JP2008178517A - ヘアクリップ - Google Patents

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Abstract

【課題】大量の毛髪束を1本のヘアクリップで完全に挟持でき、楽な姿勢で用いても確実に毛髪束の挟持が行え、かつ従来のヘアクリップのように親指が滑ってヘアクリップ自体を取り落とすというトラブルの発生もなく、解除の際にも頭髪を巻きこむことのないヘアクリップを開発する。
【解決手段】把持部が作用部に対して5°〜20°の角度を有し、閉じた状態で作用部に高さの最大値が5mm〜20mmの空間を有し、把持部上片の上面が上に凸の曲面状をなし、把持部の長さが作用部の長さの25%〜40%であり、作用部下片の枢軸近傍に盛り上がり部を有するヘアクリップを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、理美容において、毛髪束を纏めておくために挟持する際に用いられる、ダッカールあるいはダッカールピンと呼称されるヘアクリップに関するものであり、さらに詳しくは、次の構成のヘアクリップに関するものである。
<構成1>
上片と下片が枢軸により枢着され、枢軸より正面側に毛髪束を挟持するための作用部が形成され、枢軸より背面側に把持部が形成され、作用部の長手方向の長さが把持部の長手方向の長さより長く、把持部に力がかかっていない状態にて作用部の作用部上片と作用部下片を閉じるように付勢するばねを有しているヘアクリップにおいて、把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに5°〜20°の範囲内の角度を有していることを特徴とするヘアクリップ。
<構成2>
把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに7°〜15°の範囲内の角度を有していることを特徴とする構成1に記載のヘアクリップ。
<構成3>
作用部の上片を作用部上片とし作用部の下片を作用部下片とした場合に、作用部上片の前端部と作用部下片の前端部が閉じた状態にて作用部上片の下面と作用部下片の上面との間に高さの最大値が5mm〜20mmの空間が形成されるように構成されていることを特徴とする構成1あるいは構成2に記載のヘアクリップ。
<構成4>
把持部の上片を把持部上片とし把持部の下片を把持部下片とした場合に、把持部上片の上面が上に凸の曲面状をなすことを特徴とする構成1あるいは構成2にあるいは構成3に記載のヘアクリップ。
<構成5>
平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの25%〜40%の範囲内であることを特徴とする構成1あるいは構成2あるいは構成3あるいは構成4に記載のヘアクリップ。
<構成6>
平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの30%〜35%の範囲内であることを特徴とする構成5に記載のヘアクリップ。
<構成7>
作用部下片の上面の後部の枢軸近傍において、盛り上がり部を有していることを特徴とする構成1あるいは構成2にあるいは構成3あるいは構成4あるいは構成5あるいは構成6に記載のヘアクリップ。
従来のヘアクリップの一例を、図12a〜図14に示す。ヘアクリップhcは、上片aと下片bが枢軸axにより枢着され、枢軸axより正面側に毛髪束P(図18参照)を挟持するための作用部acが形成され、枢軸axより背面側に把持部grが形成され、作用部acが把持部grより長く、把持部grに力がかかっていない状態にて作用部acの上片aと下片bを閉じるように付勢するバネspを有している。なお、作用部acにおける上片aを作用部上片a1、下片bを作用部下片b1、把持部grにおける上片aを把持部上片a2、下片bを把持部下片b2とする。
図13aに見るように、ヘアクリップhcは、長手方向の中心線c1に対して平面視で左右対称に構成されている。また、作用部上片a1と作用部下片b1は、図12aに見るように、側面視にて全体が上に凸の緩やかな弓状に湾曲されているが、把持部上片a2は後方上方に反り上げられ把持部上片a2全体が下に凸の曲面状に構成されている。また、把持部下片b2は側面視にて略直線状となっている。さらに、バネspは枢軸axに巻装されている。
図13aに見るように、ヘアクリップhcの長手方向の全体の長さをd、作用部acの長手方向の長さをd1、把持部grの長手方向の長さをd2とすると、ヘアクリップhcにおいては、長さd2は、長さd1の約18.5%、全体の長さdの約15.5%に形成されているが、これは、この形式のヘアクリップ全般におけるごく普遍的な値である。すなわち、従来のヘアクリップhcにおいては、把持部grの長手方向の長さd2が作用部acの長手方向の長さd1の20%以下に形成されるのが普通である。なお、従来のヘアクリップhcの全体の長さdは、小さなものでは100mm前後、大きなものでも150mm程度であり、この間に各種のサイズが存在する。
また、上片aと下片bが閉じた状態(図12a)にて作用部上片a1の中間部a12と作用部下片b1の中間部b12は完全に当接せず、両者の間には僅かな空間s1が形成されている(図12b参照)。この空間s1の高さd3の最大値は従来のヘアクリップhcにおいては1mm〜2mm程度である。
ヘアクリップhcの作用は以下のとおりである。図12cに見るように、把持部grを閉じる方向に、すなわち、把持部上片a2を押し下げ(方向x1)ると同時に把持部下片b2を押し上げる(方向x2)ように力をかけると、作用部acにて、作用部上片a1の前端部a11が時計回り方向(図12cの方向y1)に、作用部下片b1の前端部b11が反時計回り方向(図12cの方向y2)に回動して空間s1は拡大され、バネspは把持部grを開く方向に付勢される。
この状態を保ったまま、空間s1に毛髪束Pを挿入して(図15、図16、図18参照)、把持部grを押圧していた力を解除すると、バネspの反発力により前端部a11は反時計回り方向(方向z1)に、前端部b11は時計回り方向(方向z2)に回動して毛髪束Pは作用部上片a1と作用部下片b1の間に挟持される。すなわち、毛髪束Pはヘアクリップhcの作用部acに挟持され固定された状態となる。なお、a13は作用部上片a1の後部、b13は作用部下片b1の後部を示す。
