JP2008196903A - 水素量センサー - Google Patents

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【課題】 水素貯蔵合金に吸蔵される水素量を安定的に測定することができるような水素センサーを提供する。
【解決手段】 この水素量センサーは、水素貯蔵容器10の内部に配置された水素貯蔵合金18からなる検出電極30と、検出電極30と対向して配置された基準電極28と、検出電極30および基準電極28の間に配置された電解質体26とを備えている。この電解質体26は、無水状態で電解質の機能を有するものである。これにより、水素の吸蔵の過程で水素量センサーが真空雰囲気に曝されても、電解質体が劣化することがなく、良好なイオン伝導性を維持して、安定したセンシング機能を発揮することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素貯蔵合金の水素貯蔵量を検出するための水素貯蔵合金用センサーに関する。
今後の水素エネルギー利用社会において、水素爆発の危険性を払拭し安全性が高く、利便性に優れた水素の貯蔵方式として水素貯蔵合金(水素吸蔵合金ともいう)の開発・利用が望まれている。水素貯蔵合金は、気体で貯蔵する場合と比較して充填密度が高く、急激な水素漏れによる事故の発生も防止できるので、燃料電池自動車等の燃料容器として有望である。水素貯蔵合金を水素燃料容器として用いる場合、水素残存量を検出する手段が必要である。
水素貯蔵装置における水素残存量を簡便な手法により直接的に測定するために、発明者等は、水素貯蔵容器の内部に配置された水素貯蔵合金を検出電極とし、この検出電極と対向する基準電極と、検出電極および基準電極の間に電解質を配置し、検出電極、基準電極および電解質によって、水素貯蔵合金中の水素濃度を起電力値として計測するようにした水素センサーを提案した。
このような水素センサーに用いる電解質としては、水素貯蔵合金からの水素の放出温度である200℃程度までの高温度に耐えられることが必要である。当初、発明者等は、電解質としては、水素センサーとして一般的に採用される固体電解質であるリンタングステン酸やリンモリブデン酸を採用した。これらの電解質は、大気中での水素センサーとして実用性があり、また上記の温度的条件を充足すると考えられたからである。
しかしながら、発明者等の試験では、これらの固体電解質を水素貯蔵合金用の水素センサーとして用いると、安定した測定値を継続的に得ることができないことが分かった。これは、水素貯蔵合金が水素を吸蔵する際に真空雰囲気になることから、それが原因ではないかと推測された。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、水素貯蔵合金に吸蔵される水素量を安定的に測定することができるような水素センサーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の水素量センサーは、水素貯蔵容器の内部に配置された水素貯蔵合金からなる検出電極と、前記検出電極と対向して配置された基準電極と、前記検出電極および基準電極の間に配置された電解質体とを備え、前記電解質体は、無水状態で電解質の機能を有するものであることを特徴とする。
請求項1に記載の発明においては、水素の吸蔵の過程で水素量センサーが真空雰囲気に曝されても、電解質体が劣化することがなく、良好なイオン伝導性を維持して、安定したセンシング機能を発揮することができる。なお、「無水状態で電解質の機能を有する」とは、結晶水や吸着水等の水の解離によってイオン伝導性を得ているものではない、という意味である。
請求項2に記載の水素量センサーは、請求項1に記載の発明において、前記電解質体は、pHが4〜7の範囲にあり、沸点が150℃以上であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明においては、電解質体が水素貯蔵合金やその他の金属を腐食することがなく、水素放出温度範囲において気化して消失することもない。
請求項3に記載の水素量センサーは、請求項2に記載の発明において、前記電解質体は、リン酸であることを特徴とする。リン酸は、上記のような条件を満たす最も好適な電解質体である。すなわち、リン酸(2H3PO4・H2O)は30℃で液体、150℃で無水物となる。無水リン酸の沸点は261℃である。このことから、使用目的である100〜200℃において液状で安定した物質であり、金属に対する腐食性も小さい。
