JP2009115139A - 風力発電装置用転がり軸受の転動部材および風力発電装置用転がり軸受 - Google Patents

風力発電装置用転がり軸受の転動部材および風力発電装置用転がり軸受 Download PDF

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勝利 村松
Nobuyuki Ninoyu
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Abstract

【課題】安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材、および当該風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受を提供する。
【解決手段】外輪11、内輪12およびころ13は、風力発電装置用の風車の主軸51を、主軸51に対向するように配置されるハウジング53に対して回転自在に支持する主軸用軸受1を構成する風力発電装置用転がり軸受の転動部材である。そして、外輪11、内輪12およびころ13は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成され、ヤング率が180GPa以上270GPa以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、風力発電装置用転がり軸受の転動部材および風力発電装置用転がり軸受に関し、より特定的には、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材および当該風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受に関するものである。
一般に、風力発電装置においては、風力により回転するブレードに接続された主軸の回転が増速機において増速されて出力軸に伝達される。そして、当該出力軸の回転を受けて発電機のロータが回転し、発電が行なわれる。ここで、風力発電装置用の風車の主軸を支持する主軸用軸受、または主軸の回転を受けて回転する回転部材、たとえば発電機のロータに接続されたロータ軸を、当該ロータ軸に対向するように配置される部材に対して回転自在に支持する発電機用軸受や、増速機の内部において回転する回転軸を、当該回転軸に対向するように配置される部材に対して回転自在に支持する増速機用軸受などを含む風力発電装置用転がり軸受においては、発電の効率向上の観点から、軽量化が求められる。また、風力発電装置用転がり軸受は、風力の増減に合わせて動作するため、回転速度の増減が大きく、潤滑状態が不十分となりやすい。さらに、風力発電装置用転がり軸受は、メンテナンスが困難な場所に設置される場合も多く、メンテナンスフリー化の要求がある。そのため、不十分な潤滑環境下での高い耐久性が求められる。
さらに、発電機においては、装置の構造上、発電機用軸受の内部に電流が流れるおそれがある。また、風力発電装置は、通常高所に設置されるため、落雷により、風力発電装置用転がり軸受の内部に電流が流れるおそれがある。風力発電装置用転がり軸受の内部に電流が流れると、風力発電装置用転がり軸受を構成する軌道輪などの軌道部材と、玉、ころなどの転動体との間にスパークが生じ、これに起因して電食が発生する場合がある。そして、この電食による軌道部材や転動体の転走面の損傷は、風力発電装置用転がり軸受の寿命を低下させる。
窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスは、鋼に比べて比重が小さく、絶縁性を有し、かつ不十分な潤滑環境においても損傷しにくいという特徴を有している。そのため、風力発電装置用転がり軸受を構成する軌道部材や転動体である風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材にセラミックスを採用した場合、軸受の軽量化が可能となるとともに、電食による短寿命化を抑制し、かつ不十分な潤滑環境下での高い耐久性を有する風力発電装置用転がり軸受の転動部材を得ることができる。
しかし、窒化珪素やサイアロンなどのセラミックスは、鋼に比べて製造コストが高いため、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材としてセラミックスを採用すると、風力発電装置用転がり軸受の転動部材およびこれを備えた風力発電装置用転がり軸受の製造コストが大幅に上昇するという問題点があった。
これに対し、近年、セラミックスであるβサイアロンを、燃焼合成法を含む製造工程により製造することにより、低コストで製造する方法が開発された(たとえば特許文献1〜3参照)。そのため、このβサイアロンを風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材として採用した低価格な風力発電装置用転がり軸受の転動部材およびこれを備えた風力発電装置用転がり軸受の製造が検討され得る。
特開2004−91272号公報 特開2005−75652号公報 特開2005−194154号公報
しかしながら、上記βサイアロンを風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材として採用するためには、βサイアロンからなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材が十分な転動疲労寿命を有している必要がある。転動疲労寿命は、部材の破壊強度等とは必ずしも一致せず、βサイアロンからなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材も、必ずしも十分な転動疲労寿命を有しているとはいえない。そのため、βサイアロンからなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受においても、十分な耐久性を安定して確保することは容易ではないという問題点があった。
また、弾性変形しにくいβサイアロンを風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材として採用した場合、風力発電装置用転がり軸受の転動部材である軌道部材と風力発電装置用転がり軸受の転動部材である転動体との間の接触面圧が大きくなる傾向にある。ここで、発電用の風車は、風力を受けて回転するため、風速が急激に変化した場合、風力発電装置用転がり軸受に対して急激な加減速が与えられる。これに伴い、風力発電装置用転がり軸受を構成する風力発電装置用転がり軸受の転動部材においては、衝撃的に大きな荷重が負荷される場合がある。さらに、主軸用軸受においては、突風の発生などに伴い、アキシャル方向に大きな荷重が急激に負荷される場合もある。そのため、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材にβサイアロンが採用されると、上述のように風力発電装置用転がり軸受に急激に大きな荷重が負荷された場合、風力発電装置用転がり軸受の転動部材同士の間の接触面圧が許容値を超え、当該風力発電装置用転がり軸受の転動部材に損傷が発生するおそれがある。したがって、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の素材としてβサイアロンを採用するためには、風力発電装置用転がり軸受の転動部材に特有の上記問題点を解決する必要があった。
そこで、本発明の目的は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体(βサイアロンを主成分とする焼結体)からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材、および当該風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受を提供することである。
本発明の一の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材は、風力発電装置用の風車の主軸または当該主軸の回転を受けて回転する回転部材を、主軸または回転部材に対向するように配置される部材に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受において、軌道部材、または軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である風力発電装置用転がり軸受の転動部材である。この風力発電装置用転がり軸受の転動部材は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成され、ヤング率が180GPa以上270GPa以下である。