毛髪束Pをヘアクリップhcにて挟持する理由はさまざまであるが、理美容師の作業中に一番多い用いられ方は次のようなものである。すなわち、図18に見るように、被術者PSの頭髪Hのうち、例えば一部の毛髪束P1のみにパーマをかけたい場合、目的の毛髪束P1以外の頭髪Hが開放状態であると作業の邪魔になるので、毛髪束Pとして一まとめにしておきたい。このとき毛髪束P全体をヘアクリップhcの作用部acにて一旦挟持係止して作業を進める。すなわち、現時点での作業の進行に関係しない毛髪束Pを一まとめにして留めておくために用いられる場合が最も多い。
把持部grに力をかける状態を、具体的に表示すれば、図15〜図17のとおりとなる。すなわち、右手RH(右ききの場合)の親指F1の指先の腹部分F1aを上片aの把持部上片a2に配置し、人差指F2の第1関節と第2関節の間の側面部分F2aを下片bの把持部下片b2に配置し、腹部分F1aから把持部上片a2に方向x1の力を、側面部分F2aから把持部下片b2に方向x2の力をかける。
この際肝要な点は、図17に見るように、ヘアクリップhcの中心線c1と親指F1の中心線c2を一致させるように親指F1を配置するということである。すなわち、このように配置することにより、親指F1の腹部分F1aは図15、図16に見るように、完全に把持部上片a2の上面に当接する。把持部上片a2の反り(図12a参照)は、そのように親指F1が配置されることを前提にして、図15、図16のように親指F1が配置された場合に親指F1からの方向x1の力が最も効率よく把持部上片a2に働くように設計されているものである。特に、把持部上片a2の端部a21が強く上方に跳ね上がるような形態となっているのは、この部分が図16に見るように親指F1の腹部分F1aに食い込み、親指F1の位置を安定させるとともに、親指F1からの力が完全に把持部上片a2に伝達されるようにという配慮による。
前述のように、ヘアクリップhcにおいては、把持部grの長さd2(図13a参照)は作用部acの長さd1の18.5%となっている。通常のヘアクリップにおいては、長さd2と長さd1の比がこの程度(20%未満)であるが、その理由は以下のとおりである。すなわち、把持部grを長く設計した場合、一旦毛髪束Pが挟持されると、把持部grは挟持状態の解除までその役割を失い、その間はむしろ邪魔者扱いになるという点にある。把持部grの、特に上方に反りあがった把持部上片a2の端部a21に理美容師の手やその他の用具(図示せず)が引っかかるとヘアクリップhcの位置がずれ、挟持されていた毛髪束Pの形も崩れるので、その都度ヘアクリップhcを操作しなおして毛髪束Pの形を整えなければならない。このような不便が生じるので、把持部grはできるだけ小さめに設計される傾向があり、その結果、長さd2も短くされる傾向が強い。
しかしながら、長さd2を短めに設計した結果として、図15、図16のように作用部acを開く際に、把持部grにかなりの力をかけなければならないという難点が生じることになった。すなわち、支点である枢軸axからの距離が短くなるため、把持部上片a2を押し下げ(方向x1)且つ把持部下片b2を押し上げる(方向x2)ために、かなりの力を必要とする結果となった。しかしながら、毛髪束Pの挟持の際には多少の力を要しても、把持部grを小さめに設計すれば、後のプロセスでヘアクリップhcのやり直しが減少するので、そちらの効果を重視して、現在市販されているヘアクリップは、その殆どが把持部を小さく設計していることは前述のとおりである。そのような従来のヘアクリップを開示する特許文献を2件掲げておく。下記特許文献1に記載のヘアクリップ(ヘアークリップと呼称)は従来のヘアクリップよりもさらに把持部を大きく反り上げた例であり、下記特許文献2に記載のヘアクリップ(髪止め具と呼称)は従来のヘアクリップにより近い例である。
特開平8‐336416号公報 特開2005‐58564号公報
以上に紹介した従来のヘアクリップhcには、さまざまな点で使いずらいところがあった。
その第1点は、把持部grを小さめに設計したことにより把持部grに力を加えて作用部acを開く際に大きな力を要することであり、この点は上記に詳しく説明したとおりである。
次に、第2点は、前述の、把持部上片a2が反り上げられている点である。把持部grをあまりに小さく設計すると、長さd2が極端に短くなって作用部acを開くために多大な力を必要とするため、把持部上片a2を斜め上方に反り上げて延長を確保しようとする。しかし、このように把持部上片a2が反り上げられた結果、かえってこの部分に理美容師の手や他の道具が引っ掛かるというトラブルが生じるようになった。
さらに、第3点は上記2点に関連することであり、この点を以下に詳細に説明する。
ヘアクリップhcにて毛髪束Pを挟持する際には、図17に見るように、ヘアクリップhcの中心線c1と親指F1の中心線c2を一致させるように把持部grを把持しなければならないことは、上に説明した。しかし、この必要性が、理美容師に、無理な姿勢を強いる結果となっている。すなわち、図18に見るように、通常の状態では、理美容師(右手RHのみ表示)は毛髪束Pの中心線Pcに直角にヘアクリップhcを差し込んで毛髪束Pを挟持する。このためには、毛髪束Pの中心線Pcとヘアクリップhcの中心線c1を直角に配置しなければならない。ところが、上記から、ヘアクリップhcの中心線c1と親指F1の中心線c2は一致させなければならないから、結局、親指F1の中心線c2を毛髪束Pの中心線Pcに対して直角に位置させなければならない。
しかし、このようにするためには、理美容師の右手RHの下腕RH1の中心線c3を親指F1の中心線c2に一致させる必要がある。しかし、実際にやってみると、そのような姿勢には相当に無理があり、実際は図18に見るように、親指F1の中心線c2と下腕RH1の中心線c3は角度εをもってずれてくる。ところが、この角度εがあまり大きくなりすぎると、今度は手首RH3に負担がかかるようになるので、実際の現場では角度εは人によって異なるが5°から25°くらいの範囲で作業が行われている。すなわち、中心線c3が中心線c2からあまり大きくずれない範囲で、実際の作業は行われている。
