JP2008172963A - 流体軸受装置及びスピンドルモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 撥油剤の塗布有無の目視による確認性を向上させ、生産における塗布異常、塗布忘れを防止することである。更に別の目的は、蛍光撥油剤の発色体が撥油剤中に均一に分散することができ、100℃以上の加熱後、昇華気化せず、UV照射による均一且つ明瞭な発光作用を維持し、かつディスク表面の汚染に結びつくようなコンタミネーションの発生がない流体軸受装置及びスピンドルモータを提供することにある。
【解決手段】 軸部材及び/またはスリーブ部材の表面に、潤滑油の飛散を抑止するため、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーと、特定構造を有する発色体のうち少なくとも一種を添加した撥油皮膜を形成した流体軸受装置およびスピンドルモータ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流体軸受装置に関し、より詳細にはハードディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM等の光ディスクを始めとする記録媒体、特に円盤状記録媒体を駆動するためのスピンドルモータなどに用いられる流体軸受装置、およびこれを用いたスピンドルモータに関するものである。
ハードディスクドライブなどに用いられるスピンドルモータでは、軸受装置として球軸受やコロ軸受が従来は用いられていたが、モータの小型化、低振動・低騒音化といった市場の要請から流体動圧軸受装置が近年開発・実用化されつつある。
流体動圧軸受装置は、軸部材とスリーブ部材とが回転自在に嵌合してなり、軸部材とスリーブ部材には、軸部材又はスリ−ブ部材の半径方向の荷重を支持するラジアル軸受部と、軸方向の荷重を支持するスラスト軸受部とが形成されている。これらの各軸受部は、スリーブ部材に設けられた軸受面と、軸部材に設けられた軸受面とが微小間隙を介して対向してなり、軸受面の少なくとも一方に動圧発生溝が形成され、微小間隙には潤滑油が充填されている。
このような構成の流体軸受装置において、例えば軸部材が回転すると、微小間隙に保持されている潤滑油が動圧発生溝の溝パターンに沿って押圧され、潤滑油中に局部的な高圧部分が生じる。これにより一対のラジアル軸受部において軸部材のラジアル方向の荷重が支持され、一対のスラスト軸受部において軸部材のスラスト方向の荷重が支持される。
この流体軸受装置では、潤滑油が軸部材及び/またはスリーブ部材の表面を滲むようにつたわって外側に漏出するおそれがあり、それ故に、このような潤滑油の漏れを防止するために、潤滑油が充填された両者の間隙部、即ち動圧軸受部の外側部位(軸部材及び/またはスリーブ部材の部位)に、撥油処理によって撥油剤の皮膜が設けられている。この撥油皮膜は撥油性を有しているので、滲みによるつたわりを阻止し、潤滑油の漏れを防止することができる。
しかし、軸部材やスリーブ部材に塗布される撥油剤は、一般的に薄膜で且つ無色透明であり、撥油処理時及び撥油処理後に撥油皮膜の形成の有無を目視により確認することが困難であった。そのため、作業工程の中に撥油皮膜が形成されたことを確認するための検査、確認工程を設けなければならず、多大な時間を要し作業効率の低下を招いていた。
そこで、無色透明の撥油剤にカーボンブラックを添加し、撥油剤の塗布の有無を目視にて確認することを可能にする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、無色透明の撥油剤にUV発色成分を少量添加し、室温で乾燥させた後、UV光線を照射させ、目視により塗布状態を確認する工程を経て、加熱し、撥油剤を溶融させていた溶剤及びUV発色成分を気化させ、撥油皮膜を定着させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−304263号公報 特開2004−211851号公報
しかしながら、従来の流体軸受装置においては、カーボンブラックを添加した撥油剤を用いると、回転始動時及び回転停止時に軸部材とスリーブ部材が摺動することにより、撥油皮膜中のカーボンブラックの微粒子が遊離し、微小なコンタミネーションが動圧軸受内部で発生し、モータロックの原因となることがあった。加えて、カーボンブラックなどの着色に用いる色剤は、軸部材及びスリーブ部材の素材上に塗布するため、素材の色の上から識別が可能なものを選定しなければならなかった。
また、上記のUV発色成分を添加した撥油剤を用いると、撥油剤塗布直後はUV照射させると撥油皮膜は発光し目視をすることはできるが、撥油皮膜の硬化、乾燥時に100度以上に加熱されることにより、溶剤とともにUV発色成分は昇華反応を起こし気化分解する。そのため、撥油皮膜の硬化、乾燥後はUV照射させても撥油皮膜は発色しなくなり、モータの組み立て直前での撥油剤の塗布ムラの検査、及びモータの組み立て後の撥油剤の塗布ムラ、塗布忘れを簡単な検査により識別できないという不具合があった。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撥油剤の塗布有無の目視による確認性を向上させ、生産における塗布異常、塗布忘れを防止することである。更に別の目的は、蛍光撥油剤の発色体が撥油剤中に均一に分散することができ、100℃以上の加熱後、昇華気化せず、UV照射による均一且つ明瞭な発光作用を維持し、かつディスク表面の汚染に結びつくようなコンタミネーションの発生がない流体軸受装置及びスピンドルモータを提供することにある。
本発明の流体軸受装置は、軸部材とスリーブ部材とが回転自在に嵌合し、前記軸部材に設けられた軸受面と、前記スリーブ部材に設けられた軸受面とが微小間隙を介して対向し、前記微小間隙には潤滑油が充填された流体軸受装置において、前記軸部材と前記スリーブ部材との互いに対向する面のうち、前記軸受面に隣接する部位の少なくとも一方には、前記潤滑油が介在せず、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーと、下記一般式(1)で表される発色体および下記一般式(2)で表される発色体のうち少なくとも一種と、を含む撥油皮膜が形成されてなることを特徴とする。
Figure 2008172963
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示し、それらは互いに結合して環構造を形成していてもよく、窒素原子が結合しているベンゼン環と共に環構造を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
Yは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。]
また、本発明の流体軸受装置は、軸部材とスリーブ部材とが回転自在に嵌合し、前記軸部材に設けられた軸受面と、前記スリーブ部材に設けられた軸受面とが微小間隙を介して対向し、前記微小間隙には潤滑油が充填された流体軸受装置において、前記軸部材と前記スリーブ部材との互いに対向する面のうち、前記軸受面に隣接する部位の少なくとも一方には、前記潤滑油が介在せず、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーと、2〜49個のフッ素を含むアルキル置換基を有する芳香族化合物の発色体と、を含む撥油皮膜が形成されてなることを特徴とする。
本発明によれば、一般式(1)および(2)で表される発色体のうち少なくとも一種を含むため、撥油剤の塗布有無の目視による確認性を向上させ、生産における塗布異常、塗布忘れを防止することである。更に別の目的は、蛍光撥油剤の発色体が撥油剤中に均一に分散することができ、100℃以上の加熱後、昇華気化せず、UV照射による均一且つ明瞭な発光作用を維持し、かつディスク表面の汚染に結びつくようなコンタミネーションの発生がない流体軸受装置及びスピンドルモータを提供することができる。
