JP2008189859A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Yosuke Suzuki
洋介 鈴木
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Abstract

【課題】小粒径のカーボンブラックと共にレシチンを配合することによって、作業性や発熱性の問題無しに耐摩耗性を改善し得るタイヤ用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】天然ゴムを50重量部以上含むジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量100g/kg以上のカーボンブラック30〜60重量部及びレシチン0.1〜10重量部を配合したタイヤ用ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明はタイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳細には、レシチンを配合することにより、作業性及びタイヤの発熱性を損なうことなく耐摩耗性を改良することができるタイヤ用ゴム組成物に関する。
従来、タイヤ、特に重荷重用タイヤの耐摩耗性を改良するためには、トレッド部に配合されるカーボンブラックとして粒径の小さいカーボンブラックを使用する手法が採られている。しかしながら、このようにカーボンブラックを小粒径化する場合には、一般に、タイヤの作業性や発熱性が悪化するなどの問題があった。
また、従来、レシチンをタイヤ加硫用のブラダーに配合する技術や、手袋形成用ゴムに配合する技術も、以下の特許文献1及び特許文献2として知られているが、これらの技術は、レシチンをタイヤ自体に配合するものではない。
特開2001−89619号公報 特開2004−107483号公報
よって、本発明では、小粒径のカーボンブラックと共にレシチンを配合することによって、作業性や発熱性の問題無しに耐摩耗性を改善し得るタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明によれば、天然ゴムを50重量部以上含むジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量100g/kg以上のカーボンブラック30〜60重量部及びレシチン0.1〜10重量部を配合したタイヤ用ゴム組成物が提供される。
また、本発明によれば、当該タイヤ用ゴム組成物をタイヤのキャップトレッド及び/又はベーストレッドに用いたタイヤが提供される。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に用いられるジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)100重量部のゴム、あるいは当該天然ゴム(NR)を50重量部以上含む他のジエン系ゴムとのブレンドゴムが使用され、かかる他のジエン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム及びイソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。しかしながら、かかるジエン系ゴムには、ブチルゴム(IIR、Cl−IIR、Br−IIRなど)は含まれない。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に配合される補強充填剤としてのカーボンブラックには、ヨウ素吸着量100g/kg以上のカーボンブラック、即ち、ASTMナンバーでN299以下の小粒径のカーボンブラックが用いられる。かかるカーボンブラックは、前記天然ゴムを50重量部以上含むジエン系ゴム100重量部に対して、30〜60重量部の量で配合される。このカーボンブラックの配合量が30重量部未満では、所期の耐摩耗性が得られないので好ましくなく、逆に、60重量部を超えると、粘度及び発熱が高くなるので好ましくない。
本発明のタイヤ用ゴム組成物に配合されるレシチンは、大豆、卵黄などに多く含まれているリン脂質であり、本発明で使用するレシチンには、粗製レシチンあるいは精製レシチンのいずれをも用いることが可能である。粗製レシチンは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジル酸、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトールなどのリン脂質49%、トリグリセリド37%、糖脂質6%、ステロール及びトコフェロール3%、及び炭水化物5%などからなる。精製レシチンは、前記粗製レシチンに含まれるリン脂質以外の成分を、レシチンの金属塩複合体の溶解度を利用した精製法、あるいは酸化アルミニウムやケイ酸を用いたカラムクロマトグラフィーによる方法などによって除いた前記リン脂質の混合物からなる。
前記レシチンは、本発明で用いられる天然ゴムを50重量部以上含むジエン系ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部の量で配合される。この配合量が0.1重量部未満では、所期の作用効果が発揮できず、逆に、10重量部を超えると、効果が頭打ちになるので好ましくない。
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、更に、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、充填剤、軟化剤、可塑剤等のタイヤ用ゴム組成物に配合される各種配合剤、添加剤を配合することができ、これら配合剤および添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、一般的な量とすることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実施例によって限定するものでないことは言うまでもない。
試験サンプルの作製
以下の表1に示すゴム配合系における硫黄と加硫促進剤を除く成分を1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、160℃に達した時に放出したマスターバッチに、硫黄と加硫促進剤を加えて8インチのオープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を得た。このゴム組成物の一部を粘度試験(ムーニー粘度)に供した。次いで、このゴム組成物の残部を所定の金型中で、148℃、30分間プレス加硫して所定の試験体及び試験片を作製し、発熱性及び耐摩耗性試験に供した。
試験・評価法
1)ムーニー粘度(ML1+4): JIS K 6300−1に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件下で測定した。比較例1を100として、結果を指数で示す。数値が小さい程、作業性が良好であることを示す。
2)発熱性: JIS K 6265に準拠して、フレクソメーターを用いて、測定開始から10分後の試験片中央部の温度を測定した。比較例1を100として、結果を指数で示す。数値が小さい程、発熱が小さく、発熱性が良好であることを示す。
3)耐摩耗性: JIS K 6264−2に準拠して、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、荷重1.5kg、スリップ率50%、時間10分、室温の条件下で測定し、摩耗減量を、比較例1を100として指数で表示した。数値が大きい程、耐摩耗性が優れていることを示す。
実施例1〜5及び比較例1〜3
結果を、以下の表1に示す。
Figure 2008189859
表1の結果よりみて、本発明のゴム組成物では、小粒径のカーボンブラックを用いたにも拘らず、所定量のレシチンを配合することによって作業性及び発熱性を維持したまま耐摩耗性が大幅に改善されていることが分る。
よって、本発明になるゴム組成物は、これをタイヤ用ゴム組成物、特にタイヤのキャップトレッド及び/又はベーストレッド部材として用いれば有用である。

Claims (2)

  1. 天然ゴムを50重量部以上含むジエン系ゴム100重量部に対し、ヨウ素吸着量100g/kg以上のカーボンブラック30〜60重量部及びレシチン0.1〜10重量部を配合したタイヤ用ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物をタイヤのキャップトレッド及び/又はベーストレッドに使用したタイヤ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016060331A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 横浜ゴム株式会社 タイヤ

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