本発明の他の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材は、風力発電装置用の風車の主軸または当該主軸の回転を受けて回転する回転部材を、主軸または回転部材に対向するように配置される部材に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受において、軌道部材、または軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である風力発電装置用転がり軸受の転動部材である。この風力発電装置用転がり軸受の転動部材は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成され、ヤング率が180GPa以上270GPa以下である。
本発明者は、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命と、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の構成との関係を詳細に調査した。その結果、以下の知見が得られ、本発明に想到した。
すなわち、上述のβサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程を採用することにより、上記zの値(以下、z値という)が0.1以上となる種々の組成を有するものが製造可能である。そして、一般に転動疲労寿命に大きな影響を与える硬度は、製造の容易なz値4.0以下の範囲において、ほとんど変化しない。しかしながら、βサイアロン焼結体からなる転動部材の転動疲労寿命とz値との関係を詳細に調査したところ、z値が3.5を超えると転動部材の転動疲労寿命が大幅に低下することが分かった。
より具体的には、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、転動疲労寿命はほぼ同等で、転がり軸受の運転時間が所定時間を超えると、転動部材の表面に剥離が発生して破損する。これに対し、z値が3.5を超えると転動部材が摩耗しやすくなり、これに起因して転動疲労寿命が大幅に低下する。つまり、z値が3.5となる組成を境界として、βサイアロンからなる転動部材の破損モードが変化し、z値が3.5を超えると転動疲労寿命が大幅に低下するという現象が明らかとなった。したがって、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材において、安定して十分な寿命を確保するためには、z値を3.5以下とする必要がある。
一方、上述のように、βサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程により製造することにより、安価に製造することができる。しかし、z値が0.1未満では、燃焼合成の実施が困難となることが分かった。そのため、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を安価に製造するためには、z値を0.1以上とする必要がある。
また、転動部材のヤング率が高くなると、転動部材を構成する素材(βサイアロン焼結体)の強度が上昇する傾向にある。しかし、その反面、転動部材のヤング率が高くなると、転動部材が弾性変形しにくくなるため、転動部材同士の接触面積が小さくなり、接触面圧が高くなる。その結果、急激に大きな荷重が負荷された場合、転動部材に損傷が発生しやすくなる。一方、転動部材のヤング率が低くなると、転動部材が弾性変形しやすくなるため、転動部材同士の接触面積が大きくなり、接触面圧が低くなる。しかし、その反面、転動部材のヤング率が低くなると、これに伴って転動部材を構成する素材の強度が低下する傾向にある。そのため、風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率は、風力発電装置用転がり軸受の転動部材を構成する素材の強度と風力発電装置用転がり軸受の転動部材同士の接触面圧の低減とのバランスを確保可能な範囲とすることが必要である。
より具体的には、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率が180GPa未満の場合、風力発電装置用転がり軸受の転動部材を構成する素材の強度低下の影響が接触面圧の低減の効果を上回り、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命が低下する。また、風力発電装置用転がり軸受の転動部材同士の接触面積が増大することに伴い、風力発電装置用転がり軸受の転動部材間に作用する摩擦力が増加し、軸受トルクが上昇し、発電効率の低下の原因となるという問題も発生する。したがって、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率は、180GPa以上であることが必要である。
一方、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率が270GPaを超えると、接触面圧の増加の影響が風力発電装置用転がり軸受の転動部材を構成する素材の強度上昇の効果を上回り、急激に大きな荷重が負荷された場合、風力発電装置用転がり軸受の転動部材において、他の風力発電装置用転がり軸受の転動部材と接触する面である転走面に変形などの損傷が発生しやすくなる。その結果、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命が低下する。したがって、βサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率は、270GPa以下であることが必要である。
これに対し、本発明の一の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材では、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成されており、ヤング率が180GPa以上270GPa以下となっている。そのため、本発明の一の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材によれば、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を提供することができる。
なお、負荷される荷重が比較的大きい用途に用いられる場合、風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率は220GPa以上であることが望ましい。一方、負荷される荷重の変化が特に大きい環境下で使用される場合、風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率は260GPa以下であることが望ましい。
また、本発明の他の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材は、基本的には上記本発明の一の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。しかし、本発明の他の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材では、焼結助剤を含む点で上記本発明の一の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材とは異なっている。本発明の他の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材によれば、焼結助剤の採用により、焼結体の気孔率を低下させやすくなり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を容易に提供することができる。
なお、焼結助剤としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、希土類元素の酸化物、窒化物、酸窒化物のうち少なくとも一種類以上を採用することができる。また、上記本発明の一の局面における風力発電装置用転がり軸受の転動部材と同等の作用効果を奏するためには、焼結助剤は、焼結体のうち20質量%以下とすることが望ましい。
