表面には光の反射損失を低減させるためにアルミニュウム又は銀からなる薄膜を形成している。また、枠部5を載置する固定枠部6は、揺動空間9を設けた耐熱性ガラスにより形成している。また、収納部11はセラミックスにより箱状に形成し、蓋部10は透光性の合成樹脂を使用し、シリンドリカルレンズ13を一体的に形成している。また、圧電体7としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる焼結体を使用した。
なお、本実施の形態においては枠部5、振動ミラー部2、支持部3及び梁部4をシリコン半導体基板から一体的に形成しているが、他の金属材料等を使用して振動ミラー部2、支持部3及び梁部4と、枠部5とを分離形成してもよい。また、シリコン半導体基板から一体形成する際に、枠部5が振動ミラー部2の周囲を覆うように形成する必要はなく、梁部4を固定する領域にだけ枠部5を形成するようにしてもよい。また、上記実施の形態においては枠部5と枠部5の台座となる固定枠部6とを分離して形成しているが、これを、例えば半導体基板等から一体的に形成するようにしてもよい。なお、枠部5と固定枠部6とは線膨張係数がほぼ同一の材料を使用するのが好ましい。そのために、本実施の形態においては、枠部5としてシリコン半導体基板を使用し固定枠部6として耐熱ガラスを使用している。
また、上記実施の形態においては、二股形状の梁部4としたが、梁部4を枠部5の領域に形成することができる。即ち、支持部3を枠部5の領域まで延長し、支持部3を保持する枠部5の下部の固定枠部6を刳り貫き、この刳り貫いた領域の枠部5を梁部4とすることができる。この場合圧電体7は刳り貫いた固定枠部6と刳り貫いていない固定枠部6との境界領域上の枠部5表面に接着固定する。
また、上記実施の形態においては、シリンドリカルレンズ13を配置している透過部12と蓋部10とを一体的に形成したが、蓋部10と透過部12とを別体とし、透過部12を蓋部10に設置するようにしてもよい。また、蓋部10を収納部11の上面に設置するようにしているが、蓋部10を収納部11の側面に設置するようにしてもよい。この場合は、光走査部1の振動ミラー部2に入射光束を導くために、収納部11内に導波路等の光学系を設置する必要がある。また、収納部11と蓋部10、透過部12及びシリンドリカルレンズ13の線膨張係数を略等しくすることが望ましい。線膨張係数を等しくすることにより、環境の温度変化に対してシリンドリカルレンズ13により収束された入射光束Iinが振動ミラー部2からずれることを防止することができるからである。また、上記実施の形態において、シリンドリカルレンズ13の凸部を筐体14の外側に設置したが、これに代えて、シリンドリカルレンズ13の凸部を筐体14の内側に設置することができる。凸部を内部に設置することにより、シリンドリカルレンズ13に傷がつき難くなり、また、光走査装置20をコンパクトに構成することができる。
また、上記実施の形態においては、圧電体7により振動ミラー部2に揺動を誘起させているが、これに変えて、振動ミラー部2下部の固定枠部6の凹部又は内側側面に電極を設けて、静電気力により揺動を誘起させるようにしてもよい。また、振動ミラー部2にコイル状の電極を形成し、振動ミラー部2の下部に永久磁石又は誘導磁石を設置して、磁界に基づくローレンツ力により揺動を誘起させるようにしてもよい。
図4は、振動ミラー部2の平面形状を表す平面図である。図4(a)は、振動ミラー部2の形状が6角形を有している。揺動軸X方向の短軸の幅L1に対して、揺動軸X方向に直交するY方向の長軸の幅L2のほうが広い。そして、入射光束が照射されない長軸のコーナー部をカットしている。コーナー部をカットすることにより、反射効率を低下させないで、振動ミラー部2の質量を減少させて慣性モーメントを減少させることができる。図4(b)は、振動ミラー部2が楕円形状を有している。揺動軸X方向が短軸であり、これに直交するY方向が長軸である。この場合も図4(a)と同様に、反射効率を低下させないで、質量を及び慣性モーメントを減少させることができるので、高い共振周波数を得ることができる。なお、図4(a)では振動ミラー部2を6角形状としているが、これを更に角数の多い多角形とすることができる。また、多角形の角を面取りした略多角形としてもよい。
