JP2008172258A - 光検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便かつ廉価な構成で光の強度分布を測定する機能を持ち、計測波長帯の選択性を持った光検出器を提供する。
【解決手段】増感色素が塗布された透明半導体電極部11と対向電極部12と、両者に挟まれたバッファ層13とからなる透過型光検出器で、対向電極部または透明半導体電極部が複数の電極セルに分割されて構成される。この光検出器によれば、増感色素で吸収される波長帯の光の一部を用いて、光電変換を行い、波長選択性を持った光検出器をコンパクトな構成で実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光検出器および光検出システムに関し、より詳細には、透過型の光検出器を改良し入射光の2次元的な強度分布あるいは波長分布に関する情報を検出可能とした光検出器に関する。
光学技術の多様なシステム応用がなされている現在、光を検出する手段である受光素子はあらゆる光応用機器のアプリケーションでキーデバイスとして活用されている。これら受光素子は、半導体で形成され、pn接合の働きによって起電力を生じるデバイスである。受光素子の光電変換のメカニズムについて簡単に説明する。
光電変換のメカニズムは、表面近傍、空間電荷領域、結晶内部という3箇所で振る舞いが異なるが、最終的にはn領域に電子がp領域に正孔がたまることで電位差が生じるメカニズムである。まず、表面近傍で吸収された光は高濃度の電子と正孔を励起し、濃度の低い内部に向けて拡散させる。この際、pn接合の空間電荷領域に達すると、電子は電位勾配にしたがって落下しn領域に達し、正孔は電位勾配に遮られて空間電荷領域の入り口にとどまる。
次に、表面より少し内部のpn接合空間電荷領域で吸収された光は、そこで電子と正孔を作り、それぞれ電位勾配にしたがって移動し、n領域、p領域へとたまることになる。最後に結晶内部には光の長波長成分のみが到達し、内部のn領域によって生じた正孔は、拡散によって空間電荷領域に達して電場によってp領域に集まることになる。このようにして、pn接合に光が照射したときに両側に起電力が発生するのである。
従来の受光素子ではpn接合を行う面が光を透過しないため、図35に例示したように光路の末端に配置されるのが一般的であった。すなわち、図35に例示した構成においては、光路1中に設けられたビームスプリッタ2で分岐された光が受光素子3に導かれるような構成とされている。このため、受光素子3を持つ検出光学系は複雑な構成をとることが多かった。またビームスプリッタ2を介することで、光軸がシフトしたりビーム波面にノイズが生じたりして悪影響を与えることが避けられなかった。このため、特に長い距離を伝播させる必要のある計測系などでは、このような検出光学系を採用することが困難であるという問題があった。
一方、近年の光応用システムの進歩に伴い、複数の波長の光を同一の光軸上に伝搬させる要請が強くなっている。従来から、レーザなど単一波長成分を持った光の検出には、ハーフミラーや偏光状態を考慮した偏光ビームスプリッタを用いて分光する構成がよく用いられる。しかし、最近の短波長レーザの開発により、複数波長のレーザを光軸を同一にとって用いる例が多くなってきた。その一例である光ディスク装置では、CD(compact disc)とDVD(digital versatile disc)の読み取りを同一の装置で行うために、780nm、635nmという波長の異なる二つのレーザを使用している。現状技術では、この二つの波長の検出系がそれぞれ別に構成されている例が多く、検出光学系の構成は、光技術の進歩とともにますます複雑になってきたとも考えられる。
入射光が広い周波数帯域の光である一例が、イメージセンサである。自然光が入射されるビデオカメラ用のCCD(chage coupled device)などが代表的な例である。ビデオカメラ用のイメージセンサでは、入射された光をRGBの3種の波長帯に分離して、それぞれ検出するためにCCDを3つ備えた図36のような光学系を設けている。すなわち、同図に例示した構成の場合は、光路1中に置かれたプリズム5によって赤色成分が分離されてCCD4Aで検出され、プリズム6で分離された緑色成分がCCD4Bで検出され、プリズム7で分離された青色成分がCCD4Cで検出される。この検出光学系の採用により、三原色分離して検出された光強度信号が情報信号として取りだされるのである。高性能イメージセンサの実現のためには、このように広い波長帯の入射光を3原色分離してそれぞれに検出系を設ける必要があり、図36のような複雑な構成の検出光学系が不可欠であった。
以上例示したような検出光学系を簡便に構成するために、光を一部透過する光検出器も提案されている。光を透過する機能を有する従来の光検出器としては、主に太陽電池の用途に用いられる、ガラス基板上にアモルファスシリコン光センサを設けた裏面透明電極光センサや、シリコンに微細孔をあけることによって光透過を可能とするシースルー光センサがある。
しかし、裏面透明電極光センサは色がシリコンのバンドギャップに制限されるため、赤色以外の例えば青色や緑色は吸収できず、波長帯が限定される構成となってしまう。また、シースルー光センサは光透過性を微細孔で可能にするため、透過率と変換効率を共に高くとることや、吸収波長の調整はできなかった。
また、図37に示すように、シリコン基板の薄膜化のプロセスを用いて、薄膜フォトダイオードが製造され、透過型光検出器が実現されている。すなわち、同図に表した例においては、酸化シリコンマスクMを利用してTMAHエッチングによりシリコン基板Sの一部を薄膜化し(図37(a))、pn接合を形成し(図37(b))、さらに電極Eを形成して薄膜フォトダイオードを形成する(図37(c))。
しかしこのような検出器は、製造コストがかかったり、光の透過率が低いなどの問題点があると同時に、シリコンという材料に依存して吸収検出される波長スペクトルが固定されるため、光検出器としての用途が非常に限定されてしまうという問題点があった。
上述したように、従来の受光素子を有する光検出器では、光を透過できないため光路の末端に配置しなくてはならなかった。同時に、末端に配置された光検出器に光を導くために光路中にビームスプリッタなどを設けて分光することが不可欠で、光学系の構成が複雑になる、光軸が微妙にずれる、ビーム波面にノイズが生じるという問題点があった。
近年の光学技術の進歩に伴い、複数波長のレーザが使用されたり、周波数帯を分割して検出する用途が発生したりするために、使用する波長の数だけ検出光学系が設けられることになると、検出光学系はますます複雑な構成となる傾向にある。
また、従来は、光を透過する検出器は限られた用途では存在するものの、細かな調整が困難であったり、製造コストが高かったりと、廉価で高性能の光検出器としては適さない構成のものであった。
本発明は、かかる課題の認識にもとづいてなされたものであり、その目的は、廉価で簡便な構成によって、製造性に優れ、波長帯を選択可能な光検出を行う光検出器を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の透明電極と、第2の透明電極と、前記第1及び第2の透明電極に挟まれて前記第1の透明電極と第2の電極に共通な光電変換部と、を備え、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との少なくともいずれかは、複数の電極セルに分割されてなることを特徴とする。
または、本発明の光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された透明半導体と、前記透明半導体の上に積層され所定の波長を含む波長帯の光を吸収する増感色素膜と、第2の透明電極と、前記増感色素膜と前記第2の透明電極との間に挟持されたキャリア輸送体と、を備え、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との少なくともいずれかが、複数の電極セルに分割されてなることを特徴とする。
または、本発明の光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された透明半導体と、前記透明半導体の上に積層され所定の波長を含む波長帯の光を吸収する増感色素膜と、第2の透明電極と、前記増感色素膜と前記第2の透明電極との間に挟持された誘電体層と、を備え、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との少なくともいずれかが、複数の電極セルに分割されてなることを特徴とする。
または、本発明の光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された有機p型半導体層と、前記有機p型半導体層の上に積層された有機n型半導体層と、前記有機n型半導体層の上に積層された第2の透明電極と、を備え、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との少なくともいずれかが、複数の電極セルに分割されてなることを特徴とする。
