JP2008192599A - フローシフティング燃料電池システム内の窒素分の制御 - Google Patents

フローシフティング燃料電池システム内の窒素分の制御 Download PDF

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Abstract

【課題】フローシフティングシステム内の窒素濃度を予測して調整するためのデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】複数の燃料電池スタック3000A、Bに流体結合されたブリード弁3500A、Bが、アノード流路3400内の窒素の存在を減少するために使用される。1つまたは複数のセンサを、燃料電池スタックの一方または両方の内部で電圧を測定するために使用することができる。アノード流路内部の燃料電池電圧変化を査定して、そのような変化を窒素分蓄積と同等とみなすことによって、システムは、システム操作性を改善するように適切な時間にブリード弁を操作することができる。感知された電圧変化を窒素分蓄積と同等とみなす1つの形態では、制御装置内部の論理デバイスによって予測アルゴリズムを使用して、感知された電圧を比較することができ、それにより、制御装置が、開閉する時をブリード弁に指示する。
【選択図】図3

Description

本発明は、一般に、動作燃料電池内の窒素蓄積の濃度を識別して調整することに関し、詳細には、フローシフティング燃料電池システムのアノードループ内での窒素のブリードを制御することに関し、より詳細には、窒素ブリード中の水素損失を最小にしながら、安定な平均スタック電圧を最大にするように、フローシフティングアノード流路のためのブリードアルゴリズムを単純化することに関する。
典型的な燃料電池システムでは、水素または水素リッチ気体が、燃料電池のアノード側に流路を通して供給され、その一方で、酸素(大気酸素の形態など)が、燃料電池のカソード側に別個の流路を通して供給される。プロトン交換膜(PEM)燃料電池と呼ばれる燃料電池の1つの形態では、膜の形態での電解質がアノードとカソードとの間に挟まれて、膜電極アセンブリ(MEA)と一般に呼ばれる層状構造を生成する。各MEAが単一の燃料電池を形成し、多くのそのような単一の電池を組み合わせて燃料電池スタックを形成して、その電力出力を増加することができる。複数のスタックを互いに組み合わせて、電力出力をさらに高めることもできる。
特に有用である1つの燃料電池構成は、フローシフティング燃料電池システムと呼ばれる。そのようなシステムでは、2つ(またはそれよりも多くの)スタックが、互いに直列に流体結合されたそれら当該の水素(または他の燃料)流路を有し、それにより、各スタックへの、および各スタックからの燃料の流れを許すポートが、シフトされる燃料の流れ方向に依存して燃料入口と燃料出口との両方として働くことができる。このシステムは、半閉鎖された循環パターンで燃料がスタック間で往復して流れるので、2つのスタック間の直列に配管されたアノード流路からその名前を得ている。このようにすると、1つのスタックのアノード流路がそのアノード流路内に燃料を受け入れている一方で、他のスタックを閉鎖(すなわち遮断)することができ、スタックを通過する燃料の逃げを防止する。ある期間の後、弁または関連の流れ操作デバイスの組合せが、流れ方向の切替えを引き起こし、2つのスタックの役割が逆になり、それにより反応物は、第2のスタックから、ここでは遮断される第1のスタック内に流れる。このようにすると、燃料は、2つのアノード流路間で往復して移動かされ、その一方で、新しい燃料を、遮断されていないスタックに追加することができる。フローシフティング燃料電池システムは、アノード流路再循環ベースのシステムなど他の手法に勝る利点を有し、なぜなら、どちらも、アノード流路および電解質の水和を改善するために使用することができるが、再循環ベースのシステムは、再循環ポンプおよび他の大きな負荷がかかる構成要素を用いてそれを行い、これらの構成要素は、システムコスト、重量、および複雑さを増加することに加えて、摩耗する可能性があり、したがって、より大きな保守の問題にシステムをさらすからである。さらに、そのようなポンプの使用は、動力源(例えば電源)を必要とし、これは、燃料電池の動作によって供給され、システム全体の効率を減少する。
膜を介して水素と空気とを反応させるほとんどのMEA燃料電池システムと同様に、フローシフティング燃料電池システムの動作は、カソード流路内に存在する酸素の枯渇を引き起こし、未反応の窒素を後に残す。個別燃料電池の膜をわたるアノード流路内へのこの窒素の拡散は、水素燃料の希釈に加担する。比較的閉じられたアノード流路内部のそのような窒素蓄積は、減少されたスタック電圧をもたらすことがあり、これはさらに、電力出力およびスタック効率を低下させる。窒素希釈の影響を改善するために、ブリード弁が、各スタックのアノード流路内部に配置されて、内部の窒素リッチ気体を排気またはパージする。これを行うための一方法は、絶えずブリードすることであり、これは、ブリード弁を開いた状態と閉じた状態との間で常に交番させることを伴う。残念ながら、これは非常に非効率的であり、通常であれば使用可能な水素燃料を外に放出することにもなる。別の手法では、弁は、選択された間隔で定期的に開かれて、連続的手法の絶え間ない開閉によってもたらされる非効率を伴わずに、窒素および他の反応副生成物の大気への排気を可能にする。それにも関わらず、この手法は、ブリード弁が開かれる前に非常に長い期間が過ぎる場合に、許容できない低い水素濃度によって不安定な動作状態が生じる可能性があるという欠点がある。
ブリードする時間であることをシステムに伝える事前対応式(予測)トリガベース手法を採用することが可能である。そのようなトリガは、動作中の電圧の減少など悪い性能または操作性の問題が生じる前に、ブリードシーケンスを開始する。事前対応式トリガの一例は、どれほど多くの窒素がスタック間に蓄積されているかを予測する窒素クロスオーバーモデルであってよい。例えば、スタック間に81パーセントの水素が存在することをモデル予測が表し、ブリーディングを開始するためのしきい値が80パーセントである場合、81パーセントから80パーセントまでモデル予測が下がった後にブリードをトリガすることができる。これは、おそらく、任意のスタック電圧がシフト周期で振動し始める前に生じることになる。この手法は、特に、スタックが老化し、より多くのクロスオーバーを許す微小穴を発生するときに、固有の量の予測不確実性が存在するという欠点がある。
事前対応式トリガのさらに別の例は、固定されたオリフィスを通る一定のブリードを有することであり、ここでは窒素クロスオーバー速度を概算することができる。ブリードオリフィスは、クロスオーバー速度に等しいブリード速度を有するようにサイズ設定される。この手法は、(弁を必要としないので)単純であるという利点を有し、しかし、時間の経過につれて(例えば、スタックでのピンホールの発生により)窒素クロスオーバー速度が変化するので、クロスオーバー速度に追従するように十分に速く蓄積窒素を排気するにはオリフィスが小さすぎることがあるという点で、上述したのと同じ問題を受ける。
