JP2008193935A - エタノールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物によってキシロースを効率的に用いてエタノールを製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、エタノールを製造する方法を提供し、この方法は、2個以上のグルコースからなる糖およびキシロースを含む培地において、該糖を分解する酵素の存在下で、グルコースおよびキシロースを資化できる微生物により発酵させる工程を含む。本発明はまた、上記方法において有用に用いられる酵母も提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、微生物発酵を用いてエタノールを製造する方法に関する。
近年、バガスおよびコーンファイバーのようなソフトバイオマスから、微生物による発酵を利用してエタノールを生産することが求められている。ソフトバイオマスの繊維には、セルロースおよびヘミセルロースが含まれている。セルロースは、六炭糖のグルコースがβ−1,4グルコシド結合した多糖である。ヘミセルロースは、種々の糖が結合した多糖であり、構成糖として五炭糖(例えば、キシロース)が含まれる。グルコースが強固にβ−1,4グルコシド結合しているセルロースに比べて、ヘミセルロースは構成糖の結合が弱い。そのため、加熱などにより比較的に容易に加水分解するので、バイオマス中にキシロースが生じやすい。
エタノールの生産性が最も優れているとされている酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、六炭糖のグルコースを資化できるが、五炭糖のキシロースは資化できない。サッカロマイセス・セレビシエがグルコースのみならずキシロースも資化できれば、エタノールの収率はさらに増大すると考えられる。
キシロースを資化するサッカロマイセス・セレビシエを作製する試みがこれまでになされている(非特許文献1)。キシロースレダクターゼ(XR)遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)遺伝子(ともにピチア・スチピチス(Pichia stipitis)由来)ならびにキシルロキナーゼ(XK)遺伝子(サッカロマイセス・セレビシエ由来)を発現するサッカロマイセス・セレビシエが作製され、キシロースを資化してエタノールを生成できることが確認されている(非特許文献2〜7)。
しかし、このような酵母を用いたエタノールの生産方法にはいずれも、キシロースの利用性、副産物の生成、酵母の生育性などに関して、未だ改良の余地がある。
また、キシラン分解酵素であるトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来キシラナーゼII(XYNII)およびアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来β−キシロシダーゼ(XylA)を表層提示し、かつXR遺伝子、XDH遺伝子およびXK遺伝子を発現するサッカロマイセス・セレビシエが作製され、この酵母を用いて樺材のキシランからエタノールを生産する試みもなされている(非特許文献8)。しかし、非特許文献8では、ヘミセルロースとデンプンまたはセルロースとの共存に関しては全く検討していない。
国際特許出願公開第02/42483号公報 国際特許出願公開第03/016525号公報 国際特許出願公開第01/79483号公報 M. Sondereggerら, Biotechnology and bioengineering, 2004年, 87巻, 90-8頁 N. W. Y. Hoら, Applied and Environmental Microbiology, 1998年, 64巻, 1852-1859頁 A. Eliassonら, Applied and Environmental Microbiology, 2000年, 66巻, 3381-3386頁 M. H. Toivariら, Metabolic Engineering, 2001年, 3巻, 236-249頁 M. Sedlakら, Appl. Biochem. Biotechnol., 2004年, 113-116巻, 403-16頁 B. Johanssonら, Applied and Environmental Microbiology, 2001年, 67巻, 4249-4255頁 Y. S. Jinら, Applied and Environmental Microbiology, 2003年, 69巻, 495-503頁 S. Katahiraら, Applied and Environmental Microbiology, 2004年, 70巻, 5407-5414頁 Appl. Microbiol. Biotech., 2002年, 60巻, 469-474頁 Applied and Environmental Microbiology, 2002年, 68巻, 4517-4522頁 T. Kanaiら, Appl. Microbiol. Biotechnol., 1996年, 44巻, 759-765頁 H. Sawai-Hatanakaら, Biosci. Biotechnol. Biochem., 1995年, 59巻, 1221-1228頁 S. Takahashiら, Appl. Microbiol. Biotechnol., 2001年, 55巻, 454-462頁 P. N. Lipkeら, Mol. Cell. Biol., 1989年8月, 9(8), 3155-65頁 Y. Fujitaら, Applied and Environmental Microbiology, 2002年, 68巻, 5136-41頁