一方、本発明の光検出システムは、前述したいずれかの光検出器と、光の入力に応じて前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との間に発生する電気信号を前記複数の電極セルのそれぞれについて検知する検知部と、を備え、対象物の上に前記検出器を配置し、前記光検出器を透過して前記対象物により反射された光により前記複数の電極セルのそれぞれについて発生する前記電気信号を前記検知部により検知することにより前記対象物の画像情報を入力することを特徴とする。
または、本発明の光検出システムは、前述したいずれかの光検出器と、入射光に応じて前記第1の透明電極と前記第2の透明電極との間に発生する電気信号を前記複数の電極セルのそれぞれについて検知する検知部と、前記検知部により検知される前記電気信号に基づいて、前記入射光と前記光検出器との相対的な位置関係を所定の関係に修正する駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
または、本発明の積層型の光検出器は、所定の波長を含む第1の波長帯の光に対して光電変換を行う第1の透過型光検出器と、前記第1の透過型光検出器と積層され前記第1の透過型光検出器を透過した光を検出する第2の光検出器と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記第1の透過型光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された透明半導体と、前記透明半導体の上に積層された増感色素膜と、前記増感色素膜と前記第2の透明電極との間に挟持されたキャリア輸送体と、を有することを特徴とする。
または、前記第1の透過型光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された透明半導体と、前記透明半導体の上に積層された増感色素膜と、前記増感色素膜と前記第2の透明電極との間に挟持された誘電体層と、を有することを特徴とする。
または、前記第1の透過型光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された有機p型半導体層と、前記有機p型半導体層の上に積層された有機n型半導体層と、前記有機n型半導体層の上に積層された第2の透明電極と、を有することを特徴とする。
また、積層型の光検出器においては、前記第2の光検出器は、透明電極を有し、前記第1の光検出器の前記第1または第2の透明電極と、前記第2の光検出器の前記透明電極との少なくともいずれかは、複数の電極セルに分割されていることを特徴とする。
また、積層型の光検出器においては、前記第2の光検出器は、透明基板の一方の主面上に積層された第3の透明電極を有し、前記透明基板の他方の主面上には、前記第1の透過型光検出器の前記第2の透明電極が積層されていることを特徴とする。
また、前記第2の透明電極と前記第3の透明電極とは、前記透明基板の両面の電極パターンが一致するように同一の複数の電極セルに分割されていることを特徴とする。
また、前記複数の電極セルは、光の入射光軸に対して点対称に略等面積となるように分割されて設けられたことを特徴とする。
また、前記第2の光検出器は、前記第3の透明電極と対向して設けられた第4の透明電極を有し、前記第1の透明電極と前記第4の透明電極のそれぞれは、動作時に一定電位となるように構成されたことを特徴とする。
また、前記透明基板の両面に設けられた前記第2の透明電極と前記第3の透明電極のそれぞれを介して得られる電気信号を、前記分割された電極セル毎に処理する信号処理回路が一体的に設けられたことを特徴とする。
また、前記第1の透過型光検出器で光電変換される前記第1の波長帯より、前記第2の光検出器で光電変換される第2の波長帯の方が長波長成分を含むように構成されたことを特徴とする。
また、前記第2の光検出器と積層され前記第1の透過型光検出器と前記第2の光検出器を透過した光を検出する第3の光検出器をさらに備え、前記第2の光検出器は前記第1の波長帯とは異なる第2の波長帯の光に対して光電変換を行い、
前記第3の光検出器は、前記第1及び第2の波長帯のいずれとも異なる第3の波長帯の光に対して光電変換を行うことを特徴とする。
本発明は、上記した構成により、光を透過しながら、所定波長成分を選択して検出する光検出器を実現するものである。この光検出器によって、検出光学系は非常に簡便に構成できることになる。
また、この光検出器は廉価で簡便な製造プロセスで製造できるため、低コストで高性能な光学検出系を構成できる。さらにこの光検出器は波長選択性を持たせられるため、複数の波長のレーザ光が同一光軸上に配置される光学系においても、所定の波長成分のみを検出することができる。
同時に、このような透過型光検出器では、両面から光を入射することも可能であって、多様な位置ずれ検出に適用可能な検出光学系を構成することが可能となる。
一方、波長を選択して検出する光検出ユニットを積層することで、検出感度を上げることができる。また、積層した光検出ユニットの選択波長を異なる波長とすることで、複数波長を同時に検出可能な光検出器を構成することが可能となる。この光検出器の構造において、分割された電極を有していることがひとつの特長であるが、この電極は、同一の透明基板の両面に形成されるため、分割電極同士の位置合わせが容易となっている。積層される光検出器をこのような構成とすることで、製造プロセスを簡便化し、廉価な光検出器を実現することが可能となる。
以上説明したように本発明によれば、廉価で簡便な構成によって、受光面の両面から光を透過すると同時に光検出を行う透過型光検出器を構成できて、光の光路中に光検出器を配置してコンパクトな検出光学系が実現できる。
また、本発明によれば、分割領域の中間領域に対しても光電変換を行うことができ、効率の良い光検出器の構成とされている。また、分割すべき部分も第2の透明電極部のみで良く、パターニングなどによる成型が容易な光検出器を提供することができる。
さらに、その透明電極パターンを適宜分割することにより、位置検出や軸合わせなどを容易且つ確実に実施することができる。
また、このような透過型光検出器を積層することにより、画像入力、カラー撮像、波長分析などを容易且つ確実に実施することができる。
以下、実施例を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施例:4分割電極付透過型光検出器)
図1(a)は、本発明の実施の形態にかかる光検出器の基本構成を例示する概略断面図である。すなわち、光検出器1001は、透明基板1002に形成された第1の電極部1004と、透明基板1003に形成され、2つに分割された第1及び第2の電極セル1006、1007からなる第2の電極部と、これら両方の電極部に挟まれた光電変換部1005からなる構成を有する。
透明基板1002に入射した光は、透明基板1002と透明電極部1004を透過して、光電変換部1005において電子と正孔の移動を促す。その結果、分割された第2の電極部の第1の電極セル1006近傍での電子と正孔の移動による起電力は、電気部1004と第1の電極セル1006との間で発生し、もう一方の分割電極セル1007の近傍での起電力は電極部1004と第2の電極セル1007との間で発生することになる。
このように、第2の電極部を2つあるいはそれ以上の電極セルに分割することで、分割線1008によって分割された領域に入射した光の強度に依存した起電力をそれぞれ別に取り出すことが可能となる。
従来の分割型光検出器では、本発明の光検出器の光電変換部1005や第1の電極部1004にあたる部分も分割されて構成されていたため、分割された領域の中間領域に入射した光を検出することが困難であった。図1(a)に例示したように2分割の光検出器では、その中間領域の面積は微小であるが、多数の領域に分割された光検出器では、中間領域で発生するはずの起電力の成分は大きく、結果的に光電変換の効率が低下する要因となっていた。
これに対して、本発明によれば、分割領域の中間領域に対しても光電変換を行うことができ、効率の良い光検出器の構成とされている。また、分割すべき部分も第2の透明電極部のみで良く、パターニングなどによる成型が容易な光検出器を提供することができる。
以上のように構成された本実施例の積層透過型光検出器の動作について、以下に説明する。
図1(b)は、本発明の光検出器の動作モデルを表す概念図である。透過型光検出器100に入射した光は、透明基板14を介して色素増感透明半導体電極部60に到達する。ここで、増感色素17の吸収波長領域の光は吸収され、増感色素17を励起する。この励起によって増感色素のHOMOレベルに正孔が生成し、LUMOレベルには電子が生じて、この電子は酸化チタン(TiO)などからなる透明半導体16の伝導帯へ移動する。
