JP2008192919A - シリコン酸化膜の窒化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膜厚1.2nm以下の薄いSiO膜であっても増膜を抑えつつ、より高濃度に窒素を導入する。
【解決手段】 基板表面に形成されたシリコン酸化膜中に窒素を導入して該シリコン酸化膜を窒化する方法において、被処理膜の法線に対して50°以上の角度を持って窒素イオンを照射する工程と、イオン照射量以上の窒素原子を照射する工程とを、同時または交互に行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板表面に形成されたシリコン酸化膜中に窒素を導入してシリコン酸化膜を窒化する方法に関し、特に、シリコン酸化膜の増膜を抑えることが可能な窒化方法に関する。
近年、LSIのデザインルールの微細化にともない、ゲート絶縁膜に厚さ2nm以下のシリコン酸窒化膜が使用され始めている。シリコン酸窒化膜は高比誘電率であり、リーク電流抑制効果やゲート電極からのボロン拡散防止効果を有する。その優れた特性により45nm世代までの使用が確実視されている。
シリコン酸窒化膜の製造方法は、最初にシリコン熱酸化膜を成膜し、後でプラズマを用いて窒素を導入する方法が採用されている。しかし、プラズマを用いたシリコン酸化膜の窒化という手法には大きな問題が発生している。従来技術である、初期膜厚が2.0nm以上のシリコン酸化膜に対しては、充分に低電子温度(2eV以下)のプラズマを用いれば、高濃度且つ低ダメージで膜中に窒素を導入する事が出来た。そして、大きなリーク電流抑制効果やゲート電極からのボロン拡散防止効果、及び酸化膜換算膜厚(EOT)の低減効果が比較的容易に得られていた。
ここで、電子温度が重要となる理由は、電子温度が基板に入射するイオンのエネルギーと関係があるためである。シリコン酸化膜の窒化は、微視的にはSi−O−Si結合のOをNで置換する反応と考える事が出来る。しかし、Si−Oの結合エネルギーは結合1つあたり6.5eVと高いため、前記反応は、主に原子状窒素イオンNの入射により起こると考えられる。実際に分子軌道法による分子動力学計算を行うと、原子状窒素イオンNは約5eV以上の入射エネルギーで酸素との置換反応を起こすという結果が得られている。これは、電子温度に換算すると、約1.2eVに相当する。これより大きいエネルギーでイオンが入射した場合、過剰なエネルギーは、結晶中の他の結合の切断や、置換された酸素原子の運動エネルギーへの転換として消費される。そのため、入射イオンエネルギー(電子温度)は、出来るだけ上記理想値に近い事が望ましいのである。そして、プラズマを低電子温度化する事により、更に薄い膜に対しても、良好な窒化が行われるものと考えられてきた。
しかし、シリコン酸化膜厚が2.0nm未満では、従来法による良好な窒化は難しくなる。特に、シリコン酸化膜厚が1.2nmで、前記プラズマ窒化の手法は一つの壁に直面した。導入できる窒素濃度はピーク値で高々数%となり、それより多くの窒素を導入すると、EOTが増加するという問題点のある事が発見されたのである。そのため、大きな膜質改善効果を得る事が困難となっている。
上記問題点の解決策として、Kr/Nガス系を用いる方法(特許文献1)や、Ar/H/Nを用いる方法(特許文献2)が開示されている。N分子は解離電圧が高いため、一般的に電子温度は高くなるが、解離電圧の低いAr、Kr、Xe等の希ガスを混合する事で、電子温度を下げる事は可能である。実際に、1.0eV程度まで電子温度を下げる事が出来るという報告もなされている。
上記希ガスで希釈する方法は、O/希ガスプラズマを用いた酸化の場合には大きな効果が得られる。即ち、酸化プロセスにおいては、その反応種は酸素原子である。そして、希ガスを添加する事で、希ガスの準安定状態とO分子との間のエネルギー転換で、効率的に反応種である酸素原子が生成されるからである。
