JP2008194879A - 中空部を有する成形品の射出成形方法、及び、金型組立体 - Google Patents

中空部を有する成形品の射出成形方法、及び、金型組立体 Download PDF

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Abstract

【課題】中空部を有する成形品を成形するに際して、中空部の形成のために必要とされる加圧用流体を確実に注入することを可能とする金型組立体を提供する。
【解決手段】金型組立体は、金型と、加圧用流体注入手段20と、加圧用流体供給装置40を備えており、加圧用流体供給装置40は、加圧用流体供給源41、加圧用流体供給弁43、第1流路42、第2流路44、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂内に注入される加圧用流体の圧力を測定するための圧力センサー45、並びに、第1流路及び/又は第2流路の途中に配置され、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御するための流量制御手段46から構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中空部を有する成形品の射出成形方法、及び、係る射出成形方法での使用に適した金型組立体に関する。
射出成形法に基づき、金型に設けられたキャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧ガスを注入して、中空部を有する成形品を製造する従来の方法(以下、ガスインジェクション法と呼ぶ場合がある)において、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧ガスを注入する方法として、例えば、次の2つの方法が知られている。
第1の方法にあっては、ピストン及び一定容量を有するシリンダーから成るピストン式コンプレッサーを使用して、1回の射出成形に必要なガス量(圧力と容積)を予めシリンダー内で計量する。射出成形に際しては、予めシリンダー内で計量して蓄えておいたガスを、シリンダー内のピストンの移動によって圧縮しながらキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に注入して、成形品の内部に中空部を形成する。その後、ピストン位置をそのままの状態に保持して、中空部内部のガス圧力を保持する。このような方法が、例えば、特開昭60−24913号公報に開示されている。
第2の方法にあっては、例えば、
(A)加圧ガス供給源と、
(B)複数の計量タンクと、
(C)該加圧ガス供給源から各計量タンクに加圧ガスを供給するための第1加圧ガス供給路と、
(D)第1加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス供給弁と、
(E)各計量タンクから前記キャビティ内の溶融樹脂内に加圧ガスを導入するための第2加圧ガス供給路と、
(F)各第2加圧ガス供給路の途中に配置された加圧ガス排出制御弁、
から構成された加圧ガス導入装置を使用し、
成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧ガス量に基づき計量タンクの組合せを決定し、かかる決定に基づき各第2加圧ガス供給路に配置された加圧ガス排出制御弁の開閉を制御することで、金型に設けられたキャビティ内に射出された溶融樹脂内に加圧ガスを導入して中空部を有する成形品を成形する。このような方法が、例えば、特開2004−42648に開示されている。
特開昭60−24913号 特開2004−42648
しかしながら、上記の従来技術は、以下の問題点を有している。
(1)特開昭60−24913号公報に開示された方法の問題点
(1−1)シリンダーの容積は一定である。それ故、成形品の中空部の容積が大きい場合、最大ガス量を計量したとしても、所望の中空部の形成に必要とされるガス圧力を発生することができない場合がある。このような場合、品質良好なる成形品を得ることができない。
(1−2)溶融熱可塑性樹脂内に注入すべきガス量が多い場合、計量時、シリンダーに供給すべきガスの圧力を高める必要がある。しかしながら、多くの場合、ガス源としてガスボンベを使用するので、ガスボンベの消費効率が悪化する。即ち、ガスボンベの圧力が低下した場合には、それ以上ガスボンベを使用することができない。
(1−3)成形品に形成すべき中空部の容積が大きい場合、シリンダーの容積を大きくし、溶融熱可塑性樹脂内へ注入すべきガス量を多くする必要がある。それ故、中空部の容積に依存して、異なる能力のガス圧縮装置を用意しなければならないことがある。
(1−4)成形品に形成すべき中空部の容積が小さい場合、計量したガスの一部が無駄になり、経済性を悪化させる。
(1−5)1回の圧縮工程でガスを昇圧するため、圧縮比が大きくなる。従って、ピストン径、シリンダー内径、ピストンストロークを、1回の射出成形に必要な大きさに設計する必要がある。その結果、ガス圧縮装置の大型化をもたらし、高圧ガスのシール構造が複雑になり、しかも、ガス圧縮装置の製作費が高額になる。また、ピストンを作動させるための消費するエネルギーが大きい。
(2)特開2004−42648に開示された方法の問題点
(2−1)特開2004−42648に開示された加圧ガス導入装置は、優れた加圧ガス導入装置であるが、計量タンクを高圧容器仕様とする必要があるため、計量タンクの作製コストが高く、保守に費用がかかる。また、計量タンクの仕様等が変更された場合には、新たに計量タンクを作製しなければならない。更には、計量タンクの設置スペースが必要とされる。
従って、本発明の目的は、金型に設けられたキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に加圧用流体を注入して中空部を有する成形品を成形するに際して、中空部の形成のために必要とされる加圧用流体を確実に注入することを可能にし、しかも、簡素な構造を有し、高圧容器仕様の計量タンクを使用することを必要とせず、安価に作製し得る加圧用流体供給装置を備えた金型組立体、並びに、かかる金型組立体を使用した、中空部を有する成形品の射出成形方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の金型組立体は、
