JP2008182823A - 電磁アクチュエータ、及び真空ポンプ - Google Patents

電磁アクチュエータ、及び真空ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】磁気軸受、センサ、モータなどの接続配線の断線の発生を低減させること。
【解決手段】ラジアル磁気軸受部8の電磁石8bは、鉄心81、巻線82及びインシュレータ83を備えている。鉄心81は、中空円筒状であり、内周壁から突出した突起部を複数有している。インシュレータ83は、絶縁部83a、上スペーサ部83b、下スペーサ部83cから構成されている。絶縁部83aは、巻線82と鉄心81を絶縁する。上スペーサ部83bは鉄心81の外縁部から上方向に形成され、下スペーサ部83cは下方向に形成されている。インシュレータ83のこれらの部位は、所定の型に熱硬化性エポキシ樹脂材を充填することによって一体形成されている。インシュレータ83は、金属より剛性の低い樹脂等の絶縁材によって構成されているため、配線などが挟まれた場合における断線の発生率を低下させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、磁気力の作用を利用したモータ及び磁気軸受を有する電磁アクチュエータ、及び、この電磁アクチュエータを有する真空ポンプに関する。
ターボ分子ポンプなどの特殊環境下における回転機などの軸受装置として、非接触で回転体を支持する磁気軸受装置が多く用いられている。
一般に磁気軸受装置では、回転体に設けられたターゲットを、回転体の周囲に設けられた複数の電磁石で吸引することによって回転体の荷重を非接触で支持する構成となっている。
そのため、回転体のターゲットに対して電磁石が適切な位置に配置されていない場合、軸受精度が低下してしまうおそれがあった。
そこで従来、下記の特許文献をはじめ、磁気軸受装置における電磁石の位置決め精度を向上させる技術が提案されている。
特開2000−283161公報
特許文献1には、電磁石とセンサとの位置関係が常に一定となるように、電磁石とセンサとの間に環状スペーサ部材を挿入し、これを加工することによって軸方向の寸法を調整する技術が提案されている。
また、特許文献1には、電磁石とセンサとの位置精度を向上させるために、電磁石とセンサとを1つの環状保持部材に挿入して組み立てる技術も提案されている。
上述した特許文献1で提案されている位置決めのための環状スペーサ部材や環状保持部材は金属製の部材で構成されている。そのため、これらの位置決め部材に挟まれて、磁気軸受における電磁石の配線やセンサの配線などがショートや地絡するおそれがあった。また、断線するおそれもあった。
そこで本発明は、接続配線におけるショートや地絡、断線などの不具合の発生を低減させることを目的とする。
請求項1記載の発明では、回転子を回転駆動させるモータと、前記回転子のラジアル方向の荷重を非接触で支持するラジアル磁気軸受と、前記モータと前記ラジアル磁気軸受との間に所定の間隔を保持させる、非金属部材からなる第1のスペーサと、を備えることにより前記目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載の電磁アクチュエータにおいて、前記モータ及び前記ラジアル磁気軸受は、鉄心、前記鉄心に巻く巻線、及び前記鉄心と前記巻線との間を電気的に絶縁する絶縁部材を有し、前記第1のスペーサは、前記モータ及び前記ラジアル磁気軸受のうちの少なくとも一方における前記絶縁部材と一体形成されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の電磁アクチュエータにおいて、前記モータ、前記ラジアル磁気軸受、及び前記第1のスペーサを収納する円筒部材を備え、前記第1のスペーサは、前記円筒部材の内周壁と隙間を介して配設されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2又は請求項3記載の電磁アクチュエータにおいて、前記ラジアル磁気軸受の近傍に配設された前記回転子のラジアル方向の変位を検出する変位センサと、前記ラジアル磁気軸受と前記変位センサとの間に所定の間隔を保持させる第2のスペーサと、を備え、前記第2のスペーサは、前記ラジアル磁気軸受における前記絶縁部材と一体形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1から請求項4のいずれか1の請求項に記載の電磁アクチュエータを真空ポンプに備えたことを特徴とする。
