JP2008187451A - 音響波装置及びフィルタ装置並びに通信装置 - Google Patents

音響波装置及びフィルタ装置並びに通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 音響波を発生する電極をウェハレベルで簡単かつ良好に封止することができる音響波装置を提供すること。
【解決手段】 基板と、前記基板上に形成された音響波共振子と、前記基板上に設けられ、前記音響波共振子を収容する収容空間を有する封止部材と、前記音響波共振子から前記収容空間の外側にかけて電気信号を入出力するための入出力電極と、を備え、前記封止部材は、樹脂材料からなる内側の第1封止部材と、無機材料膜からなる外側の第2封止部材と、これら第1封止部材および第2封止部材の間に設けられ、前記無機材料膜と前記樹脂材料との間の弾性率を有する中間層と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば携帯電話等の通信装置に用いられる小型な弾性表面波装置や薄膜バルク音響波装置等の音響波装置に関するものであり、詳細には音響波共振子をウェハレベルで簡単かつ良好に封止することができる音響波装置及びそれを用いたフィルタ装置並びに通信装置に関するものである。
従来から、弾性表面波装置や薄膜バルク音響波装置において、基板上に各音響波を発生させる音響波共振子とその音響波共振子を空隙を介して封止する封止部材とが設けられることにより、基板上で音響波共振子が封止された音響波装置が知られている。このような従来の音響波装置は、音響波共振子が封止部材により基板上の中空である収容空間に収容されて封止されていることから、通常の音響波共振子全体をパッケージに収容して封止するものと比べて小型にすることができる。
また、非特許文献1には、複数の音響波素子が形成されたウェハ状態の基板に、エポキシ樹脂で上記のような収容空間を形成する封止部材を設け、それぞれの音響波素子をウェハ段階(ウェハレベル)で封止してから、封止された各音響波素子がウェハから切り出されるような音響波装置が開示されている。なお、このようなウェハレベルで封止された音響波装置をウェハレベルパッケージ(WLP)型の音響波装置と呼ぶことがある。
「ウェハーレベルパッケージ フォー バルク アコースティック ウェーブ フィルタ」(Wafer−Level−Package for Bulk Acoustic wave filter) アイトリプルイー エムティーティーエス ダイジェスト(IEEE MTT−S 2004 Digest)
しかしながら、非特許文献1に示すような樹脂材料からなる封止部材を用いた場合には外部からの水分の浸入を遮断する事ができない為、音響波共振子を構成する電極材料が腐食する問題があった。
このような問題を解決すべく、電極上に二酸化シリコン等の保護膜を形成する方式も提案されているが、保護膜自体が水分を吸着しその質量を変化させることにより、音響波の音速を変化させ、音響波装置の周波数特性が変動する問題があった。さらに、水分の透湿だけに留まらず、エポキシ等の樹脂材料は水分を吸湿した際に樹脂自体が膨潤する為、基板上に形成された電極に加わる応力が変わり、周波数特性が変動する問題もあった。
また、収容空間を形成する材料として、二酸化シリコン等の無機材料を用いる方式が検討されているが、無機材料を数十ミクロン以上形成することが難しく、電極を保護する収容空間としての強度を確保できない問題がある。また、無機材料の形成には真空装置を使用する必要があるが、その場合、収容空間内部が必然的に真空雰囲気となる為、収容空間を形成する無機材料が圧力差によって変形し、収容空間を形成する無機材料が基板上の音響波共振子と接触する問題もあった。
本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的は、音響波を発生する電極をウェハレベルで簡単かつ良好に封止することができる、周波数特性の変動の少ない、信頼性の高い小型な音響波装置およびその信頼性の高い小型な音響波装置を具備するフィルタ装置並びに通信装置を提供することにある。
本発明の音響波装置は、基板と、前記基板上に形成された音響波共振子と、前記基板上に設けられ、前記音響波共振子を収容する収容空間を有する封止部材と、前記音響波共振子から前記収容空間の外側にかけて電気信号を入出力するための入出力電極と、を備え、前記封止部材は、樹脂材料からなる内側の第1封止部材と、無機材料膜からなる外側の第2封止部材と、これら第1封止部材および第2封止部材の間に設けられ、前記無機材料膜と前記樹脂材料との間の弾性率を有する中間層と、を有するものである。
また、本発明の音響波装置は、上記構成において、前記樹脂材料がエポキシを主成分とするものであり、前記無機材料膜及び前記中間層が窒化シリコンを主成分とするものである。