本発明は、微生物によってキシロースを効率的に資化してエタノールを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、エタノールを製造する方法を提供する。この方法は、2個以上のグルコースからなる糖およびキシロースを含む培地において、該糖を分解する酵素の存在下で、グルコースおよびキシロースを資化できる微生物により発酵させる工程を含む。
1つの実施態様では、上記微生物は、酵母である。
さらなる実施態様では、上記グルコースおよびキシロースを資化できる酵母は、キシロース資化性遺伝子を有するサッカロマイセス・セレビシエである。
別の実施態様では、上記酵素は、上記微生物の細胞表層に提示されている。
さらに別の実施態様では、上記培地は、キシロース量(重量基準)に対してグルコースを40%未満の量で含む。
本発明はまた、キシロース資化性遺伝子を有し、かつデンプン分解酵素および/またはセルロース分解酵素が細胞表層に提示されている、サッカロマイセス・セレビシエ酵母を提供する。
本発明の方法によれば、これまで有効利用されなかったキシロース(例えば、ヘミセルロースに由来するキシロース)を効率的に用いてエタノールを製造し得る。そのような製造方法に好適に用いられる酵母もまた提供される。
本発明において、「2個以上のグルコースからなる糖およびキシロースを含む培地」は、微生物に発酵を開始させる際に発酵培地中にキシロースと2個以上のグルコースからなる糖とが共存している任意の状態をいう。本発明において、「2個以上のグルコースからなる糖」とは、2個以上のグルコースが結合されてなる任意の糖をいう。少数(例えば、2〜5個)の糖でなるオリゴ糖が好ましく、より好ましくは二糖である。結合は、α−1,4グルコシド結合またはβ−1,4グルコシド結合のいずれでもあり得る。このような糖としては、グルコースがα−1,4グルコシド結合されてなるデンプンおよびその分解産物、ならびにグルコースがβ−1,4グルコシド結合されてなるセルロースおよびその分解産物が挙げられる。
セルロースは、エンド−β1,4−グルカナーゼ(分子内部から切断する)、セロビオヒドロラーゼ(還元末端または非還元末端のいずれかから分解してセロビオースを遊離する)などによって分解され、セロオリゴ糖を生成し得る。セロオリゴ糖は、セルロースの非還元末端からグルコース単位を切り離していくエキソ型の加水分解酵素であるβ−グルコシダーゼによって、グルコースにまで分解され得る。
デンプンは、α−アミラーゼ(分子内部から切断する)、β−アミラーゼ(非還元末端から分解してマルトースを遊離する)、エキソイソマルトトリオヒドロラーゼなどによって分解され、マルトオリゴ糖を生成し得る。さらに、マルトオリゴ糖は、デンプンの非還元末端からグルコース単位を切り離していくエキソ型の加水分解酵素であるグルコアミラーゼによって、グルコースにまで分解され得る。
キシロースは、ヘミセルロースから、β−キシロシダーゼ、キシラナーゼなどのキシラン分解酵素を用いて得られ得る。必要に応じて、アラビノースを含む側鎖を切断および除去するために、アラビノフラノシダーゼがさらに用いられ得る。
本発明の方法における培地は、セルロースおよび/またはデンプン、ならびにヘミセルロースの分解によって生じる産物を含み得る。この分解は、加熱、酸もしくはアルカリによる加水分解、酵素分解などのいずれでもあり得る。セルロースおよび/またはデンプンの分解またはヘミセルロースの分解工程と、微生物による発酵基質からのエタノール生産工程とは、前後に独立しても、同時に並行して行われてもよい。
上記の微生物の発酵基質は、例えば、アルコール発酵に従来から用いられている、デンプンを多く含む植物材料(トウモロコシ、米など)にも由来し得る。このような植物材料に含まれ得るデンプンおよびヘミセルロースをエタノール生産に利用し得る。例えば、蒸煮することにより、デンプンおよびヘミセルロースを分解した後、発酵を行い得る。
本発明の方法において、微生物の発酵基質は、バイオマスに含まれるリグノセルロースに由来し得る。リグノセルロースは、セルロースおよびヘミセルロース、ならびにリグニンを含む。よって、リグノセルロースからリグニンのような非糖化部を除去した後のセルロースおよびヘミセルロースも、本発明の方法において利用され得る。例えば、セルロースとヘミセルロースとの分解を比較した場合、比較的結合が弱いヘミセルロースの方が、セルロースよりも容易に分解され得る。セルロースは、グルコースのみがβ−1,4グルコシド結合した直鎖状の分子であり、各々の鎖が水素結合で固く結びついており、強固である。このことを利用して、リグノセルロース由来の基質においてキシロースを優先的に得て、キシロース多、グルコース少という状態が作られ得る。