ブリードする時間であることをシステムに伝える別の事前対応式手法では、1つまたは複数の直接水素測定センサ(熱伝導率デバイスなど)をスタック間に配置することができる。残念ながら、アノード流路は、苛酷で湿潤な環境であり、そのような環境内で信頼可能に、迅速に、かつ正確に動作する直接水素測定センサを見出すのは困難であり、高価である。そのようなシステムが採用された場合でさえ、バックアップ能力が含まれていることが望ましい。
したがって、フローシフティング燃料電池システムが、システム複雑さおよび効率への影響を最小限にするブリード弁の使用によって可能にされる操作性向上を提供することが望ましい。さらに、システムが、未使用の水素のパージングを最小にしながら、アノード流路から窒素を除去することが望ましい。さらに、システムおよび動作方法が予測モデルに依拠せず、その代わりに、スタックの性能の実際のフィードバックを採用することが望ましい。さらに、そのような手法が、老化などによるスタック性能の変化の影響を比較的受けにくいことが望ましい。
フローシフティング燃料電池システムおよびシステムを操作する方法が開示される。本発明の第1の態様によれば、燃料電池システムを操作する方法が説明される。システムは、第1の燃料電池スタックおよび第2の燃料電池スタックを含み、それぞれが、いくつかの個別燃料電池から構成される。個別燃料電池はそれぞれ、さらに、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配設された膜とから構成される。アノードおよびカソード流路が、第1および第2のスタックそれぞれの内部にある個別燃料電池の当該の電極を、それぞれ燃料および酸素源に結合する。アノード流路は、第1および第2のスタックを流体接続して、アノード流路内部に存在する燃料が、第1および第2のスタックの間で往復循環することを可能にする。1つまたは複数のブリード弁が、アノード流路に流体結合され、1つまたは複数のセンサが、スタック全体での、またはスタック内部の個別電池での電圧を測定するために接続される。この方法は、燃料が第1の方向でスタックを通って流れるように、アノード流路内に燃料を導入するステップと、カソード流路内に空気を導入するステップと、システムの動作に関連付けられる少なくとも1つの電圧差を感知するステップと、燃料が第2の方向でスタックを通って流れるように、アノード流路を通る燃料の流れを反転させるステップと、感知された電圧差をアノード流路内の燃料濃度と相関させるステップと、アノード流路内に存在する流体の少なくとも一部が逃げることを可能にするようにブリード弁(1つまたは複数)を操作するステップとを含む。この文脈では、燃料が2つのスタック間でアノード流路を通って循環するので、第1および第2の燃料流れ方向は、燃料の概して往復の運動に対応する。一般に、第1および第2の方向は、互いに反対である。また、当業者に理解されるように、流路からの水素の消費と流路への窒素の拡散とは、概して同時の事象であるので、アノード流路内部の水素濃度の減少は、窒素濃度蓄積と同等である。
燃料電池動作中、窒素レベルが、アノード流路内で蓄積する。新たな水素が、動作の各半サイクル中に、スタックの一方または他方の中に導入される。このようにすると、燃料の新たな注入を受けるスタックが平均電池電圧増加を示し、離れた端部にあるスタックの電圧は減少する。流れ方向のシフトが逆になるように次の半サイクルが始まるとき、前に離れていたスタックが、ここでは新たな水素を受け、前に燃料を受けていたスタックが離れる。この第2の半サイクル中、燃料を受けるスタックの平均電池電圧は増加し、その一方で、ここで離れているスタックの電圧は減少する。この文脈では、1回の完全なアノード流路動作サイクルが、水素または水素/窒素組合せの1回の往復の(すなわち、第1および第2の方向それぞれでの)流れに対応する。このサイクル操作が繰り返される。これらの測定された電圧振動の大きさは、アノード流路を通って流れる流体中の水素の濃度に相関させることができる。この相関は、システムを制御するための基礎を成すことができ、制御の例は、ブリード弁(1つまたは複数)のデューティサイクルを変えることを含むことがあり、ブリード弁は、単純な開/閉弁または比例弁(すなわち、完全に閉じられた状態から完全に開いた状態まで、ある範囲の開きを可能にする弁)であってよい。さらに、システムは、1つまたは複数のセンサおよび1つまたは複数のブリード弁と協働する制御装置を含むことがある。このようにすると、制御装置は、感知された電圧(1つまたは複数)とアノード流路内の燃料濃度との間の相関を行って、電圧差しきい値の到達が達せられたかどうか判定する。また、制御装置は、特定の電圧差しきい値が達せられた時を求めるために使用することができる他のシステムパラメータ(例えば、システム負荷)を監視するように構成されることもある。このようにすると、電圧差しきい値は、1つまたは複数のブリード弁の開閉シーケンスをさらに調整するために、他のシステムパラメータに依存するようになされることもある。
1つの好ましい実施形態では、感知された電圧信号とアノード流路内の燃料濃度との間の相関は、制御装置に入力される感知電圧信号パラメータに応答して適切な水素濃度を計算することができる式または関連のアルゴリズムによって制御装置において表される。別の好ましい実施形態では、感知された電圧信号とアノード流路内の燃料濃度との間の相関は、ルックアップテーブルまたは関連のデータ記憶デバイス内の値によって制御装置において表される。1つの形態では、電圧感知は、第1および第2のスタックそれぞれに対応する電圧を実質的に同時に感知することを含むことができる(第1および第2のスタックそれぞれの内部の平均電圧を求めることができるように当該の電圧を感知することを含む)。別の形態では、電圧感知は、1つのスタック内部のいくつかの電圧を感知することを含むことができ、それにより、そのスタック内部の平均値、またはそのスタック内部の高および低電圧を求めることができる。さらに別の形態では、電圧感知は、様々な時間でのスタック内部の個別電池の電圧を感知することを含むことができ、それにより、その電池内部の高および低電圧を求めることができる。この文脈で、用語「実質的に」は、理論上は正確な対応関係または振舞いを示すことが期待されるが、実際上はわずかに正確ではないものを具体化することがある要素または機構の構成を指す。したがって、この用語は、対象としている主題の基本的な機能の変化をもたらすことなく、定量値、測定値、または他の関連の表現が規定の基準とは異なることがある度合いを示す。センサが感知信号を検出して搬送する様式は、制御装置の要件に従って変えることができる。例えば、フローシフティングプロセスで生じる電圧振動を検出するために、「サンプルアンドホールド」など様々なサンプリング構成が採用されることがある。制御装置は、ブリード弁の開閉を調整するようになすことができるので、制御装置は、電圧振動の最大および最小点を取得するためにサンプルアンドホールドの結果を使用することができる。制御装置は、(望まれる場合には、)振動する電圧の他の動作点から取得するようにプログラムされることもあることを当業者は理解されよう。また、電圧のサンプリングとフロースイッチングとを同期させることができ、これは、強く、かつ比較的予測可能なフィードバックを与えることを理解されよう。別の形態では、電圧のサンプリングは、ランダムにすることができる。測定値をフィルタ(低域フィルタなど)に通すことが、これらの値を制御装置に転送する好ましい方法であることがある。