本発明によれば、モータとラジアル磁気軸受との間隔を設定する第1のスペーサを非金属部材で構成することにより、モータやラジアル磁気軸受の接続配線などが第1のスペーサに挟み込まれた場合における、ショートや地絡、断線などの不具合の発生を低減させることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1〜6を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、電磁アクチュエータを有する真空ポンプの一例として、ターボ分子ポンプを用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るターボ分子ポンプ1の概略構成を示した図である。なお、図1は、ターボ分子ポンプ1の軸線方向の断面図を示している。
本実施形態では、ターボ分子ポンプの一例としてターボ分子ポンプ部Tとねじ溝式ポンプ部Sを備えた、いわゆる複合翼タイプの分子ポンプを例にとり説明する。なお、本実施の形態は、ターボ分子ポンプ部Tのみを有するポンプやねじ溝が回転体側に設けられたポンプに適用してもよい。
ターボ分子ポンプ1の外装体を形成するケーシング2は、円筒状の形状をしており、ケーシング2の底部に設けられたベース3と共にターボ分子ポンプ1の外装体を構成している。そして、ターボ分子ポンプ1の外装体の内部には、ターボ分子ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物つまり気体移送機構が収納されている。
ターボ分子ポンプ1における気体移送機構は、吸気口6側のターボ分子ポンプ部Tと、排気口19側のねじ溝式ポンプ部Sとから構成されている。
これら排気機能を発揮する構造物は、大きく分けて回転自在に軸支された回転部とケーシング2に対して固定された固定部から構成されている。
また、ターボ分子ポンプ1の外装体の外部には、ターボ分子ポンプ1の動作を制御する制御装置48が専用線を介して接続されている。
回転部は、後述するモータ部10によって回転されるシャフト11とロータ部24とによって構成されている。
シャフト11は、円柱部材の回転軸(ロータ軸)である。シャフト11の上端にはロータ部24が複数のボルト25により取り付けられている。
ロータ部24は、シャフト11に配設された回転部材である。ロータ部24は、吸気口6側(ターボ分子ポンプ部T)に設けられたロータ翼21と、排気口19側(ねじ溝式ポンプ部S)に設けられた円筒部材29などから構成されている。
ロータ翼21は、シャフト11の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してロータ部24から放射状に伸びた複数のブレードから構成されている。ターボ分子ポンプ1には、ロータ翼21が軸線方向に複数段設けられている。
なお、ロータ部24は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により構成されている。
円筒部材29は、外周面が円筒形状をした部材から構成されている。
シャフト11の軸線方向中程には、シャフト11を回転させるモータ部10が配設されている。
本実施の形態では、一例としてモータ部10は、DCブラシレスモータによって構成されているものとする。
シャフト11におけるモータ部10を構成する部位には、永久磁石10aが固着されている。この永久磁石10aは、例えば、シャフト11の周りにN極とS極が180°ごとに配置されるように固定されている。
そして永久磁石10aの周囲には、シャフト11から所定のギャップ(空隙)を経て、例えば6個の電磁石10bが60°ごとにシャフト11の軸線に対して対称的にかつ対向するように配置されている。
なお、永久磁石10aは、モータ部10のロータ部(回転部)として機能し、電磁石10bは、モータ部のステータ部(固定部)として機能する。
ターボ分子ポンプ1は、シャフト11の回転数と回転角度(位相)を検出するセンサを備えており、このセンサによって制御装置48は、シャフト11に固着された永久磁石10aの磁極の位置を検出することができるようになっている。
制御装置48は、検出した磁極の位置に従って、モータ部10の電磁石10bの電流を次々に切り替えて、シャフト11の永久磁石10aの周囲に回転磁界を生成する。
