JP2008178301A - アスコルビン酸オキシダーゼ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、所定のアスコルビン酸オキシダーゼ活性を有し、カタラーゼ活性を有しないか、あるいは所定以下であり、経済的に高純度かつ高品質で実用的な酵素成分を生産する方法およびそれにより得られる酵素成分の提供を課題とする。
【解決手段】カタラーゼ分泌量が少ないAcremonium chrysogenum に、コスミドpcsMAO1−dOを導入することにより、Acremonium chrysogenum変異株を得て、当該株の培養物又はその精製物よりカタラーゼの混在が少ない目的の酵素成分を得た。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスコルビン酸オキシダーゼ(Ascorbate oxidase、以下AOXと略する場合がある)活性が21.6ml以上であり、かつカタラーゼ活性が4.69U/ml以下である酵素成分、これを産生する、新規なAcremonium chrysogenum変異株に関する。
AOXは1分子の酸素の存在下、2分子のL−アスコルビン酸を2分子のデヒドロアスコルビン酸と2分子の水に酸化する酵素である(EC 1.10.3.3)。
公知のAOXとしては、キュウリ(例えば、非特許文献1参照)、カボチャ(例えば、非特許文献2参照)など植物により生産されるものが知られている。
また、糸状菌であるAcremonium sp. HI−25株(FERM P−15328)も、AOXを生産していることが知られている(たとえば、特許文献1参照)。以下、Acremonium sp. HI−25株(FERM P−15328)が生産するAOXをASOMと表記する。当該ASOMは植物由来のAOXに比べて、耐熱性が高いという特徴を有する。
さらに、安価にAOXを得ることを目的として、AOXの生産能を有していないAcremonium chrysogenumに属する微生物にAOX遺伝子を含むコスミドpcsMAO1を導入した例が報告されている(例えば、特許文献2および非特許文献3参照)。このようにして得られたAcremonium chrysogenum pcsMAO1は、AOX遺伝子を保持したことで、耐熱性が高いAOXを生産することが可能となった。以下、Acremonium chrysogenum pcsMAO1が生産するAOXをASOM IIと表記する。
しかし、Acremonium chrysogenum pcsMAO1はASOM IIと同時に菌体外にカタラーゼを多量に分泌するため、ASOM IIとカタラーゼの分離精製が困難であるという問題があった。AOXとカタラーゼが混在すると不利である理由を以下に説明する。
体外診断方法として、血清などの検体中の過酸化水素を定量することで測定する方法が知られている。ところが、血清などの検体中には、この過酸化水素を還元して分解する作用のあるアスコルビン酸が共存している場合があり、このアスコルビン酸の影響を除去する目的で、体外診断薬においてAOXが用いられる。
一方、カタラーゼは2分子の過酸化水素を1分子の酸素と2分子の水に分解する酵素である(EC 1.11.1.6)。そのため、体外診断薬にカタラーゼが混在することは望ましくなく、カタラーゼの分離精製が困難なASOM IIは本来のアスコルビン酸除去を目的に使用できないことになる。
例えば血中コレステロールは、コレステロールオキシダーゼによるコレステロールの酸化反応に伴って発生する過酸化水素を定量することで測定される。ここで、アスコルビン酸が血清検体中に共存する影響を避けるために、血中コレステロール定量試薬にAOXが予め添加されている。しかし、この血中コレステロール定量試薬に、AOXとともにカタラーゼが混在していると、過酸化水素を分解してしまうので、本来の目的に使用できない結果となる。
過酸化水素を定量する方法を用いる体外診断薬としては、トリグリセライド、膵リパーゼ、尿酸、HDL、LDLなどの多くの測定試薬があり、ほぼ全ての試薬にAOXが予め添加されている。また、過酸化水素を定量する別の方法として、発光を利用する方法もあるが、これに用いる体外診断薬にもAOXが予め添加されている場合がある。
体外診断薬中のカタラーゼの影響を排除する方法として、カタラーゼの強力な阻害剤であるアジ化ナトリウムを用いる方法が知られている。しかし、アジ化ナトリウムはAOXの強力な阻害剤でもあるため、これを用いることは困難である。
このように、カタラーゼとの分離精製が容易であり、経済的に高純度かつ高品質で実用的なAOXを生産する方法が望まれている。
特開平3−236766号公報 特開平9−168389号公報 TAKAO NAKAMURA,Purification and Properties of Ascorbate Oxidase from Cucumber、J Biochem(Tokyo)1968 64:189−195. George R. Stark and Charles R. Dawson、On the Accessibility of Sulfhydryl Groups in Ascorbic Acid Oxidase、J.Biol.Chem.,Mar 1962; 237:712−716 Kayoko Takeda,Cloning of a thermostable ascorbate oxidase gene from Acremonium sp. HI−25 and modification of the azide sensitivity of the enzyme by site−directed mutagenesis、Biochimica et Biophysica Acta(BBA)−Proteins and Proteomics、Volume 1388,Issue 2、1988、444−456
本発明は、所定のAOX活性を有し、及びカタラーゼ活性は有しないか、あるいは所定以下であり、経済的に高純度かつ高品質で実用的な酵素成分を生産する方法およびそれにより得られる酵素成分の提供を課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、AOXの生産能がないAcremonium chrysogenumを薬剤で変異する事により、菌体外へのカタラーゼ分泌量が少ない株を得る事に成功した。そして、変異させたAcremonium chrysogenumに、AOX遺伝子を含むコスミドpcsMAO1を導入して、AOX遺伝子を保持した形質転換体を得た。これによりAOXを生産するが、菌体外へのカタラーゼ分泌量が少ないAcremonium chrysogenum変異株を創製するに至った。
さらに、本発明で創製したAcremonium chrysogenum変異株が産生するAOX(以下、ASOM IIIと表記する)は、従来のASOMと比べて、保存安定性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の(1)〜(13)に関する。
(1)アスコルビン酸オキシダーゼ活性が21.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が4.7U/ml以下である酵素成分を生産する、Acremonium chrysogenum変異株。
(2)アスコルビン酸オキシダーゼ活性が69.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が3.8U/ml以下である酵素成分を生産する、上記(1)に記載のAcremonium chrysogenum変異株。
(3)Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO株(FERM P−21123)。
(4)配列表配列番号1に示すDNA配列を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の株。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の株を培養して得られる、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が21.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が4.7U/ml以下である酵素成分。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の株を培養して得られる、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が69.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が3.8U/ml以下である酵素成分。
(7)カタラーゼの混在率が20%未満である上記(5)又は(6)に記載の酵素成分。
(8)カタラーゼの混在率が14.8%以下である上記(5)に記載の酵素成分。
(9)カタラーゼの混在率が2.6%以下である上記(6)に記載の酵素成分。
(10)以下の(a)〜(f)の工程によって得られる酵素成分。
(a)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の変異株を培養する工程
(b)培養液から菌体を分離して除く工程
(c)Q sep.BBを用いたイオン交換カラムクロマトグラム工程
(d)要すればPhenyl sep.FFを用いた疎水カラムクロマトグラム工程
(e)Q sep.HPを用いたイオン交換カラムクロマトグラム工程
(f)G−25を用いた脱塩工程
(11)上記(5)〜(10)のいずれかに記載の酵素成分に含まれる、以下の1)〜7)の特性を有するアスコルビン酸オキシダーゼ。
1)作用
1分子の酸素の存在下、2分子のL−アスコルビン酸を2分子のデヒドロアスコルビン酸と2分子の水に酸化する。