ブリード弁(1つまたは複数)を操作する部分が、ある量の時間の経過後に弁を閉じることを含むことがある。例えば、時間は、1回の完全なアノード流路動作サイクルの期間(数秒のオーダーであることがある)など、デューティサイクルに対応することがあり、または測定される電圧差の大きさに比例する時間の経過に対応することがある(例えば、2つのスタックの間、または単一のスタック内部の高および低値の間、各スタック内部の平均値の間、または単一の燃料電池内部の高および低値の間)。例として、電圧差しきい値は、絶対値であってよく(ボルトまたはその分数で表される)、またはスタック電圧のパーセンテージであってよく、システム負荷など他の因子によって影響を及ぼされることがある。そのような手法は、単一のブリード弁が使用される状況でも同様に使用することができ、その際、弁は、第1および第2のスタックの間に流体的に配設されることがある。1つまたは複数のブリード弁が、3方向弁として設定されることもあり(この場合、それらは、アノード流路内への燃料の導入を可能にするように動作することもある)、または2方向弁として設定されることもあり、この場合、システムは、別個の燃料注入弁を含むこともある。さらに、1つまたは複数のブリード弁を2つのスタック間に配置することもできる。弁は、単純な開/閉弁であってよく、または比例弁であってもよい。
本発明の別の態様によれば、第1のスタックと、第2のスタックと、第1および第2のスタックに酸化剤を搬送するように構成されたカソード流路と、アノード流路内部に存在する燃料が第1および第2のスタックの間で往復循環するように、第1および第2のスタックの間に接続されるように構成されたアノード流路と、アノード流路に流体結合された1つまたは複数のブリード弁と、電圧差を測定するように構成された1つまたは複数のセンサと、スタックおよびセンサ(1つまたは複数)と協働する制御装置であって、それにより、所定の値を超える感知された電圧差に対応する1つまたは複数の信号の受信後、アノード流路内部にある流体の少なくとも一部がパージされることを可能にするようにブリード弁(1つまたは複数)に指示する制御装置とを含む燃料電池システムが開示される。
任意選択で、所定の値は、アノード流路内部の流体の水素濃度を表す値を備える。より詳細には、水素濃度を表す値は、制御装置によってアクセス可能な様式で、例えば、組み込まれた式またはアルゴリズムや、読出し専用メモリに記憶されたルックアップテーブルなどによって記憶される。また、特定の選択肢では、本明細書に記載される燃料電池システムによって動力供給される車両も開示される。そのような車両では、燃料電池システムは、原動力の源として働く。
本発明の別の態様によれば、フローシフティング燃料電池システムが開示される。システムは、第1および第2のスタックを含み、それぞれが、少なくとも1つのセンサおよびいくつかの個別燃料電池を有する。前述したように、個別燃料電池それぞれを、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配設された膜とから構成することができる。カソード流路は、第1および第2のスタックに酸素含有流体(空気など)を搬送するために使用され、アノード流路は、第1および第2のスタックの間に接続され、2つのスタックを互いに流体結合するために使用される。この構成では、アノード流路内部に存在する水素含有流体は、フローシフティングパターンで、第1および第2のスタックの間で往復循環する。さらに、システムは、アノード流路に流体結合された1つまたは複数の流れ操作デバイスを含み、その一方で、スタックと信号通信する制御装置が含まれ、それにより、感知された電圧差に対応する信号の制御装置による受信後、制御装置は、アノード流路内部にある流体の少なくとも一部がパージされることを可能にするように流れ操作デバイス(1つまたは複数)に指示する。感知された電圧差は、スタック間での、または少なくとも1つのスタック内部の複数の個別電池のうち少なくとも2つの間での、所定値を超える電圧差である。
任意選択で、1つまたは複数の流れ操作デバイスは、1つまたは複数のブリード弁であってよい。別の特定の選択肢では、感知される差は、感知される電圧差からなる。より詳細には、感知される電圧差は、第1および第2のスタック間の平均電圧差、各スタック内部の個別燃料電池の間の電圧差、または水素含有流体中の減少された水素濃度を示す何らかの他の電圧差からなることがある。流れ操作デバイス(1つまたは複数)は、1つまたは複数の3方向弁であってよい。このようにすると、アノード流路からのブリードとアノード流路内への燃料注入とは、弁によって制御することができる。同様に、流れ操作デバイス(1つまたは複数)は、2方向弁からなっていてもよい。
本発明の以下の詳細な説明は、以下の図面に関連付けて読めば最良に理解することができ、図面中、同様の構造が同様の参照番号で示されている。
はじめに図1および6を参照すると、ブロック図が、本発明による移動式燃料電池システム1の主要構成要素(図1)と、自動車用途への燃料電池システムの代表的な配備(図6)とを強調表示している。特に図1を参照すると、システム1は、燃料源100Aおよび酸素源100Bからなる反応物送達システム100と、燃料処理システム200と、複数の燃料電池300を含むスタック3000と、1つまたは複数の任意選択のエネルギー貯蔵デバイス400と、ドライブトレイン500と、概念上は車輪として示される1つまたは複数の原動デバイス600とを含む。燃料または酸素源100A、100Bの一方または両方が、タンクまたは関連の容器を通して供給されることがあり、任意選択で、圧縮機または関連のポンプによって加圧されることがある。本発明のシステム1は、移動(例えば車両)用途に関して示されるが、スタック3000およびその補助機器の使用が、静止用途にも同等に適用可能であることを当業者には理解されたい。
燃料処理システム200は、メタノールなどの原燃料を、燃料電池300で使用するための水素または水素リッチ燃料に変換するために組み込まれることがある。あるいは、燃料源100Aが実質的に純粋な水素を既に供給している構成では、燃料処理システム200は必要とされないことがある。エネルギー貯蔵デバイス400は、1つまたは複数のバッテリー、コンデンサ、電気変換器、またはさらにはモータの形態であってよく、燃料電池300から来る電流を、ドライブトレイン500および1つまたは複数の原動デバイス600を操作するために使用することができる回転シャフト動力などの機械的動力に変換する。上述したように、エネルギー貯蔵デバイス400は任意選択である。したがって、それらはシステム1の動作には必要なく、ある構成では省かれることもある。
