JP2008189548A - 歯牙漂白用組成物および歯牙漂白方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来に比べてより短時間で所望の歯牙漂白効果を得ることができる新規な歯牙漂白用組成物および歯牙漂白方法を提供する。
【解決手段】 白金を担持した酸化チタンと、過酸化物とを含有することを特徴とする歯牙漂白用組成物とする。上記白金を担持した酸化チタンは、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質であることが好ましい。そして、上記歯牙漂白用組成物を歯牙の表面に塗布した後、必要に応じ歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に波長420nm以上の成分を含む光を照射する。
【選択図】 なし
【解決手段】 白金を担持した酸化チタンと、過酸化物とを含有することを特徴とする歯牙漂白用組成物とする。上記白金を担持した酸化チタンは、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質であることが好ましい。そして、上記歯牙漂白用組成物を歯牙の表面に塗布した後、必要に応じ歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に波長420nm以上の成分を含む光を照射する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、白金を担持した酸化チタンを用いた歯牙漂白用組成物およびこの歯牙漂白用組成物を用いた歯牙漂白方法に関する。
最近、歯科診療の中で、美容的意味の強い審美歯科分野の技術の一つとして、歯牙の漂白(ブリーチング)が徐々に一般化してきている。歯牙のブリーチングには、家庭で行うことができる安全性の高いホームブリーチングと、漂白効果が高く、患者の歯牙の着色状態や着色の原因を考慮しながら歯科医師が行うオフィスブリーチングとがある。ホームブリーチングは、主に比較的低濃度の過酸化水素等の薬剤のみを用いるのに対し、オフィスブリーチングは、比較的高濃度の過酸化水素等の薬剤と、アルゴンレーザーや光重合器等の各種光源とを組み合わせて用いるのが一般的である。
しかし、これまでのオフィスブリーチングは、比較的高濃度の過酸化水素等の薬剤を用いるため、安全性の点で問題を有していた。例えば、薬剤が接触することでブリーチングの過程で歯肉が炎症を起こして退縮してしまい、歯牙は漂白できるが歯肉がめくれ上がり見た目が悪くなるといった問題があった。そこで、オフィスブリーチングでは、ブリーチングに先立ち歯肉を保護する処置をするのが一般的である。しかし、この場合は歯肉を保護する処置の時間、手間および費用が余計に必要になるという問題が生じる。
また、歯牙の着色には種々の原因があるが、テトラサイクリン系の薬剤の服用による着色は、紫外線を照射すると着色が増大するという問題があった。そこで、ブリーチングには可視光線を使用することが多いが、可視光線を使用すると漂白処置に長時間を要し、漂白処置に長時間を要すると歯肉保護処置を施していても歯肉炎症が発生する場合があるという問題があった。また、テトラサイクリン系の薬剤の服用による着色の場合、従来の漂白方法では思うような漂白ができない場合もあった。
そこで、歯牙の漂白法として、安全性、簡易性に優れ、短期間で所望の効果が得られる新しい漂白法の提供が強く求められている。このような状況の中で、光触媒作用を有する二酸化チタンと過酸化水素水とを有効成分として併用する歯牙漂白法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の歯牙漂白法は、二酸化チタン粉沫体と過酸化水素水の溶液/ペーストを変色歯牙表面に付着させ、この部分に光を照射することにより生ずる光触媒作用に基づき変色歯牙を漂白するものである。
ところが、特許文献1の漂白法に使われている酸化チタンは、通常のアナターゼ型二酸化チタンであり、通常のアナターゼ型二酸化チタンは、一般に励起光として400nm以下の紫外線が必要である。また、一部の微細粒子からなるアナターゼ型二酸化チタンまたはルチル型二酸化チタンでは、可視光領域の光で活性を示す場合もあるが、それはせいぜい410nm以下の光に対してであり、かつその効果も小さい。したがって、特許文献1の漂白法でも可視光を使用しているが、可視光として紫の光を照射するとしており、400〜700nmの範囲がある可視光領域の内、400nm前後のごく限られた範囲の光のみしか使用していない。
その結果、特許文献1の漂白法では、依然として漂白処置に1時間以上の長時間を要し、使用される過酸化水素水の濃度が低くなっても、処置時間が長いため歯肉への悪影響は避けられない。また、漂白処置の間は光を照射し続ける必要があることから、光照射装置を装着している患者の苦痛も相当なものである。