(A)第1金型部、第2金型部、及び、第1金型部に設けられた溶融樹脂射出部を備え、第1金型部と第2金型部との型締めによってキャビティが形成される金型と、
(B)キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧用流体を注入するための加圧用流体注入手段、
とを備えた金型装置、並びに、
(C)加圧用流体供給装置、
を備えた金型組立体であって、
加圧用流体供給装置は、
(C−1)加圧用流体供給源、
(C−2)加圧用流体供給弁、
(C−3)加圧用流体供給源と加圧用流体供給弁とを結ぶ第1流路、
(C−4)加圧用流体供給弁と加圧用流体注入手段とを結ぶ第2流路、
(C−5)キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に注入される加圧用流体の圧力を測定するための圧力センサー、並びに、
(C−6)第1流路及び/又は第2流路の途中に配置され、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御するための流量制御手段、
から構成されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の中空部を有する成形品の射出成形方法(以下、本発明の射出成形方法と略称する)は、上記の本発明の金型組立体を用いた、中空部を有する成形品の射出成形方法であって、
(a)成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧用流体の圧力値P1に基づき、キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂内に注入すべき加圧用流体の圧力センサーにおける圧力値P2(但し、P1≦P2)を予め決定しておき、
(b)加圧用流体供給弁を閉じた状態で、キャビティ内に溶融樹脂射出部から溶融熱可塑性樹脂を射出し、
(c)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧用流体供給弁を開状態とし、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に、加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し始め、
(d)圧力センサーの圧力検出値がP2となったとき、加圧用流体供給弁を閉状態とし、
(e)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化する、
ことを特徴とする。
ここで、本発明の射出成形方法において、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧用流体の圧力値P1は、例えば、ひけの無い外観が良好な成形品を得るために必要とされる加圧用流体圧力に基づき決定され、種々の試験、あるいは、経験則から求めることができる。
また、工程(d)において、圧力センサーの圧力検出値がP2となったとき加圧用流体供給弁を閉状態とするが、圧力センサーの圧力検出値がP2となったときから加圧用流体供給弁が閉状態となるまでに、装置の仕様上、若干の時間(Δt)を要する場合がある。また、圧力センサーの位置によっては、加圧用流体流路の圧力損失等の影響により、加圧用流体供給弁が閉状態となった後でも、若干の圧力変動が起こる場合がある。従って、必ずしも、圧力センサーの圧力検出値がP2となったと同時に、加圧用流体供給弁が閉状態とならなくともよい。
また、圧力センサーと流量制御手段との位置関係を、加圧用流体供給源側(上流側)から加圧用流体注入手段側(下流側)に向かって、例えば、以下の表1に例示することができる。尚、「流量制御手段(上流側)」とは、第1流路に配置された流量制御手段を意味し、「流量制御手段(下流側)」とは、第2流路に配置された流量制御手段を意味する。また、数字が大きいほど、加圧用流体注入手段側(下流側)に位置する。
[表1]
Figure 2008194879
本発明の射出成形方法にあっては、前記工程(d)の後、
(f−1)圧力センサーの圧力検出値が所定の値P3(但し、P3<P2)となったとき、加圧用流体供給弁を再び開状態とし、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に、加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し、
(f−2)圧力センサーの圧力検出値が所定の値P4(但し、P4>P3)となったとき、加圧用流体供給弁を再び閉状態とする、
工程を所望の回数、繰り返す構成とすることができる。P4とP2の関係は、P4<P2であってもよいし、P4=P2であってもよいし、P4>P2であってもよい。更には、P4とP1の関係は、P4≧P1であり、P3とP1の関係も、P3≧P1である。P3の値は、第1回目の繰り返し、第2回目の繰り返し・・・において、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、P4の値も、第1回目の繰り返し、第2回目の繰り返し・・・において、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記の好ましい構成を含む本発明の射出成形方法にあっては、P1=P2とすることができ、あるいは又、P1<P2とすることができる。金型組立体の構成、構造、使用樹脂の種類、成形条件によっては、成形中に加圧用流体の漏れが発生することがあり、この場合、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に形成された中空部内の圧力が減少し、P1を下回ってしまう場合がある。このような場合には、P1<P2とすることで、更には、P3,P4を設定し、繰り返し、加圧用流体を注入することで、最終的に形成される中空部内の圧力をP1以上に保持することが可能となる。ΔP(=P1−P2)の値あるいはP2の値、及びP3,P4の値をどのような値とするかは、例えば、種々の射出試験を行い決定すればよい。