図5は、本発明の他に実施の形態に係る光走査装置25を分解した状態を示す斜視図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。光走査装置25は、光走査部1と、これを収納する収納部11と、その上に設置される蓋部10とから構成されている。蓋部10には透過部12が形成されている。透過部12には、入射光束を収束させるための第1の光学素子としての第1のシリンドリカルレンズ13aと、振動ミラー部2により反射された光束を収束させて反射光束として出射させるための第2の光学素子としての第2のシリンドリカルレンズ13bとが形成されている。本実施の形態においては、蓋部10、透過部12及び2つのシリンドリカルレンズ13a、13bを合成樹脂により一体的に形成している。なお、この場合にも、透過部12と蓋部10とを分離して別体で構成することができる。
図6は、光学素子として2つのシリンドリカルレンズ13a、13bを構成した透過部12の断面と光路を示す説明図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。透過部12には第1のシリンドリカルレンズ13aと第2のシリンドリカルレンズ13bとが形成されている。図6において、揺動軸X方向に直交する紙面表裏方向は同一の断面形状を有する。従って、シリンドリカルレンズ13a、13bは各シリンドリカルレンズの光軸に対して回転非対称な形状を有する。入射光束Iinが第1のシリンドリカルレンズ13aを通過して振動ミラー部2の表面に形成された反射面に収束し、その反射光は第2のシリンドリカルレンズ13bを通過して反射光束Ioutに収束される。この場合、収束された入射光束Iinは短冊状の振動ミラー部2の形状に応じた形状を有する。従って、シリンドリカルレンズ13a、13bは、揺動軸の軸方向に対するパワーがこれに直交する方向に対するパワーよりも大きな光学特性を有する。
振動ミラー部2は揺動軸Xを中心に揺動を行い、反射光束Ioutは揺動軸Xに直交する方向に走査される。このように、シリンドリカルレンズ13を入射光束用と反射光束用に分離することにより、単一のシリンドリカルレンズを使用する場合に比較して反射光束の特性、例えば収束または発散度合いなどを制御することが可能となる。また、入射光束と反射光束との間の角度の設計自由度を増大させることができる。さらに、入射光束の入射角と反射光束の反射角を自由に設定できる効果を奏する。
図7は、光学素子としてフレネルレンズ15を構成した透過部12の断面と光路を示す説明図である。同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。図7において、フレネルレンズ15は揺動軸X方向における断面を表しており、揺動軸X方向と直交する紙面上下方向においては同一の断面形状を有する。従って、フレネルレンズ15は、その光軸に対して回転非対称な形状を有する。入射光束Iinはフレネルレンズ15により振動ミラー部2の表面に形成した反射面に収束し、反射光はフレネルレンズ15を通して収束されて反射光束Ioutとして出射される。収束される入射光束Iinは上記振動ミラー部2の反射面において当該反射面の形状に沿った形状に収束される。従って、フレネルレンズ13は、揺動軸の軸方向に対するパワーがこれに直交する方向に対するパワーよりも大きな光学特性を有する。
出射される反射光束Ioutは振動ミラー部2の揺動により揺動軸X方向に直交する方向に走査される。フレネルレンズ15は通常のレンズと比較して厚さを薄く形成することができるので、光走査装置20の形状をコンパクトに、且つ重量を軽量化することができる。なお、フレネルレンズ15を入射光束用と反射光束用の2つに分離して形成してもよい。また、フレネルレンズ15を透過部12の内部側に形成することができる。内部側に形成するほうが、当該レンズに対する傷等がつき難い。
図8は、光学素子として回折格子16を構成した透過部12の断面と光路を示す説明図である。同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。回折格子は、透過部12の表面に特定の間隔をおいて光を回折させる溝17が形成されている。この溝17は、揺動軸Xと直交する紙面の表裏方向において同一の断面形状を有している。入射光束Iinは、回折格子16により回折されて振動ミラー部2の表面に形成された反射面の形状に沿った形状で収束する。反射光は回折格子16を通して収束され、反射光束Ioutとして出射される。なお、回折格子16の溝17は、透過部12の内部側に形成することができる。