2)熱安定性
50℃、60分間の熱処理で、95%以上の活性を保持する。
3)保存安定性
pH 7.5の緩衝液中で防腐剤の存在下、濃度4U/mlで37℃、2週間保存した場合30%以上の活性を保持する。
4)至適pH
pH 5.5±0.5。
5)pH安定性
pH4から10の範囲の緩衝液中で、37℃、24時間で保存した場合80%以上の活性を保持する。
6)分子量
TSK−GEL G3000SWXLによる分子量が、190000〜330000。
7)Km値
アスコルビン酸に対して0.3〜0.4mM。
(12)配列表配列番号1に示すアミノ酸配列を有する上記(11)に記載のアスコルビン酸オキシダーゼ。
(13)AOXの生産能がないAcremonium chrysogenumの変異株に配列表配列番号1に記載のアスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子を導入した形質転換体。
(14)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の変異株又は上記(13)に記載の形質転換体を培養することを特徴とする酵素成分の製造方法。
(15)血清中の目的成分を過酸化水素の定量を行うことによって定量する体外診断薬において、上記(11)又は(12)に記載のアスコルビン酸オキシダーゼを含む体外診断薬。
Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dOの培養物から、経済的に高純度かつ高品質で実用的なAOXを生産する方法が可能になった。さらに、Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dOの培養物から、精製されたAOXはAcremonium sp.HI−25(FERM P−15328)の培養物から、精製されたAOXに比べて保存安定性が向上しており、産業上、特に体外診断薬用酵素として優位である。
本発明でいう酵素成分の精製純度は、本発明の効果を有する程度であればよく、各種カラムで分離し単一成分とした精製物の他に、経済的な方法で精製した精製物、あるいは菌体分離しか行っていない未精製物もここでいう酵素成分に含む。また、本発明でいう酵素成分とは、Acremonium chrysogenum変異株を培養して得られる、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が高く、かつ、カタラーゼ活性が低い酵素成分をいう。アスコルビン酸オキシダーゼ活性はより高いものが望ましく、具体的には下限値としては、21.6U/ml以上が好ましく、69.6U/ml以上がより好ましく、90.8U/ml以上が特に好ましい。また、カタラーゼ活性としては検出限界以下が最も好ましいが、4.7U/ml以下が好ましく、3.8U/ml以下がより好ましく、2U/ml以下がさらに好ましく、1U/ml以下が特に好ましい。また、本酵素成分のカタラーゼの混在率は、未精製の酵素成分の場合は検出限界以下であることが最も望ましいが、具体的には20%未満が好ましく、14.8%以下であればさらに好ましく、2.6%以下であれば特に望ましい。単一成分とした精製物、経済的な精製を施した精製物のカタラーゼの混在率は、検出限界以下が最も望ましいが、0.072%以下であれば好ましく、0.02%以下であれば大変好ましい。
Acremonium chrysogenum変異株としては、前記酵素成分が得られる変異株であればよく、例えば、pcsMAO1−dO株(FERM P−21123)、又は配列表配列番号1に示すDNA配列を有する変異株が挙げられる。
本発明のAOX活性とは、AOX(EC 1.10.3.3)の触媒作用を指す(参考文献1、2参照)。また、本発明のカタラーゼ活性とは、カタラーゼ(EC 1.11.1.6)の触媒作用を指すが(参考資料1、2参照)、本発明では過酸化水素分解活性をもつ蛋白質の総称とした。例えば、ペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)は式1の反応を触媒する酵素であるが、過酸化水素を分解する反応を触媒するので、本発明のカタラーゼ活性の範疇となる。さらに、カタラーゼ活性とペルオキシダーゼ活性を併せ持つ酵素、catalase−peroxidase、が近年報告されているが(参考文献3参照)これも過酸化水素を分解する反応を触媒するので、本発明のカタラーゼ活性の範疇となる。その他、過酸化水素を分解する反応を触媒する酵素として、ECナンバーが 1.11.1に属する酵素が含まれる。
[参考文献1]酵素ハンドブック、朝倉書店、1984年
[参考資料2]Enzyme nomenclature database(http://ca.expasy.org/enzyme/)
[参考文献3]J Inorg Biochem. 2006 Apr;100(4):568−85. Epub 2006 Mar 3. Review、Probing the structure and bifunctionality of catalase−peroxidase (KatG).)、catalase−peroxidase、Vanittanakom N, Cooper CR Jr, Fisher MC, Sirisanthana T.
[式1]
Donor + H → oxidized donor + 2 H
本発明のASOM IIIは、配列表配列番号2の1から551のアミノ酸で表されるアミノ酸配列を有する。また、当該アミノ酸配列のN末端側のMetの上流にはさらに一個または複数のアミノ酸残基を有してもよく、またC末端側のValの下流には、さらに一個以上のアミノ酸残基を有してもよい。
さらに、本発明のASOM IIIを構成するアミノ酸配列は、ASOM IIIと同様の酵素活性を有してもよく、配列表配列番号2のアミノ酸配列から1又は数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であってもよく、付加するアミノ酸としてはシグナルペプチドまたはT7タグ、Hisタグ、Sタグ、Trxタグ、CBDタグ、DsbAタグ、GSTタグ、Nusタグなどが挙げられる。 本発明のASOM IIIをコードするDNAは、そのN末端側及びC末端側のアミノ酸残基またはポリペプチド残基を含めたアミノ酸配列の各アミノ酸に対応する一連のコドンのうちいずれか1個のコドンからなるDNAであればよい。
さらに、本発明のASOM IIIを構成するアミノ酸配列をコードするDNAは配列表配列番号2のアミノ酸配列の1から551で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドによる酵素活性発現と同様の効果を発現する配列表配列番号2のアミノ酸配列の1から551で表されるアミノ酸配列の一部分のアミノ酸配列をコードするDNAであってもよい。
上記DNAの代表例として、5’末端側より配列表配列番号1の塩基配列の1から1653までで表される塩基配列で表される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。該DNAは、5’末端の上流側にアミノ酸をコードするコドンを1個以上有したものでもよく、TAA、TAG、及びTGA以外のコドンであればよい。3’末端たるGTAの下流側には、アミノ酸をコードするコドンを1個以上有するか、又は翻訳終止コドンを有するかのいずれでもよい。
さらに該DNAは、真核生物宿主で発現させる場合には、コードするアミノ酸配列に影響を与えない、イントロンDNA配列を配列中に含んでもよい。イントロンを含むDNAは、例えば配列表配列番号3の塩基配列の808から864までで表される(イントロンの前半部分のアミノ酸配列を配列表配列番号4に表わし、イントロンの後半部分のアミノ酸配列を配列番号5に表わした)。配列表配列番号2の1から551までのアミノ酸配列で表されるアミノ酸配列をコードするDNAを取得するには、例えば、ASOM IIIを生産するAOX遺伝子の供与体である微生物より該微生物のDNAを分離精製した後、超音波、制限酵素などを用いて切断した該DNAと切断してリニヤーにした発現ベクターとを両DNAの平滑または接着末端部においてDNAリガーゼなどにより結合閉環させ、かくして得られた組み換えDNAベクターのマーカーを指標としてスクリーニングして取得した組み換えDNAベクターを保持する微生物を培養し、該培養菌体から該組み換えDNAベクターを分離精製し、次いで該組み換えDNAベクターからAOX遺伝子であるDNAを取得すればよい。
DNAの供与体である供与微生物としては、Acremonium sp.HI−25株(FERM P−15328)を利用するとよい。
遺伝子の供与体である微生物に由来するDNAを採取するには以下の如く行うが、その操作法のうち常法とされるものは、例えばティー・マニアティスらの方法(例えば、参考文献4参照)や、市販の各種酵素、キット類に添付された手順に従えば実施できるものである。
[参考文献4]T.maniatis.,et al.Molecular Cloning.Cold Spring Harbor Laboratory 1982,1989
例えば、上述の供与体である微生物を、液体培地で約3日間通気撹拌培養し、得られる培養物を遠心分離して集菌し、次いでこれを溶菌させることによってAOX遺伝子を含有する溶菌物を調製する。溶菌方法としては、例えばザイモリアーゼなどの細胞壁溶解酵素による処理が施され、必要によりプロテアーゼなどの他の酵素やドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤が併用される。さらに細胞壁の物理的破壊法である凍結融解(例えば、参考文献5参照)やフレンチプレス処理を上述の溶菌法と組み合わせで行ってもよい。
[参考文献5] 特開昭63−185371号公報