次に、下腕RH1の中心線c3と上腕RH2の中心線c4のなす角度ζを見ると、これは殆どの人で略90°となるすなわち、外側に肘ELを張り出した状態で作業が行われており、これは理美容師にとっては不自然な姿勢である。角度εを小さく保ったままで角度ζが略90°にするということは肘ELを張って下腕RH1、上腕RH2を水平状態に保つということになり、理美容師に不自然な姿勢を強いるということになる。
このため、多くの理美容師においては、ヘアクリップhcにて毛髪束Pを挟持する際に、図21に示すような姿勢となる傾向が見られる。すなわち親指F1の中心線c2と下腕RH1の中心線c3のなす角度εはできるだけ小に保つものの、角度ζが90°を大きく超えて180°に接近し、下腕RH1と上腕RH2が一直線状に近くなる。このような姿勢をとると、肘ELを緩めて下腕RH1と上腕RH2を下げることが可能となるので、理美容師にとっては楽ではあるものの、図20に見るように、親指F1の中心線c2がヘアクリップhcの中心線c1から大きく傾き、角度ηをなして交わるようになる。
前述のようにヘアクリップhcの把持部grの把持部上片a2の形状は、図15〜図17に見るように、親指F1の中心線c2とヘアクリップhcの中心線c1をぴったり一致させて、親指F1の腹部分F1aを把持部上片a2の上面に食い込ませて押圧するように設計されているため、親指F1の中心線c2とヘアクリップhcの中心線c1のなす角度ηが大になると、図22に見るように、親指F1の腹部分F1aが把持部上片a2の急角度に反り上げられた上面をw方向に滑落する場合が出てくる。即ち、親指F1の腹部分F1aを把持部上片a2の上面、特に端部a21に食い込ませた状態(図15、図16参照)にしない限り、親指F1の安定性は崩れて、w方向に滑落する可能性が大となる。
このように、親指F1の腹部分F1aがw方向に滑落すると親指F1が把持部上片a2から外れ、その結果、バネspの反発力が働いてヘアクリップhc全体が右手RHから跳躍してしまう結果ともなる(図23参照)。バネspの反発力はかなり強力なので、場合によってはヘアクリップhcが勢い良く飛ぶこともあり、被術者PSやまわりの人に当たると危険でもある。また、落ちたヘアクリップhcは衛生的に問題があって、そのままでは使えないということにもなり、余分な手間がかかる結果ともなる。実際の理美容の現場では、こういうトラブルがけっこう多く、その解決が求められていた。
また、従来のヘアクリップhcには、次のような問題もあった。すなわち、図21に見るように、大量の毛髪束Pをヘアクリップhcにて挟持しようとする場合には、ヘアクリップhcの作用部acに形成される空間s1が狭小のため(図12a、図12b参照)、図19に見るように複数のヘアクリップhcをさまざまな方向から差し入れて挟持しなければならないという点である。ヘアクリップhcには各種のサイズがあることは前述のとおりであるが、最も大型の、全長が150mm程度のヘアクリップhcをもってしても、大量の毛髪束Pを1本できちんと挟持することには無理があり、複数本を使用せねばならなかった。ヘアクリップhcの全長をさらに長いものとすることは可能であるが、全体が大型化するとバネspにも強力なものを使用しなければならなくなり、結局使用に際してはより強い力が必要となる。したがって、この点でも大型化には限界がある。
この問題は、実は、ヘアクリップhcの把持部grが短く構成される理由とも関係している。すなわち、使用するヘアクリップhcの数が多くなればなるほど、突出する把持部grの数も増えるので、邪魔になる把持部grをますます短く構成する必要が出てくるのである。しかるに、把持部grを短くすると作用部acを開く際に把持部grを押圧するためにより強い力を求められることになり、より作業が困難になってしまう。理美容師は、無理な姿勢を避けようとして図21に見るような姿勢を取りがちになり、その結果、親指F1が把持部上片a2から外れてヘアクリップhcを落とすトラブルも増加する。
さらに、上記の問題点に加え、従来のヘアクリップhcには、次のような問題点があった。すなわち、毛髪束Pを挟持したヘアクリップhcを解除する場合に、図12aあるいは図12cに示す作用部上片a1の後部a13と作用部下片b1の後部b13の間の空間s1aに、毛髪束Pの一部が噛みこまれるという事態がまま生じた。毛髪束Pの一部が空間s1aに噛みこまれると毛髪束Pからのヘアクリップhcの脱抜がうまくいかず、毛髪の一部を引っ張って被術者PSに痛い思いをさせることとなる。さらに甚だしくは、毛髪の一部が枢軸axに巻装されたバネspに噛みこまれてしまうと、場合によっては当該の毛髪を引き抜いてしまう危険さえあった。
ここで、本発明が解決しようとする課題をまとめてみると、次のとおりとなる。
<課題1>
従来のヘアクリップにおいては、使用の際に理美容師が無理な姿勢を強いられることがあり、楽な姿勢で作業を進めようとすると、ヘアクリップの中心線と親指の中心線がずれて親指が把持部上片の上面を滑落し、ヘアクリップを取り落とすトラブルが良く生じていた。これは、ヘアクリップの構成に問題があり、構成自体を変化させることにより、理美容師が楽な姿勢で作業ができ、しかも取り落とすこともないヘアクリップを開発したい。
<課題2>
従来のヘアクリップでは、大量の毛髪束を挟持しようとする場合には、複数個のヘアクリップを用いることが必要となる。したがって、毛髪束から把持部がいろいろな方向に突出する結果となり、突出した把持部が理美容師の手や他の道具に引っ掛かって挟持状態が崩れる等のトラブルが生じていた。したがって、1本で、大量の毛髪束を確実に挟持できる構成のヘアクリップが希求される。
<課題3>
従来のヘアクリップでは、毛髪束を挟持してしまえば不必要となる把持部の長さをできるだけ短く設計しようとする傾向が強かった。しかし、あまりに短くすると作用部を開くために把持部に強力な力を掛ける必要が生じるので、その解決策として、特に親指で押圧する把持部上片を斜め上方に跳ね上げ、平面視では把持部の長さを短くしつつ、把持部上片の実質の延長は可能な限り長く取れるようにした。その結果として、把持部上片は下に凸の曲面状をなし、把持部上片の端部は強く上方に反り上がる現在の形が一般的となった。しかし、この形状が親指の滑落を誘い、上記の、ヘアクリップを取り落とすというトラブルの原因ともなった。また、把持部上片が反り上げられた結果、かえってこの部分に理美容師の手や他の道具が引っ掛かるというトラブルも発生している。このような状況から、把持部全体の形状を根本的に考え直した新たなヘアクリップの開発が望まれるところである。
