近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式による画像形成装置が多くのオフィスに導入されている。特にカラー画像をシート上に出力出来るカラー画像形成装置が数多く導入されている。
カラー画像形成装置には色々な構造のものがあり、近年では複数の感光体(像担持体)に、それぞれ、Y(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)・Bk(黒)の各色のトナー像を形成し、無端ベルトの形態をなす中間転写ベルト上に複数の感光体に形成された各色のトナー像を順次重ねてカラー画像を形成する、いわゆる、タンデム形式のカラー画像形成装置が登場してきている。このタンデム形式のカラー画像形成装置によれば画像形成の高画質化及び高生産性を実現できる。
中間転写ベルトは、それぞれの回転軸を平行に配設された複数のローラによって張架され、ローラ間をローラの回転軸に直交する方向に駆動される。
ところでベルトの駆動に伴って、中間転写ベルトがその幅方向(ラテラル方向)に振れつつ移動する、いわゆる、ベルトの蛇行現象が発生することがある。ベルトの蛇行現象は、ローラの加工寸法のバラツキがある場合や、各ローラの回転軸の平行が保たれずに傾きを発生した場合に発生する。この蛇行現象は、中間転写ベルト上に各色の画像を順次重ね転写する際に、各色の画像の位置ずれや、色ずれ等の原因となるため、極力回避されなければならない。
従来の画像形成装置にては、中間転写ベルトのローラの幅方向への移動を規制してベルトの蛇行を防止すべく、幾つかの手段が提案されている。
たとえば、中間転写ベルトを張架する複数のローラのいずれかの回転軸を中間転写ベルトの移動方向に対して直交する方向から傾けることにより、駆動する中間転写ベルトを幅方向のいずれかの片側へ常に移動させることにより、中間転写ベルトの蛇行を防止する技術が紹介されている(特許文献1)。
ローラに張架され駆動されるベルトはローラの回転軸の傾きに応じた幅方向に移動しようとするので、ローラの回転軸を傾けてベルトを幅方向のいずれかの側に偏って駆動させ、ベルトの幅方向の一部を、ベルトの幅方向の位置を固定して配設されている部材に常に接して駆動させるように構成すると蛇行を生じない。このような、ローラの回転軸を傾けて中間転写ベルトの蛇行を防止する方法は、従来の画像形成装置の製造工程にて適用されている。
従来の画像形成装置の製造工程にて適用されているローラの回転軸を傾けてベルトの蛇行を防止する方法を説明する。
図7は、従来の画像形成装置に配されるベルト駆動機構部を説明する概念図である。
ベルト駆動機構部は、ステーで連結された2つの側板A、側板Bの間に軸支される複数のローラと、これら複数のローラに張架される中間転写ベルトを有するもので、画像形成装置の複数の感光体に中間転写ベルトが当接する部位(中間転写実施領域)に配される。そして、図示矢印A方向に駆動される中間転写ベルトが中間転写実施領域を通過すると感光体に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト上に順次重ねて転写され、中間転写ベルト上にカラー画像が形成される。
複数のローラのうち、取り付け角度可変ローラは、側板A、側板Bの間に軸支される角度を変更可能であり、取り付け角度可変ローラを除く他のローラは、側板A、側板Bにそれぞれの回転軸を垂直に軸支される。したがって取り付け角度可変ローラを除く他のローラの回転軸はそれぞれ平行である。
側板A、側板Bの間に軸支される複数のローラは、中間転写ベルト22を張架すると共に、その一つにはベルト駆動モータにより回転駆動力が付与され、張架する中間転写ベルトを図示矢印A方向に駆動させる。
中間転写ベルトが駆動される方向(矢印A方向)は、側板A、側板Bにそれぞれの回転軸を平行に配設された複数のローラの回転軸に直交する方向となる。
取り付け軸角度可変ローラは、軸受Aおよび軸受けBを介して側板A、側板Bに軸支されるが、側板Aへの軸受けAの固定位置を図示矢印H方向に移動することが可能に構成されている。一方、側板Bへの軸受けBの取り付け位置は固定であり、軸受けAの側板Aへの固定位置を移動することにより、取り付け軸角度可変ローラを側板A、側板B間に回転軸の角度を可変に取り付けることができる。
取り付け軸角度可変ローラは、中間転写ベルトを張架すると共に、その回転軸の傾斜により、中間転写ベルトの駆動に際し、中間転写ベルトを、その駆動方向(矢印A方向)と直交する方向(幅方向)に偏移させる。