また、発色体にフッ素含有アルキル基部分を有することから、フッ素系ポリマーとの相溶性も良く、発色体が均一に分散することができ、均一かつ明瞭な撥油皮膜を形成することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う流体軸受装置及びこれを備えたスピンドルモータの一実施形態について説明する。なお、本発明は下記の実施の形態には限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
図1は、本発明に従う流体軸受装置を備えたHDD駆動用スピンドルモータの一例を示す断面図である。図1において、図示のスピンドルモータは、外形が円形状のハウジング2と、このハウジング2に対して相対的に回転自在であるロータ4と、ハウジング2とロータ4との間に介在された流体軸受装置6とを具備し、流体軸受装置6が、軸部材となる軸体8と、この軸体8が回転自在に嵌合するスリーブ部材となるスリーブ体10と、これら両者間に充填された潤滑油12とを備えている。ハウジング2は略円形状のハウジング本体14を備え、このハウジング本体14の内周部には円筒状の支持スリーブ壁16が設けられ、この支持スリーブ壁16にステータ18が外嵌固定されている。ステータ18は、コアプレートが積層されたステータコア20と、このステータコア20に所要の通りに巻かれた駆動コイル22とを備え、ステータコア20が支持スリーブ壁16の外周面に嵌合している。
ロータ4は、ロータ本体である略円筒状のハブ本体24を備え、ハブ本体24の下端部には半径方向外方に突出する環状ディスク載置部26が設けられ、かかるディスク載置部26にハードディスク(図示せず)が載置される。ディスク載置部26の外周部にはハウジング本体14側(図1において下方)に向けて延びる垂下壁28が設けられ、この垂下壁28の内周面に環状ロータマグネット30が装着されている。このロータマグネット30はステータ18に対向してその半径方向外方に配置され、ステータ18との磁気的相互作用によって所定方向に回転駆動され、これによって、ハブ本体24及びこれに装着されたハードディスクも一体的に回転される。
次に、ハウジング2とロータ4との間に介在された流体軸受装置6について説明すると、図示の流体軸受装置6のスリーブ体10は円筒スリーブ状であり、その一端部(図1において下端部)がハウジング本体14の支持スリーブ壁16の内周面に内嵌固定されている。このスリーブ体10の他端部は支持スリーブ壁16から図1において上方に延びている。スリーブ体10の一端部の内径は一端に向けて段階的に拡径され、その一端から他端に向けて大内径部32、中内径部34及び小内径部36が設けられている。このスリーブ体10は、ステンレス鋼、アルミニウム、銅系金属材料などから形成され、快削性が優れ、動圧発生溝を高精度に仕上げることができる例えばDHS(商標名)から形成される。
軸体8は、軸部38及びこの軸部38の一端部(図1において下端部)に設けられたスラスト板部40を有し、軸部38の外径がスリーブ体10の小内径部36の内径に対応し、スラスト板部40の外径がスリーブ体10の中内径部38の内径に対応している。スラスト板部40は軸部38と一体的に形成するようにしてもよいが、軸部38と別体に形成し、この軸部38に固定するようにしてもよい。軸体8は、図1から理解されるように、その軸部38側をスリーブ体10の大内径部32側から挿入することによって、スリーブ体10に装着され、かく装着した状態にて、スリーブ体10の大内径部32に閉塞部材42が取り付けられる。この軸体8の他端部はスリーブ体10から外側に突出し、この突出端部にハブ本体24の端壁43が固定される。この軸体8は、ステンレス鋼、アルミニウムなどから形成され、例えばSUS420J2から形成される。
このような構成の流体軸受装置6では、軸体8と対向するスリーブ体10との間の間隙は、軸体8及びスリーブ体10の他端側において外側に解放されるが、その他の部分は密閉されており、潤滑油12はこれら両者の間隙のほぼ全域にわたって充填され、この潤滑油が介在された部分(軸受面)が流体動圧軸受部として機能する。即ち、軸体8を基準にすると、軸体8の軸部38の外周面並びにそのスラスト板部40の内側端面(軸部38が接続された端面)、外周面及び外側端面(閉塞部材42と対向する端面)にわたって実質上連続して充填される。そして、このことに関連して、軸体8の軸部38の他端部に、流出防止用のテーパ部46が設けられている。このテーパ部46は、軸部38の他端に向けて半径方向内方に傾斜する傾斜テーパ面を有し、この傾斜テーパ面における潤滑油12の毛細管作用によって外部への流出を防止する。
図示の流体軸受装置6においては、スリーブ体10の小内径部36の内周面に軸線方向(図1において上下方向)に間隔をおいて、一対のラジアル動圧発生手段48,50が設けられている。ラジアル動圧発生手段48,50は、例えばヘリングボーン形状の動圧発生溝から構成され、潤滑油12の圧力を高めてロータ4に作用するラジアル荷重を支持する。ラジアル動圧発生手段48,50は、軸体8の軸部38の外周面に設けるようにしてもよく、或いはこの軸部38の外周面及びスリーブ体8の小内径部36の内周面の双方に設けるようにしてもよい。
また、スリーブ体10の支持端面52(スラスト板部40の内側端面と対向する面)及び閉塞部材42の内面(スラスト板部40の外側端面と対向する面)に、一対のスラスト動圧発生手段54,56が設けられている。スラスト動圧発生手段54,56は、例えばヘリングボーン形状の動圧発生溝から構成され、潤滑油12の圧力を高めてロータ4に作用するスラスト荷重を支持する。スラスト動圧発生手段54,56は、軸体8のスラスト板部40の内側端面及び外側端面に設けるようにしてもよく、或いはこの軸部38のスラスト板部40の内側端面及び外側端面並びにスリーブ体10の支持端面52及び閉塞部材42の内面の双方に設けるようにしてもよい。なお、図1では、動圧発生手段48,50,54,56としての動圧発生溝を便宜上象徴的に示しているが、実際には、上述した各部の表面に複数の動圧発生溝を周方向に配列する形で形成している。
この実施形態では、更に、潤滑油12の滲みによる漏れを防止するために、軸体8及びスリーブ体10の他端部に、具体的には軸受面を形成する動圧軸受部に隣接してその外側に撥油処理が施されている。即ち、図1に示すように、スリーブ体10側にあっては、小内径部36の他端部内周面(軸体8のテーパ部46の開口部に対向する内周面)からスリーブ体10の他端面にわたって撥油皮膜58が設けられている。また、軸体8側にあっては、軸部38のテーパ部46の開口部外周面からハブ本体24の端壁43の内面(スリーブ体10の他端面に対向する内面)にわたって撥油皮膜60が設けられ、このように撥油皮膜58,60が設けられる部位には潤滑油は介在されない。このような撥油皮膜58,60は、発色体を添加した撥油剤を塗布することによって形成される。発色体を添加した撥油剤を、潤滑油12を充填する前に塗布する。本撥油剤は発色体を添加しているため、部品を組み立てる前の部品単体で、撥油剤を塗布し、UV照射(光源:ブラックライト(波長365nm))を行なうことにより、撥油皮膜形成箇所が黄色に発色し、撥油皮膜形成の有無を容易に確認、判別することができる。
尚、撥油皮膜58,60を形成する部位は、本実施形態のような部位に限定されず、撥油処理を必要とする部位であれば塗布形成することが可能である。
また、上述した実施形態では、ハードディスクを回転駆動するHDD駆動用スピンドルモータに適用して説明したが、このようなスピンドルモータに限定されず、CD、DVD等の光ディスクを回転駆動するスピンドルモータにも同様に適用することができ、その他の一般的モータにも広く適用することができる。
本発明の流体軸受装置に用いる撥油皮膜を形成する撥油剤は、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーと、一般式(1)で表される発色体および一般式(2)で表される発色体のうち少なくとも一種と、溶剤と、を混合してなる撥油剤である。
本発明に用いる撥油剤に含まれるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーについて説明する。
パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーとしては、パーフルオロアルキル基を有すれば特に限定されないが、例えば、以下の式(4)〜(17)で示されるポリマーが挙げられる。
下記式(4)で表される繰り返し単位を主に含むポリパーフルオロアルキルアクリレート、ポリパーフルオロアルキルメタクリレート、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレート等のポリマー。
Figure 2008172963
(但し、式(4)中、(CHのnは0〜6の整数を示す。Rは、水素、又はメチル基を示す。Rは、パーフルオロアルキル基(C2n+1)を示し、C2n+1中のnは0〜6の整数を示す。)
下記式(5)で表される繰り返し単位を主に含むエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)。
Figure 2008172963
下記式(6)で表される繰り返し単位を主に含むポリフッ化ビニル(PVF)。
Figure 2008172963
下記式(7)で表される繰り返し単位を主に含むポリフッ化ビニリデン(PVD)。
Figure 2008172963
下記式(8A)及び下記式(8B)で表される繰り返し単位を主に含むエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)。
Figure 2008172963
下記式(9)で表される繰り返し単位を主に含むポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)。
Figure 2008172963
下記式(10A)及び下記式(10B)で表される繰り返し単位を主に含むテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)。
Figure 2008172963
(但し、式(10B)中、Rは、炭素数2〜16、好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキル基(C2n+1)を示す)。
下記式(11)で表される繰り返し単位からなるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)。
Figure 2008172963
下記式(12A)及び下記式(12B)で表される繰り返し単位を主に含むテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)。
Figure 2008172963
下記式(13)で表される繰り返し単位を主に含むポリパーフルオロアルキルビニル。
Figure 2008172963
(但し、式(13)中、Rは、炭素数2〜16、好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキル基(C2n+1)を示す)。
下記式(14)で表される繰り返し単位を主に含むポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルビニル。
Figure 2008172963
(但し、式(14)中、Rfは、炭素数2〜16、好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキル基(C2n+1)を示す)。
下記式(15)で表される繰り返し単位を主に含むポリパーフルオロアルキルビニルエーテル。
Figure 2008172963
(但し、式(15)中、Rは、炭素数2〜16、好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキル基(C2n+1)を示す)。
下記式(16)で表される繰り返し単位を主に含むポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルビニルエーテル。
Figure 2008172963
(但し、式(16)中、Rfは、炭素数2〜16、好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキル基(C2n+1)を示す)。
下記式(17)で表される繰り返し単位を主に含むパーフルオロポリアルケニルビニルエーテル。
Figure 2008172963
(但し、式(17)中、a=0又は1,b=0又は1,c=0、1、又は2を示す)
なお、上記式(4)〜式(17)の繰り返し単位を主とし、他の繰り返し単位を含むコポリマーも本発明の効果を損なわない範囲であれば使用することが出来る。
本発明においては、撥水撥油性能が優れているとの観点から、式(4)で表される繰り返し単位を主に含むポリマーが好ましく、特に、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレートが好ましい。
上述の各ポリマーの分子量は特に限定されないが、分子量Mw3000〜400000(ここで、MwとはGPC(溶媒;テトラヒドロフラン)を用い、ポリスチレン換算した場合の重量平均分子量)のポリマーが好ましく、特に30000〜70000が好ましい。この範囲よりも分子量が小さいと、皮膜が脆くなる傾向にあり、一方この範囲よりも分子量が大きいと溶解性が低下する傾向にあるからである。
本発明に用いる撥油剤に使用する溶剤としては、フッ素系ポリマーを溶解可能な溶剤であれば特に限定されずに使用することができ、例えば、アセトン、MEK、MIBK等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系、ヘプタン、ヘキサン等のアルカン系、エタノール、IPA等のアルコール系の溶剤を使用することができる。特に、フッ素系溶剤が好ましい。フッ素系溶剤を用いると不燃であるため、塗布設備に特殊な排気・防爆装置を設ける必要がなくなる。また、フッ素系溶剤はフッ素系ポリマーと親和性が高いことからフッ素系ポリマーの溶解能が高いからである。
フッ素系溶剤としては、特に限定されず、例えば、パーフルオロカーボン(PFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、ハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)などを使用できる。
次に本発明に用いる撥油剤に混合する発色体について説明する。発色体としては、下記一般式(1)で表されるものおよび下記一般式(2)で表されるもののうち少なくとも一種を使用する。
Figure 2008172963
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示し、それらは互いに結合して環構造を形成していてもよく、窒素原子が結合しているベンゼン環と共に環構造を形成していてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
Yは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。]
一般式(1)および(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示し、それらは互いに結合して環構造を形成していてもよく、窒素原子が結合しているベンゼン環と共に環構造を形成していてもよい。
アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。また、アルキル基は、部分的にフッ素化されたフッ素含有アルキル基であってもよい。フッ素含有アルキル基としては、例えば、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロブチル基、ヘキサフルオロブチル基などが挙げられる。
アリールアルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルエチル基、フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、ピロリルメチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等が挙げられる。また、アリールアルキル基は、部分的にフッ素化されたフッ素含有アリールアルキル基であってもよい。フッ素含有アリールアルキル基としては、例えば、1−フェニルジフルオロエチル基、α−ナフチルトリフルオロメチル基、p−トリフルオロメチルベンジル基などが挙げられる。
アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などが挙げられる。
ヘテロアリール基の例としては、1−アザ−インドリジン−2−イル基、2−アザ−インドリジン−1−イル基、6−アザ−インドリジン−1−イル基、7−アザ−インドリジン−1−イル基、8−アザ−インドリジン−1−イル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、ピロリル基、ピラジニル基、インドリル基、イソインドリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、カルバゾリル基、フェナンスリジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、等が挙げられる。
また、これら各基は、適当な置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、スルホキシル基、スルホンアミド基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
このアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基の例としては、前記と同様のものが挙げられ、ハロゲン原子の例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルコキシル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、フッ素を含有するものであってもよい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、各種ブトキシ基、各種ペントキシ基、各種ヘキソキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基、ベンジロキシ基、フェネチルオキシ基などや、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基、トリフルオロプロポキシ基、O−CH(CH)CF、O−CH−Cなどのフッ素含有アルコキシル基が挙げられる。スルホンアミド基は、置換スルホンアミド又は無置換スルホンアミドのいずれでもあってもよく、アミド基は、置換アミド又は無置換アミドのいずれでもあってもよく、これらはフッ素を含むものであってもよい。これらのアルコキシル基、スルホンアミド基、アミド基の置換基としては、前記RとRと同様のものが挙げられる。さらに、アルコキシカルボニル基におけるアルコキシル基の例としては、前記と同様のものが挙げられる。また、エステル基はCOOCHなどのアルキルエステルに加えて、COOCH13で示されるフッ素含有エステル基であってもよい。
とRがたがいに結合して、窒素原子と一緒になって形成してなる環構造としては、例えば、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、モルホリノ基などが挙げられる。
また、RとRが、窒素原子が結合しているベンゼン環と共に形成してなる環構造としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
Figure 2008172963
およびRとしては、有機溶剤への溶解性が高いという観点から、炭素数4〜10のアルキル基および炭素数4〜10のフッ素含有アルキル基が好ましく、フッ素溶媒への溶解性が高いという観点から、炭素数4〜10のフッ素含有アルキル基がさらに好ましい。
一般式(1)および(2)において、Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
の示すアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の例としては、それぞれ、上記R及びRで挙げたものと同様の例が挙げられ、それらの置換基も同様のものが挙げられる。
一般式(1)および(2)において、Yは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
の示すアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基の例としては、それぞれ、前記R及びRで挙げたものと同様の例が挙げられ、それらの置換基も同様のものが挙げられる。
X、Yとしては、合成が容易で蛍光発光性、有機溶媒に対する溶解性、耐熱、耐光性にも優れているという点から、酸素原子が好ましい。
一般式(1)および(2)において、Rは、フッ素系溶媒への溶解性の向上という観点から、フッ素を2個以上含有するものであり、具体的には以下の基を示す。なお、フッ素数の上限は、完全フッ素化した場合(C−H結合をC−F結合に完全に置換した場合)のフッ素数である。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものである。
のアルキル基には、上記RとRで例示したものに加えて、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種エイコシル基などの炭素数11〜20のものや、これらが部分的にフッ素化されたフッ素含有アルキル基(例えば、C1021など)が含まれる。これらは、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
のアリールアルキル基は、上記RとRで例示したものと同様である。
アルキル基やアリールアルキル基の置換基としては、上記RとRで例示したものと同様のものに加えて、フッ素を含有する置換基(後述する)が挙げられる。
がアルキル基である場合には、アルキル基に含まれ得るフッ素の数は0〜41個、置換基に含まれ得るフッ素の数は0〜41個であり、アルキル基に含まれるフッ素の数と置換基に含まれるフッ素の数の和が2〜41個であればよい。
置換基を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基などのアリール基を、2〜49個のフッ素を含有する置換基で置換したものが挙げられる。アリール基は、フッ素を含有する置換基を少なくとも1つ有していればよく、置換基に含まれるフッ素の数の合計が2〜49個であればよい。
置換基を有するヘテロアリール基としては、上記RとRで例示したヘテロアリール基を、2〜31個のフッ素を含有する置換基で置換したものが挙げられる。ヘテロアリール基は、フッ素を含有する置換基を少なくとも1つ有していればよく、置換基に含まれるフッ素の数の合計が2〜31個であればよい。
さて、フッ素を含有する置換基としては、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロブチル基、ヘキサフルオロブチル基などのフッ素含有アルキル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロエトキシ基、トリフルオロプロポキシ基、O−CH(CH)CF、O−CH−Cなどのフッ素含有アルコキシル基、フッ素原子、フッ素含有アルコキシカルボニル基、NHCOCFなどのフッ素含有アミド基、フッ素含有スルホンアミド基、フッ化フェニルなどのフッ素置換アリール基、フッ素置換へテロアリール基、COOCFやCOO(CHで示されるフッ素含有エステル基(式中nは1〜5の整数、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜30のヘテロアリール基であって2〜41個のフッ素を含むものを示す。)などがあげられる。さらに、フッ素を含有する置換基が、パーフルオロポリエーテルやハイドロフルオロポリエーテル類などのフッ素化ポリエーテル類、例えば、(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)などの(C2qO)で表されるものを1種以上含むものであってもよい(pは1〜30の整数、qは1〜6の整数を示す)。
