JP2008178333A - 水分移行抑制用油脂組成物及びこれを使用した食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、簡便な方法で、水分含量の異なる複数の食品素材を組み合わせた複合食品において、食品素材間の水分移行を抑制する油脂組成物及びこれを使用した食品並びに食品内水分移行抑制方法を提供する事にある。
【解決手段】本発明は、融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む水分移行抑制用油脂組成物であり、食用油脂の密度が20℃において0.90〜0.94g/ccの範囲であって、油脂組成物全体に対してキャンデリラワックスを1.0〜8.0重量%含み、当該油脂組成物を使用した食品である。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品内水分移行抑制用油脂組成物及びこれを使用した食品に関する。
市場には焼き菓子のような水分含量の低い食品と生クリームやフルーツフィリングのような水分含量の高い食品と組み合わせて異なる食感や風味のコントラスト及び外観の面白さを作り出した様々な食品が存在する。しかし、製造後の時間の経過とともに水分が異なる素材の間を移行することにより、低水分側の素材は「パリパリ」「サクサク」といった独特の食感が失われ、高水分側の素材はその特徴である瑞々しさが失われ、商品価値が低下することが問題となる。
このような水分含量の異なる複数の食品素材を組み合わせた複合食品において、食品素材間の水分移行を抑制する組成物がいくつか提案されている。
特許文献1では、卵白、乳タン白、未加工澱粉および水の混合物を調製し、ついでこの混合物を食品の外面に被覆して、被覆食品を得、卵白量は少なくとも約5重量%であり、乳タン白量は少なくとも約5重量%であり、未加工澱粉量は少なくとも約25重量%であり、水量は少なくとも40重量%であり、各重量は混合物重量に基づくことを特徴とする、食品の処理方法が提案されている。この提案はタンパク質、澱粉及び水を含む組成物であって、素材自体の親水性が高いので水分移行抑制効果としては不充分であった。
特許文献2では油脂と天然ワックスを組み合わせた方法が開示されているが、キャンデリラワックスが特に優れている点については言及されていない。
特許文献3ではキャンデリラワックスと油脂を組み合わせて油脂移行を抑制する方法が提案されている。しかし、その効果は油脂移行に限定されたものであって、水分移行抑制効果については全く述べられていない。
特許文献4では1, 2位飽和、3位不飽和トリグリセリド(SSU型)を主成分とする特定のトリグリセリド組成の油脂を使用して水分移行を抑制する方法が開示されている。しかし、SSU型トリグリセリドを主成分とする油脂を得るためにはいくつかの加工工程を必要とし簡便性に問題があった。
特開平7−99896号公報 米国特許第5130150号明細書 特開平6−7087号公報 国際公開第2006−16576号明細書
本発明の目的は、簡便な方法で、水分含量の異なる複数の食品素材を組み合わせた複合食品において、食品素材間の水分移行を抑制する油脂組成物及びこれを使用した食品並びに食品内水分移行抑制方法を提供する事にある。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定の食用油脂と天然ワックスの中でもキャンデリラワックスとの組み合わせが上記目的達成に有効であることを見出し本発明を完成させた。
即ち本発明の第1は、融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む水分移行抑制用油脂組成物である。第2は、食用油脂の密度が20℃において0.90〜0.94g/ccの範囲である、第1記載の水分移行抑制用油脂組成物である。第3は、キャンデリラワックスを1.0〜8.0重量%含む、第1記載の水分移行抑制用油脂組成物である。第4は、食用油脂が20℃において液状の場合はゲル状であり、食用油脂が20℃において非液状の場合は油脂結晶が微細である、第1記載の水分移行抑制用油脂組成物である。第5は、水分透過率が2.5重量%未満である、第1記載の水分移行抑制用油脂組成物である。第6は、第1〜第5何れか1に記載の水分移行抑制用油脂組成物を使用してなる食品である。第7は、食品が低水分領域及び高水分領域を含む、第6記載の食品である。第8は、低水分領域が第1記載の水分移行抑制用油脂組成物で被覆されている、第7記載の食品である。第9は、融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む油脂組成物を用いる食品内水分移行抑制方法である。
