JP2008188837A - ゴム部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材の破壊レベルおよび接着レベルを向上させることにある。
【解決手段】破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材において、前記界面から3mm以内に剛性の極小値が存在するゴム部材である。好ましくは、前記ゴム同士のうち、剛性が低い方のゴム側に剛性の極小値が存在する。
【選択図】図1

Description

本発明はゴム部材に関し、詳しくは破壊特性および異種ゴム同士の接着性が改善され、タイヤに好適に適用されるゴム部材およびそれを用いたタイヤに関する。
タイヤは種々の異なる物性のゴムを組み合わせて作られ、例えば、スチールタイヤのように補強材としてスチールコードを使用するタイヤにおいては、スチールコードとゴムとの間の接着性を高めるため、スチールコードの被覆ゴムに硫黄を多く配合するゴム組成物を使用することが知られている。その結果、かかる硫黄多量配合ゴム組成物に接する近傍部材とは硬さが大きく違うことになる。
このような高硬度でかつスチールコードとの接着性の要求される配合のゴム組成物と周辺のゴム組成物は強固に接着する必要があることから、硫黄多量配合ゴム組成物と硫黄少量配合ゴム組成物(ゴム成分100質量部に対し硫黄3質量部以上の差)との両者間におけるゴムとゴムとの接着性を改良するための技術が特許文献1に報告されている。
特公昭61−49117号公報(特許請求の範囲等)
スチールコード以外の繊維コード部材被覆ゴムとその近傍部材との界面や通常のゴムとゴムとの界面は極端な硫黄差(3重量部以上)には一般にならず、そのため、硫黄濃度差が少ないゴム同士の界面に対して充分な検討がなされていないのが現状である。タイヤはそれぞれの要求性能に応じて数種のゴムを組み合わせて作られ、それぞれ異なる配合となるため、硬さレベルや破壊レベルは異なるものである。かかる状況下において、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材における当該界面についてはこれまで検討されたことがなく、かかる界面近傍における破壊レベル、接着レベルを向上させるメカニズムについては知られていなかった。
そこで、本発明の目的は、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材の破壊レベルおよび接着レベルを向上させることにある。
また、本発明の他の目的は、前記ゴム部材を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接する界面近傍に着目して鋭意検討した結果、この界面から所定の範囲内にゴム剛性の極小値が存在するようにすることにより破壊レベルおよび接着レベルの向上を図ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のゴム部材は、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材において、前記界面から3mm以内に剛性の極小値が存在することを特徴とするものである。
本発明のゴム部材においては、前記ゴム同士のうち、剛性が低い方のゴム側に剛性の極小値が存在することが好ましい。また、本発明のゴム部材は、タイヤ、特には航空機用タイヤに好適に適用することができ、さらに特には、バイアスタイヤの保護層(スチールコードとの複合部材ではなく、繊維コードとの複合部材である)とクッションゴムの界面を有する部分に好適に適用することができる。
2種のゴムを張り合わせた場合、歪が破壊レベルの低い側に集中すると部材界面での破壊レベルおよび接着レベルは低下する。よって、ゴム剛性は低いが破壊レベルの高いゴム側に歪を集中させ、即ち、界面近傍で剛性の低いゴムの中により剛性の低い箇所が生じるようにして破壊させれば、結果として部材界面での破壊レベルおよび接着レベルは向上する。そのためには、剛性が低く破壊レベルが高いゴム側に歪が集中するように、当該側にゴム剛性の極小値を持たせることが必要である。
なお、本発明において、「ゴム剛性の極小値が存在する」とは、マイクロハードネスを0.01mmの間隔で測定したとき、界面から3mmを超える部分でのハードネス値対比で0.5ポイント以上低下することを意味する。
本発明によれば、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材の破壊レベルおよび接着レベルを向上させることができる。
本発明のゴム部材は、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材において、前記界面から3mm以内に、好ましくはゴム剛性が低い(破壊強度が高い)方のゴム側にゴム剛性の極小値が存在するものである。