一方、N/希ガスの混合ガスを用いたプロセスにおいては、様相は異なる。Nは解離電圧が高いため、反応性の高い窒素原子N及び窒素原子イオンNはほとんど生成されない。一方で、反応性の低い窒素分子イオンN 及び励起状態の窒素分子と、希ガスイオンが多量に生成される。そのため、上記プラズマを用いてシリコン酸化膜の窒化を行うと、1)Si−O−Si結合のOがNに置換する反応が起こりにくい、2)膜中にNとして取り込まれ、後の熱処理で脱離する、3)膜中に希ガスが取り込まれてしまう、といった問題点が発生する。また、N/希ガスに更にHを添加すると、アンモニアNHまたはアンモニウムイオンNH が多量に生成される。これらの活性種は、Nベースの活性種に比べると反応性は高いため、より多くの窒素を導入する事が出来る。また、多量の水素雰囲気で処理を行うと、膜中のダングリングボンドが水素終端され、初期特性としては良い物が出来る。しかし、長期間使用する事で水素が徐々に抜け、特性が徐々に悪化するという問題点がある。
非常に薄いシリコン酸化膜において、窒化してもEOTが低減しない原因は、発明者らの実験及び考察の結果、以下の通りである事が分かってきた。図12に、従来技術における、基板の窒化方法の模式図を示す。従来は、基板をプラズマと接触させ、プラズマと基板の界面に出来たシースによりイオンを加速して、基板に入射させていた。しかし、シースは基板に対して平行に形成されるため、図12に示すように、プラズマ中の窒素原子イオンNは基板に対してほぼ垂直に入射していた。そして、Si−O−Si結合のO原子と置換する反応が起こった場合、弾き飛ばされたO原子が、運動エネルギーを持って基板内部方向に侵入する、その運動方向も、基板に対してほぼ垂直であった。シリコン酸化膜厚が1.2nm程度になると、弾き飛ばされたO原子は容易にシリコン酸化膜中を突き抜けてシリコン基板にまで到達する。そして、シリコン基板が酸化され、物理膜厚が増大するという現象が起こっていたのである。そのため、1.2nm以下の薄膜に対しては、反応種であるNイオンの入射イオンエネルギーを置換反応の閾値エネルギー以上に上げると、必ずSi基板の酸化による増膜が発生していた。
特許文献3では、イオンではなく窒素ラジカル(活性な窒素原子)を用いて窒化を行う方法が開示されている。イオンのような高い運動エネルギーを持たないラジカルを用いる事で、より浅い窒化が起こると期待される。しかし、我々が行った分子軌道シミュレーションの結果では、窒素原子とSiOとの反応は、低温では挿入反応(Si−O−N−Si結合の生成)のみであり、O原子と置換する反応は全く起こらなかった。また、Si−O−N−Si結合にN原子が近づくと、容易にNとなって脱離してしまう事も分かった。以上の結果から、窒素ラジカルを用いて窒化を行った場合、導入される窒素量はほんの僅かであり、且つSi−O−N−Siという不完全な窒化が起こるため、結晶の歪みが大きく固定電荷の多い膜となると推定される。逆に、安定なSi−N−Si結合を形成するためには、Nイオンの照射が必須である。
特開2002−261091号公報 特開2002−208593号公報 特開2004−6614号公報
以上の様に、膜厚1.2nm以下のSiO膜をNプラズマを用いて窒化した場合、入射イオンエネルギーを低下させても、Si基板の酸化による増膜が起こる為、EOTを減少させる事が出来ない、という問題点があった。また、希ガスや水素を添加したプラズマにおいても、増膜を抑える事は出来ず、更に不完全な結合に起因する窒素抜けや、膜中の希ガスの残留などの問題点も併発していた。
本発明は、上述の従来例における問題点を解消する事を課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明では、基板表面に形成されたシリコン酸化膜中に窒素を導入して該シリコン酸化膜を窒化する方法であって、被処理膜の法線に対して50°以上の角度を持って窒素イオンを照射する工程と、イオン照射量以上の窒素原子を照射する工程とを、同時または交互に行う事を特徴とする。
本発明によれば、薄いシリコン酸化膜において、増膜を抑えつつ、より高濃度に窒素を導入する事が可能となる。
