JP2008180364A - 転がり軸受、ハブユニット、転動部材およびその製造方法 - Google Patents

転がり軸受、ハブユニット、転動部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材とその製造方法、および当該転動部材を備えた転がり軸受を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受1は、外輪11および内輪12と、外輪11および内輪12に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の玉13とを備えている。そして、玉13は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は転がり軸受、ハブユニット、転動部材およびその製造方法に関し、より特定的には、構成部品にβサイアロンを主成分とする焼結体を採用した転がり軸受、ハブユニット、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる転動部材およびその製造方法に関するものである。
窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスは、鋼に比べて比重が小さく、かつ耐食性が高いだけでなく、絶縁性を有するという特徴を備えている。そのため、軌道部材および転動体を備えた転がり軸受(ハブユニットを含む)の構成部品、たとえば軌道部材や転動体の素材にセラミックスを採用した場合、軸受の軽量化が可能となるとともに、構成部品の腐食による損傷、電食による転がり軸受の短寿命化などを抑制することができる。
また、転がり軸受の一種であるハブユニットは、内部に水分が浸入するおそれのある環境において使用される場合も多く、潤滑が不十分となる場合がある。セラミックスからなる転動体、軌道部材などの転動部品は、上述のような不十分な潤滑環境下においても損傷しにくいという特徴を有している。そのため、たとえば転動部品の素材にセラミックスを採用することにより、不十分な潤滑環境下において使用されるハブユニットの耐久性を向上させることができる。
しかし、窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスは、鋼に比べて製造コストが高いため、転がり軸受の構成部品の素材としてセラミックスを採用すると、転がり軸受の製造コストが大幅に上昇するという問題点があった。
これに対し、近年、セラミックスであるβサイアロンを、燃焼合成法を含む製造工程を採用することにより、低コストで製造する方法が開発された(たとえば特許文献1〜3参照)。そのため、このβサイアロンを構成部品の素材として採用した低価格な転がり軸受の製造が検討され得る。
特開2004−91272号公報 特開2005−75652号公報 特開2005−194154号公報
しかしながら、上記βサイアロンを転がり軸受の構成部品の素材として採用するためには、βサイアロンからなる転がり軸受の構成部品が十分な転動疲労寿命を有している必要がある。転動疲労寿命は、部材の破壊強度等とは必ずしも一致せず、βサイアロンからなる転がり軸受の構成部品も、必ずしも十分な転動疲労寿命を有しているとはいえない。そのため、βサイアロンからなる構成部品を備えた転がり軸受においても、十分な耐久性を安定して確保することは容易ではないという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体(βサイアロンを主成分とする焼結体)からなる転がり軸受の構成部品としての転動部材とその製造方法、および当該転動部材を備えた転がり軸受(ハブユニットを含む)を提供することである。
本発明の一の局面における転がり軸受は、軌道部材と、軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、当該転動体は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。
本発明者は、βサイアロンを主成分とする転動体の転動疲労寿命と、βサイアロンの組成との関係を詳細に調査した。その結果、以下の知見が得られ、本発明に想到した。
すなわち、上述のβサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程を採用することにより、上記zの値(以下、z値という)が0.1以上となる種々の組成を有するものが製造可能である。そして、一般に転動疲労寿命に大きな影響を与える硬度は、製造の容易なz値4.0以下の範囲において、ほとんど変化しない。しかしながら、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる転動体の転動疲労寿命とz値との関係を詳細に調査したところ、z値が3.5を超えると転動体の転動疲労寿命が大幅に低下することが分かった。
より具体的には、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、転動疲労寿命はほぼ同等で、転がり軸受の運転時間が所定時間を超えると、転動体の表面に剥離が発生して破損する。これに対し、z値が3.5を超えると転動体が摩耗しやすくなり、これに起因して転動疲労寿命が大幅に低下する。つまり、z値が3.5となる組成を境界として、βサイアロンからなる転動体の破損モードが変化し、z値が3.5を超えると転動疲労寿命が大幅に低下するという現象が明らかとなった。したがって、βサイアロンからなる転動体において、安定して十分な寿命を確保するためには、z値を3.5以下とする必要がある。
一方、上述のように、βサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程により製造することにより、安価に製造することができる。しかし、z値が0.1未満では、燃焼合成の実施が困難となることが分かった。そのため、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる転動体を安価に製造するためには、z値を0.1以上とする必要がある。
これに対し、本発明の一の局面における転がり軸受では、転動体は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。そのため、本発明の一の局面における転がり軸受によれば、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受を提供することができる。
本発明の他の局面における転がり軸受は、軌道部材と、軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、当該転動体は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されている。
本発明の他の局面における転がり軸受は、基本的には上記本発明の一の局面における転がり軸受と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。しかし、本発明の他の局面における転がり軸受では、転がり軸受の用途等を考慮し、焼結助剤を含む点で上記本発明の一の局面における転がり軸受とは異なっている。本発明の他の局面における転がり軸受によれば、焼結助剤の採用により、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受を容易に提供することができる。
なお、焼結助剤としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、希土類元素の酸化物、窒化物、酸窒化物のうち少なくとも一種類以上を採用することができる。また、上記本発明の一の局面における転がり軸受と同等の作用効果を奏するためには、焼結助剤は、焼結体のうち20質量%以下とすることが望ましい。
本発明の一の局面におけるハブユニットは、車輪と車体との間に介在して、車輪を車体に対して回転自在に支持するハブユニットである。このハブユニットは、内周面に環状の転走面が形成された外方部材と、外方部材の内径側に配置され、外方部材の転走面に対向する環状の転走面が形成された内方部材と、外方部材の転走面と、内方部材の転走面とに接触し、環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、このハブユニットの転動体は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。
