JP2008179949A - 防水型ボルト連結具及びトンネルの鉄筋支持構造 - Google Patents

防水型ボルト連結具及びトンネルの鉄筋支持構造 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な止水性を得られるのに加え、コストの上昇を押さえつつ大型化に対処できる。
【解決手段】トンネルの周面に取り付けた防水シート3を貫通してトンネルの内方に延びる連結用ボルト4と、この連結用ボルトからさらにトンネルの内方に延びる鉄筋支持用のボルト10とを連結するための防水型ボルト連結具12である。両端に連結用ボルトの端部と鉄筋支持用のボルトの端部にそれぞれ螺合する袋ナット部13A、13Bが形成されたナット体14と、ナット体の一端部外周に嵌合孔を介して液密に嵌合されるともに防水シートに接着される止水板15とを備える。ナット体の一端部外周にリング状の溝が形成され、止水板の嵌合孔の内周にリング状の凸部が形成され、ナット体のリング状の溝と止水板のリング状の凸部が凹凸嵌合される。
【選択図】図2

Description

本発明は防水型ボルト連結具及びトンネルの鉄筋支持構造に関する。
例えば、地山を掘削してなる鉄道車両用トンネルや自動車用トンネル等は、その横断面形状がほぼ蒲鉾状に形成されることが多い。この種のトンネルの施工法の一つとして、まず地山を掘削したトンネルの周面に薄くコンクリートを吹き付けてから、トンネルに防水シートを配設し、次いで防水シートの内側に覆工コンクリートを打ち込む手順で行われるものがある。
ここで、覆工コンクリートの強化に供する鉄筋の設置は、例えば、地山に密着させた吹き付けコンクリートに、コンクリートアンカを打ち込みかつこのアンカからボルトをトンネル内方へ延出させ、アンカ側から延びるボルト(第1のボルト)と鉄筋支持用のボルト(第2のボルト)とを防水型ボルト連結具を介して連結し、この鉄筋支持用のボルトによって、覆工用コンクリート補強用の鉄筋を支持することで実施している。
ところで、従来、アンカ側から延びるボルトと鉄筋支持用のボルトとを連結する防水型ボルト連結具の一つとして、両端に前記第1のボルトの端部と前記第2のボルトの端部にそれぞれ螺合する袋ナット部が形成されたナット体と、該ナット体の一端部に嵌合孔を介して液密に嵌合されるともに前記防水シートに接着される止水板とを備えるものが知られている(特許文献1参照)。
特開2000−220394号公報
近年、トンネルが大型化するのに対応して、支持する覆工用コンクリート補強用の鉄筋も大径化し、これを支持する鉄筋支持用のボルト並びに防水型ボルト連結具も大型化する傾向にある。
ところで、前記特許文献1に記載された防水型ボルト連結具では、止水性を高めるために、ナット体の下端に外方へ突出するつばを形成し、このつばを囲むようにナット体の下端外周に止水板を嵌合固定している。下端につばを一体に形成したナット体を作るには、1本の鋼材から不要部分を切削加工により削り取ることで作るのが一般的である。
しかしながら、前述したように、下端につばを有する大型のナット体を切削加工により作る場合、大径の棒材を使用しなければならず、しかも削り代が増大するため、材料費が嵩む、また加工時間が長くなるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、良好な止水性を得られるのに加え、コストの上昇を押さえつつ大型化に対処できる防水型ボルト連結具及びトンネルの鉄筋支持構造を提供することにある。
本発明に係る防水型ボルト連結具は、トンネルの周面に取り付けた防水シートを貫通してトンネルの内方に延びる第1のボルトと、該第1のボルトからさらにトンネルの内方に延びる第2のボルトとを連結するための防水型ボルト連結具であって、両端に前記第1のボルトの端部と前記第2のボルトの端部にそれぞれ螺合する袋ナット部が形成されたナット体と、該ナット体の一端部に嵌合孔を介して液密に嵌合されるともに前記防水シートに接着される止水板とを備え、前記ナット体の一端部外周にリング状の溝が形成され、前記止水板の嵌合孔の内周にリング状の凸部が形成され、前記ナット体のリング状の溝と前記止水板のリング状の凸部が凹凸嵌合されていることを特徴とする。
本発明によれば、ナット体の一端部外周にリング状の溝を形成し、止水板の嵌合孔の内周にリング状の凸部を形成し、ナット体のリング状の溝と止水板のリング状の凸部を凹凸嵌合させているため、ナット体と止水板との接合部分の断面が屈曲する。このため、両者間の良好な止水性が確保される。
