JP2008196718A - 加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法及び層密度最適化システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る層密度最適化方法は、流動層における圧力損失を検出する工程(S1)と、検出した圧力損失に基づいてBMの層密度を予測する工程(S2)と、予測したBMの層密度が予め定めた許容範囲であるか否かを判断する工程(S3)と、BMの層密度が予め定めた許容範囲を超えると判断された場合に、このBMの層密度を最適化する工程(S4)とを含む。
【選択図】図4
Description
ρf=ΔP/(h×g)・・・(1)
ただし、
ρf:層密度(kg/m3)
ΔP:圧力損失
h :流動層高
g :重力加速度
ρf=ΔP/(h×g)・・・(1)
ただし、
ρf:層密度(kg/m3)
ΔP:圧力損失
h :流動層高
g :重力加速度
図1は本発明の実施形態に係る加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システムの概略構成を示すブロック図、図2は加圧流動床ボイラにおけるBM循環経路の説明図、図3は層密度がプラントへ与える影響を説明するための模式図、図4は本発明の実施形態に係る加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法の手順を示すフローチャート、図5Aは流動層高と層密度との関係を示すグラフ、図5Bは空塔速度と層密度との関係を示すグラフ、図6Aは「前日値との層密度偏差量」を参酌して予測したズリ濃度の一例を示す図、図6Bは層密度とズリ濃度との関係を示すグラフ、図6Cは「前日値との層密度偏差量」とズリ濃度との関係を示すグラフ、図6Dはズリ濃度の傾向管理を説明するための説明図、図7は本発明の実施形態に係る加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法及び層密度最適化システムを適用する発電プラントの概略構成を示す説明図である。
本発明の実施形態に係る加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法及び層密度最適化システムを適用する発電プラントは、加圧流動床複合発電方式(PFBC:Pressurized Fluidized Bed Combustion Combined Cyde)を採用した発電プラントであり、圧力容器内に収納した流動床ボイラから発生する蒸気で蒸気タービンを駆動し、さらにボイラの排ガスでガスタービンを駆動するように構成されている。
本発明の実施形態の適用対象である発電プラントは、図7に示すように、2つのボイラ10,20を備えており、ボイラ10,20の火炉11,21内にCWPを投入して燃焼させ、熱交換により発生した蒸気を高圧タービン31、中圧タービン32及び低圧タービン33に導いて各タービンを回転させることにより、発電機41を駆動して電力を発生させる。低圧タービン33を回転させた後の蒸気は、復水器50により復水され、再びボイラ10,20内へ導かれる。
次に、図2を参照して、BM循環系統を詳細に説明する。
ボイラ10内に配設したA火炉11内には、分散板から上方に向かって、例えば、0.2m、0.4m、0.6m、1.5m、2.6m、3.55m、7.8mの位置に、それぞれ圧力計111a〜111gが配設されている。また、ボイラ20内に配設したB火炉21内には、分散板から上方に向かって、例えば、0.2m、0.4m、0.6m、1.15m、2.425m、3.55m、7.8mの位置に、それぞれ圧力計111a〜111gが配設されている。
次に、図3を参照して、火炉11,21内の層密度がプラントへ与える影響を説明する。図3(a)は層密度が高い状態を示す模式図、図3(b)は層密度が良好な状態を示す模式図、図3(c)は層密度が低い状態を示す模式図である。
次に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システムを説明する。
本発明の実施形態に係る層密度最適化システム200は、図1に示すように、火炉11,21内に配設された複数の圧力計111a〜111g、層密度予測手段201、層密度判断手段202、層密度最適化手段203、層密度管理値設定手段204、制御手段205a,205bを主な構成要素とする。なお、本実施形態の各手段は、コンピュータ及びその周辺機器からなり、コンピュータを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより、各手段としての機能を発揮するようになっている。
ρf=ΔP/(h×g)・・・(1)
ただし、
ρf:層密度(kg/m3)
