JP2008175929A - 反射鏡の製造方法及び光学機器 - Google Patents

反射鏡の製造方法及び光学機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2008175929A
JP2008175929A JP2007007635A JP2007007635A JP2008175929A JP 2008175929 A JP2008175929 A JP 2008175929A JP 2007007635 A JP2007007635 A JP 2007007635A JP 2007007635 A JP2007007635 A JP 2007007635A JP 2008175929 A JP2008175929 A JP 2008175929A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective layer
reflecting mirror
manufacturing
film
reflective film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007007635A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Iketani
繁 池谷
Takashi Obata
孝 小幡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2007007635A priority Critical patent/JP2008175929A/ja
Publication of JP2008175929A publication Critical patent/JP2008175929A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)

Abstract

【課題】 少なくとも可視光領域において均一で高い反射率を示す反射鏡を提供する。
【解決手段】 基板20上に銀を用いた反射膜22を形成し、反射膜22の上に酸化アルミニウムを用いた第1保護層23とチタン系化合物を用いた第2保護層24とを形成する反射鏡19の製造方法において、反射膜22は第1保護層23と第2保護層24の少なくとも一方より速い膜形成速度で蒸着されることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、反射鏡の製造方法及び光学機器に係り、特に、銀を用いた反射膜を有する反射鏡の製造方法及び該反射鏡を備える光学機器に関するものである。
従来より、カメラ、双眼鏡、顕微鏡等の光学機器や、複写機、プロジェクタ等のOA機器に用いられる反射鏡としては、基板に真空蒸着法やスパッタリング法によってアルミニウムや銀を蒸着し、その蒸着膜を反射膜とした反射鏡が知られている。銀を用いて反射膜を構成した場合、可視光領域(400〜700nm)における光の反射率が向上することが知られているが、基板への密着力の低下や反射膜の腐食が生じてしまうおそれがあった。
そこで、銀を用いた反射膜の基板への密着力を向上させるとともに反射膜の腐食を低減させるために、樹脂基板上に一酸化ケイ素からなる第1の中間層と酸化アルミニウムからなる第2の中間層とを順に備え、その上方に銀の薄膜からなる反射膜が形成された反射鏡が知られている。
また、反射膜の耐久性および耐湿性を向上させるために、樹脂基板上に銅膜からなる中間層と銀の薄膜からなる反射膜とを備え、反射膜の上面に酸化アルミニウムからなる第1保護層と酸化チタン等を用いた第2保護層とを備えた反射鏡が知られている。
特開平2003−329818号公報 特開平2000−241612号公報
しかしながら、従来の反射鏡によれば、樹脂基板への反射膜の密着力や耐久性の向上は可能であるものの、可視光領域での反射率は95%程度が上限であるとともに、低波長領域(特に、450nm以下の波長領域)において反射率が激減してしまうという問題があった。また、750nm付近での反射率の変動量が大きくなってしまい、可視光領域であっても反射率を均一にすることができないという問題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、少なくとも可視光領域において均一で高い反射率を得ることが可能な反射鏡の提供を目的とする。
上記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板上に銀を用いた反射膜を形成し、前記反射膜の上に酸化アルミニウムを用いた第1保護層とチタン系化合物を用いた第2保護層とを形成する反射鏡の製造方法において、前記反射膜の膜形成速度は、前記第1保護層と前記第2保護層との少なくとも一方の膜形成速度より速いことを特徴とする。
