JP2009153676A - 前眼部断面撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特別な遮蔽機構を設けることなくゴースト除去を可能とすることにより、断面画像に悪影響を及ぼすことがなく、良好な断面画像を得ることができる前眼部断面撮影装置を提供する。
【解決手段】装置光学系10は、スリット投影光学系12、撮影光学系14が設けられた構造とされている。スリット投影光学系12は、スペクトル半値幅が60nm以下の撮影用光源16、コンデンサレンズ18、被検眼E側に反射防止部材21を備えているスリット板20、屈折率1.8〜1.95の硝材からなり反射防止膜が施してあり、さらに、被検眼E側の面22aが被検眼Eの角膜頂点を曲率中心とする曲率半径Rの凹球面となっている投影レンズ22が光軸L1上に設けられて構成されている。撮影光学系14は、結像レンズ24、CCDカメラ26が光軸L2上に設けられて構成されている。
【選択図】図3
【解決手段】装置光学系10は、スリット投影光学系12、撮影光学系14が設けられた構造とされている。スリット投影光学系12は、スペクトル半値幅が60nm以下の撮影用光源16、コンデンサレンズ18、被検眼E側に反射防止部材21を備えているスリット板20、屈折率1.8〜1.95の硝材からなり反射防止膜が施してあり、さらに、被検眼E側の面22aが被検眼Eの角膜頂点を曲率中心とする曲率半径Rの凹球面となっている投影レンズ22が光軸L1上に設けられて構成されている。撮影光学系14は、結像レンズ24、CCDカメラ26が光軸L2上に設けられて構成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、被検眼の前眼部の断面像を撮影する前眼部断面撮影装置に関するものである。
従来から、被検眼にスリット光を投影し、スリット光の光軸に傾斜した光軸を有する撮影光学系により被検眼の前眼部の断面像を撮影する装置が知られている。
このような装置において、スリット光を被検眼に投影した場合、スリット光の一部が被検眼の角膜において反射され、撮影光学系に入射し、断面画像にゴースト像2を形成する問題がある。(図1)
そのため、従来では、例えば特許文献1(特開昭53−103686号公報)に示されているように、スリット投影レンズの前方に遮蔽部材を設け、撮影時にスリット投影光路に遮蔽部材を突出させて撮影光学系側のスリット投影光束の一部を遮断するものが提案されている。
しかしながら、かかる特許文献1に記載の従来構造においては、遮蔽部材を被検眼の近い位置に置かなければ効果は少なく、また、正確な位置に遮蔽部材を置かなければ必要光まで遮断してしまい、画像にケラレが生じるという問題があった。
前述の、ゴースト像が形成される主な要因として、下記の事情が考えられる。
(1)スリット20aをでて投影レンズ22の面で反射してからスリット板20の面で反射して再び投影レンズ22を通り眼球表面に達した光は眼球面で広がって照射される。(図2-(A))
(2)スリット20aをでて投影レンズ22の面で反射してから投影レンズ22の他の面で反射して眼球表面に達した光は眼球面で広がって照射される。(図2-(B))
(3)スリット20aをでて投影レンズ22を通り眼球で反射され投影レンズ22の面で反射して眼球表面に達した光は眼球面で広がって照射される。(図2-(C))
(1)スリット20aをでて投影レンズ22の面で反射してからスリット板20の面で反射して再び投影レンズ22を通り眼球表面に達した光は眼球面で広がって照射される。(図2-(A))
(2)スリット20aをでて投影レンズ22の面で反射してから投影レンズ22の他の面で反射して眼球表面に達した光は眼球面で広がって照射される。(図2-(B))
(3)スリット20aをでて投影レンズ22を通り眼球で反射され投影レンズ22の面で反射して眼球表面に達した光は眼球面で広がって照射される。(図2-(C))
(1)、(2)、(3)の事情により眼球に広がって照射されたスリット投影光束の一部が眼球表面で鏡面反射して撮影光学系に入り、断面画像にゴースト像が形成される。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたもので、特別な遮蔽機構を設けることなくゴースト除去を可能とすることにより、断面画像に悪影響を及ぼすことがなく、良好な断面画像を得ることができる前眼部断面撮影装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、被検眼の前眼部にスリット光を投影するスリット投影光学系と、該スリット投影光学系のスリット光軸に対して所定の角度傾斜した光軸を有する撮影光学系とからなる前眼部断面撮影装置において、前記スリット投影光学系のスリットの前方に、反射防止部材を備えていることを特徴とする。