また、ナット体と止水板との接合部分の断面を屈曲させるにあたり、ナット体の一端部外周にリング状の溝を形成するため、つばを形成する場合に比べ、当該ナット体を切削加工により形成する場合であっても、加工前の棒材としては小径のもので足り、その分材料費を低減できる。また、削り量も少なくできるので、加工費並びに加工時間も低減できる。
本発明の防水型ボルト連結具は、前記ナット体の袋ナット部が、内径を16mm〜24mmに設定されていることが好ましい。
この場合、大型化する覆工コンクリート補強用の鉄筋を支持する場合に十分対処できる。ちなみに、従来は、鉄筋支持用のボルトとして直径が16mmのものを用いているが、ここでは、それ以上のもの、具体的には直径が24mmまでの鉄筋支持用のボルトを螺合させて支持できる。
本発明の防水型ボルト連結具は、前記ナット体の一端部が、前記止水板の嵌合孔に回転可能に嵌合されていることが好ましい。
この場合、当該防水型ボルト連結具を第1のボルトに連結し、防水型ボルト連結具の止水板を防水シートに接着した後、この防水型ボルト連結具に第2のボルトをねじ合わせるとき、ナット体に所定量以上のトルクが加わる場合には、ナット体が止水板に対して回転する。このため、止水板と防水シートと接着状態は維持される。
本発明の防水型ボルト連結具は、前記止水板に、前記ナット体の一端部外周に嵌合するリング状の起立部が形成されていることが好ましい。
この場合、ナット体の一端部外周と止水板の接触面積を広くとることができる。このため、ナット体と止水板との間の止水性を高めることができる。また、ナット体と止水板との接触面積を広くとることができるので、ナット体のリング状の溝と止水板のリング状の凸部を多数対形成することができ、こうすることによって、止水性をより一層高めることができる。
本発明の防水型ボルト連結具は、前記止水板の前記防水シートと当接する面には接着剤が塗布されていることが好ましい。
この場合、防水シートに止水板を接着させる際の作業性が向上する。
本発明のトンネルの鉄筋支持構造は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防水型ボルト連結具を用いて、トンネル内周に定着された第1のボルトと、鉄筋を固定支持する第2のボルトを連結したことを特徴とする。
本発明によれば、請求項1〜5に記載した防水型ボルト連結具が奏する作用効果と同様な作用効果を奏する。
本発明によれば、ナット体と止水板との接合部分の断面形状を屈曲させるため、両者間の良好な止水性が確保される。また、ナット体を切削加工により形成する場合、基本の棒材としては小径のもので足り、その分材料費を低減できる。また、削り量を少なくできるので、加工費も低減できる。
本発明に係る防水型ボルト連結具及びトンネルの鉄筋支持構造の実施形態を図面に基づき説明する。
図1〜図3は本発明に係る防水型ボルト連結具及びトンネルの鉄筋支持構造の実施形態を示し、図1はトンネルの鉄筋支持構造の要部の断面図、図2は防水型ボルト連結具の斜視図、図3(a)〜(e)はトンネルの鉄筋支持構造を施工する際の工程を示す断面図である。
図1において、符号1はトンネルの地山に密着させた吹き付けコンクリートを示す。吹き付けコンクリート1には、コンクリートアンカ2が打ち込まれている。吹き付けコンクリート1の表面には、防水シート3が配置されている。コンクリートアンカ2には連結用ボルト(第1のボルト)4の一端側が螺合されている。連結用ボルト4の他端は、防水シート3を貫通してトンネル内方へ突出している。
また、図1において、符号10は鉄筋11を支持するための鉄筋支持用ボルト(第2のボルト)である。連結用ボルト4の他端と鉄筋支持用ボルト10の一端とは防水型ボルト連結具12によって、互いに同軸状となるように連結されている。
防水型ボルト連結具12は、図2に示すように、両端に袋ナット部13A、13Bが形成されたナット体14と、ナット体14の一端部外周に嵌合孔15Aを介して液密に嵌合されて、ナット体14と直交するように配置される止水板15とを備える。
ナット体14の止水板15と嵌合される一端部外周(図2における下端側外周)は外形が円形状に形成されている。これにより、ナット体14の一端部は、止水板15に対して回転可能とされている。また、ナット体14の一端部外周にはリング状の溝16が図示例では2個相互に適宜間隔をあけて形成されている。
また、ナット体14の止水板15と嵌合せず露出される他端部外周(図2における上端側外周)は6角形状に形成され、当該ナット体14を回転させるための工具が係合可能になっている。