以上より、本発明の反射鏡によれば、少なくとも可視光領域において均一で高い反射率を示すので、明るい反射像を得ることが可能である。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る反射鏡の製造方法により製造した反射鏡を備える光学機器の概略構成図である。図1においては、本実施形態に係る反射鏡にのみハッチングを付している。光学機器としての撮像装置であるカメラシステム1は、各部品が内蔵されるカメラ本体2を備えている。カメラ本体2は、その前面に撮影レンズ3等の光学系を有する交換レンズ4を交換可能に装着している。また、カメラ本体2はその内側に、交換レンズ4により結像される被写体像を撮像して画像を記録する撮像素子5を備えている。撮像素子5は、例えば、図示しないCCDやCMOSなどにより構成されている。撮像素子5の前方にはシャッター6が開閉自在に備えられ、撮影時にはシャッター6が開放されて交換レンズ4からの光束が撮像素子5に入射するようになっている。
図1に破線で示すように、交換レンズ4からの光束を反射するクイックリターンミラー7は、カメラ本体2の内部であってシャッター6の前方に、光軸に対して略45度傾くように配置されている。クイックリターンミラー7は、図1中破線で示す反射位置と図1中実線で示す退避位置との間を回動自在であり、撮影時には撮影光路外である退避位置に退避するようになっている。クイックリターンミラー7は、交換レンズ4からの光束の一部を透過させるハーフミラー部8を略中央部に有している。また、クイックリターンミラー7は、ハーフミラー部8を透過した光束を後述の焦点調節部10へ反射するサブミラー9をハーフミラー部8の後方に有している。さらに、クイックリターンミラー7は、サブミラー9からの光束が入射して撮影レンズ3の焦点調節状態を検出する焦点調節部10を、その下方に有している。焦点調節部10による焦点検出方法に特に制限は無く、瞳分割位相差検出方式などを適宜採用可能である。
クイックリターンミラー7の上方には、クイックリターンミラー7が反射位置にあるときに交換レンズ4からの光束が結像する焦点板11が設けられている。焦点板11の下方には、焦点板11に結像された被写体像に焦点検出位置や露出値などの種々の情報を重畳して表示する液晶表示素子12が備えられている。また、焦点板11の上方には、クイックリターンミラー7からの光束をファインダー13に導くミラーペンタ14が備えられている。ミラーペンタ14は、光束が入射する反射面に本実施形態に係る反射鏡19を有している。また、ミラーペンタ14は、その後方に反射鏡19により反射された光束を結像する接眼レンズ15を有している。そのため、撮影者はファインダー13を介して被写体像を視認することができるようになっている。
カメラ本体2は、操作部材16、制御装置17、レンズ駆動装置18などを有している。操作部材16は、シャッターボタンや焦点検出エリア選択スイッチなどのカメラシステム1を操作するためのスイッチやセレクターを含むものである。制御装置17は、CPUとその周辺部品とから構成され、操作部材16や焦点調節部10からの信号に基づいてカメラシステム1全体の各種制御と演算などを行うようになっている。また、レンズ駆動装置18は、モータと駆動回路とを有しており、焦点調節部10の検出結果に基づいて撮影レンズ3の焦点調整を行う。
次に、反射鏡19の構造について説明する。
図2は、本実施形態に係る反射鏡の製造方法により製造した反射鏡19の断面図である。反射鏡19は、基板20と、下地層21、反射膜22、第1保護層23および第2保護層24とを順に有している。
基板20は各光学機器に応じて公知のものを適宜使用可能であり、例えば、ガラス基板や、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ABS樹脂などを用いた樹脂基板などが挙げられる。樹脂基板を用いる場合、反射膜22との密着性を向上させるために酸化ケイ素を用いた密着層を別途設けることが好ましい。本実施形態においては、基板20としてBK7(光学ガラス)を用いることとした。
下地層21としては、反射膜22と基板20との密着性を確保できるものであれば良く、酸化物、酸窒化物、窒化物を少なくとも1つ含むものなどが挙げられる。本実施形態においては、下地層21は、基板20としてのガラス基板と銀を用いた反射膜22との間の密着力を向上させる観点から、酸化アルミニウムを用いるのが好ましい。下地層21の膜厚は、密着性を確保するとともに反射膜22の腐食を防止することができればよく、100〜500オングストロームの範囲が好ましい。下地層21の膜厚が100オングストローム未満の場合、銀からなる反射膜22のガス腐食を十分に防止することが困難であり、500オングストロームより大きい場合、下地層21の内部応力が増大してしまう。下地層21の形成方法に特に制限は無いが、酸化アルミニウムなどの融点の高い蒸着材料を用いる場合は、加速した電子線を当てて蒸着材料を蒸発させる電子線蒸着法が好ましい。下地層21の膜形成速度は、蒸着条件や蒸着材料によって異なるが、10オングストローム/秒程度である。