更には、以上に説明した好ましい構成を含む本発明の射出成形方法にあっては、加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し始めてから、圧力センサーの圧力検出値がP2となり、加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間(TClose)が、最低、0.5秒となるように、より具体的には、係る時間(TClose)が0.5秒≦TClose≦10秒を満足するように、流量制御手段によって、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御することが望ましい。あるいは又、係る時間(TClose)と、上述した圧力センサーの圧力検出値がP2となったときから加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間Δtとの関係として、1≦TClose/Δt≦20を例示することができる。
また、以上に説明した好ましい構成を含む本発明の射出成形方法にあっては、加圧用流体供給弁が開状態となった後、圧力センサーの圧力検出値がP2となるまでの時間(TClose)が10秒を越えたとき、加圧用流体供給弁を強制的に閉状態とすることが好ましい。このように、加圧用流体供給弁が開状態となった後、圧力センサーの圧力検出値がP2となるまでの時間(TClose)が10秒を越えたときには、どこかで加圧用流体の大量の漏れが発生したと判断することができ、加圧用流体供給弁を強制的に閉状態とすることで、安全性を確保することができる。
更には、以上に説明した好ましい構成を含む本発明の射出成形方法にあっては、流量制御手段は流路絞り手段から構成されており、加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し始めてから、圧力センサーの圧力検出値がP2となり、且つ、加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間が、0.5秒以上、10秒以下となるように、流路絞り手段の流路絞り量を制御する構成とすることができる。また、本発明の金型組立体にあっては、流量制御手段は流路絞り手段から構成されている形態とすることができる。そして、これらの場合、流量制御手段として、具体的には、ニードル弁、絞り弁、オリフィス、細長い管(配管)を挙げることができる。あるいは又、これらの場合、流量制御手段は管から構成されており、管の断面積をSC(mm2)、管の長さをLC(mm)としたとき、1×10-5≦(SC/LCの最大値)≦1×10-1を満足する構成とすることができる。
また、以上に説明した好ましい構成を含む本発明の射出成形方法あるいは金型組立体にあっては、圧力センサーは、第2流路に配置されていることが好ましい。但し、圧力センサーの配置部位は、第2流路に限定されず、例えば、キャビティに面して金型に配置されていてもよい。
以上に説明した好ましい構成を含む本発明の射出成形方法あるいは金型組立体(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、第1流路(但し、流路絞り手段よりも上流側)に加圧用流体蓄積タンクが配置されていてもよく、これによって、加圧用流体の供給の安定化を図ることができる。
また、本発明において、加圧用流体供給弁、第1流路、第2流路、流量制御手段、及び、圧力センサーを1組、備えた金型組立体(金型装置は1つあるいは複数であり、及び/又は、キャビティは1つあるいは複数である)とすることもできるし、これらを複数組(N組)、備えた金型組立体(金型装置は1つあるいは複数であり、及び/又は、キャビティは1つあるいは複数である)とすることもできるし、流量制御手段を共用とし、加圧用流体供給弁、第1流路、第2流路、及び、圧力センサーを複数組(N組)、備えた金型組立体(金型装置は1つあるいは複数であり、及び/又は、キャビティは1つあるいは複数である)とすることもできる。キャビティを複数とすることで、成形品を多数個取りすることができる。
本発明にあっては、加圧用流体として、常温でガス状の物質を使用することができるし、高圧下で液化したガスも使用可能である。具体的には、不活性ガス(窒素ガスやヘリウムガス)、二酸化炭素ガス、空気を例示することができる。
第1金型部や第2金型部は、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金等の金属材料から作製することができる。また、溶融樹脂射出部の構造は、公知の如何なる形式の溶融樹脂射出部(ゲート構造)とすることもでき、例えば、ダイレクトゲート構造、サイドゲート構造、ジャンプゲート構造、ピンポイントゲート構造、トンネルゲート構造、リングゲート構造、ファンゲート構造、ディスクゲート構造、フラッシュゲート構造、タブゲート構造、フィルムゲート構造を例示することができる。溶融樹脂射出部は、第1金型部に設けられているが、構造によっては、第1金型部と第2金型部とに設けられていてもよい。加圧用流体注入手段として、周知の加圧ガス注入用のガス注入ノズルを挙げることができる。第1金型部又は第2金型部に配設された加圧用流体注入手段の数は、1であってもよいし、複数(例えば、2)であってもよい。ガス注入ノズルは、キャビティに開口していてもよいし、ゲート部に開口していてもよいし、射出成形機に備えられた射出用シリンダーとキャビティとを結ぶ樹脂流路に開口していてもよいし、射出用シリンダーの先端部に開口していてもよい。
加圧用流体供給源、加圧用流体蓄積タンク、第1流路(具体的には、例えば、配管)、第2流路(具体的には、例えば、配管)、加圧用流体供給弁(具体的には、例えば、空気圧作動の開閉弁、あるいは、電磁開閉弁)、圧力センサー、流路絞り手段(一種のオリフィス、ニードル弁、絞り弁、細長い配管)は、周知の構成、構造とすることができる。また、加圧用流体供給弁の制御も、周知の制御装置を用いればよい。
本発明の射出成形方法において、金型に設けられたキャビティ内に射出する溶融熱可塑性樹脂の量は、キャビティを完全に満たす量であってもよいし(所謂、フルショット法の採用)、キャビティを完全には満たさない量であってもよい(所謂、ショートショット法の採用)。
本発明の射出成形方法での使用に適した樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。
更には、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂を例示することができる。
尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、添加剤や、充填剤、強化剤を加えることもできる。
