JP2008169654A - 透明板駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】窓ガラスのガラスランチャンネルによるガイドが不充分でもスムーズな昇降を実現でき、かつ、簡易な構造の透明板駆動装置を提供する。
【解決手段】中間レール7と、その中間レールに沿って移動する中間スライダ9と、前記中間レールの両側で、かつ、上下方向にずらせて配置される左右のガイドレール8と、その左右のガイドレールに沿って移動する左右のキャリアプレート10と、前記中間スライダおよび左右のキャリアプレートを連結すると共に窓ガラスを支持するスタビライザ12と、インナーケーブル15を介して前記左右のキャリアプレートを同期して上下に往復駆動させるケーブル駆動装置13とからなり、前記中間レール7が、中間スライダ9をその左右の移動を許しながら上下の移動をガイドするウインドレギュレータ1。
【選択図】図1

Description

本発明は透明板駆動装置に関する。さらに詳しくは、自動二輪車(スクータを含む)、自動車、小型船舶、スノーモービルなどの乗物の窓ガラスやウインドスクリーンを昇降させたり、天窓を開閉したりする透明板の駆動装置に関する。
再表02/75090号公報
特許文献1には、図13に示すウインドレギュレータ100が開示されている。このウインドレギュレータ100は、上下方向に配置される左右一対のガイドレール101と、それぞれのガイドレール101に摺動自在に設けられるキャリアプレート102と、各ガイドレール101の上下端に回転自在に設けられるプーリ103と、それらの4個のプーリ103に略8字状に配索されるインナーケーブル104と、そのインナーケーブルを循環駆動するケーブル駆動装置105とを備えている。左右のキャリアプレート102は窓ガラス106の下端を支持している。さらに窓ガラス106の左右の側縁はガラスランチャンネル107で摺動自在にガイドされている。また、ケーブル駆動装置105と対応するプーリとの間では、インナーケーブル104はアウターケーシング108によってガイドされている。
特許文献1のウインドレギュレータ100では、窓ガラス106の左右の側縁がガラスランチャンネル107によってガイドされているが、ガラスランチャンネル107によるガイドを強くすると、昇降の抵抗が大きくなる。他方、ガイドを緩くすると、窓ガラス106にガタツキ、とくに車体の内外方向のガタツキが生じやすい。さらに窓ガラス106が上昇したときにガラスランチャンネル107によるガイドが期待できないハードトップ車やオープンカーの場合は、上昇位置や昇降の途中で窓ガラスの保持が確実でなく、がたつきやすい。
本発明はガラスランチャンネルによるガイドが期待できない場合でも、窓ガラスなどの透明板をガタツキなくスムーズに往復駆動することができる透明板の駆動装置を提供することを技術課題としている。
本発明の透明板駆動装置(請求項1)は、平行に設けられた左右のガイドレールと、それらガイドレールに沿って移動すると共に左右方向の移動が拘束されている左右のキャリアプレートと、前記ガイドレールの間に、ガイドレールと略平行に配置される中間レールと、その中間レールに沿って移動する中間スライダと、前記左右のキャリアプレートを同期させて往復駆動させる駆動手段とからなり、前記左右のキャリアプレートと前記中間スライダとが移動方向にずれており、前記キャリアプレートと中間スライダとで透明板を支持すると共に、前記中間レールが中間スライダを、左右方向の移動を許すようにガイドしていることを特徴としている。
このような透明板駆動装置においては、前記左右のキャリアプレートとセンタースライダとがスタビライザによって連結されており、そのスタビライザが透明板を支持しているものが好ましい(請求項2)。さらに前記中間レールが、略Z字状の断面形状を呈しているものが好ましい(請求項3)。
さらに前記駆動手段が、駆動モータと、その駆動モータにより正逆回転するドラムと、