反射膜22は、銀を用いて構成されている。反射膜22は銀を主成分とすればよく、銅等の不純物を含む他、金等との合金を用いて構成しても良い。反射膜22の厚みは、1000〜2000オングストロームの範囲が好ましい。反射膜22の厚みが1000オングストローム未満の場合には反射特性が低下するおそれがあり、2000オングストロームより大きい場合には膜表面の凹凸により光吸収が生じ反射率が低下するおそれがある。
反射膜22の形成方法は、特に制限無く公知の方法を適用可能であるが、第1保護層23と第2保護層24との少なくとも一方の膜形成速度より速い速度で銀分子を蒸着させて形成するのが好ましい。反射膜22の膜形成速度は、第1保護層23又は第2保護層24の膜形成速度の7倍以上であることが好ましく、10倍以上がより好ましい。膜形成速度は常に上記条件を満たすのが好ましいが、少なくとも蒸着開始後から所定時間経過して膜形成速度が安定した際に上記条件を満たせばよい。
このように、反射膜22の膜形成速度を速くすることにより、銀分子の蒸発速度が速くなり、銀分子の衝突エネルギーも高くなる。このように銀分子が高い衝突エネルギーをもつので、基板20上で銀分子が安定な状態に再配列され緻密な反射膜22が形成される。また、基板20上で銀分子が高いエネルギーをもつので、H2OやOH等の不純物が反射膜22に含まれることもない。このようにして形成された反射膜22は、低波長領域(特に、350〜400nm)での反射率が顕著に向上される。図3は本実施形態に係る反射鏡7の反射率を示すグラフである。図3において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は反射率(%)を表す。ここで、本実施形態における反射率とは、反射鏡7の最も上側に形成される層に入射する光の反射率の平均をいうものとする。
反射膜22の蒸着方法は、銀を主成分とするため、蒸着材料の入った反応容器に電流を流して抵抗熱を発生させ、その熱で蒸着材料を蒸発させる抵抗加熱法が好ましい。特に、反射膜22の蒸着方法は、膜形成速度を速くするために、抵抗加熱法により反応容器を高温に加熱させて銀分子を蒸発させるフラッシュ蒸着が好ましい。ここで、従来の反射膜22の一般的な蒸着方法においては、反応容器の加熱温度は蒸着材料の沸点付近であり、銀の沸点(2162℃)に近い2000℃となっている。一方、本実施形態のフラッシュ蒸着においては、反応容器としてモリブデン(融点2620℃)を用い、モリブデンの融点に近い2400〜2500℃まで加熱させるので、従来の加熱温度より高く、銀分子の蒸発速度を速くすることが可能である。反応容器は銀との反応性が低くかつ融点の高いものであればよく、反応容器の融点に応じて加熱温度を調整するのが好ましい。
第1保護層23は反射膜22を保護するものである。本実施形態においては、第1保護層23は、その上下の層との密着力を向上させるために酸化アルミニウムを用いて構成されている。このように、反射膜22をその上面と下面から酸化アルミニウムを用いた層によって挟む構造とすると、硫化水素ガスや亜硫酸ガス等の硫化ガスに対して強い耐性を示し、反射膜22のガス腐食が効果的に抑制されるようになっている。第1保護層23の膜厚は、本実施形態においては500〜1000オングストロームの範囲が好ましい。第1保護層23の膜厚が500オングストローム未満の場合、反射膜22のガス腐食を十分に防止することが困難であり、1000オングストロームより大きい場合、第1保護層23の内部応力が増大してしまう。また、第1保護層23の形成方法は、特に限定されず、下地層21と同様に10オングストローム/秒程度の膜形成速度で電子線蒸着法により形成するのが好ましい。
第2保護層24は、反射膜22の反射率を向上させるものであり、チタン系化合物を用いて形成されている。第2保護層24は反射膜22の反射率を向上させるとともに反射率の変動を抑えるものが好ましい。具体的には、第2保護層24は、酸化チタンを含有する屈折率1.9〜2.4の材料を用いて形成するようになっている。チタン系化合物の屈折率が1.9未満の場合には反射率が十分に向上しないおそれがあり、屈折率が2.4より大きい場合には反射率の変動が大きくなってしまうという問題がある。酸化チタンとしては、例えば、TiO、TiO2、LaTiO2,La2Ti35等が挙げられる。本実施形態においては、OH−5(株式会社オプトロン製,酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物,屈折率2.13)を使用して第2保護層24を形成するようになっている。