なお、上述した光検出器が動作するために必要なエネルギーレベルとしては、各増感色素のLUMOレベルは、透明半導体の伝導帯レベルより0.5eV以下の差で高いことが望ましい。
キャリア輸送体である酸化還元電解質で構成されたバッファ層65では、増感色素64のHOMOレベルに生じた正孔はバッファ層65に移動し、正孔はバッファ層中を対向電極部12まで移動して対向電極に移る。一方、透明半導体に移った電子は、透明電極15に移動する。この透明電極の電子は電線67に、対向電極12の正孔は電線68に移動し、電線67と電線68の間に流れる電流を検知することにより、本発明の透過型光検出器が動作することになる。
図2は、本発明の第1実施例における透過型光検出器の概観図であり、同図(a)はその斜視外観図、同図(b)はその断面構成図である。
この光検出器100は、所定の波長帯の光を選択吸収して光電変換を行う透過型光検出器である。この透過型光検出器は、色素増感透明半導体電極部11および対向電極部12と、両電極部に挟まれたバッファ層13とから構成されている。さらに色素増感透明半導体電極部11は、透明基板14上に形成された透明電極15および透明半導体16と、この半導体層に吸着された増感色素膜17によって構成されている。
対向電極部12は、透明基板50に形成された透明電極部によって構成される。この透明電極は、図示するように2つのセル18、19、20、21に分割され電気的に相互に絶縁されて設けられ、各電極セルにおいて発生した電流信号を個別に取り出すことができるように電線22、23、24、25が配線されている。
なお、図2においては、対抗電極部が同等な面積の形状で4つのセルに分割された例を表したが、これ以外にも、例えばライン状に複数のセルに分割される構成となっていても構わないし、マトリックス状に多数のセルに分割されていても構わない。また、各透明電極および電極部は、入射光軸の中心に対して点対称に分割されるように構成される。
また、入射光量のパワーモニタなどの用途に用いられる場合、電極部は分割されていなくても構わない。
図2に表した電極セル18、19、20、21についても、その動作原理は同様である。この動作原理に基づき、各セルに照射した光量に比例して、各セルに対応する電線に電流が流れることになる。また、信号品質のよい信号を得るためには、透明電極15の電位レベルを接地(グランド)とした方がよい。この場合、複数の対向電極セルに+の電位が生じて、電流電圧変換によって各セルに対応した電圧が検出されることになる。すなわち、透明電極の電線26は接地されている。
次に、上記のように構成した透過型光検出器100の応用例について説明する。
図3は、本発明の透過型光検出器の応用例を表す概念図である。
同図のように光路1中に本実施例の透過型光検出器100を配置することで、簡便な検出光学系を構成することが可能となる。同図の構成の検出光学系により、分割された電極セル18、19、20、21の出力をそれぞれ比較し、参照光に対する光検出器のずれ量、ないしは光検出器に対する光軸のずれ量を算出することが可能である。
また、本透過型光検出器を透過した光を別の用途に利用することも可能である。
図4は、光検出器100の透過光も位置ずれ検出に利用した例を表す概念図である。同図のように、本発明の透過型光検出器100を複数用いることで、参照光71を基準として複数の移動構造体102、104どうしの位置ずれを検出する検出光学系を構成することも可能である。
なお、このとき、構造体102及び104の距離は1m以上離れていても構わない。また、図4の光軸上に複数の波長帯の光が入射されている場合、それぞれの透過型光検出器101、透過型光検出器102は、異なる組成の増感色素を用いて製造されたものであっても構わない。この場合、第一の波長帯の光に対する位置ずれを第一の光検出器が検知、また第二の波長帯の光に対する第二の構造物の位置ずれを第二の光検出器によって検知する構成となる。
図3及び図4に例示した実施例の場合、4分割された電極セル18、19、20、21の出力信号を、各対応するセルへの入射光量として検出して、比較演算、具体的には和・差演算を行うことによって、入射光軸の光検出器中心からのずれを2次元的に検知することが可能となる。このように各電極セルで得られた信号を用いて信号処理を行う場合、微弱な電流をS/Nよく検出して処理するために、信号処理回路は光検出器のごく近傍に設けられるのが好適である。
図5は、4分割された電極セルを持つ透過型光検出器の一例を表す概念図である。同図において、透過型光検出器105で検出された各電極セル81、82、83、84の信号は、電線85、86、87、88を通じて信号処理回路89に入力される。この信号処理回路89では、各信号の和算・減算を行う。たとえば、電線85と電線86から入力された信号を足し算し、電線87と電線88から入力された信号を足し算した結果から引き算することによって、入射光軸のX方向のずれ量を検出することができる。同様に、Y方向のずれ量も和差演算によって検出できて、X・Y2軸方向の光軸ずれを検知できる。またこのずれ量は、参照光に対する光検出器のずれ量と同意である。
ここで、図1(b)に表した透過型光検出器に関しては、バッファ層65として酸化還元電解質からなるキャリア輸送体を用いた例を説明した。この場合、光が入射している時には電極間に電流が流れ、光が入射していない時には電流が流れない。
これに対して、バッファ層65を誘電体を用いて構成することも可能である。この場合、光検出器の動作原理は多少異なり、検出される信号も入射光に対して異なる特性を持つ。
図6は、この電流信号の違いを表すグラフ図である。
バッファ層がキャリア輸送体により構成される場合には、同図(a)に表したような光の入射信号に対して、同図(b)に表したような電流信号が流れる。
これに対して、バッファ層が誘電体である場合には、前述した電荷の移動によって透過型光センサユニット内に電場が生じて、電線に変位電流が流れる。この変位電流の作用によって、透明電極には正電荷、対向電極には負電荷が生じる。このとき電線間に流れる変位電流を検知することにより、本発明の透過型光検出器が動作することになる。
すなわち、変位電流は、光の入射量の時間微分値として流れるため、図6(a)に表したような入射光に対しては、図6(c)に表したように、入射光が入った瞬間に電極間に正のパルスが生じ、光が照射している間は電流は流れず、入射光が消えた瞬間に再度電極間に負のパルス電流が流れることになる。
本光検出器の応答速度について説明すると以下の如くである。すなわち、各透過型光検出ユニット内の増感色素17の光吸収と透明半導体16への電子移動は、フェムト秒で起こり、透明半導体16へ移った電子はナノ秒で増感色素17へ戻る。バッファ層65にキャリア輸送体を用いた場合は、増感色素17から透明半導体16への電子移動後ピコ秒で増感色素17からキャリア輸送体65への正孔移動が起こり、増感色素17のHOMOレベルが埋まるため、ナノ秒で起こる透明半導体16から増感色素17への電子逆戻りはこの速度に比べて遅いため起こりにくい。
透過型光検出ユニットの応答速度は、増感色素17から移った正孔がキャリア輸送体65中を拡散する速度によって決定される。たとえばキャリア輸送体65として、イオン拡散を利用する電解質を用いた場合には、通常イオン拡散速度は遅いため、ユニットのメガHzオーダの信号応答は困難である。
バッファ層65にキャリア輸送体ではなく、誘電体を用いる場合、光吸収によって生じた増感色素17のHOMOレベルの正孔が移動しないため、透明半導体16からの電子移動がナノ秒で起こる。したがって、ユニットの応答速度はキャリア輸送体を用いた場合よりも速く、数10メガHzオーダの信号応答を行うことが可能となる。
次に、本発明の透過型光検出器における各部材について説明する。
本発明で用いられる、透明電極11は、透明基板14表面に透明導電層15の設けられた構成のことを指している。
透明基板14は、透明な板状の材料であれば何でもよく、たとえばガラスやポリマーフィルムなどが挙げられる。
透明電極15は、透明でかつ電極表面が導電性を持つ材料ならば何でもよく、たとえば、フッ素やインジウム、アルミニウムなどをドープした酸化スズ、酸化亜鉛などが好ましい。また、光透過をあまりさえぎらない程度の微量ならば白金、金、銀、銅、アルミなどの不透明な電極層が含まれていても構わない。透明電極は透明基板上で複数のパターンに分割される構成となっていても構わない。この場合、各パターンからセル外部にそれぞれ信号が取り出せるように、配線が取り付けられている。
補助電極としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の不透明な金属やグラファイトなど導電性の高い材料が好ましい。
透明半導体16として用いられる材料は、可視光領域の光吸収が少ない半導体で、金属酸化物半導体では、遷移金属の酸化物、たとえばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステンの酸化物、およびこれらの複合酸化物、または酸化混合物が好ましい。具体的には、例えば、SrTiO、CaTiO、BaTiO、MgTiO、SrNbのようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物または酸化物混合物、GaNなどが好ましい。