上記風力発電装置用転がり軸受の転動部材において好ましくは、他の風力発電装置用転がり軸受の転動部材と接触する面である転走面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている。
上述のβサイアロンを主成分とする焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材においては、その緻密性が転動疲労寿命に大きく影響する。これに対し、上記構成によれば、転走面を含む領域に内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されていることにより、転動疲労寿命が向上する。その結果、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を提供することができる。
ここで、緻密性の高い層とは、焼結体において空孔率の低い(密度の高い)層であって、たとえば以下のように調査することができる。まず、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の表面に垂直な断面において風力発電装置用転がり軸受の転動部材を切断し、当該断面を鏡面ラッピングする。その後、鏡面ラッピングされた断面を光学顕微鏡の斜光(暗視野)にて、たとえば50〜100倍程度で撮影し、300DPI(Dot Per Inch)以上の画像として記録する。このとき、白色の領域として観察される白色領域は、空孔率の高い(密度の低い)領域に対応する。したがって、白色領域の面積率が低い領域は、当該面積率が高い領域に比べて緻密性が高い。そして、画像処理装置を用いて記録された画像を輝度閾値により2値化処理した上で白色領域の面積率を測定し、当該面積率により、撮影された領域の緻密性を知ることができる。
つまり、上記風力発電装置用転がり軸受の転動部材において好ましくは、転走面を含む領域に内部よりも白色領域の面積率の低い層である緻密層が形成されている。なお、上記撮影は、ランダムに5箇所以上で行ない、上記面積率は、その平均値で評価することが好ましい。また、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の内部における上記白色領域の面積率は、たとえば15%以上である。また、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命を一層向上させるためには、上記緻密層は100μm以上の厚みを有していることが好ましい。
上記風力発電装置用転がり軸受の転動部材において好ましくは、緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。
白色領域の面積率が7%以下となる程度に上記緻密層の緻密性を向上させることで、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命がより向上する。したがって、上記構成により、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命を一層向上させることができる。
上記風力発電装置用転がり軸受の転動部材において好ましくは、緻密層の表面を含む領域には、当該緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている。
緻密性のさらに高い高緻密層が緻密層の表面を含む領域に形成されることにより、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労に対する耐久性がより向上し、転動疲労寿命が一層向上する。
上記風力発電装置用転がり軸受の転動部材において好ましくは、高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下である。
白色領域の面積率が3.5%以下となる程度に上記高緻密層の緻密性を向上させることで、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命がより向上する。したがって、上記構成により、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命を一層向上させることができる。
本発明に従った風力発電装置用転がり軸受は、軌道部材と、軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、軌道部材および転動体の少なくともいずれか一方は、上記本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材である。
本発明の風力発電装置用転がり軸受によれば、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えていることにより、耐久性に優れた風力発電装置用転がり軸受を提供することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材および風力発電装置用転がり軸受によれば、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材および当該風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受を備えた風力発電装置の構成を示す概略図である。図1を参照して、実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受を備えた風力発電装置の構成について説明する。
図1を参照して、風力発電装置50は、旋回翼であるブレード52と、ブレード52の中心軸を含むように、一端においてブレード52に接続された主軸51と、主軸51の他端に接続された増速機54とを備えている。さらに、増速機54は、出力軸55を含んでおり、出力軸55は、発電機56に接続されている。主軸51は、風力発電装置用転がり軸受である主軸用軸受1により、軸まわりに回転自在に支持されている。また、主軸用軸受1は、主軸51の軸方向に複数個(図1では2個)並べて配置されており、それぞれハウジング53により保持されている。主軸用軸受1、ハウジング53、増速機54および発電機56は、機械室であるナセル59の内部に格納されている。そして、主軸51は一端においてナセル59から突出し、ブレード52に接続されている。
次に、実施の形態1における風力発電装置50の動作について説明する。図1を参照して、風力を受けてブレード52が周方向に回転すると、ブレード52に接続された主軸51は、主軸用軸受1によりハウジング53に対して支持されつつ、軸まわりに回転する。主軸51の回転は、増速機54に伝達されて増速され、出力軸55の軸まわりの回転に変換される。そして、出力軸55の回転は、発電機56に伝達され、電磁誘導作用により起電力が発生して発電が達成される。
次に、風力発電装置50の主軸51の支持構造について説明する。図2は、図1における主軸用軸受の周辺を拡大して示す概略断面図である。また、図3は、図2の主軸用軸受の要部を拡大して示す概略部分断面図である。
図2を参照して、風力発電装置用転がり軸受としての主軸用軸受1は、風力発電装置用転がり軸受の転動部材としての環状の外輪11と、外輪11の内周側に配置された風力発電装置用転がり軸受の転動部材としての環状の内輪12と、外輪11と内輪12との間に配置され、円環状の保持器14に保持された風力発電装置用転がり軸受の転動部材としての複数のころ13とを備えている。外輪11の内周面には外輪転走面11Aが形成されており、内輪12の外周面には2つの内輪転走面12Aが形成されている。そして、2つの内輪転走面12Aが、外輪転走面11Aに対向するように、外輪11と内輪12とは配置されている。さらに、複数のころ13は、2つの内輪転走面12Aのそれぞれに沿って、外輪転走面11Aと内輪転走面12Aとに、ころ転走面13Aにおいて接触し、かつ保持器14に保持されて周方向に所定のピッチで配置されることにより複列(2列)の円環状の軌道上に転動自在に保持されている。また、外輪11には、外輪11を径方向に貫通する貫通孔11Eが形成されている。この貫通孔11Eを通して、外輪11と内輪12との間の空間に潤滑剤を供給することができる。以上の構成により、主軸用軸受1の外輪11および内輪12は、互いに相対的に回転可能となっている。
