JP2008192546A - 色素増感型太陽電池用電極 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明導電層からなる基板、基板上に設けられた亜鉛酸化物粒子からなる多孔質半導体層及び多孔質半導体層上に吸着された色素化合物から構成される色素増感型太陽電池用電極において、色素化合物の-COOHのH(プロトン)をアルカリ金属で置き換えた色素化合物を用いる色素増感型太陽電池用電極。
【選択図】図2
Description
また、酸化チタン色素増感太陽電池電極の一般的な作製法では、500℃前後の熱処理を行うために、透明導電性膜の熱的安定性が必要とされ、高価な透明導電性電極の使用が必要となる。酸化亜鉛は比較的低温での焼結が可能であるため、安価な透明導電性電極を使用することができるため、低コスト太陽電池の作製が可能となる。
しかしながら、これまでその変換効率は酸化チタンを用いた場合に比べて、大きく劣っている。これまでの変換効率は2%〜3%であるが、標準条件(100mW/cm2=one sun)で正式発表されている最高値4.0%(同発明者、産総研エネルギー技術)、4.1%(慶応大学)である。光照射強度が下がって1/10 sun(=10 mW/cm2)で5.0%(Uppsala University, Sweden)である。光照射強度が下がると、変換効率が上がるのは良く知られていることである。
N-719の色素溶液で5%を達成したとの報告はあるが、これは、測定基準光強度(100mW/cm2)の1/10の強度(10mW/cm2)下での測定であり、他の報告と比較できない。色素増感型太陽電池は光強度が小さい場合ほどその光電変換効率は向上するため、基準光強度下においては、5%以下であることが予測される(非特許文献2)。
AM1.5、100mWcm-2の光照射下で測定した光電流密度(photocurrent density)と光電圧(photovoltage)の曲線である。この曲線から短絡電流10.7mAcm-2、開放電圧0.592V、曲線因子0.63、変換効率4.0%の値が得られている。
そこで、本発明者は、N-719色素の有するプロトンをナトリウムへイオン交換した色素を作製し、この色素を酸化亜鉛に吸着させて作製した色素増感型太陽電池により、酸化亜鉛を用いた色素増感型太陽電池の中で、最高効率である、5-6%を達成することができることを見出した。
すなわち、本発明は、透明導電層からなる基板、基板上に設けられた亜鉛酸化物粒子からなる多孔質半導体層及び多孔質半導体層上に吸着された色素化合物から構成される色素増感型太陽電池用電極において、色素化合物の-COOHのH(プロトン)をアルカリ金属で置き換えた色素化合物を用いる色素増感型太陽電池用電極である。
また、本発明は、亜鉛酸化物粒子からなる多孔質半導体層を、基板に対して垂直である酸化亜鉛ナノシートからなるポーラス酸化亜鉛膜とすることができる。
さらに本発明は、色素が、N-719色素、ブラック−ダイ、N3から選ばれる色素化合物であり、色素化合物の-COOHのH(プロトン)を置き換えるアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムとすることができる。
また、本発明は、色素を10-2〜10-5Mの濃度で、NaOH水溶液に加えて、溶解させ、乾燥させた色素化合物の-COOHのH(プロトン)をイオン交換でNaに置き換えた色素を用いることができる。
さらに本発明は、色素を10-2〜10-5Mの濃度で、KOH水溶液に加えて、溶解させ、乾燥させた色素化合物の-COOHのH(プロトン)をイオン交換でKに置き換えた色素を用いることができる。
また、本発明は、アルカリ金属に置き換えた色素を、親水性有機溶媒に溶解し、親水性有機溶媒に浸漬させた色素増感型太陽電池用電極のZnO膜に吸着させて作製することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法である。
また、本発明は、色素化合物の-COOHのH(プロトン)を置き換えるアルカリ金属としては、ナトリウム又はカリウムの化合物を用いることができ、その水酸化物が好適に用いることができる。