本発明者は、従来のシリコン酸化膜のプラズマ窒化方法における上述した問題点を解決し、上記目的を達成すべく鋭意努力した。その結果、基板表面に対し斜め方向にイオンを入射させ、且つ同時に窒素原子も照射する事で、薄いシリコン酸化膜においても、増膜を抑えつつ高濃度に窒素を導入する事が可能であるという知見を得た。
本発明の好ましい実施の形態では、シリコンウエハ(基板)表面に形成されたシリコン酸化膜中に窒素を導入して該シリコン酸化膜を窒化する。その際、被処理膜の法線に対して50°以上、望ましくは65°以上の角度を持って窒素イオンを照射する工程と、イオン照射量以上の窒素原子を照射する工程とを、同時または交互に行う。なお、被処理膜であるシリコン酸化膜が表面の平坦な基板に形成されている場合、前記法線は、基板に垂直な線である。一方、表面に起伏を持ち、該表面の起伏に沿ってシリコン酸化膜が形成されている場合、被処理膜の垂線は必ずしも基板に垂直ではない。例えば、縦型トランジスタの被処理膜は、基板に垂直である場合があり、その場合、被処理膜の垂線は、基板表面に対し平行である。
本発明において、前記窒素原子の照射量は、イオン照射量の10倍以上である事が好ましい。また、本発明において、前記被処理膜の初期膜厚、即ち基板表面に形成されたシリコン酸化膜の膜厚は2.0nm未満である事が好ましく、1.2nm以下である事が特に好ましい。
本発明の一実施の形態に係るシリコン酸化膜のプラズマ窒化方法を、図1を用いて説明する。図において、101は真空容器、102はラジカル源、103は基板支持台、104は表面にシリコン酸化膜を形成されたウエハ(基板)、105はイオン源を示している。イオン源105は、ウエハ104の法線に対して角度θをもって設置されている。まず、真空容器101を大気開放して、所定の温度に設定された基板支持台103上にウエハ104を設置した後、不図示の排気手段により真空容器101内を1×10−4Pa程度まで排気する。次に、イオン源105にガスを導入してNまたはN イオンを発生させ、これをウエハ104に、その法線に対して角度θをもって入射させる。次に、イオン照射と同時、或いはイオン照射終了後に真空状態を保持したまま連続して、真空容器101の壁に設置したラジカル源102より、窒素原子を発生させ、ウエハ104に照射する。基板支持台103は回転機構を有し、処理中にウエハを最低でも1回以上回転させる事で、イオンの入射方向の偏りを均一化させる事ができる。
斜め方向からの窒素イオンと、窒素原子を同時または連続的に照射する事によって、膜の表面に近い所に窒素を導入する事が出来る理由について、以下に説明する。
まず、半経験的分子軌道法による分子動力学計算を行った結果、窒素プラズマによる、シリコン酸化膜の窒化の微視的メカニズムは、以下の通りであると推定された。
Si-O-Si + N+ + e- → Si-N-Si + O↓ (基板方向へ侵入) 反応式1
Si-O-Si + N+ + e- → Si-N-O-Si 反応式2
Si-N-O-Si + N → Si-N2-O-Si Si-O-Si + N2 ↑ 反応式3
即ち、安定なSi−N−Si結合を形成するためには、Si−O−SiのO原子の位置にNイオンが入射し、Oイオンと置き換わる反応が起こる必要がある。また、それ以外の場所に入射したイオンは、Si−O−N−Siという不完全な結合を形成するが、窒素原子の存在により、安定なSi−O−Si結合に戻る、というモデルである。
上記モデルの妥当性は、以下の実験事実から検証する事が出来る。
1)イオンのドーズ量に対する酸化膜中に取り込まれた窒素の比率(反応確率)の実験値が、0.007と非常に低い(図2)。
2)シリコン酸化膜中に導入される窒素面密度を、ウエハに入射するイオンのドーズ量に対してプロットすると、圧力等処理条件を変化させても一つの線上に乗る(図2)。
3)窒素イオンに対する窒素原子の比率が少ない条件で窒化すると、不完全な結合状態がXPSで観測される(図3)。