また、請求項4に記載の水素量センサーは、水素貯蔵容器の内部に配置された水素貯蔵合金からなる検出電極と、前記検出電極と対向して配置された基準電極と、前記検出電極および基準電極の間に配置された電解質体とを備え、前記電解質体は、液状電解質を多孔質体に含浸させることにより構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明においては、検出電極中に貯蔵された水素濃度により決まる水素の化学ポテンシャルの値と基準電極における水素の化学ポテンシャルの差が検出電極と基準電極間の起電力値として計測される。電解質体は、液状電解質を多孔質体に含浸させることにより構成されており、良好なイオン伝導性を有して、応答性良く起電力値を発生させるとともに、固体状であって取り扱い性に優れている。
なお、液状電解質とは、水素貯蔵合金の水素放出温度範囲の少なくとも一部において、その物質単独で液状である物質を言う。もちろん、その温度範囲で安定であり、貯蔵合金や配線等の金属に対して低腐食性であることが望ましい。
請求項1ないし2に記載の発明によれば、水素貯蔵合金に吸蔵される水素量を安定的に測定することができるような水素センサーを提供することができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
本発明の水素量センサーを有する水素貯蔵装置の実施の形態を、図1(a)に示す。この水素貯蔵装置1は、筒状の密閉容器10と、この容器10の一端側の側壁に開口する開閉弁12付きのポート14と、容器10内の空間16に収容された水素貯蔵合金18と、図示しない温度調整機構とを備えている。水素貯蔵合金18としては、この実施の形態では、例えば、TiFeNiZi系合金(水素放出温度120〜160℃程度)を用いる。水素貯蔵合金18とポート14側の面の端部にはメッシュ状の押え板19が設けられ、この押え板19と容器のポート側内壁の間にはバネ部材20が設けられている。これにより、合金が所定の密度を維持するとともに、所定の圧力で他端側の内面に押しつけられるようになっている。
容器10の他方の側壁には貫通口が形成されており、この貫通口には密閉筒状のセンサホルダ22がねじで結合されている。センサホルダ22と容器10の間にはメタルシール24が配置されている。センサホルダ22の内部には、容器10内の水素貯蔵合金18に接するように配置された電解質体26と、この電解質体26の外端に接する基準電極28が設けられている。これにより、水素貯蔵合金18自体からなる検出電極30と、容器10外部の基準電極28と、これらに挟まれた電解質体26とによってセンサー部32が構成されている。基準電極28の材料としては、水素貯蔵合金の水素放出温度領域(数百℃)で酸化や腐食等が生じない安定な電極材料であればよい。もちろん、チタンやチタン合金などの水素ガスに対して不活性な材料であってもよい。
この実施の形態では、電解質体26には、温度制御用のマイクロヒータ42aと温度センサー42bを有する温度調整装置42が組み込まれている。これらは図示しない制御装置に接続されており、電解質体26を、水素貯蔵合金18の水素放出温度と同じ温度に制御する。これにより、貯蔵装置の温度が室温近傍であっても水素量測定ができる。
センサホルダ22は導電性を有し、検出電極30(水素貯蔵合金18)からの引き出し端子を兼ねており、図示しない電圧計への配線34が接続されている。センサホルダ22の内面には、これと基準電極28および電解質体26の間を絶縁する絶縁管(絶縁体)36が配置されている。基準電極28からの引き出し線38は、センサホルダ22の天板23から外部に導出されている。基準電極28板とセンサホルダ22の天板23の間の空間には、基準電極28および電解質体26を容器10側に押圧し、電解質体26と基準電極28および検出電極30との間の電気的な接触を維持するための圧縮バネ40が設けられている。
この実施の形態では、電解質体26には、温度制御用のマイクロヒータ42aと温度センサー42bを有する温度調整装置42が組み込まれている。これらは図示しない制御装置に接続されており、電解質体26を、水素貯蔵合金18の水素放出温度と同じ温度に制御する。これにより、貯蔵装置の温度が室温近傍であっても水素量測定ができる。
電解質体26は、図1(b)に示すように、液状の電解質を多孔質体44に含浸させて構成されている。液状の電解質は、この実施の形態では、リン酸を用いた。リン酸は反応性の低い酸であり、30℃で2H3PO4・H2Oの結晶構造を持ち、150℃で無水物、200℃でピロリン酸、300℃以上でメタリン酸となる。その水溶液は燃料電池用の電解質としても用いられるので、水素センサー用としても充分機能すると考えられた。