次に図2を参照すると、燃料電池300は、アノード310と、カソード330と、アノード310とカソード330との間に配設された電解質320とを含む。好ましい構成では、燃料電池300はPEM燃料電池であり、本発明は特にPEM燃料電池に適用可能であるが、本発明と共に他の燃料電池構成を使用することも本発明の開示の範囲内にある。アノード310は、アノード流路316に接続された一般に多孔質の電極基板312(拡散層とも呼ばれる)と触媒層314とを含む。カソード330は、カソード流路336に接続された一般に多孔質の電極基板332(拡散層とも呼ばれる)と触媒層334とを含む。相まって、基板312、332と、触媒層314、334と、電解質320とが、MEA350を画定する。アノードおよびカソード流路316、336(例えば、図示されないバイポーラプレートの溝として形成されてもよい)が、それら当該のアノードおよびカソードと接触して、適切な反応物の送達を可能にする。燃料(典型的には、気体水素の形態での燃料)が、アノード310の触媒層314で触媒(白金または関連の貴金属など)と接触する。水素燃料の電気化学的酸化は、触媒によって容易にされる解離吸着反応と考えられている作用によって進行する。次いで、アノード310で発生された正に帯電された水素イオン(プロトン)が、電解質320を通過して、カソード330で発生された負に帯電された酸素イオンと反応する。燃料のイオン化からの自由電子の流れが、外部回路を通る電流を引き起こし、この回路は、エネルギー貯蔵デバイスまたは他の負荷400を含むことがあり、それにより、モータまたは関連の電流応答デバイスを回転させることができる。
次に図3〜5を参照すると、フローシフティング燃料電池システム1内のスタック3000を相まって構成する2つのスタック3000Aと3000Bとの関係を示す概略図と、概念的なシステム内での水素濃度とスタック電圧との関係を示すグラフとが示されている。スタック3000Aおよび3000Bは、概念上はそれぞれ第1および第2のスタックと呼ばれることがあるが、フローシフティングシステム1の性質は、そのような標記が相対的なものであって、流れ方向の各半サイクルシフトと共に変化することを当業者に理解されるようなものである。この構成では、ブリード弁3500A、3500Bの一方または両方を操作する時を決定するために、スタック3000Aと3000Bとの間の電圧差が、(例えば、制御装置2000内のデータとして記憶された)所定のしきい値電圧と比較される。このようにすると、電圧差は、事後対応式(事前対応式ではなく)ブリードトリガとして作用する。第2の反応性ブリードトリガは、適当な電池内部の電圧の広がりを計算するために、スタック3000Aおよび3000Bのいずれかの内部での最大電池電圧から最小電池電圧を差し引くことによって導出することができる。この広がりは、窒素濃度が増加するにつれて増加する。本発明者は、モデルフローシフティングシステムで行われる試験中に、水素分と2つのスタックの電圧間の差との間に相関が存在したことを観察した。具体的には、電圧差が非常に高かったとき、それは、アノード流路内の水素濃度の大幅な減少に相関した。特に図3を参照すると、ブリード弁3500A、3500Bは、3方向弁として構成される。このようにすると、それらは、ブリード機能と燃料注入機能との両方のために使用されることによって、構成要素冗長性を減少することができる。例えば、第1の位置で、弁3500A、3500Bは、弁の下に位置されたアノード流路3100の両方向セグメントに向かう燃料供給源100Aからの新たな水素からの流れを可能にすることになる。第2の位置(ブリードがない)では、弁が流れを遮断することになり、したがって、弁に接続される3つのセグメント全てが、互いから流体的に切断される。第3の位置では、弁は、アノード流路3100の両方向セグメントからブリードセグメント(水平な管路として示される)への流れを可能にすることになる。上述したように、両方の弁3500A、3500Bの開閉は、典型的には、2つの弁で同時ではなく順次に生じる。
代替実施形態(図示せず)では、水素注入機能とブリード機能とを分離することができ、それにより、一対の3方向弁を採用するのではなく、4つ組の2方向弁を使用することができる。そのような構成では、注入弁は、それらの上流で高い圧力を有し、上流部分へのブリーディングの可能性を排除することになる。ブリード弁の開放は、所期の混合物ではなく実質的に純粋な水素をパージすることになるので、一般に、動作燃料供給弁の近くのブリード弁を開くことは回避することが好ましい。したがって、スタック間に配置されたブリード弁は、連続的に開いたままであってよいが、燃料供給弁の近くに配置されたブリード弁は、互いに関しても、それらの近くにある燃料供給弁に関しても、交番する様式で操作される必要がある。燃料供給とブリードとの両方に関して3方向弁を使用することは、計画的に望ましい動作を保証することになる。そのような場合、システムは、適切な方向で圧力差を増進するために、別個の管路および弁の組を必要とすることになる。例えば、2方向燃料注入器弁を燃料供給源に接続することができ、別個の2方向弁をブリードセグメントに配置することができる。動作時、第1の位置は、ブリードセグメントが閉じられて燃料供給セグメントが開くように位置決めされた1組の2方向弁を有して含むことになる。第2の位置では、ブリードセグメントと燃料供給セグメントとの両方が閉じられることになり、第3の位置では、ブリードセグメントは開いており、燃料供給セグメントは閉じられることになる。そのような構成では、スタック内に燃料を注入するために使用される弁は、アノード入口ユニット内部の弁バンクとして構成することができ、その際、2つのグループの弁を、(例えば、分配マニホールドなどを介して)燃料供給源に交番して結合することができる。アノード流路を通る燃料の流れがその各半サイクルを経るとき、流れを、バンク内部のグループの一方または他方に通すことができる。アノード入口ユニットは、各スタックに関して複数の燃料注入器を含んでいてよい。各スタックに関する複数の弁のそのような使用は、所望の水素流速の範囲を変えるように追加の融通性を与える。例えば、各スタックに関して3つの注入器が使用される場合、1つの注入器は、スタックの最大電力出力の約3分の1までになるようにサイズ設定することができる。また、中間電力レベルにも対処することができる。例えば、半電力設定が望まれた場合、1つの注入器は完全に開き、第2の注入器は半分開くことになる。必要な弁開閉論理を提供するために、プログラマブルロジックコントローラまたは他の処理ユニットを使用することができる。そのような制御機能は全て、ソフトウェアまたはファームウェアプログラムのステップを実行することができるモジュールとして制御装置2000に一体化されることがある。そのようなモジュールの例は、記憶モジュール(例えば、ルックアップテーブルまたは関連のデータ記憶装置)、連係モジュール、処理装置または論理モジュール、およびその他を含むことがある。ファジー論理、比例積分微分(PID)などを含めた、ブリード弁3500A、3500Bを開閉するためのいくつかの制御方式を制御装置2000に組み込むことができることは、当業者に理解されよう。
