JP2008187913A - つる性植物による屋根面緑化構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化を維持しながら、つる性植物の生育にも悪影響を与えないようにしたつる性植物による屋根面緑化構造体を提供する。
【解決手段】つる性植物による屋根面緑化構造体は、屋根面上に固定した発泡樹脂成形体である断熱材10と、断熱材10の上面に配置した断熱材押さえ具20と、屋根面に配置したつる性植物用植裁基材30と、つる性植物用植裁基材から生育するつる性植物Pとを少なくとも備える。
【選択図】図1
【解決手段】つる性植物による屋根面緑化構造体は、屋根面上に固定した発泡樹脂成形体である断熱材10と、断熱材10の上面に配置した断熱材押さえ具20と、屋根面に配置したつる性植物用植裁基材30と、つる性植物用植裁基材から生育するつる性植物Pとを少なくとも備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、つる性植物による屋根面緑化構造体に関する。
屋根面に植物を育成して屋根面を緑化することが行われる。屋根面緑化には、屋根面に土壌層を有する植栽層を直接配置することもあり、発泡樹脂等で作られた保水性と排水性を備えた緑化基盤材を屋根や屋上に設置し、その上に植栽層を形成することもある。この場合、植生対象植物としては芝類やセダム類のような植物が挙げられる。
屋根上の広い面に土壌層や植裁層を形成すると、それはかなりの重量物となる。そのために、例えば既存の屋根面のように充分な耐荷重性を備えない屋根面の場合には、その上に重量のある緑化構造体を構築できないことが起こる。その対策として、特許文献1や特許文献2には、つる性植物を用いて屋根面を緑化することが提案されている。つる性植物の場合、屋根あるいはその近傍の一部の領域に、少数の例えばプランターのようなつる性植物用植裁基材を配置すれば、そこから屋根面のほぼ全面に植物が育成していくので、軽量化した屋根面緑化構造体とすることができる。
上記した従来のつる性植物による屋根面緑化構造体では、屋根の上に格子状あるいは網状をなすガイド部材を屋根面に直接配置し、該ガイド部材につる性植物を絡ませて育成するようにしている。この場合、屋根面からの輻射熱が植物の生長に悪影響を与える恐れがある一方において、生長する植物のつるや巻きひげあるいは根等が屋根面に損傷を与えることも起こり得る。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、軽量化を維持しながら、つる性植物の生育にも悪影響を与えないようにしたつる性植物による屋根面緑化構造体を提供することを課題とする。
本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体は、屋根面上に固定した発泡樹脂成形体である断熱材と、該断熱材の上面に配置した断熱材押さえ具と、屋根面に配置したつる性植物用植裁基材と、該つる性植物用植裁基材から生育するつる性植物とを少なくとも備えることを特徴とする。
上記のつる性植物による屋根面緑化構造体では、屋根面の上に発泡樹脂成形体である断熱材を固定しており、屋根面からの輻射熱は断熱材により遮断されるので、軽量化を維持しながら、つる性植物の生育が熱ストレスにより阻害されることもない。また、植物のつるや巻きひげあるいは根の接触により屋根面が損傷するのも阻止できる。さらに、断熱材はその上に配置した断熱材押さえ具により屋根面に対して安定的に抑え付けられるとともに、つる性植物用植裁基材から生育するつる性植物は、前記断熱材押さえ具を伝って、屋根面上に広く生育することができる。つる性植物が、巻きつる系や巻きひげ系の植物の場合に、この効果は特に顕著である。巻きつる系あるいは巻ひげ系の植物としては、クレマチス、スイカズラ、カロライナジャスミン等が挙げられる。
本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体において、前記断熱材押さえ具は、屋根面上に固定した発泡樹脂成形体である断熱材が負圧等により飛散しないように上から抑え付ける機能を有するものであれば任意であるが、好ましくは、格子状材料または網状材料である。この形状であれば、断熱材の抑え付け機能とつる性植物の広い面積への生育補助機能の双方を同時に満足することができる。断熱材押さえ具の材料としては、樹脂材料や金属材料、木製材料等が挙げられる。腐食性の材料を用いる場合には、樹脂材料等でコーティングしておくことが望ましい。