中間転写ベルトは内周面の幅方向の両端部に帯状の突起部を有し、中間転写ベルトが幅方向に偏って駆動されたときでも、両端の突起部のいずれかが各ローラの側面に当接して幅方向の移動は規制されるので、矢印A方向に駆動される中間転写ベルトは、各ローラから離脱することなく、かつ、幅方向に揺動することなく中間転写実施領域を通過することができる。
このような構成により、中間転写ベルトを張架、駆動する複数のローラの加工寸法や取り付け精度の変動を吸収して中間転写ベルトの駆動に際し蛇行が発生しない画像形成装置を提供できる。
特開平5−319611号公報
図1は、本発明に係るタンデム形式のカラー画像形成装置の模式図である。図1に示すカラー画像形成装置1は、複数の感光体に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト上に、順次重ねて転写してカラー画像を形成する。中間転写ベルトに形成されたカラー画像は記録紙等の転写材に転写され、定着を経てユーザに供される。
20はベルト駆動機構部であり、無端状の中間転写ベルト22と、中間転写ベルト22を張架する複数のベルト張架ローラを有する。
ベルト張架ローラにはベルト駆動モータ(図示せず)により回転駆動力が付与され、張架した中間転写ベルト22を張架するとともに中間転写ベルト22を駆動する。
ベルト駆動機構部20の図示上方には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像を形成するための4組の画像形成部10Y、10M、10C及び10Kが設置されている。画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、各々、同じ構成であり、図示左から右方向にこの順で直線状に配列されている。イエロー色用の画像形成部10Yを例にとって構成を説明すると、画像形成部10Yは反時計方向に回転する感光体(像担持体)11、スコロトロン帯電器12、露光装置13、現像器14及びクリーニング部15を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kの感光体11はベルト駆動機構部20の中間転写ベルト22に圧接するように配設される。
16Y、16M、16C、16Kは転写手段として機能する一次転写ローラであり、中間転写ベルト22を挟んで、各画像形成部10Y、10M、10C及び10Kの感光体11と対向する位置に配置される。
ベルト駆動機構部20における、一次転写ローラ16が、中間転写ベルト22を挟んで、各画像形成部10Y、10M、10C及び10Kの感光体11と対向し配置されている部位を、一次転写部と称することにする。一次転写部にて、各画像形成部10Y、10M、10C及び10Kの感光体11上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト22上に転写される。
次にカラー画像を形成するカラー画像形成方法を説明する。
各画像形成部の感光体11は、メインモータ(図示せず)により回転駆動され、スコロトロン帯電器12の放電により負極性(例えば−800V)に帯電され、露光装置13により感光体11上に画像情報に応じた光書込がなされて静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像器14を通過すると、現像器内で負極性に帯電されたトナーが負極性現像バイアスの印加により潜像画像の部分に付着し、感光体11上にトナー像が形成される。
感光体11上に形成されたトナー像は、一次転写部にて中間転写ベルト22へ転写される。画像形成部10Y、10M、10C及び10Kにて感光体11上に形成された各色のトナー像が駆動される中間転写ベルト22に順次重畳して転写されることにより、中間転写ベルト22上にカラー画像が形成される。
Sは転写材であり、転写材搬送手段により、中間転写ベルト22及び転写手段として機能する転写ローラ40により形成された転写ニップへ送り込まれる。転写ローラ40は図示しない転写モータにより回転駆動され、転写材Sを中間転写ベルト22側へ押圧する。そして、転写ローラ40にトナーと逆極性(例えば+500V)のバイアスを印加することにより、中間転写ベルト22上のカラー画像が転写材Sへ転写される。カラー画像が転写された転写材Sは定着装置70にて定着され機外に排出される。
図2は、本実施の形態におけるカラー画像形成装置の制御系のブロック図であり、代表的な制御構成を示している。