増感色素膜17の透明半導体16表面への吸着は、1分子層から数分子層程度の厚み以上は起こらない。外観上の素子の色の濃さを調整するために、図1(b)に表したように透明半導体16の表面に微細な凹凸を設け、実効的な表面積を調節することができる。凹凸構造を形成するために微粒子構造を用いることができる。例えば粒径10nmのTiO微粒子の焼結体を用いて微細構造を作製する場合には、微粒子層の厚みを調節することにより実効的な表面積を調節できる。凹凸構造は全体の比表面積が100から1000の間の値であることが望ましい。
また、ここでいう透明電極や透明半導体とは、可視光波長領域の光を透過する性質を持っており、300nm〜800nmの光を少なくとも30%、好ましくは50%、より好ましくは70%以上透過する。
増感色素膜17は、入射光を吸収して励起状態になり、その後に電子を透明半導体に渡し、後に固体キャリア輸送材料から電子を受け取る。したがって増感色素膜のLUMO準位は透明半導体の伝導帯準位と同じかそれより上にある必要がある。増感色素膜17は、透明半導体表面に強く吸着するためにカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基などの官能基を分子中に持つことが望ましい。
増感色素膜17としては、ルテニウム−トリス、ルテニウム−ビス、オスミウム−トリス、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、多核錯体、またはルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、またはフタロシアニン色素、ポルフィリン色素、ペリレン色素、アントラキノン色素、アゾ色素、キノフタロン色素、ナフトキノン色素、シアニン色素、メロシアニン色素、に上記の官能基を持った構造であることが望ましい。また所望の色を得るためには、これらの色素の混合物を用いても良い。
バッファ層65を構成する誘電体材料としては、結晶性もしくはアモルファス性の有機分子を用いることができる。結晶性を持つものとして、各種金属フタロシアニン、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレンやコロネン等多環芳香族、テトラチアフルバレン、テトラシアノキノジメタン等電荷移動錯体、アモルファス材料としては例えばAlq3、ジアミン、各種オキサジアゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリN−ビニルカルバゾール、ポリフェニレンビニレンなどの導電性高分子があげられる。
上記のような部材構成で、本実施例の光検出器を構成した場合、透明基板の厚みは0.1mm程度にまで薄く構成することが可能で、その他の要素はほとんど無視できる厚みのため、全体として0.5mm程度の厚みで構成することが可能である。
次に、本発明の透過型光検出器の作成法の要点について説明する。
図7は、本発明の透過型光検出器の作成方法の要部を表す概念図である。
まず、透明半導体16としてのTiO膜の製造法は、以下の通りである。エタノール中にTiCl4を約2mol/l溶解し、メタノールを加えることで、約50mg/mlチタンを含有するチタンアルコキシドを得る。これを加水分解した後、補助電極として白金を蒸着した第1の透明電極上に塗布し(図7(a))、約400℃で約30分間焼成して透明半導体としてTiO膜を得る(図7(b))。この時、TiO膜は、表面が平面だった場合に対する凹凸を設けた場合の比表面積が約600、膜厚は約5μmが好ましい。
上記のように形成した透明半導体16に増感色素膜17を吸着させる(図7(c))。この過程では、得られたTiO膜を増感色素のエタノール溶液中に浸漬する。約3時間浸漬した後、TiO膜を取り出し、エタノールで洗浄した。本実施例の場合、色素増感透明半導体電極部が上記の方法で製造されることになる。
対向電極部12は、透明基板に透明電極をパターニングして成形される(図7(d)、(e))。
以上のように作成された各パーツは、バッファ層の枠となるスペーサを介して接着積層され(図7(f))、スペーサの空隙からキャリア輸送体ないしは誘電体を注入されて組み立てが完了する(図7(g))。
なお、図2に表した具体例の場合は、対向電極部12が分割され、増感色素膜の吸着された透明半導体が形成された透明電極部11は分割されない構成であったが、この透明電極部11が分割されていて、もう一方の対向電極部12は分割されない構成であっても構わない。
図8は、このように対向電極が分割されない構成を例示する断面図である。
また、図5に表した具体例の場合は、略等面積に電極セルが分割されているが、均等でない面積に分割されて構成されても構わない。
図9は、電極セルが均等でない面積に分割されている構成を例示する概念図である。すなわち、同図の構成においては、電極セルC1〜C6は、均等でない面積に分割されている。
(第2の実施例:分割電極付き積層光検出器:動きベクトル検知器:1次元スキャナ)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図10は、本発明の第2実施例における透過型光検出器200の概観図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)はその要部断面図である。
同図の光検出器は、第1実施例として説明した透過型光検出器の対向電極面12を等面積の複数セルC1、C2、・・・に分割した構成を有する。
図11は、本実施例の透過型光検出器をビデオカメラなどで用いられる検出光学系に配置した一例である。本実施例のように用いられる場合、この電極セルのマトリックスは600×480のように大規模なものとなる。
ビデオカメラ用のイメージセンサでは、入射された光をRGBの三種の波長帯に分離して、それぞれ検出するために、CCDを3つ備えた図11のような光学系を設けている。図では、光路中205に置かれたプリズム206によって赤色成分が分離されてCCD209で検出され、プリズム207で分離された緑色成分がCCD210で検出され、プリズム208で分離された青色成分がCCD211で検出される。この検出光学系の採用により、三色分離して検出された光強度信号が情報信号として取り出せる。
さて、本実施例の透過型光検出器201、202、203を図11のように配置することで、各CCDセンサに入力される映像信号のうち一部を用いて、映像の「動きベクトル」の検出が可能になる。この動きベクトルは、ビデオカメラが撮像者の振動の影響を受けるために発生する映像信号の「ブレ」、いわゆる「手ぶれ」を補償するためのもので、映像信号が所定の周波数でCCDセンサ上で移動する信号を、移動方向と移動距離として把握するためのものである。この動きベクトルを検出し、手ぶれ成分であると判断された場合は、この動きベクトルにしたがって映像信号を補正して、手ぶれの影響を除去した映像信号として信号記録が行われる。
実際には、図11のように検出光学系を構成し、図10に示した実施例の各電極セルCnにて検出された映像信号の微分、すなわち時間変化量を求めることによって、動きベクトルの検出が可能となる。なお、本実施例の透過型光検出器200において、バッファ層65をキャリア輸送体を用いて構成した場合には、別途微分回路が必要であるが、誘電体で構成した場合は、図6に示したように入力された光信号の微分信号を信号出力として取り出すことができる。つまり、バッファ層65に誘電体を用いる場合は、微分回路を要する用途に利用することによって、信号の微分値を即座に得ることが可能となる。
また、図11の構成では3箇所に透過型光検出器を配置したが、図12のように1箇所に透過型光検出器204を配置する構成としても構わない。このとき、透過型光検出器204の増感色素を映像信号のRGB成分と干渉しない波長成分を吸収するように設定しておけば、本来の映像信号の信号品質を劣化させることなく、動きベクトル検出を行うことが可能となる。
なお、図10に例示したように、大規模なマトリックス構造の電極セルが採用される場合、各セルでの信号検出には、順次信号読み出し方式が取られることが多い。具体的な手法を簡単に解説すると、あらかじめ各電極セルに対応してコンデンサが設けられており、特定の電圧で充電されている。この電圧は、セル毎に定期的に順次充電され、なんらかの形で放電があった場合、充電に要した電圧が信号として取り出せるものである。光検出器の電極セルにパルス電流が流れた際に、対応するコンデンサが電流値に応じて放電するように回路構成されていれば、定期的に追加充電されたときに、パルス電流の値を充電量として検出することが可能となる。
(第3の実施例:画面直置き型入力装置)