の、アルキル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換基はRで例示したものと同様である。
上記Rのうち、2〜49個のフッ素を含む置換基を有する炭素数6〜30のアリール基が好ましく、下記一般式(3)で表されるフッ素含有エステル基を有するアリール基がさらに好ましい。
Figure 2008172963
[式中、Arは炭素数6〜30のアリール基、nは1〜5の整数を示す。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。]
エステル化反応が容易であるという観点から一般式(3)中のnは1〜5が好ましく、Rはフッ素系溶媒への溶解性が高いという観点からC2m+1(mは1〜16の整数)で表されるフッ素含有アルキル基であるのが好ましい。
なお本発明には、以下の一般式(18)および(19)に示す蛍光性化合物(Xがないもの)を含んでいてもよい。
Figure 2008172963
さらに、本発明においては、以下の一般式(20)および(21)に示す蛍光性化合物を含んでいてもよい。
Figure 2008172963
一般式(18)〜(21)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示し、それらは互いに結合して環構造を形成していてもよく、窒素原子が結合しているベンゼン環と共に環構造を形成していてもよい。
一般式(18)〜(21)中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。
一般式(18)〜(21)中、Yは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
一般式(20)および(21)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
一般式(18)〜(21)中の、R、R、R、およびYは一般式(1)および(2)と同様であり、一般式(20)および(21)中のXは一般式(1)および(2)と同様である。
次に本発明に用いる撥油剤に混合される各成分の量について説明する。
本発明に用いる撥油剤では、フッ素系ポリマーと発色体と溶剤の合計量に対するフッ素系ポリマーの量が0.05〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.2〜8重量%である。この範囲よりもフッ素系ポリマー量が少なくなると均一な皮膜を形成できずムラになる傾向があり、一方多くなると皮膜が脆くクラックが入りやすい傾向にあるからである。
発色体は、コート皮膜の有無が確認できる程度、すなわち、充分な視認性を確保できる程度の量が添加される。従来の発色体は、充分な視認性確保のため、撥油剤全体に対して500wt ppm以上添加する必要があり、撥油剤中のフッ素系ポリマー含有量が少ない場合(例えばフッ素系ポリマー含有量が1000wt ppm:0.1重量%)には、乾燥皮膜中の発色体濃度が高くなるため、形成されたコート皮膜の皮膜特性が劣化する可能性があった。
しかし、本発明においては、発色体の添加量は、前記合計量(フッ素系ポリマーと発色体と溶剤の合計量)に対して10wt ppm以上であれば、塗布されたか否かの確認が可能であり、20wt ppm以上であれば充分な視認性が確保されることから、従来の発色体を用いた場合よりも添加量が少なくて済む。
なお、撥油剤には、実用性を向上させるために、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー等各種添加剤を添加することも可能である。
また、本発明に用いる撥油剤の流体軸受装置への塗布方法は、特に限定されず、ディップ(Dip)、刷毛塗り、スプレー、ディスペンス等、周知の塗布方法を用いることができる。
以下、本発明を実施例にて、より詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において使用される発色体を以下の手順で合成した。
<発色体の合成>
1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸ナトリウム(1.0g、3.84×10−3mol)とN,N−ジブチル−3−アミノフェノール(1.02g、4.16×10−3mol)と酢酸亜鉛(0.10g、3.84×10−3mol)に、ジメチルスルホキシド(DMSO)を30ml加え、60℃で5時間撹拌した。反応終了後, 反応溶液を蒸留水400mlに注ぎ沈殿物をろ別した。ろ物から生成物(1)をジクロロメタンで抽出、ジクロロメタン抽出液を減圧濃縮し, シリカゲルカラムクロマトグラフィー[ジクロロメタン/酢酸エチル=10/1]を用いて分離精製し、ベンゾフラノ−1,2−ナフトキノン誘導体の緑色結晶(1A)を 収率約30%で得た(下記反応式A1を参照)。
Figure 2008172963
次に、ベンゾフラノ−1,2−ナフトキノン誘導体(1A)(4.0g、1.06×10−2mol)とp−安息香酸アルデヒド(1.92g、1.28×10−2mol)を酢酸30mlに溶解させ、これに酢酸アンモニウム(16.44g、2.14×10−1mol)を加え90 ℃で2時間反応させた。反応終了後、反応溶液を200mlの蒸留水に注ぎ沈殿物をろ別した。ろ物をジクロロメタンで洗い不純物を溶解させて取り除き、黄色粉末結晶のオキサゾール系蛍光性色素(2A)、(2B)の混合物を租収率90%で得た(下記反応式B1を参照)。
Figure 2008172963
オキサゾール系蛍光性色素(2A)、(2B)の混合物 (1.00g、1.97×10−3mol)とn−C13CHCH2I(1.87g、3.95×10−3mol)、炭酸ナトリウム(0.418g、3.95×10−3mol)を、DMF2.5mlに溶解させ、100 ℃で7時間攪拌した。反応終了後、50mlの蒸留水に注ぎ、沈殿物をろ別した。ろ物から生成物をジクロロメタンで抽出し、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン)にかけて精製して、黄色粉末結晶のオキサゾール系蛍光性化合物(3A)と(3B)の混合物を租収率70%で得た(下記反応式C1を参照)。
Figure 2008172963
<参考試験例1>
上記蛍光性化合物(3A)と(3B)との混合物1mgを、フッ素系溶剤10g中に添加して溶解性を調べた。フッ素系溶剤として、パーフルオロカーボン(PFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、ハイドロフルオロポリエーテル(HFPE)を使用したところ、どの溶剤にも速やかに溶解した。これは、蛍光性化合物(3A)と(3B)が、C13で示すフッ素含有アルキル基部分を有していることに起因すると考えられる。また、上記蛍光性化合物(3A)と(3B)とフッ素系ポリマー及び各フッ素系溶剤との溶解性も確認したが、蛍光性化合物及びフッ素系ポリマーは、どの溶剤にも速やかに溶解した。このため、上記蛍光性化合物はフッ素系溶剤に速やかに溶解することができ、且つフッ素系ポリマーとの相溶性も高いため、撥油皮膜を形成しても、フッ素系ポリマー中に、均一に上記蛍光性化合物が分散し、UV照射により均一且つ明瞭な蛍光色を発色することが可能となる。
<試験例1:コート皮膜の視認性の評価試験(基材の色の影響)>
1.本発明に用いる撥油剤(A−1)の調製
ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート0.25重量部をHFE99.75重量部に溶解し、サンプル溶液SAとした。
このサンプル溶液SA99.99gに、上記合成方法により得られた、式(3A)に表される蛍光性化合物と式(3B)に表される蛍光性化合物との混合物(以下、発色体Aという)を10mg添加して撥油剤A−1(本発明に用いる撥油剤)とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は100wt ppmとされている。