<課題4>
さらに、上記に付帯する課題として、従来のヘアクリップにては、挟持状態を解除する際に、毛髪の一部が作用部上片の後部と作用部下片の後部に形成される空間に噛みこまれ、さらには枢軸に巻装されたバネに噛みこまれる危険さえあった。顧客に対して、一度でもこのようなトラブルを起こすと、その顧客は二度とその店を訪れなくなる可能性もあるので、この点も重大な問題である。したがって、構成上このようなトラブルの起こすことのないヘアクリップの開発も、また望まれていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、以下に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
上片と下片が枢軸により枢着され、枢軸より正面側に毛髪束を挟持するための作用部が形成され、枢軸より背面側に把持部が形成され、作用部の長手方向の長さが把持部の長手方向の長さより長く、把持部に力がかかっていない状態にて作用部の作用部上片と作用部下片を閉じるように付勢するばねを有しているヘアクリップにおいて、把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに5°〜20°の範囲内の角度を有していることを特徴とするヘアクリップ。
<解決手段2>
把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに7°〜15°の範囲内の角度を有していることを特徴とする解決手段1に記載のヘアクリップ。
<解決手段3>
作用部の上片を作用部上片とし作用部の下片を作用部下片とした場合に、作用部上片の前端部と作用部下片の前端部が閉じた状態にて作用部上片の下面と作用部下片の上面との間に高さの最大値が5mm〜20mmの空間が形成されるように構成されていることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2に記載のヘアクリップ。
<解決手段4>
把持部の上片を把持部上片とし把持部の下片を把持部下片とした場合に、把持部上片の上面が上に凸の曲面状をなすことを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2にあるいは解決手段3に記載のヘアクリップ。
<解決手段5>
平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの25%〜40%の範囲内であることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2あるいは解決手段3あるいは解決手段4に記載のヘアクリップ。
<解決手段6>
平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの30%〜35%の範囲内であることを特徴とする解決手段5に記載のヘアクリップ。
<解決手段7>
作用部下片の上面の後部の枢軸近傍において、盛り上がり部を有していることを特徴とする解決手段1あるいは解決手段2にあるいは解決手段3あるいは解決手段4あるいは解決手段5あるいは解決手段6に記載のヘアクリップ。
本発明の、解決手段1あるいは解決手段2の発明によれば、把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに5°〜20°の範囲内の角度あるいは時計回りに7°〜15°の範囲内の角度を有しているので、理美容師が被術者の毛髪束を挟持せんとする際に、理美容師に無理な姿勢を強いることがない。すなわち、理美容師が上腕部と下腕部を略直角に保つように即ち肘を張るように努力しなくても、把持部の中心線と親指の中心線のなす角度を小さくすることができ、しかも作用部を毛髪束の中心線に対して直角に位置させることが可能である。この結果として、理美容師は、楽な姿勢で確実に毛髪束を挟持可能となり、またそれゆえにヘアクリップを手から取り落とすトラブルも減少する。
なお、作用部の中心線と把持部の中心線のなす角度に一定の範囲が設けてある理由は、理美容師の個人的な癖や好みによって、適性角度(適する角度)が異なってくるという理由による。この点を明らかにするために、試作品を作って多くの理美容師に実際に使ってもらい、意見を聞いた。その結果として、適性角度の最小値を5°、最大値を20°とした。また、さらに狭い7°〜15°の範囲は、多くの理美容師の支持を得た適性角度である。なお、一番支持の多かった適性角度は13°前後であった。
本発明の解決手段3の発明によれば、作用部上片の前端部と作用部下片の前端部が閉じた状態にて作用部上片の下面と作用部下片の上面との間に高さの最大値が5mm〜20mmの空間が形成されるように構成されているので、大量の毛髪束も1本のヘアクリップで無理なく確実に挟持できる。なお、適性数値範囲が5mm〜20mmと広いのは、挟持する毛髪束の量によって作用部上片の下面と作用部下片の上面との間の高さの適性な最大値が変化するためである。
すなわち、挟持対象の毛髪束が少量になれば作用部上片の下面と作用部下片の上面との間の高さの最大値は小となり(5mm以上8mm未満)、挟持対象の毛髪束がやや多めになれば作用部上片の下面と作用部下片の上面との間の高さの最大値もやや大なり(8mm以上15mm未満)、挟持対象の毛髪束がさらに多くなれば作用部上片の下面と作用部下片の上面との間の高さの最大値もさらに大となる(15mm以上20mmまで)。適性数値範囲の下限値の5mmは、これを下回ると従来のヘアクリップとの区別が余りつかなくなるという意味での限界値であり、上限値の20mmは、これを上回るとヘアクリップの構成(部材の曲率等)自体に無理が生じるという限界である。なお、事実上は、よほど大量の毛髪束ではない限り、高さの最大値は8mm〜15mm程度で充分対応可能である。
本発明の解決手段4の発明によれば、把持部上片の上面が上に凸の曲面状をなしているので、把持部上片の端部が従来のヘアクリップのように突出することがなく、把持部の長さを長くしても理美容師の手や他の道具が端部に引っ掛かることがなく、毛髪束の挟持が崩れる等のトラブルが生じない。また、把持部上片の上面を親指の腹部分が滑落するという事態も発生しないので、そのことが原因で理美容師がヘアクリップを取り落とすというトラブルも生じなくなる。