図9は、光学素子として屈折率分布型レンズ18を構成した透過部12と光路を示す説明図である。同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。屈折率分布型レンズは、透過部12の面内において屈折率が分布する部材により構成されている。透過部12の第1の光学素子は、入射光束Iinの光軸の位置P1を中心として周辺に向かうに従って屈折率が低下する部材により形成されている。同様に、透過部12の第2の光学素子は、反射光束Ioutの光軸の位置P2を中心として周辺に向かうに従って屈折率が低下する部材により形成されている。図9において紙面上下方向に同一の屈折率分布を有する。これにより、入射光束Iinは振動ミラー部2の揺動軸X方向において収束される。振動ミラー部2により反射された反射光は反射光束Ioutとして収束されて出射される。従って、屈折率分布型レンズ18は、振動ミラー部2の揺動軸X方向に対するパワーがこれに直交する方向に対するパワーよりも大きい。平行平板型の屈折率分布型レンズ18は凸部を有しない。そのため、光走査装置20をコンパクトに、かつ軽量に構成することができる。なお、入射光束Iinと反射光束Ioutとの間の角度差が小さい場合には、屈折率分布型レンズ18の屈折率分布を透過部12の中心位置P3から周辺領域に向かって低下するようにする。
以上、各種のレンズ等により第1の光学素子及び第2の光学素子を説明してきたが、振動ミラー部2により反射された反射光束を通過させる第2の光学素子に対して、fθ特性やアークサイン特性を付与させることができる。例えば、振動ミラー部2が揺動軸に対して等角速度で揺動する場合には、第2の光学素子にfθ特性を付与する。fθ特性を付与することにより、第2の光学素子を通過して反射光束が照射される投影面、例えばレーザープリンタ等の感光ドラム、画像表示装置の平面スクリーンなどにおいて、走査速度を略等速とすることができる。これにより、投影された画像の中心領域と周辺領域との間における画像密度のばらつき等を抑制又は除去することができる。
また、例えば振動ミラー部2が共振で揺動する場合には、第2の光学素子にアークサイン特性を付与する。アークサイン特性を付与することにより、第2の光学素子を通過して等角速度走査された反射光束が到達する投影面、例えば網膜走査型表示装置の利用者の網膜や半球スクリーン、円筒スクリーンなど湾曲した面、において、走査速度をほぼ等しくすることができる。これは、振動ミラー部2が共振振動に伴う揺動を行う場合、振動ミラー部2はその揺動角の時間発展がサイン特性の揺動を行う。そのため、振動ミラー部2の揺動角が大きくなるに従い角速度が遅くなり、投影面において投影される画像密度にばらつきが発生する。第2の光学素子にアークサイン特性を付与することにより、第2の光学素子を通過して反射光束が照射される前述したような湾曲投影面において、走査速度をほぼ等しくすることができる。これにより、前述湾曲投影面における画素密度のばらつきを抑制又は除去することができる。
図10は、上記光走査装置20又は25を用いた網膜走査型表示装置30のブロック図である。同一の部分又は同一の機能の部分には同一の符号を付した。
図10において、網膜走査型表示装置30は観察者の眼球48の網膜50上に映像を直接結像する。青色の光を発光するBレーザー37、緑色の光を発光するGレーザー38及び赤色に光を発光するRレーザー39から出射した映像光はコリメート光学系40により平行光となり、ダイクロイックミラー41により合成され、結合光学系42により集光されて光ファイバー49に導入される。光ファイバー49から出射した映像光は上記図1から図9を用いて説明した光走査装置20又は25の振動ミラー部2に照射される。振動ミラー部2は水平走査駆動回路44により駆動されて揺動し、反射光を水平走査する。水平走査された映像光はリレー光学系45を介してガルバノミラー51に照射される。ガルバノミラー51は磁界により鏡面が揺動して反射光を垂直方向に走査する。ガルバノミラー51から反射した映像光は第2のリレー光学系53を介して眼球48の網膜50の上に結像される。
映像信号供給回路33は映像信号を入力して青(B)色、緑(G)色及び赤(R)色に対応する画像信号をBレーザー駆動回路34、Gレーザー駆動回路35及びRレーザー駆動回路36のそれぞれに出力する。Bレーザー37はBレーザー駆動回路34からの駆動信号に基づいて光強度が変調されたB色のレーザー光を出射する。Gレーザー38及びRレーザー39も同様に各画像信号に基づいて光強度が変調された各色のレーザー光を出射する。
映像信号供給回路33は画像信号に同期した同期信号を水平走査駆動回路44及び垂直走査駆動回路46に出力する。水平同期信号回路31は水平走査駆動回路に水平同期信号を出力し、垂直同期信号回路32は垂直走査駆動回路46に垂直同期信号を出力する。水平走査駆動回路44は光走査装置20に駆動信号を出力して振動ミラー部2を揺動させる。この場合の揺動は振動ミラー部2の共振振動に基づく。フォトセンサー55は水平走査駆動回路44により水平走査された光の一部を受光して電気信号に変換し、BD信号検出回路47に出力する。BD信号検出回路47は水平走査のタイミングを検出して映像信号供給回路33にタイミング信号を出力し、映像信号供給回路33は入力したタイミング信号により映像信号の開始タイミングを正確に決定する。