本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体において、前記断熱材押さえ具は、パンチングメタルあるいは編組した金網のように剛性を有する材料で作られ、かつ複数本の脚を有する構成であることが好ましい。この場合には、前記脚により断熱材と断熱材押さえ具との間に隙間が形成されるので、つる性植物の生育を一層安定化することができる。
本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体において、前記断熱材のための発泡性樹脂材料としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の発泡性樹脂が挙げられる。発泡成形は、押出発泡成形でもよく、ビーズ型内発泡成形によってもよい。一般に、発泡樹脂成形体は耐候性に欠けるので、好ましくは、適宜の保護層をその上に形成する。保護層の一例として、従来知られた耐根シートや不織布が挙げられる。一方の面に耐根シートまたは不織布を積層したものを用い、その積層面を上にして屋根面に固定するようにしてもよく、一方の面に不織布を積層し他方の面に耐根シートを積層したものを用い、好ましくは不織布を積層した面を上にして屋根面に固定するようにしてもよい。
この形態の断熱材において、不織布が上面側に位置する場合には、該不織布は、生育するつる性植物の特性に付着根や吸着盤がある場合(ヘデラヘリックス、ヘデラカナリエンシス、ツルマサキ、ナツヅタ、ビグノニア等)に、その登はん補助材として機能する。また、不織布が下面側に位置する場合には、断熱材に対して、上からの負荷に対する高い曲げ耐性を与えることができる。耐根シートは、それが断熱材の上面側に位置する場合も下面側に位置する場合も、そこでつるや巻きひげや根がそれを超えて下方へ進出するのを阻止することができるので、屋根面が巻きひげやつるや根によって損傷を受けるのを一層確実に阻止することができる。
本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体において、前記つる性植物用植裁基材には、一例としてプランターのような箱形容器につる性植物の生育に必要な土や肥料等を入れたものを挙げられる。つる性植物用植裁基材が、その上端面が屋根面上に固定した前記断熱材の上面と同じ高さかより低い位置となるようにして屋根面に配置されていることは、好ましい。この態様では、断熱材上を流下する雨水あるいは散水した水を該基材内に効果的に取り入れることが可能となり、潅水に要するコストを低減することができる。また、つる性植物用植裁基材内への潅水を確実にするために、つる性植物用植裁基材に沿うようにして給水パイプを備えるようにしてもよい。この給水パイプを利用して肥料を水とともに供給することもできる。
本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体において、ベースとなる屋根は、平屋根でもよく、傾斜屋根でもよい。屋根面は平坦面であってもよく、折板屋根のように凹凸のある屋根面でもよい。また、本発明で屋根面というときには、屋上面も含まれる。折板屋根の場合には、立ちはぜ折板屋根も含まれる。折板屋根の上に本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体を作る場合には、前記断熱材は、折板屋根面が平らな面となるように前記折板屋根に固定した固定具を用いて屋根面に固定される。断熱材を固定することにより、屋根面の凹凸はなくなり平坦面となるので、施工性も向上する。
本発明によれば、軽量化を維持しながら、つる性植物の生育にも悪影響を与えないようにした、より改良されたつる性植物による屋根面緑化構造体が得られる。
以下、図面を参照しながら、本発明によるつる性植物による屋根面緑化構造体の一実施の形態を説明する。図1は屋根面が立ちはぜ折板屋根である場合のつる性植物による屋根面緑化構造体の一形態の全体を示す斜視図であり、図2は他の形態のつる性植物による屋根面緑化構造体を建物の妻側から見た図である。図3は立ちはぜ折板屋根に断熱材等を固定する態様を説明するための図であり、図4は断熱材とつる性植物用植裁基材の位置関係を説明するための図である。また、図5は立ちはぜ折板屋根に取り付ける固定具を説明するための図である。