一方、ブレード52に接続された主軸51は、主軸用軸受1の内輪12を貫通するとともに、外周面51Aにおいて内輪の内周面12Fに接触し、内輪12に対して固定されている。また、主軸用軸受1の外輪11は、ハウジング53に形成された貫通孔の内壁53Aに外周面11Fにおいて接触するように嵌め込まれ、ハウジング53に対して固定されている。以上の構成により、ブレード52に接続された主軸51は、内輪12と一体に、外輪11およびハウジング53に対して軸まわりに回転可能となっている。
さらに、内輪転走面12Aの幅方向両端には、外輪11に向けて突出する鍔部12Eが形成されている。これにより、ブレード52が風を受けることにより発生する主軸51の軸方向(アキシャル方向)の荷重が支持される。また、外輪転走面11Aは、球面形状を有している。そのため、外輪11と内輪12とは、ころ13の転走方向に垂直な断面において、当該球面の中心を中心として互いに角度をなすことができる。すなわち、主軸用軸受1は、複列自動調心ころ軸受である。その結果、ブレード52が風を受けることにより主軸51が撓んだ場合であっても、ハウジング53は、主軸用軸受1を介して主軸51を安定して回転自在に保持することができる。
すなわち、実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受の転動部材としての外輪11、内輪12およびころ13は、風力発電装置用の風車の主軸51を、主軸51に対向するように配置される部材であるハウジング53に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受としての主軸用軸受1において、軌道部材、または軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である風力発電装置用転がり軸受の転動部材である。そして、外輪11、内輪12およびころ13は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成され、ヤング率が180GPa以上270GPa以下である。
さらに、図3を参照して、外輪11、内輪12およびころ13の転走面である外輪転走面11A、内輪転走面12Aおよびころ転走面13Aを含む領域には、内部11C,12C,13Cよりも緻密性の高い層である外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよびころ緻密層13Bが形成されている。この外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよびころ緻密層13Bの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である。そのため、本実施の形態おける主軸用軸受1は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材(外輪11、内輪12およびころ13)を備えた風力発電装置用転がり軸受となっている。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
なお、上記本実施の形態においては、風力発電装置用転がり軸受の転動部材としての外輪11、内輪12およびころ13は、βサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成されていてもよい。焼結助剤を含むことで、焼結体の気孔率を低下させやすくなり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受を、容易に提供することができる。上記不純物は、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
さらに、図3を参照して、外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよびころ緻密層13Bの表面である外輪転走面11A、内輪転走面12Aおよびころ転走面13Aを含む領域には、外輪緻密層11B、内輪緻密層12Bおよびころ緻密層13B内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である外輪高緻密層11D、内輪高緻密層12Dおよびころ高緻密層13Dが形成されている。この外輪高緻密層11D、内輪高緻密層12Dおよびころ高緻密層13Dの断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下となっている。これにより、外輪11、内輪12およびころ13の転動疲労に対する耐久性がより向上し、転動疲労寿命が一層向上している。
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受および風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法について説明する。図4は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受の製造方法の概略を示す図である。また、図5は、本発明の実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受の製造方法に含まれる風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法の概略を示す図である。
図4を参照して、本実施の形態における風力発電装置用転がり軸受の製造方法においては、まず、軌道部材を製造する軌道部材製造工程と、転動体を製造する転動体製造工程とが実施される。具体的には、軌道部材製造工程では、外輪11、内輪12などが製造される。一方、転動体製造工程では、ころ13などが製造される。
そして、軌道部材製造工程において製造された軌道部材と、転動体製造工程において製造された転動体とを組み合わせることにより、風力発電装置用転がり軸受を組立てる組立工程が実施される。具体的には、たとえば外輪11および内輪12と、ころ13とを組み合わせることにより、主軸用軸受1が組立てられる。そして、軌道部材製造工程および転動体製造工程は、たとえば以下の風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法を用いて実施される。
図5を参照して、本実施の形態における風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法においては、まず、βサイアロンの粉末を準備するβサイアロン粉末準備工程が実施される。βサイアロン粉末準備工程においては、たとえば燃焼合成法を採用した製造工程により、安価にβサイアロンの粉末を製造することができる。
次に、βサイアロン粉末準備工程において準備されたβサイアロンの粉末に、焼結助剤を添加して混合する混合工程が実施される。この混合工程は、焼結助剤を添加しない場合、省略することができる。
次に、図5を参照して、上記βサイアロンの粉末またはβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物を、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の概略形状に成形する成形工程が実施される。具体的には、上記βサイアロンの粉末またはβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物に、プレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、転動造粒などの成形手法を適用することにより、風力発電装置用転がり軸受の転動部材である外輪11、内輪12、ころ13などの概略形状に成形された成形体が作製される。
次に、上記成形体の表面が加工されることにより、当該成形体が焼結後に所望の転動部材の形状により近い形状になるよう成形される焼結前加工工程が実施される。具体的には、グリーン体加工などの加工手法を適用することにより、上記成形体が焼結後に外輪11、内輪12、ころ13などの形状により近い形状になるように加工される。この焼結前加工工程は、成形工程において上記成形体が成形された段階で、焼結後に所望の風力発電装置用転がり軸受の転動部材の形状に近い形状が得られる状態である場合には省略することができる。
次に、図5を参照して、上記成形体が焼結される焼結工程が実施される。具体的には、上記成形体が、たとえば1MPa以下の圧力下でヒータ加熱、マイクロ波やミリ波による電磁波加熱などの加熱方法により加熱されて焼結されることにより、外輪11、内輪12、ころ13などの概略形状を有する焼結体が作製される。焼結は、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において、1550℃以上1800℃以下の温度域に上記成形体が加熱されることにより実施される。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などが採用可能であるが、製造コスト低減の観点から、窒素が採用されることが好ましい。