第2保護層24の膜厚は、500〜1000オングストロームの範囲が好ましく、適宜調整することによって750nm付近の波長帯域の反射率を向上させることが可能である。第2保護層24の膜厚が500オングストローム未満の場合には反射率を十分に向上させることができないおそれがあり、1000オングストロームより大きい場合には第2保護層24で干渉光が発生するおそれがある。また、第2保護層24の形成方法は、特に限定されず第1保護層23と同様に10オングストローム/秒程度の膜形成速度で電子線蒸着法により形成するのが好ましい。
ここで、第1保護層23と第2保護層24との膜厚の合計は、分光特性を良好に維持するために1000〜1500オングストロームの範囲が好ましく、1200〜1350オングストロームがより好ましい。
次に、本実施形態に係る反射鏡19の製造方法について説明する。
まず、基板20を真空蒸着装置(不図示)の回転ドームに設置する。真空蒸着装置は、図示省略するが、真空蒸着装置内の真空度を調節する真空ポンプと、基板20を保持したまま回転する回転ドームと、蒸着材料を載置する反応容器と、反応容器内の蒸着材料を蒸発させる加熱装置と、各層の膜厚と膜形成速度(蒸着レート)とを測定する測定部と、真空蒸着装置全体を制御する制御部とを有している。制御部は図示しない操作部に接続しており、操作者は操作部を介して各層の蒸着条件等を入力できるようになっている。
真空蒸着装置の反応容器には、下地層21、反射膜22、第1保護層23および第2保護層24の材料それぞれを別個に蒸着源として載置する。真空蒸着が開始されると、制御部は、真空ポンプにより真空蒸着装置内の空気を排気させるとともに回転ドームを回転させる。真空蒸着装置内が所定の真空度に達しかつ基板20の回転速度が一定になると、制御部は、加熱装置により下地層21の蒸着材料を入れた反応容器に電子線を照射させる。このように下地層21の蒸着は電子線蒸着法で行い、電子線のエネルギーにより蒸着材料を加熱して蒸発させることにより下地層21を形成する。下地層21の膜形成速度は、一般的な膜形成速度である10オングストローム/秒程度であればよい。
下地層21が所望の膜厚に形成された後、制御部は、反射膜22をフラッシュ蒸着により形成させる。制御部は、加熱装置により電流を印加させて銀が入った反応容器を加熱させ、蒸着材料である銀分子を蒸発させる。この際、加熱装置は、反応容器の温度が2400〜2500℃となるように電流・電圧値を調整する。このように蒸着材料の沸点より高い温度に反応容器を加熱することにより、銀分子はそれぞれ高いエネルギーを持って下地層21に衝突し、安定な状態に再配列されて緻密な反射膜22が形成される。この際、反射膜22の膜形成速度は第1保護層23と第2保護層24との少なくとも一方の膜形成速度より大きく、好ましくは第1保護層23と第2保護層24との少なくとも一方の膜形成速度の7倍以上、より好ましくは10倍以上とする。制御部は、反射膜22の膜形成速度を速く保つために、測定部により反射膜22の蒸着レートを測定させ、蒸着レートの低下が測定された際には反射膜22の蒸着を停止させることとしても良い。
反射膜22が所定の膜厚に形成された後、制御部は、第1保護層23および第2保護層24の蒸着を順次行わせて真空蒸着を終了する。第1保護層23および第2保護層24の蒸着は、下地層21と同様に電子線蒸着法で行い、10オングストローム/秒程度の膜形成速度に調整する。
このようにして得られた反射鏡19は、350〜1100nmでの反射率が90%以上と高く、かつ450nm以上の波長領域での反射率の変動が3%以内と小さい反射特性を示すことが可能である。このように少なくとも可視光領域において均一で高い反射率を示すので、自然な色合いでかつ明るい反射像が得られる。また、角度特性も良く、光の入射角度に関わらず高い反射率を得ることが可能である。
なお、本実施形態においてはカメラシステム1のミラーペンタ14(中空ペンタミラー)の反射面に反射鏡19を用いたが、光を反射する反射部材であれば反射鏡19を用いることが加納である。
また、光学機器としてカメラシステム1を例に挙げて説明したが、広帯域で高反射率を示しかつ反射特性が均一であるので、顕微鏡の双眼鏡筒の反射ミラーとしても用いることが可能である。その他、双眼鏡などの光学機器や、複写機又はプロジェクタなどのOA機器に用いられる反射鏡としても用いることが可能である。
また、第1保護層23は、酸化アルミニウムを用いて構成されることとしたが、反射鏡19の耐久性および耐湿性を向上させることができればよく、適宜変更可能である。第2保護層24についても、チタン系化合物を用いて構成されることとしたが、反射鏡19の反射特性を少なくとも可視光領域において均一にしかつ向上させることができるものであればよい。第1保護層23および第2保護層24は、その構成に応じて膜形成方法も変更可能であり、電子線蒸着法や抵抗加熱法などの真空蒸着法で形成すればよい。このように、下地層や保護層を変更した場合であっても、反射膜の膜形成速度をその上側に位置する保護層の少なくとも一つの膜形成速度より速くすれば緻密な反射膜が得られ、反射鏡の反射特性を向上させることが可能である。