アノード流路3100の上部に配置された1対のブリード弁3500Aおよび3500Bとして示されているが、本発明のシステム1はまた、2つのスタック3000A、3000Bの間でアノード流路3100の下部に配置された単一のブリード弁を採用してもよい。そのような構成では、パージングまたはブリード操作を絶えず行うことができ、しかし、短く断続的な弁の開放が有益であることもある。この変形形態は、2つのブリード弁3500A、3500Bが採用される上述した手法に勝る単純化を提供する。
アノード流路3100は、第1の組のポート(概念上、各スタック3000A、3000Bの左下に示される)の間、および第2の組のポート(概念上、各スタック3000A、3000Bの右上に示される)の間に延びる連続するループを画定する。「上側」、「下側」など空間的な言及のこれらの様々な用語は、限定するものと解釈されるべきでなく、単に本明細書に記載される本発明の例および実施形態を説明する際に簡潔にするためのものと解釈されるべきである。例えば向きについて、スタックおよび他の構成要素は、1つまたは複数の軸の周りで回転することができ、したがって、上側および下側構成要素を定義することは、視点の問題となり、全体の構成を損なうものではないことを理解されたい。
動作時、水素は、燃料源100Aからポンプ1000によって上部アノード流路3100内にポンプされる。代替実施形態(図示せず)では、ポンプ1000は、加圧水素タンクなど加圧燃料源によって置き換えることができる。燃料供給源のいずれの形態でも、どの弁3500A、3500Bが開いているかに依存して、水素は、スタック3000A、3000Bの一方または他方のアノードに流れる。上述したように、アノード流路フローシフティングシステムでは、アノード流れの方向は、その流れが半閉鎖パターンでスタック間に渡るように往復して振動する。燃料のそのような往復運動の形跡は、両方向矢印で印付けられたアノード流路3100の部分で見ることができる。弁の一方を開き、他方が閉じられるようにすることによって、アノード流路3100を通る流れを一続きにさせる効果があり、これは、燃料が、アノード流路3100を通って第1のスタックを通って流れる一方で、他方のスタックでの閉じられた弁が、流れに対する行き止まりとして働くことを意味する。例えば、任意の慣例によって、はじめに、スタック3000Aの一時的な入口として構成されたポート3010A内に水素が導入される場合、弁3500Aは、スタック3000A内への燃料の導入を可能にするように開く。アノード流路3100の下部による2つのスタックの接続は、燃料が、スタック3000Aを通過した後、次いでスタック3000B内に入ってそこを通過し、その後、一時的な出口として構成されたポート3010Bを通過し、そこで弁3500Bがさらなる流れを妨げることを保証する。好ましい手法では、第1のスタック3000Aに入る燃料の化学量論は2であり、これは、2つのそのようなスタックに完全に燃料供給するのに十分な水素が存在することを意味する。燃料流れサイクルのこの第1の部分の間、第1のスタック3000Aは、実質的に純粋な水素を受け取っており、第2のスタック3000Bは、カソード流路からクロスオーバーした窒素によって希釈されている水素を受け取っている。これは、第1のスタック3000Aにおいて生成される電圧を、第2のスタック3000Bによって生成される電圧よりも高くする。特定の期間(例えば数秒)の後、スタック3000A内への水素供給がオフに切り替えられ、次にスタック3000Bに切り替えられる。これは、流れ反転(すなわちシフティング)をもたらし、それにより、ここでは第2のスタック3000Bが純粋な水素を得て、その電圧を上昇させ、第1のスタック3000Aの電圧は、窒素含有量を増加することにより降下する。2つのスタック間の電圧差は、流れ方向のこの変化のわずかに前に最大になるので、これが、スタック電圧をサンプリングするのに好都合な時間となり、しかしそのようなサンプルは、前述したように任意の時間に行うことができる。例えば、電圧サンプルは、より大きな周波数で、またはさらにはほぼ連続的に行うことができる。サンプリングが、特定の振動周期と一致するようにタイミングを取られる状況では、前述の「サンプルアンドホールド」手法を使用して、所望の電圧測定値を検出して制御装置に搬送することができる。サンプルアンドホールド手法では、スローフィルタが、スタック電圧の差(時間経過と共にシフティングプロセスに従って振動しており、その一方で、電圧振幅は、アノードサブシステム内の窒素濃度に対応する)の絶対値に適用される。実際の値がその符号を変えてその最大振幅に再び到達する間に振幅の記憶される最大測定値を更新することによって、振幅が変化する場合にのみ新たな入力値を受け取るので、制御装置のジョブが単純化される。そのような動作の下では、制御装置は、電圧振動に従う必要はない。また、この測定値は、しきい値と絶えず比較され、任意の時間にブリードをトリガすることを可能にされる。上述したように、この測定は、いくつかの異なる方法で行われることがある。例えば、これは、第1および第2のスタック3000A、3000Bの電圧の差の絶対値に基づくことがあり、またはスタック電圧の平均差に基づくことがあり、またはスタック内部の個別電池内部の差に基づくことがあり、または単一のスタック内部の最大電圧と最小電圧との差に基づくことがある。しきい値が超えられたときにブリード操作をトリガすることの代替方法として、他の手法が使用されることもある。例えば、ブリーディングが大きな周波数(例えば、連続的またはほぼ連続的な程度まで)で行われている状況では、ブリード弁3500A、3500Bの一方または両方にわたる差分圧力、ブリード弁3500A、3500Bの一方または両方の開き、またはブリード弁3500A、3500Bのデューティサイクルを変えるために、2つのスタック3000A、3000Bの電圧差が使用されることがある。