また、本発明の音響波装置は、上記構成において、前記基板は圧電性材料からなり、前記音響波共振子は、弾性表面波を発生する電極を含むものである。
また、本発明のフィルタ装置は、入力端子と出力端子と基準電位端子とを有し、前記入力端子と前記出力端子とをつなぐ入出力ライン上、または前記入出力ラインと基準電位端子との間に、上記の音響波装置のいずれかを設けたものである。
また、本発明の通信装置は、受信回路もしくは送信回路の少なくとも1つを有し上記構成のフィルタ装置が前記受信回路もしくは前記送信回路に用いられているものである。
本発明の弾性表面波装置によれば、基板と、基板上に形成された音響波共振子と、基板上に設けられ、音響波共振子を収容する収容空間を有する封止部材と、音響波共振子から収容空間の外側にかけて電気信号を入出力するための入出力電極と、を備え、封止部材は、樹脂材料からなる内側の第1封止部材と、無機材料膜からなる外側の第2封止部材と、これら第1封止部材および第2封止部材の間に設けられ、無機材料膜と樹脂材料との間の弾性率を有する中間層と、を有することから、第1封止部材により安定して収容空間を形成するとともに、第2封止部材により基板の一方主面上(以下、単に基板上ということもある)に形成された音響波共振子を収容する収容空間に水分の浸入を遮断する事ができる。このため、周波数変動等のない、長期安定性に優れた音響波装置を提供する事ができる。
また、第1封止部材および第2封止部材の間に挟持され、無機材料膜と樹脂材料との間の弾性率を有する中間層を有することから、第1封止部材と無機材料からなる第2封止部材との線膨張係数差による応力を緩和し、樹脂材料にシワがよったり、無機材料にクラックが入ったりすることによる収容空間内への水分の浸入を防止することができる。
また、収容空間の外側を無機材料で封止しているので気密性に優れたものとなり、収容空間内の雰囲気を不活性ガス等で置換することができる。このため、音響波共振子の変質を防ぐことができ、信頼性の高い音響波装置を提供することができる。
なお、樹脂材料はエポキシを主成分とするものが好適であり、無機材料膜と中間層は窒化シリコンを主成分とするものが好適である。
なぜならば、エポキシ樹脂は耐熱性に優れており、弾性率の変化や質量変化が生じる温度が、一般に音響波装置を回路基板に実装する温度よりも高いため、基板上に形成された音響波共振子を保護する収容空間を安定して維持することができ、長期信頼性を向上させることができるからである。また、このような耐熱性に優れた特性は、回路基板上に実装する際のアウトガスも低減されることを意味し、これにより、収容空間内の雰囲気を制御することが可能となる。
また、エポキシを主成分とする樹脂は、微細なパターン形状を形成する事が容易である。例えば、感光性の材料を使用する事により、フォトリソグラフィ法によりパターンを容易に形成できるほか、印刷法を使用するのにも適した材料である。さらに、ポリイミド樹脂は収容空間を形成する為に必要な数十ミクロン以上の厚さを形成する事が可能である為、機械的な強度が必要とされる収容空間を形成する材料としては好適である。
さらに、エポキシを主成分とする樹脂は、フィラーにより線熱膨張係数を調整することができるので、基板や、第2封止部材を構成する無機材料の線熱膨張係数に近づけることで、より応力を緩和させることができ、収容空間内への水分の浸入をより確実に防止することができる。
また、窒化シリコンは、非常に水分の透湿性、吸湿性が低いため、収容空間内部への水分の浸入を遮断することができる。このため、基板上に形成された音響波共振子を構成する電極を腐食させたり、電極上の保護膜の質量を変化させたりすることによる、周波数特性の変動を防ぐことができる。
また、窒化シリコンを主成分とする材料は第1封止材料の樹脂との密着性も優れる。このため、強固な封止部材を安定して作製することができる。
また、窒化シリコンは半導体プロセスにおける一般的な成膜方法を使用することが可能であるため、容易に形成することができる。例えば、スパッタリング方式、各種CVD方式、ポリシラザン等の有機材料のコーティング方式があげられる。また、近年、有機液体シラン系の材料を用いたCVD法や熱触媒CVD法(CAT−CVD)等300℃以下の低温で窒化シリコンを主成分とする膜を形成する事が可能となり、樹脂材料上に形成するには好適の材料である。
さらに、これらの種々の方式では成膜時のパワー、添加物、添加ガス等により、膜の密度を変化させ、容易に膜の弾性率を変更させる事ができる為、中間層と第2封止部材とを同一プロセスにて形成することが可能となり、生産性の高いものとすることができる。