この様にして得られた溶菌物からDNAを分離精製するには、常法に従って、例えばフェノール抽出による除蛋白処理、プロテアーゼ処理、リボヌクレアーゼ処理、アルコール沈澱、遠心分離などの方法を適宜組み合わせることにより行うことができる。
分離精製された微生物DNAを切断する方法は、常法に従って制限酵素処理により行えばよく、特に得られるDNA断片とベクターとの結合を容易ならしめるため、とりわけ特定ヌクレオチド配列に作用する、例えば、SalI、BglII、BamHI、XhoI、MluIなどのII形制限酵素が適している。
微生物DNA断片を組み込むベクターとしては、宿主微生物体内で自律的に増殖しうるファージ又はプラスミドから遺伝子組み換え用として構築されたものが適しており、ファージベクターとしては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)を宿主微生物とする場合にはλgt・λC、λgt・λBなどが使用できる。また、プラスミドベクターとしては、例えば、エシェリヒア・コリを宿主微生物とする場合には、プラスミドpBR322、pBR325、pACYC184、pUC12、pUC13、pUC18、pUC19、pUC118、pIN Iなどが使用できる。
このようなベクターを、微生物DNAの切断に使用した制限酵素で生成するDNA末端と、同じ末端を生成する制限酵素で切断してベクター断片を作成し、微生物DNA断片とベクター断片とを、DNAリガーゼ酵素により常法に従って結合させればよい。
微生物DNAの断片を結合したベクターを移入する宿主微生物としては、組み換えDNAが安定かつ自律的に増殖可能であればよく、例えば宿主微生物がエシェリヒア・コリに属する微生物の場合、エシェリヒア・コリ DH1、エシェリヒア・コリ HB101、エシェリヒア・コリ W3110、エシェリヒア・コリ C600、等が利用できる。
宿主微生物に組み換えDNAを移入する方法としては、例えば、宿主微生物がエシェリヒア属に属する微生物の場合には、常法に従ってコンピテントセル化した宿主菌株に組み換えDNAの移入を行えばよい。
宿主微生物への目的組み換えDNA移入の有無についての選択は配列表配列番号6に例示した(配列表配列番号6でコードされるアミノ酸配列は配列表配列番号7に示した)予め合成したAOX遺伝子のDNAプローブを32P等で放射能ラベルし、予め作製した遺伝子ライブラリーとのコロニーハイブリダイゼーション法によりポジティブ株を目的の形質転換体とすればよい。
かくして得られる形質転換体である微生物からは、常法によりAOX遺伝子を含むDNA断片を分離でき、これを他の宿主微生物に移入することも容易に実施できる。
上記の方法により分離されるAOX遺伝子にイントロンが存在する、また蛋白への糖鎖の付加などの問題で、原核生物を宿主として本遺伝子を使用するAOX生産が困難である場合、真核微生物を宿主として、新たにベクターを使用してAOX遺伝子を導入する必要がある。
宿主としては遺伝子の供与微生物であるAcremonium sp.HI−25と同属のAcremonium chrysogenumが使用できるが、AOXの生産能を有せず、かつ、菌体外へのカタラーゼ分泌量が少ないAcremonium chrysogenumが望ましい。そのためにAcremonium chrysogenumを薬剤、紫外線、放射線、育種などによって菌体外にカタラーゼを分泌しないように変異した株を用いる事ができるが、最適にはAcremonium chrysogenum −dO株を用いると良い。
本発明ではAcremonium chrysogenum−dO株を宿主としてAOX遺伝子を導入し、新規なAcremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株を作成しているが、導入されるAOXをコードするDNAは、これによりなんら限定されるものではない。
ベクターとしては、宿主で作用する薬剤耐性または栄養要求性遺伝子マーカーを保有するベクターであればよく、宿主真核微生物がAcremonium chrysogenum−dOの場合、プラスミドpPGKM5、pACTHY83、pEGAP83(例えば、参考文献6参照)、コスミドpBSFAHY83、pBSFPKM5(例えば、参考文献7参照)等が使用できる。
[参考文献6]特開平4−58891号公報
[参考文献7]特開平4−104792号公報
このようなベクターを、制限酵素で切断してベクター断片を作成し、微生物DNA断片とDNAリガーゼ酵素により常法に従って結合させればよい。また、1つのベクターに複数のAOX遺伝子を結合させることも可能である。
宿主糸状菌に組み換えDNAを移入する方法としては、例えば、Queenerらの方法(例えば、参考文献8参照)に準じて行えばよい。
上記の遺伝子操作に一般的に使用される量的関係は、供与微生物からのDNA及びプラスミドまたはコスミドDNAを0.1〜10μgに対し、制限酵素を約1〜10u、リガーゼ約300u、その他の酵素約1〜10u、程度が例示される。
[参考文献8]Queener.,et al.Microbiology 1985.American Society for Microbiology,(1985) 468−472.
かくして得られた新規なAcremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株に属する微生物は、栄養培地に培養されることにより、菌体外にカタラーゼを分泌することなく多量のAOXを安定して産生し得る。
また必要なら、得られた組換え体プラスミドから、AOX遺伝子を含むより限定的なDNA断片を、ゾラーの方法による部位特異的変異法(例えば、参考文献9参照)による制限酵素認識部位の作製や、制限酵素による切り出しにより分離し、新たにベクターに組み込んで作製したプラスミドまたはコスミドにより、さらに効率のよい形質転換体を作成し、より多量のAOXを安定に産生させてもよい。
[参考文献9]Zoller,M.J.and Smith,M.Methods in Enzymology,154,367.(1983)
また、同様に部位特異的変異法により該AOX遺伝子中のイントロンを除去し、制限酵素などにより該遺伝子を含むDNAをコードするDNAを切り出し、前記と同様な方法により切断して得られる他の開環ベクター末端とを結合させて新規な特徴を有する組み換えDNAを作製して、他の宿主に移入してAOXを産生させることも容易に実施できる。
また、本発明のAOXは公知の遺伝子操作手段によりペプチドの変異をなしてもよく、このようなムテインのDNAは、本発明のAOX遺伝子から遺伝子工学的手法により作製される人工変異遺伝子を意味し、この人工変異遺伝子は部位特異的塩基変換法及び目的遺伝子の特定DNA断片を人工変異DNAで置換するなどの種々なる遺伝子工学的方法を使用して得られ、かくして取得された人工変異遺伝子のうち特に優れた性質を有するAOXムテインDNAについては最終的にはこのムテインDNAをベクターに挿入せしめて組み換えDNAを作成し、これを宿主微生物に移入させることによって、AOXムテインの製造が可能である。
形質転換体を具体的に例示すれば、配列表配列番号1に示されたDNA配列を有するDNAをコスミドpBSFAHY83に組み込み、宿主微生物Acremonium chrysogenum −dO株に導入して染色体に挿入させ、AOXを生成する微生物を選択して得た形質転換体Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株が挙げられる。
上述の方法によって得られたAOXを構成するポリペプチドのアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列は、ジデオキシ法(例えば、参考文献10参照)で解読し、またAOXを構成するポリペプチドの全アミノ酸配列は、塩基配列より予測決定した。また、以下の方法により培養精製した該AOXであるポリペプチドを用いて、液相プロテインシーケンサー(ベックマン社製:BECKMAN System 890 ME)によりその部分アミノ酸配列が、予測決定されたアミノ酸配列の一部と一致することを確認した。
[参考文献10]Sanger,F.,Science,214,1205−1210(1981)
形質転換体により該AOXを製造するに当たっては、該形質転換体を栄養培地で培養し、菌体中または培養液中に該AOXを産生せしめ、培養終了後、もし生産物が菌体内にある場合には、得られた培養物を濾過又は遠心分離などの手段により菌体を採集し、次いでこの菌体を機械的方法又はリゾチームなどの酵素的方法で破壊して菌体抽出液を得る。また生産物が菌体外に放出される場合には遠心分離または濾過により培養液中の菌体及び不溶成分を除去すればよい。また、必要に応じてEDTA、プロテアーゼ阻害剤であるPMSF及び/又は適当な界面活性剤などを添加して該AOXの水溶液を濃縮するか、又は濃縮する事なく硫安分画、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーにより処理して、純度のよい該AOXを得ることができる。
形質転換体である微生物の培養条件はその栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常多くの場合は、液体培養で行うが、工業的には深部通気撹拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては、微生物の培養に通常用いられるものが広く使用されうる。
炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、サッカロース、ラクトース、マルトース、フラクトース、グリセロール、糖蜜などが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、大豆タンパク、カゼイン加水分解物などが使用される。