スタック電圧の差に基づいて、制御装置2000は、アノード流路3100内の適切な水素濃度を維持するためにどれほど多くのアノード流路気体(ここでは水素と窒素との混合物)がブリード弁3500A、3500Bを通してブリードされる必要があるかを求める。一実施形態では、両方のスタック電圧を同時に測定することができ、上述したように、この同時測定は断続的、または実質的に連続的であってよい。好ましくは、測定は、フローシフト周波数よりも頻繁に行われる。また、上述したように、単一のスタック内部の電圧、またはさらにはスタック内部の単一の個別電池内部の電圧を測定するなど、他の構成が、他の測定方式を可能にすることがある。水素/窒素分の所定のしきい値は、制御装置2000内の式プログラム論理デバイス、ルックアップテーブル、または関連のメモリデバイスに記憶されることがあり、ブリード弁操作に関する条件を決定するために使用することができる。また、これらの値は、排気混合中にアノード流路3100からのブリード気体がカソード流路3400のオフガス流内に混合される場合に、所要の気流を計算するために有用であることもある。例えば、燃焼性の問題に関する所与の限界値未満にこの流れ中の水素濃度を保つことが望ましく、そのようなレベルを保証するために水素/窒素比の知識を使用することができる。アノード水素濃度に関する最悪の仮定(すなわち100%)を想定するのではなく、アノード気体濃度を知ることによって、カソード流路3400からの所要の気流が減少するので、燃料電池システム1の効率は、本発明の手法の操作によって高められる。また、本発明の手法は、スタック電圧出力の実際の減少を考慮しないブリード弁3500A、3500Bのタイミング設定された開放に依拠するよりも効率的である。そのような最適化されていないタイミング設定された状況では、ブリード弁は、必要とされる前に開いていることがあり、通常であれば使用可能な水素の付随のパージングを伴う。制御装置2000(より詳細に以下に述べる本発明のアルゴリズムを含むようにプログラムすることができる)は、ブリード弁3500A、3500Bが再び閉じられるべきである時を決定する。この決定は、単純なものから洗練されたものまで、ある範囲の因子を取ることがあり、それらは全て制御装置2000内に提供することができる。例えば、単純な手法は、2つのスタック3000A、3000B間の電圧差しきい値の到達時にのみ開くように弁に指示することができ、この場合、ブリーディングは、測定フィードバックがしきい値未満の値に戻るまで続く。余裕を保証するため、および適切な不感帯を生成するための簡単なヒステリシス周期が、これに固有であってよい。弁開閉を行うために他のパラメータを使用することができることを当業者は理解されよう。
特に図4および5を参照すると、それぞれが200個の個別燃料電池を有する一対のスタックを有する概念的なシステムに対する、ブリード弁の動作の効果が示されている。これら2つの図で示される例では、電圧サンプリングは、各スタックで同時に行われ、しかし(前述したように)他のサンプリング方式および他のスタック構成が、同様の適用性をもって採用されることもある。図4の3つのグラフは、概念的なサンプリング間隔にわたるアノード流路における電圧傾向およびそれに対応する水素分を示し、ここでは、サイクルの最初にブリーディングがあり(水素濃度を実質的に一定に保つため)、(水素濃度が減少する)サイクルの中間部ではブリーディングがなく、(水素濃度が再び増加する)サイクルの最後付近で再びブリーディングがある。図4の第1のグラフには、スタックの1つによって生成された全電圧が示される。ここで、電圧は、スタックがフローシフティングサイクルの上流半分にある間は高く、スタックがフローシフティングサイクルの下流半分にある間は低いことがわかる。振動周期は、1つのフローシフティングサイクルの期間と同じである。第2のグラフでは、新たな水素が供給され、2つのスタック間の感知電圧差のほぼ瞬時の増加を引き起こし、その後、電圧差は振動パターンを示す。また、第2のグラフは、スタックの順序が切り替えられるごく直前の、上流スタックの高電圧レベルと下流スタックの低電圧レベルとの差を示す。差は、サンプルアンドホールド様式で処理されて、水素供給弁の後続の操作直前の次の評価まで、依存制御アルゴリズムに値を提供する。第3のグラフで、アノード流路の水素濃度は、第2のグラフの電圧差傾向に従うものと見ることができる。試験の開始中など窒素の量が非常に低い場合、下流スタックは、上流スタックに供給されるものと同様のほぼ純粋な水素濃度を供給される。したがって、スタック電圧は、基本的には同じである。しばらくした後、下流スタックに供給される燃料の水素濃度は減少し、下流スタックでのより低い電圧を引き起こし、これはさらに、純粋な水素を供給されるスタックに対して、より大きな電圧差を生じる。図5で、ブリード活動の開始後の、電圧差および付随の水素濃度が示される。電圧が応答するために約4秒間、水素濃度が上昇するために約7秒間かかる初期調節段階の後、電圧差は最小にされ(典型的には、このグラフでは約0.1ボルトまたはその近傍に留まる)、安定したままである。これは、概念的なシステムの動作のための設定された電圧差しきい値よりも十分に下である。しきい値よりも大きい差が測定された場合、さらなる期間にわたって持続するようにブリードアルゴリズムを構成することができる。この例では、これは13秒続き、しかし電圧差の安定性に基づいて、この期間は短縮することができる。行うべき第2の重要な観察は、通常、ブリーディングが行われている間に2つのスタック間の水素濃度が増加していることである。これは、ブリードがなく、水素濃度が減少している図4の状況と対照的である。
上述したように、電圧差に対する水素濃度の相関は、記憶されたデータのルックアップテーブルまたは関連の収集から導出することができる。感知された電圧に基づいて水素濃度を求めるための別の手法は、制御装置のプログラマブルロジックコントローラまたは関連のデバイスもしくはモジュール内にプログラムすることができるアルゴリズムによって行うことができる。以下の式(理想的な流れ条件に関して一般化されている)が、アノード触媒でアノード水素分圧の減少と共に電池電圧がどのように減少するかの着想を与える。
Figure 2008192599
ここで、Fはファラデー定数(96485C/mol)であり、Rはモル気体定数(8.314J/mol/K)であり、Tは標準温度(298.15K)であり、pは標準圧力(1.0bar)であり、Sはモル反応エントロピー(J/mol/K)であり、Tは温度(K)であり、Uはオープンセル電圧(V)であり、Uは標準状態でのオープンセル電圧(V)であり、catは触媒で測定される。
上に示したように、制御装置2000は、燃料電池システム1の様々な構成要素と連絡して、それらの動作を制御および調整する。例えば、制御装置2000は、燃料電池スタック3000A、3000Bに供給されるアノードおよびカソード反応物の流れを制御するために、ポンプ1000または別の加圧燃料源(燃料タンク)と連絡するように形成されることがある。また、制御装置2000は、クーラント供給システム(図示せず)を操作するなど、他の燃料電池機能のために使用されることもある。また、制御装置2000は、センサSから信号を受信して、記憶された値と比較する。さらに、制御装置2000は、制御(すなわち開または閉)信号を弁3500A、3500Bに送信して、フローシフティングおよびブリード弁操作を決定する。例えば、センサSが、所定のしきい値未満に降下する両スタック3000A、3000B間の電圧差を測定するとき(2つのスタック間で電圧感知が行われる構成で)、あるいは、電圧差が、単一のスタック3000Aもしくは3000B、または1つのスタック内部の個別電池300の間のものであるとき(同じスタックまたは電池内部で2つの異なる時間に電圧感知が行われる構成で)、そのような値は、制御装置2000に記憶された論理と比較されるとき、値の1つまたは複数を操作するために使用することができる。制御装置2000は、ここでは単一の制御装置として示されており、しかし、作用が調整される1組の複数の分散制御装置が使用されることもあることを当業者は理解されよう。いずれの構成でも、制御装置2000は、所望の機能を提供する1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)または関連のモジュールを含むことがある。そのようなデバイスは、プログラム可能論理制御装置または他の処理ユニットを定義することがある。それらは、さらに、共有、専用、またはグループ処理装置、サポート電子回路、およびメモリを含むことがあり、それらが相まって、1つまたは複数のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行する。そのような場合、フローシフティング時間やブリード弁開閉命令などを操作するために、上述した式が、制御装置2000内部のASIC、モジュール、または他の論理デバイス内にプログラムされ、それらによって使用することができるアルゴリズムのための基礎を成すことができる。
