JP2008191253A - 液晶パネルの処理方法および処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない労力とエネルギーを用い液晶を回収、透明導電膜中のインジウムを回収するとともにガラスを再利用することが可能である液晶パネルの処理方法を提供する。
【解決手段】貼り合わされた2枚のガラス基板を分離するパネル分離工程と、ガラス基板上の液晶およびインジウムを回収する液晶およびインジウム回収工程と、ガラス基板上に形成されたバス電極を除去するバス電極除去工程と、バス電極除去後のガラス基板を回収するガラス基板回収工程とを含む液晶パネルの処理方法、ならびに、電解液を収容する電解槽と、外部電源に電気的に接続された陽極端子および陰極と、バス電極が形成されたガラス基板を電解槽内に収容された電解液中に移動させるための移動手段とを備える液晶パネルの処理装置。
【選択図】図1
【解決手段】貼り合わされた2枚のガラス基板を分離するパネル分離工程と、ガラス基板上の液晶およびインジウムを回収する液晶およびインジウム回収工程と、ガラス基板上に形成されたバス電極を除去するバス電極除去工程と、バス電極除去後のガラス基板を回収するガラス基板回収工程とを含む液晶パネルの処理方法、ならびに、電解液を収容する電解槽と、外部電源に電気的に接続された陽極端子および陰極と、バス電極が形成されたガラス基板を電解槽内に収容された電解液中に移動させるための移動手段とを備える液晶パネルの処理装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶パネルの処理方法および処理装置に関する。
近年、液晶パネルを用いた家電製品、パソコン、携帯端末などの製品が急速に普及している。ここで、上述した液晶パネルとは、貼り合せた2枚のガラス基板の内側に液晶材料を注入、封入し、各ガラス基板の外側に偏光板(樹脂)を貼り付けたものを指す。液晶パネルを用いた製品の普及に伴い、廃液晶パネルの数量も急激に増加しているが、環境との共存が期待される循環型社会の形成の中、廃液晶パネルについてもリサイクルし資源を有効に利用することが要望されている。
現在、家電製品や情報機器などの廃棄物に含まれる液晶表示装置や液晶パネルは、廃棄物の量としては少ないこともあって、廃棄物の処理施設にて製品ごとに破砕された後、プラスチックを多量に含むシュレッダーダストと共に、埋め立て処理あるいは焼却処理されている。
液晶パネルの製造工場から排出される不良の廃液晶パネルや家電製品および情報機器などの廃棄物に含まれる液晶表示装置や液晶パネルの処理方法として、液晶パネルの製造工場や廃棄物の処理施設にて製品ごと破砕後、非鉄精錬炉に投入し珪石の代替材料として処理する方法が一部で実施されている(たとえば、特開2000−84531号公報(特許文献1)を参照。)。この特許文献1に開示された方法では、有機物は炉内で完全燃焼され、二酸化炭素や水素などに分解される。しかしながらこの方法では、液晶パネルは、ガラス成分がスラグとなりセメント材料として再利用されるのみでガラス材料としては再利用されず、また、透明導電膜に含まれるインジウムも再利用されていない。
液晶は非常に高価な材料であり回収再利用する声がある。液晶パネルに使用されている液晶の量は微量であり、少ない労力とエネルギーで液晶を高純度で劣化を伴わずに回収し再利用することが望ましい。さらに、液晶はその毒性が問題にならないほど小さいことが分かってはいるが、自然には非常に分解しにくい材料であるため、高収率で回収し、環境中への拡散をできるだけ少なくすることが望ましい。
液晶パネルに用いられている液晶材料の回収方法として、アセトン、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤を用いて液晶パネル表面の液晶を溶解することにより回収する方法が提案されている(たとえば、特開2001−305502号公報(特許文献2)を参照。)。しかし、特許文献2では上述したような有機溶剤を用いて液晶を溶解させるため、液晶パネル表面の配向膜、カラーフィルタなどの有機物が溶解されてしまう。このため、不純物が混入してしまうことになり、高純度で液晶を回収することができない。また、アセトンなどの有機溶剤は、揮発性が高く、人体に有害である。さらに、この方法では、液晶が溶解させた有機溶剤を蒸留によって有機溶剤と液晶とに分離することで液晶を回収するものであるが、液晶は温度依存性が高いため、蒸留の際に変質してしまう虞がある。
また特開2002−126688号公報(特許文献3)には、液晶パネルに用いられている液晶材料の回収方法として、超臨界流体を用いて、液晶材料を分解する方法が提案されている。しかし、このような方法を具現化する設備を用いる場合、耐圧、耐腐食性の要件から、通常設備のイニシャルコストが大きくなり、ランニングコストも高くなる。また、大量のエネルギーを使用するため二酸化炭素の排出量が増大し環境に対する負荷も大きくなる。
液晶パネルには、通常、透明導電膜として有価物であるインジウムを含むITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。インジウムはITO透明導電膜として液晶表示装置やプラズマディスプレイパネルなどの薄型表示装置に使用されており、近年の薄型テレビの急激な普及により供給が逼迫している。したがって、希少資源有効活用の観点から、インジウムについても、不要となった液晶パネルから高収率で回収することが望まれている。
液晶パネルに用いられているインジウムの回収方法として、たとえば特開2005−334838号公報(特許文献4)には、液晶パネルを塩酸溶液に浸漬することによって、ガラス表面のITO膜を溶出し、インジウムを回収する方法が提案されている。しかしながらこの方法では、塩酸を使用するため、作業環境が悪化するとともに、発生する廃液の処理に多大な労力とエネルギーとを必要とする。
また、たとえば特開2000−169991号公報(特許文献5)には、インジウム含有物を塩酸で溶解した後、中和して金属イオンを析出させて除去させ、さらに硫化させた後電解を行なうことでインジウムを回収する方法が提案されている。しかしながら、この特許文献5に開示された方法では塩酸を用いるため、インジウムを回収した後に発生する廃液の処理に多大な労力とエネルギーを必要とする。
また液晶パネルに用いられているガラスを回収する方法として、たとえば、特開2005−292394号公報(特許文献6)には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸などの強酸溶液を用いてガラス表面に付着している金属薄膜などの無機成分を除去する方法が提案されている。しかしながら、この特許文献6に開示された方法でも、強酸を使用するため、発生する廃液の処理に多大な労力とエネルギーを必要とする。
特開2000−84531号公報
特開2001−305502号公報
特開2002−126688号公報
特開2005−334838号公報
特開2000−169991号公報
特開2005−292394号公報
液晶パネルは、省電力・省資源に貢献できる表示装置であるので、今後、高度情報化社会の進展に伴って、急激に生産量が増大するとともに、その表示面積も大型化することが予測され、これに伴って、今後、廃液晶パネルも、数・量ともに急激に増大すると予想される。
従来では、適切な液晶パネルの処理方法が確立されておらず、CRT(Cathode Ray Tube)その他の家電製品や部品と比較して技術確立などが遅れているのが実情である。したがって、今後、廃液晶パネルの増加に備えた処理方法の確立が早急に要求される。