本発明の方法では、微生物が発酵を開始する際に、発酵の基質としてキシロースを利用できることが重要である。発酵の進行とともに、培地中のキシロースは発酵基質として消費され、そして2個以上のグルコースからなる糖は、該糖を分解する酵素によってグルコースに分解された後、発酵基質として利用され得る。「2個以上のグルコースからなる糖およびキシロースを含む培地」には、酵母がキシロースを資化することを妨害されない程度であれば、グルコースが含まれていてもよい。発酵培地中、グルコースは、キシロース量(質量基準)に対して40%未満の量であることが好ましい。より好ましくは20%未満の量、なおより好ましくは、10%未満の量、さらにより好ましくは、4%未満の量である。例えば、以下の実施例に記載されるように、発酵培地中にキシロースが50g/lの場合、グルコースは、同培地中に20〜50g/lで含まれ得る。したがって、エタノール生産に通常用いられる上記デンプンを多く含む材料由来の基質の場合、予めデンプンを消費し尽した後の残渣を、本発明の基質として用いてもよい。この残渣中にキシロースが存在していれば、このキシロースからエタノールを生産できる。
本発明において「糖を分解する酵素」としては、デンプン分解酵素およびセルロース分解酵素が挙げられる。
デンプン分解酵素としては、マルトオリゴ糖まで分解し得るα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、エキソイソマルトトリオヒドロラーゼなど、およびグルコース単位まで分解するグルコアミラーゼが挙げられる。本発明においては、グルコースを生産するために、グルコアミラーゼが存在することが好ましい。
セルロース分解酵素としては、セロオリゴ糖まで分解し得るエンド−β1,4−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼなど、およびセルロース単位まで分解するβ−グルコシダーゼが挙げられる。本発明においては、グルコースを生産するために、β−グルコシダーゼが存在することが好ましい。
本発明の方法では、酵素自体を発酵培地に添加してもよく、または酵素を産生する微生物を利用してもよい。このような微生物は、酵素を天然に産生し得る微生物を利用しても、または遺伝子組換えによって作製されてもよい。微生物を利用する場合、産生された酵素は、細胞外に分泌され得るか、または細胞表層に提示され得る。好ましくは、以下に説明するような、酵素が細胞表層に提示された発酵微生物が用いられ得る。
本発明の方法で用いられる微生物は、グルコースおよびキシロースの両方を資化できる微生物である限り特に制限はなく、酵母が好ましく用いられる。エタノールの生産性の点で、サッカロマイセス・セレビシエが好ましい。この酵母は、通常は六炭糖のグルコースを資化できるが、五炭糖のキシロースは資化できない。選抜スクリーニング、変異誘発、遺伝子組換えなどによって、キシロースを資化できるように改変されたサッカロマイセス・セレビシエが用いられる。サッカロマイセス・セレビシエは、キシロース資化性遺伝子を有するように形質転換され得る。キシロース資化性遺伝子としては、キシロース代謝系酵素の遺伝子、例えば、キシロースレダクターゼ(XR)遺伝子(例えば、ピチア・スチピチス由来:INSDアクセッション番号X59465またはA16164)、およびキシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)遺伝子(例えば、ピチア・スチピチス由来:INSDアクセッション番号X55392またはA16166)、およびキシルロキナーゼ(XK)遺伝子(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ由来:INSDアクセッション番号X82408)が挙げられる。これらの3つの遺伝子を発現するように遺伝子組換えされたサッカロマイセス・セレビシエが、好ましく用いられ得る。
酵素が細胞表層に提示された微生物を作出する方法としては、(a)細胞表層局在タンパク質のGPIアンカーを介して細胞表層に提示する方法、(b)細胞表層局在タンパク質の糖鎖結合タンパク質ドメインを介して細胞表層に提示する方法、および(c)ペリプラズム遊離型タンパク質(他のレセプター分子または標的レセプター分子)を介して細胞表層に提示する方法がある。
用いられ得る細胞表層局在タンパク質としては、酵母の性凝集タンパク質であるα−またはa−アグルチニン(GPIアンカーとして使用)、Flo1タンパク質(Flo1タンパク質は、N末端側のアミノ酸長を種々改変して、GPIアンカーとして使用し得る:例えば、Flo42、Flo102、Flo146、Flo318、Flo428など;非特許文献9:なお、Flo1326とは、全長Flo1タンパク質を表す)、Floタンパク質(GPIアンカー機能を有さず凝集性を利用する、FloshortまたはFlolong;非特許文献10)、ペリプラズム局在タンパク質であるインベルターゼ(GPIアンカーを利用しない)などが挙げられる。