そのドラムに巻き取られあるいは送り出されるインナーケーブルと、前記左右のガイドレールの両端近辺にそれぞれ回動自在に配置される4つのプーリとからなり、前記インナーケーブルが、左右のガイドレールのそれぞれの両端近辺のプーリの間に渡され、かつ、左の一端近辺のプーリと右の他端近辺のプーリとの間および右の一端近辺のプーリと左の他端近辺のプーリとの間をそれぞれ渡して略8の字のループ状の配索経路を形成し、両端のプーリ間の配索経路の途中で、左右のキャリアプレートを係止しているものが好ましい(請求項4)。その場合、前記中間レール、左右のガイドレールおよび駆動モータが板状のベースに固定され、前記駆動モータが左右のガイドレールの間に配置されているものが一層好ましい(請求項5)。
本発明の透明板駆動装置(請求項1)は、左右のキャリアプレートを駆動手段により同期させて移動させると、透明板を介して中間スライドも追従して移動する。それにより左右のキャリアプレートと中間スライダが一体となって透明板を移動させる。そしてキャリアプレートと中間スライダとが移動方向にずれているので、いわば台形ないし三角形の頂点で透明板を支持することとなり、透明板の支持が安定する。さらに中間スライダは中間レールによって左右方向の移動が許される状態でガイドされるので、ガイドが3〜4個所であっても、相互に干渉したり、邪魔したりすることがない。また、中間レールで中間スライダの左右の移動を許しているので、中間レールの組み付けが容易である。そのため、組立の工数を少なくすることができ、中間スライダおよび中間レールの製造も容易になり、部品の製作コストを低減することができる。
前記左右のキャリアプレートと中間スライダとがスタビライザによって連結されており、そのスタビライザが透明板を支持している場合(請求項2)は、透明板をスライダを同期させる部材として用いないので、透明板が受ける風圧による撓みがスライダの移動に影響を及ぼさない。また、透明板が風圧を受けた場合でも、スタビライザを補強メンバとして作用させることができる。さらに、スタビライザを中間スライダおよび左右のキャリアプレートの3〜4点で形成される略台形状ないし三角形状の面で支持できるので、窓ガラスやウインドシールドなどの透明板の支持が安定する。そのため、透明板のガタを一層防止することができ、剛性を高くすることができる。
また、左右のキャリアプレートを駆動手段により同期して移動させ、かつ、中間スライダおよび左右のキャリアプレートが、スタビライザによって、中間スライダを頂点とした略等脚台形ないし二等辺三角形状に結合されているので、中間スライダでは両側のキャリアプレートから等しく引張られ、偏って荷重が加わりにくい。そのため中間スライダを左右方向に確実にガイドしなくても、安定した透明板の移動を実現できる。
また、前記中間レールが、略Z字状の断面形状を呈している場合(請求項3)は、車体への取り付けが容易かつ確実で、横向きの移動を許しながらスムーズに上下に中間スライダをガイドすることができる。
また、前記駆動手段が、駆動モータと、その駆動モータにより正逆回転するドラムと、そのドラムに巻き取られあるいは送り出されるインナーケーブルと、前記左右のガイドレールの両端近辺にそれぞれ回動自在に配置される4つのプーリとからなり、前記インナーケーブルが、左右のガイドレールのそれぞれの両端近辺のプーリの間に渡され、かつ、左の一端近辺のプーリと右の他端近辺のプーリとの間および右の一端近辺のプーリと左の他端近辺のプーリとの間をそれぞれ渡して略8の字のループ状の配索経路を形成し、両端近辺のプーリ間の配索経路の途中で、左右のキャリアプレートを係止している場合(請求項4)は、簡易な構造で左右のキャリアプレートを同期駆動させることができ、省スペースである。またそれぞれのレールが湾曲している場合でも、左右のスライダを同期してスムーズに駆動することができる。
また、前記中間レール、左右のガイドレールおよび駆動モータが板状のベースに固定され、前記駆動モータが左右のガイドレールの間に配置されている場合(請求項5)は、ベースの中央に配置された駆動モータがベースの補強メンバとして加わり、ベースの中央部の強度を向上させることができる。また、ベースの厚みを薄くして重量を軽減することができる。そして、駆動モータをガイドレールの間に配置するので省スペースである。さらにベースプレートによって透明板駆動装置が一体化され、ユニットとして取り扱うことができる。そのため搬送や保管が容易である。