尚、添加剤として、可塑剤;安定剤;酸化防止剤:紫外線吸収剤;ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド等の有機ニッケル化合物、ヒンダードアミン系化合物等の紫外線安定剤;帯電防止剤;難燃剤;バイナジン、プリベントール、チアベンダゾール等の防かび剤;流動パラフィン、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイド等の滑剤;ADCA等の有機発泡剤;透明核剤;有機顔料、無機顔料といった各種の着色剤;架橋剤;アクリルグラフトポリマー、MBS等の耐衝撃強化剤を挙げることができる。
可塑剤として、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸類;リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレシル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類;オレイン酸ブチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸−n−ヘキシン、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪酸塩基エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート等のアルコールエステル類;クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸ジブチル等のオキシ酸エステル類;トリメリット系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;エポキシ系;塩化パラフィン系可塑剤を挙げることができる。
安定剤として、ジ−n−オクチルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズ化合物、ジメチルスズ化合物等の有機スズ系安定剤;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛化合物系安定剤;カドミウム石けん、鉛石けん、亜鉛石けん等の金属石けん系安定剤;リン酸トリスノニル;リン酸トリスノニルフェニル等を挙げることができる。
酸化防止剤として、ジブチルクレゾール、ブチルヒドロキシアニソール等のフェノール系酸化防止剤;メチレンビス(メチルブチルフェノール)、チオビス(メチルブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤;トリス(メチルヒドロキシブチルフェニル)ブタン、トコフェノール等のポリフェノール系酸化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート等の有機イオウ化合物;トリス(モノ/ジノニルフェニル)ホスファイト等の有機リン化合物を挙げることができる。
紫外線吸収剤として、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;(ヒドロキシメチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;アクリル酸エチルヘキシルシアノジフェノニル等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤を挙げることができる。
帯電防止剤として、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル等の非イオン界面活性剤系帯電防止剤;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤系帯電防止剤;両性系界面活性剤;電導性樹脂を挙げることができる。
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA、ポリブロモビフェノール、ビス(ヒドロキシジブロモフェニル)プロパン、塩化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸アンモニウム、リン酸トリクレジル等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン;赤リン;酸化スズ等を挙げることができる。
また、充填剤、強化剤として、無機系材料;ステンレス鋼繊維、高強度アモルファス金属繊維、ステンレス箔、スチール箔、銅箔等の金属系材料;高分子ポリエチレン繊維、高強力ポリアレート繊維、パラ系全芳香族ポリアミド繊維、アラミド繊維、PEEK繊維、PEI繊維、PPS繊維、フッ素樹脂繊維、フェノール樹脂繊維、ビニロン繊維、ポリアセタール繊維等の有機系材料;粉系を挙げることができる。
無機系の充填剤、強化剤として、ガラス繊維、ガラス長繊維、石英ガラス繊維等のガラス系材料;PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイトウィスカ等の炭素系材料;炭化ケイ素繊維、炭化ケイ素連続繊維、炭化ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィスカシート等の炭化ケイ素系材料;ボロン繊維といったボロン系材料;Si−Ti−C−O繊維といったSi−Ti−C−O系材料;チタン酸カリウム繊維、チタン酸カリウムウィスカ、チタン酸カリウム系導電性ウィスカ等のチタン酸カリウム系材料;窒化ケイ素ウィスカ、窒化ケイ素ウィスカシート等の窒化ケイ素系材料;硫酸カルシウムウィスカといった硫酸カルシウム系材料を挙げることができる。
粉系の充填剤、強化剤として、マイカフレーク、マイカ粉、シラスバルーン、シリカ微粉、タルク粉、水酸化アルミニウム粉、水酸化マグネシウム粉末、マグネシウムシリケート粉末、硫酸カルシウム微粉、球状中空ガラス粉、金属化粉、高純度合成シリカ微粉、二硫化タングステン粉末、タングステンカーバイト粉、ジルコニア微粉、ジルコニア系微粉末、部分安定化ジルコニア粉末、アルミナ-ジルコニア複合粉末、複合金属粉末、鉄粉、アルミニウム粉、モリブデン金属粉、タングステン粉、窒化アルミニウム粉末、ナイロン微粒子粉、シリコーン樹脂微粉末、スピネル粉末、アモルファス合金粉末、アルミフレーク、ガラスフレークを挙げることができる。