また、本発明の音響波装置によれば、上記構成において、基板は圧電性材料からなり、音響波共振子は、弾性表面波を発生する電極を含むときには、圧電基板上に形成された音響波共振子を構成する電極の、水分の浸入による腐食等を防ぐことができるので、この電極により発生する弾性表面波の周波数特性の変動を少なくすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、入力端子と出力端子と基準電位端子とを有し、入力端子と出力端子とをつなぐ入出力ライン上、または入出力ラインと基準電位端子との間に、上記の音響波装置のいずれかを設けたことから、小型で周波数変動の少ない、信頼性の高いものとすることができる。
また、本発明の通信装置によれば、受信回路もしくは送信回路の少なくとも1つを有し上記構成のフィルタ装置が前記受信回路もしくは前記送信回路に用いられていることから、小型で周波数変動の少ない、信頼性の高いものとすることができる。
本発明の音響波装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の音響波装置の実施の形態の一例を示す模式的な図である。なお、音響波装置として、弾性表面波装置を例に説明する。
図1において、1は圧電材料からなる基板,1aは基板1の一方主面,2は音響波共振子を構成する、弾性表面波を発生する電極,3は電極2を収容する収容空間,5は第1封止部材,6は第2封止部材,7は中間層,10は音響波共振子を構成する電極2を収容空間の外側に導出し、電気信号を入出力するための入出力電極である。なお、この第1封止部材5,第2封止部材6,中間層7を併せて封止部材とする。
以下の図面でも同様であるが、同様の箇所には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示す本発明の弾性表面波装置は、基板上1に弾性表面波を発生する電極2が形成され、この電極2を収容する収容空間3を有する封止部材が基板1上に接合されて収容空間3内に電極2が収容されているとともに、電極2から収容空間3の外側にかけて電気信号を入出力するための入出力電極10が形成されている。ここで、封止部材は、樹脂材料からなる内側の第1封止部材5と、無機材料からなる外側の第2封止部材6と、これら第1封止部材5および第2封止部材6の間に設けられ、第1封止部材5と第2封止部材6との間の弾性率を有する中間層7とからなる。さらに第1封止部材5は、内側に位置する第1層5aと第1層5aを覆うように外側に位置する第2層5bとからなる。第1層5aには少なくとも1つの貫通孔9が形成されており、第2層5bはこの貫通孔9を塞ぐことで、第1層5a,第2層5bで基板1の一方主面1aとの間に電極2を収容する収容空間3を形成することができる。ここで、封止部材の一方主面1aに配設される配設面は、電極2が形成された領域を囲繞するように形成されている。そして、封止部材のうち、この配設面から厚み方向に続く部位を枠部といい、この枠部の上に備えられ、一方主面1aの電極2が形成された領域と対向するように配置された部位を蓋部というものとする。なお、蓋部は平板状であるが、歪み,厚みのばらつき等があることは何ら差し支えない。また、枠部の断面形状は長方形に限定されるものではなく、台形状,平行四辺形等、蓋部を支え収容空間3を維持できれば、その形状は自由に設計できる。
図1に示す本発明の弾性表面波装置によれば、上記構成とすることから、樹脂材料からなる第1封止部材5で収容空間3を安定して形成するとともに、無機材料膜からなる第2封止部材6により水分の透過を遮断することが可能となり、収容空間3内部への水分の侵入を防ぐ事が可能となる。さらに、第1封止部材5と第2封止部材6との中間の弾性率を有する中間層7により、第1封止部材5と第2封止部材6との線膨張係数差による応力を緩和することができ、弾性表面波装置の実装時の熱衝撃や熱履歴が加わった時においても、クラックやシワの発生による収容空間3内部への水分の侵入を防ぐ事が可能となる。
このような音響波装置を外部回路と接続するためには、例えば、図1に示すように、入出力電極10の端部を封止部材の外部まで導出し、この入出力電極10上に封止部材を構成する材料が付着しない部分を有するように一部分を露出させ、その露出部にワイヤボンドする等の手法を用いればよい。
次に、本発明の弾性表面波装置は、さらに具体的には次のように構成すればよい。
基板1の材質は、タンタル酸リチウム(LiTaO,LiTaO;x<3),ニオブ酸リチウム(LiNbO,LiNbO;y<3),四ホウ酸リチウム(Li,Li;z<4),酸化亜鉛(ZnO),ランガサイト,水晶等の圧電性誘電体の中から選択することができる。
電極2の材質としては、アルミニウム(Al),アルミニウム・銅合金(Al−Cu),アルミニウム・銅・マグネシウム合金(Al−Cu−Mg)等が好適である。また、これらの下地層としてチタン(Ti)またはクロム(Cr)を用いてもよい。これらの材質で電極2を、弾性表面波を発生させるように互いに噛み合う櫛歯状電極対を構成するように形成すればよい。なお、必要に応じて、反射器電極等を設けることに何ら差し障りはない。