つぎに図面を参照しながら本発明の透明板駆動装置の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態では自動車のサイドドアに設けるウインドレギュレータの場合を説明するが、バックドア、トラックの運転席の後ろの窓、あるいは天窓など、他の部位の窓ガラスや、自動二輪車のウインドスクリーンなどであってもよい。図1は本発明の透明板駆動装置の一実施形態を示す斜面図、図2は本発明の透明板駆動装置の他の実施形態を示す正面図、図3は図2のIII-III剪断面図、図4はキャリアプレートの分解斜視図、図5aは伸び取り部を示す斜面図、図5bはその平面断面図、図5cは配索状態を示す概略正面図、図6は本発明に関わる駆動モータ近辺の部分断面分解図、図7aは透明板駆動装置の上昇端での従動ギヤと駆動ギヤの噛み合い状態を示す斜面図、図7bは透明板駆動装置の下降端での従動ギヤと駆動ギヤの噛み合い状態を示す斜面図、図8aおよび図8bはそれぞれ本発明に関わるプーリの取り付け状態を示す断面図および分解図、図9aは中間レールおよびガイドレールの配置を示す概略正面図、図9bは図9aのB−B線概略断面図、図10は本発明に関わるケーブルアレンジメントの他の実施形態を示す斜視図、図11は本発明の透明板駆動装置のさらに他の実施形態を示す斜視図、図12は図11の透明板駆動装置を用いた自動二輪車の側面図である。
図1に示すウインドレギュレータ1は、自動車のドアなどに取り付けられた窓ガラス2を昇降させるものである。このウインドレギュレータ1は、大きく分けて、自動車のドアなどに取り付けられる固定部と、その固定部に沿って昇降し、前記窓ガラス2を支持する可動部と、その可動部を駆動するための駆動手段とからなる。前記窓ガラス2は透明なガラスや透明なプラスチックにより形成され、外向きに凸になるように湾曲している。
前記固定部はドアに取り付けられるインナーパネル3と、そのインナーパネル3に固定される2本の中間レール7と、その中間レール7の両側で、かつ、上方にずらして配置される左右のガイドレール8とからなる。駆動手段の一部を固定部に含めることもできる。中間レール7およびガイドレール8は窓ガラス2の湾曲に合わせて外向きに凸となるように湾曲している。
図2に示すウインドレギュレータ1では、中間レール7、ガイドレール8および駆動手段の固定部分をベース6に取り付けている。このウインドレギュレータ1は、そのベース6をドアのインナーパネル3などに取り付けることができる。さらにこのウインドレギュレータ1では、ガイドレール8および中間レール7は、正面視では上端が後方にずれるようにいくらか傾斜して配置され、互いに略平行である。平面視では図3に示すように、ほぼ同一面上に配列されている。これらの中間レール7およびガイドレール8、8の材質は鋼板またはアルミニウムが用いられる。特にアルミニウムを用いて一体に押出し成形すると容易に製造することができる。
図3に示すように、中間レール7は、垂直壁7aと、その上端から外向きに延びる上板7bと、下端から前記上板7bと反対側に延びる下板7cとからなる断面略Z字状に形成され、長手方向に延びている。中間レール7はベース6の中央の下方付近に取り付けられており、下板7bをボルト/ナットのような締結具によりベース6と一体に固定される。この実施形態では2本の中間レール7は上板7bの側縁同士が向き合うように互いに平行に配置されている。
一方、ガイドレール8は、内側の背板8aと、その背板8aの上下端からそれぞれ内向きに延びる側壁8b、8bと、その側壁8b、8bの端部を開口側に垂直に折り曲げて形成されるリップ片8c、8cとからなる断面略C字状で、それぞれ内向きに開口している。ただし前向きあるいは外向きに開口するように配置してもよく、断面形状もL字状など、他の形状であってもよい。ガイドレール8はベース6の上面にガイドレール8の下側の側壁8bを載せるようにして配置され、ボルト/ナットのような締結具によりベース6と一体に固定される。
前記可動部は、中間レール7に沿って昇降する中間スライダ9と、ガイドレール8に沿って摺動するキャリアプレート10と、それらのキャリアプレート10と中間スライダ9とを連結する板状のスタビライザ12とからなる。スタビライザ12を設けない場合は、窓ガラス2も可動部を構成する。図3に示すように、中間スライダ9は、中間レール7の上板7bの側縁と嵌合して摺接するU溝9aを備えた左右の厚板部9bと、それらの厚板部同士を連結する薄板部9cとからなり、厚板部9bの間に形成される溝部9dにスタビライザ12を固定している。