以上に示したように、SiO膜の窒化はイオン入射により起こるものであり、また、イオン入射だけでは不完全結合(Si−O−N−Si)が多量に出来るため、これを回復させるために、イオンの照射量以上の窒素原子を基板に照射する必要がある。図4は、基板位置でのプラズマ密度を横軸に、窒素原子密度を縦軸に、プロットしたものである。図中の実線は、基板に入射するイオンフラックス(Γion)と窒素原子フラックス(ΓNatom)が等しくなる線を、また破線は窒素原子フラックスがイオンフラックスの10倍となる線を示している。上記反応式1〜3から、イオンフラックス(Γion)=窒素原子フラックス(ΓNatom)であれば、不完全結合は回復すると考えられる。しかし、本発明者が実験にて確認した結果、実際にはイオンフラックスの10倍以上の窒素原子を照射しないと、図3の如き不完全な結合が僅かに残留してしまう事が判明した。
次に、上記モデルを元に薄いSiO膜における増膜現象に関する考察を行った結果、以下のような現象であると推定された。反応式1〜3において、大きな問題となるのは、反応式1における、弾き出されたO原子の挙動である。弾き出されたO原子は、入射したNイオンと同一方向に、入射イオンの半分程度のエネルギーを持って運動していく。そして、SiO膜中の原子と衝突して速度を失い格子間で停止したり、或いはSiO膜を通過してSi基板まで到達し、Si基板を酸化させるものもあると考えられる。つまり、SiO膜をプラズマ窒化した時に結果として得られる電気的換算膜厚(EOT)は、基板酸化による物理膜厚増加と、窒素原子導入による高誘電率化の両者により決定されるのである。そして、Nイオンを基板に垂直に照射した場合、ベースとなる酸化膜の膜厚が1.2nm程度になると、Si基板の酸化による増膜の影響が大きくなり、これ以上EOTが減少しなくなってしまうと考えられる。
以上に説明したように、増膜が起こる原因は、弾き飛ばされたO原子に起因している事が判明した。そこで、弾き飛ばされたO原子が基板に到達しないようにするためには、窒素イオンNを、基板の法線に対して角度θをもって斜めに入射させればよいという結論に至った。ここで、入射角θの条件を決定するため、以下のような実験を行った。
図5に、イオンを垂直入射させた場合について、初期酸化膜厚を横軸に、増膜量を縦軸にしてプロットした図を示す。横軸の酸化膜厚及び縦軸の増膜量は、エリプソメトリ法により測定された膜厚である。そして、十分厚い初期酸化膜(今回の場合6nm)における増膜量を、窒化による誘電率増加の成分と考え、
(増膜量)=(窒化後膜厚)−(初期酸化膜厚)−(窒化による増膜)
を増膜量の定義とした。図5より明らかな通り、初期膜厚が薄くなり、ある閾値の膜厚以下で急激に増膜量が増えている事が分かる。これは、閾値の膜厚付近まで、跳ね飛ばされたO原子が到達している事を意味している。また、閾値の膜厚は、導入される窒素の面密度、即ち照射するNイオンのドーズ量に依存し、ドーズ量が多いほど、閾値膜厚が厚くなっている。以上の実験データより、イオンを垂直入射させた場合、どの程度の膜厚までO原子が到達するかが明らかとなった。
次に、初期膜厚1.2nmのSiO膜に対し、どのような角度でイオンを入射させればよいかを考察した。SiO膜はアモルファスであり、チャネリングは考慮する必要はないので、基板の法線に対して角度θで入射するイオンから見た場合の実効的膜厚は、
(実効膜厚)=Tox/cosθ
と表される。ここで、Toxは初期膜厚である。Tox=1.2nmの場合の、実効膜厚と入射角度の関係を、図6に示す。図中には、窒素面密度が2×1015/cmと2×1014/cmの場合の、跳ね飛ばされたO原子が到達する深さも同時に記入してある。図より、窒素面密度が2×1014/cmの場合で50°以上、窒素面密度が2×1015/cmの場合で65°以上の角度で入射させれば、(O原子の到達深さ)<(実効膜厚)となるため、基板の酸化は起こらないと考えられる。
以上、基板面上に形成されたSiO膜の窒化方法について説明を行ってきたが、基板に垂直な面に対する浅い窒化も、同様の考え方で行う事が出来る。