本態様に従う構造とされた前眼部断面撮影装置においては、スリットの前方に反射防止部材を備えることにより、スリット板での反射を防ぐことができる。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る前眼部断面撮影装置において、前記スリット投影光学系は、スペクトル半値幅が60nm以下の光源と、屈折率1.8〜1.95の硝材に反射防止膜を施した投影レンズを備え、前記反射防止膜は、MgF2からなる光学的膜厚がλ/4(λは基準波長)の単層膜、または、MgF2からなる光学的膜厚がλ/4の第1層と、屈折率2.0〜2.6の蒸着材料からなる光学的膜厚がλ/2の第2層との2層膜で構成されていることを特徴とする。
本態様に従う構造とされた前眼部断面撮影装置においては、スペクトル半値幅が60nm以下の光源とし、投影レンズに屈折率1.8〜1.95の硝材を用いて単層又は2層の反射防止膜を施すことにより、投影レンズにおける反射率がほぼ0となり、投影レンズでの反射を抑えることができる。なお、単層の反射防止膜を投影レンズに施した場合には、多層に比べて、安定した特性が得られると共に安価に反射防止膜を施すことが可能となる。
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る前眼部断面撮影装置において、前記投影レンズは、前記スリットと該被検眼との間に配置されており、前記投影レンズにおける該被検眼側の面は該被検眼の角膜頂点を曲率中心とする曲率半径の凹球面としたことを特徴とする。
本態様に従う構造とされた前眼部断面撮影装置においては、眼球での反射光は、投影レンズの眼球側の面に全て略垂直に入射するため、これらの面による反射光は、全て入射した光路を戻る。従って、眼球面に広がって照射されることを防ぐことができる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図3に、本発明における前眼部断面撮影装置の一実施形態としてシャインプルークの原理を利用した装置光学系10を示す。装置光学系10は、スリット投影光学系12、撮影光学系14が設けられた構造とされている。
スリット投影光学系12は、撮影用光源16、コンデンサレンズ18、スリット板20、投影レンズ22が光軸L1上に設けられて構成されている。撮影用光源16は、スペクトル半値幅が60nm以下の例えばLEDやSLD等が光源として用いられる。また、白色光源にダイクロイックフィルターまたはダイクロイックミラーを使用してスペクトル半値幅を60nm以下にすることで、白色光源を用いることも可能である。
スリット板20には、スリット20aが形成されており、さらにスリット板20の前方(被検眼E側)には、反射防止部材21を備えている。例えば、図4は、スリット板20の前方に反射防止シートが貼り付けてある。これにより、スリット板20における反射を防止することができる。
投影レンズ22は、屈折率1.8〜1.95の硝材からなり、真空蒸着法により反射防止膜が施してある。図5は、投影レンズ22に反射防止膜を施した概略図を示している。
図5-(a)は、MgF2からなる単層構造の反射防止膜を投影レンズ22に施した場合、図5‐(b)は、空気側から投影レンズ22側にかけて、MgF2、屈折率2.0〜2.6となる蒸着材料を積層した2層構造の反射防止膜を投影レンズ22に施した場合を示している。
次に、本発明の反射防止膜の具体的な設計例を示す。
図6は、基準波長λを550nmとし、MgF2をλ/4の光学的膜厚で屈折率1.8、1.9、1.95の投影レンズ22に蒸着した場合の反射率特性をそれぞれ(A1)、(B1)、(C1)で示している。
図7は、基準波長λを550nmとし、第1層のMgF2をλ/4の光学的膜厚、第2層のZrO2(屈折率2.05)をλ/2の光学的膜厚で屈折率1.8、1.9、1.95の投影レンズ22に蒸着した場合の反射率特性をそれぞれ(A2)、(B2)、(C2)で示している。
図8は、基準波長λを550nmとし、第1層のMgF2をλ/4の光学的膜厚、第2層のTiO2(屈折率2.55)をλ/2の光学的膜厚で屈折率1.8、1.9、1.95の投影レンズ22に蒸着した場合の反射率特性をそれぞれ(A3)、(B3)、(C3)で示している。