本発明の解決手段5あるいは解決手段6の発明によれば、平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの25%〜40%の範囲内あるいは30%〜35%の範囲内と、従来のヘアクリップに比べて長く構成してあるので、把持部を押圧する力が従来のヘアクリップに比べて少なくて済む。その分、理美容師の疲労感も少なく、作業が快適になる。また、大型でバネの力の強いヘアクリップも楽に扱えるようになる。なお、把持部の長手方向の長さを作用部の長手方向の長さで除した値の百分率を、以下ρと記載し、数値範囲の説明をする。
百分率ρの第1の範囲25%〜40%の下限値の25%は、これを下回ると従来のヘアクリップと余り使い勝手が変わらないものとなってしまう限界の値として設定した。また、上限値の40%は、ヘアクリップの全体のサイズを考えた場合に、把持部の長さの上限値として設定したものである。例えば、最も大きなサイズのヘアクリップにおいては、作用部の長さが120mm前後となるが、この40%として把持部の長さを計算すると48mmであり、ヘアクリップの全長は168mmとなる。これは、操作性からいってもヘアクリップの全重量からしてもヘアクリップのサイズの略限界値といってよく、これを上回るサイズのヘアクリップを実際に用いることはまずありえないと考えられる。
百分率ρの第2の範囲30%〜35%は、理美容の現場にて多く用いられるサイズのヘアクリップにおける百分率ρの適性数値範囲として設定したもので、この数値範囲は、試作品を多くの理美容師に使ってもらった結果の値として導出したものである。すなわち、百分率ρがこの範囲内のヘアクリップに対し、使いやすいとして多くの理美容師の支持が集まったものである。
本発明の解決手段7の発明によれば、作用部下片の上面の後部の枢軸近傍において、盛り上がり部を有しているので、毛髪束の挟持を解除する際にも、毛髪の一部が作用部上片の後部と作用部下片の後部に形成される空間に噛みこまれることがなく、また枢軸に巻装されたバネに噛みこまれる危険も生じない。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例1〜4は、いずれも解決手段7に記載の発明の1実施例である。
<実施例1の構成>
実施例1のヘアクリップHC1を、図1a〜図4aに示す。なお、図1aはヘアクリップHC1の右側面図、図1bは左側面図、図2aは平面図、図2bは底面図、図3aは背面図、図3bは正面図、図4aは外観斜視図でいずれも作用部ACが閉じられた状態を示す。
実施例1のヘアクリップHC1は、上片1と下片2が枢軸3により枢着され、枢軸3より正面側に毛髪束P(図5b参照)を挟持する作用部ACが形成され、枢軸3より背面側に把持部GRが形成され、作用部ACの長手方向の長さD1が把持部GRの長手方向の長さD2より長く(図2a参照)、把持部GRに力がかかっていない状態にて作用部ACの作用部上片11と作用部下片21を閉じるように付勢するバネ4を有している。実施例1のヘアクリップHC1にては、長さD1は100mm、長さD2は33mm、また、全体の長さDは133mmである。
また、実施例1のヘアクリップHC1においては、把持部GRの平面視における長手方向の中心線C2が作用部ACの平面視における長手方向の中心線C1に対して時計回りに角度αを有している(図2a参照)。角度αは、実施例1のヘアクリップHC1においては13°である。図2aに明らかなように、ヘアクリップHC1全体の屈曲点ωは、枢軸3のやや後方に位置している。
さらに、実施例1のヘアクリップHC1においては、作用部上片11の前端部11aと作用部下片21の前端部21aが閉じた状態にて作用部上片11の下面と作用部下片21の上面との間に高さの最大値がD3の空間S1が形成されるように構成されている。この空間S1は、作用部下片21が側面視(図1a、図1b参照)で下に凸の曲線状に屈曲されることにより形成されている。実施例1のヘアクリップHC1においては、高さD3は10.5mmである。
把持部GRは把持部上片12と把持部下片22から構成されるが、把持部上片12の上面は上に凸の曲面状をなす。これに対し、把持部下片22は後端部がやや上方に反った板状をなす。また、平面視において把持部GRの長手方向の長さD2が作用部ACの長手方向の長さD1の約33%となっている(図2a参照)。なお、長さD1は、全体の長さDに対しては約25%である。さらに、作用部下片21の上面の後部21cの枢軸3の近傍において、盛り上がり部21dを有している。
上片1は図6a、図7a〜図7dに見るように、作用部AC側の作用部上片11が側面視で緩やかな弧を描く板状、把持部GR側の把持部上片12が上に凸の曲面状をなし、作用部上片11と把持部上片12が一体として形成されている。また、作用部上片11と把持部上片12の中間部分にて、左右両側面が下方に延伸されたフランジFR1、FR2として形成されている。フランジFR1には円孔H1が、フランジFR2には円孔H2が、夫々穿設されているが、円孔H1、H2は、枢軸3を挿貫させるための構成である。フランジFR1、FR2はその高さを減じながら把持部上片12まで延伸されている。
また、作用部上片11は、図7b、図7cに明らかなように断面が緩やかなアーチ状をなしており、後部11cに向かうに従い、徐々に厚さを増加させる。さらに、把持部上片12は上述のように左右両側面にフランジFR1、FR2を有し、前部12aの上面は緩やかなスロープ状となり、後端部12bの上面は上に凸の曲面状に丸められている。この点は、従来のヘアクリップhcの把持部上片a2の端部a21(図12a参照)と対照的である。なお、上片1の材質としては、金属、合成樹脂、木材が考えられるが、通常は金属製あるいは合成樹脂製とされる。
下片2は、図6c、図8a〜図8eに見るように、作用部AC側の作用部下片21が側面視で屈曲された板状をなし、把持部GR側の把持部下片22が、前部22aと後部22bが僅かに屈折された板状をなし、作用部下片21と把持部下片22が一体として形成されている。また、作用部下片21と把持部下片22の中間部分にて、左右両側面が上方に延伸されたフランジFR3、FR4として形成されている。フランジFR3には円孔H3が、フランジFR4には円孔H4が、夫々穿設されているが、円孔H3、H4は、枢軸3を挿貫させるための構成である。