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
図13は、本発明の第3の実施例を説明するための概念図である。すなわち、本実施例は、第2実施例の透過型光検出器200を原稿画面301上に配置して、原稿画面の映像情報を取り込む構成としたものである。本実施例においては、外部光が原稿面301に反射して戻ってきた光を透過型光検出器200で検出することにより、原稿面の画像情報を受け取ることが可能となる。
ここで、原稿面301は電子的に投影されたディスプレイ上の映像信号であっても構わないし、紙面に描かれた画像情報であっても構わない。
また、本発明の透過型光検出器200により検出可能な波長の光、たとえば所定波長のレーザ光の出力が可能なペン状の入力端末302によって、光検出器上に任意に描画し情報を入力することが可能である。この時、元々原稿面301上に存在していた画像情報は透過型光検出器200の裏面から検知されており、入力端末302によって入力された情報は、前記画像情報と電子的に位置合わせされて入力されることが可能である。
(第4の実施例:センサ付きアクチュエータ)
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
図14及び図15は、本発明の第4実施例の透過型光検出器の構成を表す概念図である。この透過型光検出器400は、図2に表した透過型検出器100の透明電極部11の透明基板14を厚めに形成し、ミラー面441を設けた構成を有する。このような構成の透過型光検出器400では、入射光442がミラー面441で反射して反射光443となり、対向電極部12の4分割された電極セルに2度照射することになる。同図に例示したように、入射光442がミラー面441に対して斜め入射する場合、各電極セルで検知される信号を演算回路446によって比較演算することで、傾き角の検知を行うことが可能である。
また、この検出された信号電流をそのまま用いて、あるいはアンプ回路を通過させて、図15に表したように、透過型光検出器を駆動する駆動手段448に入力することで、検知された傾き角の補正を行うように透過型光検出器400、すなわちミラー面441を回転調節することができる。
つまり、透過型光検出器400により検出した信号に基づいて角度補正する機能を有するシステムが実現される。駆動手段448としては、電磁駆動、圧電駆動、静電駆動などどのような駆動方式のものであっても構わない。ただし、検出された電流値をそのまま用いる場合には、光検出器で検出される電流値は非常に微小であるので、静電駆動方式などが適していると考えられる。
なお本実施例では、回転駆動によって補正を行うものとしたが、平行移動、その他の動作によって演算回路の出力が所定値になるようにサーボがかけられるように構成されても構わない。
また、本実施例では、駆動する対象は透過型光検出器自身としたが、たとえば透過型光検出器に入射される光の光源のパワーなど、図示されない別のものであっても構わない。
(第5の実施例:位置合わせ/両面からの入射光)
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
図16は、本実施例の透過型光検出器を表し、同図(a)はその平面図、同図(b)はその要部断面図である。
本実施例は、微少な穴502のあいた部材501に入射光503を照射し、入射光軸中心を精密に穴502の中心とあわせる場合などに好適な構成である。その位置合わせの手順は、まず穴のあいた部材501の裏面から参照光504を与え、穴を通過した光を4分割された電極セルC1〜C4で検出しながら部材501に対して透過型光検出器500を位置合わせし、接着などで固定する。
しかる後に、入射光503を透過型光検出器500に対して照射し、4分割された電極セルC1〜C4で検出しながら、光軸の位置合わせを行う。このように、本発明の透過型光検出器が両面への照射光に対して検出可能であるため、図示したような構成の調整手順が可能となる。
以上、本発明の第1乃至第5実施例として、電極を複数に分割した透過型光検出器に関して説明した。
次に、本発明の第6乃至第12実施例として、複数のセルを積層した透過型光検出器について説明する。
(第6の実施例:分割電極付2層光検出器)
まず、本発明の第6の実施例について説明する。
図17は、本発明の第7実施例における積層透過型光検出器の概観図であり、同図(a)はその斜視外観図、同図(b)はその断面構成図である。
この光検出器600は、第1の波長帯の光を選択吸収して光電変換を行う第1の透過型光検出ユニット10と、第2の波長帯の光を選択吸収して光電変換を行う第2の透過型光検出ユニット30が絶縁体である透明基板50を介して積層された構造となっている。
第1の透過型光検出ユニット10は、第1の色素増感透明半導体電極部11および第1の対向電極部12と、両電極部に挟まれた第1のバッファ層13とから構成されている。さらに第1の色素増感透明半導体電極部11は、透明基板23上に形成された透明電極15および透明半導体16と、この半導体層に吸着された増感色素膜17によって構成されている。
同様に、第2の透過型光検出ユニット30は、第2の色素増感透明半導体電極部31および第2の対向電極部32と、両電極部に挟まれた第2のバッファ層33とから構成され、第2の対向電極部32は透明基板50を介して第1の透明電極部12の裏面に形成されている。第2の色素増感透明半導体電極部も第1の色素増感透明半導体電極部と同様に、透明基板に形成された透明電極35および透明半導体36と、この半導体層に吸着された増感色素膜37によって構成されている。
第1の対向電極部12は、透明基板50に形成された透明電極部によって構成される。この透明電極は、図示するように2つのセル18、19に分割され電気的に相互に絶縁されて設けられ、各電極セルにおいて発生した電流信号を個別に取り出すことができるように電線20、21が配線されている。
一方、透明基板50の裏面に設けられた第2の対向電極部は、第1の透明電極の分割セル形状と等しい形状のセル38,39に分割され、透明基板50を介してセル18とセル38およびセル19とセル39が相互に位置合せされて設けられている。第2の透明電極においても、各電極セルで発生した電流信号を個別に取り出すことができるように、電線40、41が配線されている。
また、第1の透明電極の電線22と第2の透明電極の電線42はお互いに接続されて接地されている。
なお、図17に表した具体例においては、対向電極部はそれぞれ2つのセルに分割されているが、これ以外にも、例えばライン上に複数のセルに分割される構成となっていても構わないし、マトリックス状に複数のセルに分割されていても構わない。また、各透明電極および電極部は、入射光軸の中心に対して線対称または点対称に分割されるように構成される。
また、第1、第2の対向電極部は、少なくともどちらか一方が分割されていればよく、図18に例示したように、第1の対向電極部のみ電極セル18、および電極セル19に分割された構成となり、第2の対向電極部の透明電極45は分割されない構成となっていても構わない。
以上のように構成された本実施例の積層透過型光検出器を構成するそれぞれの透過型光検出ユニット10及び30の基本的な動作については、図1(b)に関して前述した通りであるので詳細な説明は省略する。
図17に例示した積層透過型光検出器の場合、第1の透過型光検出ユニット10で吸収されなかった光は、透明基板50を透過し、第2の透過型光検出ユニット30に入射する。ここでも同様に、対向電極部32に設けられた透明電極の分割セルのパターンによって、各セルに照射する光量に応じた電流が検出できる。
上記のように構成した積層透過型光検出器600では、第1の増感色素と第2の増感色素を同一の組成の構成としても構わないし、異なる増感色素を用いても構わない。
同一の組成の増感色素を用いた場合、図19に例示したような構成の検出光学系により、分割された電極セルの出力をそれぞれ考慮して、入射光1の軸ずれを検出する検出光学系を構成することができる。この場合、増感色素で検出する波長の光を第1の透過型光検出ユニット10および第2の光検出ユニット30で検出することになるので、検出感度を上げることが可能となる。
一方、第1の増感色素と第2の増感色素を異なる組成とした場合、第1の透過型光検出器で検出する第1の波長帯と、第2の透過型光検出器で検出する第2の波長帯を異なる波長帯とすることができる。以下、異なる波長帯を検出する透過型光検出器としての実施例について説明する。
図20は、異なる2種類の波長を検出する構成を表す概念図である。同図に表した構成においては、本発明の積層透過型光検出器600は、たとえば帯域幅の広い波長帯を持つ光の光路中、ないしは複数波長の光が混在する光路中に設けられ、第1の透過型光検出ユニットによって第1の波長帯の光を用いて光電変換を行い、各セルに対応した電流を検知すると同時に、第2の波長帯の光を用いて光電変換して、同様に各セルに対応した電流を検知することができる。