本発明の一の局面におけるハブユニットによれば、上記本発明の一の局面においける転がり軸受と同様に、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体を備えたハブユニットを提供することができる。
本発明の他の局面におけるハブユニットは、車輪と車体との間に介在して、車輪を車体に対して回転自在に支持するハブユニットである。このハブユニットは、内周面に環状の転走面が形成された外方部材と、外方部材の内径側に配置され、外方部材の転走面に対向する環状の転走面が形成された内方部材と、外方部材の転走面と、内方部材の転走面とに接触し、環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、このハブユニットの転動体は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されている。
本発明の他の局面におけるハブユニットによれば、上記本発明の他の局面における転がり軸受と同様に、焼結助剤の採用により、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体を備えたハブユニットを容易に提供することができる。
本発明の一の局面における転動部材は、転がり軸受において、軌道部材、または当該軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材である。この転動部材はSi6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。そして、他の転動部材と接触する面である転走面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。
本発明の他の局面における転動部材は、転がり軸受において、軌道部材、または当該軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材である。この転動部材は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されている。そして、他の転動部材と接触する面である転走面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。
本発明者は、βサイアロンを主成分とする転動部材の転動疲労寿命と、転動部材の構成との関係を詳細に調査した。その結果、以下の知見が得られ、本発明に想到した。
すなわち、本発明の転動部材は、上述のように耐久性に優れたSi6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とする焼結体から構成されている。そして、上述のβサイアロンを主成分とする焼結体からなる転動部材においては、その緻密性が転動部材において最も重要な耐久性の1つである転動疲労寿命に大きく影響する。これに対し、上記本発明の転動部材は、βサイアロンを主成分とする焼結体からなり、転走面を含む領域に内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。その結果、本発明の転動部材によれば、安価でありながら、転動疲労寿命が向上することにより十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロンを主成分とする焼結体からなる転動部材を提供することができる。
ここで、緻密性の高い層とは、焼結体において空孔率の低い(密度の高い)層であって、たとえば以下のように調査することができる。まず、転動部材の表面に垂直な断面において転動部材を切断し、当該断面を鏡面ラッピングする。その後、鏡面ラッピングされた断面を光学顕微鏡の斜光(暗視野)にて、たとえば50〜100倍程度で撮影し、300DPI(Dot Per Inch)以上の画像として記録する。このとき、白色の領域として観察される白色領域は、空孔率の高い(密度の低い)領域に対応する。したがって、白色領域の面積率が低い領域は、当該面積率が高い領域に比べて緻密性が高い。そして、画像処理装置を用いて記録された画像を輝度閾値により2値化処理した上で白色領域の面積率を測定し、当該面積率により、撮影された領域の緻密性を知ることができる。つまり、上記本発明の転動部材では、転走面を含む領域に内部よりも白色領域の面積率の低い層である緻密層が形成されている。なお、上記撮影は、ランダムに5箇所以上で行ない、上記面積率は、その平均値で評価することが好ましい。また、転動部材の内部における上記白色領域の面積率は、たとえば15%以上である。
また、転動部材の転動疲労寿命を一層向上させるためには、上記緻密層は100μm以上の厚みを有していることが好ましい。さらに、上記他の局面における転動部材に採用される焼結助剤としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、希土類元素の酸化物、窒化物、酸窒化物のうち少なくとも一種類以上を選択することができる。また、上記本発明の一の局面における転動部材と同等の作用効果を奏するためには、焼結助剤は、焼結体のうち20質量%以下とすることが望ましい。
上記転動部材において好ましくは、緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。
白色領域の面積率が7%以下となる程度に上記緻密層の緻密性を向上させることで、転動部材の転動疲労寿命がより向上する。したがって、上記構成により、本発明の転動部材の転動疲労寿命を一層向上させることができる。
上記転動部材において好ましくは、緻密層の表面を含む領域には、当該緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている。
緻密性のさらに高い高緻密層が緻密層の表面を含む領域に形成されることにより、転動部材の転動疲労に対する耐久性がより向上し、転動疲労寿命が一層向上する。
上記転動部材において好ましくは、高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下である。
白色領域の面積率が3.5%以下となる程度に上記高緻密層の緻密性を向上させることで、転動部材の転動疲労寿命がより向上する。したがって、上記構成により、本発明の転動部材の転動疲労寿命を一層向上させることができる。
本発明の別の局面における転がり軸受は、軌道部材と、軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、軌道部材および転動体の少なくともいずれか一方は、上記本発明の転動部材である。
本発明の転がり軸受においては、上記本発明の転動部材を備えていることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材を備えた転がり軸受を提供することができる。
本発明の一の局面における転動部材の製造方法は、転がり軸受において、軌道部材、または当該軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材の製造方法である。この転動部材の製造方法は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる原料粉末が準備される工程と、原料粉末が転動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、当該成形体が1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えている。
本発明の他の局面における転動部材の製造方法は、転がり軸受において、軌道部材、または当該軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材の製造方法である。この転動部材の製造方法は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる原料粉末が準備される工程と、原料粉末が転動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、当該成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えている。