図6、図7、図8から明らかなように、スペクトル半値幅が60nm以下の光源を用いて、投影レンズ22の硝材を屈折率1.8〜1.95とし、反射防止膜として、MgF2からなる膜厚がλ/4の単層膜を施すか、MgF2からなる膜厚がλ/4の第1層と、屈折率2.0〜2.6の蒸着材料からなる膜厚がλ/2の第2層との2層膜を施すことにより、投影レンズ22における反射率をほぼ0とすることができる。
本実施例においては、投影レンズ22の硝材をTAFD30(屈折率1.89)及びFDS90(屈折率1.86)とし、反射防止膜として、図5-(a)の単層膜(MgF2、λ/4膜厚)が施してある。
さらに、図9のように、投影レンズ22の被検眼E側の面22aは、被検眼Eの角膜頂点を曲率中心とする曲率半径Rの凹球面となっている。これにより、被検眼Eでの反射光は、投影レンズ22の被検眼E側の面22aに全て略垂直に入射するため、投影レンズ22の被検眼E側の面22aでの反射光は、全て入射した光路を戻る。従って、被検眼Eに広がって照射されることを防ぐことができる。
撮影光学系14は、結像レンズ24、CCDカメラ26が光軸L2上に設けられて構成されている。スリット板20の投影像の光断面、結像レンズ24の主平面及びCCDカメラ26の結像面の各延長面が1点で交わるような配置となっている。この光学系の配置は、シャインプルークの法則と呼ばれるもので、この光学系の配置自体は公知である。また、本実施例では、スリット投影光学系の光軸L1と撮影光学系の光軸L2とは45度の傾きをもって配置されている。
撮影用光源16からの光束は、コンデンサレンズ18によって集光されてスリット板20に導かれ、そのスリット20aにより細いスリット状の光束とされ、投影レンズ22を透過し、被検眼Eに投影される。被検眼前眼部の組織(角膜、前房、水晶体等)で散乱されたスリット光束は、結像レンズ24により集光され、CCDカメラ26により断面画像が取得される。
図10は、本発明の一実施形態である前眼部断面撮影装置により取得された断面画像を示したものである。図10から明らかなように、断面画像にゴースト像は形成しておらず、良好な断面画像が得られる。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、上記実施例は、スリット板20の前方(被検眼E側)に反射防止シート21が貼り付けてあるが、つや消し塗料等を塗布した板を反射防止板として、スリット板20の前方に設けることにより、スリットにおける反射を防止してもよい。
10:装置光学系、12:スリット投影光学系、14:撮影光学系、16:撮影用光源、18:コンデンサレンズ、20:スリット板、20a:スリット、21:反射防止部材、22:投影レンズ、22a:投影レンズの被検眼側の面、24:結像レンズ、26:CCDカメラ
Claims (3)
- 被検眼の前眼部にスリット光を投影するスリット投影光学系と、該スリット投影光学系のスリット光軸に対して所定の角度傾斜した光軸を有する撮影光学系とからなる前眼部断面撮影装置において、
前記スリット投影光学系のスリットの前方に、反射防止部材を備えていることを特徴とする前眼部断面撮影装置。 - 前記スリット投影光学系は、スペクトル半値幅が60nm以下の光源と、屈折率1.8〜1.95の硝材に反射防止膜を施した投影レンズを備え、
前記反射防止膜は、MgF2からなる光学的膜厚がλ/4(λは基準波長)の単層膜、または、MgF2からなる光学的膜厚がλ/4の第1層と、屈折率2.0〜2.6の蒸着材料からなる光学的膜厚がλ/2の第2層との2層膜で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の前眼部断面撮影装置。 - 前記投影レンズは、前記スリットと該被検眼との間に配置されており、前記投影レンズにおける該被検眼側の面は該被検眼の角膜頂点を曲率中心とする曲率半径の凹球面としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の前眼部断面撮影装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|---|
JP2016049261A (ja) * | 2014-08-29 | 2016-04-11 | アルプス電気株式会社 | 照明撮像装置および視線検出装置 |
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