次に、焼結工程において作製された焼結体の表面が加工され、当該表面を含む領域が除去される仕上げ加工が実施されることにより、風力発電装置用転がり軸受の転動部材を完成させる仕上げ工程が実施される。具体的には、焼結工程において作製された焼結体の表面を研磨することにより、風力発電装置用転がり軸受の転動部材としての外輪11、内輪12、ころ13などを完成させる。以上の工程により、本実施の形態における風力発電装置用転がり軸受の転動部材は完成する。
ここで、上記焼結工程における焼結により、焼結体の表面から厚み500μm程度の領域には、内部よりも緻密性が高く、断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が7%以下である緻密層が形成される。さらに、焼結体の表面から厚み150μm程度の領域には、緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性が高く、断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が3.5%以下である高緻密層が形成されている。したがって、仕上げ工程においては、除去される焼結体の厚みは、特に転走面となるべき領域において150μm以下とすることが好ましい。これにより、外輪転走面11A、内輪転走面12A、ころ転走面13Aを含む領域に、高緻密層を残存させ、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命を向上させることができる。
なお、上記焼結工程は、βサイアロンの分解を抑制するため、0.01MPa以上の圧力下で行なうことが好ましく、低コスト化を考慮すると大気圧以上の圧力下で行なうことがより好ましい。また、製造コストを抑制しつつ緻密層を形成するためには、焼結工程は1MPa以下の圧力下で行なうことが好ましい。また、製造される風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率を180GPa以上270GPa以下の所望の値に調整するためには、たとえばβサイアロン粉末準備工程において準備されるβサイアロン粉末のz値を、0.1≦z≦3.5の範囲で調節すればよい。より具体的には、z値を増加させることにより、製造される風力発電装置用転がり軸受の転動部材のヤング率を低下させることができる。
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2における風力発電装置用転がり軸受としての発電機用軸受を含む発電機の構成を示す概略図である。また、図7は、発電機に使用される実施の形態2における風力発電装置用転がり軸受としての発電機用軸受の構成を示す概略断面図である。また、図8は、図7の発電機用軸受の要部を拡大して示す概略部分断面図である。
図6を参照して、発電機56は、ロータ71と、ロータ71の中央部を貫通し、増速機54の出力軸55に接続された(図1参照)ロータ軸72と、ロータ71の外周面に対向するように配置されたステータ73とを備えている。そして、ロータ軸72の外周面72Aに対向して一対のハウジング74,74が配置されており、ロータ軸72の外周面72Aと一対のハウジング74,74のそれぞれとの間には、風力発電装置用転がり軸受としての一対の発電機用軸受2,2が配置されている。これにより、ロータ軸72は、ハウジング74に対して軸まわりに回転自在に保持され、ロータ71は、ロータ軸72と一体に回転可能となっている。
次に、発電機56の動作について説明する。図1を参照して、風力発電装置50のブレード52が風を受けて回転すると、主軸51が回転し、当該回転は増速機54で増速された後、出力軸55の回転として出力される。図1および図6を参照して、ロータ軸72は、この出力軸55に接続されており、ブレード52の回転を受けて回転する。図6を参照して、ロータ軸72が回転すると、ロータ71はこれと一体に回転する。このとき、ロータ71は、ロータ71の外周側に対向して配置されたステータ73に対して相対的に回転する。その結果、電磁誘導作用によりステータ73に起電力が発生し、発電が行なわれる。
すなわち、実施の形態2における風力発電装置用転がり軸受としての発電機用軸受2は、ロータ71を回転させることによって、ロータ71の外周側に対向して配置されるステータ73に起電力を発生させる発電機において、ロータ71を貫通し、ロータ71と一体に回転するロータ軸72をロータ軸72の外周面72Aに対向して配置される部材であるハウジング74に対して回転自在に支持する発電機用軸受である。
つまり、発電機用軸受2は、風力発電装置用の風車の主軸51の回転を受けて回転する回転部材であるロータ軸72を、ロータ軸72に対向するように配置される部材であるハウジング74に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受である。
次に、この発電機用軸受2について説明する。図7を参照して、実施の形態2における風量発電用転がり軸受としての発電機用軸受2は、基本的には図1〜図3に基づいて説明した主軸用軸受1と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、発電機用軸受2は、軌道部材および転動体の構成において主軸用軸受1とは異なっている。
すなわち、発電機用軸受2は、深溝玉軸受であって、軌道部材としての環状の外輪21と、外輪21の内側に配置された軌道部材としての環状の内輪22と、外輪21と内輪22との間に配置され、円環状の保持器24に保持された転動体としての複数の玉23とを備えている。外輪21の内周面には外輪転走面21Aが形成されており、内輪22の外周面には内輪転走面22Aが形成されている。そして、内輪転走面22Aと外輪転走面21Aとが互いに対向するように、外輪21と内輪22とは配置されている。さらに、複数の玉23は、内輪転走面22Aおよび外輪転走面21Aに玉転走面23Aにおいて接触し、かつ保持器24により周方向に所定のピッチで配置されることにより円環状の軌道上に転動自在に保持されている。以上の構成により、発電機用軸受2の外輪21および内輪22は、互いに相対的に回転可能となっている。
ここで、図7および図8を参照して、本実施の形態における風力発電装置用転がり軸受の転動部材(発電機用転動部材)としての外輪21、内輪22および玉23は、それぞれ実施の形態1における主軸用軸受1の外輪11、内輪およびころ13に相当し、同様の内部21C,22C,23C、緻密層(外輪緻密層21B、内輪緻密層22B、玉緻密層23B)および高緻密層(外輪高緻密層21D、内輪高緻密層22D、玉高緻密層23D)を有している。そのため、本実施の形態おける発電機用軸受2は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材(外輪21、内輪22および玉23)を備えた風力発電装置用転がり軸受となっている。
なお、実施の形態2における風力発電装置用転がり軸受としての発電機用軸受2および当該発電機用軸受2が備える発電機用転動部材としての外輪21、内輪22、玉23は、実施の形態1の場合と同様に製造することができる。
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3における風力発電装置用転がり軸受としての増速機用軸受を含む増速機の構成を示す概略図である。
図9を参照して、増速機54は、主軸51に接続された(図1参照)入力軸91と、入力軸91から径方向に延びる腕部を介して入力軸91に接続され、軸方向に突出する遊星キャリア92と、遊星キャリア92の外周面を取り囲むように配置され、外周面にギア部93Aが形成された遊星ギア93と、遊星ギア93のギア部93Aに常時噛み合うギア部94Aが外周面に形成された低速シャフト94と、遊星ギア93のギア部93Aに常時噛み合うギア部90Aが内周面に形成された外輪ギア90と、円環状の形状を有し、低速シャフト94の外周面に固定され、外周面にギア部95Aが形成された低速ギア95とを備えている。さらに、増速機54は、低速ギア95のギア部95Aに常時噛み合うギア部96Aが外周面に形成された中速シャフト96と、円環状の形状を有し、中速シャフト96の外周面に固定され、外周面にギア部97Aが形成された中速ギア97と、中速ギア97のギア部97Aに常時噛み合うギア部98Aが外周面に形成された高速シャフト98とを備えている。