簡便な方法で、水分含量の異なる複数の食品素材を組み合わせた複合食品において、食品素材間の水分移行を抑制する油脂組成物及びこれを使用した食品並びに融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む油脂組成物を用いる食品内水分移行抑制方法を提供する事が可能になった。
本発明の水分移行抑制用油脂組成物は融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含むものである。
食用油脂としては菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂が例示できる。
食用油脂の融点が40℃を超えると本発明の水分移行抑制用油脂組成物で被覆された食品を食したときに口溶けが非常に悪く、食感が大きく損なわれてしまう。
本発明においては融点40℃以下の食用油脂の中でも、食用油脂の密度が20℃で0.90〜0.94g/ccの範囲のものが好ましく、より好ましくは0.91〜0.94g/ccの範囲のものであり、更に好ましくは0.92〜0.93g/ccの範囲のものである。
密度が低いと油脂単独の水分移行抑制効果が低くなり、キャンデリラワックスと組み合わせても十分な効果を得難くなる。
密度が高いと油脂組成物の柔軟性が乏しくなり、時間の経過とともに起こる油脂組成物自体の収縮や食品原料の収縮及び膨張により被覆した水分移行抑制用油脂組成物に亀裂が生じ十分な効果が得難くなる。
密度は乾式密度計(島津社製アキュピック)を使用して測定した。
本発明においては融点40℃以下の食用油脂として具体的には、20℃で液状の油脂と非液状の油脂に大別できる。
20℃で液状の油脂とは、油脂を85℃に完全に融解し、100ml容のビーカーに50g分取し、20℃に24時間静置した後、目視による観察で液状状態を呈している油脂である。
例えば、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム低融点画分油、パーム核低融点画分油、乳脂低融点画分油、ラード低融点画分油が例示でき、融点10℃以下の油脂は当然ながらこれに含むものである。
20℃において非液状の油脂とは、油脂を85℃に完全に融解し、100ml容のビーカーに50g分取し、20℃に24時間静置した後、目視による観察でペースト状態、可塑性状態を示す食用油脂であって、具体的には段落番号〔0008〕で例示した何れの油脂からも適用でき、20℃において非液状の油脂は概ね15℃において油脂結晶を有している。
本発明においては天然ワックスとしてキャンデリラワックス、モクロウ、カルナバワックス、蜜蝋、ライスワックス等存在する中にあって、キャンデリラワックスが必要である。キャンデリラワックスを添加することによって、食用油脂が20℃において液状の場合はゲル状にしたり、食用油脂が20℃において非液状の場合は油脂結晶を微細にしたりすることが出来る。一方、その他の天然ワックスを液状油脂に添加した場合、液状のままであったり、結晶化して固液分離してしまったり、粗大結晶化してしまったりする。また、非液状油脂に添加した場合は油脂の結晶を微細にする効果が乏しい。
微細結晶とは、具体的には偏光顕微鏡(Nikon社製 OPTIPHOT2−POL)で観察した際に、倍率100倍で、10μ以下で比較的均一に分散している状態を示すもの、最大径が40μ程度であって最小径が10μ程度以下の結晶も含むような幅広い結晶分布状態を示すもの、10〜20μ程度の結晶が分散している状態を示すものが例示できる。 即ち微細結晶とは40μ以下の結晶を有するものをいい、この中でも油脂結晶が10μ以下で比較的均一に分散している状態のもの又は10〜20μ程度の結晶が分散している状態を示すものが水分移行抑制効果が優れている点で好ましい。
キャンデリラワックスは中米の高原地帯に生育するキャンデリラ草より得られる天然ワックスである。炭素数31のヘントリアコンタンを主成分とする炭化水素を40〜50%含み、またトリテルペンなどの樹脂類を15〜18%含有している点が特徴的であり、ロウエステルを中心とした他の天然ワックスと成分組成が大きく異なる。
キャンデリラワックスの含む量としては、水分移行抑制用油脂組成物全体に対して1.0〜8.0重量%が好ましく、より好ましくは2.0〜6.0重量%であり、更に好ましくは3.0〜5.0重量%である。
キャンデリラワックスの含む量が少ないと液状油の場合は、ゲル状が得難くなり、非液状油脂の場合は微細な結晶状態が得難くなり、充分な水分移行抑制効果が得難くなる。一方、多いと水分移行抑制用油脂組成物の粘度が高くなり作業性が悪化する。また、融点が高くなり、キャンデリラ自身の風味により水分移行抑制用油脂組成物の風味も悪くなる。