そこで発明者は、可視光に応答可能な光触媒を利用し、上述した問題点を解決した歯牙の漂白方法を提案している(特許文献2、3参照)。
しかし、特許文献2、3の技術をもってしても、依然として処置には一定以上の時間を要する場合があるし、漂白効果が十分でない場合もあり、より効果的な漂白方法が求められていた。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、従来に比べてより短時間で所望の歯牙漂白効果を得ることができる新規な歯牙漂白用組成物および歯牙漂白方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、白金を担持した酸化チタンと過酸化物とを共存させた場合、良好な歯牙漂白能力が得られることを見出した。また、本発明者は、上記白金を担持した酸化チタンが、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質である場合、特に優れた歯牙漂白能力が得られることを見出した。
本発明は、上述した知見に基づいてなされたもので、下記(1)〜(3)に示す歯牙漂白用組成物および(4)〜(6)に示す歯牙漂白方法を提供する。
(1)白金を担持した酸化チタンと、過酸化物とを含有することを特徴とする歯牙漂白用組成物。
(2)前記白金を担持した酸化チタンは、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質であることを特徴とする(1)の歯牙漂白用組成物。
(3)前記過酸化物は、過酸化水素または過酸化尿素であることを特徴とする(1)、(2)の歯牙漂白用組成物。
(4)(1)〜(3)の歯牙漂白用組成物を歯牙の表面に塗布した後、前記歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に波長420nm以上の成分を含む光を照射することを特徴とする歯牙漂白方法。
(5)前記波長420nm以上の成分を含む光は、光重合器、発光ダイオードもしくはハロゲンランプからの光またはプラズマ光であることを特徴とする(4)の歯牙漂白方法。
(6)前記発光ダイオードは、紫色発光ダイオード、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、黄色発光ダイオードまたは白色発光ダイオードであることを特徴とする(5)の歯牙漂白方法。
(1)白金を担持した酸化チタンと、過酸化物とを含有することを特徴とする歯牙漂白用組成物。
(2)前記白金を担持した酸化チタンは、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質であることを特徴とする(1)の歯牙漂白用組成物。
(3)前記過酸化物は、過酸化水素または過酸化尿素であることを特徴とする(1)、(2)の歯牙漂白用組成物。
(4)(1)〜(3)の歯牙漂白用組成物を歯牙の表面に塗布した後、前記歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に波長420nm以上の成分を含む光を照射することを特徴とする歯牙漂白方法。
(5)前記波長420nm以上の成分を含む光は、光重合器、発光ダイオードもしくはハロゲンランプからの光またはプラズマ光であることを特徴とする(4)の歯牙漂白方法。
(6)前記発光ダイオードは、紫色発光ダイオード、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、黄色発光ダイオードまたは白色発光ダイオードであることを特徴とする(5)の歯牙漂白方法。
本発明においては、光を照射することなく歯牙を漂白することも可能であるが、処理時間をより短くしたい場合等は、波長420nm以上の可視光、場合により波長450nm以上の可視光の照射を行う。これにより、従来に比べてより一層短時間で所望の歯牙漂白効果を得ることができる。この点において、本発明は、特開2000−344640号公報等に記載の公知技術と本質的に異なる。本発明によれば、数分間の短時間の処理でも、また場合によれば光照射なしでも効果的な歯牙の漂白が可能である。
なお、白金が過酸化水素に対し分解活性を持つ触媒であることに着目した歯牙の漂白方法は既に公知であり(特表2002−514225号公報)、この公報には過酸化物と白金とからなる漂白組成物が記載されている。しかし、上記公報には、白金を担持した酸化チタンに関する記載はないし、当然、白金を担持した酸化チタンとして、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質を用いる旨の記載もない。また、上記公報には、白金を担持した酸化チタンに光を照射する旨の記載もない。
本発明に係る歯牙漂白用組成物および歯牙漂白方法によれば、従来に比べてより短時間で所望の歯牙漂白効果を得ることができる。