まず、(a)GPIアンカーを利用する方法について説明する。GPIアンカーにより細胞表層に局在するタンパク質をコードする遺伝子は、N末端側から順に、分泌シグナル配列、細胞表層局在タンパク質(糖鎖結合タンパク質ドメイン)、およびGPIアンカー付着認識シグナル配列をそれぞれコードする遺伝子を有している。細胞内でこの遺伝子から発現された細胞表層局在タンパク質(糖鎖結合タンパク質)は、分泌シグナルにより細胞膜外へ導かれ、その際、GPIアンカー付着認識シグナル配列は、選択的に切断されたC末端部分を介して細胞膜のGPIアンカーと結合して細胞膜に固定される。その後、PI−PLCにより、GPIアンカーの根元付近で切断され、細胞壁に組み込まれて細胞表層に固定され、細胞表層に提示される。
ここで、GPIアンカーとは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)と呼ばれるエタノールアミンリン酸−6マンノースα1−2マンノースα1−6マンノースα1−4グルコサミンα1−6イノシトールリン脂質を基本構造とする糖脂質をいい、PI−PLCとは、ホスファチジルイノシトール依存性ホスホリパーゼCをいう。
GPIアンカー付着認識シグナル配列とは、GPIアンカーが細胞表層局在タンパク質と結合する際に認識される配列であり、通常、細胞表層局在タンパク質のC末端あるいはその近傍に位置する。GPIアンカー付着シグナル配列としては、例えば酵母のα−アグルチニンのC末端部分の配列が好適に用いられる。上記α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列のC末端側には、GPIアンカー付着認識シグナル配列が含まれるので、上記方法に使用する遺伝子としては、このC末端から320アミノ酸の配列をコードするDNA配列が特に有用である。
したがって、例えば、分泌シグナル配列をコードするDNA−細胞表層局在タンパク質をコードする構造遺伝子−GPIアンカー付着認識シグナルをコードするDNA配列を有する配列において、この細胞表層局在タンパク質をコードする構造遺伝子の全部または一部の配列を、目的とする酵素をコードするDNA配列に置換することにより、GPIアンカーを介して目的の酵素を細胞表層に提示するための組換えDNAが得られる。細胞表層局在タンパク質がα−アグルチニンである場合、上記α−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列を残すように、目的の酵素をコードするDNAを導入することが好ましい。このようなDNAを酵母に導入して発現させることによって細胞表層に提示された酵素は、そのC末端側が表層に固定されている。
次に、(b)糖鎖結合タンパク質ドメインを利用する方法について説明する。細胞表層局在タンパク質が糖鎖結合タンパク質である場合、その糖鎖結合タンパク質ドメインは、複数の糖鎖を有し、この糖鎖が細胞壁中の糖鎖と相互作用または絡み合うことによって、細胞表層に留まることが可能である。例えば、レクチン、レクチン様タンパク質などの糖鎖結合部位などが挙げられる。代表的には、GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメイン、FLOタンパク質の凝集機能ドメインが挙げられる。GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインとは、GPIアンカリングドメインよりもN末端側にあり、複数の糖鎖を有し、凝集に関与していると考えられているドメインをいう。
この細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)と目的の酵素とを結合することにより、細胞表層に酵素が提示される。目的の酵素の種類により、細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)の(1)N末端側に酵素を結合させる、(2)C末端側に酵素を結合させる、および(3)N末端側およびC末端側の両方に、同一または異なる酵素を結合させることができる。本発明においては、(1)分泌シグナル配列をコードするDNA−目的とする酵素をコードする遺伝子−細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)をコードする構造遺伝子;あるいは(2)分泌シグナル配列をコードするDNA−細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)をコードする構造遺伝子−目的とする酵素をコードする遺伝子、を作成することにより、細胞表層に目的の酵素を提示するための組換えDNAが得られる。凝集機能ドメインを利用する場合、GPIアンカーは細胞表層の提示には関与しないので、組換えDNA中に、GPIアンカー付着認識シグナル配列をコードするDNA配列は、一部のみ存在してもよいが、存在しなくてもよい。また、凝集機能ドメインを用いる場合は、ドメインの長さを調節しやすいため(例えば、FloshortまたはFlolongのいずれかを選択できる)、より適切な長さで酵素を細胞表層に提示できる点で、ならびに酵素のN末端またはC末端のどちらの側でも結合させることが可能な点で、非常に有用である。