その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
培養温度は微生物が発育し、AOXを生産する範囲で適宜変更し得るが、Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株の場合、好ましくは25〜34℃、最適には28〜32℃程度である。培養条件は、条件によって多少異なるが、AOXが最高収量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を終了すればよく、Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株の場合、通常は2〜5日間程度であり、好ましくは3〜4日間程度である。培地pHは菌が発育し、AOXを生産する範囲で適宜変更し得るが、Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株の場合、好ましくはpH6程度である。
培養物中のAOXは、菌体を含む培養液そのままを採取し、利用することもできるが、一般には常法に従って、ASOM IIIが培養液中に存在する場合には、濾過、遠心分離などによりASOM III含有溶液と微生物菌体とを分離した後に利用される。菌体及び不溶成分の除去は、濾過が困難な場合はパーライトなど濾過助剤の使用検討、遠心分離が困難な場合はイオン交換基をもつ可溶性ポリマーなどの凝集剤の使用検討を行い、適当な経済的な工程を加えることは常法である。ASOM IIIが菌体内に存在する場合には、得られた培養物を濾過又は遠心分離などの手段により、菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法又はリゾチーム、ザイモリアーゼなどの酵素的方法で破壊し、又、必要に応じてEDTA等のキレート剤、PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤及び/又は界面活性剤を添加してASOM IIIを可溶化し水溶液として分離採取する。
この様にして得られたASOM III含有溶液を、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、更に、硫安、硫酸ナトリウムなどの塩析処理などによる分別沈澱法により沈澱せしめればよい。
次いでこの沈澱物を、水に溶解し、半透膜にて透析せしめて、より低分子量の不純物を除去することができる。また、吸着剤あるいはゲル濾過剤などによるゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等により精製し、これらの手段を用いて得られるASOM III含有溶液から、減圧濃縮凍結乾燥等の処理により精製されたASOM IIIが得られる。
<AOX活性測定方法>
アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定溶液
0.5mM L−アスコルビン酸
0.45mM エチレンジアミン四酢酸
90mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃))
AOX活性測定溶液1mlを層長1cmの石英セル中で30℃5分間予備加温した後、0.05%BSAを含む10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5(25℃))で希釈した酵素液0.1mlを混和して酵素反応を開始し、反応開始後1分後から5分後までの245nmにおけるL−アスコルビン酸の吸光度差を測定する(As)。盲検として蒸留水を用いて同一の操作を行って吸光度差を測定する(Ab)。この酵素液使用の吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光度差(As−Ab)より酵素活性を求める。酵素活性1単位(1ユニット)は30℃で1分間に1マイクロモルのL−アスコルビン酸を変化する酵素量とし、上記反応液中でのL−アスコルビン酸のミリモル分子吸光係数は10cm/μmolとして、As−Abより酵素活性を求める。
<カタラーゼ活性測定方法>
酵素溶解溶液
100mM リン酸カリウム緩衝液 pH 7.0
基質溶液
0.105%過酸化水素溶液
酵素溶解液で適当な濃度に希釈したAOX2mlを4ml容の石英セルにいれ、25℃で5分間予備加温する。その後、25℃に予備加温した基質溶液1mlを加え、静かに転倒攪拌して25℃で反応を開始する。反応開始後1分目から2分目の吸光度変化をAs/minとする。同様の操作を酵素溶解液のみで行いブランク、Ab/min、とする。ΔA/min=As/min―Ab/min、過酸化水素のこの条件下でのミリモル分子吸光係数を0.04cm/μmolとしてカタラーゼ活性を求める。
<タンパク質濃度測定方法>
本明細書中に記載するタンパク質濃度は、バイオラッド社のプロテインアッセイキットを用いて使用説明書記載の方法に従って測定し、BSA(牛血清アルブミン)をスタンダードとして算出した。
<酵素作用>
本発明のASOM IIIのアスコルビン酸を基質として用いたときの触媒反応式は式2である。
[式2]
2 L−ascorbate + O → 2 dehydroascorbate + 2 H
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。なお、実施例中、常法に従い、と記述した遺伝子操作技術は、例えばマニアティスらの方法(例えば、参考文献11参照)や蛋白質・酵素の基礎実験法(例えば、参考文献12参照)、市販の各種酵素、キット類に添付された手順に従えば実施できるものである。試薬は、特に断らない限り、和光純薬工業株式会社、国際試薬株式会社、関東化学株式会社、タカラバイオ株式会社などから購入した特級品を使用した。
[参考文献11]Maniatis,T.,et al.Molecular Cloning.Cold Spring Harbor Laboratory 1982,1989
[参考文献12]改訂第2版、堀尾武一、1994年南光堂
<Acremonium sp.からのDNAの抽出>
CM培地(ショ糖20g/l、リン酸二水素カリウム0.5g/l、リン酸水素二カリウム0.5g/l、塩化カリウム0.5g/l、硫酸マグネシウム・7水塩0.5g/l、硫酸第1鉄・7水塩0.01g/l、硝酸ナトリウム3g/l、酵母エキス4g/l、ペプトン10g/l)に、AOX生産菌であるAcremonium sp.(Acremonium sp.)HI−25 株(FERM P−15328)を植菌し28℃で3日間撹拌培養した。培養液20mlを遠心分離(3,000G、4℃、10分)し、集菌した菌体を24mlのTES(50mMのトリス塩酸緩衝液pH8.0、50mMのエチレンジアミン4酢酸ナトリウム(以下EDTAと略す)pH8.0、15%ショ糖)に懸濁した。最終濃度が4μg/mlになるようにザイモリアーゼ100T(生化学工業社製)と、同じく最終濃度0.4mgのRNaseA(SIGMA社製)を加え、37℃で1時間処理し、細胞壁を破壊した。
これに20%ドデシル硫酸ナトリウム(以下SDSと略す)1mlを加え、37℃に2時間置き菌体を溶解した。さらに2mg/ml濃度のプロテイナーゼK(SIGMA社製)2mlと15mlのクロロホルム・イソアミルアルコール24対1混合液を加え、37℃で10時間緩やかに振盪撹拌し蛋白を分解した。これを遠心分離(25,000G、15分)し、分離した水層を他の容器に移し、その上に24mlの−20℃エタノールを重層し、界面に析出してくる染色体をガラス棒にからめて取得した。
この染色体を20mlのTE(10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1mMのEDTA(pH8.0))に溶解し、常法に従ってフェノール・クロロホルム処理、エタノール沈澱及び乾燥操作を行った。
以上の操作によりAcremonium sp.HI−25の染色体標品2mgを得た。
<放射性DNAプローブの作製>
Acremonium sp.HI−25株により生産された酵素AOXを精製し、その部分アミノ酸配列をエドマン分解法により決定した。なお、当初N末端のアミノ酸配列を決定しようとしたが、全く解析データが得られず、決定を断念した。
判明した部分アミノ酸配列を基に、その遺伝子の部分塩基配列を予想した。この予想配列を基に設計されるオリゴヌクレオチドプローブには無数の形状があり、そのうち6種類のプローブを作成したが、本発明で有効であったのはAO−1と命名したオリゴヌクレオチドのみであった。AO−1の塩基配列構造を配列表配列番号6に示した。
このオリゴヌクレオチドは外部業者(株式会社BEX)により依託合成され、完成したオリゴヌクレオチド200ngに、T4ポリヌクレオチドキナーゼにより常法に従ってラジオアイソトープ32Pを取り込ませ、放射性オリゴヌクレオチドプローブとした。
<AOX遺伝子含有DNAフラグメントの検定>
実施例1の操作で得られたAcremonium sp.HI−25株の染色体DNAから遺伝子ライブラリーを作成するため、本染色体を各種制限酵素で切断し、目的遺伝子が含有されるDNAフラグメントの鎖長を検定する操作を行った。即ち、Acremonium sp.HI−25株の染色体DNA(5μg)を各種制限酵素で常法に従って切断し、1.5%アガロースゲル(タカラバイオ社アガロースゲルH14)中で常法に従い電気泳動した。泳動後のアガロースゲルから、常法に従ったサザンブロッティング法により、ナイロンメンブレンフィルター(PALL社製:バイオダインA)にDNAを移行・固定させた。このフィルターに対して、実施例2で調製した放射性DNAプローブAO−1を使用して、常法に従いサザンハイブリダイゼーションを行い、各制限酵素による切断染色体が示すポジティブバンドのサイズを観察した。