入力軸91および遊星キャリア92は、外周面に対向するように配置されたハウジング99に対して、ころ軸受3,3により回転自在に支持されている。また、遊星キャリア92と遊星ギア93との間には、2つのころ軸受3が軸方向に並べて配置されており、遊星キャリア92と遊星ギア93とは互いに相対的に回転可能となっている。さらに、低速シャフト94、中速シャフト96および高速シャフト98は、外周面に対向するように配置されたハウジング99,99に対して、ころ軸受3,3により回転自在に支持されている。
次に、増速機54の動作について説明する。図1を参照して、風力発電装置50のブレード52が風を受けて回転すると、主軸51が回転する。図1および図9を参照して、入力軸91は、この主軸51に接続されており、ブレード52の回転を受けて回転する。図9を参照して、入力軸91が回転すると、低速シャフト94と、低速シャフト94を取り囲むように配置された外輪ギア90との間の空間を、遊星キャリア92が公転する。そして、この遊星キャリア92の運動に伴い、遊星ギア93のギア部93Aが外輪ギア90のギア部90Aおよび低速シャフト94のギア部94Aの両方に噛み合いつつ、遊星ギア93が低速シャフト94のまわりを自転しつつ公転する。その結果、外輪ギア90のギア部90Aの歯数と低速シャフト94のギア部94Aの歯数との関係に応じて、低速シャフト94が軸まわりに回転する。
低速シャフト94が回転すると、低速ギア95が低速シャフト94と一体に回転し、これに伴い、低速ギア95のギア部95Aと噛み合うギア部96Aを有する中速シャフト96が回転する。このとき、中速シャフト96のギア部96Aの歯数に対する低速ギア95のギア部95Aの歯数の比に応じた増速比で、低速シャフト94の回転が増速されて、中速シャフト96に伝達される。さらに、中速シャフト96が回転すると、中速ギア97が中速シャフト96と一体に回転し、これに伴い、中速ギア97のギア部97Aと噛み合うギア部98Aを有する高速シャフト98が回転する。このとき、高速シャフト98のギア部98Aの歯数に対する中速ギア97のギア部97Aの歯数の比に応じた増速比で、中速シャフト96の回転が増速されて、高速シャフト98に伝達される。
以上のように、図1および図9を参照して、主軸51の回転は増速機54において増速され、高速シャフト98に接続された出力軸55の回転として出力される。
すなわち、実施の形態3における風力発電装置用転がり軸受としての増速機用軸受であるころ軸受3は、風力発電装置用の風車の主軸51の回転を受けて回転する回転部材である入力軸91、遊星キャリア92、遊星ギア93、低速シャフト94、中速シャフト96または高速シャフト98を、これらに対向するように配置される部材(ハウジング99、遊星キャリア92、遊星ギア93)に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受である。
つまり、実施の形態3におけるころ軸受3は、増速機54の内部において回転する回転部材を、当該回転部材に対向して配置される部材に対して回転自在に支持する増速機用軸受である。
そして、上記増速機用軸受であるころ軸受3は、図1〜図3に基づいて説明した主軸用軸受1と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。すなわち、増速機用軸受である円筒ころ軸受3を構成する増速機用転動部材(風力発電装置用転がり軸受の転動部材)としての外輪、内輪およびころは、それぞれ主軸用軸受1の外輪11、内輪12およびころ13に相当し、同様の内部、緻密層、および高緻密層を有している。そのため、本実施の形態おける増速機用軸受としてのころ軸受3は、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能であるとともに、急激に大きな荷重が負荷された場合の損傷の発生を抑制可能なβサイアロン焼結体からなる転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受となっている。
なお、実施の形態3における風力発電装置用転がり軸受としての増速機用軸受であるころ軸受3およびこれが備える増速機用転動部材としての外輪、内輪およびころは、実施の形態1の場合と同様に製造することができる。
上記実施の形態においては、本発明の風力発電装置用転がり軸受および風力発電装置用転がり軸受の転動部材の一例として主軸用軸受(複列自動調心ころ軸受)、発電機用軸受(深溝玉軸受)、増速機用軸受(ころ軸受)およびこれらが備える風力発電装置用転がり軸受の転動部材について説明したが、本発明の風力発電装置用転がり軸受および風力発電装置用転がり軸受の転動部材はこれらに限られない。たとえば、軌道部材は、転動体が表面を転走するように使用される軸や板などであってもよい。すなわち、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材である軌道部材は、転動体が転走するための転走面が形成された部材であればよい。また、本発明の風力発電装置用転がり軸受は、円錐ころ軸受、円筒ころ軸受、複列円筒ころ軸受、複列円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、総ころ型円筒ころ軸受などのころ軸受であってもよいし、アンギュラ玉軸受、4点接触玉軸受などの玉軸受であってもよい。
また、上記実施の形態においては、本発明の風力発電装置用転がり軸受において軌道部材および転動体の両方がβサイアロン焼結体からなる本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材である場合について説明したが、本発明の風力発電装置用転がり軸受はこれに限られない。本発明の風力発電装置用転がり軸受は軌道部材および転動体のうち少なくともいずれか一方が本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材であればよい。そして、軌道部材および転動体のいずれか一方が本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材である場合、風力発電装置用転がり軸受の製造コストを考慮すると、転動体が本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材であることが好ましい。
このとき、本発明の風力発電装置用転がり軸受における軌道部材の素材は特に限定されず、たとえば鋼、具体的にはJIS規格SUJ2などの軸受鋼や、SCR420、SCM420などの浸炭鋼を採用することができる。また、本発明の風力発電装置用転がり軸受における軌道部材の素材には、窒化珪素などのセラミックスを採用してもよい。
以下、本発明の実施例1について説明する。種々のz値を有するβサイアロン焼結体からなる転動体を有する転がり軸受を作製し、z値と転動疲労寿命(耐久性)との関係を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
まず、試験の対象となる試験軸受の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法でz値を0.1〜4の範囲で作製したβサイアロンの粉末を準備し、上記実施の形態1において図5に基づいて説明した転動体の製造方法と基本的に同様の方法で、z値が0.1〜4である転動体を作製した。具体的な作製方法は以下のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で球体に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、球状の成形体を得た。
引き続き当該成形体に対して1次焼結として常圧焼結を行なった後、圧力200MPaの窒素雰囲気中でHIP(Hot Isostatic Press;熱間静水圧焼結)処理することで、焼結球体を製造した。次に、当該焼結球体にラッピング加工を行ない、3/8インチセラミック球(JIS等級 G5)とした。そして、別途準備した軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の軌道輪と組み合わせて、JIS規格6206型番の軸受を作製した(実施例A〜Hおよび比較例B〜C)。また、比較のため、窒化珪素からなる転動体、すなわちz値が0である転動体も上記βサイアロンからなる転動体と同様の方法で作製し、同様に軸受に組立てた(比較例A)。