上述したように、複雑な設備を用いたり廃液処理に多大な労力およびエネルギーを必要とすることなく、液晶およびインジウムを液晶パネルから高純度、高収率で回収することのできる処理方法は未だ提案されていない。さらに、液晶パネルの重量の大半を占めるガラスについても、廃棄物の低減と資源を大切にする観点から、再生利用することが望ましい。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、少ない労力とエネルギーを用い液晶を回収、透明導電膜中のインジウムを回収するとともにガラスを再利用することが可能である液晶パネルの処理方法を提供することである。
本発明の液晶パネルの処理方法は、貼り合わされた2枚のガラス基板を分離するパネル分離工程と、ガラス基板上の液晶およびインジウムを回収する液晶およびインジウム回収工程と、ガラス基板上のバス電極材料を除去するバス電極除去工程と、バス電極除去後のガラス基板を回収するガラス基板回収工程とを含むことを特徴とする。
本発明の液晶パネルの処理方法において、前記バス電極除去工程は、電解エッチングによって、バス電極を除去することが好ましい。
また前記電解エッチングは、バス電極に正の電圧を印加することによってバス電極を溶出させるものであることが好ましい。
また、本発明における前記電解エッチングには、中性塩水溶液の電解液を用いることが好ましい。
また本発明における前記電解エッチングは、バス電極が形成されたガラス基板を端から徐々に電解液中に浸漬させながら行なうことが、好ましい。
また本発明は、上述した本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程に用いるための装置であって、電解液を収容する電解槽と、外部電源に電気的に接続された陽極端子および陰極と、バス電極が形成されたガラス基板を電解槽内に収容された電解液中に移動させるための搬送手段とを備える液晶パネルの処理装置についても提供する。
本発明の液晶パネルの処理装置は、前記陽極端子が導電性を有し、かつ可撓性を有することが、好ましい。
また本発明の液晶パネルの処理装置は、前記陽極端子が円筒状であることが好ましい。
本発明の液晶パネルの処理方法によれば、経済的に高純度かつ高収率で、劣化を伴わずに液晶の回収を行なうことができるという効果を奏する。また、本発明の液晶パネルの処理方法によれば、希少金属であるインジウムを経済的に高純度で回収することができるという効果が奏される。さらに本発明の液晶パネルの処理方法によれば、ほとんど廃棄物を排出せず、ガラスを再利用することができるという効果を奏する。このような本発明の液晶パネルの処理方法によれば、少ない労力とエネルギーを用いて、液晶を完全に回収することができるとともに、透明導電膜に含まれる希少金属であるインジウムを回収することができ、さらにガラスカレット(ガラス片)も再利用することができる。したがって、ほとんど廃棄物を排出しない経済的な廃液晶パネルの処理が可能となる。また本発明は、上述した本発明の液晶パネルの処理方法のうち、バス電極除去工程を特に好適に行なうための液晶パネル処理装置についても提供することができる。
図1は、本発明の液晶パネルの処理方法を模式的に示すフローチャートである。本発明の液晶パネルの処理方法は、〔1〕パネル分離工程(ステップS1)、〔2〕液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)、〔3〕バス電極除去工程(ステップS3)、〔4〕ガラス基板回収工程(ステップS6)を基本的に含む。また、図1のフローチャートに示すように、バス電極除去工程(ステップS3)とガラス基板回収工程(ステップS6)との間に、液晶パネルから偏光板を剥離する偏光板剥離工程(ステップS4)およびガラス基板をガラスの種類(品種)別に選別するガラス基板選別工程(ステップS5)をさらに含むことが好ましい。本発明の液晶パネルの処理方法によれば、少ない労力とエネルギーを用いて、液晶を完全に回収することができるとともに、透明導電膜に含まれる希少金属であるインジウムを回収することができ、さらにはガラスカレット(ガラス片)も再利用することができ、ほとんど廃棄物を排出しない経済的な廃液晶パネルの処理が可能となる。
上記各工程の具体的な説明に先立ち、本発明の液晶パネルの処理方法に供される液晶パネルの典型的な構造について、まずは説明する。図2は、本発明の液晶パネルの処理方法に供される典型的な一例の液晶パネル1を模式的に示す断面図である。本発明の液晶パネルの処理方法には、従来公知の適宜の構造の液晶パネルを特に制限されることなく供することができる。たとえば、液晶パネルの製造工場において廃棄される液晶パネル、液晶表示装置の組立工場にて廃棄された液晶表示装置を分解処理して排出される液晶パネル、液晶を応用した製品の製造工場にて廃棄された製品を分解処理して排出される液晶パネル、ならびに、市場にて廃棄された情報表示装置、映像表示装置などを解体処理して排出される液晶パネルを適用することができる。図2には、一例として、TFT(Thin Film Transistor)などのアクティブ素子(図示せず)を備えた液晶パネル1を示しているが、本発明の液晶パネルの処理方法は、TN(Tweisted Nematic)液晶パネル、STN(Super Twisted Nematic)液晶パネルなどのデューティ液晶パネルにも勿論適用可能である。
図2に示す例の液晶パネル1は、たとえば、対向配置された厚さ0.4〜1.1mm程度の2枚のガラス基板(カラーフィルタ側ガラス基板2a、TFT側ガラス基板2b)を備える。これらガラス基板2a,2bは、対向配置された側(内面側)に、周縁部に沿ってシール樹脂体(シール材)3が設けられ、互いに貼り合わされてなる。また、これらガラス基板2a,2bとシール樹脂体3とによって密封された領域には、液晶が封入され、厚さ4〜6μm程度の液晶層4が形成されている。また、各ガラス基板2a,2bの対向配置された側とは反対側(外面側)に、厚さ0.2〜0.4mm程度の偏光板5が粘着剤により貼着されている。
ここで、図3は、図2に示した例の液晶パネル1のカラーフィルタ側ガラス基板2aおよびその周辺を一部拡大して示す断面図である。典型的な液晶パネル1では、図3に示すように、カラーフィルタ側ガラス基板2aの内面側に、カラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9が形成されている。カラーフィルタ6は有機物を主体とした材料からなる。反射防止膜7は炭素を主成分とした薄膜などからなる。透明導電膜8はインジウムなどを含む薄膜からなる。配向膜9はポリイミドなどの有機物からなる。
また図4は、図2に示した例の液晶パネル1のTFT側ガラス基板2bおよびその周辺を一部拡大して示す断面図である。典型的な液晶パネル1では、図4に示すように、TFT側ガラス基板2bの内面側に、画素電極10、バス電極11、絶縁膜12、透明導電膜8および配向膜9が形成されている。透明導電膜8は、インジウムなどを含む薄膜からなる。画素電極10およびバス電極11はタンタル、モリブデン、アルミニウム、チタンなどの金属を主成分とする薄膜からなる。前記カラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8、配向膜9、画素電極10、バス電極11および絶縁膜12の膜厚は、前記2枚のガラス基板2a,2bの厚さと比較して、十分に薄い。
画素電極10およびバス電極11は、通常、TFT側ガラス基板2bの内面側にライン状に加工され形成される。ここで、図5は、図4に示した例におけるTFT側ガラス基板2b上のバス電極11の形成ラインを模式的に示す斜視図である。図4に示した例のバス電極11は、たとえば、図5に示すように、断面矩形状のTFT側ガラス基板2bの四辺のうちのいずれか一辺に平行な方向と垂直な方向との2つの方向にライン状に形成されてなる。また図4に示す例では、画素電極10は、バス電極11がライン状に形成された2つの方向のうちいずれか1つの方向に垂直にライン状に形成されてなる。