ただし左右の厚板部9bをスタビライザ12に固定することもできる。中間スライダ9全体、あるいは少なくともU溝9a近辺は、ポリオキシメチレンなどの摺動性が高い合成樹脂から形成するのが好ましい。中間スライダ9はアルミニウム合金などの金属を鋳造して構成することもでき、鋼板などの金属板と合成樹脂とのインサート成形によって構成することもできる。
図4に示すように、キャリアプレート10は、大きく分けてキャリアプレート本体11と、そのキャリアプレート本体に取り付けられて、ガイドレール内を摺動するスライドブッシュ10aと、そのスライドブッシュをキャリアプレート本体11に取り付けるためのシャフト10cとからなる。スライドブッシュ10aは、ガイドレール8の内面に嵌合して摺接する外向きに開口した箱状の部材であり、その中央には軸孔10bが形成されている。その軸孔10bにはシャフト10cが通され、前記キャリアプレート本体11に左右方向の軸周りに回動自在に連結される。
また、前記スライドブッシュ10aには、ラバー10d、10dがシャフト10cを挟んで上下の2箇所に配置される。その箱状のスライドブッシュ10aの開口は、カバー10eにより閉じられる。そのカバー10eは、ラバー10d、10dが弾性変形することにより、箱状のケース10aの内部に向かって押し込むことができる。そのため、窓ガラス2からキャリアプレート10に左右方向の荷重が加わっても、ガイドレール8の背板8aと摺動するカバー10eがラバー10dの弾性変形により、その面全体で背板8aとの摺動面を形成する。そのため、カバー10eの一部だけに荷重が集中しないので、スティックの発生を防止することができる。
なお、キャリアプレート10のうち、ガイドレール8と摺動する部分であるケース10aおよびカバー10eはポリオキシメチレン(POM)で形成するのが好ましい。スライドブッシュ10aに代えて、シャフト10cによって回転自在に支持され、ガイドレール8内を転動するガイドローラを設けることもできる。
前記キャリアプレート本体11は、キャリアプレート10のシャフト10cと回動自在に連結するための基部11aと、その基部11aの上端から外向きに延びる、前記スタビライザ12と連結される連結部11bとを備えている。連結部11bの上方には受け部11cが延びており、窓ガラス2の左右の下端を載せて締結具などで固定される。キャリアプレート10は合成樹脂などで構成することができる。金属と合成樹脂とのインサート成形品であってもよい。
また、前記連結部11bには、インナーケーブル15の端部に固着されたインナーエンド17a、18を係止するための箱状のケーブル係止部11dが形成されている。図5aおよび図5bに示すように、そのケーブル係止部11dの前後には壁部11e、11eが配置され、その壁部11e、11eの中心にはインナーケーブル15a、15bを通す孔11f、11fが形成されている。ケーブル係止部11dの内部には、インナーエンド17a、18を収容するための凹部が形成され、その内周面を覆うように筒状のケーブルガイド11gが嵌合される。その、ケーブルガイド11gは、ケーブルエンド17a、18が摺動自在に取り付けられるため、POMなどの摺動摩擦の少ない材質を用いるのが好ましい。
図2に戻って、前記スタビライザ12は、左右方向に配置される横板12aと、その横板の中心近辺から下向きに延びる縦板12bとからなる略T字状の板状部材であり、横板12aの端部付近に左右のキャリアプレート本体11、11を固定する。一方、スタビライザ12の縦板の下端付近には、前記中間スライダ9が固定されている。中間スライダ9はスタビライザ12に対し、左右方向の軸回りに回動自在に連結してもよい。その場合は中間スライダ9が、湾曲している中間レール7に沿って追従しやすい。なお、これらキャリアプレート本体11およびスタビライザ12は、アルミニウムやステンレスなどの金属で形成することもできるし、ポリカーボネートなどの強度の高い合成樹脂で形成することもできる。アルミニウムで一体成形すると、強度も高く、軽量にすることができる。