本発明にあっては、加圧用流体供給装置に流量制御手段が備えられているので、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に、加圧用流体注入手段から加圧用流体を注入し始めてから、圧力センサーの圧力検出値がP2となり、加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間(TClose)を、流量制御手段が備えられていない場合と比較して、延長させることができる。従って、金型に設けられたキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に加圧用流体を注入して中空部を有する成形品を成形するに際して、加圧用流体供給装置全体が非常に簡素化された構造であるにも拘わらず、正確に、且つ、確実に、中空部の形成のために必要とされる加圧用流体を注入することが可能となる。また、従来の加圧用流体供給装置に、例えば、加圧用流体供給弁、圧力センサー、及び、流量制御手段を配置すればよいだけなので、加圧用流体供給装置の改造費用も安価である。更には、加圧用流体の消費量も最低で済み、経済的である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の射出成形方法及び金型組立体に関する。
実施例1の金型組立体10の概念図を図1に示す。この金型組立体10は、金型、加圧用流体注入手段であるガス注入ノズル20、及び、加圧用流体供給装置40から構成されている。そして、金型は、炭素鋼から作製された第1金型部(以下、固定金型部11と呼ぶ)、炭素鋼から作製された第2金型部(以下、可動金型部12と呼ぶ)、及び、固定金型部11に設けられた溶融樹脂射出部(以下、ゲート部14と呼び、実施例1にあっては、ダイレクトゲート構造を有するが、これに限定するものではない)を備えており、固定金型部11と可動金型部12との型締めによってキャビティ13が形成される。キャビティ13の体積を150cm3とした。ゲート部14は、ランナー部及びスプルー部(これらを参照番号15で示す)を介して射出用シリンダー16と連通している。また、ガス注入ノズル20は、キャビティ13内にゲート部14から射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧用流体を注入するために設けられており、油圧シリンダから成る移動装置21に取り付けられ、移動装置21は可動金型部12に取り付けられている。移動装置21の動作によって、ガス注入ノズル20はキャビティ13に向かう方向に移動させられ、前進端に位置し、あるいは又、キャビティ13から離れる方向に移動させられ、後進端に位置する。ガス注入ノズル20が前進端に位置した状態において、ガス注入ノズル20はキャビティ13に連通する。
加圧用流体供給装置40は、加圧用流体供給源41、加圧用流体供給弁43、加圧用流体供給源41と加圧用流体供給弁43とを結ぶ第1流路42、加圧用流体供給弁43と加圧用流体注入手段(ガス注入ノズル20)とを結ぶ第2流路44、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂内に注入される加圧用流体の圧力を測定するための周知の圧力センサー45、並びに、第1流路及び/又は第2流路の途中に配置され、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御するための流量制御手段46から構成されている。ここで、加圧用流体供給源41はコンプレッサーから成り、第1流路42及び第2流路44は、ステンレス鋼(SUS 316)から成る配管から構成され、加圧用流体供給弁43は周知の電磁弁から成る。
流量制御手段46は、流路絞り手段(具体的には、弁体が針状のバルブであるニードル弁)から構成されている。尚、加圧用流体をガス注入ノズル20から注入し始めてから、圧力センサー45の圧力検出値がP2となり、加圧用流体供給弁43が閉状態となるまでの時間(TClose)が、最低、0.5秒となるように、より具体的には、係る時間(TClose)が約5秒となるように、流量制御手段46によって、第2流路44内を流れる加圧用流体の流量を制御する。また、加圧用流体供給弁43が開状態となった後、圧力センサー45の圧力検出値がP2となるまでの時間(TClose)が10秒を越えたときには、加圧用流体供給弁43を強制的に閉状態とし、安全性を確保する。
尚、流路絞り手段を、代替的に、SC=0.1mm2、LC=5mmである、一種のオリフィス(流体絞り)とすることもできるし、SC=1mm2、LC=1000mmである細長い配管とすることもできる。
また、加圧用流体供給弁43、圧力センサー45、流量制御手段46の配置を、加圧用流体供給源側(上流側)からガス注入ノズル20側(下流側)に向かって、
流量制御手段46 → 加圧用流体供給弁43 → 圧力センサー45
とした。
以下、実施例1の射出成形方法を説明するが、実施例1にあっては、金型に設けられたキャビティ13内に射出する溶融熱可塑性樹脂の量を、キャビティ13を完全には満たさない量とした。即ち、所謂、ショートショット法を採用した。
実施例1にあっては、成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧用流体の圧力値P1に基づき、キャビティ13内にゲート部14から射出された溶融熱可塑性樹脂内に注入すべき加圧用流体の圧力センサー45における圧力値P2(但し、P1≦P2)を予め決定しておく。具体的には、
1=1.8×107Pa(182kgf/cm2−G)
2=1.8×107Pa(182kgf/cm2−G)
で同圧ある。実施例1における金型組立体10の構成、構造上、加圧用流体供給弁43を閉状態とする操作が開始された後、直ちに加圧用流体供給弁43が閉状態とはならず、キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂内に形成された中空部内の圧力が増加し、P2を越えてしまう。即ち、圧力センサー45の圧力検出値がP2となったとき加圧用流体供給弁43を閉状態とするが、圧力センサー45の圧力検出値がP2となったときから加圧用流体供給弁43が閉状態となるまでに、装置の仕様上、若干の時間(Δt)を要するので、圧力センサー45の圧力検出値がP2となったと同時に加圧用流体供給弁43が閉状態とはならない。また、配管の圧力損失の影響で、加圧用流体供給弁43が閉状態となった後でも、圧力センサー45の圧力検出値が若干増加する。従って、圧力値に高い精度が必要とされる場合には、加圧用流体供給弁43を閉状態とする操作開始のタイミングを適宜調整することで、最終的に形成される中空部内の圧力をP2とすることができる。P2の値を、種々の射出試験を行い、上記のとおり決定した。また、圧力センサーの圧力検出値がP2となったときから加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間Δtは約0.5秒である。