セラミックスの焼結体からなる転動部材の製造方法においては、転動部材の転動疲労寿命を低下させる欠陥の発生を抑制する目的で、熱間静水圧焼結法(Hot Isostatic Press;HIP)やガス圧焼結法(Gas Pressured Sintering;GPS)などの加圧焼結法(通常10MPa以上の圧力下で焼結を行なう方法)による焼結が採用されるのが一般的である。この従来の製造方法によれば、転動部材の気孔率が低下し、密度の高い転動部材を製造することができる。しかし、加圧焼結法を採用した従来の製造方法は、製造コストの上昇を招来する。さらに、加圧焼結法を採用した製造方法では、転動部材の表層部に材質が変質した異常層が形成される。そのため、転動部材の仕上げ加工において、当該異常層を除去する必要が生じ、転動部材の製造コストが一層上昇する。一方、加圧焼結法を採用しない場合、転動部材の気孔率が増加して欠陥が発生し、転動部材の転動疲労寿命が低下するという問題点があった。
これに対し、本発明者は、βサイアロンからなる成形体を1MPa以下の圧力下で焼結して転動部材を製造することにより、転動部材の表面に形成される転走面(表面)を含む領域に、内部よりも緻密性の高い緻密層を形成可能であることを見出した。上記本発明の転動部材の製造方法においては、βサイアロンを主成分とする成形体が1MPa以下の圧力下で焼結される工程を含むことにより、加圧焼結の採用に伴う製造コストの上昇を抑制しつつ、転走面を含む領域に緻密層を形成することができる。その結果、本発明の転動部材の製造方法によれば、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材を、安価に製造することができる。
なお、成形体が焼結される工程は、βサイアロンの分解を抑制するため、0.01MPa以上の圧力下で行なうことが好ましく、低コスト化を考慮すると大気圧以上の圧力下で行なうことがより好ましい。また、製造コストを抑制しつつ緻密層を形成するためには、成形体が焼結される工程は1MPa以下の圧力下で行なうことが好ましい。
上記転動部材の製造方法において好ましくは、成形体が焼結される工程では、1550℃以上1800℃以下の温度域で成形体が焼結される。
成形体が焼結される温度が1550℃未満では、焼結による緻密化が進みにくいため、成形体が焼結される温度は1550℃以上であることが好ましく、1600℃以上であることがより好ましい。一方、成形体が焼結される温度が1800℃を超えると、βサイアロン結晶粒の粗大化による焼結体の機械的特性の低下が懸念されるため、成形体が焼結される温度は1800℃以下であることが好ましく、1750℃以下であることがより好ましい。
上記転動部材の製造方法において好ましくは、成形体が焼結される工程では、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において成形体が焼結される。
不活性ガス雰囲気中において成形体が焼結されることにより、βサイアロンの分解や組織変化を抑制することができる。また、窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において成形体が焼結されることにより、βサイアロン焼結体の窒素および酸素の含有量を制御することができる。
上記転動部材の製造方法において好ましくは、成形体が焼結される前に、成形体の表面が加工される工程をさらに備えている。
成形体が焼結されると成形体の硬度が極めて高くなり、加工が困難となる。そのため、焼結後に、たとえば成形体の大幅な加工を行なって転動部材として仕上げる仕上げ工程を採用することは、転動部材の製造コストの上昇を伴う。これに対し、成形体の焼結前に成形体の加工を行なって、仕上げ工程などにおける焼結後の成形体の加工量を抑制することにより、転動部材の製造コストを抑制することができる。特に、加圧焼結法を採用する製造方法では、異常層を除去するために焼結後に比較的大きな加工量が必要となるため、このような工程のメリットは小さいが、本発明の転動部材の製造方法では、βサイアロンからなる成形体を1MPa以下の圧力下で焼結する工程が採用されているため、異常層を除去するための加工量が抑制されており、上記工程によるメリットは極めて大きい。
上記転動部材の製造方法において好ましくは、焼結された成形体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される工程をさらに備えている。そして、焼結された成形体の表面が加工される工程において除去される当該成形体の厚みは150μm以下である。
上記本発明の転動部材の製造方法においては、表面を含む領域に厚み150μm程度の上述の高緻密層が形成される。そのため、焼結された成形体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される工程、たとえば仕上げ工程が実施される場合、当該工程において除去される成形体の厚みを150μm以下とすることにより、転動部材の転走面に高緻密層を残存させることができる。したがって、上記工程を採用することにより、一層転動疲労寿命が向上した転動部材を製造することができる。なお、高緻密層をより確実に残存させるためには、上記工程において除去される焼結された成形体の厚みは、100μm以下とすることがより好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明の転がり軸受、ハブユニット、転動部材およびその製造方法によれば、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材とその製造方法、および当該転動部材を備えた転がり軸受(ハブユニットを含む)を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における転がり軸受としての深溝玉軸受の構成を示す概略断面図である。図1を参照して、実施の形態1における転がり軸受としての深溝玉軸受について説明する。
図1を参照して、深溝玉軸受1は、軌道部材としての環状の外輪11と、外輪11の内側に配置された軌道部材としての環状の内輪12と、外輪11と内輪12との間に配置され、円環状の保持器14に保持された転動体としての複数の玉13とを備えている。外輪11の内周面には外輪転走面11Aが形成されており、内輪12の外周面には内輪転走面12Aが形成されている。そして、内輪転走面12Aと外輪転走面11Aとが互いに対向するように、外輪11と内輪12とは配置されている。さらに、複数の玉13は、内輪転走面12Aおよび外輪転走面11Aに玉転走面13Aにおいて接触し、かつ保持器14により周方向に所定のピッチで配置されることにより円環状の軌道上に転動自在に保持されている。以上の構成により、深溝玉軸受1の外輪11および内輪12は、互いに相対的に回転可能となっている。
ここで、本実施の形態における転動体としての玉13は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。そのため、本実施の形態おける深溝玉軸受1は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体(玉13)を備えた転がり軸受となっている。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
なお、上記本実施の形態においては、転動体としての玉13は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不可避的不純物からなる焼結体から構成されていてもよい。焼結助剤を含むことで、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受を容易に提供することができる。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
図2は、実施の形態1の変形例における転がり軸受としてのスラストニードルころ軸受の構成を示す概略断面図である。図2を参照して、実施の形態1の変形例における転がり軸受としてのスラストニードルころ軸受について説明する。
図2を参照して、スラストニードルころ軸受2は、基本的には図1に基づいて説明した深溝玉軸受1と同様の構成を有している。しかし、スラストニードルころ軸受2は、軌道部材および転動体の構成において、深溝玉軸受1とは異なっている。すなわち、スラストニードルころ軸受2は、円盤状の形状を有し、互いに一方の主面が対向するように配置された軌道部材としての一対の軌道輪21と、転動体としての複数のニードルころ23と、円環状の保持器24とを備えている。複数のニードルころ23は、一対の軌道輪21の互いに対向する主面に形成された軌道輪転走面21Aにその外周面であるころ転走面23Aにおいて接触し、かつ保持器24により周方向に所定のピッチで配置されることにより円環状の軌道上に転動自在に保持されている。以上の構成により、スラストニードルころ軸受2の一対の軌道輪21は、互いに相対的に回転可能となっている。