その結果、EcoRI切断により約2.5kb(キロベース:DNA鎖長の単位、1,000塩基)、SacI切断により約3.8kbのDNAフラグメント上にAOX遺伝子が含有されることが明らかとなり、EcoRIで切断した染色体DNAの2.5kbフラグメント、SacIで切断した染色体DNAの3.8kbフラグメントのそれぞれから遺伝子ライブラリーを作成することとした。
<遺伝子ライブラリーの作成>
実施例1の操作で得られたAcremonium sp.HI−25株の染色体DNA10μgを常法に従い、制限酵素EcoRIで切断した約2.5kb、SacIで切断した約3.8kbのDNAフラグメントを、低融点アガロース電気泳動を使用してそれぞれ分離した。
このDNAフラグメントを、それぞれ同じ制限酵素で切断しアルカリフォスファターゼ(BAP)1uで切断末端を脱リン酸化したpUC118 2μgと、DNA Ligation Kitで連結させた。これを用いてK.Shigesadaの方法(例えば、参考文献13参照)によってコンピテント細胞としたエシェリヒア・コリ JM109(relA1,supE44,endA1,hsdR17,gyrA96,recA1,thi,△(lac−proAB)/F’[traD36,proAB+,lacIq,lacZ△M15],mcrA−,mcrB+(Messing,J.(1985)Gene,33,119.))をトランスフォーメーションし、50μg/mlアンピシリン含有L平板寒天培地(バクトトリプトン(DIFCO社製)10g/l、酵母エキス(DIFCO社製)5g/l、10g/lの塩化ナトリウム、バクトアガー(DIFCO社製)15g/l)にて一夜培養した。EcoRIフラグメントからは約2500個、SacIフラグメントからは2800個のアンピシリン耐性コロニーを得、遺伝子ライブラリーとした。
[参考文献13]細胞工学2,616−626,1983
<AOX遺伝子含有クローンのスクリーニング>
実施例4により得た遺伝子ライブラリーを、ナイロンメンブレンフィルター(PALL社製:バイオダインA)にレプリカし、このフィルターを別の50μg/mlアンピシリン含有L平板寒天培地上に、コロニー面が上になるように重ね、37℃で16時間培養した。培養後このフィルターに対して、実施例2で調製された放射性DNAプローブAO−1を使用して、常法に従いコロニーハイブリダイゼーションを行った。その結果、ポジティブシグナルをしめすコロニーをEcoRIライブラリーから2個、SacIライブラリーから1個確認した。
<組み換えプラスミドの抽出>
実施例5で選ばれたポジティブシグナルを示すコロニーを50μg/mlのアンピシリン含有LB液体培地(バクトトリプトン(DIFCO社製)10g/l、酵母エキス(DIFCO社製)5g/l、塩化ナトリウム 10g/l)1.5mlに植菌し37℃で16時間振盪培養した後、常法に従いプラスミドを抽出した。その結果、EcoRIライブラリーより分離した2つのコロニーより抽出したプラスミドは同じものであり、これをpcASOM1と命名した。またSacIライブラリーより分離したコロニーから抽出したプラスミドをpcASOM2と命名した。なお、pcASOM1は約2.5kb、pcASOM2は約3.8kbの染色体由来DNAを保有し、そのうち約1.5kbの領域は双方に共通に保有されていた。
<AOX遺伝子配列の決定>
実施例6で調製したプラスミドpcASOM1、pcASOM2よりAOXをコードしていると推定される部分についてジデオキシ法により塩基配列を決定した。その結果、AOX遺伝子の全DNA配列が決定された。
<cDNA由来AOX遺伝子の分離と比較>
実施例8で決定したAOXの遺伝子配列と、実施例2のAOXの部分アミノ酸配列を照合したところ、遺伝子中に真核生物特有のイントロンが存在することが判明した。そこで遺伝子のエクソンとイントロンの領域を確定するため、AOX遺伝子のcDNAを分離することにした。
CM培地に、AOX生産菌であるAcremonium sp.HI−25株を植菌し28℃で3日間撹拌培養し、培養液20mlを遠心分離(3,000G、4℃、10分)し、集菌した菌体を乳鉢に入れ、液体窒素を注いで瞬間凍結させた。これを乳棒ですりつぶし、破砕した菌体0.5gを20%グアニジン塩酸に懸濁し、このサンプルより、ファルマシア社のmRNA Purificationキットを使用して、添付のマニュアルに従ってメッセンジャーRNA抽出を行った。さらにこのメッセンジャーRNAを鋳型としたcDNAの合成を、ファルマシア社のcDNA synthesisキットを使用して、添付のマニュアルに従って行った。以上の操作によりAcremonium sp.HI−25株のcDNA約50μgが分離された。
続いて、実施例7で明らかになったAOX遺伝子の5’末端の正鎖と、3’末端の相補鎖と同じ塩基配列を有する2種の20塩基のオリゴヌクレオチドを、実施例2と同様に合成した。このオリゴヌクレオチドをプライマーとし、Acremonium sp.HI−25株のcDNAを鋳型としたPCR反応操作(例えば、参考文献14参照)を、DNA Thermal CyclerとGeneAmp PCR Reagent Kit with AmpliTaq DNA Polymerase(ともにPerkin−Elmer社製)を使用して、添付のマニュアルに従って実施した。その結果約1.7kbのDNAフラグメントが合成され、このDNAフラグメントの塩基配列を実施例7と同様にして決定した。
[参考文献14]Saiki,R.K.,et al.,Science,239,487−491(1988)
その結果、このDNAフラグメントがcDNA由来のAOX遺伝子であることが確認され、染色体DNA由来のAOX遺伝子の塩基配列との比較により、染色体DNA由来のAOX遺伝子中のイントロン領域が確定した。また染色体DNA由来AOX遺伝子のエクソン領域の塩基配列は、cDNA由来のAOX遺伝子の塩基配列と完全に一致することが確認された。cDNA由来のAOX遺伝子の塩基配列、すなわちAOX遺伝子のエクソン領域の塩基配列と、そのコードするAOXアミノ酸配列を配列表配列番号1および2に、染色体DNA由来の、イントロン領域を含むAOX遺伝子および周辺領域の塩基配列を配列表配列番号3に示した。
<AOX遺伝子の染色体組み込み用コスミドpcsMAO1の作製>
当初、実施例8で得たcDNA由来のASO遺伝子を、大腸菌を始めとするバクテリアに導入しAOXを生産させることを試みたが、活性を有する蛋白は遂に得られなかった。そこで、新たに糸状菌を遺伝子導入用宿主とすることにし、AOX遺伝子を染色体へ組み込むためのベクターの作成を行った。
2μgのpcASOM2をNspVで切断し、DNA Blunting Kitを使用して添付のマニュアルに従って切断末端を平滑化した後さらにSacIで切断し、低融点アガロース電気泳動を使用して1.9kbのDNAフラグメントを分離した。このフラグメントをSacIとSmaIで切断しBAP 1uで切断末端を脱リン酸化した2μgのpcASOM1と、DNA Ligation Kitで連結させた。
これを用いてK.Shigesadaの方法によってコンピテント細胞としたエシェリヒア・コリ DH1(ATCC33849)(F−,recA1,endA1,gyrA96,thi−1,hsdR17(rk−,mk+),supE44,relA1,λ−(T.maniatis.,et al.Molecular Cloning:Cold Spring Harbor(1982),504−506))をトランスフォーメーションし、50μg/mlアンピシリン含有L平板寒天培地(バクトトリプトン(DIFCO社製)10g/l,酵母エキス(DIFCO社製)5g/l,10g/mlの塩化ナトリウム,バクトアガー(DIFCO社製)15g/l)にて一夜培養し、形質転換体を得た。この形質転換体より常法に従ってプラスミドを抽出、精製し、このプラスミドをpcASOM3と命名した。
このpcASOM3 2μgをXbaIとBamHIで切断し、約2.6kbのDNAフラグメントを、低融点アガロース電気泳動を使用して分離した。また、プラスミドpUC19のマルチクローニングサイトの両端に制限酵素SfiI認識部位を付加したプラスミドpSFI−2(例えば、参考文献7参照)を制限酵素XbaIとBamHIで切断し、このpSFI−2 100ngと先の2.6kbのDNAフラグメント100ngを、DNA Ligation Kitで連結させた。これを用いてエシェリヒア・コリ DH1のコンピテント細胞をトランスフォーメーションし、50μg/mlアンピシリン含有L平板寒天培地にて一夜培養し、形質転換体を得た。この形質転換体より常法に従ってプラスミドを抽出、精製し、このプラスミドをpSFAO1と命名した。
次に、2μgのプラスミドpSFAO1をSfiI(東洋紡績社製)で切断し、AOX遺伝子を含む約2.2kbのDNAフラグメントを分離し、同じくSfiIで切断したコスミドpBSFAHY83(例えば、参考文献7参照)とを、反応液中のモル濃度比15:1でDNA Ligation Kitを用いて複数連結し、λDNAパッケージングキット(ファルマシア社製)を用い添付のマニュアルに従って、新たなコスミドDNAをファージ粒子に封入し、これをエシェリヒア・コリ DH1に感染させて形質転換体を作製した。この形質転換体よりプラスミド抽出と同様にしてコスミドを抽出、精製し、このコスミドをpcsMAO1と命名した。
<コスミドpcsMAO1のAcremonium株への導入と形質転換>
CM寒天培地(CM培地+1.5%寒天)上で30℃、5日間培養したAcremonium chrysogenum ATCC11550株の菌糸体をCM培地50mlに接種し、30℃で3日間振盪培養した。この培養液1mlをGA培地(40g/lグリセロール、4g/lアスパラギン、0.1g塩化カルシウム、0.1g/l塩化ナトリウム、0.1g/l硫酸マグネシウム(7水塩)、0.01g/l硫酸第1鉄(7水塩)、4mg/l硫酸マンガン(4水塩)、0.01g/l硫酸亜鉛(7水塩)、1mg/l無水硫酸銅、3mMリン酸バッファーpH7.0)50mlに植菌し、さらに30℃20時間培養した。