CPU101はカラー画像形成装置1全体の動作を制御するものであり、システムバス112を介して、情報記憶手段であるROM102やRAM103等に接続されている。このCPU101は、ROM102に格納されている各種制御プログラムを読み出してRAM103に展開し、各部の動作を制御する。また、CPU101は、RAM103に展開したプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM103に格納するとともに操作表示部105に表示させる。そして、RAM103に格納した処理結果を所定の保存先に保存させる。
ROM102は、プログラムやデータ等を予め記憶しており、この記録媒体は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。
RAM103は、CPU101によって実行される各種制御プログラムによって処理されたデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
HDD104は、画像読取部106で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする機能を有する。磁性体を塗布または蒸着した金属のディスクを一定の間隔で何枚も重ね合わせた構造になっており、これをモータで高速に回転させて磁気ヘッドによりデータを読み書きする。
操作表示部105は各種の設定を可能にするものである。操作表示部105は例えばタッチパネル形式となっており、ユーザーが操作表示部105を通じて入力することによりカラー印刷やモノクロ印刷に関する条件が設定される。また、ネットワーク設定の情報等、各種の情報が操作表示部105に表示される。
画像読取部106は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。カラー原稿を読み取る場合は一画素当りRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。
画像読取部106によって生成された画像データや、接続されたPCから送信される画像データは画像処理部107によって画像処理される。
カラー画像形成装置1でカラー印刷を実行する場合は、画像読取部106等によって取得、生成されたR(Red)・G(Green)・B(Blue)の画像データは画像処理部107にて、R・G・BデータをY(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)・Bk(黒)の画像データに色変換される。そして、色変換された画像データに対して、階調再現特性の補正や、細線を強調するためのエッジ処理等の画像処理が行われる。
画像形成部108は、画像処理部107によって画像処理された画像データを受け取り、画像形成部10Y、10M、10C及び10Kの感光体11上に各色のトナー像に形成し、中間転写ベルト22を経て転写材Sに画像を転写、形成する。
また、CPU101はベルト駆動機構部20にて中間転写ベルト22を駆動するベルト駆動モータ、転写ローラ40を駆動する転写モータ、感光体11を駆動するメインモータの回転駆動の動作を制御する。
前述のように、中間転写ベルト22を駆動するベルト駆動機構部20を構成する複数のローラの加工寸法や取り付けの精度の変動により中間転写ベルト22を駆動方向に直交する方向(幅方向)に移動させる力が働き、中間転写ベルト22の蛇行を発生させることがある。
中間転写ベルト22の蛇行は、一次転写部における中間転写ベルト22と画像形成部10Y、10M、10C及び10Kの感光体11との相対位置の変動を招き、中間転写ベルト22に形成されるカラー画像のズレ、色ズレ等の画質上の問題を発生させる原因となる。
本発明の実施の形態の画像形成装置にては、ベルト駆動機構部20を構成する複数のローラのうちの一次転写部の直上流位置に配置されたローラの回転軸を、ベルトの移動方向に直交する方向から傾斜させて配することを可能に構成される。一次転写部の直上流位置に配置された、回転軸をベルトの移動方向に直交する方向から傾斜させることができるローラを、以下、取り付け軸角度可変ローラと称することにする。
取り付け軸角度可変ローラの傾斜は変更可能であり、中間転写ベルト22が、取り付け軸角度可変ローラを巻回し離脱する過程で中間転写ベルト22の幅方向のいずれか一方側に常に偏るように取り付け軸角度可変ローラの回転軸の傾斜量を調整することにより、中間転写ベルト22が一次転写部を通過する際の蛇行を発生させないように構成されている。