シャフト11に固着した永久磁石10aはこの回転磁界に追従し、これによってシャフト11は回転するように構成されている。
また、モータ部10の吸気口6側及び排気口19側には、シャフト11をラジアル方向に軸支する、即ち回転部の荷重をラジアル方向に支持するラジアル磁気軸受部8及びラジアル磁気軸受部12が設けられている。
さらに、シャフト11の下端には、シャフト11を軸線方向(スラスト方向)に軸支する、即ち回転部の荷重をスラスト方向に支持するスラスト磁気軸受部20が設けられている。
シャフト11(回転部)は、ラジアル磁気軸受部8、12によってラジアル方向(シャフト11の径方向)に非接触で支持され、スラスト磁気軸受部20によってスラスト方向(シャフト11の軸方向)に非接触で支持されている。これらの磁気軸受は、いわゆる5軸制御型の磁気軸受を構成しており、シャフト11は軸線周りの回転の自由度のみ有している。
ラジアル磁気軸受部8には、例えば4つの電磁石8bがシャフト11の周囲に90°ごとに対向するように配置されている。これらの電磁石8bは、シャフト11との間にギャップ(空隙)を介して配置されている。なお、このギャップ値は、シャフト11の定常時における振動量(ふれ量)、ロータ部24とステータ部(固定部)との空間距離、ラジアル磁気軸受部8の性能等を考慮した値となっている。
そして、電磁石8bに対向するシャフト11には、ターゲット8aが形成されている。ラジアル磁気軸受部8の電磁石8bの磁力でこのターゲット8aが吸引されることによって、シャフト11がラジアル方向に非接触で支持されるようになっている。
なお、ターゲット8aは、ラジアル磁気軸受部8のロータ部として機能し、電磁石8bは、ラジアル磁気軸受部8のステータ部として機能する。
ラジアル磁気軸受部12についても、ラジアル磁気軸受部8と同様の構成をとり、詳しくは、ラジアル磁気軸受部12の電磁石12bの磁力でターゲット12aが吸引されることによって、シャフト11がラジアル方向に非接触で支持されるようになっている。
スラスト磁気軸受部20は、シャフト11に対して垂直に設けられた円板状の金属製のアーマチュア30を介してシャフト11を軸方向に浮上させている。
スラスト磁気軸受部20には、例えば2つの電磁石20a、20bがアーマチュア30を介して対向するように配置されている。これらの電磁石20a、20bは、アーマチュア30との間にギャップを介して配置されている。なお、このギャップ値は、シャフト11の定常時における振動量、ロータ部24とステータ部との空間距離、スラスト磁気軸受部20の性能等を考慮した値となっている。
そして、スラスト磁気軸受部20の電磁石の磁力でアーマチュア30が吸引されることによって、シャフト11がスラスト方向(軸線方向)に非接触で支持されるようになっている。
また、ラジアル磁気軸受部8、12の近傍には、それぞれ変位センサ9、13が形成されており、シャフト11のラジアル方向の変位が検出できるようになっている。さらに、シャフト11の下端には変位センサ17が形成されており、シャフト11の軸線方向の変位が検出できるようになっている。
変位センサ9、13は、シャフト11のラジアル方向の変位を検出する素子であって、本実施形態では、コイル9b、13bを備えた渦電流センサなどのインダクタンス型センサによって構成されている。
変位センサ9、13におけるコイル9b、13bはターボ分子ポンプ1の外部に設置された制御装置48に形成された発振回路の一部となっている。変位センサ9は発振回路の発振に伴って高周波電流が流れ、シャフト11上に高周波磁界を発生するようになっている。
そして、変位センサ9、13とターゲット9a、13aとの距離が変化すると発振器の発振振幅が変化し、これによってシャフト11の変位を検出することができるようになっている。
なお、シャフト11の変位を検出するセンサは、これに限定されるものではなく、例えば、静電容量式のものや光学式のものなどを用いるようにしてもよい。
制御装置48は、変位センサ9、13からの信号によってシャフト11のラジアル方向の変位を検出すると、ラジアル磁気軸受部8、12の各電磁石8b、12bの磁力を調節してシャフト11を所定の位置に戻すように動作する。
このように、制御装置48は変位センサ9、13の信号によりラジアル磁気軸受部8、12をフィードバック制御する。これによってシャフト11はラジアル磁気軸受部8、12において電磁石8b、12bから所定の空隙(ギャップ)を隔ててラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