培養後、菌体を3500rpmで5分遠心して集菌し、菌体を0.9%塩化ナトリウム溶液で洗浄した後、10mMジチオスレイトール含有マクイルベイン緩衝液(12.9mM クエン酸、187mM リン酸水素2ナトリウム)に懸濁して30℃にゆっくり旋回撹拌しながら1時間置いた。これを再び3000rpm、5分遠心して集菌し、菌体を10mg/ml ノボザイム(ノボ社製)を添加したプロトプラスト緩衝液(0.6M 塩化カリウム、10mM 塩化マグネシウム、25mM 塩化カルシウム)に懸濁し30℃にゆっくり旋回撹拌しながら30分放置し菌体をプロトプラスト化した。反応終了後3000rpmで10分遠心して集菌し、プロトプラスト緩衝液に菌体を懸濁し、再び遠心集菌して菌体洗浄を行った。
菌体は再びプロトプラスト緩衝液10mlに懸濁して15ml滅菌試験管中に10分静置して菌糸塊を沈澱させ、懸濁液上部2/3程度を分取してプロトプラスト懸濁液とした。この懸濁液を血球計算板上にのせ、顕微鏡観察下プロトプラスト濃度を計算し、遠心集菌と懸濁により1×10の7乗cell/mlにプロトプラスト濃度を調整した。調整したプロトプラスト懸濁液100μlに、実施例8で調製したコスミドpcsMAO1 3〜5μgを5mg/mlヘパリン溶液10μlに溶解したものを添加し、さらに50μlのポリエチレングリコール溶液(10mMのトリス塩酸緩衝液pH8.0、50mM 塩化カルシウム、25% ポリエチレングリコール4000(シグマ社製)、0.6M 塩化カリウム)を添加し、氷中に25分放置した。
これにさらに1mlのポリエチレングリコール溶液を添加し、室温下に30分置き、コスミドを菌体中に取り込ませた。この懸濁液をBRM寒天平板培地(27.5% シュークロース、0.2% 硝酸ナトリウム、0.1%リン酸2水素カリウム、1% ブレイン ハート インフュージョン(DIFCO社製)、2% グルコース、2mM 塩化マグネシウム、5mM 塩化カルシウム、0.75% 寒天:1枚当たり25ml)上に200μlを広げ、15℃に1晩置き、菌体細胞壁の修復を待った。
その後、0.5mg/mlハイグロマイシンB(和光純薬社製)含有BRM寒天培地を5ml重層し、さらに30℃で7〜10日培養を行った。培養後寒天培地上に生育してきたコロニーを、染色体中に先のpcsMAO1が組み込まれ、ハイグロマイシンB薬剤耐性を獲得した形質転換体として取得し、これをAcremonium chrysogenum pcsMAO1と命名した。
<Acremonium chrysogenum pcsMAO1などの培養>
Acremonium chrysogenum pcsMAO1などは次の培地成分で培養した。
グリセロール 8%
プロテンSS 3%
MgSO−7HO 0.02%
塩化銅2水和物 6ppm
CSL 1.2%
ミースト 1.2%
培地のpHは6に合わせ、28℃で150時間培養し、この培養液を12000rpmで2分遠心し、上清を分取した。
<培養上清中のAOX酵素活性およびカタラーゼ活性の確認>
実施例11の方法でAcremonium chrysogenum pcsMAO1を20〜220Lで合計5回培養した。これらのAcremonium chrysogenum pcsMAO1の培養上清中のASOM II酵素活性およびカタラーゼ活性を、上記AOX活性測定方法とカタラーゼ活性測定方法によって測定した。比較として、Acremonium sp.HI−25(FERM P−15328)も20Lで1回培養して同様に確認した。
その結果、表1に示したようにASOM IIの培養活性はASOMの培養活性に比べて改善され経済的になった。その一方で、Acremonium chrysogenum pcsMAO1の培養上清中には、Acremonium sp.HI−25(FERM P−15328)の培養上清中に比べてカタラーゼ活性が高いという問題点があった。なお、カタラーゼ混在率、またはカタラーゼ混在比率とは上記AOX活性測定方法とカタラーゼ活性測定方法によって測定したAOX活性値およびカタラーゼ活性値から式3で計算した値である。
[式3]
カタラーゼ混在(比)率(%)=(カタラーゼ活性値/AOX活性値)×100
Figure 2008178301
表1で明らかなように、Acremonium chrysogenum pcsMAO1株を培養して得られる酵素成分は、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が130〜244U/mlであり、かつカタラーゼ活性が31〜129U/mlであった。また、カタラーゼ混在率が少なくとも20%以上であった。
<ASOM IIとカタラーゼの分離>
「従来の技術」に記載したようにAOXとカタラーゼが混在すると実用的ではないので、実施例12の培養ロット2〜5の培養上精を用いてASOM IIとカタラーゼの分離を試みた。分離精製は、実施例12のロット2〜5の培養上精を別々に、次のようにして行った。
ブロスアウト(BO)した培養液は菌体を濾過して分離後、そのまま10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.BB(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた(イオン交換カラムクロマトグラム工程)。10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で充分に洗浄した後、0及び0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分に最終濃度20%になるように硫酸アンモニウム添加し、20%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したPhenyl sep.FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着して20及び0%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した(疎水カラムクロマトグラム工程)。活性画分は10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したG−25(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)で脱塩した後、10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep. HPに吸着し、0及び0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した(イオン交換カラムクロマトグラム工程)。活性画分は0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した塩化銅をキレーティングしているchelating sep.HP(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に吸着させた。0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で充分に洗浄した後、0及び0.5Mのイミダゾールを含む0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分は0.15Mを含む10mMのリン酸緩衝液pH7.0で平衡化したSuperdex 200 pp(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)でゲル濾過した。最後に、60℃30分の加熱処理を行い、精製ASOM IIを得た。
培養ロット2〜5の各精製工程のASOM IIの活性収率(%)とカタラーゼ混在率(%)をまとめて表2に示した。この精製の結果、カタラーゼ混在率を、培養ロット2から精製した酵素成分は0.0016%、培養ロット3から精製した酵素成分は0.019%、培養ロット4から経済的に精製した酵素成分は2.3%、培養ロット5から精製した酵素成分は0.072%であった。培養ロット2、3および5から精製した酵素成分は本発明の使用に耐える混在率であるが、これらの製造工程は最大6工程必要であり、また、Superdex 200 ppによるゲル濾過は一度に大量の酵素を高速にクロマト分画できない問題点もあるために経済的にASOM IIを製造できる工程とは言い難い。また、Chelating sep.HPカラムクロマトグラム工程は大量の塩化銅の廃液が出るという環境上の問題点もある。培養ロット4は経済的にASOM IIを製造できる工程で精製したが、カタラーゼ混在率が2.3%と高く、さらに精製工程が必要であり、本発明の使用に耐える混在率とは言えない。
すなわち、Acremonium chrysogenum pcsMAO1株を培養して得られる酵素成分は、未精製ではカタラーゼ混在率が少なくとも20%以上(表1)である為に、本発明の使用に耐えない。また、経済的な精製を施した精製物はカタラーゼ混在率が2.3%である為に本発明の使用に耐えない。さらに、各種カラムで分離し単一成分とした精製物は、カタラーゼ混在率を0.072%以下である為に本発明の使用に耐えるが、不経済である。
以上のように、Acremonium chrysogenum pcsMAO1の培養によるASOM IIの生産は、酵素生産量については改善されたが、該菌株を培養して得られる未精製の酵素成分のカタラーゼ混在率が少なくとも20%以上であるために、経済的に高純度かつ高品質で実用的なAOXを製造する方法ではないと結論づけた。
表2中、−はその工程を実施しなかった事を示し、空欄はカタラーゼ混在率を測定しなかった事を示す。
Figure 2008178301
<Acremonium chrysogenum ATCC11550株の変異>