また、作用部下片21は、図8cに明らかなように断面が緩やかなアーチ状をなしており、後部21cには山状の盛り上がり部21dが後部21cと一体に形成されている。さらに、把持部下片22の後部22を除く部分の上面には、左右両側面のごく低いフランジFR5、FR6に画された凹部22cが形成されている。なお、下片2の材質としては、金属、合成樹脂、木材が考えられるが、通常は金属製とされる。これは、下片2は頭皮側に位置する部材であるが、作業中は頭皮側にはパーマ液など各種の薬液が塗布されていることが多く、合成樹脂製とした場合には薬液による合成樹脂の劣化が顕著であるという理由による。
枢軸3は、図6bに見るように、円筒形状の本体3aと、本体3aの両端に付着された半球状の頭部3b、3cから構成されており、図3aに見るように、右端がフランジFR1の円孔H1、フランジFR3の円孔H3に回動自在に挿貫され、左端がフランジFR2の円孔H2、フランジFR4の円孔H4に回動自在に挿貫されている。また、本体3aにはコイルバネであるバネ4が巻装されており、バネ4の一方の端部4aは把持部上片12の下面に形成される空間Saに格納係止され、他方の端部4bは把持部下片22の上面に形成される凹部22cに格納係止される(図1a参照)。なお、枢軸3とバネ4は金属製である。
<実施例1の作用>
実施例1のヘアクリップHC1は、図4bに示すように、把持部GRを閉じる方向に、すなわち、右手RHの親指F1の腹部分F1aにて把持部上片12を押し下げ(方向X1)ると同時に人差指F2の側面部分F2aにて把持部下片22を押し上げる(方向X2)ように力をかけると、作用部ACにて、作用部上片11の前端部11aが時計回り方向(図4bの方向Y1)に、作用部下片21の前端部21aが反時計回り方向(図14bの方向Y2)に回動して空間S1は拡大され、バネ4(図1a参照)は把持部GRを開く方向に付勢される。
この状態を保ったまま、空間S1に毛髪束Pを挿入して(図4b、図5a、図5b参照)、把持部GRにかけていた力を解除すると、バネ4の反発力により把持部GRは図4aの状態に復元しようとし、作用部ACの前端部11aは反時計回り方向(図4bの方向Z1)に、前端部21aは時計回り方向(図4bの方向Z2)に回動して作用部ACが閉じ、毛髪束Pは作用部上片11と作用部下片21の間に挟持される。バネ4は、毛髪束Pを挟持した状態にてなお把持部GRを開くように付勢されており、この力は作用部ACをさらに閉じる方向に付勢するので、毛髪束PはヘアクリップHC1の作用部ACに確実に挟持され固定された状態となる。
この際、図5aに見るように、ヘアクリップHC1の把持部GRの中心線C2は作用部ACの中心線C1に対して時計回りに角度αをもって交わっているので、作用部ACの中心線C1と親指F1の中心線C3の交わる角度β1と把持部GRの中心線C2と親指F1の中心線C3の交わる角度β2を比較すると、角度β2は角度β1から角度αを差し引いた値となる。
この状態を、従来のヘアクリップhcの把持状態(図17、図18、図20、図21参照)と比較すると、以下のとおりである。すなわち、従来のヘアクリップhcにおいては、図17に示すようにヘアクリップhcの中心線c1と親指F1の中心線c2を一致させる把持方法が理想的な把持状態であったが、この把持方法は理美容師に大きな負担感を強いるので、図20に見るように親指F1の中心線c2を大きく傾け、ヘアクリップhcの中心線c1と親指F1の中心線c2が角度ηで交わるような状態で使用する傾向があることは前に述べたとおりである。また、これによるトラブルの発生、すなわちヘアクリップhcを取り落とすというトラブルが起こることも前述のとおりである。
これに対し、実施例1のヘアクリップHC1にては、図5aに見るように、ヘアクリップHC1の把持部GR自体が角度αをもって理美容師の身体(図示せず)側に屈曲されているので、たとえ図20に示すような持ち方をしたとしても、すなわち、図5aの角度β1と図20の角度ηが等しくなるような持ち方をしたとしても、把持部GRの中心線C2と親指F1の中心線C3がなす角度β2は、角度β1(=角度η)より角度α分だけ緩やかとなり、その分だけ上記トラブルの発生を減らすことができる。
また、これに加えて、図1aに示すように把持部上片12の上面自体が従来のヘアクリップhcの把持部上片a2と正反対の形状、すなわち上に凸の緩やかなスロープをなし、さらに後端部12bも従来のヘアクリップhcの把持部上片a2の反り上げられた端部a21とは対照的に丸められた状態であるので、親指F1の腹部分F1aが把持部上片12の上面を滑落することがなく、この点においても、従来のヘアクリップhcのように取り落とすというトラブルの発生が抑えられる。すなわち、従来のヘアクリップhcにおいては、図16、図17に示すように、親指F1の腹部分F1aがきちんと把持部上片a2、特に端部a21を押さえ込んでいる限り問題は生じないが、図20に示すように、親指F1の腹部分F1aが端部a21からはずれると、図22のように親指F1全体が把持部上片a2からw方向に滑落する可能性が高かった。しかるに、実施例1のヘアクリップHC1にては、把持部上片12の上面自体が上に凸の緩やかなスロープをなし且つ従来のヘアクリップhcの端部a21のような特異点を有しないので、把持部の中心線C2と親指の中心線C3を一致させた持ち方の場合(図示せず)も、図5aのように把持部の中心線C2と親指の中心線C3が角度β1をなして交わる持ち方の場合も、実質的には殆ど把持具合は変わらず、いずれも安定的な把持が可能である。
以上に述べたような2点の構成上の特徴により、実施例1のヘアクリップHC1は、理美容師が図5a、図5bに示すような疲労感の少ない把持方法にて使用したとしても、従来のヘアクリップhcに見られたトラブルから開放されるものである。すなわち、図5bに見るように、作用部ACの中心線C1と親指F1の中心線C3のなす角度β1と、作用部ACの中心線C1と下腕RH1の中心線C4のなす角度γを略等しくさせ、さらに下腕RH1の中心線C4と上腕RH2の中心線C5のなす角度δをできる限り180°に近づけた状態、すなわち肘ELを緩ませた状態が理美容師にとっては最も疲労感の少ない使用状態であるが、この状態にても、前述の2つの理由から、理美容師はヘアクリップHC1を取り落とすことなく、確実に毛髪束Pを挟着係止できるものである。