変位センサ17も変位センサ9、13と同様に、コイル17bを備えた構成となっている。そして、コイル17bと対向するシャフト11側に設けられたターゲット17aとの距離を検出することによって、スラスト方向の変位を検出している。
制御装置48は、変位センサ17からの信号によってシャフト11のスラスト方向の変位を検出すると、スラスト磁気軸受部20の各電磁石20a、20bの磁力を調節してシャフト11を所定の位置に戻すように動作する。
このように、制御装置48は変位センサ17の信号によりスラスト磁気軸受部20をフィードバック制御する。これによってシャフト11はスラスト磁気軸受部20において電磁石から所定の空隙を隔ててスラスト方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
このようにして、シャフト11は、ラジアル磁気軸受部8、12によりラジアル方向に保持され、スラスト磁気軸受部20によりスラスト方向に保持されるため、軸線周りに回転するようになっている。
なお、本実施形態におけるモータ部10及び各磁気軸受部は、電磁気力の作用を利用した電磁アクチュエータ(電気アクチュエータ)として機能する。また、モータ部10及びラジアル磁気軸受部8、12は、後述するステータコラム18に内包される電磁アクチュエータ構造体の構成要素となる。
ケーシング2及びベース3の内部には、気体移送機構、即ち排気機能を発揮する構造物におけるステータ部(固定部)が形成されている。このステータ部は、吸気口6側(ターボ分子ポンプ部T)に設けられたステータ翼22と、排気口19側(ねじ溝式ポンプ部S)に設けられたねじ溝スペーサ5、ステータコラム18などから構成されている。
ステータ翼22は、シャフト11の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してケーシング2の内周面からシャフト11に向かって伸びたブレードから構成されている。ターボ分子ポンプ部Tでは、これらステータ翼22が軸線方向に、ロータ翼21と互い違いに複数段形成されている。各段のステータ翼22は、円筒形状をしたスペーサ23により互いに隔てられている。
ねじ溝スペーサ5は、内周面にらせん溝7が形成された円筒形の部材である。ねじ溝スペーサ5の内周面は、所定の間隙を隔てて円筒部材29の外周面に対面するようになっている。
ねじ溝スペーサ5に形成されたらせん溝7の方向は、らせん溝7内をロータ部24の回転方向にガスが輸送された場合、排気口19に向かう方向である。らせん溝7の深さは排気口19に近づくにつれ浅くなるようになっている。そして、らせん溝7を輸送されるガスは排気口19に近づくにつれて圧縮されるようになっている。
ベース3は、ケーシング2と共にターボ分子ポンプ1の外装体を構成している。ベース3のラジアル方向中央には、回転部の回転軸線と同心に円筒形状を有するステータコラム18が、吸気口6方向に取り付けられている。
このステータコラム18の内部に、モータ部10及びラジアル磁気軸受部8、12を備えた電磁アクチュエータ構造体が配設されている。
ターボ分子ポンプ1には、変位センサ9の吸気口6側に保護用ベアリング40、変位センサ13の排気口19側に保護用ベアリング50が設けられている。
保護用ベアリング40、50は、ターボ分子ポンプ1の起動時、停止時や、停電等によりラジアル磁気軸受部8、12やスラスト磁気軸受部20が正常に動作しない非常時(タッチダウン時)にシャフト11を支持するための軸受である。
このような構成を有するターボ分子ポンプ1は、真空容器、例えば、半導体製造装置に設けられた内部が高真空状態に保たれたプロセスチャンバなどの排気処理を行う際の真空ポンプとして用いられている。
次に、ターボ分子ポンプ1におけるモータ部10及びラジアル磁気軸受部8、12、即ち、電磁アクチュエータ構造体の詳細な構造について説明する。
図2は、本実施の形態に係るターボ分子ポンプ1におけるステータコラム18の部分の拡大断面を示した図である。
図2に示すように、モータ部10とラジアル磁気軸受部8は、シャフト11の軸方向(スラスト方向)に沿って隣接して配置されている。
モータ部10の固定部を構成する電磁石10bは、鉄心(コア)111、巻線(コイル)112及びインシュレータ113を備えている。
同様にラジアル磁気軸受部8の固定部を構成する電磁石8bもまた、鉄心(コア)81、巻線(コイル)82及びインシュレータ83を備えている。