図3は、ベルト駆動機構部20を説明する模式図である。本実施の形態のベルト駆動機構部20は、ステーで連結された2つの側板21A、側板21Bの間に、ベルト張架ローラ23A、23C、23D、24、25と、取り付け軸角度可変ローラ24および補助ローラ25と、一次転写電極として機能する一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kとこれら複数のローラに張架される中間転写ベルト22を有する。
中間転写ベルト22はその両端部に帯状の突起部22RAおよび22RBとを有し、複数のローラに張架されるときは突起部22RAと22RBの間に各ローラの胴部が当接するように構成される。したがって、中間転写ベルト22が幅方向に偏って駆動されたときでも、両端の突起部22RAと22RBが各ローラの側面に当接して、幅方向の移動は規制されるので中間転写ベルト22は各ローラから離脱することはない。
ベルト張架ローラ23A、23C、23D、24、25と、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kは、平行に配された2つの側板21A、側板21Bにそれぞれの回転軸を垂直に軸支される。したがって、ベルト張架ローラ23A、23C、23D、24、25と、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kの回転軸はそれぞれ平行である。
ベルト張架ローラ23Aは、中間転写ベルト22を張架すると共に、ベルト駆動モータ(図示せず)により回転駆動力が付与され、張架する中間転写ベルト22を駆動する。
中間転写ベルト22の駆動は、ベルト張架ローラ23Aの回転軸および、側板A、側板Bにそれぞれの回転軸を平行に配設された複数のローラの回転軸に直交する方向になされ、図示矢印A方向となる。
取り付け軸角度可変ローラ24とベルト張架ローラ23Aとは、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kが配置されている一次転写部を挟み、一次転写部の中間転写ベルト22の駆動方向の直上流側位置に取り付け軸角度可変ローラ24が、一次転写部の直下流側位置にベルト張架ローラ23Aが、配設される。
取り付け軸角度可変ローラ24は、ベルト張架ローラ23A、23C、23D、24、25、および、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kと同様に軸受けを介して側板21A、側板21B間に軸支される。そして、取り付け軸角度可変ローラ24は、側板21A、側板21Bに、軸受け30Aおよび軸受け30Bを介して軸支されるにあたり、側板21Bに固定される側の軸受け30Bの側板21Bへの固定位置は一定位置であり、側板21Aに固定される側の軸受け30Aの側板21Aへの固定位置は移動することが可能に構成されている。
取り付け軸角度可変ローラ24を軸支する軸受け30Aの側板21Aへの固定位置を移動することにより、取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を側板21A、側板21B間に回転軸の角度を可変に取り付けることができ、取り付け軸角度可変ローラ24回転軸を傾斜させて側板21A、21B間に取り付けることができる。
取り付け軸角度可変ローラ24は、中間転写ベルト22を張架すると共に、その回転軸の傾斜により、中間転写ベルト22の駆動に際し、中間転写ベルト22を、その駆動方向(矢印A方向)と直交する方向(幅方向)に偏移させる。
補助ローラ25は、側板21A、側板21Bには直接取り付けられず、側板21A、側板21Bの間に取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を揺動中心にして揺動可能に配される補助ローラ支持部材26に配される。補助ローラ支持部材26による補助ローラ25の軸支は、補助ローラ25の回転軸が取り付け軸角度可変ローラ24に平行になるようになされる。
27は引っ張りバネであり、補助ローラ支持部材26を矢印S方向、すなわち、補助ローラ25が中間転写ベルト22を内周側から外周側に向かって押圧する方向に付勢する。
図4は、補助ローラ支持部材26を説明する図である。図4(a)は補助ローラ支持部材26の斜視図であり、図4(b)は補助ローラ支持部材26に取り付け軸角度可変ローラ24および補助ローラ25が組み込まれた状態を示す図である。