次に、(c)ペリプラズム遊離型タンパク質(他のレセプター分子または標的レセプター分子)を利用する方法について説明する。この場合は、目的とする酵素を、ペリプラズム遊離型タンパク質との融合タンパク質として細胞表層に発現させ得ることに基づく。ペリプラズム遊離型タンパク質としては、例えば、インベルターゼ(Suc2タンパク質)が挙げられる。目的の酵素は、これらのペリプラズム遊離型タンパク質に応じて、適宜N末端またはC末端側に融合され得る。
上記のようなキシロース資化性遺伝子も細胞内で発現されるように遺伝子構築物が導入される。
遺伝子構築物は、微生物に適切なクローニングベクターおよび発現ベクター中に組込まれる。このような適切なベクターは当該技術分野で公知であり、微生物での発現に必要なエレメントが適宜含まれている。微生物への遺伝子構築物の導入とは、細胞の中に遺伝子構築物を導入し、発現させることを意味する。遺伝子構築物の導入の方法としては、形質転換、形質導入、トランスフェクション、コトランスフェクション、エレクトロポレーションなど、当業者に公知の種々の方法があり、具体的には、酢酸リチウムを用いる方法、プロトプラスト法などがある。導入される遺伝子構築物は、プラスミドの形態で、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれてもよい。遺伝子構築物が導入された細胞は、選択マーカー(例えばTRP)で選択され、発現されたタンパク質の活性を測定することにより選択される。タンパク質が細胞表層に固定されていることは、例えば、抗タンパク質抗体とFITC標識抗IgG抗体とを用いる免疫抗体法によって確認し得る。
表層提示されるデンプン分解酵素としては、例えば、グルコアミラーゼ1種のみ、およびグルコアミラーゼとα−アミラーゼとの組合せが挙げられる。グルコアミラーゼ1種のみを細胞表層に提示する場合、その宿主微生物は、好ましくは、α−アミラーゼを分泌するようにさらに形質転換され得る。上記デンプン分解酵素の細胞表層提示は、例えば、特許文献1または2の記載に従って実施され得る。
表層提示されるセルロース分解酵素としては、例えば、β-グルコシダーゼ1種のみ、エンドβ1,4-グルカナーゼとβ-グルコシダーゼとの組合せ、セロビオヒドロラーゼとβ-グルコシダーゼとの組合せ、およびエンドβ1,4-グルカナーゼとセロビオヒドロラーゼとβ-グルコシダーゼとの組合せが挙げられる。上記セルロース分解酵素の細胞表層提示は、例えば、特許文献3の記載に従って実施され得る。
さらに、β−キシロシダーゼ、キシラナーゼなどのキシラン分解酵素もまた細胞表層に提示させ得る。このような酵素としては、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)由来キシラナーゼII(XYNII)およびアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来β−キシロシダーゼ(XylA)が挙げられる。キシラン分解酵素の細胞表層提示は、例えば、非特許文献8の記載に従って実施され得る。
細胞表層提示を意図する酵素が複数ある場合、各酵素を細胞表層に提示する微生物を組み合わせて用いても、あるいはそれらの酵素の組合せを細胞表層に提示するように組換えられた微生物を用いてもよい。
キシロース資化性遺伝子を有し、かつデンプン分解酵素および/またはセルロース分解酵素が細胞表層に提示されたサッカロマイセス・セレビシエ酵母は、上述したようにして得られ得る。
本発明の方法で使用される微生物および必要な場合、酵素は、好ましくは、担体に固定される。そのことにより、再使用が可能となる。
酵素を固定する担体および方法は、当業者が通常用いる担体および方法が用いられ、例えば、担体結合法、包括法、架橋法などが挙げられる。
微生物を固定する担体としては、多孔質体が好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリルアミド、ポリビニルフォルマール樹脂多孔質体、シリコンフォームなどの発泡体あるいは樹脂が好ましい。多孔質体の開口部の大きさは、用いる微生物およびその大きさを考慮して決定すればよい。酵母の場合、50〜1000μmが好ましい。
また、担体の形状は問わない。担体の強度、培養効率などを考慮すると、球状あるいは立方体が好ましい。大きさは、用いる微生物により決定すればよいが、一般には、球状の場合、直径が2〜50mm、立方体状の場合、2〜50mm角が好ましい。
本発明の方法に使用されるグルコースおよびキシロースを資化できる微生物は、発酵に供する前に好気的条件下で培養することにより、その数を増加させ得る。培地は、選択培地であっても非選択培地であってもよい。培養時の培地のpHは、好ましくは約4.0〜約6.0、最も好ましくは約5.0である。好気的培養時の培地中の溶存酸素濃度は、好ましくは約0.5〜約6ppm、より好ましくは約1〜約4ppm、最も好ましくは約2.0ppmである。また、培養時の温度は、約20〜約45℃、好ましくは約25〜約35℃、最も好ましくは約30℃である。培養時間は、菌体濃度が10g/l以上になるまで培養することが好ましく、約20〜約50時間程度である。
本発明の方法では、グルコースおよびキシロースを資化できる微生物を、嫌気的条件下で発酵させて、エタノールを生産させる。この発酵工程の形式としては、回分(バッチ)工程、流加回分工程、繰り返し回分工程、連続工程などが挙げられるが、これらのいずれであってもよい。