またさらに、図1aに見るように、作用部上片11と作用部下片21の間に、最大の高さがD3となるような空間S1を有しているので、従来のヘアクリップhcでは複数本を要した大量の毛髪束Pを挟着する場合(図19参照)にても、実施例1のヘアクリップHC1を使用すれば図5bに示すように1本のヘアクリップHC1にて完全且つ確実に挟着係止を行うことができる。この点は、試作品を作って実験を繰り返したが、実験に参加したどの理美容師が行っても1本のヘアクリップHC1にて完全且つ確実に挟着係止を行うことができ、非常に好評であった。
さらに、実施例1のヘアクリップHC1においては、図1a、図8a、図6cに見るように、作用部下片21の後部21cに盛り上がり部21dが設けてあるので、ヘアクリップHC1を解除する際にもこの盛り上がり部21dが障壁の役割を果たし、毛髪が作用部ACの枢軸3近傍に巻き込まれることがなくなった。すなわち、被術者PSに危険を及ぼす惧れのない安全に使用できるヘアクリップHC1を提供できるようになったものである。
実施例2のヘアクリップHC2を、図9a、図9bに示す。実施例2のヘアクリップHC2の構成は、実施例1のヘアクリップHC1の構成と略同様で、上片5と下片6が枢軸3により枢着され、枢軸3より正面側に毛髪束P(図5b参照)を挟持する作用部ACが形成され、枢軸3より背面側に把持部GRが形成され、把持部GRに力がかかっていない状態にて作用部ACの作用部上片51と作用部下片61を閉じるように付勢するバネ4を有している(図9a参照)。また、把持部GRの平面視における長手方向の中心線C2が作用部ACの平面視における長手方向の中心線C1に対して時計回りでαの角度を有している(図9b参照)。
実施例2のヘアクリップHC2が実施例1のヘアクリップHC1と大きく異なる点は、作用部上片51と作用部下片61の形状である。すなわち、作用部ACにおいて最大の高さがD4である空間S2を確保するために、作用部上片51を側面視で上に凸状に屈曲させ、作用部下片61は側面視で略水平状態としている。なお、高さD4は、実施例2のヘアクリップHC2にては8.5mmである。また、実施例2のヘアクリップHC2の作用は実施例1のヘアクリップHC1と略同様である。
実施例3のヘアクリップHC3を、図10a、図10bに示す。実施例3のヘアクリップHC3の構成も、実施例1のヘアクリップHC1の構成と略同様で、上片7と下片8が枢軸3により枢着され、枢軸3より正面側に毛髪束P(図5b参照)を挟持する作用部ACが形成され、枢軸3より背面側に把持部GRが形成され、把持部GRに力がかかっていない状態にて作用部ACの作用部上片71と作用部下片81を閉じるように付勢するバネ4を有している(図10a参照)。また、把持部GRの平面視における長手方向の中心線C2が作用部ACの平面視における長手方向の中心線C1に対して時計回りでαの角度を有している(図10b参照)。
実施例3のヘアクリップHC3が実施例1のヘアクリップHC1と大きく異なる点は、作用部上片71と作用部下片81の形状である。すなわち、作用部ACにおいて最大の高さがD5である空間S3を確保するために、作用部上片51を側面視で上に凸状に屈曲させ、作用部下片61を側面視で下に凸状に屈曲させている。なお、高さD5は、実施例3のヘアクリップHC3にては14.5mmである。また、実施例3のヘアクリップHC3の作用は実施例1のヘアクリップHC1と略同様であるが、作用部上片71と作用部下片81を両方とも屈曲させているので、作用部上片71と作用部下片81の形状に無理な曲線を導入することなく、高さD5を高さD4より大とすることができる。したがって実施例3のヘアクリップHC3は実施例1のヘアクリップHC1に比較して、より多量の毛髪束の挟持に用いられるものである。
実施例4のヘアクリップHC4を、図11a、図11bに示す。実施例4のヘアクリップHC4の構成も、実施例1のヘアクリップHC1の構成と略同様で、上片9と下片10が枢軸3により枢着され、枢軸3より正面側に毛髪束P(図5b参照)を挟持する作用部ACが形成され、枢軸3より背面側に把持部GRが形成され、把持部GRに力がかかっていない状態にて作用部ACの作用部上片91と作用部下片101を閉じるように付勢するバネ4を有している(図11a参照)。また、把持部GRの平面視における長手方向の中心線C2が作用部ACの平面視における長手方向の中心線C1に対して時計回りでαの角度を有している(図11b参照)。
実施例4のヘアクリップHC4は実施例1のヘアクリップHC1において、作用部ACにおいて空間S4を実施例1のヘアクリップHC1の空間S1より小とした例である。すなわち、空間S4の最大の高さD6を、空間S1の最大の高さD3の半分程度としている。したがって、作用部下片101の側面視での曲率が、実施例1のヘアクリップHC1の作用部下片21の側面視での曲率よりかなり緩やかなものとされている。したがって実施例4のヘアクリップHC4は実施例1のヘアクリップHC1に比較して、より少量の毛髪束の挟持に用いられるものである。なお、高さD6は、実施例4のヘアクリップHC4にては5.5mmである。
本発明のヘアクリップは、従来のヘアクリップに存した多くの問題点を解決したものであり、大量の毛髪束を1本で挟持でき、使い勝手が良く、ヘアクリップを取り落とすというトラブルの発生もない便利な道具として、特に理美容業界において、幅広い層の理美容師に歓迎される技術内容を有するものである。
(a)本発明の実施例1のヘアクリップの右側面図である。(b)本発明の実施例1のヘアクリップの左側面図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの平面図である。(b)本発明の実施例1のヘアクリップの底面図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの背面図である。(b)本発明の実施例1のヘアクリップの正面図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの外観斜視図である。(b)本発明の実施例1のヘアクリップの作用を説明する説明図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの作用を説明する説明図である。