図2に示すように、前記駆動手段は、ケーブル駆動装置13と、そのケーブル駆動装置13の駆動力をキャリアプレートに伝達するインナーケーブル15と、そのインナーケーブル15の方向を転換する上下左右の4個所に回転自在に設けたプーリ14a〜dとからなる。ケーブル駆動装置13は前述の中間レール7およびガイドレール8を固定したベース6に取り付けられている。このベース6は図6に示すように、アルミニウムなどの金属で形成された部材で、中央の平坦部6aと、その平坦部6aの両側の下方に向けて肉厚の側部6b、6bとを備えている。平坦部6aにはケーブル駆動装置13が上下から挟み込むように取り付けられる。また、平坦部6aの上面側には、スペーサ13dが配置される円形状の窪んだ部分6dが形成されている。さらに、平坦部6aの前後の側縁からは下方に折り曲げられた側周板が延びており、ベース6の全体の強度を高めている。なお、前記ケーブル駆動装置13を平坦部6aに取り付けることにより強度メンバとして用い、ベース6の中央付近の強度を高めている。
ベース6の平坦部6aの下面側にはモータMおよび減速機Gからなる駆動部が配置され、上面側には従動ギヤ13fおよびドラム13bなどの従動部が設けられる。ベース6の上面側には窪んだ部分6dを覆うようにドラム13bを収納するドラムハウジング13cが配置されている。ドラムシャフト13eは、上端がドラムハジング13bの上面の孔にナットによって取り付けられ、下端がベース6の窪んだ部分6dに形成した孔に嵌合して固定されている。ドラムシャフト13eの下端付近には、従動ギヤ13fが回転自在に保持されている。ドラム13bおよび従動ギヤ13fは互いに固定され、両者がドラムシャフト13eにより回転自在に支持されている。
そして、従動ギヤ13fと窪んだ部分6dの上面との間には従動ギヤ13fとの摺動性の高めるためにスペーサ13dが配置されている。前記減速機Gの出力軸には駆動ギヤ(ピニオン)13gが固定されており、その駆動ギヤ13gはベース6の下面側の開口部6cより突出して前記従動ギヤ13fと噛み合うように配置されている。なお、前記スペーサ13dは摺動性の高いポリオキシメチレン(POM)のような合成樹脂を用いることができ、特に6ナイロンを用いるのが好ましい。
図7a、図7bに前記従動ギヤ13fと駆動ギヤ13gの噛み合い状態を示す。従動ギヤ13fは、駆動ギヤ13gと噛み合う歯を有する噛合部13hと、その噛合部13hが形成されていない歯無し部13iとを有する。そのため、駆動ギヤ13gが、噛合部13hの端部まで回転すると、歯無し部13iにぶつかり、それ以上回転することができない。すなわち、駆動ギヤ13gは従動ギヤ13fを正逆方向のどちらかに所定量回転させると、それ以上回転ができなくなる。したがって従動ギヤ13fに取り付けられているドラム13bはそれ以上インナーケーブル15を巻き取ることができなくなり、窓ガラス(図1の符号2)の昇降も停止する。
図7aは従動ギヤ13fの矢印R方向の回転端を示しており、この位置を窓ガラスの上端端に対応させている。一方、図7bは従動ギヤ13fの矢印L方向の回転端であり、この位置を窓ガラスの下降端に対応させている。このように従動ギヤ13gに歯無し部13iを設けることにより、窓ガラスやキャリアプレートの上下端の位置を感知するリミットスイッチなどのセンサーを使用しなくても、窓ガラスを上下端で停止させることができる。そのため、組立も容易であり、部品数あるいは部品のコストを低減できる。また、センサーに頼らずに、直接に駆動ギヤ13gからの回転の伝達を切断することができるので動作が確実である。さらに、駆動部の駆動力を直にロックするため、従動ギヤ13f以降の力伝達部である、ドラム13b、インナーケーブル15、プーリ14およびキャリアプレート本体11に大きな荷重がかからない。そのため、耐久性が高い。そして、前記部材に大きな荷重がかからないので、安全率を過度に見積もる必要がなく、コストの低減になる。なお、従動ギヤと駆動ギヤの噛み合いによりモータを強制的に停止させるので、モータには過電流が流れるが、その過電流を検出してモータへの給電を停止させればよい。
図2に示すように、前記プーリ14a〜dは左右のガイドレール8、8のそれぞれの上下に4つ配置されている。それらプーリ14a〜dは、右方のガイドレール8の下方近辺に配置された第1プーリ14aと、右方のガイドレール8の上端付近に配置された第2プーリ14bと、左方のガイドレール8の下方近辺に配置された第3プーリ14cと、左方のガイドレール8の上端付近に配置された第4プーリ14dからなる。