また、図6は、本発明の液晶パネルの処理方法に供される典型的な他の例の液晶パネルのTFT側ガラス基板2bおよびその周辺を一部拡大して示す図であり、図7は図6に示す例におけるTFT側ガラス基板2b上のバス電極11’の形成ラインを模式的に示す斜視図である。図6には、たとえば図7に示すように、断面矩形状のTFT側ガラス基板2bの四辺のうちのいずれか一辺に平行な方向にライン状に形成された場合のバス電極11’を示している。また図6に示す例では、画素電極10’は、バス電極11’がライン状に形成された方向に垂直にライン状に形成されてなる。
本発明の液晶パネルの処理方法では、たとえば上述したような構造を備える液晶パネルを適用する。以下、本発明の液晶パネルの処理方法における各工程について、図2に示した例の液晶パネル1を適用する場合を主として例に挙げて詳細に説明する。
〔1〕パネル分離工程
本発明の液晶パネルの処理方法においては、まず、図1のフローチャートに示すように、貼り合されたガラス基板2a,2bを、2枚に分離する(ステップS1)。パネルを分離する方法としては、たとえばシール樹脂体3を加熱する方法、ガラス基板2a,2bのエッジ部分を切断する方法などが挙げられる。ガラス基板2a,2bを分離すると、ガラス基板2a,2bの隙間に封入されていた液晶層4が表面に露出する。
本発明の液晶パネルの処理方法においては、まず、図1のフローチャートに示すように、貼り合されたガラス基板2a,2bを、2枚に分離する(ステップS1)。パネルを分離する方法としては、たとえばシール樹脂体3を加熱する方法、ガラス基板2a,2bのエッジ部分を切断する方法などが挙げられる。ガラス基板2a,2bを分離すると、ガラス基板2a,2bの隙間に封入されていた液晶層4が表面に露出する。
シール樹脂体3を加熱して分離する方法では、シール樹脂体3を加熱し、シール樹脂体3の強度を低下させることにより分離する。上述したように、ガラス基板2a,2bは、通常、対向配置された側(内面側)に、周縁部に沿ってシール樹脂体3が設けられ、互いに貼り合わされてなる。シール樹脂体3としては、通常、エポキシ系樹脂などが用いられ、加熱することでシール樹脂体3の強度を低下させることができる。シール樹脂体3の加熱温度としては、シール樹脂体3の形成材料に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、たとえばエポキシ系樹脂のシール樹脂体3の場合には、300℃以上が望ましく、400℃以上がより望ましい。加熱の方法としては、たとえば、ランプ加熱、赤外線加熱、ヒートプレスなどが挙げられる。加熱によりシール樹脂体3の強度を低下させることで、手作業で容易にガラス基板2a,2bを分離することが可能となる。
また、ガラス基板2a,2bのエッジ部分を切断することによってガラス基板2a,2bを分離する場合には、ガラス基板2,2bの内側の四辺を切断することで、それぞれ1枚ずつガラスを切り出すようにすればよい。ガラス基板2a,2bの切断には、たとえば、ガラスカッター、ダイヤモンドソー、スクライバーなどを用いることができる。
〔2〕液晶およびインジウム回収工程
次に、液晶が露出したガラス基板2a,2bから液晶を回収する(ステップS2)。ここで、図8は、本発明の液晶パネルの処理方法における液晶およびインジウム回収工程に好適に採用され得る、液晶の回収方法の一例を模式的に示す図である。液晶は、たとえば、ガラス基板2a,2bの表面を液晶回収用のスクレーパ21を用いてスクレーピングすることによって回収することができる(図8には、カラーフィルタ側ガラス基板2a側の液晶を回収する場合を示している)。液晶回収用のスクレーパ21としては、ガラス基板2a,2b上に形成されている配向膜9より柔らかいポリプロピレンゴム、ポリエチレンゴムなどで形成されたスクレーパを好適に用いることができる。このような液晶回収用のスクレーパ21を用いることにより、配向膜9を削り取らずに液晶のみを回収することができる。
次に、液晶が露出したガラス基板2a,2bから液晶を回収する(ステップS2)。ここで、図8は、本発明の液晶パネルの処理方法における液晶およびインジウム回収工程に好適に採用され得る、液晶の回収方法の一例を模式的に示す図である。液晶は、たとえば、ガラス基板2a,2bの表面を液晶回収用のスクレーパ21を用いてスクレーピングすることによって回収することができる(図8には、カラーフィルタ側ガラス基板2a側の液晶を回収する場合を示している)。液晶回収用のスクレーパ21としては、ガラス基板2a,2b上に形成されている配向膜9より柔らかいポリプロピレンゴム、ポリエチレンゴムなどで形成されたスクレーパを好適に用いることができる。このような液晶回収用のスクレーパ21を用いることにより、配向膜9を削り取らずに液晶のみを回収することができる。
インジウムは、たとえば、上述のように液晶を回収した後に、ガラス基板2a,2bの内面側に形成されたカラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8、配向膜9、画素電極10、バス電極11および絶縁膜12などの薄膜(カラーフィルタ側ガラス基板2aの側では、カラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9などの薄膜、TFT側ガラス基板2bの側では、透明導電膜8、配向膜9、画素電極10、バス電極11および絶縁膜12などの薄膜)と一緒にガラス基板から回収し、高純度のインジウム含有粉末を得て、回収する。
上述した薄膜を除去する方法としては、たとえばスクレーピングを好適に用いることができる。スクレーピングを採用する場合、たとえば薄膜除去用のスクレーパ31を用いて、ガラス基板2a,2bの内面側に形成された上記薄膜をそれぞれ削り取る。ここで、図9は、本発明の液晶パネルの処理方法における液晶およびインジウム回収工程に好適に採用され得る、カラーフィルタ側ガラス基板2a側の薄膜の除去方法の一例を模式的に示す図である。カラーフィルタ側ガラス基板2aの内面側には、カラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9が形成されているが、このうちカラーフィルタ側ガラス基板2aに直接付着している材料は、カラーフィルタ6および反射防止膜7である。カラーフィルタ6および反射防止膜7は、有機物を主体とした材料からなり、ファンデルワールス力によりガラス基板2aに付着しているため、スクレーピングによりカラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9の全ての薄膜を容易に除去することができる。薄膜除去用のスクレーパ31としては、たとえばステンレス、チタン合金などの金属製のスクレーパを好適に用いることができる。
上述のようにインジウムは透明導電膜8に含まれる。スクレーピングによりガラスフィルタ側ガラス基板2aの内面側から除去されたこの透明導電膜8を含む薄膜は、有機物とITO粉末とからなるインジウム含有粉末として回収される。このインジウム含有粉末を焼成することで、有機物を燃焼させて、残存したITO粉末を回収することができる。回収されたITO粉末は、非鉄精錬メーカなどにより金属インジウムに精製あるいはITOターゲットに加工される。また、スクレーピングによりカラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9が除去されたカラーフィルタ側ガラス基板2aは、後述のガラス基板回収工程(ステップS6)でガラスへとリサイクルされる。