また、本実施形態においては反射鏡19を4層構造としたが、各層の密着性や耐性を高めるために図示しない保護層や密着層を備えることとしてもよい。
まず、直径30mm、厚み1.0mmの円板状のBK7(光学ガラス)をガラス基板として用意した。ガラス基板は、洗浄してから真空蒸着装置の回転ドームに設置した。真空蒸着装置の反応容器には、反射膜を形成するフラッシュ蒸着の蒸着源として粒状の銀を載置した。また、真空蒸着装置の他の反応容器には、下地層、第1保護層および第2保護層を形成する電子線加熱法の蒸着源として酸化アルミニウムとOH−5(株式会社オプトロン製,酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物,屈折率2.13)をそれぞれの反応容器に載置した。
次に、真空装置内部を真空ポンプで排気し、所定の真空度(1.33×10−3Pa)まで減圧するとともに回転ドームにより基板20を回転させた。続いて電子線蒸着法を開始し、酸化アルミニウムを10オングストローム/秒の膜形成速度で蒸着させて200オングストロームの膜厚の下地層を形成した。次に、抵抗加熱法を開始し、Agを蒸着させて1500オングストロームの膜厚の反射膜を形成した。この際、反射膜の膜形成速度は70オングストローム/秒で開始させてから徐々に加速させ、100オングストローム/秒まで速くした。
さらに、電子線蒸着法により第1保護層として酸化アルミニウムを600オングストロームの膜厚まで蒸着させた後、第2保護層としてOH−5を720オングストロームの膜厚まで蒸着させた。第1保護層および第2保護層の膜形成速度は10オングストローム/秒とした。
このようにして得られた反射膜の反射率を図4に実線で示す。図4において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は反射率(%)を表すものとする。図4からわかるように、本実施例に係る反射鏡は、350〜1100nmと広い波長領域でも反射率を90%以上とすることが可能である。特に、350〜400nmの波長領域の反射率が90%以上であるので、可視光領域の下限付近で反射率が低下することによる弊害を防止することが可能である。また、400〜750nmの波長領域の反射率を96%以上、400〜650nmの波長領域の反射率を97%以上、450〜550nmの波長領域の反射率を98%以上とするので、銀を反射膜に用いても可視光領域でより高い反射率を得ることが可能である。さらに、450〜750nmの波長領域の反射率の変動量が3%以内であるので、反射率の変動により反射像が不自然な色合いになることを防止することが可能である。以上より、本実施例の反射鏡によれば、少なくとも可視光領域において均一で高い反射率を示し、自然な色合いで明るい反射像を得ることが可能である。
また、反射鏡の耐性をみるため、耐候性試験(雰囲気温度50℃、絶対湿度90%の恒温恒湿層に60時間放置)、加熱試験(200℃のホットプレート上に30分放置)、煮沸試験(煮沸した純水中に30分浸漬後アルコール拭き)をそれぞれ行った後に、テープによる膜剥離の有無を検討したところ、すべての試験後において膜剥離はみられなかった。また、上記3つの試験をすべて行った後に反射率を測定した。その結果を図4に点線で示す。図4に示すように、反射率の変化はほとんどみられず、耐候性試験の後でも反射率が低下しないことがわかる。このように、本実施例においては、耐性が高く、膜剥離を防止するとともに反射率の低下を防止することが可能である。
本実施形態の撮像装置の概略構成を示す断面図である。 本実施形態の反射鏡の構成を示す断面図である。 本実施形態の反射鏡の反射率を示す図である。 本実施例の反射鏡の反射率を示す図である。
符号の説明
1 カメラシステム
5 撮像素子
14 ミラーペンタ
19 反射鏡
20 基板
21 下地層
22 反射膜
23 第1保護層
24 第2保護層

Claims (14)

  1. 基板上に銀を用いた反射膜を形成し、前記反射膜の上に酸化アルミニウムを用いた第1保護層とチタン系化合物を用いた第2保護層とを形成する反射鏡の製造方法において、
    前記反射膜の膜形成速度は、前記第1保護層と前記第2保護層との少なくとも一方の膜形成速度より速いことを特徴とする反射鏡の製造方法。