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明の歯牙漂白用組成物は、白金を担持した酸化チタンと、過酸化物とを含有する。この場合、上記白金を担持した酸化チタンは、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質であることが好ましい。結晶性の酸化チタンに白金を担持させた物質でも過酸化物の分解性能は存在するが、水酸化チタンと塩化白金とを混ぜ合わせて加熱することにより製造された物質は、比較的少量の白金で高い過酸化物の分解性能を得ることができる。白金は高価な物質であることから、白金を担持した酸化チタンとして上記製法による物質を採用することは、経済的に有利である。
上記水酸化チタンは、塩素化合物や硫酸化合物を用い湿式法で得られたものであることができる。より具体的には、上記水酸化チタンは、塩化チタンまたは硫酸チタンを水酸化アンモニウムで加水分解して得られたもの、チタンアルコキシドを水で加水分解して得られたもの、あるいはチタンアルコキシドを水酸化アンモニウム水溶液で加水分解して得られたものであることができる。ただし、原料価格が安価であるという観点からは、工業的生産においては、上記水酸化チタンは、塩化チタンまたは硫酸チタンを水酸化アンモニウムで加水分解して得られたものであることが好ましい。そこで、以下、塩化チタンまたは硫酸チタンを水酸化アンモニウムで加水分解する場合について説明する。
上記加水分解は、例えば、塩化チタン水溶液または硫酸チタン水溶液に水酸化アンモニウム水溶液を連続的または断続的に添加して行うか、または水酸化アンモニウム水溶液に塩化チタン水溶液または硫酸チタン水溶液を連続的または断続的に添加して行うことができる。塩化チタン水溶液、硫酸チタン水溶液および水酸化アンモニウム水溶液の濃度は、適宜決定することができる。この加水分解は、反応液の最終的なpHが5以上の液性になるように水酸化アンモニウムの添加量を調整して行うことが適当である。塩化チタンは、三塩化チタン、四塩化チタンなどであってもよく、これらの混合物を用いてもよい。上記加水分解は、例えば、0〜100℃、好ましくは20〜80℃の範囲の温度で行うことができるが、常温での加水分解が、比較的結晶性が低い二酸化チタンまたは非結晶質の二酸化チタンが得られるという観点から好ましいことがある。
塩化チタンまたは硫酸チタンの水酸化アンモニウムによる加水分解物は、水または水酸化アンモニウム水溶液で洗浄した後に原料チタン化合物として用いることが好ましい。加水分解物の水または水酸化アンモニウム水溶液による洗浄は、例えば、加水分解物を含む反応液を濾過し、濾過物として得られた加水分解物に水または水酸化アンモニウム水溶液をさらに通過させることで行うことができる。この方法は、濾過された加水分解物にそのまま水または水酸化アンモニウム水溶液を加え、濾過すればよいことから操作が容易であり好ましい。加水分解物の水または水酸化アンモニウム水溶液による洗浄は、上記以外に、例えば、加水分解物の濾過物を水または水酸化アンモニウム水溶液に再度懸濁させ、得られた懸濁物を濾過することにより行うことができる。水または水酸化アンモニウム水溶液での洗浄は、加水分解時に生成する塩化アンモニウムまたは硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩の残存量が適当量まで低下するように行うことができ、複数回行うこともできる。
本発明において好適な白金を担持した酸化チタンは、上記方法により得られた水酸化チタンに塩化白金を加えた混合物を加熱することにより得ることができる。上記加熱には、当分野で通常用いられているロータリーキルン、トンネルキルン、マッフル炉などを用いることができる。加熱により酸化チタンの個々の粒子が凝集したり、焼結したりした場合には、必要に応じて粉砕器により粉砕してもよい。
また、上記のように加熱して得られた材料を、必要により水または水溶液で洗浄することができる。この洗浄により、得られる白金を担持した酸化チタンの表面特性を改善できる場合がある。また、条件によっては、洗浄することなしに良好な材料が得られる場合もある。
本発明で使用する白金を担持した酸化チタンは、本明細書に記載したいずれのものでも任意に用いることができる。ただし、人体に対して使用する場合は、不純物が少ないかほとんど存在しないことが好ましいので、四塩化チタンを原料とし、焼成後水洗浄を行うことで得られた材料を用いることが好ましい場合がある。
上記白金を担持した酸化チタンは、通常、粉末として得られる。得られた粉末は必要により、粉砕等を行い粒度を調整することもできる。