加硫促進剤、オイル、硫黄等は接合するゴム同士の界面で移行することが知られている。この移行により互いのゴムの物性は変化するため、界面近傍での歪をコントロールするためには、移行する配合成分を考慮することが重要である。加硫促進剤や硫黄を多く含む配合系から少ない配合系へのこれらの移行は、少ない配合系のゴムを硬くするため界面近傍に破壊強度の極小値を生ずるおそれがある。一方、オイルを多く含む配合系から少ない配合系へのオイルの移行は、少ない配合系のゴムを柔らかくし、界面近傍に剛性極小値を生ずるおそれがある。よって、本発明においては、破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材の当該ゴム同士は、互いのオイル、加硫促進剤、硫黄の配合量を適宜コントロールして、ゴム剛性が低い(破壊強度が高い)方のゴム側にゴム剛性の極小値が存在するようにし、これにより破壊特性および接着性の改善を図ることが可能となる。
本発明において用いられるゴム成分としては、天然ゴム、合成ゴムのいずれをも用いることができる。合成ゴムとしては特に制限されず、例えば、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)等が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
また、本発明のゴム部材は、架橋剤を加えてこれを加熱することにより加硫物とする。この場合、架橋剤としては、有機過酸化物、硫黄、有機硫黄化合物などの通常ゴム組成物の架橋に使用できるものであればいずれも使用することができる。硫黄、有機硫黄化合物を架橋剤として用いる場合、通常ゴム業界で用いられる加硫促進剤を適宜用いることができる。さらに、上記各成分の他にも、ゴム業界で一般に用いられるカーボンブラック等の充填材、無機充填剤、老化防止剤、加硫助剤など、各種成分を適宜配合することができる。
本発明のゴム部材用のゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機等の混練機を用いて混練することによって得られ、成形加工後に加硫ゴムとすることにより、タイヤに好適に使用することができる。タイヤとしては、特には航空機用タイヤに好適に適用することができる、さらに特には、バイアスタイヤの保護層とクッションゴムの界面を有する部分に好適に適用することができる。ただし、かかる保護層としては、スチールコードとの複合部材(硫黄多量配合系)ではなく、有機繊維コード等との複合部材である。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
ゴム組成物を下記の表1に示す割合で配合処方(質量部)し、常法に従い、実施例および比較例において夫々ゴム1およびゴム2の2種類のゴム組成物を調製した。なお、表中の数値は質量部である。
次いで、ゴム1およびゴム2を接合させたゴム組成物を145℃で20分間加圧加硫することにより、加硫ゴムサンプルを作製し、各加硫ゴムサンプルに対して下記の方法でゴム1とゴム2の界面近傍の破壊特性(Tb)および剛性(マイクロハードネス)を測定した。また、供試加硫サンプルゴムに対し、下記の方法で接着性を評価した。
(破壊特性の評価方法)
JIS K6301により、ゴム1とゴム2の界面近傍を0.5mmの間隔で破壊強度(Tb)を測定した。
(マイクロハードネスの評価方法)
JIS K 6253−1993に従うデュロメータ硬さ試験・タイプA試験機を用い、ゴム1とゴム2の界面近傍を0.01mmの間隔で試験温度25℃にて測定した。
得られた結果を下記の表1並びに図1および図2のグラフに示す。
(接着性)
ストログラフを用いてピーリングテストを行った。試験装置は東洋精機(株)のストログラフAR−1を用い、試験条件としてはJIS−K−6256に準拠した条件にて行った。比較例を100として指数にて表示し、数値が大きいほど良好である。
Figure 2008188837
*1)ISAF,東海カーボン(株)製, シースト3H
*2)1,3−ジフェニルグアニジン,大内新興化学工業製「ノクセラーD」
実施例および比較例の、ゴム1およびゴム2の界面近傍の距離とマイクロハードネスとの関係を示すグラフである。 実施例および比較例の、ゴム1およびゴム2の界面近傍の距離と破壊強度との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 破壊強度と剛性の双方が異なるゴム同士が隣接し界面が存在するゴム部材であって、一方のゴムが他方のゴムに比べ破壊強度が高く剛性が低いゴム部材において、前記界面から3mm以内に剛性の極小値が存在することを特徴とするゴム部材。
  2. 前記ゴム同士のうち、剛性が低い方のゴム側に剛性の極小値が存在する請求項1記載のゴム部材。
  3. タイヤに適用される請求項1または2記載のゴム部材。
  4. 前記タイヤが航空機用タイヤである請求項3記載のゴム部材。
  5. 前記タイヤがバイアスタイヤであり、その保護層とクッションゴムとの間で前記ゴム同士が構成されてなる請求項3記載のゴム部材。
  6. 請求項1〜5のうちいずれか一項記載のゴム部材を適用したことを特徴とするタイヤ。
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Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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