JP2008183077A - ミシンの軸受構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミシンの軸受構造において、潤滑剤収容溝からの放熱を促進して潤滑剤収容溝内の潤滑剤の温度上昇を抑制し、その温度上昇による潤滑剤の品質劣化を防止でき、潤滑剤の潤滑性や耐久性を長期間維持すること。
【解決手段】針棒8と針棒軸受部材10との摺動抵抗により発熱して、その熱が潤滑剤収容溝16に伝達され、潤滑剤収容溝16から放熱を促進する為に、空気の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱放熱部材17を係止溝18に設けた。
【選択図】図4
【解決手段】針棒8と針棒軸受部材10との摺動抵抗により発熱して、その熱が潤滑剤収容溝16に伝達され、潤滑剤収容溝16から放熱を促進する為に、空気の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する熱放熱部材17を係止溝18に設けた。
【選択図】図4
Description
本発明は、ミシンの軸受構造に関し、特に、作動軸を支持する軸受部材に形成された潤滑剤収容溝からの放熱を促進する放熱促進部材を設けたものに関する。
従来、一般的に、機械駆動系においては、軸心方向に往復移動する摺動軸又は軸心回りに回転する回転軸からなる作動軸を軸受け部材で支持する場合、作動軸がスムーズに作動できるように、作動軸と軸受け部材との間にグリース等の潤滑剤を用いることで、作動軸の焼付けを防止するようにしている。特に、工業用ミシンにおいては、ドライ化を促進する関係上、高速で回転するミシン主軸を回転可能に支持し又は高速で上下動するミシンの針棒を摺動可能に支持する軸受部材の摺動面に用いる潤滑剤としてグリースを採用している。
例えば、特許文献1に記載のミシン用摺動装置は、上下動する針棒の外周面のうちの針棒軸受部材で支持される摺動面となる部分に、微小深さを有する環状溝が所定間隔毎に軸方向に複数形成され、各環状溝にグリースが充填されている。一方、略円筒形状の針棒軸受部材の内部に、内周面に開口する幅広で環状のグリース保持部が形成され、そのグリース保持部にもグリースが充填されている。このように、針棒に設けた複数の環状溝と針棒軸受部材のグリース保持部との両方でグリースを保持できるため、摺動部位の摩耗や焼付けによる損傷を防止するようにしてある。
特開2002−45587号公報
従来、針棒軸受部材を針棒支持台またはミシンフレームに固定するために、針棒軸受部材の外周に環状の溝を設け、針棒支持台又はミシンフレームを介してその溝に止めネジを当接させている。
特許文献1のミシン用摺動装置においては、縫製時における針棒の上下動により、針棒と針棒軸受部材との間の摺動部位に摩擦抵抗が生じて熱が発生する。そして、その熱が、針棒軸受部材や針棒軸受部材のグリース保持部に伝達され、そのグリース保持部に充填されたグリースの温度が上昇する。そのため、その温度上昇によりグリースの品質が劣化して、グリースの潤滑性や耐久性が低下し、グリースの性能や寿命を長期間に亙って維持できないという問題がある。
特許文献1のミシン用摺動装置においては、縫製時における針棒の上下動により、針棒と針棒軸受部材との間の摺動部位に摩擦抵抗が生じて熱が発生する。そして、その熱が、針棒軸受部材や針棒軸受部材のグリース保持部に伝達され、そのグリース保持部に充填されたグリースの温度が上昇する。そのため、その温度上昇によりグリースの品質が劣化して、グリースの潤滑性や耐久性が低下し、グリースの性能や寿命を長期間に亙って維持できないという問題がある。
更に、針棒軸受部材の外周に設けた環状の溝は、針棒支持台またはミシンフレームと接触しておらず、摩擦抵抗によって生じた熱が針棒支持台またはミシンフレームに伝達されない。従って、針棒軸受部材に熱が蓄積され、グリースの温度上昇が促進されるという問題があった。