また図10は、本発明の液晶パネルの処理方法における液晶およびインジウム回収工程に好適に採用され得る、TFT側ガラス基板2b側の薄膜の除去方法の一例を模式的に示す図である。TFT側ガラス基板2bの内面側には、透明導電膜8、配向膜9、画素電極10、バス電極11および絶縁膜12が形成されている。図10に示すように、カラーフィルタ側ガラス基板2aと同様に、薄膜除去用のスクレーパ41を用いて、スクレーピングにより、透明導電膜8、配向膜9、画素電極10、バス電極11および絶縁膜12を除去することができる。薄膜除去用のスクレーパ41としては、上述した薄膜除去用のスクレーパ31と同様に、たとえばステンレス、チタン合金などの金属製のスクレーパを好適に用いることができる。
ここで、図11は、図10に示したようにスクレーピングを行った後の状態のTFT側ガラス2bを模式的に示す断面図である。TFT側ガラス基板2bの内面側において、TFT側ガラス基板2bに直接付着しているのは、タンタル、モリブデン、アルミニウムまたはチタンなどで形成された金属薄膜からなるバス電極11である。バス電極11とTFT側ガラス基板2bとはアンカー効果により付着しているため付着力が強く、図10に示したようなスクレーピングでは完全に除去することができず、一部残存する(図11)。このため、バス電極11は、後述するバス電極除去工程(ステップS3)にて除去する。
スクレーピングによりTFT側ガラス基板2bの内面側から除去された透明導電膜8を含む薄膜は、有機物とITO粉末と画素電極材料である金属からなるインジウム含有粉末として回収される。このインジウム含有粉末を焼成することで、有機物を燃焼させて、残存したITO粉末および画素電極材料の金属を回収することができる。回収されたITO粉末および画素電極材料の金属は、非鉄精錬メーカなどにより金属インジウム、画素電極材料の金属をそれぞれ回収することができる。
また、本発明における液晶およびインジウム回収工程では、サンドブラストを用いて液晶を除去した後のガラス基板2a,2bの内面側に形成された上記薄膜を除去するようにしてもよい。サンドブラストを採用する場合、微粒子の砂をガラス基板2a,2bに勢いよく吹き付けて、上記薄膜をそれぞれ除去する。ここで、図12は、本発明の液晶パネルの処理方法における液晶およびインジウム回収工程に好適に採用され得る、カラーフィルタ側ガラス基板2a側の薄膜の除去方法の他の例を模式的に示す図である。図12に示すように、カラーフィルタ側ガラス基板2aに微粒子の砂をブラストガン51により吹き付けると、カラーフィルタ側ガラス基板2aの内面側に形成されているカラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9を全て除去することができる。
サンドブラストによりガラスフィルタ側ガラス基板2aの内面側から除去された透明導電膜8を含む薄膜は、有機物とITO粉末とからなるインジウム含有粉末と、サンドブラストに用いた微粒子の砂との混合物として回収される。この混合物から、まず、分級によって微粒子の砂を分離する。分離した砂は、サンドブラストに再使用することができる。次に、砂と分離したインジウム含有粉末を焼成することにより有機物を燃焼し、残存するITO粉末を回収する。回収されたITO粉末は、非鉄精錬メーカなどにより金属インジウムに精製あるいはITOターゲットに加工される。また、サンドブラストによりカラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9が除去されたカラーフィルタ側ガラス基板2aについても、後述のガラス基板回収工程(ステップS6)でガラスへとリサイクルされる。
また図13は、本発明の液晶パネルの処理方法における液晶およびインジウム回収工程に好適に採用され得る、TFT側ガラス基板2b側の薄膜の除去方法の他の例を模式的に示す図である。TFT側ガラス基板2bの内面側には、透明導電膜8、配向膜9、画素電極10、バス電極11および絶縁膜12が形成されている。図13に示すように、カラーフィルタ側ガラス基板2aと同様にブラストガン61によりTFT側ガラス基板2bに微粒子の砂を勢いよく吹き付けることで、TFT側ガラス基板2bの内面側に形成された透明導電膜8、配向膜9、画素電極10および絶縁膜12を除去することができる。しかしながらバス電極11についてはサンドブラストによって除去されずに、TFT側ガラス基板2b上に残存するため、サンドブラストを行った後は、図11に示したのと同様の状態となる。
サンドブラストによりTFT側ガラス基板2bの内面側から除去された透明導電膜8を含む薄膜は、有機物とITO粉末と画素電極材料である金属からなるインジウム含有粉末と、サンドブラストに用いた微粒子の砂との混合物として回収される。この混合物から、まず、分級によって微粒子の砂を分離する。分離した砂は、サンドブラストに再使用することができる。次に、砂と分離したインジウム含有粉末インジウム含有粉末を焼成することで、有機物を燃焼させて、残存したITO粉末および画素電極材料の金属を回収することができる。回収されたITO粉末および画素電極材料の金属は、非鉄精錬メーカなどにより金属インジウム、画素電極材料の金属をそれぞれ回収することができる。
〔3〕バス電極除去工程
次に、図11に示したように、TFT側ガラス基板2bの内面側に残存したバス電極11を除去する(ステップS3)。上述したようにバス電極11は、アンカー効果によりTFT側ガラス基板2bに付着しており、容易に除去することができない。このようなバス電極11はタンタル、モリブデン、アルミニウム、チタンなどの金属材料で形成されているため、酸性溶液などを用いてこれらの金属材料を溶解することでバス電極11を除去する方法も考えられるが、このような方法を採用すると、酸性雰囲気により作業環境が悪化する他、廃液処理に多大なエネルギーと労力を必要とし、環境に悪影響を及ぼす虞がある。このため、本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程では、電解エッチングによってバス電極11を除去することが好ましい。これによって上述したような酸性廃液の発生がなく、環境負荷を低減することが可能となる。
次に、図11に示したように、TFT側ガラス基板2bの内面側に残存したバス電極11を除去する(ステップS3)。上述したようにバス電極11は、アンカー効果によりTFT側ガラス基板2bに付着しており、容易に除去することができない。このようなバス電極11はタンタル、モリブデン、アルミニウム、チタンなどの金属材料で形成されているため、酸性溶液などを用いてこれらの金属材料を溶解することでバス電極11を除去する方法も考えられるが、このような方法を採用すると、酸性雰囲気により作業環境が悪化する他、廃液処理に多大なエネルギーと労力を必要とし、環境に悪影響を及ぼす虞がある。このため、本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程では、電解エッチングによってバス電極11を除去することが好ましい。これによって上述したような酸性廃液の発生がなく、環境負荷を低減することが可能となる。
図14は、本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程の際の電解液液面の様子を模式的に示す図である。電解エッチングは、バス電極11を陽極とし、不溶性の陰極を用いて、電解液72中に図11に示したバス電極11が残存したTFT側ガラス基板2bを浸漬させ、バス電極11に正の電圧を印加し、陰極に負の電圧を印加することで行なうことができる。このように本発明におけるバス電極除去工程は、バス電極11に正の電圧を印加して、バス電極11を溶出させる電解エッチングによって、バス電極11を除去するように実現されることが好ましい。具体的には、バス電極11と外部電源の陽極から導いた陽極端子71とを接触させるとともに、陰極を外部電源の陰極に電気的に接続する。電解液72の液面とTFT側ガラス基板2bとの接点は、図14に示すように電解液72がTFT側ガラス基板2bの表面に濡れ上がり、メニスカスが形成される。ここで、バス電極11に接触させる陽極端子71が電解液72と接触すると、陽極端子71上で電解液72の電気分解反応が生じ、バス電極11の電解エッチングの進行が妨げられてしまう虞がある。このため、陽極端子71は、図14に示すように電解液72と接触しないように配置することが好ましい。バス電極11と陰極に電圧を印加することで、電解液72の液面近傍で電解エッチングが進行し、バス電極11が除去される。