ここで、本変形例における転動体としてのニードルころ23は、上述の玉13に該当し、同様の組成を有している。そのため、本変形例おけるスラストニードルころ軸受2は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体(ニードルころ23)を備えた転がり軸受となっている。
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態1における転がり軸受の製造方法について説明する。図3は、実施の形態1における転がり軸受の製造方法の概略を示す図である。また、図4は、実施の形態1における転がり軸受の製造方法に含まれる転動体の製造方法の概略を示す図である。
図3を参照して、実施の形態1における転がり軸受の製造方法においては、まず、軌道部材を製造する軌道部材製造工程と、転動体を製造する転動体製造工程とが実施される。具体的には、軌道部材製造工程では、外輪11、内輪12、軌道輪21などが製造される。一方、転動体製造工程では、玉13、ニードルころ23などが製造される。
そして、軌道部材製造工程において製造された軌道部材と、転動体製造工程において製造された転動体とを組み合わせることにより、転がり軸受を組立てる組立工程が実施される。具体的には、たとえば外輪11および内輪12と、玉13とを組み合わせることにより、深溝玉軸受1が組立てられる。そして、転動体製造工程は、たとえば以下の転動体の製造方法により実施される。
図4を参照して、実施の形態1における転動体の製造方法においては、まず、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンの粉体を製造するβサイアロン粉体製造工程が実施される。βサイアロン粉体製造工程においては、たとえば燃焼合成法を採用した製造工程により、安価にβサイアロンの粉体を製造することができる。
次に、βサイアロン粉体製造工程において製造されたβサイアロンの粉体に、焼結助剤を添加して混合する混合工程が実施される。この混合工程は、焼結助剤を添加しない場合、省略することができる。
次に、図4を参照して、上記βサイアロンの粉体またはβサイアロンの粉体と焼結助剤との混合物を、転動体の概略形状に成形する成形工程が実施される。具体的には、上記βサイアロンの粉体またはβサイアロンの粉体と焼結助剤との混合物に、プレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、転動造粒などの成形手法を適用することにより、玉13、ニードルころ23などの概略形状に成形された成形体が作製される。
次に、上記成形体を昇温して焼結させることにより、玉13、ニードルころ23などの概略形状を有する焼結体を作製する焼結工程が実施される。この焼結工程は、常圧中で行なわれる常圧焼結法により実施されてもよいが、加圧焼結法(Hot Press;HP)、熱間静水圧焼結法(Hot Isostatic Press;HIP)などの焼結法が採用されて実施されてもよい。また上記焼結の加熱方法は、ヒータ加熱のほか、マイクロ波やミリ波による電磁波加熱を用いることができる。
次に、図4を参照して、焼結工程において作製された焼結体に対して仕上げ加工を実施することにより、転動体を完成させる仕上げ工程が実施される。具体的には、焼結工程において作製された焼結体の表面を研磨することにより、転動体としての玉13、ニードルころ23などを完成させる。以上の工程により、本実施の形態における転動体は完成する。そして、この転動体が、別途準備された外輪11および内輪12、あるいは軌道輪21と組合わされて、深溝玉軸受1あるいはスラストニードルころ軸受2が組立てられる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の一実施の形態である実施の形態2における転がり軸受であるハブユニットの構成を示す概略断面図である。図5を参照して、実施の形態2におけるハブユニットについて説明する。
図5を参照して、ハブユニット3は、基本的には図1に基づいて説明した深溝玉軸受1と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、ハブユニット3は、軌道部材および転動体の構成において、深溝玉軸受1とは異なっている。すなわち、ハブユニット3は、車輪と車体との間に介在して、車輪を車体に対して回転自在に支持する装置である。このハブユニット3は、軌道部材である外輪31、ハブ輪32および内輪33と、転動体としての複数の玉34とを備えている。
外方部材としての外輪31は、内周面に2列に形成された転走面31A1,31A2を有する環状の軌道部材である。内方部材としてのハブ輪32は、外輪31の一方の転走面31A1に対向する転走面32Aを有し、外輪31にその一部が取り囲まれるように配置される軌道部材である。また、内方部材としての内輪33は、外輪31の他方の転走面31A2に対向する転走面33Aを有し、ハブ輪32の外周面の一部に接触するように嵌め込まれ、かつ固定環38がハブ輪32の外周面の一部に接触するように嵌め込まれることによりハブ輪32に対して固定された円環状の形状を有する軌道部材である。
複数の玉34は、外輪31の一方の転走面31A1と、ハブ輪32の転走面32Aとに接触し、かつ円環状の保持器39Aにより周方向に所定のピッチで配置される列と、外輪31の他方の転走面31A2と、内輪33の転走面33Aとに接触し、かつ円環状の保持器39Bにより周方向に所定のピッチで配置される列との複列(2列)の円環状の軌道上に転動自在に配置されている。以上の構成により、外方部材としての外輪31と、内方部材としてのハブ輪32および内輪33とは、互いに相対的に回転することが可能となっている。
さらに、ハブ輪32は、ハブ輪フランジ35を有しており、ハブ輪フランジ35にはハブ輪貫通穴35Aが形成されている。そして、ハブ輪貫通穴35Aに挿入されたボルト36により、ハブ輪フランジ35と車輪を構成するホイール(図示しない)とが互いに固定されている。一方、外輪31は、外輪フランジ37を有しており、外輪フランジ37には外輪貫通穴37Aが形成されている。そして、外輪貫通穴37Aに挿入された図示しないボルトにより、外輪フランジ37と車体に固定された懸架装置(図示しない)とが互いに固定されている。以上の構成により、ハブユニット3は、車輪と車体との間に介在して、車輪を車体に対して回転自在に支持している。
すなわち、本実施の形態におけるハブユニット3は、車輪と車体との間に介在して、車輪を車体に対して回転自在に支持するハブユニットである。このハブユニット3は、環状の転走面31A1,31A2が形成された内周面を有する外方部材としての外輪31と、外輪31の転走面31A1に対向する環状の転走面32Aが形成され、外輪31の内周面に少なくともその一部が取り囲まれるように配置される内方部材としてのハブ輪32と、外輪31の転走面31A2に対向する環状の転走面33Aが形成され、外輪31の内周面に少なくともその一部が取り囲まれるように配置される内方部材としての内輪33とを備えている。さらに、ハブユニット3は、外輪31の転走面31A1,31A2とハブ輪32および内輪33の転走面32A,33Aとに玉転走面34Aにおいて接触し、環状の軌道上に配置される複数の玉34とを備えている。
ここで、図5を参照して、本実施の形態における転動体としての玉34は、実施の形態1における玉13に該当し、同様の構成を有している。そのため、本実施の形態おけるハブユニット3は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体(玉34)を備えた転がり軸受となっている。なお、実施の形態2における転がり軸受としてのハブユニット3および当該ハブユニット3が備える転動体としての玉34は、実施の形態1の場合と同様に製造することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態3における転がり軸受および転動部材について説明する。実施の形態3における転がり軸受および転動部材は、図1を参照して、基本的には実施の形態1における転がり軸受および転動部材と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態3における転がり軸受および転動部材は、さらに以下の特徴を備えている。