現在、高集積化のため、様々な新構造のMOSFETが開発されているが、その一つに縦型MOSFETがある。縦型MOSFETでは、パターン側面にチャネルとゲート絶縁膜を形成する必要がある。そして、微細化に伴いゲート絶縁膜も薄膜化するため、リーク電流低減の目的でゲート絶縁膜にSiON膜(シリコン酸窒化膜)を使用する必要がある。プレーナ型MOSFETと縦型MOSFETにおける、窒化方法の違いを、図7及び図8を用いて説明する。
まず、図7はこれまで説明してきた、プレーナ型MOSFETに対する本発明の適用方法を図示したものであり、基板面の法線に対して角度θをもって、イオンを入射させるものである。
一方、図8は、縦型MOSFETに対する、本発明の適用方法を図示したものである。縦型MOSFETでは、基板上に図の如き矩形の突起が形成され、その突起の側面をチャネルとして用いるため、突起の側面に形成されたSiO膜をゲート絶縁膜として使用する必要があり、側面に窒素を導入する必要性がある。本発明を適用して浅い窒化を行うためには、突起の側面の法線に対して角度θを持ってイオンを入射させる必要がある。そのため、基板面法線に対する角度は90−θとなり、窒素面密度が1014/cmの場合で40°以下、窒素面密度が2×1015/cmの場合で25°以下となる。以上に説明したように、突起の側面の窒化を行う場合、基板面の法線に対する入射角が小さくても良いため、処理装置の形態も、図1の形態以外に、様々な形態が考えられる。
図9に、磁気コイルによりイオンの軌道を曲げる原理を利用した装置の構造の一例を示す。図において、201は誘電体窓、202は真空容器、203は上部磁気コイル、204は下部磁気コイル、205は基板支持台である。不図示の高周波導入手段により、誘電体窓を通して高周波電力が真空容器内に導入され、プラズマが生成される。次に、上部及び下部の磁気コイルの電流値を調整して、カスプ型磁場とミラー型磁場とを交互に発生させる。図中において、点線がミラー型磁場を、一点鎖線がカスプ型磁場を示している。プラズマ中のイオンは、磁力線に沿って運動するため、カスプ磁場の場合には、基板外周方向にイオンは運動し、ミラー磁場の場合には、基板中心方向に運動する。更に、上部コイルと下部コイルを図10に示す如く複数の分割されたコイルで形成し、各コイルの電流値を調整する事で、カスプ及びミラー磁場の中心軸をウエハ上で移動させる事が可能である。上記方法を用いる事により、ウエハ及び基板支持台を回転させる事なく、ウエハ上におけるイオンの入射方向を均一にする事が可能となる。
図11に、イオン温度を上昇させる事によりイオンの入射角度分布を広げる原理を利用した装置の構造の一例を示す。図において、301は誘電体窓、302は真空容器、303は磁気コイル、304は第二の高周波電源(高周波導入手段)、305は基板支持台である。不図示の第一の高周波導入手段により、誘電体窓を通して第一の高周波電力が真空容器内に導入され、プラズマが生成される。次に、基板近傍に設置された電極に、第二の高周波電源より、第一の高周波電力とは周波数の異なる第二の高周波電力を印加する。そして、磁気コイルの電流値を調整して、プラズマとシースの界面付近で、所望のイオンがイオンサイクロトロン共鳴を起こすために必要な磁場を印加する。サイクロトロン周波数はωc=eB/miで計算する事が出来、100Gの磁場を印加した場合、窒素原子イオンの共鳴周波数は約11kHzである。図11に示す如きソレノイドコイルによる磁場印加では、基板面上で均一な磁場を得る事は困難である。しかし、ウエハ直上でリング状の等磁場線が形成されるため、コイル磁場を周期的に変動させ、100Gの等磁場リングの半径を周期的に変化させる事で、ウエハ面上を均一に処理する事が出来る。磁場がサイクロトロン周波数と一致しない場所では、イオン温度は低いため、イオンは基板に対し垂直入射となり、突起側面の処理には全く寄与しない。ソレノイドコイルより均一な磁場を形成したい場合は、ヘルムホルツコイルのように、ソレノイドコイルの組合せを行えばよい。