2.比較例1の撥油剤(B−1)の調製
サンプル溶液SA99.9gにオキサゾール系発色体(シンロイヒ社製、商品名 ロイヒマーカー108M)を100mg添加分散したこと以外は、撥油剤A−1と同様にして、撥油剤B−1を調製した。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は1000wt ppmとされている。
3.コート皮膜の形成
A−1およびB−1の各撥油剤をそれぞれ容器にいれ、各撥油剤中に下記の各種基材を、それぞれ漬け、その後、基材を撥油剤から引き上げて室温で乾燥させた(1回ディップコート)。これにより、各基材表面に約0.1μm厚のコート皮膜が形成された。
使用した基材は、ステンレス板(SUS板、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)、ガラス板(長さ76mm×幅26mm、厚さ1mm)、黒色の樹脂板(PET製、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)、灰色の樹脂板(PET製、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)、白色の樹脂板(PET製、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)である。
4.コート皮膜の視認性の評価方法
各基材のコート皮膜形成部分にブラックライト(波長365nm)を照射してコート皮膜の発色を目視にて観察した。
この際の評価は、以下のようにした。
◎;発色が明確に観察される(発色によってコート皮膜の存在が明確に確認できる(視認性が高い))。
○;発色が観察される。
△;発色が若干観察される。
×;発色が全く観察されない。
コート皮膜の視認性の評価結果を表1に示す。
Figure 2008172963
A−1の撥油剤を用いた場合には、形成されたコート皮膜がすべての基材において黄色く発色して、はっきりと観察されるため、コート皮膜の存在を容易に確認することができた(視認性が高かった)。
B−1の撥油剤を用いた場合には、いずれの基材においてもA−1よりも視認性が劣っていた。とくに、黒色の樹脂板では全く発色が確認されなかった。これは、発色体が青色に発色していることが一因であると考えられる。
以上より、本発明に用いる撥油剤は、基材色を選ばず使用できるということがわかった。
<試験例2:加熱がコート皮膜の視認性に与える影響(耐熱性)>
試験例1で調製した撥油剤A−1、B−1をそれぞれ別の容器にいれ、ステンレス板(SUS製、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)を漬けた後、ステンレス板を撥油剤から引き上げて乾燥させた。それぞれのステンレス板上には、約0.1μm厚のコート皮膜が形成された。
次に、コート皮膜が形成されたステンレス板を150℃で1時間乾燥させ、コート皮膜形成部分にブラックライト(波長365nm)を照射してコート皮膜の発色を目視にて観察した。
その結果、A−1の撥油剤を使用したステンレス板においてはコート皮膜が明確に確認できたが、B−1の撥油剤を使用したステンレス板においては、発色が全く観察されなかった。このことから本発明に用いる撥油剤は耐熱性に優れているということがわかった。
<試験例3:溶剤がコート皮膜の視認性に与える影響(耐溶剤性)>
試験例1で調製した撥油剤A−1、B−1をそれぞれ別の容器にいれ、乾燥したガラス板を漬けた後、ガラス板を撥油剤から引き上げて乾燥させた。それぞれのガラス板上には、約0.1μm厚のコート皮膜が形成された。
コート皮膜が形成されたガラス板を常温で、各有機溶剤(イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、メタノール、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、アセトン)にそれぞれ1時間浸漬した後、溶剤から取り出して乾燥させ、コート皮膜形成部分にブラックライト(波長365nm)を照射してコート皮膜の発色を目視にて観察した。
試験例1のコート皮膜の視認性の評価方法と同様の評価方法によって評価した結果を表2に示す。
Figure 2008172963
A−1の撥油剤を用いた場合には、酢酸エチルとアセトンを除いた有機溶剤に浸漬しても発色が観察されるため、発色体が有機溶剤に溶け出し難いということがわかった。B−1の撥油剤を用いた場合には、上記の全ての有機溶媒中に発色体が溶け出して視認性が低下するということが判明した。
以上より本発明に用いる撥油剤は、耐溶剤性が高いということがわかった。
<試験例4:発色体の濃度の検討>
本発明に用いる撥油剤においては、試験例1で調製したA−1の撥油剤(発色体濃度100wt ppm)を基準として、以下に記載する発色体濃度の撥油剤を調製し、充分な視認性の得られる発色体の濃度について検討した。従来の発色体を添加した撥油剤については、試験例1で調製したB−1の撥油剤(発色体濃度1000wt ppm)を基準として、以下に記載する発色体濃度の撥油剤を調製して、充分な視認性の得られる発色体の濃度について検討した。
1.撥油剤A−2〜A−6の調製
ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート0.25重量部をHFE99.75重量部に溶解し、サンプル溶液SAとした。
このサンプル溶液SA 99.995gに、発色体Aを5mg添加分散して撥油剤A−2とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は50wt ppmとされている。
サンプル溶液SA 99.998gに、発色体Aを2mg添加分散して撥油剤A−3とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は20wt ppmとされている。
サンプル溶液SA 99.999gに、発色体Aを1mg添加分散して撥油剤A−4とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は10wt ppmとされている。
サンプル溶液SA 99.9995gに、発色体Aを0.5mg添加分散して撥油剤A−5とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は5wt ppmとされている。
サンプル溶液SA 99.9999gに、発色体Aを0.1mg添加分散して撥油剤A−6とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は1wt ppmとされている。
2.撥油剤B−2〜B−6の調製
サンプル溶液SA99.95gにオキサゾール系発色体(シンロイヒ社製、商品名 ロイヒマーカー108M)を50mg添加分散して撥油剤B−2とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は500wt ppmとされている。
サンプル溶液SA99.98gにオキサゾール系発色体(シンロイヒ社製、商品名 ロイヒマーカー108M)を20mg添加分散して撥油剤B−3とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は200wt ppmとされている。
サンプル溶液SA99.99gにオキサゾール系発色体(シンロイヒ社製、商品名 ロイヒマーカー108M)を10mg添加分散して撥油剤B−4とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は100wt ppmとされている。
サンプル溶液SA99.995gにオキサゾール系発色体(シンロイヒ社製、商品名 ロイヒマーカー108M)を5mg添加分散して撥油剤B−5とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は50wt ppmとされている。