本発明の歯牙漂白用組成物は、上記白金を担持した酸化チタンと過酸化物とを含むもので、過酸化物としては、例えば過酸化水素または過酸化尿素を挙げることができる。本発明の歯牙漂白用組成物における白金を担持した酸化チタンの濃度は、0.1〜90重量%、好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは0.1〜6重量%の範囲である。本発明の歯牙漂白用組成物における過酸化物の濃度は、過酸化物の種類により異なるが、例えば過酸化水素の場合、0.01〜35重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.1〜4重量%の範囲である。また、過酸化尿素の場合、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜39重量%、より好ましくは15〜25重量%の範囲である。
本発明の歯牙漂白用組成物は、溶液やゲル等の形態であることができ、上記白金を担持した酸化チタンおよび過酸化物以外に、ゲル剤、緩衝剤、水、溶剤、香料、安定剤等の適宜成分をさらに含有することができる。
本発明の歯牙漂白方法は、本発明の歯牙漂白用組成物を歯牙の表面に塗布し、この歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に波長420nm以上の成分を含む光を照射する工程を含む。ただし、光の照射は必須ではなく、光を積極的に照射しなくても過酸化物の分解により生成した化学的ラジカル類が歯牙の着色を除去する。光の照射を行うことにより、より短期間で漂白を行える場合があるが、光照射を行うか否かは、歯牙の着色程度などに応じて適宜判断することができる。歯牙表面への歯牙漂白用組成物の塗布は、へらや刷毛等で行うか、予め歯牙漂白用組成物を基材(好ましくは光透過性を有する基材)に塗布または含浸させものを歯牙に張り付けること等により行うことができる。歯牙表面への歯牙漂白用組成物の塗布量は、歯牙との接触面でのみ実質的漂白効果が得られることから、多ければ効果が高いというわけではなく、経済性と効果の観点から量を適宜加減する必要がある。
本発明の歯牙漂白方法において、歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に光を照射する場合は、照射する光は、波長420nm以上の成分を含む光であり、好ましくは波長420nm〜600nmの成分の少なくとも一部を含む光である。例えば、波長450nm〜600nmの成分の少なくとも一部を含む光であってもよい。また、緑色のみ、あるいは青色のみで他の波長の光を含まないLED等で単色光を照射することも、効果を考え適宜利用できる。単色光の方が漂白効果が高い場合がある。
上記波長420nm以上の成分を含む光は、例えば、光重合器、発光ダイオードもしくはハロゲンランプからの光またはプラズマ光であることができる。光重合器は、歯科用樹脂(レジン)の硬化用に使用される可視光重合用光重合器であることができる。また、前述したように発光ダイオード(LED)は、420nm以上の可視光領域に発光波長を有するか、可視光領域のみに発光波長を有する発光ダイオードであることができる。そのような発光ダイオードとしては、例えば、紫色発光ダイオード、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、黄色発光ダイオード、または白色発光ダイオードを挙げることができる。紫色発光ダイオードは紫外領域から可視光領域に発光波長を有する。また、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、黄色発光ダイオード、白色発光ダイオードは、可視光領域のみに発光波長を有する。
また、発光ダイオードを組み込んだ歯科用照射装置として、例えば、特開2000−217844号公報に記載の装置を使用することができる。この歯科用光照射装置は、歯列前面に沿って湾曲して配置された複数の発光ダイオードを用いて、歯列全体に均一に光を照射し、脱色する歯科用照射装置である。
本発明の歯牙漂白方法における光の照射時間は、使用する歯牙漂白用組成物の組成、光源の種類や強度、漂白対象の歯牙の着色および希望する脱色の程度に応じて適宜決定されるが、通常30分以内であり、好ましくは20分以内であり、より好ましくは10分以内である。光照射後は、塗布した組成物を水洗等により洗い流すことができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は下記例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例1、2に示す歯牙漂白試験を行った。
(実施例)
300リットルの反応容器(冷却および攪拌が可能)内に満たした温度0℃の水207kgに四塩化チタン23kgを徐々に加えた。このとき、溶液の温度は最高6℃であった。溶液の攪拌を2日間行い、透明な四塩化チタン水溶液を作製した。作製した四塩化チタン水溶液を攪拌しながら12.5%アンモニア水を滴下すると、この溶液は徐々に白濁した、アンモニア水の量は、白濁した溶液がpH8となるように調整した。白濁した溶液は、吸引濾過を行った。濾紙上に残った白色の沈殿物は、131kgであった。白色の沈殿物は、200kgのアンモニア水(NH3として6%)に分散させたのち、24時間攪拌し、吸引濾過を行った。濾過後の白色の沈殿物は、108kgであった。白色の沈殿物は、50℃に設定した強制送風式棚型乾燥機に入れ、4日間乾燥を行った。乾燥後の試料は、17kgであった。この中から10gを分離し、塩化白金(H2PtCl6・6H2O)0.18gを溶かした蒸留水と均一に混ぜ、さらに乾燥させた。