また、第1封止部材5の材料は、ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,シロキサン樹脂,アクリル樹脂,ポリメチルメタクリート(PMMA)樹脂,ポリカーボネート(PC)樹脂,ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂等が挙げられる。また、第1封止部材5の厚さは収容空間3を形成する為に自立膜として機能する5μm程度の厚さから形成が可能な数百μm程度が利用されるが、機械的な強度および弾性表面波装置のトータルの厚さを考慮すると10μmから100μmが好適な範囲である。
また、第1層5a,第2層5bは同じ材料を用いても、異なる材料を用いてもよい。
さらに、第2封止部材6,中間層7の材質は、二酸化シリコン(SiO),窒化シリコン(SiNx),ガラス材料等が、透湿性が低いことから好適である。また、第2封止部材6の厚さは、連続膜として機能する0.1μm程度の厚さから形成が可能な数10μm程度が好適である。
なお、中間層7の弾性率は、第1封止部材5と第2封止部材6の間にあるものとするが、応力緩和層としての効果を考慮すると、第1封止部材5と第2封止部材7との中間に位置するものが好適である。例えば、第1封止部材5,中間層7,第2封止部材7として、エポキシ樹脂,低弾性窒化シリコン,窒化シリコンを用いた場合には、弾性率をエポキシ樹脂が2.1GPa,低弾性窒化シリコンが20−60GPa,窒化シリコンが80GPaとすればよい。また、これらの弾性率はナノインテンデーション法と呼ばれる、ダイヤモンド製の三角錐型鋭角圧子に加える荷重を精密に制御しながら圧子の侵入量をnmの精度で測定する事により評価できる。
なお、第2封止部材と6と中間層7との材質はそれぞれ別の材料を用いてもよいが、第2封止部材6と中間層7との密着性や生産性を考慮すると同一材料とする事が好ましい。同一材料とした場合には、成膜条件の変更により、膜の密度を変更したり、膜中に有機組成物を残留させたりする事により、中間層7の弾性率を調整することができる。中間層7の弾性率を調整する詳細な方法については、後述する。
入出力電極10の材質としては、Al、Al−Cu、Au等の導電性を有する材料であれば特に限定されない。好ましくは、電極2と同一材料,同一工程で形成することが好ましい。このような入出力電極10は、電極2に接続されて、電極2を収容空間3の内側から外側に導出するためのものである。
次に、図2を用いて、図1に示す音響波装置(弾性表面波装置)の製造方法を説明する。図1に示す本発明の弾性表面波装置の製造方法は、弾性表面波を発生する電極2,入出力電極10が形成された基板1上に、電極2を収容する収容空間3を形成する領域に犠牲層8を形成する工程Aと、この犠牲層8を第1封止部材5の1層目である第1層5aで覆う工程Bと、犠牲層8を第1封止部材5の第1層5aに形成された貫通孔9から除去して収容空間3を形成する工程Cと、貫通孔9を第1封止部材の2層目である第2層5bで塞ぐ工程Dと、第1封止部材5を中間層7,第2封止部材6で覆う工程Eと、を具備する構成である。なお、図2(a)〜(e)の断面図はそれぞれ弾性表面波装置の製造工程における工程A〜Eの各段階を示している。
上記構成において、犠牲層8が形成される領域は、図2(a)に示すように、後に電極2を収容する収容空間3と成るものである。
また、犠牲層8は、図2(b)に示すように、犠牲層8上に第1層5aを形成した後、第1層5aに通常のフォトリソグラフィ技術により貫通孔9を設け、図2(c)に示すように、それら貫通孔9からエッチングにより除去されて、収容空間3を形成するためのものである。犠牲層8に、このような働きをさせるには、第1層5aにダメージを与えることなく犠牲層8のみを選択的にエッチングすることができるような第1層5a、犠牲層8およびエッチャントの材質の組合せを適切に選定すればよい。例えば、第1層5aに、ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,シロキサン樹脂,アクリル樹脂,ポリメチルメタクリート(PMMA)樹脂,ポリカーボネート(PC)樹脂,ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂を用いるのであれば、犠牲層8としては、二酸化シリコン(SiO),シリコン(Si)、銅(Cu)が好適である。エッチャントとしては、例えば希釈したフッ化水素(HF)は二酸化シリコン(SiO)に好適に用いることができる。その際、フッ化水素(HF)によるエッチングは、水溶液によるウェットエッチングかまたはフッ化水素(HF)蒸気によるドライエッチングを用いることができる。また、エッチャントとしてフッ化キセノン(XeF)を用いた場合には、シリコン(Si)を選択的にエッチングするのに好適に用いることができる。また、銅(Cu)をエッチングする場合は、エッチャントとして第2塩化鉄溶液等が好適に用いられる。