電解エッチングは、陽極端子71に最も近く、かつ電解液72に接触している部分(すなわち、電解液72の液面付近)が最も速く進行する。そのため、TFT側ガラス基板2bは、好ましくは、端から徐々に電解液72に浸漬させる。バス電極11の電解液72に浸漬された部分は電解エッチングにより除去されるが、TFT側ガラス基板2bを端から徐々に電解液72に浸漬させることで、電解エッチングによりバス電極11が除去される箇所をTFT側ガラス基板2bの端(エッジ)から徐々に移動させて、バス電極11を完全に除去することが可能となる。
ここで、本発明の液晶パネルの処理方法に適用される液晶パネルにおいては、図5に示したように断面矩形状のTFT側ガラス基板2bの四辺のうちのいずれか一辺に平行な方向と垂直な方向との2つの方向にライン状にバス電極11が形成されてなる場合と、図7に示したように断面矩形状のTFT側ガラス基板2bの四辺のうちのいずれか一辺に平行な方向にライン状に形成された場合のバス電極11’が形成されてなる場合があることは上述した。図15は、本発明の液晶パネルの処理方法においてバス電極除去工程に適用される電解エッチングの好ましい一例を模式的に示す斜視図である。図5に示した例のように互いに垂直な2つの方向にライン状に複数形成されたバス電極11を除去する場合、TFT側ガラス基板2bを電解液72に浸漬させるための移動方向としては、たとえば、図15に示すようにバス電極11のいずれか1つの方向に垂直な方向(白抜きの矢符で示す方向A)に設定するようにしてもよい。
しかしながら、図7に示したように1つの方向のみにライン状に複数形成されたバス電極11’を除去する場合、バス電極11’が形成された方向と垂直な方向にTFT側ガラス基板2bを移動させるようにすると、バス電極11’の電解液72に浸漬した部分と陽極端子71との導通がとれなくなり、好ましくない。ここで、図16は、本発明の液晶パネルの処理方法においてバス電極除去工程に適用される電解エッチングの好ましい他の例を模式的に示す斜視図である。1つの方向のみにライン状に複数形成されたバス電極11’を除去する場合には、図16に示すように、バス電極11’が形成された方向とは垂直とならないよう、一定の角度を持たせるように配置して、移動させることが好ましい(図中、移動方向として方向Bを白抜きの矢符で示している)。これにより、バス電極11の電解液72に浸漬した部分と陽極端子71との導通をとることが可能となる。
図17は、可撓性を有する陽極端子71を用いた場合における陽極端子71とバス電極11との接触部分を模式的に示す断面図である。本発明における電解エッチングに用いる陽極端子71としては、特に制限されるものではないが、導電性を有するとともに、弾性変形を許容し得るような可撓性を有する端子を用いることが好ましい。バス電極11,11’は、TFT側ガラス基板2bの内面側にライン状に形成されているが、バス電極11,11’の膜厚にばらつきがある場合には、陽極端子71を接触させるべきバス電極11、11’の突出端が凹凸を有することになる。一般に、電極に用いられる高導電性を有する材料としては、金属材料が使用されるが、金属材料は剛性が高いため、上述したようにバス電極11,11’の膜厚にばらつきがある場合には、バス電極11,11’への密着性が乏しくなってしまう虞がある。これに対し、導電性を有し、かつ可撓性を有する陽極端子71を用いることで、バス電極11,11’の突出端が凹凸を有する場合であっても、バス電極11,11’の膜厚に応じて弾性変形により追従させて、バス電極11,11’と陽極端子71を十分に接触させることができるようになる(図17)。
また陽極端子71は、疎水性の材料で形成された端子を用いることが好ましい。疎水性の材料で形成された陽極端子71を用いることで、陽極端子71の電解液への濡れ性が悪くなるため、エッジ部除去工程(後述)において電解液と接触した際に、当該陽極端子の電解液と接触した部分で電解液の電気分解反応が進行することを防止することができるようになる。このような導電性かつ可撓性を有する陽極端子71を形成する疎水性の材料としては、たとえば、導電性ポリマー、フィラー系導電性樹脂などが挙げられる。
陽極端子71の形状は、特に制限されるものではないが、円筒状であるのが好ましい。円筒状の陽極端子71を用いる場合には、図15および図16に示したように、回転軸をTFT側ガラス基板2bの移動方向に対し垂直となるように配置し、かつ、TFT側ガラス基板2bに対し押し付けられるように実現することが好ましい。陽極端子71をTFT側ガラス基板2bに対し押し付ける手段としては、たとえば板ばね、コイルばねなどを好ましく使用できる。陽極端子71をこのように実現することで、TFT側ガラス基板2bと陽極端子71との間の摩擦力によってTFT側ガラス基板2bの移動に応じて陽極端子71を回転軸を中心にして回転させ、電解エッチングの間、陽極端子71とバス電極11,11’との間の密着性を保持することができる。
また陰極としては、不溶性の電極を設置し、外部電源の陰極と電気的に接続する。陰極としては、たとえば白金コーティングしたチタンメッシュ電極、白金コーティングしたチタン板電極などを好ましく用いることができる。また、陰極および上述した陽極端子が電気的に接続される外部電源としては、特に制限されるものではなく、電解エッチングの際に通常用いられる外部電源を用いることができる。
電解エッチングに用いる電解液72としては、特に制限されるものではないが、作業環境の悪化を招かず、廃液処理が容易であることから、たとえば硫酸ナトリウム溶液、硝酸ナトリウム用得液、塩化ナトリウム溶液などの中性塩電解液を用いることが好ましい。中性塩電解液の濃度についても特に限定されないが、電気伝導率の確保、電解質材料の節約の観点からは、5〜10重量%の範囲内であることが好ましい。中性塩電解液は、繰り返し電解エッチングに使用することができる。
また図18は、本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程の際の電解液液面の様子を模式的に示す図である。上述したようにTFT側ガラス基板2bを移動させながら電解エッチングを進行させていくと、TFT側ガラス基板2bの移動に伴い、図14に示した状態から、図18に示すように陽極端子71がバス電極11,11’が形成されていないTFT側ガラス基板2bの端部に到達する。この図18に示す状態では、陽極端子71がバス電極11,11’に接触しないため、電解液との導通がとれなくなり、このままではバス電極11,11’の端部(エッジ部)にまで電解エッチングを進行させることができなくなる。このため、バス電極除去工程は、バス電極11,11’のエッジ部を完全に除去する工程(エッジ部除去工程)を含むことが好ましい。
図19は、エッジ部除去工程を模式的に示す図である。エッジ部除去工程を行なう場合には、陽極(バス電極)と陰極との間に電流が流れなくなった位置から、TFT側ガラス基板2bを上方に移動させ、図19に示すように、電解液供給装置73を用いて、TFT側ガラス基板2bの上方から電解液72をTFT側ガラス基板2bの表面に薄い膜状に流れるように供給する。この状態で陽極端子71と陰極との間に電圧を印加して電解エッチングを行なうことで、バス電極11,11’を完全に除去することが可能となる。なお、このエッジ部除去工程では、電解液72が陽極端子71に接触することとなるため、この接触部分における電気分解反応を防止する観点から、陽極端子71として疎水性を有する材料で形成された端子を用いることが好ましいことは上述したとおりである。このようにして電解エッチングを進行させ、陽極端子71と陰極との間に電流が流れなくなった時点で電圧の印加を中止し、TFT側ガラス基板2bを回収する。