300リットルの反応容器(冷却および攪拌が可能)内に満たした温度0℃の水207kgに四塩化チタン23kgを徐々に加えた。このとき、溶液の温度は最高6℃であった。溶液の攪拌を2日間行い、透明な四塩化チタン水溶液を作製した。作製した四塩化チタン水溶液を攪拌しながら12.5%アンモニア水を滴下すると、この溶液は徐々に白濁した、アンモニア水の量は、白濁した溶液がpH8となるように調整した。白濁した溶液は、吸引濾過を行った。濾紙上に残った白色の沈殿物は、131kgであった。白色の沈殿物は、200kgのアンモニア水(NH3として6%)に分散させたのち、24時間攪拌し、吸引濾過を行った。濾過後の白色の沈殿物は、108kgであった。白色の沈殿物は、50℃に設定した強制送風式棚型乾燥機に入れ、4日間乾燥を行った。乾燥後の試料は、17kgであった。この中から10gを分離し、塩化白金(H2PtCl6・6H2O)0.18gを溶かした蒸留水と均一に混ぜ、さらに乾燥させた。
上記乾燥試料をアルミナるつぼ(20×20×5cm)に入れ、ガス炉内に設置し、試料表面に熱電対を置き、試料の温度が400℃となるようにして、1時間焼成した。作製した粉末3gを100mlの純水に懸濁し、この懸濁液をマグネチックスターラを用いて1時間攪拌した。得られた溶液は吸引濾過を行った。濾紙上に残った試料を再度純水に攪拌し、吸引濾過を行った。得られた粉末は、110℃に設定した乾燥器内に一昼夜放置し、乾燥させて白金を担持した酸化チタンを得た。
次に、市販の歯科漂白用ゲル(過酸化尿素21%含有)0.5gに、前記白金を担持した酸化チタン20mgを加え、十分に混練りした後、歯牙に厚さ1mmになるように均一に塗布した。塗布してから10分間経過後に塗布物を除去し、歯牙を水で洗浄した。処置前の歯牙の着色と処置後の歯牙の着色は、VITAのシェイドガード(色見本)を用いて測定した。その結果、処置前はC4であった着色が処置後はC1に変化していた。また、光重合装置としてデントレード社製D−LUX10を用い、連続5分間の波長420nm以上の成分を含む光の照射を行った場合も、処置前C4であった着色が処置後はC1に変化していた。
(比較例1)
前記白金を担持した酸化チタンの代わりに、市販されている超微粒子酸化チタン粉末(石原産業製ST−01)を用いたこと以外は、実施例と同様に歯牙漂白試験を行った。その結果、処置前はC4であった着色は処置後に変化はなかった。
前記白金を担持した酸化チタンの代わりに、市販されている超微粒子酸化チタン粉末(石原産業製ST−01)を用いたこと以外は、実施例と同様に歯牙漂白試験を行った。その結果、処置前はC4であった着色は処置後に変化はなかった。
(比較例2)
前記白金を担持した酸化チタンの代わりに、市販されている光触媒用酸化チタン粉末(デグサ製P−25)を用いたこと以外は、実施例と同様に歯牙漂白試験を行った。その結果、処置前はC4であった着色は処置後に変化はなかった。
前記白金を担持した酸化チタンの代わりに、市販されている光触媒用酸化チタン粉末(デグサ製P−25)を用いたこと以外は、実施例と同様に歯牙漂白試験を行った。その結果、処置前はC4であった着色は処置後に変化はなかった。
Claims (6)
- 白金を担持した酸化チタンと、過酸化物とを含有することを特徴とする歯牙漂白用組成物。
- 前記白金を担持した酸化チタンは、水酸化チタンと塩化白金との混合物を加熱して製造した物質であることを特徴とする請求項1に記載の歯牙漂白用組成物。
- 前記過酸化物は、過酸化水素または過酸化尿素であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯牙漂白用組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯牙漂白用組成物を歯牙の表面に塗布した後、前記歯牙の表面に塗布した歯牙漂白用組成物に波長420nm以上の成分を含む光を照射することを特徴とする歯牙漂白方法。
- 前記波長420nm以上の成分を含む光は、光重合器、発光ダイオードもしくはハロゲンランプからの光またはプラズマ光であることを特徴とする請求項4に記載の歯牙漂白方法。
- 前記発光ダイオードは、紫色発光ダイオード、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、黄色発光ダイオードまたは白色発光ダイオードであることを特徴とする請求項5に記載の歯牙漂白方法。
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