JP2008188579A - 中空糸膜収束体とその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中空糸膜フィルターの複数本を束ね、その両端部を夫々別の短い外筒体に挿入し、中空糸膜間及び外筒体内周部並びに中空糸膜束外周部を水不溶性の合成樹脂を要し充填固定してなる中空糸膜収束体に於いて、外筒体がJISに規定する真円度0.2mm以内、算術的表面粗さ2.0μm以下で、且つASTMに規定するテーパー硬度でヘイズ増加率15%以下、好ましくは3%以下である硬質耐圧チューブからなる中空糸膜収束体及びその使用方法に関する。
つまり、従来より中空糸膜フィルターはエレメント構造が複雑で且つ互換性に乏しかったが、フィルターの交換時にワンタッチで着脱できる本発明の中空糸膜フィルターエレメントの出現により、中空糸膜束の端部を一定の条件を満たす外筒管に固定するのみで使い易く、コスト的にも安価に中空糸膜フィルターエレメントを供給出来る点に特徴を有する。
【選択図】図2
Description
その使用態様は、細い中空糸膜を束ね、その一端又は両端を樹脂などで固定し、被処理水の出入端を設けた外筒体中に固定した、所謂フィルターモジュール、カートリッジフィルターが一般的である。
又、最近では被処理液中にフィルターを浸漬し、一次側を加圧或いは二次側を吸引するか、又は水位差により処理液出口側を負圧に保持して濾過処理を行う浸漬膜式の中空糸膜フィルターモジュールを多用するようになった。
この発明の目的は、濾過素子所謂濾過器に回転などの作動などを与えて、濾過に伴う目詰りの発生を少なくし、濾過効率を向上させようとするものである。
以上に説明したとおり、現状では十分な対処が果たされておらず、更に実効有る解決方策が求められている。
更に、原水導入部或いは処理水出口部を夫々具備した缶体の一体型構成タイプもあるが、濾過体の交換時にフィルターエレメントのみならず構成部材全てを交換せざるを得ず高価にならざるを得なかった。本発明では、これら従来の濾過器構造体を前提にして安価で簡単に採用できる中空糸膜フィルター構成の開発を課題とした。
即ち、中空糸膜の複数本を束ね、その両端部を夫々短い外筒体に挿入し、中空糸膜間および外筒体内周部と中空糸膜束外周部を水不溶性の合成樹脂で充填固定してなる中空糸膜収束体が存在すれば、着脱可能なフィルターエレメントの形成が可能となる。
本発明者等は、この際O−リングを確実に密着させる樹脂管部として、硬質で表面平滑な樹脂管の接合面条件、又は樹脂管内面の粗面化状態の条件を突き止めた。
一方、複数本からなる中空糸膜束の両端部を上記の樹脂製外筒管に接着剤樹脂によって固定してフィルターエレメントを作成するが、該樹脂製外筒管と接着剤樹脂の接着性を高める為に該樹脂製外筒管の内面を粗化することが好ましい。粗化の具体的方法としてピッチ及び谷の深さが0.2mm以上、1.0mm以下の雌ねじを形成すると良い。
但し、この外筒体の内面祖面化は外筒体の内径が30mmを越える場合に効果的であり、内径が外筒体の30mm以下では必須では無い。外筒体の内面粗面化方法としては上記の外筒体の内側の円周に沿って溝切りしてなる方法が最も簡易な方法で、他にサンドブラスト等如何なる方法によって粗化しても良い。
本発明の中空糸膜集束体は、濾過器の集水部に密着固定して使用される。密着固定の方法は特に限定されない。
使用するワンタッチ継ぎ手は、通常内側にO−リングと挿入した外筒体(筒状体)を保持する固定用爪を有するものが使用される。O−リングのみで集水管に固定する場合は集水管の壁厚を大きくするか、或いは集水管の一部に厚みを有する平板を取り付け、これにO−リング受け部をもつ穿孔を形成してこれに外筒体(筒状体)を挿入して固定する。
この際、集水管の両端或いは一端は吸引又は減圧装置、更には濾水槽等は連絡するホース等の導水管に繋がっていることが必要である。
本発明の中空糸膜収束体を使用した濾過器による濾過処理の駆動圧印加形式は、加圧、吸引(減圧)の両方式に使用可能である。その中でも、本発明の効果が最も顕著に確認出来るのは、本発明の中空糸膜収束体を一端又は両端に吸引部を有する集水管に接続した濾過器を濾過被処理液中に浸漬し、集水管の一端又は両端より減圧吸引する濾過処理方法である。
更に、本発明の中空糸膜収束体を使用した濾過の有用性は、濾過被処理液が流通する管路内部にワンタッチ継ぎ手を要し本発明の中空糸膜収束体を接続し、ワンタッチ継ぎ手の接続部他端を減圧吸引する事が可能で、流路より直接的に濾過水を取り出す濾過処理手法を可能に出来る利点がある。