図6は、図1の要部を拡大して示す概略部分断面図である。図1および図6を参照して、実施の形態3における転がり軸受としての深溝玉軸受および当該深溝玉軸受が備える転動部材について説明する。
図1を参照して、実施の形態3における深溝玉軸受1は、実施の形態1と同様の構成を有していることにより、その外輪11および内輪12は、互いに相対的に回転可能となっている。
ここで、図6を参照して、本実施の形態における転動部材としての外輪11、内輪12および玉13は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されている。そして、外輪11、内輪12および玉13の転走面である外輪転走面11A、内輪転走面12Aおよび玉転走面13Aを含む領域には、内部11C,12C,13Cよりも緻密性の高い層である外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよび玉緻密層13Bが形成されている。この外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよび玉緻密層13Bの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。そのため、本実施の形態おける深溝玉軸受1は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材(外輪11、内輪12および玉13)を備えた転がり軸受となっている。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
なお、上記本実施の形態においては、転動部材としての外輪11、内輪12および玉13は、βサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されていてもよい。焼結助剤を含むことで、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材を備えた転がり軸受を容易に提供することができる。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
さらに図6を参照して、外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよび玉緻密層13Bの表面である外輪転走面11A、内輪転走面12Aおよび玉転走面13Aを含む領域には、外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよび玉緻密層13B内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である外輪高緻密層11D、内輪高緻密層12Dおよび玉高緻密層13Dが形成されている。この外輪高緻密層11D、内輪高緻密層12Dおよび玉高緻密層13Dの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下となっている。これにより、外輪11、内輪12および玉13の転動疲労に対する耐久性がより向上し、転動疲労寿命が一層向上している。
次に、実施の形態3の変形例における転がり軸受および転動部材について説明する。実施の形態3の変形例における転がり軸受および転動部材は、図2を参照して、基本的には実施の形態1の変形例における転がり軸受および転動部材と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態3の変形例における転がり軸受および転動部材は、さらに以下の特徴を備えている。
図7は、図2のスラストニードルころ軸受が備える軌道輪の要部を拡大して示す概略部分断面図である。また、図8は、図2のスラストニードルころ軸受が備えるニードルころの要部を拡大して示す概略部分断面図である。図2、図7および図8を参照して、実施の形態3の変形例における転がり軸受としてのスラストニードルころ軸受および当該スラストニードルころ軸受が備える転動部材について説明する。
図2を参照して、実施の形態3の変形例におけるスラストニードルころ軸受2は、実施の形態1の変形例と同様の構成を有していることにより、その一対の軌道輪21は、互いに相対的に回転可能となっている。
ここで、本変形例における転動部材としての軌道輪21およびニードルころ23は、それぞれ上述の外輪11または内輪12、および玉13に該当し、同様の内部21C,23C、緻密層(軌道輪緻密層21B、ころ緻密層23B)および高緻密層(軌道輪高緻密層21D、ころ高緻密層23D)を有している。そのため、本変形例おけるスラストニードルころ軸受2は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材(軌道輪21、ニードルころ23)を備えた転がり軸受となっている。
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態3における転がり軸受および転動部材の製造方法について説明する。実施の形態3における転がり軸受および転動部材の製造方法は、基本的には実施の形態1における転がり軸受および転動部材の製造方法と同様に実施することができる。しかし、実施の形態3における転がり軸受および転動部材の製造方法は、転動部材の製造方法において相違点を有している。
図9は、本発明の実施の形態3における転がり軸受の製造方法に含まれる転動部材の製造方法の概略を示す図である。
図9を参照して、本実施の形態における転動部材の製造方法においては、まず、βサイアロンの粉末を準備するβサイアロン粉末準備工程が実施される。βサイアロン粉末準備工程においては、たとえば燃焼合成法を採用した製造工程により、安価にβサイアロンの粉末を製造することができる。
次に、βサイアロン粉末準備工程において準備されたβサイアロンの粉末に、焼結助剤を添加して混合する混合工程が実施される。この混合工程は、焼結助剤を添加しない場合、省略することができる。
次に、図9を参照して、上記βサイアロンの粉末またはβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物を、転動部材の概略形状に成形する成形工程が実施される。具体的には、上記βサイアロンの粉末またはβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物に、プレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、転動造粒などの成形手法を適用することにより、転動部材である外輪11、内輪12、玉13、軌道輪21、ニードルころ23などの概略形状に成形された成形体が作製される。
次に、上記成形体の表面が加工されることにより、当該成形体が焼結後に所望の転動部材の形状により近い形状になるよう成形される焼結前加工工程が実施される。具体的には、グリーン体加工などの加工手法を適用することにより、上記成形体が焼結後に外輪11、内輪12、玉13、軌道輪21、ニードルころ23などの形状により近い形状になるように成形される。この焼結前加工工程は、成形工程において上記成形体が成形された段階で、焼結後に所望の転動部材の形状に近い形状が得られる状態である場合には省略することができる。
次に、図9を参照して、上記成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される焼結工程が実施される。具体的には、上記成形体が、ヒータ加熱、マイクロ波やミリ波による電磁波加熱などの加熱方法により加熱されて焼結されることにより、外輪11、内輪12、玉13、軌道輪21、ニードルころ23などの概略形状を有する焼結体が作製される。焼結は、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において、1550℃以上1800℃以下の温度域に上記成形体が加熱されることにより実施される。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などが採用可能であるが、製造コスト低減の観点から、窒素が採用されることが好ましい。