サンプル溶液SA99.998gにオキサゾール系発色体(シンロイヒ社製、商品名 ロイヒマーカー108M)を2mg添加分散して撥油剤B−5とした。なお、本撥油剤では、ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレートと発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は50wt ppmとされている。
3.コート皮膜の形成
試験例1で調製したA−1の撥油剤、A−2〜A−6の各撥油剤、試験例1で調製したB−1の撥油剤、およびB−2〜B−6の各撥油剤をそれぞれ容器にいれ、各種基材を、それぞれ漬け、その後、基材を撥油剤から引き上げて乾燥させ(1回ディップコート)、各基材表面に約0.1μm厚のコート皮膜を形成した。
使用した基材は、ステンレス板(SUS板、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)、ガラス板(長さ76mm×幅26mm、厚さ1mm)、鋼線(SUS304製、直径1mm)、樹脂板(PET製、透明色、長さ40mm×幅15mm、厚さ0.5mm)、プリント配線板(JISZ3197の6.8(1)に規定するくし形電極基板2形、長さ50mm×幅50mm、厚さ1.6mm)である。
4.コート皮膜の視認性の評価方法
上記試験例1のコート皮膜の視認性の評価方法と同様の評価方法によって評価した結果を表3に示す。
Figure 2008172963
撥油剤A−1、A−2、A−3の場合には、全ての基材において発色がはっきりと観察され、A−4の場合には、A−1〜A−3に劣るものの、全ての基材において発色が観察され、A−5の場合、一部の基材において発色が確認され難くなるが実用可能な範囲であることがわかった。撥油剤A−6の場合、鋼線のみにおいて発色が観察不可となったが、使用可能な範囲内であることがわかった。なお、撥油剤A−1において良好な結果が得られたため、A−1よりも発色体濃度の高いものについては、試験を行わなかった(表中の「−」は試験を行っていないことを示す)。
撥油剤B−1、B−2の場合には、全ての基材において発色が観察可能であるが、B−3の場合には一部の基材において発色が確認され難くなるが実用可能な範囲であるということがわかった。撥油剤B−4の場合、鋼線のみにおいて発色が観察できなかったが、使用可能な範囲内であることがわかった。撥油剤B−5ではガラスのみで若干発色が観察できた。撥油剤B−6では、全ての基材で観察不可能であったことから、B−6よりも発色体濃度の低いものについては、試験を行わなかった(表中の「−」は試験を行っていないことを示す)。
以上より、本発明に用いる撥油剤において実用可能な発色体の濃度は10wt ppm以上、充分な視認性が得られる濃度は20wt ppm以上であり、従来の発色体を用いた撥油剤においては、実用可能な発色体の濃度が200wt ppm以上、充分な視認性が得られる濃度は1000wt ppm以上であることがわかった。すなわち、本発明に用いる撥油剤においては、発色体の濃度が従来の撥油剤よりも少なくてよいということがわかった。
<試験例5.種々のフッ素系ポリマーを使用した撥油剤の検討>
次に、種々のフッ素系ポリマーを使用した撥油剤について検討した。
1.撥油剤の調製
この試験には以下の樹脂C−1〜樹脂C−9を使用した。
樹脂C−1;エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)
樹脂C−2;テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)
樹脂C−3;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
樹脂C−4;ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルビニルエーテル
樹脂C−5;ポリパーフルオロアルキルアクリレート
樹脂C−6;ポリパーフルオロアルキルメタクリレート
樹脂C−7;ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート
樹脂C−8;ポリ2−(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレート
樹脂C−9;パーフルオロポリアルケニルビニルエーテル
HFE99.75重量部に樹脂C−1 0.25重量部を溶解して溶液を調製し、この溶液99.99gに、発色体Aを10mg添加分散して撥油剤C−1とした。
なお、本撥油剤では、樹脂C−1と発色体と溶剤の合計量に対して、発色体の量は100wt ppmとされている。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−2を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−2を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−3を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−3を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−4を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−4を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−5を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−5を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−6を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−6を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−7を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−7を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−8を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−8を調製した。
樹脂C−1にかえて、樹脂C−9を使用した以外は、撥油剤C−1と同様にして撥油剤C−9を調製した。
2.コート皮膜の形成
各撥油剤を容器にいれ、試験例1と同様の基材を用いて、各基材表面に約0.1μm厚のコート皮膜を形成した。
3.コート皮膜の評価方法
コート皮膜の視認性、及びコート皮膜の各基材への密着性を試験例1と同様にして評価した。
4.結果
撥油剤C−1〜C−9のいずれを用いても、すべての基材においてコート皮膜の発色が明確に観察され、発色によってコート皮膜の存在が明確に確認できた(視認性が高かった)。
<まとめ>
本発明に用いる撥油剤は、使用される基材色を選ばず、かつ耐熱性に優れている。また、耐溶剤性に優れていることから、有機溶剤に接触する環境下で使用される基材にも好適である。さらに、発色体の添加量が少なくて済むことから、樹脂含有量の少ない仕様の撥油剤とした場合であっても、皮膜特性への影響が抑制される。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施例においては黄色に発色する発色体を使用したが、一般式(1)および(2)中のR、R、R、XおよびYを変更することで発光色を変えることが可能であり、黄色以外に発色する発色体を使用してもよい。
尚、基材としてステンレス鋼を用いたが、ステンレス鋼としての限定は特になく、例えば従来公知のSUS303、SUS304Se、SUS304Pbなどのオーステナイト系ステンレス鋼や、SUS416、SUS420F、SUS420Pbなどのマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS430Fなどのフェライト系ステンレス鋼などが好適に使用できる。また、基材としては、ステンレス鋼に限定されず、銅系材料(銅を主成分とする材料)で構成することも可能である。銅系材料としては、具体的には純Cuの他、Cu−Zn(黄銅)、Cu−Ni、Cu−Sn(青銅)、Cu−Si、Cu−Al、Cu−Be、Cu−Zn−Mn、Cu−Zn−Si、Cu−Zn−Ni、Cu−Sn−P、Cu−Sn−Zn、Cu−Zn−Sn−Fe、Cu−Zn−Sn−Mnなどを挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。このような銅系材料上に撥油皮膜を形成しても、上述の蛍光性及び撥水撥油性を保持することができる。
