JP2008182869A - リニアアクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定子3と、前記固定子3に往復動可能に支持された可動子7と、前記可動子7の往復動方向に沿って磁極が配された永久磁石8a,8bと、前記往復動方向に交差する方向に延びる回転軸線を中心として、前記永久磁石8a,8bの周囲に巻回されたコイル9a,9bとを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
このような構成のもと、コイルに通電すると、可動子の軸線方向に直交する方向の起磁力が生じ、その磁束は、永久磁石の磁束に案内されて、可動子における軸線方向の磁束密度が変化する。そのため、軸線方向の一方に可動子を移動させることができ、コイルに流す電流の方向を交互に変化させて軸線方向の磁束密度を交互に変化させることにより、可動子を往復動させることができる。
また、コイルに過電流が流れると、永久磁石の一部に逆磁場がかかり、その永久磁石に永久減磁が生じてしまう。そのため、コイルによって生じる起磁力を永久磁石の減磁限界よりも大幅に小さくする必要があり、可動子を適正に動作させるには全体が大掛かりになってしまうという問題がある。
本発明は、固定子と、前記固定子に往復動可能に支持された可動子と、前記可動子の往復動方向に沿って磁極が配された永久磁石と、前記往復動方向に交差する方向に延びる回転軸線を中心として、前記永久磁石の周囲に巻回されたコイルとを備えることを特徴とする。
なお、「覆う」とは、永久磁石の全てを覆うだけでなく、永久磁石の一部を覆うものも含まれ、すなわち、永久磁石の表面の少なくとも一部を覆うものをいう。
以下、本発明の第1の実施形態におけるリニアアクチュエータについて、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態としてのリニアアクチュエータを示したものである。
このリニアアクチュエータ1は、直方体形状かつ中空のハウジング13を備えている。ハウジング13の一面は開放端とされており、この開放端に、矩形板状の蓋材14が設けられている。ハウジング13内には、直方体形状の積層コア(固定子)3が設けられている。
積層コア3は、矩形板状の磁性材料が積層されてなる一対の磁極3a,3bを備えており、これら一対の磁極3a,3bは、積層方向に互いに接合されている。
積層コア3の長手方向の両端面は、それぞれ長手方向外方に突出するなだらかなドーム状に形成されている。なお、これら両端面は、ドーム状でなくても平坦面としてもよい。
また、積層コア3の両主面の中央部には、磁極3aから磁極3bの全長にわたって積層方向に貫通する貫通孔4が形成されている。貫通孔4には長尺状のシャフト2が挿通されている。
また、積層コア3の長手方向の両端部には、それぞれコイル9a,9bが設けられている。すなわち、コイル9a,9bは、シャフト2の軸線Lに直交する方向に延びる仮想的な回転軸線Rを中心として、積層コア3の両端部の外周に巻回されている。積層コア3の両端部には、後述する永久磁石8a,8bが設けられていることから、コイル9a,9bは、仮想的な回転軸線Rを中心として、永久磁石8a,8bの外周に巻回されていることになる。コイル9a,9bは、ケーブル15を介して電流が印加されることにより、後述するような起磁力を発生させるようになっている。
コイル9a,9bに通電していない自然状態においては、図3に示すように、アウターコア7は、永久磁石8a,8bの磁束により、積層コア3の軸線L方向の中央に配される。すなわち、上方の永久磁石8aのN極(他方の主面)から出た磁束M1は、磁束M2と磁束M3とに二手に分岐する。そして、一方の磁束M2は、上方の永久磁石8aの他方の主面に沿って軸線L方向に直交する方向の上方に、磁極3b内を積層コア3の上端に向けて進んでいく。そして、磁束M2は、積層コア3の上端からギャップを介してアウターコア7に到達し、このアウターコア7で折り返されて、ギャップを介して磁極3aに到達する。さらに、磁束M2は、上方の永久磁石8aの一方の主面に沿って軸線L方向に直交する方向の下方に進んでいき、上方の永久磁石8aのS極に戻る。このとき、積層コア3の上端面とアウターコア7の内周面との間のギャップのうち、磁束M2の通る往復2ヶ所に磁極が形成される。
また、下方の永久磁石8bのN極から出た磁束M4は、磁束M5と磁束M6とに二手に分岐する。一方の磁束M5は、軸線L方向に直交する方向の上方に進んでいき、上方の永久磁石8aのS極に入り、磁束M5と磁束M3とで、永久磁石8a,8b同士にわたった磁束ループが形成される。
そして、積層コア3の上端と下端とにそれぞれ2箇所づつ磁極が形成されるが、軸線L方向の磁力はそれぞれ等しいため、アウターコア7は、積層コア3の中央に配される。