嫌気的発酵時の培地中の溶存酸素濃度は、好ましくは約1.0ppm以下、より好ましくは約0.1ppm以下、最も好ましくは約0.05ppm以下である。また、発酵時の温度は、約20〜約45℃、好ましくは約25〜約35℃、最も好ましくは約30℃である。
発酵の進行とともに上記の発酵条件が変化するので、これらを一定の範囲に調節することが好ましい。発酵の経時変化は、例えば、ガスクロマトグラフ、HPLCなどの当業者が通常用いる手段でモニターすればよい。
発酵工程終了後、エタノールを含む培地を発酵槽から抜き取り、例えば、遠心分離機による分離操作および蒸留操作などの当業者が通常用いる分離工程によって、エタノールが単離される。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:キシロース資化性遺伝子を有し、かつβ−グルコシダーゼが細胞表層に提示されたサッカロマイセス・セレビシエの作製)
ともにピチア・スチピチス由来のキシロースレダクターゼ(XR)遺伝子およびキシリトールデヒドロゲナーゼ(XDH)遺伝子であるXYL1(INSDアクセッション番号X59465)およびXYL2(INSDアクセッション番号X55392)、ならびにサッカロマイセス・セレビシエ由来キシルロキナーゼ(XK)遺伝子であるXKS1(INSDアクセッション番号X82408)遺伝子の細胞内発現のためのプラスミドpIUX1X2XK(図1a)を、非特許文献8に記載の手順に基づいて構築した。
マルチコピープラスミドpRS405+2を、プラスミドpRS405(Stratagene)のAatII部位に2μm DNAの部分を含むプラスミドpWI3(非特許文献11)の末端を平滑化した2.24kbのEcoRI-EcoRI DNAフラグメントを導入することにより構築した。プラスミドpYE22m(非特許文献12)由来のグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーターおよびGAPDHターミネーターを含む末端を平滑化した1.3kbのHindIII-HindIII DNAフラグメントを、プラスミドpRS405+2のPvuII部位に導入し、得られたプラスミドをpLGP3と命名した。
ピチア・スチピチス由来XYL1遺伝子を含む0.95kbのSacI-BamHI DNAフラグメント、ピチア・スチピチス由来XYL2遺伝子を含む1.09kbのSacI-BamHI DNAフラグメント、およびサッカロマイセス・セレビシエ由来XKS1遺伝子を含む1.8kbのBamHI-SalI DNAフラグメントを、ピチア・スチピチスおよびサッカロマイセス・セレビシエのゲノムDNAを鋳型として、それぞれXYL1F (SacI)(配列番号1)およびXYL1R (BamHI)(配列番号2);XYL2F (SacI)(配列番号3)およびXYL2R (BamHI)(配列番号4);ならびにXKS1F (BamHI)(配列番号5)およびXKS1R (SalI)(配列番号6)のプライマー対を用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって調製した。なお、本実施例のPCRは、KOD-Plus-DNAポリメラーゼ(東洋紡)を用いて実施した。これらのDNAフラグメントをそれぞれ、プラスミドpWGP3およびpUGP3(ともに非特許文献13)のSacI-BamHIセクション、およびプラスミドpLGP3のBamHI-SalIセクションに導入し、pWPXYL1、pUPXYL2、およびpLXKS1と命名した。
GAPDHプロモーター、XYL1遺伝子、およびGAPDHターミネーターで構成される2.2kbp KpnI-XhoI DNAフラグメントを、pWPXYL1を鋳型として、XYL1cF (KpnI)(配列番号7)およびXYL1cR (XhoI)(配列番号8)のプライマー対を用いてPCRによって調製した。GAPDHプロモーター、XYL2遺伝子、およびGAPDHターミネーターで構成される2.3kbp XhoI-NotI DNAフラグメントを、pUPXYL2を鋳型として、XYL2cF (XhoI)(配列番号9)およびXYL2cR (NotI)(配列番号10)のプライマー対を用いてPCRによって調製した。GAPDHプロモーター、XKS1遺伝子、およびGAPDHターミネーターで構成される3.04kbp NotI-SacII DNAフラグメントを、pLXKS1を鋳型として、XKS1cF (NotI)(配列番号11)およびXKS1cR (SacII)(配列番号12)のプライマー対を用いてPCRによって調製した。これらのDNAフラグメントをプラスミドpRS406(Stratagene)のKpnI-XhoIセクション、XhoI-NotIセクション、およびNotI-SacIIセクションにそれぞれ挿入し、得られたプラスミドをpIUX1X2XKと命名した。