  2. 請求項1に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記反射膜の膜形成速度は、前記第1保護層と前記第2保護層との少なくとも一方の膜形成速度の7倍以上であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記反射膜の膜形成速度は、前記第1保護層と前記第2保護層との少なくとも一方の膜形成速度の10倍以上であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記反射膜はフラッシュ蒸着により形成することを特徴とする反射鏡の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    350〜400nmの波長領域において、最も上側に形成される層に入射する光の反射率が90%以上であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    450〜750nmの波長領域において、最も上側に形成される層に入射する光の反射率の変動量が3%以内であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    400〜750nmの波長領域において、最も上側に形成される層に入射する光の反射率が96%以上であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記第2保護層の膜厚を500〜1000オングストロームとすることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記第1保護層と前記第2保護層との膜厚の合計を1000〜1500オングストロームとすることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記チタン系化合物は、チタン酸化物であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記チタン系化合物は、二酸化チタンと二酸化ジルコニウムとの混合物であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の反射鏡の製造方法において、
    前記基板と前記反射膜との間に、酸化アルミニウムを用いた下地層を形成することを特徴とする反射鏡の製造方法。
  13. 基板上に銀を用いた反射膜を形成し、前記反射膜の上に第1保護層と第2保護層とを形成する反射鏡の製造方法において、
    前記反射膜の膜形成速度は、前記第1保護層と前記第2保護層との少なくとも一方の膜形成速度の7倍以上であることを特徴とする反射鏡の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の反射鏡の製造方法により製造された反射鏡を備える光学機器。
JP2007007635A 2007-01-17 2007-01-17 反射鏡の製造方法及び光学機器 Pending JP2008175929A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007007635A JP2008175929A (ja) 2007-01-17 2007-01-17 反射鏡の製造方法及び光学機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007007635A JP2008175929A (ja) 2007-01-17 2007-01-17 反射鏡の製造方法及び光学機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008175929A true JP2008175929A (ja) 2008-07-31

Family

ID=39703015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007007635A Pending JP2008175929A (ja) 2007-01-17 2007-01-17 反射鏡の製造方法及び光学機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008175929A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012154318A (ja) * 2011-01-06 2012-08-16 Ibiden Co Ltd 排ガス処理装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03107430U (ja) * 1990-02-19 1991-11-06
JPH05100107A (ja) * 1991-04-19 1993-04-23 Konica Corp 反射ミラー
JPH10143919A (ja) * 1996-11-08 1998-05-29 Kao Corp 光記録媒体
JP2003149418A (ja) * 2001-07-17 2003-05-21 Carl Zeiss Semiconductor Manufacturing Technologies Ag 幾何ビームスプリッタおよびその作製方法
JP2004258496A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Nikon Corp 紫外域用反射ミラーの製造方法並びに紫外域用反射ミラー及びそれを用いた投影露光装置