本発明の水分移行抑制用油脂組成物においては、キャンデリラワックスを油脂組成物全体に対して1.0〜8.0重量%含むものであって、食用油脂が液状の場合はゲル状を呈するものが好ましく、このような状態によって食品素材間の水分移行を抑制することが出来る。
そして、食用油脂が非液状の場合は油脂結晶が微細であることが好ましい。
具体的には液状油脂の場合、キャンデリラワックスを添加すると半透明のゲル状となり、45〜50℃に加温するまでゲルは崩れない。非液状の油脂の場合はキャンデリラワックス添加すると油脂の結晶状態は非常に細かく変化している。
このように微細結晶を有する油脂は可塑性状態を呈しており凸凹の激しい食品の表面を連続的に覆うことが可能となる
このようにある特定の食用油脂とキャンデリラワックスを組み合わせることによって食品素材間の低水分領域と高水分領域間のバリヤーとして機能することができる。
このようなバリヤー機能の評価方法の一つとして、具体的には段落番号〔0020〕に記載の水分移行評価において、水分透過率が2.5重量%未満であるのが好ましく、より好ましくは2.0重量%未満である。この値が高いと実際の食品に使用した場合に水分移行防止効果が不十分であり、移行に伴って生じる既述のような問題点を解決し難くなる。
本発明の水分移行抑制用油脂組成物の使用方法としては食品原料である低水分領域または高水分領域に対して、塗布、噴霧、浸漬、上掛け等、従来油脂を用いて行われてきた手段で容易に行うことができる。
低水分領域が水分移行抑制用油脂組成物で被覆されているのが好ましい。
本発明で言う高水分領域と低水分領域は、複合食品中の使用食品の相対的水分の高低により定まるが、概して低水分領域としては、ソフトクリームのコーンカップ、モナカ皮、アーモンドナッツ、ピーナッツ等のナッツ類、コーンフレーク等のシリアルフレーク、シリアルパフ、クッキーやプレッツェルといった焼き菓子類、フライ衣、パイ生地、パン、パン粉等を例示でき、高水分領域としては野菜、果実、含水チョコレート、ソフトクリーム、カスタードクリーム、ジャム、フィリング類、マヨネーズ、ドレッシング、ソース類等が例示できる。
低水分領域と高水分領域の間に前記油脂組成物を介在させる方法としては、予め前記油脂組成物にて一方の成分を被覆したものを他方の成分と混合ないしは接触させるのが一般的であるが、例えば包餡装置を用いて、内材、前記油脂組成物、外材組成物を三層状に押し出す方法等も可である。
かくして得られる、高水分領域と低水分領域及びその間に油性成分を介在させた本願の食品は、冷蔵、常温温度域で保存しても、これらの領域間での水分移行が抑制され全体として良好な価値を有する食品が製造できる。
このように本発明は、融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む油脂組成物を用いる食品内水分移行抑制方法を提供するものである。
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。本願発明で使用する油脂単独の融点、密度は以下の方法で行った。
(融点)
融点は基準油脂分析試験法 融点(上昇融点), 2.2.4.2−1996に基づいて測定した。
(密度)
密度は約10gの油脂を85℃で完全に融解した後、15℃で1時間、冷却したものを20℃の部屋で乾式密度計(島津社製アキュピック)を使用して測定した。
本発明で得られた油脂組成物の性状、水分移行評価は以下の方法で行った。
(油脂組成物の性状評価)
本発明の油脂組成物を目視により観察し、液状、ゲル状、可塑状又は固液分離状態かを確認し、結晶を有しているものは以下の方法で結晶状態を観察した。
本発明の油脂組成物を85℃で完全に融解させた後、スライドガラスに2〜3滴、滴下してカバーガラスを被せ、15℃で1時間冷却固化させたものを偏光顕微鏡(Nikon社製 OPTIPHOT2−POL)で観察した。
(水分移行評価)
本発明の油脂組成物を85℃で完全に融解させた後、直径63mmの円形に切り取ったTOYONo.2濾紙に0.7g滴下し、これを60℃の恒温器内で30分間保温して油脂組成物を浸透させて油脂膜を作製した。これを20℃で1時間保持して油脂組成物を固定させた後、10%硫安溶液(約50g)の入った内径60mmのプラスチック樹脂容器に蓋として密閉固定した。これをシリカゲルの入ったデシケーター内に入れ、デシケーターごと25℃の恒温器内に保存した。上記の油脂膜を通過する水蒸気の量を硫安水溶液の経時的な重量変化により測定した。水分移行抑制効果は次の式から算出される水分透過率を指標にした。
水分透過率(%)={(10日間保存後の水分量(g))-{(初期の水分量(g))}×100/(初期の水分量(g))
実施例1