アスペルギルス・アクレアータス(Aspergillus aculeatus)No. F-50由来β−グルコシダーゼBGL1の細胞表層提示のためのプラスミドpIBG13を以下のようにして構築した。bgl1遺伝子をコードする2.5kbp NcoI-XhoI DNAフラグメントを、プラスミドpBG211(京都大学より贈与)を鋳型として使用し、bgl1プライマー1(配列番号13)およびbgl1プライマー2(配列番号14)のプライマー対を用いてPCRによって調製した。このDNAフラグメントをNcoIおよびXhoIで消化し、リゾプス・オリゼ(Rhizopus oryzae)由来グルコアミラーゼ遺伝子の分泌シグナル配列をコードする遺伝子およびα−アグルチニン遺伝子の3’側半分の領域(非特許文献14)を含有する細胞表層発現プラスミドpIHCS(非特許文献15)のNcoI-XhoI部位に挿入した。得られたプラスミドをpIBG13と命名した(図1b)。
上記プラスミドpIUX1X2XKおよびpIBG13を、サッカロマイセス・セレビシエMT8−1(MATa ura3 trp1 ade leu2 his3)に、Yeast Maker(CLONTEC社製)を用いて酢酸リチウム法により導入した。形質転換株はSD培地(6.7g/l yeast nitrogen base w/o amino acids、20g/l グルコース、0.03g/l ロイシン、0.02g/l トリプトファン、0.02g/l アデニン、0.02g/l ウラシル)で選択した。得られた形質転換体をMT8−1/pIUX1X2XK/pIBG13と命名した。この形質転換体は、BGL1を細胞表層に提示している。
(実施例2:形質転換サッカロマイセス・セレビシエのキシロース資化性の検証ならびにグルコースおよびキシロース含有発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによるエタノール生産)
本実施例では、実施例1で調製した形質転換サッカロマイセス・セレビシエがキシロース資化性であること、および実施に際してはグルコースおよびキシロースの共存下での使用が考えられるため、グルコースおよびキシロースが混在する培地におけるエタノールの生産について調べた。
実施例1で調製した酵母形質転換体MT8−1/pIUX1X2XK/pIBG13を、30℃にて48時間、SDC培地(6.7g/l yeast nitrogen base w/o amino acids、20g/l グルコース、20g/l カザミノ酸、0.02g/l ウラシル、0.02g/l ヒスチジン)中で好気的に培養した。それらの細胞を、4℃にて10分間3,000×gで遠心分離することによって回収し、蒸留水で3回洗浄した。
次いで、細胞を、6.7g/l yeast nitrogen base w/o amino acids、20g/l カザミノ酸、および炭素源としての糖を含有する発酵培地に接種した。用いた糖は以下の通りである:キシロース50g/lのみ(図2A);グルコース2g/lおよびキシロース50g/l(図2B);グルコース5g/lおよびキシロース50g/l(図2C);グルコース10 g/lおよびキシロース50g/l(図2D);グルコース20g/lおよびキシロース50g/l(図2E);ならびにグルコース50g/lおよびキシロース50g/l(図2F)。全ての発酵を、気泡CO2排気口を供えた100ml密封ボトル内で、30℃にて、100rpmで穏やかに攪拌しながら実施した。
発酵培地中の初期細胞密度を、OD600が20であるように調整した。発酵の間、細胞の生育を、600nmでの吸光度をモニタリングすることによって観測した。乾燥細胞重量(DW)を以下のように決定した:種々のOD600値に調整した培養ブロス(10ml)を、10分間3,000×gで遠心分離することにより、予め計量しておいた15ml試験管中に沈殿させた。10mlの蒸留水で再懸濁し、そしてさらに遠心分離した後、この沈殿物をFreeZone FZ-1(Labconco, Kansas, MO, USA)で凍結乾燥した。DWを、試験管を再度計量することによって算定した。細胞濃度をOD600とDWとの相関から推定した(0.31g DW/OD600値)。
発酵培地中の糖および糖アルコールを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Shimadzu, Kyoto, Japan)によって分析した。Shim-pack SPR-Pbカラム(Shimadzu)を、屈折率検出器(model RID-10A, Shimadzu)と共に使用した。このHPLCシステムを、移動相として水を用いて流速0.4ml/分で操作した。
エタノール濃度はガスクロマトグラフィーによって測定した。フレームイオン化検出器を取り付けたガスクロマトグラフ(model GC-8A; Shimadzu)を、以下の条件下で操作した:ガラスカラム(3.2mm×2.0m、Thermon-3000 (Shimadzu)を充填);カラム、注入器、および検出器温度180℃;および窒素キャリアガス流速25ml/分。
図2Aから図2Fはそれぞれ、上記各発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。黒丸はグルコース、黒菱形はキシロース、黒四角はエタノール、黒三角はグリセロール、×はキシリトールを表す。左縦軸に発酵培地中のキシロース濃度(g/l)を、右縦軸は生成物の濃度(g/l)を、そして横軸は時間(時間)を示す。