図1において、Rは屋根面の一例としての立ちはぜ折板屋根であり、その上に固定具60(図5参照)を用いて発泡樹脂成形体である断熱材10を固定している。好ましくは、断熱材10として、一方の表面には不織布11が積層され、他方の表面には耐根シート12が積層されたものを用いる(図3、図4参照)。
最初に、立ちはぜ折板屋根Rとそこに固定する固定具60を説明する。図5に示すように、立ちはぜ折板屋根Rは、左右の立ち上がり縁の上端部に互いに係合する湾曲部3a,3bを形成した長尺状の屋根板3を、隣接する屋根板3,3の湾曲部同士を係合(はぜ継ぎ)しながら、図示しない梁の上に専用の取り付け具を利用して固定して形成されるものであり、図1に示すように、屋根勾配方向であるX方向に走る山形部1が軒先方向であるY方向に所定ピッチで連続している。そして、該山形部1の頂部2には屋根板3を連接したときの丸みを持つ突条(立ちはぜ)4が屋根勾配方向に走っている。
固定具60は、一定の横幅を持つ左右一対のクランプ片61,61で構成される。各クランプ片61は、立ちはぜである突条4の下方領域を押さえ付ける挟持先端部62aとその上方の第1の水平部62bとからなる膨出部63と、前記挟持先端部62aの先端位置とほぼ同じ垂直位置において前記第1の水平部62bから立ち上がる垂直部64と、該垂直部64の上端に位置する第2の水平部65とを有し、垂直部64には左右のクランプ片61、61を一体に締め付けるときに用いるボルトのためのボルト孔66が形成されている。また、水平部65には、断熱材押さえ具20を固定するときに利用するボルト孔67が形成されている。
固定具60を立ちはぜである突条4に固定するに際しては、左右のクランプ片61,61の膨出部63の間に、好ましくは適宜のパッキン材68を埋め込んだ状態で、突条4を挟み込んだ姿勢とし、双方の垂直部64に形成したボルト孔66にボルト70を通してナットで締め付ける(図3参照)。一定の横幅を持つ挟持先端部62の先端と膨出部63の内面側とで突条4を両側から押さえ付けた状態で、固定具60は突条4に固定されるので、固定具60の固定状態はきわめて安定したものとなる。固定具60は、立ちはぜ折板屋根Rの所要位置に適数固定される。
次に、図3に示すように、そのようにして固定される固定具60を利用して断熱材10を固定する。好ましくは、不織布11を積層した面を上面として断熱材10を固定する。固定に当たっては、固定具60の前記第1の水平部62bと垂直部64と第2の水平部65とで形成されるコ字状空間内に、断熱材10の縁部を差し込みながら、必要とされる枚数の前記断熱材10を屋根面上に仮固定する。それにより、凹凸面である立ちはぜ折半屋根の上面は平坦な面とされる。その仮固定作業の途中で、屋根面における断熱材10と断熱材10の間の適所(図1では2箇所)に、プランターのような箱形容器31を配置しておく。
次に、仮固定された断熱材10の上面の好ましくはほぼ全域に、断熱材押さえ具20を取り付ける。断熱材押さえ具20は、風等により断熱材10が飛ばされるのを抑え込むためのものであり、格子状あるいは網状のものを仮固定した断熱材10の上に敷き詰め、その端部を屋根側に固定するような構造でもよい。図示のものでは、断熱材押さえ具20は、編組した金網のように剛性を有する材料で作られた本体部21と複数本の脚22とで構成されている。前記固定具60の第2の水平部65、65には、そこに形成したボルト孔67を利用して支柱71が立設固定されており、その先端に取り付けた押さえ板72によって断熱材押さえ具20の上面側の適所を抑え付けることにより、断熱材押さえ具20を断熱材10とともに屋根側に一体に固定するようにしている。
つる性植物の育成に当たっては、前記プランターのような箱形容器31内に、土と必要な場合には肥料を入れてつる性植物用植裁基材30とし、そこに、つる性植物の種子を播くか、つる性植物Pを植え付ける。必要な場合には、箱形容器31(つる性植物用植裁基材30)に沿うようにして給水パイプ(不図示)を備え、給水パイプを利用して肥料を水とともに供給する。また、好ましくは、図4に示すように、箱形容器31の高さを屋根面上に固定した断熱材10の上面と同じ高さかより低い位置となるようにする。それにより、断熱材10上を流下する雨水あるいは散水した水をつる性植物用植裁基材30内に効果的に取り入れることができる。