本発明の目的は、ミシンの軸受構造において、潤滑剤収容溝からの放熱を促進して潤滑剤の温度上昇を抑制すること、温度上昇による潤滑剤の品質劣化を防止すること、潤滑剤の潤滑性や耐久性を長期間維持すること、などである。
請求項1のミシンの軸受構造は、軸心方向に往復移動する摺動軸又は軸心回りに回転する回転軸からなる作動軸を支持する為に外周に設けられた係止溝を介してミシン機枠に固定された軸受部材と、軸受部材と作動軸との摺動面に開口するように軸受部材に形成され潤滑剤が充填された環状の潤滑剤収容溝とを備えたミシンの軸受構造において、潤滑剤収容溝からの放熱を促進する為に、空気の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱促進部材を前記係止溝に設けたものである。
摺動軸が、軸受部材の潤滑剤収容溝に充填された潤滑剤を介して、軸受部材により軸心方向に往復移動すると、摺動軸と軸受部材との摺動面が摺動抵抗により発熱し、その熱が軸受部材や潤滑剤収容溝に伝達される。さらに、係止溝に設けた放熱促進部材により、潤滑剤収容溝から係止溝への放熱が促進されるので、潤滑剤収容溝内の潤滑剤の温度上昇が抑制される。
回転軸が、軸受部材の潤滑剤収容溝に充填された潤滑剤を介して、軸心回りに回転すると、回転軸と軸受部材との摺動面が摩擦抵抗により発熱し、その熱が軸受部材や潤滑剤収容溝に伝達される。さらに、係止溝に設けた放熱促進部材により、潤滑剤収容溝から係止溝への放熱が促進されるので、潤滑剤収容溝内の潤滑剤の温度上昇が抑制される。
請求項2のミシンの軸受構造は、請求項1の発明において、放熱促進部材はサーマルグリースからなり、係止溝は、軸受部材の外周に環状に形成し、前記サーマルグリースを前記係止溝に収容したことを特徴としている。
請求項3のミシンの軸受構造は、請求項1又は2の発明において、係止溝は、潤滑剤収容溝に対向する位置に設けられたことを特徴としている。
請求項4のミシンの軸受構造は、請求項1〜3の発明の何れかにおいて、摺動軸はミシンの針棒であることを特徴としている。
請求項5のミシンの軸受構造は、請求項1〜3の発明の何れかにおいて、回転軸はミシン主軸であることを特徴としている。
請求項4のミシンの軸受構造は、請求項1〜3の発明の何れかにおいて、摺動軸はミシンの針棒であることを特徴としている。
請求項5のミシンの軸受構造は、請求項1〜3の発明の何れかにおいて、回転軸はミシン主軸であることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、摺動軸又は回転軸からなる作動軸と、係止溝と、軸受部材と、軸受部材に形成された潤滑剤収容溝とを備え、空気の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱促進部材を係止溝に設けたので、潤滑剤収容溝から係止溝への放熱を促進して、潤滑剤収容溝内の潤滑剤の温度上昇を抑制することができる。また、その温度上昇による潤滑剤の品質劣化を防止でき、潤滑剤の潤滑性や耐久性を長期間に亙って維持することができる。
請求項2の発明によれば、放熱促進部材はサーマルグリースからなり、係止溝は、軸受部材の外周に環状に形成し、サーマルグリースを係止溝に収容したので、潤滑剤収容溝から係止溝への放熱の促進を確実に高めることができる。
請求項3の発明によれば、係止溝は、潤滑剤収容溝に対向する位置に設けられたので、潤滑剤収容溝から係止溝への放熱を効率よく促進することができる。
請求項3の発明によれば、係止溝は、潤滑剤収容溝に対向する位置に設けられたので、潤滑剤収容溝から係止溝への放熱を効率よく促進することができる。
請求項4の発明によれば、摺動軸はミシンの針棒であるので、針棒と軸受部材との摺動面で発生する熱に起因するミシンの針棒の焼付けを防止することができる。
請求項5の発明によれば、回転軸はミシン主軸であるので、ミシン主軸と軸受部材との摺動面で発生した熱に起因するミシン主軸の焼付けを防止することができる。