ΔP:圧力損失
h :流動層高
g :重力加速度
次に、図4、図5A及び図5B、並びに図6A〜図6Dを参照して、本発明の実施形態に係る加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法の手順を説明する。
本発明の実施形態に係る層密度最適化方法は、図4に示すように、まず、流動層における圧力損失を検出し(S1)、検出した圧力損失に基づいてBMの層密度を予測し(S2)、予測したBMの層密度が予め定めた許容範囲であるか否かを判断する(S3)。そして、このS3の工程において、BMの層密度が許容範囲を超えると判断された場合には、火炉11,21内からBMを抜き取ったり、火炉11,21内へ供給する燃焼空気量を増減させたりすることにより、BMの層密度を最適化する(S4)。
S4の工程は、加圧流動床ボイラ10,20の炉底部における圧力損失が低下した場合に、この炉底部における層密度が低下したものと予測し、その低下の程度に応じて炉底部からのBMの抜出量を増加させる一方、圧力損失が増加した場合には、層密度が増加したものと予測し、その増加の程度に応じて炉底部からのBMの抜出量を減少させることにより、流動層におけるBMの流動状態を変化させて、層密度を予め定められた許容範囲内に調節するステップ(S401)を含む。
さらに、本発明の実施形態に係る層密度最適化方法は、図4に示すように、加圧流動床ボイラ10,20の燃料(CWP)を構成する石炭の炭種に応じて、層密度の許容範囲を定める工程(S5)を含む。このS5の工程は、加圧流動床ボイラ10,20の燃料(CWP)を構成する石炭の炭種を設定し(S501)、設定した炭種に応じて層密度の許容範囲を定める(S502)というものである。
例えば、流動層高に応じて層密度の許容範囲を補正するには、流動層高と層密度との関係を参酌して行う。すなわち、図5Aに示すように、流動層高が高いほど層密度が高くなり、流動層高が低いほど層密度が低くなる傾向にある。そこで、流動層高が高い場合には、層密度管理値の上限値及び下限値を上方に修正し、流動層高が低い場合には、層密度管理値の上限値及び下限値を下方に修正する。具体的には、流動層高が高い場合には、層高1mの増加に対し、層密度管理値の上限値及び下限値を136.4kg/m3上乗せする。
さらに、本発明の実施形態に係る層密度最適化方法は、図4に示すように、S2で予測した層密度のデータを蓄積し、蓄積した層密度のデータに基づいて、BMの抜き出し作業を行う予定日前日の層密度のデータに対する予定日当日の偏差量を算出し、算出した偏差量を参酌してズリ濃度を予測し、予測したズリ濃度が予め定められた許容範囲を超えるか否かを判断し、ズリ濃度が許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じてBMの抜出量を変更する工程(S6)を含む。
図6Aに示すように、S601で蓄積した層密度のデータが933kg/m3の場合には、S602で算出した「前日値との層密度偏差量」が−7.1の値を示した。このような値は、ズリ濃度が減少傾向にあることを示唆するものである。そして、ズリ濃度が減少傾向にある場合には、火炉11,21内のズリ濃度の実測値は、S2で予測したズリ濃度よりも多めの値となるのが通常である(図6B及び図6C参照)。そこで、火炉11,21内のズリ濃度をS2で予測したズリ濃度よりも多めに予測することとする(S603)。例えば、S2で予測したズリ濃度が0.4%のときには、前日値との層密度偏差量−7.1の値を参酌し、0.5%と予測した。
さらに、本発明の実施形態に係る層密度最適化方法は、図4に示すように、炉底部から抜き出したBMのズリ濃度を実測し、その実測値が予め定められたズリ濃度の許容範囲を超えるか否かを判断し、実測値が許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じてBMの抜出量を変更する工程(S7)を含む。具体的には、S7の工程は、炉底部から抜き出したBMのズリ濃度を実測し(S701)、実測したズリ濃度を所定の入力部から入力し、入力された実測値が予め定められたズリ濃度の許容範囲を超えるか否かを判断し(S703)、実測値が許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じてBMの抜出量を変更するというものである。これにより、BMの層密度が変動した場合であっても、より正確にズリ濃度を管理値内に維持することが可能となる。
12,22 圧力容器 13,23 BMタンク
14 非常用温水タンク 31 高圧タービン
32 中圧タービン 33 低圧タービン
34 ガスタービン 35 コンプレッサ
41,42 発電機 43 起動用モータ
50 復水器 51 冷却水配管
61 石炭ホッパ 62 粗粉砕機
63 分級機 64 中継ホッパ