ターボ分子ポンプ1におけるモータ部10及びラジアル磁気軸受部8、12における電磁石10b、8b、12bの主構成は同様であるため、ここでは、ラジアル磁気軸受部8を例にその基本的な製造方法について説明する。
図3は、ラジアル磁気軸受部8における電磁石8bの製造方法を説明するための図である。
はじめに、図3(a)に示すような鉄心81を形成する。鉄心81は、積層珪素鋼板で形成されている。鉄心81は、中空円筒状であり、その内周壁から中心方向に向かって突出した突起部81aを複数有している。
次に、図3(b)に示すように、インシュレータ83を形成する。インシュレータ83は、絶縁部83a、上スペーサ部83b、下スペーサ部83cから構成されている。
絶縁部83aは、鉄心81の突起部81aの表面を被覆するように形成され、巻線82と鉄心81との間を絶縁する機能を有する。なお、ターボ分子ポンプ1における回転部と固定部との接触を避けるため、鉄心81におけるターゲット8aとの対向領域には絶縁部83aは形成しない。
円環状の上スペーサ部83bは、鉄心81の外縁部から上方向、即ち変位センサ9方向(吸気口6方向)に張り出すように形成されている。
円環状の下スペーサ部83cは、鉄心81の外縁部から下方向、即ちモータ部10方向(排気口19方向)に張り出すように形成されている。
インシュレータ83は、絶縁部83a、上スペーサ部83b、下スペーサ部83cを形成する型に、鉄心81を内包した状態でシリコンゴムなどを充填することによって一体形成(一体成形)されている。なお、シリコンゴムは、インシュレータ83の各部に掛かる荷重によって変形しない程度の強度を有するものを使用する。
また、インシュレータ83は、熱硬化性エポキシ樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を用いて形成してもよい。ポリフェニレンサルファイド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、機械特性、難燃性、電気特性に優れた熱可塑性の結晶性プラスチックである。ポリフェニレンサルファイド樹脂は、精密成形性にも優れているため、成形時の流動性がよく、寸法安定性の高いインシュレータ83を形成することができる。
なお、インシュレータ83を形成する材質はこれらに限定されるものではなく、非金属性の材質、即ち、電気的に鉄心81と巻線82を絶縁することができる材質のものであればよい。
続いて、図3(c)に示すように、インシュレータ83を介して、詳しくは、絶縁部83aを介して、鉄心81の突起部81aの部位に巻線82を巻回する。
図示されていないが、ラジアル磁気軸受部12においても同様の方法で電磁石12bを形成する。
また、モータ部10においても同様の方法で電磁石10bを形成する。詳しくは、図2に示すように、鉄心111の突起部を被覆する絶縁部113a、及び、鉄心111の外縁部から張り出した上スペーサ部113b、下スペーサ部113cをシリコンゴムを充填することによって一体形成する。そして、絶縁部113aを介して鉄心111に巻線112を巻回する。
本実施形態では、図2に示すように、ラジアル磁気軸受部8とモータ部10とは、ラジアル磁気軸受部8における下スペーサ部83cと、モータ部10における上スペーサ部113bとの先端を当接させるようにして配列されている。
即ち、モータ部10における鉄心111とラジアル磁気軸受部8における鉄心81との間隔は、下スペーサ部83cと上スペーサ部113bとの高さの総和によって決定されるように構成されている。
なお、ラジアル磁気軸受部8とモータ部10における各スペーサ部は、適切に当接するように、径サイズが統一されている。
また、ラジアル磁気軸受部8における鉄心81と、変位センサ9との間隔は、ラジアル磁気軸受部8における上スペーサ部83bの高さによって決定されるように構成されている。
上述したように本実施形態では、ラジアル磁気軸受部8の電磁石8bにおけるインシュレータ83に、鉄心81と巻線82との間を電気的に絶縁させる機能だけではなく、隣接する変位センサ9やモータ部10との間隔を設定するディスタンススペーサの機能が設けられている。そのため、従来技術に示されているようなスペーサを別途設ける必要がなくなる。なお、モータ部10の電磁石10bにおいても同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、上述したように製造されたラジアル磁気軸受部8、12及びモータ部10における固定部(電磁石8b、12b、10b)をステータコラム18の内部に組み込むだけで、従来技術に示されているような環状スペーサ部材を加工する作業を行うことなく、高さ方向の位置決めを行うことができる。これによりターボ分子ポンプ1の製造コストの低減を図ることができる。