請求項5の発明によれば、回転軸はミシン主軸であるので、ミシン主軸と軸受部材との摺動面で発生した熱に起因するミシン主軸の焼付けを防止することができる。
本実施例は、軸心方向に往復移動する摺動軸又は軸心回りに回転する回転軸からなる作動軸を支持する為に外周に設けられた係止溝を介してミシン機枠に固定された軸受部材と、軸受部材と作動軸との摺動面に開口するように軸受部材に形成された潤滑剤が充填された環状の潤滑剤収容溝を備えたミシンの軸受構造に、本発明を適用した場合の一例である。
以下、本発明の実施例1について図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、この電子ミシンMは、回転釜等の糸輪補足器を有するベッド部2と、ベッド部2の右端部に立設された脚柱部3と、脚柱部3の上端から左方に延びるアーム部4を有する。ベッド部2には、図示を省略するが、ミシン主軸6(図2参照)と同期して回転する釜軸(下軸)により駆動される回転釜等が設けられている。
図1、図2に示すように、この電子ミシンMは、回転釜等の糸輪補足器を有するベッド部2と、ベッド部2の右端部に立設された脚柱部3と、脚柱部3の上端から左方に延びるアーム部4を有する。ベッド部2には、図示を省略するが、ミシン主軸6(図2参照)と同期して回転する釜軸(下軸)により駆動される回転釜等が設けられている。
アーム部4には、左右方向向きにミシン主軸6(これが回転軸に相当する)が水平に配設され、このミシン主軸6は主軸軸受部材7(これが軸受部材に相当する)により軸心回りに回転可能に支持されている。アーム部4の頭部5には、ミシン主軸6の左端部と連結し、針棒8(これが摺動軸に相当する)を上下駆動させる針棒上下動機構9が配設されている。尚、ミシン主軸6と針棒8が作動軸に相当する。
図2,図3に示すように、針棒8は、ミシン機枠Fの頭部フレーム5aに固定された針棒軸受部材10(これが軸受部材に相当する)により上下(軸心方向)に往復移動可能に支持され,その下端部に縫針11が着脱可能に装着されている。針棒8の高さ方向中間部には、針棒抱き12が固着されている。
ミシン主軸6の左端部に連結ピン13aを有する針棒クランク13が固着され、その連結ピン13aに針棒クランクロッド14の上端部が回動可能に枢着されている。針棒クランクロッド14の下端部は、針棒抱き12を介して針棒8に連結されている。
図3,図4に示すように、軸受構造1において、針棒軸受部材10は、上下1対の軸受部材10a,10bで構成されている。
図4に示すように、下側の針棒軸受部材10aには、潤滑剤が充填される環状の潤滑剤収容溝16と、放熱促進部材17が収容される環状の溝(係止溝)18とが夫々設けられている。頭部フレーム5aに貫通状に形成したネジ孔に止めネジ(セットビス)19を螺着させて、止めネジ19の先端を溝18の内壁に押し付けることで、上側の針棒軸受部材10aが頭部フレーム5aに固定されている。
図4に示すように、下側の針棒軸受部材10aには、潤滑剤が充填される環状の潤滑剤収容溝16と、放熱促進部材17が収容される環状の溝(係止溝)18とが夫々設けられている。頭部フレーム5aに貫通状に形成したネジ孔に止めネジ(セットビス)19を螺着させて、止めネジ19の先端を溝18の内壁に押し付けることで、上側の針棒軸受部材10aが頭部フレーム5aに固定されている。
潤滑剤収容溝16は、その針棒軸受部材10aの内周面の中央部に設けられ、針棒8の外周面と下側の針棒軸受部材10aの内周面との摺動面(摺動部位)に開口するように形成されている。この潤滑剤収容溝16の上下方向幅寸法は、約5mmで、溝の深さは、約0.5mmである。ここで、針棒8の外周面と針棒軸受部材10aの内周面との摺動隙間は、約0.02mmであり、微小である。
