JP2008190992A - 赤外線センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】上部シリコン基板の位置がシリコンウエハに近いと、熱吸収膜(温接点側)からの放射対流によって熱を奪い、そして冷接点に伝わり、結果としてセンサの出力を低下させることになっていた。
【解決手段】本発明の赤外線センサは、第1の基板の表面に形成され、温接点および冷接点を有するサーモパイル素子と、第1の基板のサーモパイル素子の形成部を覆い、第1の基板と70μm〜1mmの間隔で設けられた赤外線を透過する第2の基板と、サーモパイル素子の冷接点部上に設けられ、第1の基板および第2の基板を前記間隔で接着する樹脂製のスペーサ部材とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の赤外線センサは、第1の基板の表面に形成され、温接点および冷接点を有するサーモパイル素子と、第1の基板のサーモパイル素子の形成部を覆い、第1の基板と70μm〜1mmの間隔で設けられた赤外線を透過する第2の基板と、サーモパイル素子の冷接点部上に設けられ、第1の基板および第2の基板を前記間隔で接着する樹脂製のスペーサ部材とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、赤外線センサに関するものであり、特に、基板に形成されたサーモパイル素子と、その素子を覆うように上部基板が設けられた構造を有する赤外線センサに関するものである。
サーモパイル型赤外線センサは、例えばシリコンウエハなどの基板表面上に熱吸収膜を備えたメンブレム構造(中空構造)を有している。そして、多くの赤外線検知素子は、ウエハ状態のシリコン基板に縦横整列されて複数個形成され、その素子の形成されたシリコン基板をダイシング技術によって切断し、個々の素子のチップに分割される。
このようなシリコンウエハに面付され作りこまれた赤外線検知素子チップを個片化する場合には、ダイシング工程で使用する切削冷却水からメンブレム構造を保護する必要があり、そのために事前にウエハ表面上にレジストを塗布して保護膜を形成するなど、メンブレム構造の破壊防止工程を入れている。このような素子構造及びダイシング方法は、例えば、特開平6−306960号公報に開示されている。
また、レジストによる保護の代わりに、メンブレム構造が形成されたシリコンウエハの上部に、個々の素子に蓋となる上部シリコン基板を貼り合わせた構造も検討されている。この場合、上部シリコン基板はダイシング工程における切削水、冷却水からの保護層として、さらに後工程でのチップ実装やダイボンディング工程でのハンドリング時などの物理的な力から、メンブレムを保護する役目を果たす。また、シリコン基板としての特性から、素子に対して赤外線のみ透過させるフィルタ窓の役目も果たす。このような構造及びダイシング方法は、例えば、特開平6−213708号公報に開示されている。
表面に赤外線検知素子(サーモパイル)が形成されたシリコンウエハの上部にシリコン基板を貼り合わせる場合、両基板間に部分的に設けられるエポキシ樹脂などの接着層を介して貼り合わされる。
そして、サーモパイルである場合は、接着層は下部シリコンウエハ上に形成された素子の冷接点上に配置されることになる。すなわち、上部シリコン基板による蓋は、平面的に見て熱吸収膜(温接点側)及びサーモパイルパターンよりも大きく、そして該サーモパイルパターンの冷接点に接続されるボンディングパッド領域を外部に露出させるようなサイズになるため、この蓋を支える接着層は必然的に冷接点上に位置してしまう。
このような構造の場合、上部シリコン基板の位置がシリコンウエハに近いと、センサのメンブレム構造上に設けられている熱吸収膜(温接点側)からの放射対流によって熱を奪い、熱が接着層を介して冷接点に伝わることとなる。これにより、冷接点と温接点との温度差が少なくなり、結果としてセンサの出力を低下させることになっていた。
本発明は、サーモパイル型の赤外線センサにおいて、素子特性の低下を招くことなく、またダイシング工程における切削水、冷却水からの保護、更に後工程でのチップ実装やダイボンディング工程でのハンドリング時の物理的な力からの保護を目的とした上部基板の採用を可能とするとした構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の赤外線センサは、第1の基板の表面に形成され、温接点および冷接点を有するサーモパイル素子と、前記第1の基板のサーモパイル素子の形成部を覆い、前記第1の基板と70μm〜1mmの間隔で設けられた赤外線を透過する第2の基板と、前記サーモパイル素子の冷接点部上に設けられ、前記第1の基板および前記第2の基板を前記間隔で接着する樹脂製のスペーサ部材とを有することを特徴とする。
第2の基板の、第1の基板に形成されたサーモパイル素子の熱吸収膜と対向する面に凹部を形成し、凹部の底と第1の基板の距離が、70μm〜1mmであることを特徴とする。