実施例12および13で示したとおり、Acremonium chrysogenum pcsMAO1の培養によるASOM IIの製造方法は、該菌株を培養して得られる酵素成分のカタラーゼ混在率が少なくとも20%以上であるために、経済的に高純度かつ高品質で実用的なAOXを製造する方法はなかった。そこで、本発明者らは、培養して得られる酵素成分のカタラーゼ混在率が20%未満であれば、経済的に高純度かつ高品質で実用的なAOXを製造する方法の開発が可能であると考え、Acremonium chrysogenum ATCC11550株の菌体外にカタラーゼを分泌しない変異株の取得を行った。
ATCC11550株をポテトデキストロース寒天培地上で26℃、7日間培養後、Sucrose 2%、Peptone 1%、Yeast ext. 0.4%、NaNO 0.3%、KHPO 0.05%、KHPO 0.05%、KCl 0.05% 、MgSO・7HO 0.05%、FeSO・7HO 0.001%を含み、NaOHでpH7に調整した液体培地(100ml/三角フラスコ500ml)に一白金時移植し、26℃、9日間振とう培養を行い、培養後の液を滅菌したガーゼで濾過し、胞子懸濁液を得た。得られた胞子懸濁液5mlを遠心分離にて集菌し、滅菌した0.5%食塩水 1mlで再懸濁し、さらに終濃度0.03mg/mlになるようNTGを添加し、30℃、30分間ゆっくりと振とうした。NTG処理液を0.5ml食塩水で2回洗浄後、同食塩水で希釈を行い、ポテトデキストロース寒天培地上に塗布し、30℃、5日間培養を行った。得られたコロニー上に10%過酸化水素水を数滴滴下し、発泡の無いコロニーを選択することにより、カタラーゼを分泌しない変異株を取得した。
<菌体外にカタラーゼを分泌しない変異Acremonium chrysogenum ATCC11550株へのAOX遺伝子の導入>
実施例14で取得したカタラーゼ分泌量が少なくなったAcremonium chrysogenum ATCC11550株を実施例10で記載した方法と同様にしてプロトプラスト化し、実施例8で調製したコスミドpcsMAO1を導入してハイグロマイシンB薬剤耐性を獲得した遺伝子組換え体を取得した。
<菌体外にカタラーゼを分泌しない変異Acremonium chrysogenum ATCC11550のAOX遺伝子組換え体の選択>
実施例15で取得したカタラーゼ分泌量が少なくなった変異Acremonium chrysogenum ATCC11550のAOX遺伝子組換え体18株を実施例11に記載の方法で10mlで培養し、培養上清中のAOX活性およびカタラーゼ活性を、上記AOX活性測定方法とカタラーゼ活性測定方法によって測定した。その結果を、表3に示した。実施例15で取得したカタラーゼ分泌量が少なくなった変異Acremonium chrysogenum ATCC11550のAOX遺伝子組換え体18株を培養して得られる酵素成分は、未精製でカタラーゼ混在率が20%未満であり、経済的に高純度かつ高品質で実用的な本発明の使用に耐えるAOXを製造する方法の開発に利用できると考えられた。特に18株中AOX活性が高く、かつ、カタラーゼ活性が低い株として、菌株No1、2、4〜7、9〜18を挙げることができる。
Figure 2008178301
実施例16に記載の菌株No.1、2、4〜7、9〜18株の中で、BO後の菌体の遠心分離が容易に行える生育状況(菌体の性状)であったこと、または、濾過による除菌工程が、濾紙、濾布、またはガラスフィルターに目詰まりしないこと等の理由で容易に行える生育状況(菌体の性状)であった菌株No4、7、18を本試験に供する菌株として選択した。菌株No4、7、18を実施例11の方法で1.6Lで培養し、培養上清中のAOX活性およびカタラーゼ活性の経時変化を、上記AOX活性測定方法とカタラーゼ活性測定方法によって測定した。その結果を図1〜図3に示した。比較のためにAcremonium sp.HI−25(FERM P−15328)も同様の試験を行い図4に示した。
図1〜図4で明らかなように、AOX生産量が高く、かつ、カタラーゼ生産量の少ないAOX生産菌株No.4、7、18を得る事ができた。菌株No4、7、18のうち、特に菌株No.4をAcremonium chrysogenum pcsMAO1−dOと命名し、平成18年12月5日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東一丁目1番地1 中央第6)に寄託した。受託番号はFERM P−21123である。図1〜図4中黒丸はAOX活性、白丸はカタラーゼ活性を示す。
<Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dOの培養>
Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dOは次の培地成分で培養した。
グリセロール 8%
プロテンSS 3%
MgSO−7HO 0.02%
塩化銅2水和物 9ppm
CSL 1.2%
ミースト 1.2%
培地のpHは6に合わせ、28℃で培養し、カタラーゼコンタミ率が少ない適当な培養時間にBOした。培養は20〜40Lで合計4回実施し、それぞれ培養ロット6、7、8、9とした。
<ASOM IIIの精製>
精製は、実施例18の培養ロット6〜9の培養上精を用いて別々に、次のようにして行った。BOした培養液は菌体を濾過して分離後、そのまま10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.BBに吸着させた(イオン交換カラムクロマトグラム工程)。10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で充分に洗浄した後、0及び0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した。活性画分に最終濃度20%になるように硫酸アンモニウム添加し、20%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したPhenyl sep.FFに吸着して20及び0%の硫酸アンモニウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した(疎水カラムクロマトグラム工程)。活性画分は10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したG−25で脱塩した後、10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ sep.HPに吸着し、0及び0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにて溶出した(イオン交換カラムクロマトグラム工程)。活性画分は10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化したG−25で脱塩し、精製ASOM IIIを得た。ロット6〜9の各精製工程のASOM IIIの活性収率(%)をまとめて表4に示した。なお、空欄はその工程を実施しなかった事を示す。
Figure 2008178301
本実施例の工程は、最大でも4工程であり、また、Q sep.BB、Phenyl sep.FF、および、Q sep.HPを用いたカラムクロマト工程は高速分画が可能であり、実施例13の工程に比べて経済的な精製工程といえる。
この精製の結果、カタラーゼ混在率を全ての培養ロットで0.02%以下に下げる事ができた。また、図1〜図3で示したように、Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO株の培養によるASOM IIIの生産は、培養活性が、培地、培養スケール、及び培養時間を変更する事で、200〜250u/mlに上げる事ができたことから、経済的に高純度かつ高品質で実用的なAOXを生産する方法が確立できた。
すなわち、Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO株を培養して得られる酵素成分は、未精製ではカタラーゼ混在率が2.6%(表3のNo.4)であり、経済的な精製工程でカタラーゼ混在率を0.02%以下にできる為に、経済的に高純度かつ高品質で実用的な本発明の使用に耐えるAOXを製造する方法の開発に利用できる。また、菌株No.1、2、5〜7、9〜18株も、未精製でのカタラーゼ混在率がAcremonium chrysogenum pcsMAO1株よりも大幅に下がっているという事、菌株No.4と同様の培養スケールや培養時間を変更する事、図1〜図3から明らかなようにBO時期を適当に選択する事、そして経済的な精製を施すことなどの組み合わせなどで、経済的に高純度かつ高品質で実用的な本発明の使用に耐えるAOXを製造する方法の開発に利用できると考えられる。特に、菌株No.1、6、7、13、17、18株は未精製でのカタラーゼ混在率が約2.6%以下であるために、経済的な精製を施すことで経済的に高純度かつ高品質で実用的な本発明の使用に耐えるAOXを製造する方法の開発に利用できることは言うまでもない。
<ASOM IIIとASOMの熱安定性の比較>
ASOMおよびASOM IIIを1 mg/mlになるように10mMのトリス塩酸緩衝液(pH 7.5)で溶解し、各温度で1時間インキュベートした後の残存活性を上記AOX活性測定方法で測定した。その結果、図5で示すように、ASOMとASOM IIIで熱安定性に大きな差は認められず、ASOMおよびASOM IIIは50℃、60分間の熱処理で、95%以上の活性を保持することが分かった。なお、図5中黒丸はASOM、白丸はASOM IIIを示す。
<ASOM IIIとASOMの保存安定性の比較>