センサSは、制御装置2000によって行われる何らかの処置を指示するフィードバックを制御装置2000に提供するために使用されることがある。例えば、センサは、スタック3000A、3000B内部の電圧に対するブリード弁開放の影響についてフィードバックを提供する。従来の電圧センサを使用する利点の1つは、それらの本来的な頑強性にある。熱伝導率センサ、質量分析計、ガスクロマトグラフなど(それらは高価であり、かつ比較的壊れやすく、2つの特徴は通常、車両または他の移動用途に適合しない)の直接水素測定デバイスを使用するのではなく、本発明は、長い操作期間にわたって高い湿度および振動環境に耐えることができるセンサSを採用することがある。センサSは、スタック内の電圧値を測定し、感知されたパラメータを示す信号を1つまたは複数の信号搬送線に沿って制御装置2000に送信するために、各スタック3000Aおよび3000Bに接続されて示されているが、それらはまた、適切な信号を測定および送信するために燃料電池システム1の他の場所に配設されてもよい。一例は、ブリード弁3500A、3500Bの開きの度合いを測定するように構成されたセンサであってよい。
前述したように、制御装置2000が、所定の範囲未満の電圧差値を検出するとき、制御装置2000は、アノード流路3100内の窒素分を減少するためにブリード弁3500A、3500Bを開くことがある。図3に示される2スタック構成では、水素分は、実質的に純粋な窒素を供給される第1のスタック3000Aでの電圧読取りと、供給水素が未知量の窒素と混合される第2のスタック3000Bの電圧読取りとの比較によって推定される。同じ時間での異なるスタックにおける、または異なる時間での同じスタック内部における電圧の(例えば上述した式を用いた)測定を使用して、水素分を推定することができる。この手法に関連付けられる利点は、追加の構成要素費用がないこと(スタック電圧値を監視するためにセンサが既に使用されているので)、生じ得る改善されたシステム耐久性(システム内に注入される乾燥水素がより少量であるので)、改善された効率(より少量の使用可能な水素がブリード弁開放中に排気されるので)、および改善された移行操作(水素濃度が、不安定性が生じる低いレベルまで降下することを許されないので)を含む。
いくつかの代表的な実施形態および詳細を、本発明を例示する目的で示してきたが、頭記の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を施すことができることは、当業者に明らかであろう。
車両用途のために構成された、燃料電池スタックを含む燃料電池システムのブロック図である。 図1の燃料電池スタックを構成するために使用される代表的な単一の燃料電池を示す図である。 2スタックフローシフティング燃料電池システムの概略図である。 ブリード弁操作が行われなかった場合の、感知された電圧値と、フローシフティング燃料電池システムのアノード流路内の水素濃度の減少との間の関係を示す図である。 ブリード弁が開かれている場合の、フローシフティング燃料電池システムのアノード流路内の水素濃度の減少を示す図である。 本発明のフローシフティング燃料電池システムを採用する車両を示す図である。
符号の説明
100 反応物送達システム
100A 燃料源
100B 酸素源
200 燃料処理システム
300 燃料電池
310 アノード
312 電極基板
314、334 触媒層
316、336 アノード流路
320 電解質
330 カソード
332 電極基板
336 カソード流路
350 MEA
400 エネルギー貯蔵デバイス
500 ドライブトレイン
600 原動デバイス
2000 制御装置
3000 スタック
3100 アノード流路
3400 カソード流路
3500 ブリード弁

Claims (24)

  1. 燃料電池システムを操作する方法であって、
    第1の燃料電池スタックおよび第2の燃料電池スタックであって、それぞれが、内部に複数の個別燃料電池を備え、前記個別燃料電池がそれぞれ、アノードと、カソードと、前記アノードとカソードとの間に配設された膜とを備える第1の燃料電池スタックおよび第2の燃料電池スタックと、
    前記第1および第2のスタックそれぞれの内部の前記個別燃料電池の前記カソードを酸素源に結合するように構成されたカソード流路と、
    前記第1および第2のスタックそれぞれの内部の前記個別燃料電池の前記アノードを燃料源に結合するように構成されたアノード流路であって、前記アノード流路内部に存在する燃料が前記第1および第2のスタックの間で往復循環するように前記第1および第2のスタックの間に接続されるように構成されたアノード流路と、
    前記アノード流路に流体結合された少なくとも1つのブリード弁と、
    電圧を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと
    を備えるように前記システムを構成するステップと、
    燃料が第1の方向で前記スタックを通って流れるように、前記アノード流路内に前記燃料を導入するステップと、
    前記カソード流路内に酸素を導入するステップと、
    前記燃料が第2の方向でスタックを通って流れるように、前記アノード流路を通る燃料の前記流れを反転させるステップと、
    前記システムの動作に関連付けられる電圧差を感知するステップと、
    前記感知された電圧差を前記アノード流路内の燃料濃度と相関させるステップと、
    前記相関に基づいた前記電圧差のしきい値の到達時に、前記アノード流路内に存在する前記流体の少なくとも一部が逃げることを可能にするように前記少なくとも1つのブリード弁を操作するステップと
    を含む方法。
  2. 前記システムが、さらに、前記少なくとも1つのセンサおよび前記少なくとも1つのブリード弁と協働する制御装置を備え、それにより、前記制御装置が、前記感知された電圧差と前記アノード流路内の前記燃料濃度との間の前記相関を行って、前記しきい値の前記到達が達せられたかどうか判定する請求項1に記載の方法。