第2の基板は、Ge、ZnS、Si、Al2O3、BaF2のいずれかの材料からなる基板であることを特徴とする。
スペーサ部材は、エポキシ系樹脂またはフィラーを混入させたエポキシ系樹脂であることを特徴とする。
本発明における赤外線センサでは、ダイシング工程やダイボンディング工程での素子の保護を可能とした上部基板を重ねた構造において、この上部基板を設けたことに起因する素子の冷接点と温接点との温度差の減少を防ぎ、効率よくセンサの出力を外部に取り出すことが可能となる。
以下本発明の好適な実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わるウェハ状態の貼り合わせ基板を示す平面図である。図1に示される通り、基板1には矩形のチップ形状からなる半導体装置が行及び列方向に整列して複数個形成されている。この基板1は、貼り合わせ後の基板を示しており、その表面領域に素子が形成された半導体ウエハと、該半導体ウエハの素子の形成された表面側に貼り合わされた、半導体ウエハと略同じ大きさシリコン基板とから構成されている。
次に、図2を参照して本発明の実施の形態に係わる半導体装置を説明する。図2は、図1に記載されたA−B線に沿った断面における半導体装置が個片化された後の状態を表す断面図である。半導体ウエハ5には、既に複数の半導体装置が形成されて、ダイシングおよびブレーキングにより分離された各々の半導体装置には、素子6及び電極パッド4が設けられている。
該素子6は、サーモパイル型の赤外線検知素子であり、図2に示されているように、半導体ウエハ5の表面領域にダイアフラムなどの断熱構造で支持されるよう形成されたメンブレムと、メンブレム上に形成された赤外線吸収膜とを有している。本実施の形態において素子6は、赤外線検知素子のみの構造として説明するが、切換スイッチやアンプ等の回路素子が同一基板上に一緒に搭載される場合もあり、それらをまとめて素子と定義することもできる。
同図に示されるように、半導体ウエハ5の素子形成面を内側にし、半導体ウエハ5とシリコン基板3とはエポキシ樹脂7を介して張り合わせられ、このエポキシ樹脂7は、後述する図5に示されるように、素子6を囲い電極パッド4がその外側に出る形状になっている。詳細な平面構造については図4に示す通りであり後述するが、エポキシ樹脂7は、素子6の冷接点側配線上に位置している。
半導体ウエハ5とシリコン基板3との間隔D1は、エポキシ樹脂7の厚さによって制御され、約70μmである。発明者らの実験によると、間隔D1が短すぎる場合、外部に取り出されるセンサ出力は低下し、30μmであった場合にはセンサ自体の出力の20パーセント程度しか電極パッド経由で外部に取り出すことは出来なかった。そして、この間隔D1を長くするにつれて取り出すことが出来る出力は急上昇し、70μmの場合には70パーセントの出力を得ることができた。また、間隔D1を70μm以上にした場合でも緩やかではあるが出力も上昇し、100μmになるまで上昇したのち飽和することが判明した。従って、この間隔D1は70μm以上であることが必須であり、また、上限は1mmである。この上限値は、間隔D1が増した時の、外部環境から素子6への影響(例えば視野が制限される)や取り扱いの困難性などを考慮した値である。
本実施の形態においてエポキシ樹脂7は、接着剤として又基板間のスペースを確保するものとして用いているが、スペーサを介して接着することも可能である。スペーサの材質は、半導体ウエハ5に合わせた方が熱ストレス上から好ましい。また、樹脂製シートや形状加工された金属の上下に接着剤を塗った構造などでも同様の効果が得られ置き換えも可能である。また、接着剤は、エポキシ系が接着力、耐湿性で好ましく、他にエポキシ系樹脂にフィラーを混入させたものやアルミナや金属粉を入れた材料でも使用可能である。
シリコン基板3は、その表面に反射防止膜、光のバンドパスフィルタ又は光のカットオフフィルタのいずれかが形成されたミラーSiウエハが好ましいが、反射防止膜のないものやGe、ZnS、Al2O3、BaF2基板でも可能である。また、ミラーウエハではなく、梨地基板(表面粗さ1μm以下)でも使用可能である。
図3は、個片化された半導体装置の一チップの外形を示す斜視図である。Y方向に切断された面は、上下の基板(シリコン基板3及び半導体ウエハ5)とも揃っているが、X方向に切断された面は、ずれた状態であり、半導体ウエハ5上に設けられた電極パッド4が露出している。そして、この半導体チップは露出された電極パッド4に対して従来から知られているワイヤボンディングやフレキシブル基板等の技術で外部へ接続される。
次に、図4を参照し平面構造について説明する。図4は、図1と同様に貼り合わせ基板の平面図であるが、説明を容易にするため、4つの素子及びその周辺部分のみを拡大して抽出した図である。