ナット体14の袋ナット部13A、13Bのめねじ部分は、ともに内径が16mm〜24mmのいずれかに設定されている。なお、従前のナット体の袋ナット部のめねじ部分は、内径が16mm以下に設定されている。したがって、この実施形態でのナット体14では、袋ナット部13A、13Bのめねじ部分の内径が、従前のナット体のそれと同等かそれよりも大に設定されている。
前記止水板15は円盤状に形成されている。止水板15の中央部分には起立部17が形成され、起立部17は前記ナット体14の一端部外周に嵌合している。つまり、起立部17の内側は前記嵌合孔15Aが形成されている。
前記止水板15の嵌合孔15Aの内周にはリング状の凸部18が図示例では2個相互に適宜間隔をあけて形成されている。そして、このリング状の凸部18は、前記ナット体14のリング状の溝16と凹凸嵌合されている。
なお、ナット体14は普通鋼やステンレス鋼等の金属によって作られ、止水板15はEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)やHDPE(高密度ポリエチレン)等の合成樹脂材によって作られる。また、止水板5の表面には、必要に応じて例えばカーボンブラックを所定量配合した、赤外線吸収剤含有層を設けてもよい。
次に、トンネルの施工方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、地山を掘削したトンネルの周面に薄くコンクリートを吹き付ける。この吹き付けコンクリート1に沿って、防水シート3を配設する。次いで、図3(b)に示すように、防水シート3に設けた穴を介して、吹き付けコンクリート1にコンクリートアンカ2を打ち込んで固定する。
次に、図3(c)に示すように、コンクリートアンカ2に連結用ボルト4の一端を螺合させた後、連結用ボルト4の他端に防止型ボルト連結具12を取り付ける。すなわち、ナット体14の一端部側に設けた袋ナット部13Aを、連結用ボルト4の他端に螺合させる。このとき、止水板15が防水シート3に密着するまで、ナット体14をねじ込む。
なお、連結用ボルト4をコンクリートアンカ2及びナット体14へ螺合させるにあたり、上述の説明では、先に連結用ボルト4をコンクリートアンカ2に螺合させているが、これとは逆に、先に連結用ボルト4をナット体14に螺合させておき、この状態で、連結ボルト4をコンクリートアンカ2に螺合させても良い。
次に、図3(d)に示すように、ナット体14側に配置した赤外線照射装置19からか赤外線を止水板15に向けて照射する。ここで、赤外線は止水板15の大半を透過させて、その防水シート3との接触面付近に集中させる。この操作によって、止水板15の防水シート3への接触面を選択的に加熱溶融して接触面を防水シート3に溶着し、防水シート3と止水板15との間を水密状態にする。
なお、赤外線を用いた接着方法に代わり、止水板15に塗布されている接着剤によって、止水板を防水シートに接着させてもよい。このとき、予め塗布した接着剤層の表面を剥離シートで覆っておき、防水シート3と接着させる直前に、剥離シートを剥がして防水シート3と接着させてもよく、また、防水シート3と接着させる直前に、防水シート3または止水板15に接着剤を塗布することで接着させてもよい。
その後、図3(e)に示すように、防水型ボルト連結具12のナット体14の袋ナット部13Bに、鉄筋支持用ボルト10をねじ込んで固定する。ここで、鉄筋支持用ボルト10の先端が袋ナット部13Bの底部に突き当てた後も、当該鉄筋支持用ボルト10を回転させ続ける場合には、ナット体14に所定量以上のトルクが作用することとなる。この場合、ナット体14の一端部外周と止水板15の嵌合孔15Aとの間ですべりが生じ、ナット体14が止水板15に対して相対回転する。つまり、止水板15はナット体14とともに回転することがなく、その場で停止したままとなるので、当該止水板15と防水シート3との接着状態が維持される。
以上の作業を繰り返して複数の位置に鉄筋支持用ボルト10を設けた後、これら複数の支持用ボルト10相互間に鉄筋11を、例えば溶接や針金結合によって固定する。これにより、トンネルの周面に沿って鉄筋11を設置することができる。その後、鉄筋11を埋設するように、防水シート3の内側に覆工用コンクリートを打設する。
この実施形態では、ナット体14の一端部外周に形成したリング状の溝16と、止水板15の嵌合孔15Aの内周に形成したリング状の凸部18を凹凸嵌合させているため、ナット体14と止水板15との接合部分の断面が屈曲する。このため、両者間の良好な止水性が確保される。