液状のリン酸を検出電極30と接触させるために、この実施の形態ではリン酸を気孔率37%のアルミナからなる多孔質体44に含浸させた。含浸の方法は、濃度
42.5%molのリン酸水溶液中にアルミナを浸漬させた後、大気中にて200℃で30分加熱し、冷却した。これにより、多孔質内部の過剰なリン酸を除去し、全重量の36.5%のリン酸を担持させることができた。なお、他の含浸の方法として、例えば、真空含浸法を用いてもよい。このようにして、液状の電解質であるリン酸を多孔質体44に含浸させることにより、液状の電解質を取り扱いが容易な固体形状とすることができた。
上記のような構成の水素量センサーによって水素燃料の残存量を検出する原理は以下の通りである。水素貯蔵合金18を検出電極30とし、電解質体26を挟み基準電極28を配置すると、電気化学セル
水素貯蔵合金(検出電極)[I]|電解質|基準電極[II]
が形成される。この電気化学セルの両電極間[I]、[II]の間に生じる起電力(EMF)の値は両電極間の水素の化学ポテンシャルと次の関係がある。
Figure 2008196903
ここで、Fはファラデー定数、EはEMF値、
Figure 2008196903
はそれぞれ金属、水素貯蔵合金18における原子状の水素の化学ポテンシャルである。端子[I]、[II]は同種の銅線のため電子の電気化学ポテンシャルは
Figure 2008196903
となる。静電ポテンシャルと起電力Eとの関係
Figure 2008196903
を用いた。
水素の化学ポテンシャルは水素貯蔵合金中の水素の自由エネルギーと次の関係がある。
Figure 2008196903
ここで、ΔGは水素化に伴う合金系全体のギブスの自由エネルギーの変化量、nは水素貯蔵合金中の水素濃度である。水素貯蔵合金中の水素の状態が2相の状態(例えば、水素の固溶相と水素化物相の2相)にある場合、2相領域の各相でのギブスの自由エネルギーは異なるが、水素の化学ポテンシャルは等しくなる。このポテンシャルに差があれば、化学ポテンシャルの低い相に粒子の移動が生じるからである。従って、2相領域の起電力値は一定になる。
本水素量センサーの起電力(EMF)値は両電極に対する原子状水素の化学ポテンシャルの差を計測するものである。水素貯蔵合金中の水素の化学ポテンシャルはその合金界面の原子状水素と熱平衡状態では等しいことから、合金中の化学ポテンシャルが計測できる。
このように本センサーからの検出起電力は、水素の化学ポテンシャルに依存する示強性の量として出力されるために、その起電力(EMF)値はセンサーの物理サイズや電極構造によらず電極物質の種類のみに依存するため、センサー自体を非常に小型化することが可能であり、また単純な構造とすることができる。
電解質体26の役割は、検出電極30と基準電極28における水素の化学ポテンシャルに対する強さの情報を伝達することにある。情報伝達に必要な電解質体26の条件は水素イオンの伝導性を有するか、水素と反応性を有するイオン伝導性を持つものであればよい。
図1の構成の水素貯蔵装置1におけるセンサー部32において、電解質体26に接する水素貯蔵合金18に貯蔵された水素量に対応する起電力(EMF)値が、上述した原理に基づいて出力され、この測定値と、事前に求めた起電力と水素濃度の関係から、水素濃度が算出される。他方、この起電力(EMF)値は、式2における水素の自由エネルギーは、
Figure 2008196903
と温度に依存することから、水素貯蔵合金18の温度を温度センサー42bにより温度を測定する。特に、水素貯蔵合金18の温度は室温から水素放出温度まで大きな変化が行われるから、温度データが必要となる。なお、温度調整装置42のマイクロヒータ42aは電解質体26の温度が動作領域にするために用いる。
図2は、このような起電力と水素濃度の関係の一例を示すもので、横軸は水素貯蔵合金18中の水素濃度(H/Mモル比)を示す。この水素貯蔵合金18は、図1に例示したものの概念図である。1種類の水素化物相(β相)を有し、低濃度側では水素の固溶相であるα相を形成する。β相ではEMF
値は水素濃度に依存して変化する。図の中に現れるEMF 値=一定のところは、この合金中の水素の状態がα相+β相の2相が混在していることを意味している。すなわち、このセンサー部32において、水素貯蔵合金内の水素量の定量的な測定が可能な領域は、水素が十分に存在するβ相の濃度領域に限られる。残存水素量が少なくなってきたことを意味するα相+β相の領域に入ると、その領域内の水素量の定量的な検出はできない。また、α相の単一領域に入ると再びEMF値は水素濃度に依存した変化を示すが、このα相での水素量は極微量であり、水素燃料がゼロに近い状態にある。従って、α相+β相を検知した時点で水素の再充填を促すことが必要である。なお、水素貯蔵量はこの水素貯蔵合金の体積あるいは重量に比例する。