上方のコイル9aからの磁束M7(図4に対して右側の磁束)は、磁極3bにおいて磁束M2(図3に示す)と向きが反対になるため、磁束M2は、磁束M7によって弱められる。また、上方のコイル9aからの磁束M8(図4に対して左側の磁束)は、磁極3aにおいて磁束M5(図3に示す)と向きが反対になるため、磁束M5は、磁束M8によって弱められる。その一方で、磁束M8は、磁極3aにおいて磁束M2と向きが同じになるため、磁束M2は強められる。さらに、磁束M7は、磁極3bにおいて磁束M3と向きが同じになるため、磁束M3は強められる。
すなわち、コイル9a,9bに所定の交流電流を流すことにより、アウターコア7が軸線L方向に往復動する。このとき、板バネ21は、軸線L方向に弾性変形することにより、アウターコア7の往復動を支持する。
高温環境下での使用のときに特に問題となるのは、永久磁石である。特に、ネオジウム磁石においては、高温環境下で保磁力が大幅に低下し、過電流に対する耐力が低くなってしまう。
本実施形態におけるリニアアクチュエータ1によれば、高温環境下でも、永久磁石8a,8bの耐力を保持することができ、安定した性能を得ることができる。また、高温環境下にも耐え得るような高価な磁石材料を使用する必要もなく、経済性を向上させることができる。
本実施形態におけるリニアアクチュエータ1によれば、永久磁石8a,8bが磁極3a,3bによって挟持されているため、積層コア3によって推力を受け止めることができ、さらに磁極3a,3bによって永久磁石8a,8bに対する固定力を増大させることができることから、高い信頼性を得ることができる。
本実施形態におけるリニアアクチュエータ1によれば、外乱がかかっても、アウターコアと積層コア3との金属同士の接触となるため、永久磁石8a,8bを保護することができ、高い信頼性を得ることができる。
本実施形態におけるリニアアクチュエータ1によれば、永久磁石8a,8bを平板状にすることができることから、磁石加工のコストを大幅に低減させることができる。なお、自動車など特に量産台数の多いものに組み込む場合、材料コストは重要なファクターとなる。
例えば、永久磁石8a,8bの長さ寸法(図2に対する上下方向の長さ寸法)は、適宜変更可能であるが、永久磁石8a,8bの厚さを含む積層コア3の厚さ寸法の1〜2倍程度にすることができる。なお、永久磁石8a,8bの長さ寸法は、大きければ大きいほど、ギャップでの磁束密度を上げることができ、小型化を図ることができるが、現実的には、飽和磁束密度や経済性を考慮した場合、上記1〜2倍程度のサイズが好ましい。
永久磁石8a,8bの厚さ寸法は、積層コア3の厚さ寸法の20〜25%にするのが好ましい。ただし、経済性を考慮した場合、それよりも小さくてもよいことは言うまでもない。
ここで、リニアアクチュエータ1を垂直姿勢(軸線Lを鉛直方向に向けたときの姿勢)で使用する場合、アウターコア7の質量や負荷の質量の大きさによって、それらの自重により、自然状態におけるアウターコア7の鉛直方向の位置がずれてしまう。そのため、コイル9a,9bにオフセット電流を流すことにより、アウターコア7の位置ずれを補正する必要がある。
図6に示す本変形例のリニアアクチュエータ1によれば、リニアアクチュエータ1を垂直姿勢で使用する場合に、積層コア3の端面とアウターコア7の内周面との間の距離寸法を変更してアウターコア7の往復時の推力を調整することにより、オフセット電流を流すことなく、積層コア3の中央位置を基準にしてアウターコア7を移動させることができる。そのため、垂直姿勢で使用する場合でも、消費電力を抑制することができ、アウターコア7を適正に往復動させることができる。
以上より、推力の発生に寄与しない磁束M3,M5を弱めるとともに、推力の発生に寄与するギャップG2に、より多くの磁束M2,M6を通すことができ、効率を向上させることができる。
なお、ギャップG1に代えて、磁気抵抗部材を設けてもよい。
以上より、アウターコア7の内周面のうち、永久磁石8a,8bに対向する面積を増大させることができ、さらに効率よく推力を発生させることができる。
これにより、永久磁石8a,8bの固定力をさらに増大させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図12及び図13は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図12及び図13において、図1から図11に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