例えば、柔軟なメッシュ状の被覆材で中空糸膜収束体部分を被覆し、活性汚泥等の高濃度の濾過被処理液に浸漬し吸引濾過する場合、中空糸膜への固形物によるファウリングを極端に減少せしめる事が可能となる。この際、使用するメッシュは中空糸膜を損傷しないものであれば如何なるものであってもよく、ナイロンメッシュ、ポリエチレンメッシュ、綿ガーゼなどが主として用いられる。
更に、好ましくは精密濾過膜、限外濾過膜である。中空糸膜を構成する有機高分子は、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩かビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ弗化ビニリデン、酢酸セルローズ等中空糸膜を形成できるものであれば結晶性、非結晶性の如何を問わず対象と出来る。
強いて言えば、通常使用されている外形2mm以下、内径50μm以上、膜厚30μm以上ぐらいのものが用いられる。
中空糸膜収束体の外形即ち両端の外筒体の直径は5mm以上、500mm以下が実用上好ましい。即ち、直径5mmより小さい外形では実用性に乏しく、500mmより大きな直系となるとシール部の完全性確保が難しくなる。
本発明に於いて、中空糸膜間および外筒体内周部と中空糸膜束外周部を接着固定する接着剤は硬化の後、水不溶性の性状を維持出来るものであれば如何なるものでも良い。しかしながら、通常では二液性のウレタン樹脂、二液性のエポキシ樹脂が用いられるが、本発明を限定するものではない。
特に、浸漬吸引方式は最も簡易で省力的でもあり、浸漬吸引方式に最適の中空糸膜フィルターエレメントとして極めて有用である。
図1の構成で作成された中空糸膜収束体は、図2に例示するように継ぎ手5を有する2本の集水管(3)の継ぎ手(5)に、中空糸膜収束体の両端に位置する外筒体1を挿入接続嵌着して中空糸膜フィルターを形成した。
集水管(3)の両端は、濾水出口(4)を介し導水チューブ(6)を要して吸引(減圧)ポンプに接続する。この中空糸膜フィルターを濾過原水中に浸漬し吸引ポンプを稼動させることにより、原水は中空糸膜束(2)を構成する中空糸膜で濾過され、濾過水は集水管(3)を経て系外に排出される如く設営した。
この継ぎ手(5)に、中空糸膜束体の外筒体(1)を夫々挿入し、流水管路(10)中に中空糸膜束からなる中空糸膜フィルターを設置した。かくして、濾水出口4を吸引ポンプに接続し流水管路(10)中の原水を濾過するようにセットした。
これは水道水の給配水管路の濁質或いは細菌、原虫類による汚染を除去するのに有用であり、且つ中空糸膜ろ過において問題となる膜目詰まり(ファウリング)を防止しつつ、濾過が可能としたもので、膜濾過技術として画期的効果を発揮出来るものである。
図4は固定用爪を有さずO−リング(7)のみを取り付けた継ぎ手5に、中空糸膜束体の外筒体(1)を挿入し、集水管3に中空糸膜収束体を取り付ける構成を示している。
図6は、方形断面の集水管の底部を厚板で形成し、中空糸膜収束体の外筒体1外周部に設けたO−リング溝(12)を要してO−リング(7)により中空糸膜収束体を直接集水管(3)に密着固定した例を示した。
以上に説明した設営装置を活用した実施例により、本発明を更に詳しく説明する。
このチューブのASTM−D1044−56に規定するテーパー硬度は、ヘイズ増加率2.5%であった。別に、市販の内外径一致するナイロンチューブを4種購入した。
それらのJIS−B0621−1984に規定する真円度は夫々0.19mm(A)、0.23mm(B)、0.21mm(C)、0.16mm(D)である。
此処で作成したナイロンチューブの内面に夫々ピッチ及び谷の深さが0.18mm(E)、0.25mm(F)、1.2mm(G)の雌ねじを形成したサンプルを作成した。
これらのチューブを長さ50mmに切断し、夫々に二液型のエポキシ樹脂を脱泡混合後直ちに注入し、200時間室温で養生してエポキシ樹脂を硬化させた。これらエポキシ樹脂を封入したナイロンチューブを12mmφのワンタッチ継ぎ手に挿入し、夫々図1に示す如き形態の中空糸膜収束体を製作した。
又、E,Gはナイロンチューブとエポキシ樹脂の間からの空気漏れにより圧力保持が出来なかった。
ところが、本発明のナイロンチューブの内面にピッチ及び谷の深さが0.25mmでねじ切りしたサンプル(F)のみが圧力保持600分以上で良好な耐圧性を示した。
作成したナイロンチューブの内面にピッチ及び谷の深さが0.25mmでねじ切りしたサンプルで、更に上記サンプル(F)と同じ真円度並びにテーパ硬度とし、ピッチ及び谷の深さを0.5mmとしたサンプル(H)、或いは0.8mmとしたサンプル(I)を作成し、夫々を高圧(0.6MPa、0.5MPa)で試験した。いずれも、サンプル(F)同様に圧力保持が良好で濾過及び逆洗浄の圧力に耐えることが判明した。