  3. 前記アノード流路内の前記燃料濃度が、ルックアップテーブル内の値によって前記制御装置において表される請求項2に記載の方法。
  4. 前記アノード流路内の前記燃料濃度が、等式
    Figure 2008192599
    に従う式によって前記制御装置において表される請求項2に記載の方法。
  5. 前記システムの動作に関連付けられる電圧差を感知する前記ステップが、前記第1および第2のスタックの電圧を実質的に同時に感知するステップを含む請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1および第2のスタックの電圧差を実質的に同時に感知する前記ステップが、さらに、前記第1および第2のスタックそれぞれの内部で平均電圧を求めるステップを含み、それにより、前記相関が、前記平均電圧を前記アノード流路内の前記燃料濃度と相関させるステップを含む請求項5に記載の方法。
  7. 前記システムの動作に関連付けられる電圧差を感知する前記ステップが、前記第1および第2のスタックの一方の内部で複数の電圧差を感知するステップを含み、それにより、前記第1および第2のスタックの前記一方の内部での平均値を求めることができる請求項1に記載の方法。
  8. 前記システムの動作に関連付けられる電圧差を感知する前記ステップが、前記第1および第2のスタックの少なくとも一方の内部にある単一の燃料電池内部の複数の電圧差を感知するステップを含む請求項1に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つのブリード弁を操作する前記ステップが、さらに、1回以下の完全なアノード流路動作サイクルに対応する時間の経過後に、前記少なくとも1つのブリード弁を閉じるステップを含む請求項1に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つのブリード弁を操作する前記ステップが、さらに、前記第1のスタックと前記第2のスタックとの間の電圧差の大きさに比例する時間の経過後に、前記少なくとも1つのブリード弁を閉じるステップを含む請求項1に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つのブリード弁が、少なくとも1つの3方向弁を備え、それにより、前記少なくとも1つのブリード弁が、前記燃料源を前記アノード流路と流体連絡して選択的に配置する請求項1に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1つのブリード弁が、前記第1および第2のスタックの間に流体的に配設される請求項1に記載の方法。
  13. 第1のスタックと、
    第2のスタックと、
    前記第1および第2のスタックに酸化剤を搬送するように構成されたカソード流路と、
    アノード流路内部に存在する燃料が前記第1および第2のスタックの間で往復循環するように、前記第1および第2のスタックの間に接続されるように構成されたアノード流路と、
    前記アノード流路に流体結合された少なくとも1つのブリード弁と、
    電圧差を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、
    前記スタックおよび前記少なくとも1つのセンサと協働する制御装置であって、それにより、所定の値を超える前記感知された電圧差に対応する少なくとも1つの信号の受信後、前記アノード流路内部にある流体の少なくとも一部が少なくとも1つのブリード弁からパージされることを可能にするように前記少なくとも1つのブリード弁に指示する制御装置と
    を備える燃料電池システム。
  14. 前記所定の値が、前記アノード流路内部にある前記流体の水素濃度を表す値を備える請求項13に記載のシステム。
  15. 前記水素濃度を表す前記値が、前記制御装置によってアクセス可能な様式で記憶される請求項15に記載のシステム。
  16. 前記様式が、ルックアップテーブルを備える請求項15に記載のシステム。
  17. 前記水素濃度を表す前記値が、等式
    Figure 2008192599
    に従う式によって生成される請求項15に記載のシステム。
  18. 前記システムが、車両のための原動力の源として働く、請求項13に記載のシステムを備える車両。
  19. 少なくとも1つのセンサおよび複数の個別燃料電池を内部に備える第1のスタックであって、前記個別燃料電池がそれぞれ、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配設された膜とを備える第1のスタックと、
    少なくとも1つのセンサおよび複数の個別燃料電池を内部に備える第2のスタックであって、前記個別燃料電池がそれぞれ、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配設された膜と、アノード流路およびカソード流路とを備える第2のスタックと、
    前記第1および第2のスタックに酸素含有流体を搬送するように構成されたカソード流路と、
    前記第1および第2のスタックの間に接続されるように構成されたアノード流路であって、フローシフティング燃料電池システムが、前記アノード流路内に存在する水素含有流体が前記第1および第2のスタックの間で往復循環するように、前記第2のスタックが少なくとも前記アノード流路によって前記第1のスタックに流体結合されるように構成されるアノード流路と、
    前記アノード流路に流体結合された少なくとも1つの流れ操作デバイスと、
    前記スタックと信号通信する制御装置であって、それにより、前記スタック間、前記スタックの1つの内部、または少なくとも1つの前記スタック内部の少なくとも1つの個別電池内部のいずれかでの、所定の値を超える感知された電圧差に対応する信号の前記制御装置による受信後、前記アノード流路内部にある流体の少なくとも一部が少なくとも1つの流れ操作デバイスからパージされることを可能にするように前記少なくとも1つの流れ操作デバイスに指示する制御装置と
    を備えるフローシフティング燃料電池システム。
  20. 前記少なくとも1つの流れ操作デバイスが、少なくとも1つのブリード弁を備える請求項19に記載のシステム。
  21. 前記感知された電圧差が、前記第1および第2のスタックの間の平均電圧差を備える請求項19に記載のシステム。
  22. 前記感知された電圧差が、前記第1および第2のスタックの少なくとも一方の内部の電圧差を備える請求項19に記載のシステム。
  23. 前記感知された電圧差が、前記第1および第2のスタックの少なくとも一方の内部にある少なくとも1つの個別燃料電池内部の電圧差を備える請求項19に記載のシステム。
  24. 前記少なくとも1つの流れ操作デバイスが、少なくとも1つの3方向弁を備え、それにより、ブリードおよび燃料注入の流れがそこを選択的に通過する請求項19に記載のシステム。
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