以下、実施例を挙げて本発明のプラズマ処理方法をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の第1の実施例として、RTP装置を用いて形成した膜厚1.8nmという比較的厚めのシリコン酸化膜のプラズマ窒化に適用した例を示す。プラズマ処理装置の構造は、図1に示した装置と同様である。
まず、温度を300℃に設定した基板支持台上に前記シリコン基板を設置し、不図示のターボ分子ポンプとドライポンプにより0.1Paまで排気した。次に、イオン源を基板面の法線に対して75°となるように角度を調整した。次に、イオン源に50sccmのNガスを導入し、200Wの高周波電力を印加し、引出し電圧と加速電圧を調整して、10eVのエネルギーで電流値0.1mAのNイオンを基板に照射した。この時、イオン照射と同時に、基板支持台を回転させた。また、イオン照射と同時に、ラジカル源にも100sccmのNガスを供給し、100Wの高周波電力を印加して、1×1016/cm・sのフラックスで窒素原子を基板に照射した。上記窒素イオンと窒素原子の同時照射を300秒間連続で行った。処理が終了したウエハを真空容器から取り出し、表面をXPSを用いて測定した結果、窒素面密度は、1.1×1015atoms/cm、物理膜厚は1.85nmであった。
比較のため、通常のプラズマ処理(マイクロ波パワー1.5kW、Nガス500sccm、圧力66.7Pa、基板温度300℃、60秒処理)も合わせて行った。XPSで測定した窒素面密度は、1.0×1015atoms/cmとなり、ほぼ同等の値が得られた。一方、物理膜厚は、1.95nmとなり、通常処理を行った2枚目の方が大きい値となった。この結果は、通常処理ウエハは基板が酸化されて増膜したのに対し、本発明に係る処理では基板の酸化が抑制された事を示唆している。
次に、上記2つの方法で窒化したシリコン酸化膜を用いてMOSFETを作成し、その特性の比較を行った。その結果、EOTは、通常処理で1.9nmとやや増加したのに対し、本発明に係る処理では1.6nmと大幅に減少した。NMOSFETの相互コンダクタンス(Gm)は、通常処理で0.55mS、本発明の処理で0.65mSという値が得られ、斜めイオン処理で約10%の向上が見られた。以上のように、比較的厚いシリコン酸化膜においても、本発明は有効である事が確認された。
[実施例2]
本発明の第2の実施例として、RTP装置を用いて形成した膜厚1.2nmの極薄シリコン酸化膜のプラズマ窒化に適用した例を示す。プラズマ処理装置の構造は、図1に示した装置と同様である。
まず、温度を300℃に設定した基板支持台上に前記シリコン基板を設置し、不図示のターボ分子ポンプとドライポンプにより0.1Paまで排気した。次に、イオン源を基板面の法線に対して75°となるように角度を調整した。次に、イオン源に50sccmのNガスを導入し、200Wの高周波電力を印加し、引出し電圧と加速電圧を調整して、10eVのエネルギーで電流値0.1mAのNイオンを基板に照射した。この時、イオン照射と同時に、基板支持台を回転させた。また、イオン照射と同時に、ラジカル源にも100sccmのNガスを供給し、100Wの高周波電力を印加して、1×1016/cm・sのフラックスで窒素原子を基板に照射した。上記窒素イオンと窒素原子の同時照射を300秒間連続で行った。処理が終了したウエハを真空容器から取り出し、表面をXPSを用いて測定した結果、窒素面密度は、1.1×1015atoms/cm、物理膜厚は1.25nmであった。
比較のため、通常のプラズマ処理(マイクロ波パワー1.5kW、Nガス500sccm、圧力66.7Pa、基板温度300℃、60秒処理)も合わせて行った。XPSで測定した窒素面密度は、1.2×1015atoms/cmとなり、ほぼ同等の値が得られた。一方、物理膜厚は、1.75nmとなり、通常処理を行ったウエハでは大幅な増膜が見られた。
この結果は、通常処理ウエハは基板が酸化されて増膜したのに対し、本発明に係る処理では基板の酸化が抑制された事を示唆している。