次に、焼結工程において作製された焼結体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される仕上げ加工が実施されることにより、転動部材を完成させる仕上げ工程が実施される。具体的には、焼結工程において作製された焼結体の表面を研磨することにより、転動部材としての外輪11、内輪12、玉13、軌道輪21、ニードルころ23などを完成させる。以上の工程により、本実施の形態における転動部材は完成する。
ここで、上記焼結工程における焼結により、焼結体の表面から厚み500μm程度の領域には、内部よりも緻密性が高く、断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が7%以下である緻密層が形成される。さらに、焼結体の表面から厚み150μm程度の領域には、緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性が高く、断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が3.5%以下である高緻密層が形成されている。したがって、仕上げ工程においては、除去される焼結体の厚みは、特に転走面となるべき領域において150μm以下とすることが好ましい。これにより、外輪転走面11A、内輪転走面12A、玉転走面13A、軌道輪転走面21Aおよびころ転走面23Aを含む領域に、高緻密層を残存させ、転動部材の転動疲労寿命を向上させることができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態4における転がり軸受および転動部材について説明する。実施の形態4における転がり軸受であるハブユニットおよびその転動部材は、図5を参照して、基本的には実施の形態2におけるハブユニットおよびその転動部材と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態4におけるハブユニットおよび転動部材は、さらに以下の特徴を備えている。
図10は、図5の要部を拡大して示す概略部分断面図である。図5および図10を参照して、実施の形態4における転がり軸受としてのハブユニットおよび当該ハブユニットが備える転動部材について説明する。
図5を参照して、実施の形態4におけるハブユニット3は、実施の形態2と同様の構成を有していることにより、車輪と車体との間に介在して、車輪を車体に対して回転自在に支持することができる。
ここで、図5および図10を参照して、本実施の形態における転動部材としての外輪31、ハブ輪32および内輪33と玉34とは、それぞれ実施の形態3における外輪11および内輪12と玉13とに該当し、同様の内部31C,32C,33C,34C、緻密層(外輪緻密層31B、ハブ輪緻密層32B、内輪緻密層33B、玉緻密層34B)および高緻密層(外輪高緻密層31D、ハブ輪高緻密層32D、内輪高緻密層33D、玉高緻密層34D)を有している。そのため、本実施の形態おけるハブユニット3は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材(外輪31、ハブ輪32、内輪33、玉34)を備えた転がり軸受となっている。なお、実施の形態4における転がり軸受としてのハブユニット3および当該ハブユニット3が備える転動部材としての外輪31、ハブ輪32、内輪33、玉34は、実施の形態3の場合と同様に製造することができる。
上記実施の形態においては、本発明の転がり軸受および転動部材の一例として深溝玉軸受、スラストニードルころ軸受およびハブユニットおよびこれらが備える転動部材について説明したが、本発明の転がり軸受および転動部材はこれらに限られない。たとえば、軌道部材は、転動体が表面を転走するように使用される軸や板などであってもよい。すなわち、本発明の転動部材である軌道部材は、転動体が転走するための転走面が形成された部材であればよい。また、本発明の転がり軸受は、スラスト玉軸受であってもよいし、ラジアルころ軸受であってもよい。
また、本発明の転がり軸受において、軌道部材および転動体のいずれか一方が本発明の転動部材である場合、転がり軸受の製造コストを考慮すると、転動体が本発明の転動部材であることが好ましい。
このとき、本発明の転がり軸受における軌道部材の素材は特に限定されず、たとえば鋼、具体的にはJIS規格SUJ2などの軸受鋼や、SCR420、SCM420などの浸炭鋼を採用することができる。また、本発明の転がり軸受における軌道部材の素材には、窒化珪素などのセラミックスを採用してもよい。
以下、本発明の実施例1について説明する。種々のz値を有するβサイアロン焼結体からなる転動体を有する転がり軸受を作製し、z値と転動疲労寿命(耐久性)との関係を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
まず、試験の対象となる試験軸受の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法でz値を0.1〜4の範囲で作製したβサイアロンの粉末を準備し、上記実施の形態1において図4に基づいて説明した転動体の製造方法と同様の方法で、z値が0.1〜4である転動体を作製した。具体的な作製方法は以下のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で球体に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、球状の成形体を得た。
引き続き当該成形体に対して1次焼結として常圧焼結を行なった後、圧力200MPaの窒素雰囲気中でHIP処理することで、焼結球体を製造した。次に、当該焼結球体にラッピング加工を行ない、3/8インチセラミック球(JIS等級 G5)とした。そして、別途準備した軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の軌道輪と組み合わせて、JIS規格6206型番の軸受を作製した(実施例A〜Hおよび比較例B〜C)。また、比較のため、窒化珪素からなる転動体、すなわちz値が0である転動体も上記βサイアロンからなる転動体と同様の方法で作製し、同様に軸受に組立てた(比較例A)。
次に、試験条件について説明する。上述のように作製されたJIS規格6206型番の軸受に対し、最大接触面圧Pmax:3.2GPa、軸受回転数:2000rpm、潤滑:タービン油VG68(清浄油)の循環給油、試験温度:室温、の条件の下で運転する疲労試験を行なった。そして、振動検出装置により運転中の軸受の振動を監視し、転動体に破損が発生して軸受の振動が所定値を超えた時点で試験を中止するとともに、運転開始から中止までの時間を当該軸受の寿命として記録した。また、試験中止後、軸受を分解して転動体の破損状態を確認した。
表1に本実施例の試験結果を示す。表1においては、各実施例および比較例における寿命が、比較例A(窒化珪素)における寿命を1とした寿命比で表されている。また、破損形態は、転動体の表面に剥離が発生した場合「剥離」、剥離が発生することなく表面が摩耗して試験が中止された場合「摩耗」と記載されている。
表1を参照して、z値が0.1以上3.5以下となっている本発明の実施例A〜Hでは、窒化珪素(比較例A)と比較して遜色ない寿命を有している。また、破損形態も窒化珪素の場合と同様に「剥離」となっている。これに対し、z値が3.5を超え、本発明の範囲外となっている比較例Bでは、寿命が大幅に低下するとともに、転動体に摩耗が観察される。すなわち、z値が3.8である比較例Bでは、最終的には転動体に剥離が発生しているものの、転動体における摩耗が影響し、寿命が大幅に低下したものと考えられる。さらに、z値が4である比較例Cにおいては、極めて短時間に転動体の摩耗が進行し、転がり軸受の耐久性が著しく低下している。
以上のように、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、サイアロン焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受の耐久性は、窒化珪素の焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受とほぼ同等である。これに対し、z値が3.5を超えると転動体が摩耗しやすくなり、これに起因して転動疲労寿命が大幅に低下する。さらに、z値が大きくなると、βサイアロンからなる転動体の破損原因が「剥離」から「摩耗」に変化し、転動疲労寿命が著しく低下することが明らかとなった。このように、z値を0.1以上3.5以下とすることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受が提供可能であることが確認された。