例えば、二つの波長のレーザ1A、1Bが本発明の積層透過型光検出器600に入射される場合、第一の透過型光検出ユニット10の2分割された電極セルの各出力電流値の差をとって第1の波長帯に属する一方のレーザ光1Aの光軸位置を把握した上で、第2の透過型光検出ユニット30の同じく2分割された電極セルの各出力電流値の差をとって第2の波長帯に属するもう一方のレーザ光1Bの光軸位置を算出し、両者の光軸の1次元的なずれ量を検出することが可能となる。
このとき、積層透過型光検出器600は、光路1A、1B中に設けることが可能であり、検出器600を透過した光を別の用途に利用することが可能であり、非常に簡便で廉価に位置ずれ量の検出を行うことが可能である。また、この検出器の電極セルを4分割構成とすれば、2次元的なずれ量を検出することも可能である。
図21は、検出器の電極セルを4分割とした構成を例示する平面図及び断面図である。
このように各電極セルで得られた信号を用いて信号処理を行う場合、微弱な電流をS/Nよく検出して処理するために、信号処理回路は光検出器のごく近傍に設けられるのが望ましい。
図22は、4分割された電極セルを持つ2層積層透過型光検出器の実施例を表す概念図である。すなわち、第1の透過型光検出器10で検出された、各電極セル81、82、83、84の信号は、電線85、86、87、88を通じて信号処理回路89に入力される。また第2の透過型光検出器30の各信号も図示しない信号経路を介して同様に信号処理回路89入力され、それぞれ和・差などの演算処理が施されることになる。
また、本実施例で説明した積層透過型光検出器では、バッファ層65としてキャリア輸送体を用いた。この場合、光が入射している場合には電極間に電流が流れ、光が入射していない場合には電流が流れない。第1実施例に関して前述したように、本実施例においても、このバッファ層65を誘電体を用いて構成することも可能である。誘電体を用いた場合には、図6に関して前述したように、ユニットの応答速度がキャリア輸送体を用いた場合よりも速く、数10メガHzオーダの信号応答を行うことが可能となる。
本実施例における積層透過型光検出器の各部材、すなわち、透明基板23、43、50、透明電極15、18、19、35、38、39、補助電極、透明半導体16、36、増感色素膜17、37、誘電体材料、などの材料や製造方法は、第1実施例に関して前述したものと同様とすることができる。従って、その詳細な説明は省略する。
図23は、本実施例の積層透過型光検出器600の作成法の要部を表す工程図である。
まず、2枚の透明基板23、43を用意し、それぞれの表面に透明半導体としてのTiO膜を塗布し(図23(a)、(b))、焼結(図23(c)、(d))し、増感色素の吸着(図23(e)、(f))を行う。これらの工程の詳細は、図7(a)〜(c)に関して前述した通りである。
これらの工程と並行して、中間の透明基板50を用意(図23(g)し、その両面に透明電極をパターニングする(図23(h))。
このようにして作成された各パーツは、バッファ層の枠となるスペーサを介して図23(i)に表したように接着積層され、スペーサの空隙からキャリア輸送体ないしは誘電体を注入されて組み立てが完了する(図23(j))。
本実施例によれば、中間の透明基板50の両面に分割した透明電極パターンを形成する。従って、検出ユニット10と30を別々に形成して、両者の分割パターンを事後的に軸合わせするという煩雑な工程が不要となる。
(第7の実施例:分割電極付き3層積層光検出器:1次元イメージセンサ:スキャナ) 次に、本発明の第7の実施例について説明する。
図24は、本発明の第7実施例における積層透過型光検出器700の概観図であり、同図(a)はその平面構成図、同図(b)はその要部断面図である。
本実施例の光検出器は、第6実施例の2層積層透過型光検出器600に、さらにもう一層の第3の透過型光検出ユニットを積層した構成を有する。
すなわち、光の入射面に最も近い位置には、第1の波長帯の光に反応して光電変換を行う第1の透過型光検出ユニット110が設けられ、続いて透明基板150を介して、第2の波長帯の光に対して光電変換を行う第2の透過型光検出ユニット130が設けられている。これら、第1、第2の透過型光検出ユニットの構成は第6実施例と同様であるので省略する。
本実施例の構成では、第2の透過型光検出ユニット130の色素増感透明半導体電極部131が設けられた透明基板143の裏面に、第3の色素増感透明半導体電極部が形成されるように第3の透過型光検出ユニット170が構成されている。すなわち、第2の色素増感透明半導体電極部131の透明基板143の裏面に形成された透明電極175および透明半導体176と、この半導体層に吸着された増感色素膜177によって、第3の色素増感透明半導体電極部が構成されている。その対向する面には、第3の対向電極部172が構成され、両電極部に挟まれた第3のバッファ層173とから第3の透過型光検出ユニット170が構成される。
本実施例の構成では、対向電極部の透明電極はそれぞれ、例えば480個程度の数のセルに分割され、各透過型光検出ユニットの対応するセルが、相互の位置合わせも実現されて積層されている。第1の透過型光検出ユニット110の分割された電極セルと、第2の透過型光検出ユニット130の分割された電極セルは、第6実施例の場合と同様に同一基板150の上に形成されるので、位置合わせは電極形成時に容易に行うことができる。
これに対して、第3の透過型光検出ユニット170の分割された電極セルは、組み立て時に位置合わせされる。例えば、前もって透明基板150および透明基板190に同一の位置合わせマークを形成しておき、組み立て時にこのマークを基準にして調整するなどの手法がとられる。
本実施例の3層積層透過型光検出器700において、積層された3つの光検出ユニットによって検出される光の波長帯は、長い波長の光は大きな運動量を持っており光検出器の奥のほうまで到達するパワーを持っているため、第1の波長帯がもっとも短い波長を含み、第2、第3の順番で長い波長の光を含むように構成されるのが好適である。すなわち、入射面に最も近い光検出器で短い波長帯の光を検出するように構成すると良い。
このようにして実現された積層透過型光検出器700は、カラー画像のRGB分離を簡便に行って、イメージを電子化する用途に応用することができる。
図25は、カラー画像の読み取りを行う実施形態を表す概念図である。
この3層積層透過型光検出器では、第1の透過型光検出ユニット110における増感色素は青色を吸収するように、第2の透過型光検出ユニット130は緑色を吸収、第3の透過型光検出ユニット170では赤色を主に吸収するように設定される。またこの設定は、短い波長成分が第1、長い波長成分が第3となるように分離されていれば、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)などの3色分離であっても構わない。
図25に表した読み取りシステムの動作について、以下に説明する。検出光学系は、ランプ203、レンズ204、積層透過型光検出器700によって構成され、移動体202に搭載される。ランプから射出された光は原稿面201に照射され、ライン状の戻り光のみがレンズによって積層透過型光検出器に集光される。また、この移動体が原稿面に平行に移動することで、原稿面の情報が順次光検出器によって収集されることになる。このとき積層透過型光検出器には、原稿面で反射した光が原稿面にある色情報を含んで入射されることになる。
この入射光は、まず積層透過型光検出器の第1の透過型光検出ユニット110に入力され、第1の増感色素によって吸収された光によって光電変換が行われた箇所では、対応する分割電極に電位が発生して電流が流れることになる。
バッファ層65として、電解質を用いている場合は第1の波長帯の光が吸収されている間電流が流れ続けることになり、この電流を電流電圧変換すれば、電圧情報として取り出せる事になる。
一方、バッファ層65として誘電体を用いている場合には、第1の増感色素に対応する第1の波長帯の光が入射した瞬間に正のパルス電流が流れ、入射しなくなったときに、負のパルス電流が流れることになる。この場合は、シフトレジスタ回路またはフリップフロップ回路等によって、正のパルス電流または負のパルス電流の発生を検知する手法などによって、入射光に含まれる特定波長の光の強度情報を抽出することができる。イメージセンサ等で用いられている具体的な手法を簡単に解説すると、あらかじめ各電極セルに対応してコンデンサが設けられており、特定の電圧で充電されている。この電圧は定期的に順次充電され、なんらかの形で放電があった場合、充電に要した電圧が信号として取り出せるものである。光検出器の電極セルにパルス電流が流れた際に、対応するコンデンサが電流値に応じて放電するように回路構成されていれば、定期的に充電されたときに、パルス電流の値を放電量として検出することが可能である。
以上のように、第1の透過型光検出ユニットで検出された光の強度信号は、第1の増感色素に対応する波長帯の光の強度信号として認識され、取り出される。