次に、上記2つの方法で窒化したシリコン酸化膜を用いてMOSFETを作成し、その特性の比較を行った。その結果、EOTは、通常処理で1.8nmと大幅に増加したのに対し、本発明に係る処理では1.05nmと減少した。NMOSFETの相互コンダクタンス(Gm)は、通常処理で0.48mS、本発明の処理で0.55mSという値が得られ、薄膜化しても依然高い値を維持する事が分かった。以上のように、極薄シリコン酸化膜において、本発明は非常に有効である事が確認された。
[実施例3]
本発明の第3の実施例として、図8に示す如き縦型MOSFETに、図1に示した装置を適用した例を示す。図8に示した矩形パターンの側面に、RTP装置を用いて膜厚1.2nmの極薄シリコン酸化膜を形成し、図1に示した装置を用いてプラズマ処理窒化を行った。
まず、温度を300℃に設定した基板支持台上に前記シリコン基板を設置し、不図示のターボ分子ポンプとドライポンプにより0.1Paまで排気した。次に、イオン源を基板面の法線に対して25°となるように角度を調整した。次に、イオン源に50sccmのNガスを導入し、200Wの高周波電力を印加し、引出し電圧と加速電圧を調整して、10eVのエネルギーで電流値0.1mAのNイオンを基板に照射した。この時、イオン照射と同時に、基板支持台を回転させた。また、イオン照射と同時に、ラジカル源にも100sccmのNガスを供給し、100Wの高周波電力を印加して、1×1016/cm・sのフラックスで窒素原子を基板に照射した。上記窒素イオンと窒素原子の同時照射を300秒間連続で行った。上記方法で窒化したシリコン酸化膜を用いてMOSFETを作成し、その特性を調査した。その結果、本発明の処理ではEOTは1.05nmと減少した。NMOSFETの相互コンダクタンス(Gm)も、本発明の処理で0.60mSという値が得られ、薄膜化しても依然高い値を維持する事が分かった。以上のように、矩形パターンの側面に形成された極薄シリコン酸化膜において、本発明は非常に有効である事が確認された。
[実施例4]
本発明の第4の実施例として、図8に示す如き縦型MOSFETに、図9に示した装置を適用した例を示す。図8に示した矩形パターンの側面に、RTP装置を用いて膜厚1.2nmの極薄シリコン酸化膜を形成し、図9に示した装置を用いてプラズマ窒化を行った。
まず、温度を300℃に設定した基板支持台上に前記シリコン基板を設置し、不図示のターボ分子ポンプとドライポンプにより0.1Paまで排気した。次に、真空容器内に500sccmのNガスを導入し、スロットルバルブを調整して、真空容器内の圧力を0.5Torrとした。次に、2kWの高周波電力を印加して、真空容器内にプラズマを発生させた。次に、磁場コイルに電流を流し、磁場を発生させた。ここで、コイルの形状は、上部及び下部共に、図10に示す如き、4分割型のコイルを用いた。上部コイル及び下部コイルへの電流印加方法は、以下の通りとした。まず、上部コイルは、4つのコイルのうち1つに1.5A、他の3つに0.5Aの電流を流した。そして、1.5Aの電流を流すコイルを時間と共に回転させ、10秒掛けて1回転するようにした。下部コイルも、上部コイルと同様に、1.5Aを流すコイルを同位相で回転させた。更に、下部コイルでは、各コイルに流す電流の向きを、10Hzの周期で反転させた。以上のような方法で各コイルに電流を流す事により、10Hzでカスプ磁場とミラー磁場が入れ替わり、0.1Hzでウエハ上を回転する磁場が得られた。上記方法で60秒間窒化したシリコン酸化膜を用いてMOSFETを作成し、その特性を調査した。その結果、本発明に係る処理ではEOTは1.08nmと減少した。NMOSFETの相互コンダクタンス(Gm)も、本発明の処理で0.55mSという値が得られ、薄膜化しても依然高い値を維持する事が分かった。以上のように、矩形パターンの側面に形成された極薄シリコン酸化膜において、図9に示した装置が非常に有効である事が確認された。
[実施例5]