これらの結果は、次の表1に示すとおりであった。
この中空糸膜を切断し長さ350mmに切断し、その30本を束ね中空糸膜束とした。
これの両端20mmに二液性エポキシ樹脂を脱泡混合した接着剤を含浸し、別途用意したナイロン樹脂製ナイロンチューブ外筒体にその両端を挿入した。このチューブ外筒体は、JIS−B0621−1984に規定する真円度が0.15mm、JIS−B0601に規定する算術的表面粗さは1.6μmm、且つASTM−D1044−56に規定するテーパー硬度でヘイズ増加率2.5%であった。
得られた中空糸膜束体の膜面積は、約0.05m2で、純水によるテスト濾過流量は吸引圧力50KPaで測定したところ、17L/hr、濾過流束は0.355m3/m2/hrであった。
この中空糸膜束体の外筒体の両端を、O−リングのみを有する継ぎ手10本を装着した直径30mm、両端に直径10mmの濾過水出口を設けた集水管二本に挿入し、中空糸膜収束体からなる中空糸膜フィルターモジュールを作成した。
濾過処理終了後、二次側から空気圧45KPaで逆圧を印荷して30分間放置したが継ぎ手部からの空気漏れは全く観察されなかった。その後、同じ条件で濾過処理60分、逆圧洗浄2分の繰り返しを30日間繰り返した。又、その間に10本の中空糸膜束体の位置を相互に差し替える操作を1日2回実施したが、空気漏れ、水漏れなどの不具合は発生しなかった。
特に、今後実用が進む浸漬式膜濾過に於いては、オープン缶体で濾過が進められ為に、膜モジュールが自由な形で使用可能な本発明の方式は極めて有望な発明である。
又、本発明の出現により、今後益々中空糸膜モジュールの需要が顕著に拡大するものと予想される。中空糸膜モジュールの生産は、現状では手作りが主体で生産性が悪くコスト高である。しかし、本発明の方式を更に展開し中空糸膜フィルター部分の構造が簡単なる利点を生かし機械生産が可能となれば、コストを安くして大量に供給出来る。
本発明は、以上の通り産業上の利用可能性が極めて多大であるものと確信する。
2 中空糸膜束
3 集水管
4 濾水出口(吸引或いは減圧装置又はろ過水槽にホース等の導水管に繋ぐ)
5 集水管と中空糸膜束体を繋ぐ継ぎ手
6 導水管チューブ
7 O−リング
8 継ぎ手に中空糸膜束体外筒体(筒状体)を保持する固定用爪
9 流水管壁
10 流水管路
11 中空糸膜束保護ネット
12 O−リング溝
13 流水管
Claims (9)
- 中空糸膜フィルターの複数本を束ね、その両端部を夫々別の短い外筒体に挿入し、中空糸膜間及び外筒体内周部並びに中空糸膜束外周部を水不溶性の合成樹脂で充填固定してなる中空糸膜収束体に於いて、外筒体がJIS−B0621−1984に規定する真円度0.2mm以内、JIS−B0601に規定する算術的表面粗さ2.0μm以下、且つASTM−D1044−56に規定するテーパー硬度でヘイズ増加率15%以下、好ましくは3%以下である硬質耐圧チューブからなることを特徴とする中空糸膜収束体。
- 中空糸膜フィルターの複数本を束ね、その両端部を夫々別の短い外筒体に挿入し、中空糸膜間及び外筒体内周部並びに中空糸膜束外周部を水不溶性の合成樹脂で充填固定してなる中空糸膜収束体において外筒体の内面をピッチ及び谷の深さが0.2mm以上又は1.0mm以下の雌ねじで構成せしめることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜収束体。
- 外筒体の外周表面に1以上のO−リング溝を設けることを特徴とする請求項1ないし2記載の中空糸膜収束体。
- 中空糸膜束を柔軟なメッシュで包み込んでなることを特徴とする請求項1ないし3記載の中空糸膜収束体。
- 中空糸膜フィルターとして、阻止孔径0.5μm以下の精密濾過膜を用いることを特徴とする請求項1ないし4記載の中空糸膜収束体。
- 中空糸膜フィルターとして分画分子量100,000ダルトン以下の限外濾過膜を用いることを特徴とする請求項1ないし4記載の中空糸膜収束体。
- 少なくとも1以上の請求項1ないし2記載の中空糸膜収束体をワンタッチ継ぎ手を要して集水管に接続してなる中空糸膜フィルターモジュール。
- 1以上の請求項3記載の中空糸膜収束体をO−リングを要し集水管に直接接続してなることを特徴とする中空糸膜フィルターモジュール。
- 上記に記載するいずれかを使用することを特徴とする水処理方法。
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