また、本実施形態では、電磁石8b、10bに設けられたインシュレータ83、113によって、ラジアル磁気軸受部8やモータ部10の位置決めを行うように構成されている。インシュレータ83、113は、金属より剛性の低いゴムや樹脂等の絶縁材によって構成されているため、ラジアル磁気軸受部8やモータ部10の配線や変位センサ9の配線などが挟まれた場合におけるショートや地絡、断線などの不具合の発生率を低下させることができる。
(変形例)
次に、上述した本実施形態の変形例について説明する。なお、以下で説明する変形例においては、上述した実施形態と同一箇所には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4は、第1の変形例におけるステータコラム18の部分の拡大断面を示した図である。
第1の変形例では、図4に示すように、ラジアル磁気軸受部8の電磁石8bにおけるインシュレータ83の上スペーサ部83b’及び下スペーサ部83c’を鉄心81の外縁部の少し内側の部分に形成する。これにより、上スペーサ部83b’及び下スペーサ部83c’と、ステータコラム18との間に隙間が形成される。
なお、図示されていないが、ラジアル磁気軸受部12においても同様の構成とする。
また、モータ部10においても、ラジアル磁気軸受部8と同様に、電磁石10bにおけるインシュレータ113の上スペーサ部113b’及び下スペーサ部113c’を鉄心111の外縁部の少し内側の部分に形成する。これにより、上スペーサ部113b’及び下スペーサ部113c’と、ステータコラム18との間に隙間が形成される。
このように、各スペーサ部とステータコラム18との間に隙間を形成することにより、ラジアル磁気軸受部8、12やモータ部10の配線や変位センサ9の配線などをこの隙間を介して適切に引き出すことができる。
これにより、ラジアル磁気軸受部8、12やモータ部10の配線や変位センサ9の配線などのショートや地絡、断線などの不具合を抑制できる。
図5は、第2の変形例におけるステータコラム18の部分の拡大断面を示した図である。
第2の変形例では、図5に示すように、ラジアル磁気軸受部8の電磁石8bにおけるインシュレータ83の構成部位として、さらに、鉄心81の突起部81aの先端部から上方向、即ち変位センサ9方向(吸気口6方向)に張り出すように内壁部83d、及び鉄心81の突起部81aの先端部から下方向、即ちモータ部10方向(排気口19方向)に張り出すように内壁部83eが形成されている。
内壁部83dと上スペーサ部83bとの間、及び、内壁部83eと下スペーサ部83cとの間に巻線82が配設されるように構成されている。
なお、図示されていないが、ラジアル磁気軸受部12においても同様の構成とする。
また、モータ部10においても、ラジアル磁気軸受部8と同様に、モータ部10の電磁石10bにおけるインシュレータ113の構成部位として、さらに、鉄心111の突起部の先端部から上方向に張り出すように内壁部113d、及び鉄心111の突起部の先端部から下方向に張り出すように内壁部113eが形成されている。
内壁部113dと上スペーサ部113bとの間、及び、内壁部113eと下スペーサ部113cとの間に巻線112が配設されるように構成されている。
このように、各インシュレータに内壁部を設けることにより、ラジアル磁気軸受部8、12やモータ部10の巻線を適切な部位に巻回す(配設する)ことができるため、固定部における巻線と回転部との接触を防止することができる。
また、図5に示すように、モータ部10における内壁部113dと、ラジアル磁気軸受部8における内壁部83eとの高さを、それぞれ、モータ部10における上スペーサ部113b、ラジアル磁気軸受部8における下スペーサ部83cの高さとが等しくなるように構成する。これにより、内壁部113dと内壁部83eとの先端を当接させることができ、ラジアル磁気軸受部8及びモータ部10の設置強度を向上させることができる。即ち、磁極をより安定させた状態で配置することができる。よって、各電磁石における磁極の位置決め精度を向上させることができる。