なお、上記網膜走査型表示装置30において、垂直走査をガルバノミラー51としたが、これに上記光走査装置20を用いることができる。垂直走査の周波数は例えば60Hz程度と低くなる。従って、ミラー部の揺動は、共振振動を利用しないで電気信号による捩れ角制御により行う。
また、図10においては光走査装置20を網膜走査型表示装置30に適用した例を説明したが、第2のリレー光学系53を投射レンズ系に変更し、眼球48に変えて投影スクリーンあるいは建物の壁などとすれば、投射型の光走査型表示装置とすることができる。図10の実施の形態においてはRGBフルカラーの表示装置であるが、例えば1色又は2色のレーザー光を走査して大画面用の光走査型表示装置を得ることができる。
図11は、レーザープリンタ60に用いられる光走査装置25に上記光走査装置20又は25を用いた模式的なブロック図である。同一の部分又は同一の機能の部分には同一の符号を付した。
図11において、画像を形成するための変調信号を入力したレーザー光源61はレーザービームを光走査装置20に照射する。光走査装置20の第1の光学素子としての第1のシリンドリカルレンズ13aに入射した入射光束は筐体14内の振動ミラー部2に収束されて揺動軸Xに対して直角方向に走査される。走査された反射光は第2の光学素子としてのFθレンズ機能を有する第3のシリンドリカルレンズ13cにより収束されて反射光束として出射される。反射光束は、凹面鏡62により反射されて回転ドラム64上の感光体63に結像し、感光体63に静電潜像を形成する。回転ドラム64が回転してこの静電潜像を図示しない複写紙に転写する。なお、上記光走査装置20は、上記図1から図9において説明した光走装置を用いることができる。この場合に、第1の光学素子の出射部又は第2の光学素子にFθレンズ機能を付与することが必要となる。なお、上記Fθレンズ機能とは、感光体63上のビームスポットが略等速で移動するようにビーム速度を補正する機能をいう。
図11によりレーザープリンタに用いられる光走査装置25の実施の形態を説明したが、1次元又は2次元バーコード読み取り装置等においても光走査装置が使用され、この光走査装置に上記図1から図9により説明した光走査装置20又は25を使用することができる。
図12及び図13は、本発明の実施の形態に係る光走査装置20の製造方法を示す説明図である。図12は光走査部1を形成するまでの工程を表し、図13はこの光走査部1を筐体14に収納して光走査装置25を形成するまでの工程を表している。同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。
図12(a)は、振動ミラー部2等を囲む枠部5を9個形成した振動体シート70を表す上面図である。振動体シート70はシリコン半導体基板から成り、枠部5の内側には振動ミラー部2、振動ミラー部2を指示する支持部3、支持部3を保持し枠部5に固定される梁部4が枠部5と共に一体的に形成されている。振動体シート70は次のようにして製造することができる。シリコン半導体基板を用意し、シリコン半導体基板の表面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程によりフォトレジストのパターニングを行い、エッチングマスクを形成する。次にドライエッチング又はウエットエッチングにより不要なシリコン半導体基板を除去する。その後、残ったエッチングマスクを除去し、図示しない圧電体7を梁部4と枠部5に跨って接着固定する。なお、シリコン半導体基板の表面の圧電体が接着固定される領域には、あらかじめ金属等からなる電極を形成している。また、本実施の形態ではシリコン半導体基板を用いているが、シリコン半導体基板に代えて金属材料やガラス材料等を使用することができる。
図12(b)は、枠部5を固定して揺動空間9を構成するための固定枠部6を9個形成した固定枠シート71の上面図である。固定枠シート71は耐熱性ガラスからなる。固定枠シート71は次のようにして製造することができる。まず、耐熱性ガラス板を用意する。次に耐熱性ガラス板の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程によりフォトレジストのパターニングを行い、エッチングマスクを形成する。次に、ウエットエッチング又はドライエッチングを施して、揺動空間9を形成するのに必要な深さに耐熱性ガラスをエッチングする。その後、残ったエッチングマスクを除去する。また、固定枠シート71を、耐熱性ガラスの軟化温度に加熱して押し型により凹部を形成することができる。