この実施の形態では、水素濃度が、H/M=0.5〜0.05の範囲の領域は不感帯となり、H/M=0.5〜0.7までの高濃度範囲でしか測定できない。そこで、低濃度範囲を測定することができる他の装置と併用することで全範囲をカバーするように用いる。併用する装置としては、積算流量計のようなものでも良い。
上記のような水素量センサーの機能を確認するために、図3(a)に示す試験装置にて、機能試験を行った。ここでは、ガラス管50内に、図3(b)に示すような電気化学セル
検出電極30|電解質体26|基準電極28
が構成されている。ガラス管の一端にはバルブ52を介して水素ガス源54が接続され、他端側には三方切替弁56を介して一方は大気開放され、他方は真空排気用のポンプ58が接続されている。また、温度の影響を調べるために、ガラス管の周囲にヒータ60を配置した。なお、ガラス管50内部の温度を測定するためのセンサー(図示略)及び圧力を測定するためのセンサー62がそれぞれ設けられている。
まず、検出電極30として、水素貯蔵合金Pdを用い、電解質体26として図1(b)に示すリン酸を含浸させた多孔質体44を用いた場合の、水素吸蔵の状態を測定する実験を行った。この時の、起電力(EMF)の変化を図4に示す。図4において、(a)は実験の全体を、(b)はその初期の変化を拡大して示している。ここでは、初期温度60℃においてガス源より水素ガスを1.06×10Pa導入し、バルブ52,56を閉じた(A)。この時の初期起電力値は−600mVであった。
その後、ヒータにより60℃から150℃まで昇温させた。管内の圧力は水素貯蔵合金に水素が吸蔵されると共に管内の圧力が0.96×10Paと低下しその時の起電力値は−200mVとなった(B)。この状態で、水素ガスを1.06×10Paまで再度加圧したところ起電力値が−530mVとなった(C)。次にバルブ56を開放し、セル温度を150℃に保ったまま、水素貯蔵合金の中の水素ガスを放出した(C→D→E)。
この測定結果は、(B)点で水素圧が低下することから合金中に水素が貯蔵されることが確認でき、起電力値は合金に貯蔵された水素濃度に依存した値になることを意味する。(C)点で水素圧を初期値の圧力としたのは、起電力値の再現性を確認するためである。(C→D→E)の過程からは、合金からの水素放出に伴い、合金中の水素濃度量に応じた起電力の変化が認められることが分かる。なお、水素貯蔵合金の水素濃度の関係はPCT(圧力・濃度・温度)測定と併用することで校正可能である。
次に、図3の装置において、電気化学セルの検出電極30としてPtを用い、この実施の形態の電解質体の環境変化に対応する影響を調べた。この試験装置では、水素貯蔵合金を用いていないが、Ptと電解質体26との境界において、水素濃度と等しい化学ポテンシャルが得られるので、上記式(1)〜(5)の関係が水素貯蔵合金と同様に成立する。従って、水素貯蔵合金測定用の電解質体としての機能を測定することができる。なお、電解質体26についての比較例として、濃度が10.5N硫酸を多孔質体44に含浸させ、リン酸の場合と同様に真空熱処理で無水硫酸としたものと、固体電解質であるリンタングステン酸について、同様の試験を行った。
この装置において、電解質体26としてリン酸を含浸させた多孔質体44を用い、真空置換により水素ガスを1.02×10Pa導入した状態で、温度を室温から昇温させた場合の起電力の変化を測定した。その結果、図5に示すように、起電力値は温度変化に拘わらずほぼ一定であり、少なくとも室温から200℃の温度範囲で充分な実用性が有ることが分かる。
図6に、硫酸を含浸した多孔質体の場合を示す。図6において、(a)は実験の全体を、(b)はその後期の変化を拡大して示している。ここでは、大気中で室温から200℃まで昇温した。その後、室温まで戻し、真空置換により水素ガスを1.2×10Pa導入し、再び100℃まで加熱した。この温度範囲で充分実用的な動作特性を有しているが、起電力値がリン酸の場合に比べて不安定である。これは硫酸により電極腐食が生じたためと推定される。なお、図6(a)の1.2×10sで起電力値が大きく変化するのは、ここで水素ガスを導入したためである。また、図6(b)の点Aは、バルブを開けて水素を大気中に放出したことによる変化である。