第1の透過型光検出ユニット110で吸収されなかった光は、順次、第2の透過型光検出ユニット130、第3の透過型光検出ユニット170を通過し、それぞれ第2の増感色素、第3の増感色素の対応する波長帯の光強度信号に変換されることになる。この際、変換効率を上げるように、第3の透過型光検出ユニット170の下面に図示しないミラーを設けて、ミラーで反射された光がもう一度検出される構成としても良い。
上記のように、ランプ203によって照射されたラインが本実施例の3層積層透過型光検出器によって、色情報と強度情報に変換される。この移動体が原稿に対して平行移動しながら、これに同期して各セルの情報を読みだしすることで、原稿全体の情報を読み出すことが可能である。
(第8の実施例:2次元イメージセンサ)
次に、本発明の第8の実施例について説明する。
図26は、本発明の第8実施例における積層透過型光検出器の概観図であり、同図(a)はその平面構成図、同図(b)はその要部断面図である。
本実施例の積層透過型光検出器800は、第7実施例の3層積層透過型光検出器700の、対向電極部の透明電極が入射光軸の中心に対して2次元点対称に分割されたセル構造を有するものである。本実施例は、イメージセンサとして用いられる場合、分割セルのマトリックスは600×480のように大規模なものとなる。
ここで、本実施例の3層積層透過型光検出器は、電極の分割形態以外は、第7実施例と同様であるので詳細な説明は省略する。
図26に例示したように形成された3層積層透過型光検出器800は、カラー画像のRGB分離を簡便に行って、イメージを電子化する用途に応用することができる。
図27は、その概観図であり、図28は、その光学系の一例を示す。
すなわち、図28に表したように、集光レンズ291、292の集光位置に本実施例の3層積層透過型光検出器800を配置する。つまり、本実施例の3層積層透過型光検出器は、図36に例示した従来のビデオカメラの3CCD検出器の代用的役割を簡便な構成で果たしている。被写体として撮像された映像情報を有する光は、集光レンズ291、292で光検出器800の位置に集光され、第1の透過型光検出ユニット210で青色、第2の透過型光検出ユニット230で緑色、第3の透過型光検出ユニット270で赤色の、各波長帯に対応した光強度信号として検出される。この光強度信号は、分割された電極セルによって、平面分布が電圧値として取り出せて、それぞれ信号処理回路に入力されることにより、各波長に対応した光強度分布信号として処理される。
上記の構成では、ビデオカメラなどで一般的な構成となっているが、同様の作用を行うものであれば、その他の光応用デバイスに適用されても構わない。
また、各透過型光検出ユニットごとに製造する方が安価な場合、図29に例示したように3層の積層構造とすることも可能である。すなわち、図29の構成においては、光検出器900は、3つの透過型光検出ユニット110、130及び170を予め製造し、しかる後に貼り合わせた構造を有する。
(第9の実施例:画面直置き型入力装置)
次に、本発明の第9の実施例について説明する。
図30は、本実施例の構成を表す概念図である。すなわち、本実施例は、本発明の3層積層透過型光検出器800を原稿画面301上に配置して、原稿画面の映像情報を取り込む構成としたものである。但し、本実施例において用いる検出器800は、その全体のサイズも画素のサイズあるいは数も、第8実施例において用いるものとは異なる。つまり、本実施例の場合には、検出器800は、取り込みの対象となる原稿などのサイズに応じたサイズで構成されている。
この構成および動作は、第3実施例と概略同様である。すなわち、図30のように構成することで、外部光が原稿面301に反射して戻ってきた光を用いて原稿面の情報を受け取り、光検出器300で検出することが可能となる。このとき原稿の情報がカラー情報であれば、光検出器を3層積層透過型光検出器として、RGB情報をそれぞれ別個に信号として取り出すことが可能となる。
また、原稿面は電子的に投影されたディスプレイ上の映像信号であっても構わないし、紙面に描かれた画像情報であっても構わない。
また、本発明の積層透過型光検出器に、特殊な波長の光、たとえばレーザ光などの出力が可能なペン状の入力端末302によって、任意に描画し情報を入力することが可能である。このとき、透過型光検出器は単一層であっても構わないが、たとえば3層積層透過型光検出器を用いれば、射出するレーザ光の波長によって、ペン入力された色を個別に識別することが可能である。
(第10の実施例:波長測定器)
次に、本発明の第10の実施例について説明する。
図31は、本実施例の構成を表す概念図である。すなわち、本実施例においても、積層透過型光検出器304を用いている。この積層透過型光検出器304は、透過型光検出ユニットが複数積層された構造であればよく、図31においては、3つのユニット310、330、370が積層された構造を例示した。ここで、各透過型光検出ユニットの電極は分割されていなくても構わない。各透過型光検出ユニットの基本的な構成と動作については、前述したものと同様であるのでその説明は省略する。
本実施例において入射光303は、この積層透過型光検出器304によって三種類の波長成分に分解される。このとき第1の透過型光検出ユニット310、第2の透過型光検出ユニット330、第3の透過型光検出ユニット370の各ユニットで検出された信号出力を比較することにより、各ユニットに対応する増感色素で吸収された波長帯成分の比率を検知することが可能となる。これによって、入射光303のスペクトルを解析することが可能となる。
(第11の実施例:光ディスク装置用フォトディテクタ)
次に、本発明の第11の実施例について説明する。
図32は、本実施例の構成を表す概念図である。すなわち、本実施例は、光ディスク読み取り装置など、複数波長の光を用いた光応用デバイスにおいて、用いられる。図の構成では、透過型光検出器400が光を透過しない一般的な光検出器401の上に構成され、結果的に積層された光検出器410として構成されている。
このように構成することで、従来の光検出器401のみでは検出できなかった波長帯の光、特に短波長の光を透過型光検出器400において検出することが可能となる。このとき電極の分割セルは光検出器のパターンと同じく分割されていても良いし、異なるパターンで分割されていても構わない。本実施例では電極セル402、403、404、405、406、407は、同図のように光検出器401と同様なパターンに分割され、例えば、特に400nm近傍の波長帯で光電変換を行うように調整されている。
この積層された光検出器410は、図33に例示したような光ディスク装置の検出系において、複数波長のレーザに対して簡便な検出光学系の構成で信号検出を行うように構成される。すなわち、複数波長レーザ411から射出したレーザ光は、コリメートレンズ412、プリズム413、偏光板414を通過して対物レンズ415によって光ディスク416の情報記録面上に集光する。そのとき、一部のレーザ光はプリズム413によって分光され、レンズ417でパワーモニタ418上に集光されて、レーザのパワー制御が行われる。一方、情報記録面で反射した光はプリズム413まで戻り、レンズ419に入射されてホログラム素子420などによって光検出器410に入射することになる。この光検出器410では、光ディスク上に集光されたスポットの位置制御のための信号が検出されることになる。
(第12の実施例:色収差記録検出器)
次に、本発明の第12の実施例について説明する。
図34は、本実施例の構成を表す概念図である。すなわち、同図に表したように、プリズム430の下面に第7実施例の積層透過型光検出器700を配置する。このようにする構成することで、入射される光1の色収差を波長スペクトルに応じて検出でき、入射光の情報を抽出できる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、上述した具体例において表した光検出器の構造、材質あるいは、その応用例における光学系や周辺回路、駆動系などの構成や配置あるいは動作については、当業者が公知範囲から適宜選択したものを同様に適用して同様の効果を得ることができる。