また、潤滑油12としてはエステル系の潤滑油を用いたが、特に限定はなく、従来公知のものが使用できる。このような潤滑油としては例えばポリオールエステル系油やジエステル系油、ポリ−α−オレフィン系油などの合成油;パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いても、本発明の撥油膜は良好な撥油性を保持することができる。
また、本発明に用いた撥油剤は、流体軸受装置の撥油皮膜形成ほかに、幅広い用途、例えば、電子基板の防湿撥油剤や、塩水・電解液・腐食性ガス等から基材を保護する耐薬品保護撥油剤、マイクロモータの軸受けに用いる潤滑オイルの拡散を防止するオイルバリア剤、サインペン・ボールペン等のインクの漏れを防止する漏れ防止剤、コネクタ・電子部品等の汚れ防止剤、絶縁樹脂の這い上がり防止剤、MFコンデンサのリード封止樹脂の付着防止剤、金属部品の防錆剤、DVD・CD等のガイドレール用のドライ潤滑剤、表面反射防止コート剤、防水スプレー原液に使用することができる。
本発明の動圧流体軸受装置をHDD駆動用のスピンドルモータに適用した実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
2 ハウジング
4 ロータ
6 動圧軸受装置
8 軸体
10 スリーブ体
12 潤滑油
18 ステータ
30 ロータマグネット
38 軸部
40 スラスト板部
46 テーパ部
48,50 ラジアル動圧発生手段
54,56 スラスト動圧発生手段
58,60 撥油皮膜

Claims (13)

  1. 軸部材とスリーブ部材とが回転自在に嵌合し、前記軸部材に設けられた軸受面と前記スリーブ部材に設けられた軸受面とが微小間隙を介して対向し、前記微小間隙には潤滑油が充填された流体軸受装置において、
    前記軸部材と前記スリーブ部材との互いに対向する面のうち、前記軸受面に隣接する部位の少なくとも一方には、前記潤滑油が介在せず、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーと、下記一般式(1)で表される発色体および下記一般式(2)で表される発色体のうち少なくとも一種とを含む撥油皮膜が形成されてなることを特徴とする流体軸受装置。
    Figure 2008172963
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示し、それらは互いに結合して環構造を形成していてもよく、窒素原子が結合しているベンゼン環と共に環構造を形成していてもよい。
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。
    Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。
    Yは、酸素原子、硫黄原子、−NH−又は−NR−(Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のヘテロアリール基を示す。)を示す。]
  2. 前記発色体は、紫外線光を照射することにより黄色に発色することを特徴とする請求項1に記載の流体軸受装置。
  3. 前記Rは、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって、前記置換基は2〜49個のフッ素を含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体軸受装置。
  4. 前記Rは、下記一般式(3)で表される基であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の流体軸受装置。
    Figure 2008172963
    [式中、Arは炭素数6〜30のアリール基、nは1〜5の整数を示す。
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。]
  5. 前記一般式(3)中のRはC2m+1で表される基であることを特徴とする請求項4に記載の流体軸受装置。
    [式中、mは1〜16の整数を示す。]
  6. 前記撥油皮膜は、前記フッ素系ポリマーと、前記発色体をフッ素系溶剤に溶解させ形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の流体軸受装置。
  7. 前記フッ素系ポリマーは、下記一般式(4)で表される繰り返し単位を主に含み、分子量Mw3000〜400000のポリマーであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の流体軸受装置。
    Figure 2008172963
    (式中、Rは、水素、又はメチル基を示し、Rfは、炭素数2〜16のパーフルオロアルキル基を示し、nは0〜6の整数を示す。)
  8. 前記フッ素系ポリマーと前記発色体と前記溶剤の合計量に対する前記フッ素系ポリマーの量が0.05〜30重量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の流体軸受装置。
  9. 前記撥油皮膜は、前記フッ素系ポリマーと前記発色体を前記溶剤に溶融させ、乾燥及び密着固化温度が80度以上200度以下で形成でき、加熱乾燥後もUV照射による発色作用を持続することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の流体軸受装置。
  10. 軸部材とスリーブ部材とが回転自在に嵌合し、前記軸部材に設けられた軸受面と、前記スリーブ部材に設けられた軸受面とが微小間隙を介して対向し、前記微小間隙には潤滑油が充填された流体軸受装置において、
    前記軸部材と前記スリーブ部材との互いに対向する面のうち、前記軸受面に隣接する部位の少なくとも一方には、前記潤滑油が介在せず、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーと、2〜49個のフッ素を含むアルキル置換基を有する芳香族化合物の発色体と、を含む撥油皮膜が形成されてなることを特徴とする流体軸受装置。
  11. 前記Rは、下記一般式(3)で表される基であることを特徴とする請求項10に記載の流体軸受装置。
    Figure 2008172963
    [式中、Arは炭素数6〜30のアリール基、nは1〜5の整数を示す。
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であって置換基あるいはアルキル基の少なくとも一方に2〜41個のフッ素を含むもの、置換基を有していてもよい炭素数7〜30のアリールアルキル基であって置換基あるいはアリールアルキル基の少なくとも一方に2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数6〜30のアリール基であって2〜49個のフッ素を含むもの、置換基を有する炭素数5〜20のヘテロアリール基であって2〜31個のフッ素を含むものを示す。]
  12. 前記一般式(3)中のRはC2m+1で表される基であることを特徴とする請求項11に記載の流体軸受装置。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の流体軸受装置を有し、軸部材及びスリーブ部材の一方が回転側となってロータマグネットを一体的に有し、他方が固定側となって前記ロータマグネットに対向する位置にステータを有することを特徴とするスピンドルモータ。
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