図12(c)は、振動体シート70を固定枠シート71の上に配置して固定する工程を説明するための斜視図である。振動体シート70を固定枠シート71に陽極接合により固定する。次に、振動体シート70の固定枠部6の凸部中央をカッターにより切断分離して、光走査部1を製造する。なお、陽極接合に代えて接着剤等を使用して接着固定することもできる。
図13(e)は、9個の収納部11をシート状に形成した収納部シート72の斜視図である。収納部シート72はアルミナからなるセラミックにより形成している。アルミナのグリーンシートを形成し、このグリーンシートに光走査部1を収納するための凹部19を押し型等により形成し、このグリーンシートを焼結して形成することができる。なお、収納部シート72は、アルミナ等のセラミックスの他に、合成樹脂等の有機材料やガラス等の無機材料を使用することができる。
図13(f)は、9個の蓋部10をシート状に形成した蓋部シート73の斜視図である。各蓋部10には、第1の光学素子としての第1のシリンドリカルレンズ13a及び第2の光学素子としての第2のシリンドリカルレンズ13bが一体的に形成されている。蓋部10は、透光性の合成樹脂材料を使用している。シリンドリカルレンズ13a、13bは金型を用いた精密プレス成形により形成した。
図13(g)は、収納部シート72の収納部11に光走査部1を収納する状態を表す斜視図である。光走査部1は収納部11に底部を固定して収納する。次に、圧電体7に電力を供給するための配線をワイヤボンディング等により設置し、収納部11の底部又は収納部11の側壁に設けた図示しない端子に接続する。図13(h)は、全ての収納部11に光走査部1を収納し、蓋部シート73を載置する状態を示す斜視図である。蓋部シート73を収納部シート72に載置して接着する。次に、図13(d)に示すように、個々の光走査装置25に分離して、完成する。
なお、以上の説明で、9個の光走査装置の多数個取りを説明したが、更に多くの多数個取りを行うことが可能であることはいうまでもない。また、上記の実施の形態における光走査装置の製造方法においては、振動体シート70と固定枠シート71とを分離して形成し、図12(c)に示すように、陽極接合により接着固定して個々の光走査部1に分離したが、振動体シート70と固定枠シート71とに分離しないで、はじめから一体的にシリコン半導体基板に形成することができる。即ち、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程により振動ミラー部2、支持部3、梁部4、枠部5を凸状に形成し、次に異方性エッチングにより振動ミラー部2、支持部3、梁部4の下部領域のシリコン半導体を除去する。つまり揺動空間をシリコン半導体基板上に形成する。その後、枠部5の中央をダイシングにより切断し、個々の光走査部1に分離する。このようにすれば、更に製造工程を減少させ、コスト低減を図ることができる。
本発明の実施形態に係る光走査装置の光走査部の斜視図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の光走査部を収納する筐体の斜視図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の入射光束と出射光束を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の振動ミラー部の平面図である。 本発明の他の実施形態に係る光走査装置の光走査部を収納する筐体の斜視図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の窓部断面と光束を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の窓部断面と光束を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の窓部断面と光束を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の窓部断面と光束を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る網膜走査型画像表示装置を表すブロック図である。 本発明の実施形態に係るレーザープリンタの模式的なブロック図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の製造方法を表す説明図である。 本発明の実施形態に係る光走査装置の製造方法を表す説明図である。 従来公知の光偏向器を表す模式的断面図である。
符号の説明
1 光走査部
2 振動ミラー部