〔4〕偏光板剥離工程
本発明の液晶パネルの処理方法は、たとえば図2に示したように各ガラス基板2a,2bの外面側に偏光板5が貼着された液晶パネル1に適用する場合には、偏光板5を剥離する工程を含むことが好ましい。なお、図1のフローチャートでは、この偏光板剥離工程(ステップS4)をバス電極除去工程(ステップS3)とガラス基板選別工程(ステップS5)(後述)との間に行なう場合を例示しているが、偏光板剥離工程は後述するガラス基板回収工程(ステップS6)の前のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、パネル分離工程(ステップS1)の前、液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)の前、バス電極除去工程(ステップS3)の前のいずれかに行なうようにしてもよい。また、偏光板を有しない液晶パネルの場合には、この偏光板剥離工程を削除しても勿論よい。
本発明の液晶パネルの処理方法は、たとえば図2に示したように各ガラス基板2a,2bの外面側に偏光板5が貼着された液晶パネル1に適用する場合には、偏光板5を剥離する工程を含むことが好ましい。なお、図1のフローチャートでは、この偏光板剥離工程(ステップS4)をバス電極除去工程(ステップS3)とガラス基板選別工程(ステップS5)(後述)との間に行なう場合を例示しているが、偏光板剥離工程は後述するガラス基板回収工程(ステップS6)の前のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、パネル分離工程(ステップS1)の前、液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)の前、バス電極除去工程(ステップS3)の前のいずれかに行なうようにしてもよい。また、偏光板を有しない液晶パネルの場合には、この偏光板剥離工程を削除しても勿論よい。
偏光板5の剥離は、機械的な手法によって行なうことができる。機械的な手法によって偏光板5を剥離することで、液晶回収前に当該偏光板剥離工程を行った場合(たとえば、上述のようにパネル分離工程(ステップS1)の前に行なう場合、液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)の前に行なう場合)であっても、液晶を加熱処理しないため、加熱処理による液晶の変質を防止でき、液晶を高品質な状態で回収することが可能となる。偏光板5の剥離は、たとえば手作業で行ってもよく、また市販の偏光板剥離装置を用いるようにしてもよい。
〔5〕ガラス基板選別工程
次に、ガラス基板2a,2bをガラスの種類(品種)別に選別する。なお、図1のフローチャートでは、このガラス基板選別工程(ステップS5)を偏光板剥離工程(ステップS4)とガラス基板回収工程(ステップS6)(後述)との間に行なう場合を例示しているが、ガラス基板選別工程は後述するガラス基板回収工程(ステップS6)の前のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、パネル分離工程(ステップS1)の前、液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)の前、バス電極除去工程(ステップS3)の前、偏光板剥離工程(ステップS4)の前のいずれかに行なうようにしてもよい。
次に、ガラス基板2a,2bをガラスの種類(品種)別に選別する。なお、図1のフローチャートでは、このガラス基板選別工程(ステップS5)を偏光板剥離工程(ステップS4)とガラス基板回収工程(ステップS6)(後述)との間に行なう場合を例示しているが、ガラス基板選別工程は後述するガラス基板回収工程(ステップS6)の前のいずれかのステップで行えばよく、この順序に限定されるものではない。たとえば、パネル分離工程(ステップS1)の前、液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)の前、バス電極除去工程(ステップS3)の前、偏光板剥離工程(ステップS4)の前のいずれかに行なうようにしてもよい。
ガラスは、ガラスメーカによって、あるいはガラス品種、品番などによって組成が異なる。したがって、回収したガラスをたとえばガラス基板用の材料として再利用するためには、多種多様なガラスを品種別に選別することが必要となる。また、回収したガラスをたとえば一般ガラス用の材料として再利用する場合にも、ある程度、ガラスを品種別に選別することが要求される場合がある。
液晶パネルのガラス基板のガラスを品種別に選別する具体的な方法としては、液晶パネルにガラス品種の表示を設けることによって行なうことができる。ここで図20は、ガラス品種の表示を設ける場合を模式的に示す斜視図である。図20には、図2に示した例の液晶パネルの斜視図を示している。たとえば図20に示すように、ガラス基板2a,2bの少なくとも一方(図20に示す例では、カラーフィルタ側ガラス基板2a)に、ガラス品種表示81を設ける。ガラス品種表示81は、ガラス品種を印刷したシールなどを貼着したり、または文字・記号・バーコードなどの印刷もしくは刻印、または表面加工によってガラス基板に設けることが可能である。このガラス品種表示81を識別することで、ガラス基板を種類(品種)別に短時間で、確実に、かつ経済的に選別することができる。
また本発明の液晶パネルの処理方法においては、蛍光X線装置を用いて、液晶パネルのガラス基板のガラスを品種別に選別するようにしてもよい。この場合、具体的には、エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いガラス基板に軟X線を直接照射することが挙げられる。これにより、ガラス基板に含まれるそれぞれの元素に特有なエネルギーをもった蛍光X線が発せられる。この蛍光X線を蛍光X線センサにてエネルギーごとにカウントすることで、ガラス基板にどのような元素がどのような割合で含まれているかを測定(分析)する。ガラスの化学組成を品種ごとに予め調べておき、それらの値と前記ガラス基板の測定値とを比較することにより、ガラス基板をガラス品種ごとに短時間で、確実に、かつ経済的に選別することができる。
〔6〕ガラス基板回収工程
次に、表面の付着物が除去されたガラス基板2a,2bからガラスを回収する(ステップS6)。回収の方法としては、まず、ガラス基板2a,2bの破砕を行なう。ガラス基板2a,2bは、上述したガラス基板選別工程(ステップS5)において既にガラス品種別に選別されており、単一の品種のガラス基板ごとに破砕する。ガラス基板2a,2bの破砕においては、市販の各種方式の破砕機を使用することができる。破砕機の種類は特に限定されるものではないが、塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価であるなどの観点から、2軸剪断方式の破砕機がより好ましい。該破砕機は、サイズの揃った破砕物が得られやすいこと、微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして最終的に再利用しやすいことなどの利点も有している。破砕のサイズは自由であるが、15mm以下が好ましい。