次に、試験条件について説明する。上述のように作製されたJIS規格6206型番の軸受に対し、最大接触面圧Pmax:3.2GPa、軸受回転数:2000rpm、潤滑:タービン油VG68(清浄油)の循環給油、試験温度:室温、の条件の下で運転する疲労試験を行なった。そして、振動検出装置により運転中の軸受の振動を監視し、転動体に破損が発生して軸受の振動が所定値を超えた時点で試験を中止するとともに、運転開始から中止までの時間を当該軸受の寿命として記録した。また、試験中止後、軸受を分解して転動体の破損状態を確認した。
表1に本実施例の試験結果を示す。表1においては、各実施例および比較例における寿命が、比較例A(窒化珪素)における寿命を1とした寿命比で表されている。また、破損形態は、転動体の表面に剥離が発生した場合「剥離」、剥離が発生することなく表面が摩耗して試験が中止された場合「摩耗」と記載されている。
表1を参照して、z値が0.1以上3.5以下となっている本発明の実施例A〜Hでは、窒化珪素(比較例A)と比較して遜色ない寿命を有している。また、破損形態も窒化珪素の場合と同様に「剥離」となっている。これに対し、z値が3.5を超え、本発明の範囲外となっている比較例Bでは、寿命が大幅に低下するとともに、転動体に摩耗が観察される。すなわち、z値が3.8である比較例Bでは、最終的には転動体に剥離が発生しているものの、転動体における摩耗が影響し、寿命が大幅に低下したものと考えられる。さらに、z値が4である比較例Cにおいては、極めて短時間に転動体の摩耗が進行し、転がり軸受の耐久性が著しく低下している。
以上のように、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、サイアロン焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受の耐久性は、窒化珪素の焼結体からなる転動体を備えた転がり軸受とほぼ同等である。これに対し、z値が3.5を超えると転動体が摩耗しやすくなり、これに起因して転動疲労寿命が大幅に低下する。さらに、z値が大きくなると、βサイアロンからなる転動体の破損原因が「剥離」から「摩耗」に変化し、転動疲労寿命が著しく低下することが明らかとなった。このように、z値を0.1以上3.5以下とすることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受が提供可能であることが確認された。
なお、表1を参照して、z値が3を超える3.5の実施例Hにおいては、転動体には僅かな摩耗が発生しており、寿命も実施例A〜Gに比べて低下している。このことから、十分な耐久性をより安定して確保するためには、z値は3以下とすることが望ましいといえる。
また、上記実験結果より、窒化珪素からなる転動体と同等以上の耐久性(寿命)を得るには、z値は2以下とすることが好ましく、1.5以下とすることが、より好ましい。一方、燃焼合成を採用した製造工程による、βサイアロン粉体の作製の容易性を考慮すると、十分に自己発熱による反応が期待できるz値である0.5以上とすることが好ましい。
以下、本発明の実施例2について説明する。本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材の断面における緻密層および高緻密層の形成状態を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施の形態1において図5に基づいて説明した風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法と同様の方法で、一辺が約10mmの立方体試験片を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で所定の形状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、成形体を得た。引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、上記立方体試験片を製造した。
その後、当該試験片を切断し、切断された面をダイヤモンドラップ盤でラッピングした後、酸化クロムラップ盤による鏡面ラッピングを実施することにより、立方体の中心を含む観察用の断面を形成した。そして、当該断面を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、マイクロフォト−FXA)の斜光で観察し、倍率50倍のインスタント写真(フジフイルム株式会社製 FP−100B)を撮影した。その後、得られた写真の画像を、スキャナーを用いて(解像度300DPI)パーソナルコンピューターに取り込んだ。そして、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製 WinROOF)を用いて輝度閾値による2値化処理を行なって(本実施例での2値化分離閾値:140)、白色領域の面積率を測定した。
次に、試験結果について説明する。図10は、試験片の上記観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。また、図11は、図10の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。また、図12は、図10の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理して白色領域の面積率を測定する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。図10において、写真上側が試験片の表面側であり、上端が表面である。
図10および図11を参照して、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない層が形成されていることがわかる。そして、図12に示すように、撮影された写真の画像を試験片の最表面からの距離に応じて3つの領域(最表面からの距離が150μm以内の領域、150μmを超え500μm以内の領域、500μmを超え800μm以内の領域)に分け、領域毎に画像解析を行なって白色領域の面積率を算出したところ、表2に示す結果が得られた。表2においては、図12に示した各領域を1視野として、無作為に撮影された5枚の写真から得られる5視野における白色領域の面積率の、平均値と最大値とが示されている。
表2を参照して、本実施例における白色領域の面積率は、内部において18.5%であったのに対し、表面からの深さが500μm以下である領域においては3.7%、表面からの深さが150μm以下の領域においては1.2%となっていた。このことから、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない緻密層および高緻密層が形成されていることが確認された。
以下、本発明の実施例3について説明する。本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材の転動疲労寿命を確認する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
まず、試験の対象となる試験軸受の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施の形態1において図5に基づいて説明した風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法と同様の方法で直径9.525mmの3/8インチセラミック球を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で球体に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない球状の成形体を得た。
次に、当該成形体に対して焼結後の加工代が所定の寸法となるようにグリーン体加工を行ない、引き続き当該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、焼結球体を製造した。次に、当該焼結球体にラッピング加工を行ない、3/8インチセラミック球(転動体;JIS等級 G5)とした。そして、別途準備した軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の軌道輪と組み合わせて、JIS規格6206型番の軸受を作製した。ここで、上記焼結球体に対するラッピング加工により除去される焼結球体の厚み(加工代)を8段階に変化させ、8種類の軸受を作製した(実施例A〜H)。一方、比較のため、窒化珪素および焼結助剤からなる原料粉末を用いて加圧焼結法により焼結した焼結球体(日本特殊陶業株式会社製 EC141)に対して、上述と同様にラッピング加工を行ない、別途準備した軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の軌道輪と組み合わせて、JIS規格6206型番の軸受を作製した(比較例A)。ラッピング加工による加工代は0.25mmとした。