図6は、第3の変形例におけるステータコラム18の部分の拡大断面を示した図である。
第3の変形例では、図6に示すように、ラジアル磁気軸受部8におけるインシュレータ83と変位センサ9の芯部(鉄心)9cを固定させる。
詳しくは、ラジアル磁気軸受部8におけるインシュレータ83を形成する際に、変位センサ9のコイル9bが巻回される芯部9cとの間を絶縁する絶縁部9dを同時に形成する。
絶縁部9dは、芯部9cの表面を被覆するように形成されている。絶縁部9dとラジアル磁気軸受部8におけるインシュレータ83とは、上スペーサ部83bの端部で接合されている。
このように第3の変形例では、ラジアル磁気軸受部8のインシュレータ83(鉄心81を含む)と、変位センサ9の絶縁部9d(芯部9cを含む)とが、所定の型にシリコンゴムを充填することによって一体形成されている。
そして、一体形成されたインシュレータ83及び絶縁部9dにそれぞれ巻線82及びコイル9bが配設される。
なお、図示されていないが、ラジアル磁気軸受部12と変位センサ13においても同様の構成とする。
このように、ラジアル磁気軸受部8のインシュレータ83と変位センサ9の芯部9cを一体化することにより、変位センサ9とラジアル磁気軸受部8との間隔精度を上げることができる。
ターボ分子ポンプ1におけるラジアル磁気軸受部8、12、モータ部10の構成は、上述したものに限定されるものではなく、各変形例に示す構成を組み合わせて用いるようにしてもよい。
本実施形態に係るターボ分子ポンプの概略構成を示した図である。 本実施の形態に係るターボ分子ポンプにおけるステータコラムの部分の拡大断面を示した図である。 ラジアル磁気軸受部における電磁石の製造方法を説明するための図である。 第1の変形例におけるステータコラムの部分の拡大断面を示した図である。 第2の変形例におけるステータコラムの部分の拡大断面を示した図である。 第3の変形例におけるステータコラムの部分の拡大断面を示した図である。
符号の説明
1 ターボ分子ポンプ
2 ケーシング
3 ベース
5 ねじ溝スペーサ
6 吸気口
7 らせん溝
8 ラジアル磁気軸受部
9 変位センサ
10 モータ部
11 シャフト
12 ラジアル磁気軸受部
13 変位センサ
17 変位センサ
18 ステータコラム
19 排気口
20 スラスト磁気軸受部
21 ロータ翼
22 ステータ翼
23 スペーサ
24 ロータ部
25 ボルト
29 円筒部材
30 アーマチュア
40 保護用ベアリング
48 制御装置
50 保護用ベアリング
81 鉄心
82 巻線
83 インシュレータ
111 鉄心
112 巻線
113 インシュレータ

Claims (5)

  1. 回転子を回転駆動させるモータと、
    前記回転子のラジアル方向の荷重を非接触で支持するラジアル磁気軸受と、
    前記モータと前記ラジアル磁気軸受との間に所定の間隔を保持させる、非金属部材からなる第1のスペーサと、
    を備えたことを特徴とする電磁アクチュエータ。
  2. 前記モータ及び前記ラジアル磁気軸受は、鉄心、前記鉄心に巻く巻線、及び前記鉄心と前記巻線との間を電気的に絶縁する絶縁部材を有し、
    前記第1のスペーサは、前記モータ及び前記ラジアル磁気軸受のうちの少なくとも一方における前記絶縁部材と一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁アクチュエータ。
  3. 前記モータ、前記ラジアル磁気軸受、及び前記第1のスペーサを収納する円筒部材を備え、
    前記第1のスペーサは、前記円筒部材の内周壁と隙間を介して配設されていることを特徴とする請求項2記載の電磁アクチュエータ。
  4. 前記ラジアル磁気軸受の近傍に配設された前記回転子のラジアル方向の変位を検出する変位センサと、
    前記ラジアル磁気軸受と前記変位センサとの間に所定の間隔を保持させる第2のスペーサと、
    を備え、
    前記第2のスペーサは、前記ラジアル磁気軸受における前記絶縁部材と一体形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電磁アクチュエータ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1の請求項に記載の電磁アクチュエータを備えたことを特徴とする真空ポンプ。
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