3 支持部
4 梁部
5 枠部
7a、7b、7c、7d 圧電体
8a、8b、8c、8d 電極
9 揺動空間
10 蓋部
11 収納部
12 透過部
13 シリンドリカルレンズ
14 筐体

Claims (16)

  1. 反射面が形成された振動ミラー部と、前記振動ミラー部の揺動軸をなす支持部と、前記支持部を保持するための枠部とを有する光走査部と、前記光走査部を収納する筐体とを備え、揺動する前記振動ミラー部により入射光束を反射して走査された反射光束を出射する光走査装置であって、
    前記振動ミラー部は、前記揺動軸の軸方向の幅が前記揺動軸に直交する方向の幅よりも狭い形状を有し、
    前記筐体は、前記入射光束及び前記反射光束を透過する透過部を備え、
    前記透過部は、前記入射光束を前記振動ミラー部の形状に応じた断面形状に収束させる第1の光学素子を有することを特徴とする光走査装置。
  2. 前記振動ミラー部は、前記揺動軸の軸方向を短軸とし、前記軸方向に直交する方向を長軸とする略多角形又は楕円形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記第1の光学素子は、前記反射光束が光走査装置より出射される際に通過するように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記透過部は、前記反射光束が光走査装置より出射される際に通過するように配置されている第2の光学素子を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光走査装置。
  5. 前記第1の光学素子は、前記揺動軸の軸方向に対するパワーが前記揺動軸に直交する方向に対するパワーよりも大きい光学特性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置。
  6. 前記第1の光学素子は、前記第1の光学素子の光軸に対して回転非対称な形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光走査装置。
  7. 前記第1の光学素子は、シリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  8. 前記第1の光学素子は、フレネルレンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  9. 前記第1の光学素子は、回折格子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  10. 前記第1の光学素子は、屈折率分布型レンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  11. 前記第2の光学素子はfθ特性を有することを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  12. 前記第2の光学素子はアークサイン特性を有することを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の光走査装置。
  13. 前記筐体は、前記光走査部を収納する収納部と前記収納部を覆うための蓋部とから構成され、前記蓋部は前記透過部及び前記第1の光学素子と同一の材料により一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の光走査装置。
  14. 前記収納部と前記蓋部は略等しい線膨張係数を有することを特徴とする請求項13に記載の光走査装置。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光走査装置を備え、画像信号に応じて変調された光束を前記光走査装置により走査して網膜上に投影表示する網膜走査型画像表示装置。
  16. 揺動軸の軸方向の幅が前記軸方向に直交する方向の幅よりも狭い形状を有する振動ミラー部と、前記振動ミラー部の揺動軸をなす支持部と、前記支持部を保持するための枠部とを有する光走査部を形成する工程と、前記光走査部を収納するための収納部を同一の収納部材に複数形成する工程と、前記振動ミラー部の形状に応じた形状に入射光束を収束させるための第1の光学素子を有する蓋部を、同一の蓋部材に複数形成する工程と、前記収納部材に前記光走査部を設置する工程と、前記蓋部材を前記収納部材に固定する工程と、前記収納部材及び前記蓋部材を個々の光走査装置に分離する工程と、から成る光走査装置の製造方法。
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