実施例1にあっては、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名ユピエースAH40)を用いた。また、加圧用流体として、不活性ガス、具体的には、窒素ガスを用いた。成形品の体積を150cm3、中空部の体積を約40cm3とした。更には、射出条件を、以下の表2のとおりとした。
[表2]
溶融熱可塑性樹脂温度 :270゜C
金型温度 : 80゜C
射出時間 :約6秒
射出溶融熱可塑性樹脂量:約110cm3
[工程−100]
先ず、加圧用流体供給弁43を閉状態としておく。加圧用流体供給源41及び第1流路42内の加圧用流体(加圧窒素ガス)の圧力を3.0×107Pa(305kgf/cm2−G)とした。そして、固定金型部11と可動金型部12とを型締めしてキャビティ13を形成した後、移動装置21の動作によって、ガス注入ノズル20をキャビティ13に向かう方向に移動させ、前進端に位置させた(図1参照)。この状態にあっては、ガス注入ノズル20はキャビティ13に連通している。
[工程−110]
そして、加圧用流体供給弁43を閉じた状態で、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー16内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー16からランナー部及びスプルー部15、ゲート部14を介して、キャビティ13内に溶融熱可塑性樹脂31を射出して、キャビティ13内の一部を溶融熱可塑性樹脂31で充填した(図2の(A)参照)。キャビティ13内への溶融熱可塑性樹脂31の充填割合を約73%とした。射出条件は、表2に示したとおりである。
[工程−120]
溶融熱可塑性樹脂31の射出完了と同時に、加圧用流体供給弁43を開状態とした。これによって、第1流路42及び加圧用流体供給源41に蓄えられていた加圧用流体が、第2流路44及びガス注入ノズル20を介して、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂31内に注入され、中空部32が形成された(図2の(B)参照)。
加圧用流体供給弁43が開状態となると同時に、圧力センサー45の圧力検出値が上昇し始めた。そして、加圧用流体供給弁43が開状態となった時点から、約5秒(=TClose)が経過した後、圧力センサー45の圧力検出値はP2(18MPa)となった。そして、この時点で、加圧用流体供給弁43を閉状態とした。完全に加圧用流体供給弁43が開状態となった時の圧力センサー45の圧力検出値は18.2MPaとなった。この程度の圧力差は誤差といえるので、加圧用流体供給弁43を閉状態とする操作開始のタイミングは特には調整しなかった。
[工程−130]
そして、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化し、溶融熱可塑性樹脂の射出開始から30秒後に、中空部32内の加圧用流体を大気中に放出し、溶融熱可塑性樹脂の射出開始から40秒後に、型開きして金型から成形品を取り出した。成形品には、所望の中空部32が形成されており、ひけ等の外観不良は見られなかった。尚、中空部32内の加圧用流体を大気中に放出するためには、例えば、移動装置21の動作によって、ガス注入ノズル20をキャビティ13から離れる方向に移動させ、後進端に位置させ、キャビティ13内の熱可塑性樹脂とガス注入ノズル20との間に隙間を設ければよい。
尚、加圧用流体供給弁43を閉状態とし、キャビティ13内の熱可塑性樹脂内への加圧用流体の注入を停止してから、中空部32内の加圧用流体を大気中に放出するまで、圧力センサー45の圧力検出値がP1を下回ることはなかった。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2にあっては、加圧用流体が少しずつ漏れている状態であり、P2の値を、P2=2.0×107Pa(203kgf/cm2−G)とした。実施例2にあっては、実施例1の[工程−120]と[工程−130]との間において、以下の工程を実行する。
即ち、圧力センサー45の圧力検出値が所定の値P3(但し、P3<P2)となったとき、加圧用流体供給弁43を再び開状態とし、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂31内に、加圧用流体をガス注入ノズル20から注入する。尚、P3の値を、1.8×107Pa(182kgf/cm2−G)とした。そして、圧力センサー45の圧力検出値が所定の値P4(但し、P4>P3)となったとき、加圧用流体供給弁43を再び閉状態とした。尚、P4の値を、2.0×107Pa(203kgf/cm2−G)とした。実施例2にあっては、この工程を1回、繰り返した。
実施例2においても、成形品には、所望の中空部32が形成されており、ひけ等の外観不良は見られなかった。また、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、加圧用流体供給弁43を一度閉状態とし、キャビティ13内の熱可塑性樹脂内への加圧用流体の注入を一度停止してから、中空部32内の加圧用流体を大気中に放出するまで、圧力センサー45の圧力検出値がP1を下回ることはなかった。
実施例3も実施例1の変形である。但し、実施例3にあっては、複数(具体的には、3つ)の流量制御手段46A,46B,46Cを配置し、加圧用流体供給弁、第1流路、第2流路、及び、圧力センサーを複数組(具体的には3組)、備えた金型組立体(実施例3においてはキャビティ13は1つ)とした。但し、複数のキャビティとすることもできるし、例えば、図4に示すように金型組立体を複数とすることもできる。実施例3の金型組立体10の概念図を図3に示すように、流量制御手段46A,46B,46Cを、加圧用流体供給源41から3本に分岐された後の第1流路42A,42B,42Cの途中に配置した。流量制御手段46を、3本に分岐する前の第1流路42の途中に配置してもよい。3本の第2流路44A,44B,44Cは、それぞれ、3本のガス注入ノズル20A,20B,20Cに接続されている。