表1に示した配合により、ひまわり油(融点10℃以下、不二製油株式会社製、商品名:ハイオール75B)97部にキャンデリラワックス(株式会社セラリカNODA製、商品名:精製キャンデリラワックス特号)3部を加え、85℃で完全に融解し、自然放冷(室温20℃)後、実施例1に基づく油脂組成物を得た。
油脂単独の融点、密度及び油脂組成物の性状評価、水分移行評価を表1に纏めた。
比較例1〜比較例5
比較例1はキャンデリラワックスを加えないでひまわり油のみで実施例1と同様に評価し表1に纏めた。
比較例2はキャンデリラワックス3部に替えて、モクロウ(株式会社セラリカNODA製、商品名:脱臭精製 白蝋)3部を、比較例3では、カルナウバワックス(株式会社セラリカNODA製、商品名:精製カルナウバワックス No.1)3部に、比較例4では、蜜蝋(株式会社セラリカNODA製、商品名:脱臭精製蜜蝋 高酸)3部に、比較例5では、ライスワックス(株式会社セラリカNODA製、商品名:ライスワックスF−1)3部にして、実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表1に纏めた。
実施例1、比較例1〜比較例5の配合と結果を表1に纏めた。
Figure 2008178333

天然ワックスには何れも水分移行抑制機能を高める効果が認められたが、キャンデリラワックスは他の天然ワックスとは異なり、水分透過率を2.0重量%未満まで低下させ、飛躍的に水分移行を抑制することができた。
実施例2〜実施例5
表2に示した配合により、実施例1のひまわり油(融点10℃以下)97部に替えてエステル交換/分別油A(融点35.5℃)97部を使用して実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表2に纏めた。
実施例3では実施例1のひまわり油(融点10℃以下)97部に替えて菜種/パーム硬化油(融点31.0℃)97部を使用し、実施例4ではエステル交換/分別油B(融点30.5℃)97部を使用し、実施例5では魚油硬化油(融点36.0℃)97部を使用して、実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表2に纏めた。
比較例6〜比較例8
比較例6では、表2に示した配合により、実施例1のひまわり油(融点10℃以下)97部に替えて硬化/分別油(融点45.0℃)97部を使用して実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表2に纏めた。
比較例7では、実施例1のひまわり油(融点10℃以下)97部に替えてパーム硬化油(融点45.0℃)97部を使用し、比較例8ではパーム分別油(融点53.0℃)97部を使用して、実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表2に纏めた。
実施例2〜実施例5及び比較例6〜比較例8の配合と結果を表2に纏めた。
Figure 2008178333

融点40℃以下の油脂に添加した場合、水分透過率が2.5重量%未満となり非常に高い水分移行抑制効果を示した。一方、融点40℃を超える油脂に添加した場合、改善されるが効果としては不十分であった。
実施例6〜実施例8、比較例9
実施例6では、表3に示した配合により、ひまわり油(融点10℃以下、不二製油株式会社製、商品名:ハイオール75B)98部にキャンデリラワックス(株式会社セラリカNODA製、商品名:精製キャンデリラワックス特号)2部を加え実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表3に纏めた。実施例7では、ひまわり油99部とキャンデリラワックス1部とし、実施例8では、ひまわり油95部とキャンデリラワックス5部とし、比較例9では、ひまわり油99.5部とキャンデリラワックス0.5部とし実施例1と同様な処理を行い、同様な方法で評価し表3に纏めた。
実施例6〜実施例8、比較例9の配合と結果を表3に纏めた。
Figure 2008178333
実施例9
ひまわり油(融点10℃以下、不二製油株式会社製、商品名:ハイオール75B)93部にキャンデリラワックス(株式会社セラリカNODA製、商品名:精製キャンデリラワックス特号)7部を加え、85℃で完全に融解し、自然放冷(室温20℃)後、実施例9に基づく油脂組成物を得た。
この油脂組成物を直食したところ若干キャンデリラワックスの味が感じられたが被覆する食品によっては許容の範囲内であった。
比較例10
ひまわり油(融点10℃以下、不二製油株式会社製、商品名:ハイオール75B)91部にキャンデリラワックス(株式会社セラリカNODA製、商品名:精製キャンデリラワックス特号)9部を加え、85℃で完全に融解し、自然放冷(室温20℃)後、比較例10に基づく油脂組成物を得た。