溝18は、その針棒軸受部材10aの外周面において、潤滑剤収容溝16と対向する位置に設けられ、下側の針棒軸受部材10aの外周面とその針棒軸受部材10aを固定する頭部フレーム5aの下部の固定面との嵌合面に開口するように形成されている。この溝18の上下方向幅寸法は、約8mmで、溝の深さは約0.5mmである。
図3に示すように、上側の針棒軸受部材10bにも、環状の潤滑剤収容溝16と環状の溝18とが夫々設けられている。
潤滑剤収容溝16は、その針棒軸受部材10bの内周面の下端近傍部に設けられ、針棒8の外周面と針棒軸受部材10bの内周面との摺動面に開口するように形成されている。
潤滑剤収容溝16は、その針棒軸受部材10bの内周面の下端近傍部に設けられ、針棒8の外周面と針棒軸受部材10bの内周面との摺動面に開口するように形成されている。
溝18は、その針棒軸受部材10bの外周面の上端近傍部に設けられ、針棒軸受部材18bの外周面とその針棒軸受部材10bを固定する頭部フレーム5aの上部の固定面との嵌合面に開口するように形成されている。潤滑剤収容溝16と溝18は、夫々、下側の針棒軸受部材10aに設けられた潤滑剤収容溝16及び溝18と同一の上下方向幅寸法及び溝の深さを有する。
次に、放熱促進部材17について説明する。
図4に示すように、放熱促進部材17は、溝18に半固体状に収容されるサーマルグリースであり、潤滑剤収容溝16を囲繞するように環状に設けられている。サーマルグリースは、潤滑剤収容溝16が形成された薄肉の針棒軸受部材10a、10bに蓄積された熱を頭部フレーム5aに伝達するものであり、例えば、シリコーンオイルを基油として、熱伝導性充填剤として無機粉末(酸化亜鉛、酸化チタン、金、銀もしくは銅など)を含有したものである。サーマルグリースの熱伝導率は、4.5W/m・Kであり、空気の熱伝導率は、0.0241W/m・Kである。
図4に示すように、放熱促進部材17は、溝18に半固体状に収容されるサーマルグリースであり、潤滑剤収容溝16を囲繞するように環状に設けられている。サーマルグリースは、潤滑剤収容溝16が形成された薄肉の針棒軸受部材10a、10bに蓄積された熱を頭部フレーム5aに伝達するものであり、例えば、シリコーンオイルを基油として、熱伝導性充填剤として無機粉末(酸化亜鉛、酸化チタン、金、銀もしくは銅など)を含有したものである。サーマルグリースの熱伝導率は、4.5W/m・Kであり、空気の熱伝導率は、0.0241W/m・Kである。
次に、実施例1のミシンの軸受構造1の作用効果について説明する。
縫製に際して電子ミシンMが始動され、前述した針棒上下動機構9により、針棒8が上下に往復駆動され、縫針11とベッド部2に設けられた回転釜との協働により、布地に縫目が形成される。針棒8が高速で上下に摺動すると、上下1対の針棒軸受部材10a,10bの潤滑剤収容溝16に充填された潤滑剤15が針棒8薄膜状に付着するので、針棒8は円滑に上下に往復移動する。
縫製に際して電子ミシンMが始動され、前述した針棒上下動機構9により、針棒8が上下に往復駆動され、縫針11とベッド部2に設けられた回転釜との協働により、布地に縫目が形成される。針棒8が高速で上下に摺動すると、上下1対の針棒軸受部材10a,10bの潤滑剤収容溝16に充填された潤滑剤15が針棒8薄膜状に付着するので、針棒8は円滑に上下に往復移動する。
針棒8が上下に往復移動する際、針棒8の外周面と上下1対の針棒軸受部材10a,10bの内周面との摺動面が摺動抵抗により発熱し、その熱が針棒軸受部材10a,10bや針棒軸受部材10a,10bの潤滑剤収容溝16に伝達される。さらに、溝18内のサーマルグリースにより、潤滑剤収容溝16から溝18への放熱が促進され、最終的に、ミシン機枠F側へ熱を逃がす。このため、潤滑剤収容溝16内の潤滑剤15の温度上昇を抑制し、その温度上昇による潤滑剤15の品質劣化を防止でき、潤滑剤15の潤滑性や耐久性を長期間に亙って維持することができる。