また、犠牲層8は、上記のようにウェットエッチングを用いても構わないが、好ましくは、ドライエッチングにより貫通孔9から除去するとよい。具体的には、犠牲層8としては例えば非晶質シリコン(a−Si)を好適に使用することができ、この非晶質シリコン(a−Si)から成る犠牲層8をフッ化キセノン(XeF)ガスでドライエッチングして貫通孔9から除去すればよい。このようにすれば、そのドライエッチング用のフッ化キセノン(XeF)ガスは第1層5aには影響せず、非晶質シリコン(a−Si)から成る犠牲層8のみをエッチングするから、犠牲層8をきれいに残らず除去することができる。また、犠牲層8をシリコン(Si)としてフッ化キセノン(XeF)ガスでドライエッチングされるようにすると、収容空間3に収容されているアルミニウム(Al)等から成る電極2にもほとんどダメージを与えないことからも好適である。また、ドライエッチング用のフッ化キセノン(XeF)ガスは気体であるから、ドライエッチングの終了後には流体としてのフッ化キセノン(XeF)ガスを収容空間3から貫通孔9を通して速やかに排出させることができる。このとき、フッ化キセノンは流体であるので、貫通孔9が小さく、狭い流路となっても、確実に排出させることができる。また、収容空間3においてフッ化キセノン(XeF)ガスを排出した後、さらに収容空間3に残留するフッ化キセノン(XeF)ガスを窒素(N)やアルゴン(Ar)等の不活性ガスで希釈する場合においても、希釈したガスを貫通孔9から速やかに排出させたりすることができるので、収容空間3を容易に清浄な状態にすることができる。
このような材料からなる犠牲層8は、例えばCVD法で,第1層5aは、例えばスピンコート法で樹脂層を形成してフォトリソグラフィ技術でパターニングして形成すればよい。また、第2層5bは、第1層5aと同様にして形成することができる。
また、中間層7,第2封止部材6は、例えば有機シリコン化合物を利用したCVD法やシランガスを用いたCVD法によって水分の透湿性の低い良好な膜を形成する事ができる。これらの方法で窒化シリコンを形成する為には、シランガスを用いたCVD法においては、アンモニアガスを添加する方法が用いられる。また、有機シリコン化合物を用いた場合においては、有機シリコン化合物と分子内に少なくとも窒素原子を含むガスを用いて成膜される。ここで有機シリコン化合物とは、テトラ・エトキシ・シラン(TEOS)の他、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシラン等のアルコキシラン類やアルコキシアンセトキシシラン類、鎖状ポリシロキサン類、環状ポリシロキシサン類があげられる。また、分子内部に窒素原子を含むガスとしては、窒素(N)、アジ化水素(NH)、アンモニア(NH)、ヒトラジン(N)を用いる事ができる。
このようにCVD法によって中間層7,第2封止部材6を形成すれば、透湿性の低い第2封止部材6を形成することができる。さらに、CVD法はカバレッジ性に優れる性質を持つ事から、収容空間3上に均一に形成できることから好適である。
ここで、中間層7の弾性率を調整するには、例えば、成膜時の温度を低くすれば、弾性率を低くすることができる。なお、成膜時の温度を下げる事を目的とした場合、有機シリコン化合物を利用したCVD法が好適である。さらに、シランガスを用いたCVD法においても、触媒体の表面で接触分解反応させる、触媒化学気相成長法等を用いると成膜時の温度を低減する事ができ、膜の弾性率を下げる事が可能となる。さらに、成膜時の圧力を高くしたり、膜中に故意に水素を含有させたりすることで、弾性率を低くすることができる。
図2に示す本発明の弾性表面波装置の製造方法によれば、上記構成とすることから、収容空間3においてその良好な状態を維持することができるので、弾性表面波を発生する電極2をウェハレベルで簡単かつ良好に封止することができるものとなる。
次に、図1に示す音響波装置の変形例について図3〜5を用いて説明する。
図3は第1の変形例を示す断面図であり、図1とは第1封止部材5の構成及び外部の実装基板に接続するために柱状電極13を有している点で異なる。
まず、第1封止部材5の構成について説明する。図3において、第1封止部材5は、基板1上に設けられた、電極2が形成された領域を囲むように形成された枠体12aと、電極2が形成された領域を覆い、基板1と枠体12aとの間に収容空間3を形成するように、枠体12a上に配置された蓋体12bと、からなる。