つる性植物用植裁基材30内のつる性植物Pは、つるを断熱材押さえ具20に絡ませながら断熱材10の全面を覆うように生長していき、図1に示すようにつる性植物による屋根面緑化構造体となる。このつる性植物による屋根面緑化構造体は、断熱材10を備えることにより、軽量化を維持しながら、つる性植物Pの生育に悪影響を与えることはない。また、断熱材10を備えることにより屋内の温度上昇を効果的に抑制することもできる。
つる性植物用植裁基材30(例えば箱形容器31)を屋根面のほぼ中央のみに位置させるようにしてもよい。この場合でも、つる性植物Pは上方と下方に向けて同時に生育して行き、短時間で断熱材10の全面を覆うことができる。これに限らず、図2に示すように、屋根面の軒先側や妻側にも、つる性植物用植裁基材30(例えば箱形容器31)を位置させるようにしてもよい。この場合、特に図示しないが、前記断熱材10の上面と断熱材押さえ具20との間につる性植物溶植裁基材30(例えば箱形容器31)を設置する形態とすることにより、安定して配置することができる。
断熱材10を不織布11の面を上にして固定したのは、生育するつる性植物の特性に付着根や吸着盤がある場合に、不織布11をその登はん補助材として機能させることを目的としており、他の場合には、不織布11を省略するか、不織布11を下面として固定してもよい。この場合、発泡樹脂成形体である断熱材10の上載荷重に対する耐曲げ性が向上する。また、耐根シート12は、つる性植物Pのつる屋根が折板屋根に直接接触して腐食を生じさせるのを防止するためであり、その必要がない場合には、耐根シート12も省略することができる。しかし、発泡樹脂成形体である断熱材10の耐候性を維持するために、上面となる側に耐候性材料を積層することは推奨される。
また、図示の例では、立ちはぜ折板屋根を例としたが、これは単なる例示であって、何らかの手段により屋根面に断熱材を固定できることを条件に、屋根面は任意の屋根面であってよい。
R…屋根(立ちはぜ折板屋根)、P…つる性植物、1…立ちはぜ折板屋根の山形部、2…頂部、3…屋根板、4…突条(立ちはぜ)、10…発泡樹脂成形体である断熱材、11…不織布、12…耐根シート、20…断熱材押さえ具、21…本体部、22…脚、30…つる性植物用植裁基材、31…プランターのような箱形容器、60…固定具
Claims (8)
- つる性植物による屋根面緑化構造体であって、屋根面上に固定した発泡樹脂成形体である断熱材と、該断熱材の上面に配置した断熱材押さえ具と、屋根面に配置したつる性植物用植裁基材と、該つる性植物用植裁基材から生育するつる性植物とを少なくとも備えることを特徴とするつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記断熱材押さえ具が、格子状材料または網状材料であることを特徴とする請求項1に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記断熱材押さえ具が、剛性を有する材料で作られておりかつ複数本の脚を有することを特徴とする請求項2に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記断熱材は、一面に耐根シートを積層していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記断熱材は、一面に不織布を積層していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記つる性植物用植裁基材は、その上端面が屋根面上に固定した前記断熱材の上面と同じ高さかより低い位置となるようにして屋根面に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記つる性植物用植裁基材に沿うようにして給水パイプが備えられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
- 前記屋根面は折板屋根であり、前記断熱材は折板屋根面が平らな面となるように前記折板屋根に固定した固定具を用いて屋根面に固定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のつる性植物による屋根面緑化構造体。
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