WO2005029142A1 (ja) * 2003-09-22 2005-03-31 Murakami Corporation 銀鏡およびその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03107430U (ja) * 1990-02-19 1991-11-06
JPH05100107A (ja) * 1991-04-19 1993-04-23 Konica Corp 反射ミラー
JPH10143919A (ja) * 1996-11-08 1998-05-29 Kao Corp 光記録媒体
JP2003149418A (ja) * 2001-07-17 2003-05-21 Carl Zeiss Semiconductor Manufacturing Technologies Ag 幾何ビームスプリッタおよびその作製方法
JP2004258496A (ja) * 2003-02-27 2004-09-16 Nikon Corp 紫外域用反射ミラーの製造方法並びに紫外域用反射ミラー及びそれを用いた投影露光装置
WO2005029142A1 (ja) * 2003-09-22 2005-03-31 Murakami Corporation 銀鏡およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012154318A (ja) * 2011-01-06 2012-08-16 Ibiden Co Ltd 排ガス処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI375048B (en) Anti-reflection coating, and optical element and optical system with anti-reflection coating
USRE41747E1 (en) Metal film and metal film-coated member, metal oxide film and metal oxide film-coated member, thin film forming apparatus and thin film forming method for producing metal film and metal oxide film
JPS6138443B2 (ja)
JP5343716B2 (ja) 撮像装置
JP2009180822A (ja) 撮像装置
WO2012023372A1 (ja) 光学機能素子および撮像装置
JP2010282133A5 (ja)
JP2007078715A (ja) プラスチック製光学部品およびこれを用いた光学ユニット、ならびにプラスチック光学部品上に無機系防湿皮膜を形成する方法
JP2006267372A (ja) プラスチック製光学部品、およびこれを用いた光学ユニット
JP2008175929A (ja) 反射鏡の製造方法及び光学機器
JP2002055207A (ja) 光学部品および光学装置
JP2009139885A (ja) ペリクルミラー及び撮像装置
JP5556131B2 (ja) 光学装置
JP7385364B2 (ja) 光学部材、光学部材の製造方法、光学機器、及び撮像装置
JP5664196B2 (ja) 正立化部材および光学装置
JP6268691B2 (ja) 光束分割光学素子及びデジタル一眼レフカメラ
JPH07301703A (ja) 高精度光学部品用反射防止膜
WO2022019010A1 (ja) 光学装置
JP2013218246A (ja) 光学素子、撮像装置、電子機器及び光学素子の製造方法
JP2009153676A (ja) 前眼部断面撮影装置
WO2004097494A1 (ja) デジタルカメラ付地上望遠鏡
JP6679963B2 (ja) ハーフミラー面を有する光学素子及びそれを用いた光学機器
JP6941919B2 (ja) 光学機器及びプリズム
JP2023038059A (ja) 光学フィルタ及び撮像装置
JP2021101230A (ja) Ndフィルター

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080605

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091216

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20091216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111108

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120313