また、ナット体14と止水板15との接合部分の断面を屈曲させるにあたり、ナット体14の一端部外周にリング状の溝16を形成するため、従前のナット体の一端部につばを形成する場合に比べ、当該ナット体14を切削加工により形成する場合であっても、加工前の棒材としては小径のもので足り、その分材料費を低減できる。また、削り量も少なくできるので、加工費並びに加工時間も低減できる。
また、この実施形態では、止水板15に、ナット体14の一端部外周に嵌合するリング状の起立部17を形成しており、これにより、当該止水板15とナット体14の一端部外周との接触面積を広くとることができる。このため、ナット体14と止水板15との間の止水性を高めることができる。また、ナット体14と止水板15との接触面積を広くとることができるので、ナット体14のリング状の溝16と止水板15のリング状の凸部18を複数(図示例では、2個づつ)形成することができ、こうすることによって、止水性をより一層高めることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
例えば、前記実施形態では、止水板15として円盤状のものを用いているが、これに限られることなく、平面視多角形状の止水板を用いてもよい。
また、前記実施形態では、ナット体14の一端部外周に形成したリング状の溝16と、止水板15の嵌合孔15Aの内周に形成したリング状の凸部18をそれぞれ2個ずつ形成しているが、これに限られることなく、3個以上ずつ設けても良い。
本発明に係るトンネルの鉄筋支持構造の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る防水型ボルト連結具の実施形態を示す斜視図である。 本発明に係るトンネルの鉄筋支持構造の施工手順を示す工程図である。
符号の説明
1 吹き付けコンクリート
2 コンクリートアンカ
3 防水シート
4 連結用ボルト(第1のボルト)
10 鉄筋支持用ボルト(第2のボルト)
11 鉄筋
12 防水型ボルト連結具
13A、13B 袋ナット部
14 ナット体
15A 嵌合孔
15 止水板
16 リング状の溝
17 起立部
18 リング状の凸部

Claims (6)

  1. トンネルの周面に取り付けた防水シートを貫通してトンネルの内方に延びる第1のボルトと、該第1のボルトからさらにトンネルの内方に延びる(鉄筋支持用の)第2のボルトとを連結するための防水型ボルト連結具であって、
    両端に前記第1のボルトの端部と前記第2のボルトの端部にそれぞれ螺合する袋ナット部が形成されたナット体と、
    該ナット体の一端部外周に嵌合孔を介して液密に嵌合されるともに前記防水シートに接着される止水板とを備え、
    前記ナット体の一端部外周にリング状の溝が形成され、前記止水板の嵌合孔の内周にリング状の凸部が形成され、
    前記ナット体のリング状の溝と前記止水板のリング状の凸部が凹凸嵌合されていることを特徴とする防水型ボルト連結具。
  2. 前記ナット体の袋ナット部は、内径が16mm〜24mmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の防水型ボルト連結具。
  3. 前記ナット体の一端部は、前記止水板の嵌合孔に回転可能に嵌合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防水型ボルト連結具。
  4. 前記止水板には、前記ナット体の一端部外周に嵌合するリング状の起立部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防水型ボルト連結具。
  5. 前記止水板の前記防水シートと当接する面には接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防水型ボルト連結具。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の防水型ボルト連結具を用いて、トンネル内周に定着された第1のボルトと、鉄筋を固定支持する第2のボルトを連結したことを特徴とするトンネルの鉄筋支持構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010222901A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Fujimori Kogyo Co Ltd 止水構造及び止水方法
JP2012255251A (ja) * 2011-06-07 2012-12-27 Sumitomo Forestry Co Ltd 屋外設置物の設置用金物

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