次に、試験条件について説明する。上述のように作製されたJIS規格6206型番の軸受に対し、最大接触面圧Pmax:3.2GPa、軸受回転数:2000rpm、潤滑:タービン油VG68(清浄油)の循環給油、試験温度:室温、の条件の下で運転する疲労試験を行なった。そして、振動検出装置により運転中の軸受の振動を監視し、転動体に破損が発生して軸受の振動が所定値を超えた時点で試験を中止するとともに、運転開始から中止までの時間を当該軸受の寿命として記録した。なお、試験数は実施例、比較例ともに15個ずつとし、そのL10寿命を算出した上で、比較例Aに対する寿命比で耐久性を評価した。
表3に本実施例の試験結果を示す。表3を参照して、実施例の軸受の寿命は、その製造コスト等を考慮するといずれも良好であるといえる。そして、加工代を0.5mm以下とすることにより転動体の表面に緻密層を残存させた実施例D〜Gの軸受の寿命は、比較例Aの寿命の1.5〜2倍程度となっていた。さらに、加工代を0.15mm以下とすることにより転動体の表面に高緻密層を残存させた実施例A〜Cの軸受の寿命は、比較例Aの寿命の3倍程度となっていた。このことから、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受は、耐久性において優れていることが確認された。そして、本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受は、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の加工代を0.5mm以下として、表面に緻密層を残存させることにより寿命が向上し、風力発電装置用転がり軸受の転動部材の加工代を0.15mm以下として、表面に高緻密層を残存させることにより寿命がさらに向上することが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の風力発電装置用転がり軸受の転動部材および風力発電装置用転がり軸受は、βサイアロンを主成分とする焼結体からなる風力発電装置用転がり軸受の転動部材および当該風力発電装置用転がり軸受の転動部材を備えた風力発電装置用転がり軸受に特に有利に適用され得る。
実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受を備えた風力発電装置の構成を示す概略図である。 図1における主軸用軸受の周辺を拡大して示す概略断面図である。 図2の主軸用軸受の要部を拡大して示す概略部分断面図である。 実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態1における風力発電装置用転がり軸受の製造方法に含まれる風力発電装置用転がり軸受の転動部材の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態2における風力発電装置用転がり軸受としての発電機用軸受を含む発電機の構成を示す概略図である。 発電機に使用される実施の形態2における風力発電装置用転がり軸受としての発電機用軸受の構成を示す概略断面図である。 図7の発電機用軸受の要部を拡大して示す概略部分断面図である。 実施の形態3における風力発電装置用転がり軸受としての増速機用軸受を含む増速機の構成を示す概略図である。 試験片の上記観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。 図10の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。 図10の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理して白色領域の面積率を測定する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。
符号の説明
1 主軸用軸受、2 発電機用軸受、3 ころ軸受、11,21 外輪、11A,21A 外輪転走面、11B,21B 外輪緻密層、11C,12C,13C,21C,22C,23C 内部、11D,21D 外輪高緻密層、11E 貫通孔、11F 外周面、12,22 内輪、12A,22A 内輪転走面、12B,22B 内輪緻密層、12D,22D 内輪高緻密層、12E 鍔部、12F 内周面、13 ころ、13A ころ転走面、13B ころ緻密層、13D ころ高緻密層、14,24 保持器、23 玉、23A 玉転走面、23B 玉緻密層、23D 玉高緻密層、50 風力発電装置、51 主軸、51A 外周面、52 ブレード、53 ハウジング、53A 内壁、54 増速機、55 出力軸、56 発電機、59 ナセル、71 ロータ、72 ロータ軸、72A 外周面、73 ステータ、74 ハウジング、90 外輪ギア、90A ギア部、91 入力軸、92 遊星キャリア、93 遊星ギア、93A,94A,95A、96A,97A,98A ギア部、94 低速シャフト、95 低速ギア、96 中速シャフト、97 中速ギア、98 高速シャフト、99 ハウジング。

Claims (7)

  1. 風力発電装置用の風車の主軸または前記主軸の回転を受けて回転する回転部材を、前記主軸または前記回転部材に対向するように配置される部材に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受において、軌道部材、または前記軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である風力発電装置用転がり軸受の転動部材であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成され、
    ヤング率が180GPa以上270GPa以下である、風力発電装置用転がり軸受の転動部材。
  2. 風力発電装置用の風車の主軸または前記主軸の回転を受けて回転する回転部材を、前記主軸または前記回転部材に対向するように配置される部材に対して回転自在に支持する風力発電装置用転がり軸受において、軌道部材、または前記軌道部材に接触して円環状の軌道上に配置される転動体である風力発電装置用転がり軸受の転動部材であって、
    Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体から構成され、
    ヤング率が180GPa以上270GPa以下である、風力発電装置用転がり軸受の転動部材。
  3. 他の風力発電装置用転がり軸受の転動部材と接触する面である転走面を含む領域には、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている、請求項1または2に記載の風力発電装置用転がり軸受の転動部材。
  4. 前記緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は7%以下である、請求項3に記載の風力発電装置用転がり軸受の転動部材。
  5. 前記緻密層の表面を含む領域には、前記緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている、請求項3または4に記載の風力発電装置用転がり軸受の転動部材。
  6. 前記高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率は3.5%以下である、請求項5に記載の風力発電装置用転がり軸受の転動部材。
  7. 軌道部材と、
    前記軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記軌道部材および前記転動体の少なくともいずれか一方は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の風力発電装置用転がり軸受の転動部材である、風力発電装置用転がり軸受。
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