さらに本発明では、色素を溶解できる溶媒であればどのようなものでも良いが、典型的には、色素を、アルコール、アセトニトリルなどの親水性の有機溶剤に溶解し、親水性有機溶媒に浸漬させた色素増感型太陽電池用電極のZnO膜に吸着させて、色素増感型太陽電池用電極を得ることができる。本発明で用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール等があるが、エタノールが好ましく用いられる。
(Ru色素N-719のプロトンをNaへイオン交換)
6×10-4MのNaOH水溶液を調整し、これにN-719色素を3×10-4Mとなるように加え、超音波、攪拌によって、溶解させる。この後、エバポレイターを用いて60℃にて真空乾燥を行い、N-719色素の濃度が3×10-4Mとなるようにエタノールを加えることで、Na交換N-719色素溶液を作製した。
(ZnO膜合成・色素漬浸プロセス)
硝酸亜鉛六水和物、尿素の順に水へ溶解させた。尿素と水の重量比は1:5(尿素15g、水60ml)とし、硝酸亜鉛六水和物の濃度は0.15mol/dm3 (3.34g)とした。なるべく温度を一定に保つために、FドープSnO2ガラス基板を5つのサンプル管に各1個ずつ入れて1セットとし、この溶液を浸して4セット60℃で2日間静置した。ここで層状の水酸化炭酸亜鉛LHZCの膜が基板に析出されるが、ここまでのプロセスを繰り返すことによりさらに同様のLHZC膜が積層される。この膜をエタノールで洗浄した後、室温で15分間乾燥し、炉中で10分間熱処理を行った。作製されたZnO膜を5×5mm2に削り落とし、色素を80℃で漬浸時間を変えて吸着させた。色素としては、Ru金属錯体であるN-719、black-dye色素を、有機色素系であるD149色素を、また新たに開発したNa交換処理を行ったN719色素をそれぞれ用いた。対極は白金を使用し、30μmのスペーサーを介したサンドイッチ型のオープンセルを作成した。電解液にはLiI:0.1 mol/dm3 、I2:0.05 mol/dm3 、DMPII:0.6 mol/dm3、tert-butylpyridine:1mol/dm3 、溶媒としてアセトニトリルを用いた。
ここで測定するにあたってのプロセス条件を以下に示す。
〇LHZCの積層をするか否か
〇熱処理の温度を300〜450℃における50℃間隔でそれぞれ変化させる
〇色素の漬浸時間を0.5〜2.0時間における30分間隔でそれぞれ変化させたものを用いた。
表1に、300℃で熱処理したポーラス酸化亜鉛膜上にN-719を吸着させた電極を用いた色素増感型太陽電池とN-719の-COOHのH(プロトン)をイオン交換法でアルカリ金属に置き換えたものをポーラス酸化亜鉛膜上に吸着させた電極を用いた色素増感型太陽電池の変換効率を示す。
Claims (6)
- 透明導電層からなる基板、基板上に設けられた亜鉛酸化物粒子からなる多孔質半導体層及び多孔質半導体層上に吸着された色素化合物から構成される色素増感型太陽電池用電極において、色素化合物の-COOHのH(プロトン)をアルカリ金属に置き換えた色素化合物を用いる色素増感型太陽電池用電極。
- 亜鉛酸化物粒子からなる多孔質半導体層が、基板に対して垂直である酸化亜鉛ナノシートからなるポーラス酸化亜鉛膜である請求項1に記載した色素増感型太陽電池用電極。
- 色素が、N-719色素、ブラック−ダイ、N3から選ばれる色素化合物であり、色素化合物の-COOHのH(プロトン)を置き換えるアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである請求項1又は請求項2に記載した色素増感型太陽電池用電極。
- 色素を10-2〜10-5Mの濃度で、NaOH水溶液に加えて、溶解させ、乾燥させた色素化合物の-COOHのH(プロトン)をイオン交換でNaに置き換えた色素を用いる請求項1〜3のいずれかひとつに記載した色素増感型太陽電池用電極。
- 色素を10-2〜10-5Mの濃度で、KOH水溶液に加えて、溶解させ、乾燥させた色素化合物の-COOHのH(プロトン)をイオン交換でKに置き換えた色素を用いる請求項1〜3のいずれかひとつに記載した色素増感型太陽電池用電極。
- アルカリ金属に置き換えた色素を、溶媒に溶解し、溶媒に浸漬させた色素増感型太陽電池用電極のZnO膜に吸着させて作製することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
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