枠体12a,蓋体12bは、それぞれ異なる材料を用いてもよいし、同一の材料を用いてもよいが、両者を接合し隙間なく一体化させることができるので同一材料を用いることが好ましい。具体的な材料としては、図1の第1封止部材5と同様の材料を用いることができるが、特に、基板1と熱膨張係数が近いエポキシ樹脂が好適に用いられる。
このような材料からなる枠体12aは、液状の材料を用いてスピンコート法により形成したり、フィルム状の材料をフィルム貼り装置を用いたりして形成後、パターニングして形成すればよい。また、蓋体12bは、フィルム状の材料をフィルム貼り装置を用いて加圧しながら枠体12a上に載置することが好ましい。これは、蓋体12bにフィルム状の材料を用いることにより、容易に収容空間3を形成することが可能となるためである。なお、枠体12aおよび蓋体12bは所望の形状に加工することを考慮すると、感光性の材料を用いてフォトリソグラフィ法により形成することが好ましい。次に、枠体5と蓋体6とを加熱・硬化することで、枠体5と蓋体6を一体化させて、封止部材とすることができる。
また、不活性ガス雰囲気下で蓋体12bを形成すれば、収容空間3内に窒素やアルゴンなどの不活性ガスを充填することができる。これにより、温度変化時による結露を防止し、音響波装置を安定して動作させる事が可能となり、さらには、収容空間3内の電極2等の酸化等を防ぎ、信頼性の高いものとすることができる。
次に、外部の実装基板への接続を容易にするための構成である、柱状電極13について説明する。
図3において、音響波装置は、封止部材の外側まで延出された入出力電極10上に設けられた柱状電極13と、封止部材と柱状電極13とを基板1にかけて覆うとともに、柱状電極13の上面を露出させる保護膜14と、保護膜14から露出する柱状電極13の上面に形成されたバンプ電極15と、を有している。
柱状電極13の材料は、金(Au),銅(Cu),ニッケル(Ni)等から成り、径が50〜100μm,高さが20〜400μm程度が好適である。このような柱状電極13は、具体的には、無電解や電界等のメッキプロセス、スクリーン印刷等で形成すればよい。
保護膜14を形成する材料としては、ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,シロキサン樹脂,アクリル樹脂,ポリメチルメタクリート(PMMA)樹脂,ポリカーボネート(PC)樹脂,ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂材料を用いれば基板1に対して100〜300℃程度の低温で樹脂封止することができる。特に、基板1と同等の熱膨張係数を有するエポキシ系の樹脂を用いることが好ましい。これにより、実装基板へ実装する時に、リフローによる熱応力が基板1および柱状電極13に加わることを防止することができる。このため、基板1の破損や柱状電極13と実装基板上のパターンとの接続不良の発生を抑制し、信頼性の高いものとすることができる。なお、保護膜14の熱膨張係数を基板1と同等にするためには保護膜14を形成する材料にSiO等のフィラーを添加して調整することが好ましい。また、基本的には、封止部材により収容空間3内への水分の浸入を遮断するが、さらに確実に水分の浸入を遮断するように保護膜14にシリカゲル、ゼオライト、ポリアクリル酸塩系の吸湿剤を添加しても良い。さらに、保護膜14には250℃以上での耐熱性がある材料を選択することが好ましい。これは、柱状電極13の露出部にバンプ電極15を設け、それを介して弾性表面波装置を実装基板側の電極に実装する際のプロセスに対応するためであり、このような材料を用いることにより、実装基板に弾性表面波装置を安定に固定することができる。
このような保護膜14は、樹脂を印刷機や真空印刷機を用いて形成することが可能である。
バンプ電極15は、半田等からなり、スクリーン印刷後、リフロー工程を経てバンプ形状にすればよい。
このような構成により、保護膜14がさらに封止部を機械的に保護するとともに第1封止部材5および入出力電極10が、実装基板等に弾性表面波装置を実装する際に弾性表面波装置が保護された状態を保つことができる。このため、ウェハレベルで封止された弾性表面波装置を実装する際にも良好な封止状態が維持されるので、弾性表面波を発生する電極2をウェハレベルでさらに確実に封止することができる。また、バンプ電極15により実装基板に接続するための工程を経ても、弾性表面波装置のバンプ電極15以外の部分が耐熱性のある保護膜14で保護されているので、実装基板に弾性表面波装置を安定に固定することができる。
次に、図4を用いて、第2の変形例について説明する。図4(a)は第2の変形例を示す断面図であり、図1とは、封止部材と入出力電極10との間に密着層16を設けている点で異なる。