また、溝18が、潤滑剤収容溝16に対向する位置に設けられているので、潤滑剤収容溝16から溝18への放熱を効率よく促進することができる。針棒8と針棒軸受部材10a,10bとの摺動面で発生する熱に起因する針棒8の焼付けを確実に防止することができる。
ここで、実施例1を部分的に変更する変更例について説明する。
1〕実施例1では、放熱促進部材17として、サーマルグリースを採用したが、空気の熱伝導率よりも高いアルミ製のリングを採用してもよい。尚、この場合、止めネジ19が係合する部分は、切欠いた構成とする必要がある。
1〕実施例1では、放熱促進部材17として、サーマルグリースを採用したが、空気の熱伝導率よりも高いアルミ製のリングを採用してもよい。尚、この場合、止めネジ19が係合する部分は、切欠いた構成とする必要がある。
2〕下側の針棒軸受部材10aにおいて、溝18を潤滑剤収容溝16に対向する位置以外に設けてもよい。
次に、実施例2に係るミシンの軸受構造1Aについて図5に基づいて説明する。この実施例2は、ミシン主軸6の軸受構造1Aに関するものである。尚、前記実施例1の軸受構造1と同様の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、軸受構造1Aにおいて、主軸軸受部材7は、上下1対の軸受部材7a、7bで構成されている。
上側の主軸軸受部材7aには、潤滑剤15が充填される環状の潤滑剤収容溝16Aと、放熱促進部材17が収容された環状の溝(環状溝)18Aとが設けられている。アーム部フレーム4aに貫通状に形成したネジ孔に止めネジ(セットビス)19aを螺着させて、止めネジ19aの先端を溝18Aの内壁に押し付けることで、上側の主軸軸受部材7aがアーム部フレーム4aに固定されている。
図5に示すように、軸受構造1Aにおいて、主軸軸受部材7は、上下1対の軸受部材7a、7bで構成されている。
上側の主軸軸受部材7aには、潤滑剤15が充填される環状の潤滑剤収容溝16Aと、放熱促進部材17が収容された環状の溝(環状溝)18Aとが設けられている。アーム部フレーム4aに貫通状に形成したネジ孔に止めネジ(セットビス)19aを螺着させて、止めネジ19aの先端を溝18Aの内壁に押し付けることで、上側の主軸軸受部材7aがアーム部フレーム4aに固定されている。
潤滑剤収容溝16Aは、上側の主軸軸受部材7aの内周面の左右方向中央部において、主軸軸受部材7の内周面とミシン主軸6の外周面との摺動面に開口するように形成されている。この潤滑剤収容溝16Aの左右方向幅寸法は、約5mm〜10mmで、溝の深さは、約0.5mmである。ここで、ミシン主軸6の外周面と主軸軸受部材7の内周面との摺動隙間は、約0.02mmであり、微小である。
溝18Aは、その主軸軸受部材7aの外周面の左右方向中央部において、潤滑剤収容溝16Aと上下方向に対向する位置に設けられ、主軸軸受部材7の外周面と上側の主軸軸受部材7aを固定するアーム部フレーム4aの固定面との嵌合面に開口するように形成されている。この溝18Aの左右方向幅寸法は、約7mm〜12mmで、溝の深さは、約 0.5mmである。溝18Aには、実施例1と同様に、放熱促進部材17としてサーマルグリースが半固体状に収容されている。このサーマルグリースは、実施例1と同様の構成を有し、空気よりも高い熱伝導率を有する。尚、下側の主軸軸受部材7bにも、上側の主軸軸受部材7aの潤滑剤収容溝16Aと溝18Aと同一の左右方向幅及び溝の深さを有する潤滑剤収容溝16Aと溝18Aとが設けられている。
次に、実施例2のミシンの軸受構造1Aの作用効果について説明する。
ミシン主軸6が、ミシンモータ(図示略)からの回転駆動力により、主軸軸受部材7の潤滑剤収容溝16Aに充填された潤滑剤15を介して、軸心回りに回転すると、ミシン主軸6の外周面と主軸軸受部材7の内周面との摺動面が摩擦抵抗により発熱し、その熱が主軸軸受部材7や潤滑剤収容溝16Aに伝達される。