次に、表面の付着物が除去されたガラス基板2a,2bからガラスを回収する(ステップS6)。回収の方法としては、まず、ガラス基板2a,2bの破砕を行なう。ガラス基板2a,2bは、上述したガラス基板選別工程(ステップS5)において既にガラス品種別に選別されており、単一の品種のガラス基板ごとに破砕する。ガラス基板2a,2bの破砕においては、市販の各種方式の破砕機を使用することができる。破砕機の種類は特に限定されるものではないが、塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価であるなどの観点から、2軸剪断方式の破砕機がより好ましい。該破砕機は、サイズの揃った破砕物が得られやすいこと、微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして最終的に再利用しやすいことなどの利点も有している。破砕のサイズは自由であるが、15mm以下が好ましい。
回収されたガラスカレットは、上述したガラス基板選別工程(ステップS5)において既にガラス品種別に選別されている。このため、回収されたガラスカレットは、単一の品種のガラスであり、かつ、ガラス基板用の原料ガラスと代わらない化学組成を有している。それ故、ガラスカレットを原料ガラスに添加混合することにより、または、原料ガラスに置き換えて、再使用(マテリアルリサイクル)することができる。再使用する際には、たとえば、ガラスカレットを原料ガラスと共に溶融炉で溶融させればよい。さらに、回収されたガラスカレットは、たとえば、一般ガラス用の材料として再使用することもできる。なお、ガラス基板2a,2bは、ガラスカレットの状態で回収されることで、その保管、運搬および再処理に必要なスペースを小さくすることができ、かつ、保管作業および運搬作業を容易に行なうことができるという利点もある。このように本発明の液晶パネルの処理方法では、ほとんど廃棄物を排出することなく、液晶、および透明導電膜中のインジウムを回収でき、ガラスについても再利用することができる。
図21は、本発明の好ましい一例の液晶パネル処理装置101を模式的に示す図である。本発明は、上述した本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程に好適に用いることができる装置についても提供するものである。本発明の液晶パネル処理装置101は、図21に示すように、電解液72を収容する電解槽102と、外部電源104に電気的に接続された陽極端子71および陰極103と、バス電極11,11’が形成されたガラス基板(TFT側ガラス基板2b)を電解槽102内に収容された電解液72中に移動させるための搬送手段105とを基本的に備える。本発明の液晶パネル処理装置101における電解液72、陽極端子71、陰極103および外部電源104としては、本発明の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程にて説明した電解液72、陽極端子71、陰極および外部電源と同様である。
本発明の液晶パネルの処理装置101に用いられる電解槽102は、電解液72を収容し得、かつ、TFT側ガラス基板2bを十分に浸漬し得る深さの内部空間を有するものを用いる。このような電解槽102としては、ステンレスなどの耐食性の良好な材料で形成されたものを用いることが好ましい。また電解槽102に収容される電解液72としては、上述したように硫酸ナトリウム溶液、硝酸ナトリウム溶液、塩化ナトリウム溶液などの中性塩電解液が好適に用いられる。
本発明の液晶パネルの処理装置101に用いられる陰極103としては、電解液72に不溶性の材料で形成された電極(好ましくは、白金コーティングしたチタンメッシュ電極または白金コーティングしたチタン板電極)を用いることは上述した通りである。この陰極103としては、バス電極と陰極との間の距離が一定となり、電流密度が均一となるよう、図21に示すように平板状であることが好ましい。
本発明の液晶パネルの処理装置101に用いられる陽極端子71としては、上述したように導電性、かつ可撓性を有し、バス電極の膜厚が異なる場合であっても弾性変形により追従してバス電極の突出端に密着して接触し得るような端子を用いることが好ましい。また陽極端子71は、疎水性を有する材料で形成されたものであることが好ましく、導電性ポリマー、フィラー系導電性樹脂などで形成された端子が好適である。また、陽極端子71は円筒状であることが好ましく、上述したように回転軸をTFT側ガラス基板2bの移動方向に対し垂直となるように配置し、かつ、TFT側ガラス基板2bに対し押し付けられるように実現されることが特に好ましい。
また本発明の液晶パネルの処理装置101に用いられる搬送手段105は、バス電極11,11’が形成されたTFT側ガラス基板2bを電解槽102内に収容された電解液72中に移動させるための装置であり、たとえばベルトコンベアで好適に実現することができる。具体的には、ベルトコンベアのベルト上に、TFT側ガラス基板2bを固定する。この際、図7に示したような1つの方向のみに平行に複数のライン状のバス電極11’が形成されたTFT側ガラス基板2bを適用する場合には、バス電極11’が形成された方向と搬送手段105によるTFT側ガラス基板2bの移動方向とが垂直とならないように配置して(たとえば図16に示すような配置)、ベルト上にTFT側ガラス基板2bを固定する。このような搬送手段105を用いることで、端から徐々に電解液中に浸漬されるようにTFT側ガラス基板2bを移動させることができる。
搬送手段105を用いてTFT側ガラス基板2bを移動させて電解液72に浸漬した時点で、外部電源104により陽極端子71を介してバス電極11,11’に正の電圧を印加し、陰極103に負の電圧を印加することで、電解エッチングが開始される。上述したように、電解エッチングは電解液72の液面付近から最も早く進行するため、TFT側ガラス基板2bの液面付近のバス電極11,11’から溶出し、除去される。バス電極11,11’が除去されると、陽極端子71とバス電極11,11’との間の導通がとれなくなるため、搬送手段105にてTFT側ガラス基板2bを徐々に下方に移動させ、TFT側ガラス2b上のバス電極11,11’を連続的に除去していく。
本発明の液晶パネルの処理装置101は、バス電極11,11’のエッジ部を完全に除去するエッジ部除去工程を行い得るように、電解液供給装置73をさらに備えることが好ましい。陽極端子71がバス電極11,11’が形成されていないTFT側ガラス基板2bの端部に到達した時点で、図19に示したようにTFT側ガラス基板2bを上方に移動させ、電解液供給装置73を用いて、TFT側ガラス基板2bの上方から電解液72をTFT側ガラス基板2bの表面に薄い膜状に流れるように供給するようにする。この状態で陽極端子71と陰極との間に電圧を印加して電解エッチングを行なうことで、バス電極11,11’を完全に除去することができる。電解液供給装置73は、従来公知の適宜の手段にて実現することができ、特に制限されるものではない。
また本発明の液晶パネルの処理装置101は、図21に示す例のように、電解液72を攪拌するための攪拌手段106が電解槽102内に設けられてなることが好ましい。このような攪拌手段106を設けることで、電解エッチングにより電解液72中に溶出したバス電極材料の拡散を促進できるという利点もある。攪拌手段106としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂でコーティングされたスターラを好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例>
図2に示したような15型の廃液晶パネル1について、以下の手順にて処理を行った。
図2に示したような15型の廃液晶パネル1について、以下の手順にて処理を行った。
〔1〕パネル分離工程(ステップS1)
廃液晶パネル1のシール樹脂体3を、ハロゲンランプにより450℃で30秒間加熱した後、手作業で2枚のガラス基板に分離した。
廃液晶パネル1のシール樹脂体3を、ハロゲンランプにより450℃で30秒間加熱した後、手作業で2枚のガラス基板に分離した。
〔2〕液晶およびインジウム回収工程(ステップS2)