なお、表1を参照して、z値が3を超える3.5の実施例Hにおいては、転動体には僅かな摩耗が発生しており、寿命も実施例A〜Gに比べて低下している。このことから、十分な耐久性をより安定して確保するためには、z値は3以下とすることが望ましいといえる。
また、上記実験結果より、窒化珪素からなる転動体と同等以上の耐久性(寿命)を得るには、z値は2以下とすることが好ましく、1.5以下とすることが、より好ましい。一方、燃焼合成を採用した製造工程による、βサイアロン粉体の作製の容易性を考慮すると、十分に自己発熱による反応が期待できるz値である0.5以上とすることが好ましい。
以下、本発明の実施例2について説明する。本発明の転動部材の断面における緻密層および高緻密層の形成状態を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施の形態3において図9に基づいて説明した転動部材の製造方法と同様の方法で、一辺が約10mmの立方体試験片を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で所定の形状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、成形体を得た。引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、上記立方体試験片を製造した。
その後、当該試験片を切断し、切断された面をダイヤモンドラップ盤でラッピングした後、酸化クロムラップ盤による鏡面ラッピングを実施することにより、立方体の中心を含む観察用の断面を形成した。そして、当該断面を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、マイクロフォト−FXA)の斜光で観察し、倍率50倍のインスタント写真(フジフイルム株式会社製 FP−100B)を撮影した。その後、得られた写真の画像を、スキャナーを用いて(解像度300DPI)パーソナルコンピューターに取り込んだ。そして、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製 WinROOF)を用いて輝度閾値による2値化処理を行なって(本実施例での2値化分離閾値:140)、白色領域の面積率を測定した。
次に、試験結果について説明する。図11は、試験片の上記観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。また、図12は、図11の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。また、図13は、図11の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。図11において、写真上側が試験片の表面側であり、上端が表面である。
図11および図12を参照して、本発明の転動部材と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない層が形成されていることがわかる。そして、図13に示すように、撮影された写真の画像を試験片の最表面からの距離に応じて3つの領域(最表面からの距離が150μm以内の領域、150μmを超え500μm以内の領域、500μmを超え800μm以内の領域)に分け、領域毎に画像解析を行なって白色領域の面積率を算出したところ、表2に示す結果が得られた。表2においては、図13に示した各領域を1視野として、無作為に撮影された5枚の写真から得られる5視野における白色領域の面積率の、平均値と最大値とが示されている。
表2を参照して、本実施例における白色領域の面積率は、内部において18.5%であったのに対し、表面からの深さが500μm以下である領域においては3.7%、表面からの深さが150μm以下の領域においては1.2%となっていた。このことから、本発明の転動部材と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない緻密層および高緻密層が形成されていることが確認された。
以下、本発明の実施例3について説明する。本発明の転動部材の転動疲労寿命を確認する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
まず、試験の対象となる試験軸受の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施の形態3において図9に基づいて説明した転動部材の製造方法と同様の方法で直径9.525mmの3/8インチセラミック球を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で球体に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない球状の成形体を得た。
次に、当該成形体に対して焼結後の加工代が所定の寸法となるようにグリーン加工を行ない、引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、焼結球体を製造した。次に、当該焼結球体にラッピング加工を行ない、3/8インチセラミック球(転動体;JIS等級 G5)とした。そして、別途準備した軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の軌道輪と組み合わせて、JIS規格6206型番の軸受を作製した。ここで、上記焼結球体に対するラッピング加工により除去される焼結球体の厚み(加工代)を8段階に変化させ、8種類の軸受を作製した(実施例A〜H)。一方、比較のため、窒化珪素および焼結助剤からなる原料粉末を用いて加圧焼結法により焼結した焼結球体(日本特殊陶業株式会社製 EC141)に対して、上述と同様にラッピング加工を行ない、別途準備した軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の軌道輪と組み合わせて、JIS規格6206型番の軸受を作製した(比較例A)。ラッピング加工による加工代は0.25mmとした。
次に、試験条件について説明する。上述のように作製されたJIS規格6206型番の軸受に対し、最大接触面圧Pmax:3.2GPa、軸受回転数:2000rpm、潤滑:タービン油VG68(清浄油)の循環給油、試験温度:室温、の条件の下で運転する疲労試験を行なった。そして、振動検出装置により運転中の軸受の振動を監視し、転動体に破損が発生して軸受の振動が所定値を超えた時点で試験を中止するとともに、運転開始から中止までの時間を当該軸受の寿命として記録した。なお、試験数は実施例、比較例ともに15個ずつとし、そのL10寿命を算出した上で、比較例Aに対する寿命比で耐久性を評価した。
表3に本実施例の試験結果を示す。表3を参照して、実施例の軸受の寿命は、その製造コスト等を考慮するといずれも良好であるといえる。そして、加工代を0.5mm以下とすることにより転動体の表面に緻密層を残存させた実施例D〜Gの軸受の寿命は、比較例Aの寿命の1.5〜2倍程度となっていた。さらに、加工代を0.15mm以下とすることにより転動体の表面に高緻密層を残存させた実施例A〜Cの軸受の寿命は、比較例Aの寿命の3倍程度となっていた。このことから、本発明の転動部材を備えた転がり軸受は、耐久性において優れていることが確認された。そして、本発明の転動部材を備えた転がり軸受は、転動部材の加工代を0.5mm以下として、表面に緻密層を残存させることにより寿命が向上し、転動部材の加工代を0.15mm以下として、表面に高緻密層を残存させることにより寿命がさらに向上することが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の転がり軸受、ハブユニット、転動部材およびその製造方法は、構成部品にβサイアロンを主成分とする焼結体を採用した転がり軸受、ハブユニット、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる転動部材およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