ミシン主軸6が、ミシンモータ(図示略)からの回転駆動力により、主軸軸受部材7の潤滑剤収容溝16Aに充填された潤滑剤15を介して、軸心回りに回転すると、ミシン主軸6の外周面と主軸軸受部材7の内周面との摺動面が摩擦抵抗により発熱し、その熱が主軸軸受部材7や潤滑剤収容溝16Aに伝達される。
さらに、溝18A内に収容されたサーマルグリースにより、潤滑剤収容溝16Aから溝18Aへの放熱が促進され、最終的に、ミシン主軸6に設けられた駆動モータ冷却用ファン(図示略)により冷却される。このため、潤滑剤収容溝16A内の潤滑剤15の温度上昇を抑制し、その温度上昇による潤滑剤15の品質劣化を防止でき、潤滑剤15の潤滑性や耐久性を長期間に亙って維持することができる。
また、溝18Aが、潤滑剤収容溝16Aに対向する位置に設けられているので、潤滑剤収容溝16Aから溝18Aへの放熱を効率よく促進することができる。さらに、ミシン主軸6と主軸軸受部材7との摺動面で発生する熱に起因するミシン主軸6の焼付けを確実に防止することができる。
ここで、実施例2を部分的に変更する変更例について説明する。
1〕実施例2では、放熱促進部材17として、サーマルグリースを採用したが、空気よりも熱伝導率が高いアルミ製のリングを採用してもよい。尚、この場合、止めネジが係合する部分は、切欠いた構成とする必要がある。
1〕実施例2では、放熱促進部材17として、サーマルグリースを採用したが、空気よりも熱伝導率が高いアルミ製のリングを採用してもよい。尚、この場合、止めネジが係合する部分は、切欠いた構成とする必要がある。
2〕主軸軸受部材7又はアーム部フレーム4aにおいて、溝18Aを潤滑剤収容溝16Aに対向する位置以外に設けてもよい。
M 電子ミシン
F ミシン機枠
1、1A 軸受構造
6 ミシン主軸(回転軸)
7 主軸軸受部材(軸受部材)
8 針棒(摺動軸)
10 針棒軸受部材(軸受部材)
16、16A 潤滑剤収容溝
17 放熱促進部材
18、18A 係止溝
F ミシン機枠
1、1A 軸受構造
6 ミシン主軸(回転軸)
7 主軸軸受部材(軸受部材)
8 針棒(摺動軸)
10 針棒軸受部材(軸受部材)
16、16A 潤滑剤収容溝
17 放熱促進部材
18、18A 係止溝
Claims (5)
- 軸心方向に往復移動する摺動軸又は軸心回りに回転する回転軸からなる作動軸を支持する為に外周に設けられた係止溝を介してミシン機枠に固定された軸受部材と、前記軸受部材と作動軸との摺動面に開口するように前記軸受部材に形成され潤滑剤が充填された環状の潤滑剤収容溝とを備えたミシンの軸受構造において、
前記潤滑剤収容溝からの放熱を促進する為に、空気の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する放熱促進部材を前記係止溝に設けた、
ことを特徴とするミシンの軸受構造。 - 前記放熱促進部材はサーマルグリースからなり、前記係止溝は、前記軸受部材の外周に環状に形成し、前記サーマルグリースを前記係止溝に収容したことを特徴とする請求項1に記載のミシンの軸受構造。
- 前記係止溝は、前記潤滑剤収容溝に対向する位置に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの軸受構造。
- 前記摺動軸はミシンの針棒であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの軸受け構造。
- 前記回転軸はミシン主軸であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のミシンの軸受構造。
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2007
- 2007-01-29 JP JP2007017374A patent/JP2008183077A/ja active Pending
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