図2の電極パッド4、素子6、エポキシ樹脂7は、図4においても同じ参照番号にて表示している。参照番号8は各センサ素子の冷接点側と電極パッドとを接続する内部金属配線(冷接点)である。この内部金属配線は、Al、Al合金、Cu合金などの金属による配線を用いることができる。エポキシ樹脂7は、平面上、素子6を囲って形成され、電極パッドに接続される内部金属配線(冷接点)上を横断し、重なって設けられる。
また、図中破線で示された10、11は、シリコン基板3(上部基板)のY方向に沿ったダイシングラインであり、図中一点鎖線で示された12は、半導体ウエハ5(下部基板)のY方向に沿ったダイシングラインである。破線14は、X方向のダイシングラインであるが、X方向については、ボンディングパッドが配置されていないため、シリコン基板3(上部基板)も半導体ウエハ5(下部基板)も同じ位置にダイシングラインが設けられるため、これらを、ダイシングライン14としてまとめて表している。
このように本発明の赤外線センサは、ダイシング工程における切削水、冷却水からの保護、更に後工程でのチップ実装やダイボンディング工程でのハンドリング時の物理的な力からの保護を目的とした上部基板の採用を可能とした構造であって、この上部基板を設けたことに起因する素子の冷接点と温接点との温度差の減少を防ぎ、効率よくセンサの出力を外部に取り出すことが可能となる。すなわち、半導体ウエハ5とシリコン基板3との間隔D1を制御することによって、センサの熱吸収膜(温接点側)からの放射対流によってシリコン基板(上部基板)が熱を奪うという現象を防ぐことができる。
エポキシ樹脂等の接着位置は、貼り合わせ精度も考慮し、センサメンブレム端から0.3mm、樹脂接着幅0.3mmでセンサの特性評価したところ好結果が得られた。メンブレム端からの距離や接着幅を大きくとると貼り合わせが容易になるが、チップサイズの点で不利になるので、実装性や信頼性確保の面からバランスをとって設計する必要がある。
上述の実施の形態においては、上部基板は、凹凸のない平板形状のものを採用しているが、下部基板表面に形成された素子の上部スペースを確保するために、素子の直上領域を窪ませた形状とすることも可能である。図5は、本発明の他の実施の形態に係わる半導体装置を表す断面図である。そして、図2と同様に、図1に記載されたA−B線に沿った断面における半導体装置が個片化された後の状態を表している。
半導体ウエハ15には、既に複数の半導体装置が形成されて、ダイシングおよびブレーキングにより分離された各々の半導体装置には、素子及び電極パッド4が設けられている。そして、シリコン基板15(上部基板)の底面は、半導体ウエハ16(下部基板)表面に形成された素子の上部スペースを確保するために、素子の直上領域に凹部を設けた形状となっている。この凹部によって形成された間隔D2が、前述の実施の形態で説明した間隔D1に対応しており、センサ出力の外部への取り出しを考慮すると、間隔D2も70μm以上であることが必須であり、上限は1mmである。この上限値は、前述の実施の形態同様、間隔D1が増した時の、外部環境から素子6への影響(例えば視野が制限される)や取り扱いの困難性などを考慮した値である。
本実施の形態における構造においても、半導体ウエハ16とシリコン基板15との間隔D2を上述の通り制御することによって、センサの熱吸収膜(温接点側)からの放射対流によってシリコン基板(上部基板)が熱を奪うという現象を防ぐことができる。
1 基板
2 半導体装置
3 シリコン基板
4 電極パッド
5 半導体ウエハ
6 素子
7 エポキシ樹脂
2 半導体装置
3 シリコン基板
4 電極パッド
5 半導体ウエハ
6 素子
7 エポキシ樹脂
Claims (4)
- 第1の基板表面に形成され、温接点及び冷接点を有するサーモパイル素子と、前記第1の基板の前記サーモパイル素子の形成部を覆い、前記第1の基板と70μm〜1mmの間隔を空けて設けられた赤外線を透過する第2の基板と、前記サーモパイル素子の冷接点部上に設けられ、前記第1の基板および前記第2の基板を前記間隔で接着する樹脂製のスペーサ部材と、を有することを特徴とする赤外線センサ。
- 前記第2の基板の、前記第1の基板に形成されたサーモパイル素子の熱吸収膜と対向する面に凹部を形成し、前記凹部の底と前記第1の基板の距離が、70μm〜1mmであることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ。
- 前記第2の基板は、Ge、ZnS、Si、Al2O3、BaF2のいずれかの材料からなる基板であることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ。
- 前記スペーサ部材は、エポキシ系樹脂またはフィラーを混入させたエポキシ系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ。
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