この油脂組成物を直食したところキャンデリラワックスの味が感じられ被覆する食品を考えても許容の範囲外であった。
実施例10及び比較例11
実施例2に基づく本発明の油脂組成物を使用して食品を調製した。(含水チョコレートが被覆されたウエハース)
市販のウエハース(竹田製菓社製、商品名:麦ふぁー)を準備して、縦×横×厚さを20mm×10mm×8mmの大きさにカットしたものを30個用意した。
実施例2の油脂組成物を80℃に温調し、この油脂組成物の中にウエハースを浸け全面を被覆した後、被覆量が概ね1個当たり0.7gになる程度に送風機で余分に付着した油脂組成物を吹き飛ばした。
次にココアバター10部にHLB1の庶糖脂肪酸エステル(主要結合脂肪酸:ステアリン酸)1部、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.1部を混合し、60℃で加熱しながら融解させた。これに融解したチョコレート規格のスイートチョコレート生地(不二製油株式会社製、商品名:スイートチョコレート)60部を加え30℃に温調し、更に0.3部のシーディング剤(不二製油株式会社製、商品名:チョコシードA)を添加してテンパリング処理した。テンパリング処理した品温28℃の生地に湯煎で20〜30℃に温調した生クリーム20部と還元水飴10部を加えて含水チョコレートを作製した。
作製した含水チョコレート(水分12.9重量%、油分39.5重量%)をプラスチック製モールド(縦×横×高さ:25mm×15mm×12mm)の深さおよそ4分の3まで充填し、その中に上記で得た油脂組成物で被覆したウエハースをモールドの中心に置き含水チョコレートの厚さが2mm程度になるように押し入れた。その上に再び、含水チョコレートを絞り上面を被覆し、モールドからはみ出した余分な含水チョコレートをパレットナイフで取り除いて、10℃で30分間冷却して固化させた後、型から出して含水チョコレートが概ね2mm厚で被覆されたウエハース菓子を30個を調製した。これらの中から見栄えの良いもの20個を選定し、ポリエチレンの蓋で密閉されたプラスチック容器内に入れて容器ごと冷蔵庫で保存した。
比較例11では、実施例2の油脂組成物をエステル交換/分別油A(融点35.5℃)とした以外は実施例10と同様の方法で含水チョコレートとウエハースを組み合わせた菓子を作製した。
冷蔵庫に保存した其々の菓子について表面状態を経時的に観察した。これらの結果を表4に纏めた。
保存中に含水チョコレート中の水分が内部に埋め込まれたウエハースに移行し、含水チョコレートは乾燥して収縮し、表面の含水チョコレートに経時的に亀裂が生じた。また内部のウエハースも吸湿してウエハース本来のサクッとした食感が失われていた。8日間保存後に比較例11では20個中7個に亀裂が生じ、亀裂は中のウエハースまで到達していたのに対して、実施例10では20個中2個に亀裂が生じただけであった。14日後には比較例11は20個中全てのチョコレートに亀裂が生じていたが、実施例10は20個中16個に亀裂が生じており、キャンデリラワックス添加による効果が認められた。
実施例10及び比較例11の結果を表4に纏めた。
Figure 2008178333
本発明は、食品内水分移行抑制用油脂組成物及びこれを使用した食品に関するものである。

Claims (9)

  1. 融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む水分移行抑制用油脂組成物。
  2. 食用油脂の密度が20℃において0.90〜0.94g/ccの範囲である、請求項1記載の水分移行抑制用油脂組成物。
  3. キャンデリラワックスを1.0〜8.0重量%含む、請求項1記載の水分移行抑制用油脂組成物。
  4. 食用油脂が20℃において液状の場合はゲル状であり、食用油脂が20℃において非液状の場合は油脂結晶が微細である、請求項1記載の水分移行抑制用油脂組成物。
  5. 水分透過率が2.5重量%未満である、請求項1記載の水分移行抑制用油脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5何れか1項に記載の水分移行抑制用油脂組成物を使用してなる食品。
  7. 食品が低水分領域及び高水分領域を含む、請求項6記載の食品。
  8. 低水分領域が請求項1記載の水分移行抑制用油脂組成物で被覆されている、請求項7記載の食品。
  9. 融点40℃以下の食用油脂にキャンデリラワックスを含む油脂組成物を用いる食品内水分移行抑制方法。
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