本発明の第5の実施例として、図8に示す如き縦型MOSFETに、図11に示した装置を適用した例を示す。図8に示した矩形パターンの側面に、RTP装置を用いて膜厚1.2nmの極薄シリコン酸化膜を形成し、図11に示した装置を用いてプラズマ処理窒化を行った。
まず、温度を300℃に設定した基板支持台上に前記シリコン基板を設置し、不図示のターボ分子ポンプとドライポンプにより0.1Paまで排気した。次に、真空容器内に500sccmのNガスを導入し、スロットルバルブを調整して、真空容器内の圧力を0.5Torrとした。次に、2kWの高周波電力を印加して、真空容器内にプラズマを発生させた。次に、磁場コイルに5Aの電流を流し、磁場を発生させた。ここで、コイルの形状は、ヘルムホルツ型とし、基板上30mmの位置に50Gの磁場を、±1%の均一性にて形成した。更に、第二の高周波電源を用いて、周波数5.5kHzで100Wの高周波電力を、第二の高周波電極に印加した。上記方法で60秒間窒化したシリコン酸化膜を用いてMOSFETを作成し、その特性を調査した。その結果、本発明に係る処理ではEOTは1.05nmと減少した。NMOSFETの相互コンダクタンス(Gm)も、本発明に係る処理で0.53mSという値が得られ、薄膜化しても依然高い値を維持する事が分かった。以上のように、矩形パターンの側面に形成された極薄シリコン酸化膜において、図9に示した装置が非常に有効である事が確認された。
本発明を実施するために用いたプラズマ処理装置の断面を模式的に示した図である。 SiO膜の窒化における、基板に照射したイオンのドーズ量と、基板に導入された窒素の面密度との関係を示した図である。 窒素原子が少ない状態でSiOを窒化した場合の窒素の結合状態を、XPSを用いて調査した結果を示した図である。 不完全な窒素の結合を回復させるために必要な窒素原子密度と、プラズマ密度との関係を示した図である。 イオンを被処理膜の法線方向から入射した場合の初期酸化膜厚と窒化後の増膜量との関係を示した図である。 イオンの入射角度と実効膜厚との関係を示した図である。 プレーナ型トランジスタに本発明を適用する模式図である。 縦型トランジスタに本発明を適用する模式図である。 本発明を実施するための、磁気コイルによりイオンの軌道を曲げる装置の断面を模式的に示した図である。 磁気コイルによりイオンの軌道を曲げる装置における、磁気コイルの配置方法を示した図である。 本発明を実施するための、イオンサイクロトロン共鳴を利用してイオンの軌道を曲げる装置の断面を模式的に示した図である。 従来例における、シリコン酸化膜のプラズマ窒化方法を模式的に示した図である。
符号の説明
101 真空容器
102 ラジカル源
103 基板支持台
104 ウエハ
105 イオン源

Claims (5)

  1. 基板表面に形成されたシリコン酸化膜中に窒素を導入して該シリコン酸化膜を窒化する方法であって、被処理膜の法線に対して50°以上の角度を持って窒素イオンを照射する工程と、イオン照射量以上の窒素原子を照射する工程とを、同時または交互に行う事を特徴とするシリコン酸化膜の窒化方法。
  2. 前記基板は表面に起伏を持ち、前記シリコン酸化膜は該表面の起伏に沿って形成されたものである事を特徴とする請求項1に記載のシリコン酸化膜の窒化方法。
  3. 前記窒素イオンを照射する工程において、前記被処理膜の法線に対して65°以上の角度を持って窒素イオンを照射する事を特徴とする、請求項1または2に記載のシリコン酸化膜の窒化方法。
  4. 前記窒素原子の照射量が、イオン照射量の10倍以上である事を特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のシリコン酸化膜の窒化方法。
  5. 前記被処理膜の初期膜厚が2.0nm未満である事を特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のシリコン酸化膜の窒化方法。
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