図2Aに示されるように、時間の経過とともに、キシロースは消費され、エタノールが生成した。このように、サッカロマイセス・セレビシエにキシロース代謝系酵素(XR、XDH、およびXK)を付与すると、サッカロマイセス・セレビシエが通常資化できないキシロースを、エタノールへと変換できた。
グルコースが培地に含まれる場合、図2Eに示されるように、グルコースが20g/lの場合、キシロースの資化速度に影響が見られ、そして図2Fに示されるように、グルコースが50g/lの場合では、キシロースの資化速度は著しく減少した。グルコースが20g/l以上であると、キシロースは、100時間経過後もなお残存した(図2E、F)。これは、サッカロマイセス・セレビシエが元来資化し得るグルコースを優先的に取り込み、エタノールへと変換することで、キシロースの資化への経路を阻害するようになったと考えられる。一方、図2Bから図2Dに示されるように、グルコースが10g/lまでの発酵培地では、キシロースの資化にあまり影響がないようであった。
(実施例3:セロビオースおよびキシロースを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによるエタノール生産)
実施例1で調製した形質転換サッカロマイセス・セレビシエMT8−1/pIUX1X2XK/pIBG13を、発酵培地に炭素源として50g/l セロビオースおよび50g/l キシロースを含有すること以外は、実施例2と同様にして、エタノール生産について調べた。
図3は、セロビオースおよびキシロースを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。白三角はセロビオース、黒菱形はキシロース、黒四角はエタノール、黒三角はグリセロール、×はキシリトールを表す。左縦軸に発酵培地中の糖の濃度(g/l)を、右縦軸は生成物の濃度(g/l)を、そして横軸は時間(時間)を示す。時間の経過とともに、キシロースおよびセロビオースは消費され、エタノールが生成された。実施例2のグルコースおよびキシロース共発酵で観察された結果とは異なり、セロビオースおよびキシロースを含む発酵培地では、キシロースが、キシロース単独時と大差なく資化され得た(図3)。
本発明の方法によれば、微生物発酵によるエタノール生産に最も優れているとされているサッカロマイセス・セレビシエにおいて、五炭糖のキシロースを効率的にエタノールに変換できる。本発明の方法は、バガスおよびコーンファイバーのようなソフトバイオマスからの微生物発酵を利用したエタノールの製造に有用であり得る。
プラスミドpIUX1X2XK(a)およびpIBG13(b)の模式図である。 キシロース50g/l含有発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。 グルコース2g/lおよびキシロース50g/lを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。 グルコース5g/lおよびキシロース50g/lを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。 グルコース10g/lおよびキシロース50g/lを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。 グルコース20g/lおよびキシロース50g/lを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。 グルコース50g/lおよびキシロース50g/lを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。 セロビオース50g/lおよびキシロース50g/lを含有する発酵培地における形質転換サッカロマイセス・セレビシエによる発酵の経時変化を示すグラフである。

Claims (6)

  1. エタノールを製造する方法であって、2個以上のグルコースからなる糖およびキシロースを含む培地において、該糖を分解する酵素の存在下で、グルコースおよびキシロースを資化できる微生物により発酵させる工程を含む、方法。
  2. 前記微生物が、酵母である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酵母が、キシロース資化性遺伝子を有するサッカロマイセス・セレビシエである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記酵素が前記微生物の細胞表層に提示されている、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記培地が、キシロース量(重量基準)に対してグルコースを40%未満の量で含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. キシロース資化性遺伝子を有し、かつデンプン分解酵素および/またはセルロース分解酵素が細胞表層に提示されている、サッカロマイセス・セレビシエ酵母。
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