密着層16は、封止部材が入出力電極10を跨ぐ際に、入出力電極10による段差部分に隙間が生じることを防ぐために段差形状を緩和するように設けられるものであり、少なくとも、封止部材が入出力電極10を跨ぐ部位に設ければよいが、電極2が形成されている領域を囲うように形成してもよい。密着層16としては、絶縁性の材料であれば特に限定されず、第1封止部材5や第2封止部材6と同様の材料を用いることができる。
この密着層16は、例えば、ステップカバレッジの優れたCVD法等で形成すればよい。また、第1封止部材5と同様の材料で形成するときには、樹脂材料を塗布する液の粘性を低くすればよい。
また、密着層16の材料としてSiOを用いる場合には、図4(b)に示すように、密着層16を電極2が形成された領域にも延在させてもよい。このような構成とすることで、電極2により発生する弾性表面波に影響を与えることなく電極2を保護し、電極2の酸化等による劣化をより確実に防ぐことができるので、信頼性の高いものとすることができる。このように、基板1上に封止部材を密着層16を介して設けてもよい。
次に、図5を用いて、第3の変形例について説明する。
図5は、第3の変形例を示す断面図であり、図1とは、収容空間3内に、下部電極17,圧電体18,上部電極19を厚み方向に積層してなる、バルク音響波を発生させるバルク音響波共振子を収容している点で異なる。
図5において、基板1’は、バルク音響波共振子を支持する機能を有し、通常は厚みが0.05〜1mm、直径が75〜200mm程度の鏡面研磨されたSiウエハが用いられる。Siウエハの他にも、薄膜プロセスと相性の良い、Si,Al,SiO,ガラス等のウエハまたは平板を使用することができる。また、基板1’のバルク音響波共振子が形成されている側と反対の面から、バルク音響波共振子を音響的にアイソレートするための貫通孔20が形成されている。
下部電極17は、圧電体18に高周波電圧を印加する機能を有する部材であり、W,Mo,Au,Al,Cu等の金属材料で形成される。下部電極17はスパッタリング法やCVD法等の薄膜プロセスで基体1’上に所定の厚さで形成され、フォトリソグラフィ技術等により所定の形状に加工される。
圧電体18は、例えばZnOやAlN,PZT等の圧電体材料からなり、下部電極17及び上部電極19によって印加された高周波電圧に応じて伸縮し、電気的な信号を機械的な振動に変換する機能を持つ。圧電体18はスパッタリング法やCVD法等の薄膜プロセスで下部電極17上に所定の厚さで形成され、フォトリソグラフィ技術等により所定の形状に加工される。
上部電極19は、下部電極17とともに、圧電体18に高周波電圧を印加する機能を有する部材であり、W、Mo、Au、Al、Cu等の金属材料で形成される。上部電極19はスパッタリング法やCVD法等の薄膜プロセスで圧電体18上に所定の厚さで形成され、フォトリソグラフィ技術等により所定の形状に加工される。
ここで、下部電極17,上部電極19が、音響波としてのバルク音響波を発生させる電極であり、これらが、それぞれ収容空間3の外側まで延在するように形成されている。この延在部が、入出力電極10としての機能を有するものとなる。
このように、本発明は、音響波を発生させる音響波共振子を良好に封止する構成に特徴を有するものであり、図1〜図4のような弾性表面波装置としても、図5に示すようなバルク音響波装置としても機能するものとなる。
さらに、図1〜図5に示す例では、音響波共振子が1個の場合の例を示したが、基板1,1’上に音響波を発生する電極が複数のある場合には、それら複数組の電極のそれぞれに独立した収容空間3を設けてそれぞれの収容空間3に収容された電極から入出力電極10により収容空間3の外部に電気的に導出するようにしてもよい。このようにすれば、それぞれの収容空間の大きさが小さくなる等の利点がある。また、複数組の電極に共通の収容空間3を設けてもよい。
さらに、図1〜図5に示す例において、収容空間3には窒素,アルゴンなどの不活性ガスを充填することが好ましい。中に収容される音響波共振子の酸化等による劣化を防ぐためである。
次に、本発明のフィルタ装置について説明する。
図6は、本発明のフィルタ装置の一実施形態を示す等価回路図である。
本発明のフィルタ装置は、図6に示すように、入力端子Inと出力端子Outとをつなぐ入出力ラインと基準電位端子との間および入出力ライン上に、本発明の音響波装置100を接続すればよい。なお、図6に示す例では、基準電位を接地電位としている。
また、入力端子Inと出力端子Outとをつなぐ入出力ラインと基準電位端子との間のみに、本発明の音響波装置100bを接続したり、入出力ライン上のみに、音響波装置100aを接続したりしてもよい。
このようにしてラダー型のフィルタを形成してもよいし、非平衡入力―平衡出力等のバランス型のフィルタを形成してもよい。
次に、本発明のフィルタ装置を用いて通信装置を形成した例について説明する。