流量制御手段46A、加圧用流体供給弁43A、第1流路42A、第2流路44A、及び、圧力センサー45Aの組にあっては、キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂31内に注入すべき加圧用流体の圧力センサーにおける圧力値P2-Aの値を、2.0×107Pa(203kgf/cm2−G)とした。また、流量制御手段46B、加圧用流体供給弁43B、第1流路42B、第2流路44B、及び、圧力センサー45Bの組にあっては、キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂31内に注入すべき加圧用流体の圧力センサーにおける圧力値P2-Bの値を、2.0×107Pa(203kgf/cm2−G)とした。更には、流量制御手段46C、加圧用流体供給弁43C、第1流路42C、第2流路44C、及び、圧力センサー45Cの組にあっては、キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂31内に注入すべき加圧用流体の圧力センサーにおける圧力値P2-Cの値を、2.0×107Pa(203kgf/cm2−G)とした。また、P1の値を、実施例1と同様に、1.8×107Pa(182kgf/cm2−G)とした。
実施例3にあっては、実施例1の[工程−120]と同様の工程において、以下の工程を実行する。
即ち、溶融熱可塑性樹脂31の射出完了と同時に、加圧用流体供給弁43A,43B,43Cを開状態とする。これによって、第1流路44,42A,42B,42C及び加圧用流体供給源41に蓄えられていた加圧用流体が、それぞれの第2流路44A,44B,44C、及び、ガス注入ノズル20A,20B,20Cを介して、キャビティ13内の溶融熱可塑性樹脂31内に注入され、中空部32が形成される。加圧用流体供給弁43A,43B,43Cが開状態となると同時に、それぞれの圧力センサー45A,45B,45Cの圧力検出値が上昇し始める。そして、加圧用流体供給弁43A,43B,43Cが開状態となった時点から、約5秒が経過した後、それぞれの圧力センサー45A,45B,45Cの圧力検出値はP2-A,P2-B,P2-Cとなる。そして、この時点で、それぞれの加圧用流体供給弁43A,43B,43Cを閉状態とする。実施例3にあっては、P2-A,P2-B,P2-Cを同圧、加圧用流体供給弁43A,43B,43Cを開状態とするタイミングを同時としたが、成形品の形状によっては異なる場合もある。また、加圧用流体供給弁43A,43B,43Cが開状態となった時点から、それぞれの圧力センサー45A,45B,45Cの圧力検出値がP2-A,P2-B,P2-Cとなるまでの時間がほぼ同じであるが、成形品形状や、配管の圧力損失等の影響によっては、異なる場合もある。
その後、実施例1の[工程−130]と同様の工程を実行する。
実施例3においても、成形品には、所望の中空部32が形成されており、ひけ等の外観不良は見られなかった。また、実施例1の[工程−130]と同様の工程において、加圧用流体供給弁43A,43B,43Cを閉状態とし、キャビティ13内の熱可塑性樹脂内への加圧用流体の注入を停止してから、中空部32内の加圧用流体を大気中に放出するまで、それぞれの圧力センサー45A,45B,45Cの圧力検出値がP1を下回ることはなかった。
以上、本発明を、実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した加圧用流体供給装置や金型装置の構造、実施例にて使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件、成形品の大きさ等は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、1台の加圧用流体供給装置で1つの金型装置に加圧用流体を供給する構成を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、1台の加圧用流体供給装置で複数の金型装置に加圧用流体を供給することもできる。また、第1流路(但し、流路絞り手段よりも上流側)に加圧用流体蓄積タンクが配置されていてもよく、これによって、加圧用流体の供給の安定化を図ることができる。
図1は、実施例1での使用に適した金型組立体を模式的に示す図である。 図2の(A)及び(B)は、実施例1の射出成形方法を説明するための金型組立体の概念図である。 図3は、実施例3での使用に適した金型組立体を模式的に示す図である。 図4は、実施例3で金型組立体を複数とした場合を模式的に示す図である。
符号の説明
10・・・金型組立体、11・・・固定金型部、12・・・可動金型部、13・・・キャビティ、14・・・ゲート部、15・・・ランナー部及びスプルー部、16・・・射出用シリンダー、20・・・ガス注入ノズル、21・・・移動装置、31・・・溶融熱可塑性樹脂、32・・・中空部、40・・・加圧用流体供給装置、41・・・加圧用流体供給源、42,42A,42B,42C・・・第1流路、43,43A,43B,43C・・・加圧用流体供給弁、44,44A,44B,44C・・・第2流路、45,45A,45B,45C・・・圧力センサー、46,46A,46B,46C・・・流量制御手段

Claims (14)

  1. (A)第1金型部、第2金型部、及び、第1金型部に設けられた溶融樹脂射出部を備え、第1金型部と第2金型部との型締めによってキャビティが形成される金型と、
    (B)キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧用流体を注入するための加圧用流体注入手段、
    とを備えた金型装置、並びに、
    (C)加圧用流体供給装置、
    を備えた金型組立体であって、
    加圧用流体供給装置は、
    (C−1)加圧用流体供給源、
    (C−2)加圧用流体供給弁、
    (C−3)加圧用流体供給源と加圧用流体供給弁とを結ぶ第1流路、
    (C−4)加圧用流体供給弁と加圧用流体注入手段とを結ぶ第2流路、
    (C−5)キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に注入される加圧用流体の圧力を測定するための圧力センサー、並びに、