実施の形態1における深溝玉軸受の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1の変形例におけるスラストニードルころ軸受の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1における転がり軸受の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態1における転がり軸受の製造方法に含まれる転動体の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態2におけるハブユニットの構成を示す概略断面図である。 図1の要部を拡大して示す概略部分断面図である。 図2のスラストニードルころ軸受が備える軌道輪の要部を拡大して示す概略部分断面図である。 図2のスラストニードルころ軸受が備えるニードルころの要部を拡大して示す概略部分断面図である。 実施の形態3における転がり軸受の製造方法に含まれる転動部材の製造方法の概略を示す図である。 図5の要部を拡大して示す概略部分断面図である。 試験片の観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。 図11の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。 図11の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。
符号の説明
1 深溝玉軸受、2 スラストニードルころ軸受、3 ハブユニット、11 外輪、11A 外輪転走面、11B 外輪緻密層、11C,12C,13C 内部、11D 外輪高緻密層、12 内輪、12A 内輪転走面、12B 内輪緻密層、12D 内輪高緻密層、13 玉、13A 玉転走面、13B 玉緻密層、13D 玉高緻密層、14,24,39A,39B 保持器、21 軌道輪、21A 軌道輪転走面、21B 軌道輪緻密層、21C,23C 内部、21D 軌道輪高緻密層、23 ニードルころ、23A ころ転走面、23B ころ緻密層、23D 高緻密層、31 外輪、31A1,31A2,32A,33A 転走面、31B 外輪緻密層、31C,32C,33C,34C 内部、31D 外輪高緻密層、32 ハブ輪、32B ハブ輪緻密層、32D ハブ輪高緻密層、33 内輪、33B 内輪緻密層、33D 内輪高緻密層、34 玉、34A 玉転走面、34B 玉緻密層、34D 玉高緻密層、35 ハブ輪フランジ、35A ハブ輪貫通穴、36 ボルト、37 外輪フランジ、37A 外輪貫通穴、38 固定環。

Claims (16)

  1. 軌道部材と、
    前記軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記転動体は、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成される、転がり軸受。
  2. 軌道部材と、
    前記軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記転動体は、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成される、転がり軸受。
  3. 車輪と車体との間に介在して、前記車輪を前記車体に対して回転自在に支持するハブユニットであって、
    内周面に環状の転走面が形成された外方部材と、
    前記外方部材の内径側に配置され、前記外方部材の転走面に対向する環状の転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材の転走面と、前記内方部材の転走面とに接触し、環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記転動体は、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成される、ハブユニット。
  4. 車輪と車体との間に介在して、前記車輪を前記車体に対して回転自在に支持するハブユニットであって、
    内周面に環状の転走面が形成された外方部材と、
    前記外方部材の内径側に配置され、前記外方部材の転走面に対向する環状の転走面が形成された内方部材と、
    前記外方部材の転走面と、前記内方部材の転走面とに接触し、環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記転動体は、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成される、ハブユニット。
  5. 転がり軸受において、軌道部材、または前記軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成され、
    他の転動部材と接触する面である転走面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている、転動部材。
  6. 転がり軸受において、軌道部材、または前記軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成され、
    他の転動部材と接触する面である転走面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている、転動部材。
  7. 前記緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である、請求項5または6に記載の転動部材。
  8. 前記緻密層の表面を含む領域には、前記緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている、請求項5〜7のいずれか1項に記載の転動部材。
  9. 前記高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下である、請求項8に記載の転動部材。
  10. 軌道部材と、
    前記軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記軌道部材および前記転動体の少なくともいずれか一方は、請求項5〜9のいずれか1項に記載の転動部材である、転がり軸受。
  11. 転がり軸受において、軌道部材、または前記軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材の製造方法であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる原料粉末が準備される工程と、
    前記原料粉末が前記転動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、
    前記成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えた、転動部材の製造方法。
  12. 転がり軸受において、軌道部材、または前記軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である転動部材の製造方法であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる原料粉末が準備される工程と、
    前記原料粉末が前記転動部材の概略形状に成形されることにより成形体が作製される工程と、
    前記成形体が、1MPa以下の圧力下で焼結される工程とを備えた、転動部材の製造方法。
  13. 前記成形体が焼結される工程では、1550℃以上1800℃以下の温度域で前記成形体が焼結される、請求項11または12に記載の転動部材の製造方法。
  14. 前記成形体が焼結される工程では、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において前記成形体が焼結される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の転動部材の製造方法。
  15. 前記成形体が焼結される前に、前記成形体の表面が加工される工程をさらに備えた、請求項11〜14のいずれか1項に記載の転動部材の製造方法。
  16. 焼結された前記成形体の表面が加工され、前記表面を含む領域が除去される工程をさらに備え、
    焼結された前記成形体の表面が加工される工程において除去される前記成形体の厚みは150μm以下である、請求項11〜15のいずれか1項に記載の転動部材の製造方法。
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