図8aに示すように、前記第1プーリ14aおよび第3プーリ14cは左右のガイドレール8、8の下方近辺の前記ベース6の両側付近に枢支され、ベース6の平面とほぼ平行な面内で回転自在である。一方、図8bに示すように、第2プーリ14bおよび第4プーリ14dはそれぞれ左右のガイドレール8、8の上端付近でスペーサ部材14eを介して、シャフト部材14fにより枢支されており、ベース6とほぼ平行な面内で縦方向に回転自在である。
図1および図2の場合はインナーケーブル15にはアウターケーシングを使用していないが、図13の従来のウインドレギュレータ100と同様に、たとえば第1プーリ14aの近辺と第3プーリ14cの近辺の間、第2プーリ14bの近辺とケーブル駆動装置13の間、第4プーリ14dの近辺とケーブル駆動装置13との間にそれぞれアウターケーシングを配索し、それらのアウターケーシングによってインナーケーブル15を摺動自在にガイドするようにしてもよい。
図2において、インナーケーブル15は、一端がケーブル駆動装置13のドラム13bに係止され、ベース6の上面側を通って前記第1プーリ14aで方向転換され、右方のガイドレール8に沿って上方に延び、右方のキャリアプレート本体11のケーブル係止部11d(図5参照)に他端が係止される第1インナーケーブル15aと、一端が右方のキャリアプレート本体11のケーブル係止部11dに係止され、上方に延び、第2プーリ14bで方向転換され、ベース6の上面側を通って、第3プーリ14cで方向転換され、左方のガイドレール8に沿って上方に延び、他端が左方のキャリアプレート本体11のケーブル係止部11dに係止される第2インナーケーブル15bと、一端が左方のキャリアプレート本体11のケーブル係止部11dに係止され、上方に延び、第4プーリ14dで方向転換され、他端が前記ドラム13bに係止される第3インナーケーブル15cとからなる。
前記第1インナーケーブル15aの一端には、公知のインナーエンドが固着され、図7aに示すドラム13bの周囲に巻き付けられ、ドラム13cに形成したケーブル係止孔13jに係止されている。第3インナーケーブル15cの端部も同様にドラム13cに巻き付けられ、ドラム13の裏面側のケーブル係止孔に係止されている。
また、図5a、図5bに示すように、第1インナーケーブル15aの他端は、伸び取り部17を介してキャリアプレート本体11に連結されている。その伸び取り部17は、第1インナーケーブル15aの端部に固着されたインナーエンド17aと、そのインナーエンド17aの周囲に配置されるスプリング17dとからなる。スプリング17dは、圧縮コイルスプリングであり、インナーエンド17aの先端のフランジ17bと壁部11eとの間に介在され、第1インナーケーブル15aを先端側に常時付勢している。それにより、第1インナーケーブル15aに生じた伸びを吸収して第1インナーケーブル15aの適切な張力をもたらす。
第2インナーケーブル15bの端部に固着されたインナーエンド18は、スプリングを介さずに直接壁部17eに係止されている。図5cに示すように、第3インナーケーブル15cの他端のケーブルエンド17aもスプリング17dを介してキャリアプレート本体11に連結されている。第2インナーケーブル15bの他端は、スプリングを介さずにキャリアプレート本体11に連結されている。
図1および図2のウインドレギュレータ1では中間レール7が左右一対で設けられているが、図9aに示すように中央に1本だけ配置してもよい。その場合は中間レール7の上板の側縁に中間スライダのU溝(図2の符号9a参照)を摺動自在に嵌合させる。中間スライダにはU溝(図2の符号9a参照)を片側だけ設ける。また、中間レール7とガイドレール8の取り付け面をずらせてもよい。このようなウインドレギュレータは、自動車のウインドレギュレータ(昇降駆動装置)や自動二輪車のウインドシールド(ウインドスクリーン)の駆動装置、天窓の開閉装置などに採用することができる。また、透明なものに限らず、ドアなどのパネルの往復駆動装置として採用することができる。