200ppmプロクリン300を含む50mM PIPES−NaOH pH 7.5中でASOMおよびASOM III 4U/mlを添加し、37℃で保存してその残存活性を上記AOX活性測定方法で測定した。その結果、図6で示すように、2週間後の残存活性はASOMが22%、ASOM IIIが30%となり、保存安定性がAcremonium sp.HI−25が生産するASOMに比べ、新規なAcremonium chrysogenum pcsMAO1−dO FERM P−21123株が生産するASOM IIIの方が向上しているという産業上優位な性質を備えた新規なAOXであることを見出した。なお、図6中黒丸はASOM、白丸はASOM IIIを示す。
<ASOM IIIとASOMの至適pHの比較>
上記AOX活性測定方法において、pH4〜6はクエン酸−NaOH緩衝液、pH5.5〜7はMES−NaOH緩衝液、pH6.5〜8はリン酸カリウム緩衝液、pH8〜9はトリス塩酸緩衝液、に変化してASOMおよびASOM III活性を測定した。その結果、図7及び図8で示すように、ASOMおよびASOM IIIはpH5.5±0.5付近である事が分かった。なお、図7はASOMの至適pHを示し、及び図8はASOM IIIの至適pHを示す。図7及び図8中白丸はクエン酸−NaOH緩衝液、黒丸はMES−NaOH緩衝液、白三角はリン酸カリウム緩衝液、黒三角はトリス塩酸緩衝液を示す。
<ASOM IIIとASOMのpH安定性の比較>
ASOMおよびASOM IIIを1mg/mlの濃度になるように、50mMのpH4〜5.5はクエン酸−NaOH緩衝液、pH5.5〜7はMES−NaOH緩衝液、pH6.5〜8はリン酸カリウム緩衝液、pH8〜9はトリス塩酸緩衝液、に溶解し、37℃24時間で保存してその残存活性を上記AOX活性測定方法で測定した。その結果、図9及び図10で示すように、ASOMおよびASOM IIIはpH4から10の範囲の緩衝液中で80%以上の活性を保持する事が分かった。なお、図9はASOMのpH安定性を示し、図10はASOM IIIのpH安定性を示す。図9及び図10中白丸はクエン酸−NaOH緩衝液、黒丸はMES−NaOH緩衝液、白三角はリン酸カリウム緩衝液、黒三角はトリス塩酸緩衝液を示す。
<ASOM IIIとASOMのKm値の比較>
上記AOX活性測定方法において、基質であるL−アスコルビン酸濃度を1.67〜20mM−1になるように変化してASOMおよびASOM IIIの反応速度を測定し、ラインウェーバー・バーク逆数プロットにより各見かけのKm値を算出した。その結果、ASOMの見かけのKm値は0.343mM、ASOM IIIの見かけのKm値は0.372〜0.393mMと算出された。
<ASOM IIIとASOMの分子量の比較>
実施例19のQ sep. HPを用いたイオン交換カラムクロマトグラム工程で、0及び0.5Mの塩化カリウムを含む10mMのトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を用いたリニアグラジェントにてASOM IIIを溶出すると、KCl濃度が0.25M付近と0.35M付近に2つのAOX活性ピークが得られた。この2つの活性ピークを分取して200mMのNaClを含む100mM リン酸カリウム緩衝液pH 6.5を移動相としたTSK−GEL G3000SWXL(東ソー)を用いて分子量を測定した。比較のためにASOMも同様の試験を行い、その結果を図11に示した。図中実線の分子量マーカーを用いた検量線から、ASOMの分子量は101000、ASOM IIIの0.35M画分の分子量は192000,ASOM IIIの0.25M画分の分子量は329000であった。
ASOMは糖鎖修飾される酵素なので、生産菌がAcremonium sp.HI−25からAcremonium chrysogenum pcsMAO1株に変わった事で、受ける糖鎖修飾が変わったと予想された。そして、糖鎖の影響でASOM IIIの分子量は190000〜330000の範囲に分散していると考えられる。酵素の安定化剤として糖が汎用され、糖の種類や添加量によって安定化効果が異なることは周知である。従ってASOMとASOM IIIの糖鎖の違いが実施例21の保存安定性の違いに影響を与えていると考えられる。
<ASOM IIIとASOMのアジ化ナトリウムの影響の比較>
上記AOX活性測定方法において、図12横軸の濃度のアジ化ナトリウムを含むAOX活性測定溶液を作成して、ASOM IIIとASOMの活性を測定した。その結果、図12で示すように、ASOMおよびASOM IIIは同様にアジ化ナトリウムにより強い阻害を受ける事が分かった。すなわち、例えば体外診断薬で、カタラーゼによる負誤差の影響を回避するためにアジ化ナトリウムを使用する方法は困難である事が示された。なお、図12中白丸はASOM III、黒丸はASOMを示す。
Acremonium chrysogenum−dO No.4の培養におけるAOX活性とカタラーゼ活性の経時変化を表す。 Acremonium chrysogenum−dO No.7の培養におけるAOX活性とカタラーゼ活性の経時変化を表す。 Acremonium chrysogenum−dO No.18の培養におけるAOX活性とカタラーゼ活性の経時変化を表す。 Acremonium chrysogenum pcsMAO1の培養におけるAOX活性とカタラーゼ活性の経時変化を表す。 ASOM IIIとASOMの熱安定性の比較を表す。 ASOM IIIとASOMの保存安定性の比較を表す。 ASOMの至適pHを表す。 ASOM IIIの至適pHを表す。 ASOMのpH安定性を表す。 ASOM IIIのpH安定性を表す。 ASOM IIIのQ sep HP カラムクロマトグラム0.25M画分、ASOM IIIのQ sep HP カラムクロマトグラム0.35M画分およびASOMの分子量の比較を表す。 ASOM IIIとASOMのアジ化ナトリウムによる阻害の比較を表す。

Claims (14)

  1. アスコルビン酸オキシダーゼ活性が21.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が4.7U/ml以下である酵素成分を生産する、Acremonium chrysogenum変異株。
  2. アスコルビン酸オキシダーゼ活性が69.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が3.8U/ml以下である酵素成分を生産する、請求項1に記載のAcremonium chrysogenum変異株。
  3. Acremonium chrysogenum pcsMAO1−dO株(FERM P−21123)。
  4. 配列表配列番号1に示すDNA配列を有する請求項1〜3のいずれかに記載の株。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の株を培養して得られる、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が21.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が4.7U/ml以下である酵素成分。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の株を培養して得られる、アスコルビン酸オキシダーゼ活性が69.6U/ml以上であり、かつカタラーゼ活性が3.8U/ml以下である酵素成分。
  7. カタラーゼの混在率が20%未満である請求項5又は6に記載の酵素成分。
  8. カタラーゼの混在率が14.8%以下である請求項5に記載の酵素成分。
  9. カタラーゼの混在率が2.6%以下である請求項6に記載の酵素成分。
  10. 以下の(a)〜(f)の工程によって得られる酵素成分。
    (a)請求項1〜4のいずれかに記載の変異株を培養する工程
    (b)培養液から菌体を分離して除く工程
    (c)Q sep.BBを用いたイオン交換カラムクロマトグラム工程
    (d)要すればPhenyl sep.FFを用いた疎水カラムクロマトグラム工程
    (e)Q sep.HPを用いたイオン交換カラムクロマトグラム工程
    (f)G−25を用いた脱塩工程
  11. 請求項5〜10のいずれかに記載の酵素成分に含まれる、以下の(1)〜(7)の特性を有するアスコルビン酸オキシダーゼ。
    (1)作用
    1分子の酸素の存在下、2分子のL−アスコルビン酸を2分子のデヒドロアスコルビン酸と2分子の水に酸化する。
    (2)熱安定性
    50℃、60分間の熱処理で、95%以上の活性を保持する。
    (3)保存安定性
    pH 7.5の緩衝液中で防腐剤の存在下、濃度4U/mlで37℃、2週間保存した場合30%以上の活性を保持する。
    (4)至適pH
    pH 5.5±0.5。
    (5)pH安定性
    pH4から10の範囲の緩衝液中で、37℃、24時間で保存した場合80%以上の活性を保持する。
    (6)分子量
    TSK−GEL G3000SWXLによる分子量が、190000〜330000。
    (7)Km値
    アスコルビン酸に対して0.3〜0.4mM。
  12. 配列表配列番号1に示すアミノ酸配列を有する請求項11に記載のアスコルビン酸オキシダーゼ。
  13. AOXの生産能がないAcremonium chrysogenumの変異株に配列表配列番号1に記載のアスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子を導入した形質転換体。
  14. 血清中の目的成分を過酸化水素の定量を行うことによって定量する体外診断薬において、請求項11又は12に記載のアスコルビン酸オキシダーゼを含む体外診断薬。
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