図4(a)に示されるように、補助ローラ支持部材26は、ステー部26Sと、ステー部26Sの両脇のローラ支持部26A、26Bとからなる。ローラ支持部26A、26Bはステー部26Sに垂直に形成され、互いに平行をなす。ローラ支持部26Aには軸受け取り付け穴26HA1、26HA2が配され、ローラ支持部26Bには軸受け取り付け穴26HB1、26HB2が配されている。軸受け取り付け穴26HA1、26HB1には、軸受けを介して取り付け軸角度可変ローラ24が取り付けられる。また軸受け取り付け穴26HA2、26HB2には軸受けを介して補助ローラ25が取り付けられる。軸受け取り付け穴26HA1、26HA2と軸受け取り付け穴26HB1、26HB2とは、軸受け取り付け穴26HA1、26HB1の中心を結ぶ直線L1と、軸受け取り付け穴26HA2、26HB2の中心を結ぶ直線L2とは平行になるように構成される。したがって、取り付け穴26HA2および26HB2に軸支される補助ローラ25と、取り付け穴26HA1、26HB2に軸支される取り付け軸角度可変ローラ24とは、それぞれの軸が平行になる。
またステー部26Sの折り曲げ部に設けられた26HSは、後述する付勢バネ27の一端を係止する開口である。
図4(b)は補助ローラ支持部材26に取り付け軸角度可変ローラ24および補助ローラ25が組み込まれた状態を示す図である。図4(b)に示されるように、取り付け軸角度可変ローラ24は、取り付け軸角度可変ローラ24の中心軸24Sの一方の軸端24SAが補助ローラ支持部材26のローラ支持部26Aの軸受け取り付け穴26HA1に固定された軸受け28Aに軸支され、もう一方の軸端24SBが補助ローラ支持部材26のローラ支持部26Bに設けた軸受け取り付け穴26HB1に固定された軸受け28B(非図示)に軸支される。
また、取り付け軸角度可変ローラ24の中心軸24Sは、取り付け軸角度可変ローラ24が補助ローラ支持部材26に取り付けられたとき、軸端24SAおよび軸端24SBが軸受け28Aおよび軸受け28Bより突出するように構成される。軸受け28Aおよび軸受け28Bより突出した軸端24SAおよび軸端24SBが、それぞれ、側板21A、側板21Bに軸支される。
補助ローラ25は、補助ローラ25の軸25Sの一方の軸端25S1が補助ローラ支持部材26のローラ支持部26Aに設けた軸受け取り付け穴26HA2に固定された軸受け29Aに軸支され、もう一方の軸端25S2(非図示)が補助ローラ支持部材26のローラ支持部26Bに設けた軸受け取り付け穴26HB2に固定された軸受け29B(非図示)に軸支される。
前述のように、軸受け取り付け穴26HA1、26HA2および軸受け取り付け穴26HB1、26HB2は、軸受け取り付け穴26HA1、26HB1の中心を結ぶ直線L1と、軸受け取り付け穴26HA2、26HB2の中心を結ぶ直線L2とは平行になるように構成されているので、補助ローラ25と取り付け軸角度可変ローラ24とはそれぞれの軸を平行に補助ローラ支持部材26に軸支される。
図5は、補助ローラ支持部材26のベルト駆動機構部20への組み込みを説明する図である。補助ローラ支持部材26は、補助ローラ支持部材26に組み込まれた取り付け軸角度可変ローラ24の軸端24SAおよび軸端24SBが、それぞれ、側板21A、側板21Bに軸支されることにより側板21A、側板21Bの間に組み込まれる。取り付け軸角度可変ローラ24の軸端24SAは、軸受け30Aを介して、また、軸端24SBは軸受け30Bを介して、それぞれ側板21A、側板21Bに軸支される。したがって、補助ローラ支持部材26は取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を揺動中心にして揺動可能に側板21A、側板21Bの間に配される。
取り付け軸角度可変ローラ24が、軸受け30Aおよび軸受け30Bを介して、それぞれ側板21A、側板21Bに軸支されるにあたり、軸受け30Aの側板21Aへの取り付け位置は移動可能になっている。一方、軸受け30Bの側板21Bへの取り付け位置は固定であり、軸受け30Aの取り付け位置を移動することにより取り付け軸角度可変ローラ24は側板21A、側板21B間に軸を傾斜させて取り付けることができる。
付勢バネ27は引っ張りバネであり、一端を補助ローラ支持部材26の穴26HSに、他端を側板21A、21Bを連結するステーに係止して配される。付勢バネ27の付勢力により、取り付け軸角度可変ローラの回転軸を揺動中心にして揺動可能に配された補助ローラ支持部材26は、図示矢印S方向に回動するように付勢され、補助ローラ支持部材26に軸支される補助ローラ25は、中間転写ベルト22を張架したとき、中間転写ベルト22を内周側から外周側に向かって押圧する。