また、固体電解質であるリンタングステン酸については、室温で真空状態とするだけで、起電力が不安定となり、電解質としての機能が消失することが確認された。
次に、電解質体26としてリン酸を含浸させた多孔質体44を用い、空間内を水素雰囲気とする工程と大気開放する工程を交互に繰り返した場合の起電力の変化を測定した。その結果、図7に示すように、起電力値はほぼ一定であり、雰囲気変化による劣化は無く、充分な実用性が有ることが分かる。また、水素の導入は真空置換によって行っているので、この図より、電解質体とした真空雰囲気に繰り返し置いた後でも、起電力の応答の再現性は良好であることが分かる。
次に、図1に示すような水素貯蔵合金の場合には、水素を吸蔵させる前に真空雰囲気とすることから、室温で真空雰囲気に曝すことによる劣化を調べる試験を行った。図8は硫酸を含浸させた多孔質体44の結果であるが、真空雰囲気に繰り返し置いた後でも、起電力の応答の再現性は良好であった。
一方、固体電解質であるリンタングステン酸については、電気化学セルの検出電極30としてPdを用いて同様の試験を行った。結果は、図9に示すように、室温の状態でも一度真空にした後の起電力値は大きく低下し、大気雰囲気に戻しても、回復に多大の時間(48時間)を要した。この理由の解明はこれからの課題であるが、真空下でリンタングステン酸の結晶水が消失したためではないかと考えられる。
以上、水素貯蔵合金用水素量センサーに用いるための電解質体として、従来の固体電解質と、本発明の液状電解質を多孔質体に含浸させた電解質体とを試験した結果、リンタングステン酸のようにその結晶水が電解質として重要な役割を担う固体電解質にあっては、水素貯蔵合金のような真空に曝される環境での使用には不適であると考えられた。また、無水状態でも電解質の機能を有するリン酸を多孔質体に含浸させた電解質体では、良好な結果を得ることができた。また硫酸についても電解質体として機能を有することが分かったが、硫酸は腐食性が強く、標準電極であるタングステンの表面を黒くすることが分かった。一方、リン酸の場合は腐食性は低く、電極その他の金属に悪影響を及ぼすことはなかった。
(a)は、水素量センサーを有する水素貯蔵装置の実施の形態を示す模式図、(b)は、電解質体を示す図である。 図1の実施の形態における水素濃度と起電力の特性の例を示すグラフである。 (a)は、水素量センサーの試験装置を示す模式図、(b)は、電気化学的セルを示す図である。 (a)は、水素貯蔵合金の水素濃度と起電力の特性の例を示すグラフであり、(b)は、その一部を拡大して示す図である。 この発明の水素量センサーの特性を示すグラフである。 (a)は、比較例の水素量センサーの特性を示すグラフであり、(b)は、その一部を拡大して示す図である。 この発明の水素量センサーの特性を示すグラフである。 比較例の水素量センサーの特性を示すグラフである。 他の比較例の水素量センサーの特性を示すグラフである。
符号の説明
1 水素貯蔵装置
10 密閉容器
12 開閉弁
14 ポート
16 空間
18 水素貯蔵合金
19 押え板
20 バネ部材
22 センサホルダ
23 天板
24 メタルシール
26 電解質体
28 基準電極
30 検出電極
32 センサー部
34 配線
36 絶縁管
38 引き出し線
40 圧縮バネ
42a マイクロヒータ
42b 温度センサー
42 温度調整装置
44 多孔質体
50 ガラス管
52 バルブ
54 水素ガス源
56 三方切替弁
58 ポンプ
60 ヒータ

Claims (4)

  1. 水素貯蔵容器の内部に配置された水素貯蔵合金からなる検出電極と、
    前記検出電極と対向して配置された基準電極と、
    前記検出電極および基準電極の間に配置された電解質体とを備え、
    前記電解質体は、無水状態で電解質の機能を有するものであることを特徴とする水素量センサー。
  2. 前記電解質体は、pHが4〜7の範囲にあり、沸点が150℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の水素量センサー。
  3. 前記電解質体は、リン酸であることを特徴とする請求項2に記載の水素量センサー。
  4. 水素貯蔵容器の内部に配置された水素貯蔵合金からなる検出電極と、
    前記検出電極と対向して配置された基準電極と、
    前記検出電極および基準電極の間に配置された電解質体とを備え、
    前記電解質体は、多孔質体に含浸させた液状電解質により構成されていることを特徴とする水素量センサー。
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