(b)本発明の実施例1のヘアクリップの作用を説明する説明図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの上片の外観斜視図である。 (b)本発明の実施例1のヘアクリップの枢軸とバネの外観斜視図である。 (c)本発明の実施例1のヘアクリップの下片の外観斜視図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの上片の右側面図である。 (b)図7aのA−A線断面図である。 (c)図7aのB−B線断面図である。 (d)図7aのC−C線断面図である。 (a)本発明の実施例1のヘアクリップの下片の右側面図である。 (b)図8aのD−D線断面図である。 (c)図8aのE−E線断面図である。 (d)図8aのF−F線断面図である。 (e)図8aのG−G線断面図である。 (a)本発明の実施例2のヘアクリップの右側面図である。 (b)本発明の実施例2のヘアクリップの要部の平面図である。 (a)本発明の実施例3のヘアクリップの右側面図である。 (b)本発明の実施例3のヘアクリップの要部の平面図である。 (a)本発明の実施例4のヘアクリップの右側面図である。 (b)本発明の実施例4のヘアクリップの要部の平面図である。 (a)従来のヘアクリップの一例の右側面図である。 (b)図12aの要部の拡大図である。 (c)従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 (a)従来のヘアクリップの一例の平面図である。 (b)図13aの要部の拡大図である。 従来のヘアクリップの一例の外観斜視図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。 従来のヘアクリップの一例の作用を説明する説明図である。
符号の説明
1 上片
11 作用部上片
11a 前端部
11b 中間部
11c 後部
12 把持部上片
12a 前部
12b 後端部
2 下片
21 作用部下片
21a 前端部
21b 中間部
21c 後部
21d 盛り上がり部
22 把持部下片
22a 前部
22b 後部
22c 凹部
3 枢軸
3a 本体
3b 頭部
3c 頭部
4 バネ
4a 端部
4b 端部
5 上片
51 作用部上片
6 下片
61 作用部下片
7 上片
71 作用部上片
8 下片
81 作用部下片
9 上片
91 作用部上片
10 下片
101 作用部下片
AC 作用部
C1 中心線
C2 中心線
C3 中心線
C4 中心線
D 長さ
D1 長さ
D2 長さ
D3 高さ
D4 高さ
D5 高さ
D6 高さ
EL 肘
F1 親指
F1a 腹部分
F2 人差指
F2a 側面部分
FR1 フランジ
FR2 フランジ
FR3 フランジ
FR4 フランジ
FR5 フランジ
FR6 フランジ
GR 把持部
H 頭髪
H1 円孔
H2 円孔
H3 円孔
H4 円孔
HC1 ヘアクリップ
HC2 ヘアクリップ
HC3 ヘアクリップ
HC4 ヘアクリップ
P 毛髪束
P1 毛髪束
PS 被術者
Pc 中心線
RH 右手
RH1 下腕
RH2 上腕
RH3 手首
S1 空間
S2 空間
S3 空間
S4 空間
Sa 空間
X1 方向
X2 方向
Y1 方向
Y2 方向
Z1 方向
Z2 方向
a 上片
a1 作用部上片
a11 前端部
a12 中間部
a13 後部
a2 把持部上片
a21 端部
ac 作用部
ax 枢軸
b 下片
b1 作用部下片
b11 前端部
b12 中間部
b13 後部
b2 把持部下片
c1 中心線
c2 中心線
c3 中心線
c4 中心線
d 長さ
d1 長さ
d2 長さ
d3 高さ
gr 把持部
hc ヘアクリップ
sp バネ
s1 空間
s1a 空間
w 方向
x1 方向
x2 方向
y1 方向
y2 方向
z1 方向
z2 方向
α 角度
β1 角度
β2 角度
ε 角度
ζ 角度
η 角度
ρ 百分率
ω 屈曲点



















Claims (7)

  1. 上片と下片が枢軸により枢着され、枢軸より正面側に毛髪束を挟持するための作用部が形成され、枢軸より背面側に把持部が形成され、作用部の長手方向の長さが把持部の長手方向の長さより長く、把持部に力がかかっていない状態にて作用部の作用部上片と作用部下片を閉じるように付勢するばねを有しているヘアクリップにおいて、把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに5°〜20°の範囲内の角度を有していることを特徴とするヘアクリップ。
  2. 把持部の平面視における長手方向の中心線が作用部の平面視における長手方向の中心線に対して時計回りに7°〜15°の範囲内の角度を有していることを特徴とする請求項1に記載のヘアクリップ。
  3. 作用部の上片を作用部上片とし作用部の下片を作用部下片とした場合に、作用部上片の前端部と作用部下片の前端部が閉じた状態にて作用部上片の下面と作用部下片の上面との間に高さの最大値が5mm〜20mmの空間が形成されるように構成されていることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のヘアクリップ。
  4. 把持部の上片を把持部上片とし把持部の下片を把持部下片とした場合に、把持部上片の上面が上に凸の曲面状をなすことを特徴とする請求項1あるいは請求項2にあるいは請求項3に記載のヘアクリップ。
  5. 平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの25%〜40%の範囲内であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3あるいは請求項4に記載のヘアクリップ。
  6. 平面視において把持部の長手方向の長さが作用部の長手方向の長さの30%〜35%の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のヘアクリップ。
  7. 作用部下片の上面の後部の枢軸近傍において、盛り上がり部を有していることを特徴とする請求項1あるいは請求項2にあるいは請求項3あるいは請求項4あるいは請求項5あるいは請求項6に記載のヘアクリップ。

























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