65 微粉砕機 66 石炭石ホッパ
67 混練機 68 燃料タンク
69 燃料ポンプ 71 水・蒸気管
72 汽水分離器 73 復水ポンプ
74a〜74e 給水加熱器 75 脱気器
76 給水ポンプ 77 復水配管
81 排ガス配管 82a,82b 無触媒脱硝装置
83 1次サイクロン 84 2次サイクロン
85,86 灰クーラ 91,93 排熱回収交換器
92 脱硝装置 94 バグフィルタ
95 煙突 101 塵芥回収管
102,103 灰クーラ 111a〜111g 圧力計
120 流動層 130 高温ガス管
140 BM炉底抜出系統 150 熱風炉
161 BM戻り配管 162 BM供給配管
200 層密度最適化システム 201 層密度予測手段
202 層密度判断手段 203 層密度最適化手段
204 層密度管理値設定手段 205a,205b 制御手段
Claims (16)
- 加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度を最適化するための方法であって、
流動層を複数の層に分割して各層毎に圧力損失を検出する工程と、
検出した圧力損失に基づいて各層における流動媒体の層密度を予測する工程と、
予測した流動媒体の層密度が予め定められた許容範囲を超えた場合に、流動媒体の層密度を最適化する工程と、を含み、
前記流動媒体の層密度を最適化する工程は、前記加圧流動床ボイラの炉底部における前記圧力損失が低下した場合に、この炉底部における層密度が低下したものと予測し、その低下の程度に応じて前記炉底部からの前記流動媒体の抜出量を増加させる一方、前記圧力損失が増加した場合には、前記層密度が増加したものと予測し、その増加の程度に応じて前記炉底部からの前記流動媒体の抜出量を減少させることにより、流動層における流動媒体の流動状態を変化させて、層密度を予め定められた許容範囲内に調節することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 請求項1において、
前記流動媒体の層密度を最適化する工程は、前記流動媒体の抜出量を増加させる際にその抜出量が上限値を超えるときには、前記抜出量を当該上限値に修正するとともに、前記抜出量が上限値を超えた程度に応じて前記加圧流動床ボイラの火炉内へ供給する燃焼空気量を増加させる一方、前記流動媒体の抜出量を減少させる際にその抜出量が下限値未満のときには、前記抜出量を当該下限値に修正するとともに、前記抜出量が下限値を超えた程度に応じて前記火炉内へ供給する燃焼空気量を減少させることを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 請求項1又は2において、
前記流動媒体の層密度を予測する工程は、以下の式(1)を用いて流動媒体の層密度を演算して予測することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。
ρf=ΔP/(h×g)・・・(1)
ただし、
ρf:層密度(kg/m3)
ΔP:圧力損失
h :流動層高
g :重力加速度 - 請求項1〜3において、
前記加圧流動床ボイラの燃料(CWP)を構成する石炭の炭種に応じて、前記層密度の許容範囲を定める工程をさらに含むことを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 請求項4において、
前記層密度の許容範囲を定める工程は、前記流動層高に応じて、前記層密度の許容範囲を補正することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 請求項4又は5において、
前記層密度の許容範囲を定める工程は、前記加圧流動床ボイラの空塔速度に応じて、前記層密度の許容範囲を補正することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 請求項1〜6において、
予測した前記層密度のデータを蓄積し、蓄積した層密度のデータに基づいて、前記流動媒体の抜き出し作業を行う予定日前日の層密度のデータに対する予定日当日の偏差量を算出し、算出した偏差量を参酌してズリ濃度を予測し、予測したズリ濃度が予め定められた許容範囲を超えるか否かを判断し、前記ズリ濃度が前記許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じて前記流動媒体の抜出量を変更する工程をさらに含むことを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 請求項1〜7において、