    (C−6)第1流路及び/又は第2流路の途中に配置され、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御するための流量制御手段、
    から構成されている金型組立体を用いた、中空部を有する成形品の射出成形方法であって、
    (a)成形品に中空部を形成するために必要とされる加圧用流体の圧力値P1に基づき、キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂内に注入すべき加圧用流体の圧力センサーにおける圧力値P2(但し、P1≦P2)を予め決定しておき、
    (b)加圧用流体供給弁を閉じた状態で、キャビティ内に溶融樹脂射出部から溶融熱可塑性樹脂を射出し、
    (c)溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、若しくは、射出完了後、加圧用流体供給弁を開状態とし、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に、加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し始め、
    (d)圧力センサーの圧力検出値がP2となったとき、加圧用流体供給弁を閉状態とし、
    (e)キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化する、
    ことを特徴とする中空部を有する成形品の射出成形方法。
  2. 前記工程(d)の後、
    (f−1)圧力センサーの圧力検出値が所定の値P3(但し、P3<P2)となったとき、加圧用流体供給弁を再び開状態とし、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に、加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し、
    (f−2)圧力センサーの圧力検出値が所定の値P4(但し、P4>P3)となったとき、加圧用流体供給弁を再び閉状態とする、
    工程を所望の回数、繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  3. 1<P2であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  4. 加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し始めてから、圧力センサーの圧力検出値がP2となり、加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間が、最低、0.5秒となるように、流量制御手段によって、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  5. 加圧用流体供給弁が開状態となった後、圧力センサーの圧力検出値がP2となるまでの時間が10秒を越えたとき、加圧用流体供給弁を強制的に閉状態とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  6. 流量制御手段は、流路絞り手段から構成されており、
    加圧用流体を加圧用流体注入手段から注入し始めてから、圧力センサーの圧力検出値がP2となり、且つ、加圧用流体供給弁が閉状態となるまでの時間が、0.5秒以上、10秒以下となるように、流路絞り手段の流路絞り量を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  7. 流量制御手段は、ニードル弁又は絞り弁から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  8. 流量制御手段は管から構成されており、
    管の断面積をSC(mm2)、管の長さをLC(mm)としたとき、
    1×10-5≦(SC/LCの最大値)≦1×10-1
    を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  9. 圧力センサーは、第2流路に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の中空部を有する成形品の射出成形方法。
  10. (A)第1金型部、第2金型部、及び、第1金型部に設けられた溶融樹脂射出部を備え、第1金型部と第2金型部との型締めによってキャビティが形成される金型と、
    (B)キャビティ内に溶融樹脂射出部から射出された溶融熱可塑性樹脂内に加圧用流体を注入するための加圧用流体注入手段、
    とを備えた金型装置、並びに、
    (C)加圧用流体供給装置、
    を備えた金型組立体であって、
    加圧用流体供給装置は、
    (C−1)加圧用流体供給源、
    (C−2)加圧用流体供給弁、
    (C−3)加圧用流体供給源と加圧用流体供給弁とを結ぶ第1流路、
    (C−4)加圧用流体供給弁と加圧用流体注入手段とを結ぶ第2流路、
    (C−5)キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内に注入される加圧用流体の圧力を測定するための圧力センサー、並びに、
    (C−6)第1流路及び/又は第2流路の途中に配置され、第1流路及び第2流路内を流れる加圧用流体の流量を制御するための流量制御手段、
    から構成されていることを特徴とする金型組立体。
  11. 流量制御手段は、絞り量を制御することができる流路絞り手段から構成されていることを特徴とする請求項10に記載の中空部を有する金型組立体。
  12. 流量制御手段は、ニードル弁又は絞り弁から構成されていることを特徴とする請求項10に記載の金型組立体。
  13. 流量制御手段は管から構成されており、
    管の断面積をSC(mm2)、管の長さをLC(mm)としたとき、
    1×10-5≦(SC/LCの最大値)≦1×10-1
    を満足することを特徴とする請求項10に記載の金型組立体。
  14. 圧力センサーは、第2流路に配置されていることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の金型組立体。
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