同図(a)は本発明の光検出器の基本構成を例示する概略断面図であり、同図(b)は本発明の光検出器の動作モデルを表す概念図である。 本発明の第1実施例における透過型光検出器の概観図であり、同図(a)はその斜視外観図、同図(b)はその断面構成図である。 本発明の透過型光検出器の応用例を表す概念図である。 光検出器100の透過光も位置ずれ検出に利用した例を表す概念図である。 4分割された電極セルを持つ透過型光検出器の一例を表す概念図である。 キャリア輸送体と誘電体の電流信号の違いを表すグラフ図である。 本発明の透過型光検出器の作成方法の要部を表す概念図である。 対向電極が分割されない構成を例示する断面図である。 電極セルが均等でない面積に分割されている構成を例示する概念図である。 本発明の第2実施例における透過型光検出器200の概観図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)はその要部断面図である。 第2実施例の透過型光検出器をビデオカメラなどで用いられる検出光学系に配置した一例である。 1箇所に透過型光検出器204を配置する構成を表す概念図である。 本発明の第3の実施例を説明するための概念図である。 本発明の第4実施例の透過型光検出器の構成を表す概念図である。 本発明の第4実施例の透過型光検出器の構成を表す概念図である。 本発明の第5実施例の透過型光検出器を表し、同図(a)はその平面図、同図(b)はその要部断面図である。 本発明の第6実施例における積層透過型光検出器の概観図であり、同図(a)はその斜視外観図、同図(b)はその断面構成図である。 第2の対向電極部の透明電極が分割されない構成を表す概念図である。 検出光学系を表す概念図である。 異なる2種類の波長を検出する構成を表す概念図である。 検出器の電極セルを4分割とした構成を例示する平面図及び断面図である。 4分割された電極セルを持つ2層積層透過型光検出器の実施例を表す概念図である。 本発明の第6実施例の積層透過型光検出器600の作成法の要部を表す工程図である。 本発明の第7実施例における積層透過型光検出器700の概観図であり、同図(a)はその平面構成図、同図(b)はその要部断面図である。 カラー画像の読み取りを行う実施形態を表す概念図である。 本発明の第8実施例における積層透過型光検出器の概観図であり、同図(a)はその平面構成図、同図(b)はその要部断面図である。 カラー画像のRGB分離を行ってイメージを電子化する構成の概念図である。 光学系の一例を表す概念図である。 3つの透過型光検出ユニットを貼り合わせた光検出器を表す概念図である。 本発明の第9実施例の構成を表す概念図である。 本発明の第10実施例の構成を表す概念図である。 本発明の第11実施例の構成を表す概念図である。 光ディスク装置の検出系を表す概念図である。 本発明の第12実施例の構成を表す概念図である。 光路の末端に検出器が配置される構成を表す概念図である。 CCDを3つ備えた光学系を表す概念図である。 シリコン基板の薄膜化のプロセスを用いた薄膜フォトダイオードの製造工程断面図である。
符号の説明
1 光路
1A 第一の波長のレーザ
1B 第二の波長のレーザ
2 ビームスプリッタ
3 受光素子
4A、4B、4C CCDセンサ
5〜7 プリズム
10 第1の透過型光検出ユニット
11 色素増感透明半導体電極部
12 対向電極部
13 バッファ層
15 透明電極
16 透明半導体
17 増感色素膜
18〜21 分割電極セル
22〜25 電線
26 透明電極の電線
30 第2の透過型光検出ユニット
31 第2の色素増感透明半導体電極部
32 第2の対向電極部
33 第2のバッファ層
35 第2の透明電極
36 第2の透明半導体
37 第2の増感色素膜
38 分割電極セル
39 分割電極セル
40、41 電線
42 第2の透明電極の電線
43 透明基板
45 透明電極
50、61、62 透明基板
63 透明半導体
64 増感色素
65 バッファ層
66 対向電極
67、68 電線
71 参照光
81,82,83,84 透過型光検出器の分割された電極セル
85,86,87,88 透過型光検出器の分割された電極セルの電線
89 信号処理回路
91,92 第2の透過型光検出器の分割された電極セル
100、101、103、105、106、200〜204 透過型光検出器
102、104 移動構造体
110 第1の透過型光検出ユニット
111 第1の色素増感透明半導体電極部
112 第1の対向電極部
113 第1のバッファ層
130 第2の透過型光検出ユニット
131 第2の色素増感透明半導体電極部
132 第2の対向電極部
133 第2のバッファ層
143、150 透明基板
170 第3の透過型光検出ユニット
171 第3の色素増感透明半導体電極部
172 第3の対向電極部
173 第3のバッファ層
175 第3の透明電極
176 第3の透明半導体
177 第3の増感色素膜
190 透明基板
200 積層透過型光検出器
201 原稿面
202 移動体
203 ランプ
204 レンズ
205、209 光路
206〜208 CCDセンサ
210〜212 プリズム
230 第2の透過型光検出ユニット
231 第2の色素増感透明半導体電極部
232 第2の対向電極部
233 第2のバッファ層
243、250 透明基板
270 第3の透過型光検出ユニット
271 第3の色素増感透明半導体電極部
272 第3の対向電極部
273 第3のバッファ層
275 第3の透明電極
276 第3の透明半導体
277 第3の増感色素膜
291、292 レンズ
300、400、500 透過型光検出器
301 原稿面
302 入力端末
304 積層透過型光検出器
303 入射光
304 積層透過型光検出器
310 第1の透過型光検出ユニット
330 第2の透過型光検出ユニット
370 第3の透過型光検出ユニット
400 透過型光検出ユニット
401 光検出器
402,403、404、405、406、407 分割された電極セル
410 積層透過型光検出器
411 レーザ
412 コリメートレンズ
413 プリズム
414 波長版
415 対物レンズ
416 光ディスク
417 レンズ
418 パワーモニタ
419 レンズ
420 ホログラム素子
430 プリズム
441 ミラー面
442 入射光
443 反射光
501 穴のあいた部材
502 微小穴
503 入射光
504 参照光

Claims (11)

  1. 所定の波長を含む第1の波長帯の光に対して光電変換を行う第1の透過型光検出器と、
    前記第1の透過型光検出器と積層され前記第1の透過型光検出器を透過した光を検出する第2の光検出器と、
    を備えたことを特徴とする積層型の光検出器。
  2. 前記第1の透過型光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された透明半導体と、前記透明半導体の上に積層された増感色素膜と、前記増感色素膜と前記第2の透明電極との間に挟持されたキャリア輸送体と、を有することを特徴とする請求項1記載の光検出器。
  3. 前記第1の透過型光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された透明半導体と、前記透明半導体の上に積層された増感色素膜と、前記増感色素膜と前記第2の透明電極との間に挟持された誘電体層と、を有することを特徴とする請求項1記載の光検出器。
  4. 前記第1の透過型光検出器は、第1の透明電極と、前記第1の透明電極の上に積層された有機p型半導体層と、前記有機p型半導体層の上に積層された有機n型半導体層と、前記有機n型半導体層の上に積層された第2の透明電極と、を有することを特徴とする請求項1記載の光検出器。
  5. 前記第2の光検出器は、透明電極を有し、
    前記第1の光検出器の前記第1または第2の透明電極と、前記第2の光検出器の前記透明電極との少なくともいずれかは、複数の電極セルに分割されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光検出器。
  6. 前記第2の光検出器は、透明基板の一方の主面上に積層された第3の透明電極を有し、
    前記透明基板の他方の主面上には、前記第1の透過型光検出器の前記第2の透明電極が積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光検出器。
  7. 前記第2の透明電極と前記第3の透明電極とは、前記透明基板の両面の電極パターンが一致するように同一の複数の電極セルに分割されていることを特徴とする請求項6記載の光検出器。
  8. 前記複数の電極セルは、光の入射光軸に対して点対称に略等面積となるように分割されて設けられたことを特徴とする請求項5または7に記載の光検出器。
  9. 前記第2の光検出器は、前記第3の透明電極と対向して設けられた第4の透明電極を有し、
    前記第1の透明電極と前記第4の透明電極のそれぞれは、動作時に一定電位となるように構成されたことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の光検出器。
  10. 前記透明基板の両面に設けられた前記第2の透明電極と前記第3の透明電極のそれぞれを介して得られる電気信号を、前記分割された電極セル毎に処理する信号処理回路が一体的に設けられたことを特徴とする請求項7または8に記載の光検出器。
  11. 前記第1の透過型光検出器で光電変換される前記第1の波長帯より、前記第2の光検出器で光電変換される第2の波長帯の方が長波長成分を含むように構成されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の光検出器。
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