前記炉底部から抜き出した流動媒体のズリ濃度を実測し、その実測値が予め定められたズリ濃度の許容範囲を超えるか否かを判断し、前記実測値が前記許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じて前記流動媒体の抜出量を変更する工程をさらに含むことを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化方法。 - 加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度を最適化するためのシステムであって、
流動層を複数の層に分割して各層毎に圧力損失を検出する複数の圧力損失検出手段と、
該圧力損失検出手段により検出した圧力損失に基づいて各層における流動媒体の層密度を予測する層密度予測手段と、
該層密度予測手段により予測した流動媒体の層密度が予め定められた許容範囲を超えるか否かを判断する層密度判断手段と、
該層密度判断手段により前記層密度が前記許容範囲を超えると判断された場合に、流動媒体の層密度を最適化する層密度最適化手段と、を備え、
前記層密度最適化手段は、前記加圧流動床ボイラの炉底部における前記圧力損失が低下した場合に、この炉底部における層密度が低下したものと予測し、その低下の程度に応じて前記炉底部からの前記流動媒体の抜出量を増加させる一方、前記圧力損失が増加した場合には、前記層密度が増加したものと予測し、その増加の程度に応じて前記炉底部からの前記流動媒体の抜出量を減少させることにより、流動層における流動媒体の流動状態を変化させて、層密度を予め定められた許容範囲内に調節することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。 - 請求項9において、
前記層密度最適化手段は、前記流動媒体の抜出量を増加させる際にその抜出量が上限値を超えるときには、前記抜出量を当該上限値に修正するとともに、前記抜出量が上限値を超えた程度に応じて前記加圧流動床ボイラの火炉内へ供給する燃焼空気量を増加させる一方、前記流動媒体の抜出量を減少させる際にその抜出量が下限値未満のときには、前記抜出量を当該下限値に修正するとともに、前記抜出量が下限値を超えた程度に応じて前記火炉内へ供給する燃焼空気量を減少させることを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。 - 請求項9又は10において、
前記層密度予測手段は、以下の式(1)を用いて流動媒体の層密度を演算して予測することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。
ρf=ΔP/(h×g)・・・(1)
ただし、
ρf:層密度(kg/m3)
ΔP:圧力損失
h :流動層高
g :重力加速度 - 請求項9〜11において、
前記加圧流動床ボイラの燃料(CWP)を構成する石炭の炭種に応じて、前記層密度の許容範囲を定める層密度管理値設定手段をさらに備えたことを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。 - 請求項12において、
前記層密度管理値設定手段は、前記流動層高に応じて、前記層密度の許容範囲を補正することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。 - 請求項12又は13において、
前記層密度管理値設定手段は、前記加圧流動床ボイラの空塔速度に応じて、前記層密度の許容範囲を補正することを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。 - 請求項9〜14において、
予測した前記層密度のデータを蓄積し、蓄積した層密度のデータに基づいて前記流動媒体の抜き出し作業を行う予定日前日の層密度のデータに対する予定日当日の偏差量を算出し、算出した偏差量を参酌してズリ濃度を予測し、予測したズリ濃度が予め定められた許容範囲を超えるか否かを判断し、前記ズリ濃度が前記許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じて前記流動媒体の抜出量を変更するように前記層密度最適化手段を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。 - 請求項9〜15において、
前記炉底部から抜き出した流動媒体のズリ濃度の実測値が予め定められたズリ濃度の許容範囲を超えるか否かを判断し、前記実測値が前記許容範囲を超えると判断された場合には、その超えた程度に応じて前記流動媒体の抜出量を変更するように前記層密度最適化手段を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする加圧流動床ボイラにおける流動媒体の層密度最適化システム。
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