このような構成により、補助ローラ支持部材26が取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を傾斜させて側板21A、側板21B間に取り付けられた場合にても、補助ローラ支持部材26に軸支された補助ローラ25は、取り付け軸角度可変ローラ24との平行状態を常に維持しつつ、中間転写ベルト22を内周側から外周側に向かって押圧し、中間転写ベルト22の動きに変動に追随して中間転写ベルト22を張架する。
前述のように、中間転写ベルト22を張架、駆動するローラの回転軸をベルトの移動方向に対して直交する方向から傾斜させると、駆動される中間転写ベルト22は、ローラの傾斜に応じた方向に偏移するように駆動される。本発明の実施の形態の画像形成装置にては、ベルト駆動機構部20を組み立てて、中間転写ベルト22を駆動させて、中間転写ベルト22が常に幅方向の一方側に偏るように駆動されるように取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸の側板21Aへの取り付け位置を調整し、固定する。このようにして、ベルト駆動機構部20を構成する複数のローラの加工寸法や取り付けの精度の変動、誤差を吸収してベルトの蛇行を防止することができる。
図6は、本実施の形態にて適用された取り付け軸角度可変ローラ24の側板21Aへの取り付け位置を変更可能とする構成の一例を説明する図である。図6(a)は、側板21Aに配した取り付け軸角度可変ローラ24の軸受30Aを取り付けた状態を説明する図、図6(b)は、側板21Aに配した取り付け穴に挿入した取り付け軸角度可変ローラ24の軸受30Aの位置を移動させ、かつ、取り付け軸角度可変ローラ24の軸受30Aを側板21Aに固定させる部材である軸受け位置調整板35を説明する図、図6(c)は、軸受け位置調整板35が好適な位置に固定された状態を示す図である。
図6(a)に示すように、側板21Aには、取り付け長穴21AHが配され、取り付け軸角度可変ローラ24を軸支する軸受け30Aが取り付け長穴21AH挿入される。中間転写ベルト22は、取り付け軸角度可変ローラ24、その他、図示しないローラにより張架される。
取り付け長穴21AHの幅方向の寸法は軸受け30Aの外径と同寸法であり、長手方向の寸法は軸受け30Aの外径よりも長く構成され、長手方向が、取り付け軸角度可変ローラ24とベルト駆動ローラ23A間に張架される中間ベルト22に平行に配置される。軸受け30Aは、取り付け長穴21AHに挿入されたとき、取り付け長穴21AHの長手方向に移動可能である。また21ASは側板21Aに配されたねじ穴であり、取り付け長穴21AHの図示右方に配された36は、側板21Aに固定された突き当てピンである。
図6(b)に示す35は、軸受け位置調整板である。軸受け位置調整板35は、取り付け穴35H1を有し、取り付け穴35H1にて軸受け30Aに固定される。また、軸受け位置調整板35は、取り付け穴35H2を有し、取り付け穴35H2を通して側板21Aに配されたねじ穴21ASに固定ねじ37を螺入することにより側板21Aに固定される。軸受け30Aは、軸受け位置調整板35を側板21Aに固定することにより、側板21Aに固定される。
拡大図に示すように、軸受け位置調整板35の外形の一部の35Cは、取り付け穴35H1の中心からの寸法Lが連続的に変化するカム形状部である。図に示すLaは取り付け穴35H1の中心からカム形状部35Cの起点位置である35Ca部までの寸法であり、Lbは取り付け穴35H1の中心からカム形状部35Cの終点点位置である35Cb部までの寸法である。実施の形態における軸受け位置調整板35にては、LbがLaより大きくなるように構成されている。
軸受け位置調整板35を軸受け30Aに固定し、カム形状部35Cを突き当てピン36に当接させつつ軸受け位置調整板35を軸受け30Aの中心を回転中心として回転させたとき、軸受け位置調整板35の、突き当てピン36に当接するカム形状部35Cから軸受け30Aの中心までの寸法が、回転角に応じて連続的に変化するので、軸受け位置調整板35を回転することにより、軸受け30Aを取り付け長穴21AHの長手方向に沿って移動させることができる。
本実施の形態の画像形成装置にては、軸受け30Aに固定した軸受け位置調整板35を、カム形状部35Cを突き当てピン36に当接させつつ軸受け30Aの中心を回転中心として回転させて、中間転写ベルト22が蛇行せずに駆動される好適な軸受け30Aの取り付け長穴21AHの位置、すなわち取り付け軸角度可変ローラ24の取り付け位置を見出し、その位置で軸受け位置調整板35を、固定ねじ37を側板21Aのねじ穴21ASに螺入して側板21Aに固定する。図6(c)は、軸受け位置調整板35が、軸受け30Aの取り付け長穴21AHの好適な位置に固定された状態を示す図である。