図7は、本発明の通信装置の一実施形態の通信装置を示すブロック図である。
図7において、アンテナ140に送信回路Txと受信回路Rxが分波器150を介して接続されている。送信される高周波信号は、フィルタ210によりその不要信号が除去され、パワーアンプ220で増幅された後、アイソレータ230と分波器150を通り、アンテナ140から放射される。また、アンテナ140で受信された高周波信号は、分波器150を通りローノイズアンプ160で増幅されフィルタ170でその不要信号を除去された後、アンプ180で再増幅されミキサ190で低周波信号に変換される。
図7において、分波器150,フィルタ170,フィルタ210のいずれかに、本発明のフィルタ装置を用いれば、小型でQ値の高いものとすることができる。
なお、図7では送信回路Txと受信回路Rxとを有する通信装置について説明したが、送信回路Txまたは受信回路Rxのいずれか一方を有する通信装置としてもよい。
特に、本発明のフィルタ装置は、水分の浸入を抑制し,収容空間3内を不活性ガスで充填することのできる音響波装置を用いていることから、フィルタ170,フィルタ210に比べて、高い電力が加わる分波器150にも十分に対応することができるものとなる。
このように、本発明の通信装置によれば、フィルタ装置に設けられる弾性表面波装置を、ウェハレベルで良好に封止することにより実用的な性能を備えつつ小型にすることができるので、通信装置を小型にすることができる。例えば、このように小型化された通信装置は、携帯電話,パーソナルハンディホン(PHS),アマチュア無線用ポータブルトランシーバ,ICカード等の携帯通信端末、パームトップコンピュータ等の電子情報処理端末または車載用のカーナビケーションシステムおよびETC(エレクトロニック・トール・コレクション・システム)車載端末等に好適に使用することができる。
かくして、本発明によれば、音響波を発生する電極をウェハレベルで簡単かつ良好に封止することができる小型な弾性表面波及びフィルタ装置並びに通信装置を提供することができる。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・改良を施すことは何等差し支えない。例えば、中間層7を金属から成るものとしても構わない。
本発明の弾性表面波装置の実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。 図1に示す弾性表面波装置の製造方法の一例を示す模式的な図であり、(a)〜(e)は各工程毎の断面図である。 図1に示す弾性表面波装置の第1の変形例を示す断面図である。 (a),(b)はそれぞれ、図1に示す弾性表面波装置の第2の変形例を示す断面図である。 図1に示す弾性表面波装置の第3の変形例を示す断面図である。 本発明のフィルタ装置の一実施形態を示す等価回路図である。 本発明の通信装置の一実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1:圧電基板
1’:基板
1a:一方主面
2:電極
3:収容空間
5:第1封止部材
5a:一層目
5b:2層目
6:第2封止部材
7:中間層
10:入出力電極

Claims (5)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された音響波共振子と、
    前記基板上に設けられ、前記音響波共振子を収容する収容空間を有する封止部材と、
    前記音響波共振子から前記収容空間の外側にかけて電気信号を入出力するための入出力電極と、
    を備え、
    前記封止部材は、
    樹脂材料からなる内側の第1封止部材と、
    無機材料膜からなる外側の第2封止部材と、
    これら第1封止部材および第2封止部材の間に設けられ、前記無機材料膜と前記樹脂材料との間の弾性率を有する中間層と、を有する音響波装置。
  2. 前記樹脂材料がエポキシを主成分とするものであり、前記無機材料膜及び前記中間層が窒化シリコンを主成分とするものである請求項1記載の音響波装置。
  3. 前記基板は圧電性材料からなり、
    前記音響波共振子は、弾性表面波を発生する電極を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の音響波装置。
  4. 入力端子と出力端子と基準電位端子とを有し、前記入力端子と前記出力端子とをつなぐ入出力ライン上、または前記入出力ラインと基準電位端子との間に、請求項1乃至3のいずれかに記載の音響波装置を設けたフィルタ装置。
  5. 受信回路もしくは送信回路の少なくとも1つを有し、請求項4に記載のフィルタ装置が前記受信回路もしくは前記送信回路に用いられている通信装置。
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