次に、分離した各ガラス基板2a,2bから、ポリプロピレン製のスクレーパを用いて、液晶を回収をした。廃液晶パネルに含有されている液晶量は380mgであったのに対し、回収された液晶の量は346mgであり、91%という高い収率で液晶を回収できた。なお、液晶の定量分析にはガスクロマトグラフィを用いた。
次に、分離した各ガラス基板2a,2bから、ポリプロピレン製のスクレーパを用いて、液晶を回収をした。廃液晶パネルに含有されている液晶量は380mgであったのに対し、回収された液晶の量は346mgであり、91%という高い収率で液晶を回収できた。なお、液晶の定量分析にはガスクロマトグラフィを用いた。
次に、ステンレス製のスクレーパを使用し、カラーフィルタ側ガラス基板2aから、インジウムの回収を行った。残ったカラーフィルタ側ガラス基板2aの表面を蛍光X線で分析した結果、内面側の付着物は完全に除去されていることが確認できた。カラーフィルタ側ガラス基板2a上のカラーフィルタ6、反射防止膜7、透明導電膜8および配向膜9は完全に除去されていた。
次に、ステンレス製のスクレーパを使用し、TFT側ガラス基板2bから、インジウムの回収を行った。残ったTFT側ガラス基板2bの表面を蛍光X線で分析した結果、内面側には、バス電極11の形成材料であるタンタルのみが残存していた。
〔3〕バス電極除去工程(ステップS3)
次に、TFT側ガラス基板2bの内面側に残存するバス電極11の除去を行った。500mLのビーカに、電解液として、10%硫酸ナトリウム溶液500mLをとり、スターラで攪拌させた。陰極には白金コーティングした5mm×5mm×0.5mmのチタン板電極を用い、また陽極端子として導電性ポリマーで形成された円筒状の端子を用いた。上述で得られたTFT側ガラス基板2b(5mm×5mm)を電解液に浸漬し、外部電源により30Vの電圧を印加し、電流は200mAとした。TFT側ガラス基板を下方へと徐々に移動させ、300秒かけて電解エッチングを行った。このバス電極除去工程を行なう前にTFT側ガラス基板2bに付着していたタンタル量は0.23mgであったのに対し、バス電極除去工程を行った後にTFT側ガラス基板2bに付着していたタンタル量は検出限界以下であり、電解エッチングによってバス電極11の形成材料であるタンタルはほぼ完全にTFT側ガラス基板2bから除去されていることが確認された。なお、TFT側ガラス基板2bに付着しているタンタル量の定量分析には、当該TFT側ガラス基板2bから酸性の水溶液を用いて抽出したサンプルをICP発光装置を用いた。
次に、TFT側ガラス基板2bの内面側に残存するバス電極11の除去を行った。500mLのビーカに、電解液として、10%硫酸ナトリウム溶液500mLをとり、スターラで攪拌させた。陰極には白金コーティングした5mm×5mm×0.5mmのチタン板電極を用い、また陽極端子として導電性ポリマーで形成された円筒状の端子を用いた。上述で得られたTFT側ガラス基板2b(5mm×5mm)を電解液に浸漬し、外部電源により30Vの電圧を印加し、電流は200mAとした。TFT側ガラス基板を下方へと徐々に移動させ、300秒かけて電解エッチングを行った。このバス電極除去工程を行なう前にTFT側ガラス基板2bに付着していたタンタル量は0.23mgであったのに対し、バス電極除去工程を行った後にTFT側ガラス基板2bに付着していたタンタル量は検出限界以下であり、電解エッチングによってバス電極11の形成材料であるタンタルはほぼ完全にTFT側ガラス基板2bから除去されていることが確認された。なお、TFT側ガラス基板2bに付着しているタンタル量の定量分析には、当該TFT側ガラス基板2bから酸性の水溶液を用いて抽出したサンプルをICP発光装置を用いた。
〔4〕ガラス基板回収工程(ステップS6)
上記〔2〕で得られたカラーフィルタ側ガラス基板2aおよび上記〔3〕で得られたTFT側ガラス基板2bを、2軸剪断方式の破砕機を用いて破砕し、ガラスカレットとして回収した。
上記〔2〕で得られたカラーフィルタ側ガラス基板2aおよび上記〔3〕で得られたTFT側ガラス基板2bを、2軸剪断方式の破砕機を用いて破砕し、ガラスカレットとして回収した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
廃液晶パネルの埋立地への投棄量を極力抑え、資源を有効に利用することのできる液晶パネルの処理方法および処理装置を提供することができる。
1 液晶パネル、2a ガラス基板(カラーフィルタ側ガラス基板)、2b ガラス基板(TFT側ガラス基板)、3 シール樹脂体、4 液晶層、5 偏光板、6 カラーフィルタ、7 反射防止膜、8 透明導電膜、9 配向膜、10,10’ 画素電極、11,11’ バス電極、21 液晶回収用のスクレーパ、31,41 薄膜除去用のスクレーパ、51,61 ブラストガン、71 陽極端子、72 電解液、73 電解液供給装置、81 ガラス品種表示、101 液晶パネル処理装置、102 電解槽、103 陰極、104 外部電源、105 搬送手段、106 攪拌手段。
Claims (8)
- 貼り合わされた2枚のガラス基板を分離するパネル分離工程と、
ガラス基板上の液晶およびインジウムを回収する液晶およびインジウム回収工程と、
ガラス基板上に形成されたバス電極を除去するバス電極除去工程と、
バス電極除去後のガラス基板を回収するガラス基板回収工程とを含む、液晶パネルの処理方法。 - 前記バス電極除去工程は、電解エッチングによって、バス電極を除去することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネルの処理方法。
- 前記電解エッチングが、バス電極に正の電圧を印加することによってバス電極を溶出させることを特徴とする請求項2に記載の液晶パネルの処理方法。
- 中性塩水溶液の電解液を用いることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶パネルの処理方法。
- 前記電解エッチングは、バス電極が形成されたガラス基板を端から徐々に電解液中に浸漬させながら行なうことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の液晶パネルの処理方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶パネルの処理方法におけるバス電極除去工程に用いるための装置であって、
電解液を収容する電解槽と、
外部電源に電気的に接続された陽極端子および陰極と、
バス電極が形成されたガラス基板を電解槽内に収容された電解液中に移動させるための搬送手段とを備える、液晶パネルの処理装置。 - 前記陽極端子が導電性を有し、かつ可撓性を有することを特徴とする請求項6に記載の液晶パネルの処理装置。
- 前記陽極端子が円筒状であることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶パネルの処理装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007023323A JP2008191253A (ja) | 2007-02-01 | 2007-02-01 | 液晶パネルの処理方法および処理装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101671392B1 (ko) * | 2015-09-17 | 2016-11-01 | 동의과학대학 산학협력단 | 액정표시장치의 리사이클링을 위한 공정 제어 시스템 및 방법 |
-
2007
- 2007-02-01 JP JP2007023323A patent/JP2008191253A/ja not_active Withdrawn
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