本実施の形態の画像形成装置にては、以下の手順で取り付け軸角度可変ローラ24の取り付け位置の調整を行い、取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸の角度を変更する。
先ず、側板21A、B、取り付け軸角度可変ローラ24を含む複数のローラ、中間転写ベルト22および関連部材を組み合わせてベルト駆動機構部20を組み立てる。
予め、補助ローラ支持部材26に、取り付け軸角度可変ローラ24に、補助ローラ25とを、それぞれの軸受けを介して組み込んでおき、補助ローラ支持部材26に組み込まれた取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を側板21A、Bにて軸支させる。
取り付け軸角度可変ローラ24の軸端24SBは側板21Bの図示しない取り付け穴に固定された軸受け30Bに挿入され、回転軸の軸端24SAは、側板21Aの取り付け長穴21AHに挿入された軸受け30Aに挿入される。そして、付勢バネ27を、その一端を補助ローラ支持部材26に設けられた開口26HSに係止し他端を側板A、側板Bを連結するステーに係止する。
次に、側板21Aの取り付け長穴21AHに挿入された軸受け30Aに、軸受け位置調整板35を固定する。このとき、軸受け位置調整板35の回転方向位置は、カム形状部35Cが側板21Aに配した突き当てピン36に当接させる。各ローラー間に張架された中間転写ベルト22のベルトの張力にて、取り付け軸角度可変ローラ24は、その軸受け30Aが、取り付け長穴の図示右側に押圧されるので、軸受け位置調整板35のカム形状部35Cは側板21Aに配した突き当てピン36に当接する。
次いで、中間転写ベルト22を駆動させつつ、軸受け位置調整板35を回転させて軸受け30Aの側板21Aに対する位置を変更し、取り付け軸角度可変ローラ24を巻回する中間転写ベルト22が常に側板21B側に偏りながら駆動される軸受け位置調整板35の取り付け長穴21AH内の位置、すなわち、軸受け30Aの側板21A、21Bへの取り付け位置を見出し、その位置で軸受け位置調整板35を側板21Aに固定する。軸受け位置調整板35の側板21Aへの固定は、取り付け穴35H2を通して側板21Aに配されたねじ穴21ASに固定ねじ37を螺入することによりなされる。
取り付け軸角度可変ローラ24を巻回する中間転写ベルト22が、常に側板21Aあるいは側板21Bのいずれか一方側に偏りながら駆動される位置で、軸受け位置調整板35を側板21Aに固定すると、中間転写ベルト22は蛇行せずに第一転写部を通過させることができる。なお、中間転写ベルト22が幅方向に偏って駆動されたときでも、中間転写ベルト22の幅方向両端の突起部22RAと22RBが各ローラの側面に当接して幅方向の移動は規制されるので中間転写ベルト22は各ローラから離脱することはない。
以上述べたように、中間転写ベルト22が、常に側板21Aあるいは側板21Bのいずれか一方側に偏りながら駆動されるように取り付け軸角度可変ローラ24を傾けて側板21A、21B間に取り付けることにより、中間転写ベルト22は蛇行せずに第一転写部を通過させることができる。
しかし、取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を傾けると、取り付け軸角度可変ローラ24の中間転写ベルト22の直上流側および直下流側に、側板21A、側板21B間に垂直に配設されたローラと取り付け軸角度可変ローラ24とが平行ではなくなるので、軸角度可変ローラ24を巻回して駆動される中間転写ベルト22にねじれを生じる。中間転写ベルト22のねじれは取り付け軸角度可変ローラ24の前後で中間転写ベルト22の表面の変動を惹起し、この変動によりベルト一次転写時の画像不良(カラー色合わせズレ)を発生させることがある。
補助ローラ25を、取り付け軸角度可変ローラ24の直上流位置に、その回転軸が取り付け軸角度可変ローラ24と平行、かつ、取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を揺動中心にして揺動可能で、中間転写ベルト22を中間転写ベルト22の内周側から外周側に押圧する方向の付勢力を付与して配設することにより、取り付け軸角度可変ローラ24の回転軸を傾けることにより発生する中間転写ベルト22のねじれを防止することができる。
したがって、本発明により、中間転写ベルト22の蛇行およびねじれの発生がなく、良好な一次転写を行う画像形成装置を提供することができる。