リニアアクチュエータ30は、矩形枠状の板材が積層されてなる固定子31を備えている。固定子31は、磁性材料からなるものである。固定子31の中央には、円柱状に延びる鉄製の可動子33が挿通されている。可動子33の長手方向の両端には、雌ネジ部が形成されており、この雌ネジ部にナット47が螺着されるようになっている。なお、ナット47は、可動子33を駆動対象物に固定するためのものである。また、可動子33は、固定子31の厚さ方向の両端に設けられた2枚の板バネ32に固定されている。そして、可動子33は、板バネ32が厚さ方向に弾性変形することにより、軸線L方向に往復動可能に支持されている。
また、固定子31の枠内の上下方向の両端には、互いに対向して配置された一対の磁極部52が設けられている。磁極部52は、板状の磁性材料が積層されてなる積層部材52a,52bが厚さ方向に連結されて形成されている。磁極部52には、固定子31の枠の外方に向けて没する円弧状の凹部35が形成されている。これら凹部35が対向して配置されている。そして、これら対向配置された凹部35内に鉄片37が配されている。すなわち、それぞれの凹部35の表面と鉄片37の外周面とが対向した状態になっている。また、磁極部52には、フェライト磁石からなる平板状の永久磁石36が設けられている。すなわち、磁極部52は、積層部材52a,52bが、永久磁石36を介して接合されて構成されている。永久磁石36の磁極は、可動子33の往復動方向(軸線L方向)に沿って配されている。すなわち、上方の永久磁石36の両主面のうち、一方(軸線Lの一端側)の主面がN極になっており、他方(軸線Lの他端側)の主面がS極になっている。また、下方の永久磁石36の磁極は、上方の永久磁石36の磁極と反対に向けられている。
さらに、固定子31の枠内であって、磁極部52の外周には、コイル38が設けられている。すなわち、コイル38は、可動子33の軸線L方向に直交する方向に延びる仮想的な回転軸線Rを中心として、磁極部52の外周に巻回されている。磁極部52内には、永久磁石36が設けられていることから、コイル38は、仮想的な回転軸線Rを中心として、永久磁石36の外周に巻回されていることになる。これらコイル38は、板バネ32の開口部42を介して軸線L方向の外方に突出している。すなわち、板バネ32に開口部42が形成され、これら開口部42にコイル38が通されることにより、軸線L方向の全体の大型化を効果的に防止することができる。
なお、上記第1の実施形態の種々の変形例を自由に組み合わせて本実施形態に適用することができることは言うまでもない。
なお、本発明の技術範囲は上記第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
3 積層コア(固定子)
7 アウターコア(可動子)
8a,8b,36 永久磁石
9a,9b,38 コイル
11 対向凹部
22 凹部
31 固定子
33 可動子
G1 ギャップ(磁気抵抗部)
G2 ギャップ
Claims (6)
- 固定子と、
前記固定子に往復動可能に支持された可動子と、
前記可動子の往復動方向に沿って磁極が配された永久磁石と、
前記往復動方向に交差する方向に延びる回転軸線を中心として、前記永久磁石の周囲に巻回されたコイルと
を備えることを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 固定子と、
前記固定子に往復動可能に支持された可動子と、
前記可動子の往復動方向に沿って磁極が配された永久磁石と、
通電により起磁力を発生させるコイルと
を備え、
前記永久磁石が、前記コイルの起磁力に沿って前記コイル内に配置されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 前記永久磁石が、平板状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
- 前記固定子に、前記往復動方向に交差する方向に延びる凹部が形成されており、
前記凹部に、前記永久磁石が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。 - 前記固定子及び前記可動子のそれぞれの対向面の間にギャップが形成され、
前記固定子又は前記可動子のうち、前記永久磁石を挟んで前記ギャップに対向する位置に、前記永久磁石の磁束に対する磁気抵抗部が設けられており、
前記磁気抵抗部の磁気抵抗が、前記ギャップの磁気抵抗よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。 - 前記固定子又は前記可動子のいずれか一方に前記永久磁石が設けられ、
前記固定子又は前記可動子の他方のうち、前記永久磁石に対向する面に、前記永久磁石を覆う対向凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
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