図2のウインドレギュレータ1では、断面略C字状のガイドレール8は開口を内向きにして配置しているが、図9bに示すように、左右のガイドレール8を、開口側を外向きにして配置してもよい。また、中央に設ける断面T字状の中間レール7の左右の側縁に中間スライダのU溝を摺動自在に、かつ、横方向に移動できるように嵌合させてもよい。この場合も窓ガラスをしっかりと保持することができ、スムーズにガイドすることができる。
図2のウインドレギュレータ1では、左右のガイドレール8の上端近辺に取り付ける第2プーリ14bと第4プーリ14dを窓ガラス2に対して略直角方向の軸回りに回転自在に設けているが、図10に示すケーブルアレンジメント20のように、第2プーリ14bと第4プーリ14dを左右方向の軸回りに回転自在に設けることもできる。このようなプーリの配列は、たとえば図11に示す窓ガラスをガイドするサッシがないウインドレギュレータ21に好ましい。このようなウインドレギュレータ21は図12の自動二輪車Sのウインドシールドの昇降装置に用いることができる。
図11のウインドレギュレータ21では、第2インナーケーブル15bは、第2アウターケーシング16bにより第2プーリ14bからベース6の前側に沿うように湾曲しながら第3プーリ14cへ案内されている。その第2アウターケーシング16bは、一端を第2プーリ14bの近辺でベース6の右後方の下面側で保持部17により保持され、他端を第3プーリ14cの手前でベース6の左前方付近で保持部17により保持されている。
第3インナーケーブル15cは、第3アウターケーシング16cにより第4プーリ14dからケーブル駆動装置13のドラムハウジング(図6の符号13c)まで案内されている。その第3アウターケーシング16cは、一端を第4プーリ14dから少し下方でベース6の右中央の下面側で保持部17(図示していない)により保持され、ベース6に形成された貫通孔(図示していない)よりベース6の上面に抜けて、ドラムハウジング13cに保持されている。また、第3インナーケーブル15cの一端には、通常のインナーエンド18が固着され、左方のキャリアプレート本体11のケーブル係止部11dの後の壁部11eに係止されている。
図1は本発明の透明板駆動装置の一実施形態を示す斜面図である。 図2は本発明の透明板駆動装置の他の実施形態を示す正面図である。 図3は図2のIII-III剪断面図である。 図4はキャリアプレートの分解斜視図である。 図5aは伸び取り部を示す斜面図、図5bはその平面断面図、図5cは配索状態を示す概略正面図である。 図6は本発明に関わる駆動モータ近辺の部分断面分解図である。 図7aは透明板駆動装置の上昇端での従動ギヤと駆動ギヤの噛み合い状態を示す斜面図、図7bは透明板駆動装置の下降端での従動ギヤと駆動ギヤの噛み合い状態を示す斜面図である。 図8aおよび図8bはそれぞれ本発明に関わるプーリの取り付け状態を示す断面図および分解図である。 図9aは中間レールおよびガイドレールの配置を示す概略正面図、図9bは図9aのB−B線概略断面図である。 図10は本発明に関わるケーブルアレンジメントの他の実施形態を示す斜視図である。 は本発明の透明板駆動装置のさらに他の実施形態を示す斜視図である。 図12は図11の透明板駆動装置を用いた自動二輪車の側面図である。 従来の透明板駆動装置の一例を示す正面図である。
符号の説明
1 ウインドレギュレータ
2 窓ガラス(ウインドシールド)
3 インナーパネル
6 ベース
6a 平坦部
6b 側部
6c 開口部
6d 窪んだ部分
6e 側周板
7 中間レール
7a 垂壁
7b 上板
7c 下板
8 ガイドレール
8a 背板
8b 側壁
8c リップ片
9 中間スライダ
10 キャリアプレート
10a スライドブッシュ
10b 軸孔
10c シャフト
10d ラバー
10e カバー
11 キャリアプレート本体
11a 基部
11b 連結部
11c 受け部
11d ケーブル係止部
11e 壁部
11f 孔
11g ケーブルガイド
12 スタビライザ
13 ケーブル駆動装置
M モータ
G 減速機
13b ドラム
13c ドラムハウジング
13d スペーサ
13e ドラムシャフト
13f 従動ギヤ
13g 駆動ギヤ
13h 噛合部
13i 歯無し部
13j ケーブル係止孔
14a 第1プーリ
14b 第2プーリ
14c 第3プーリ
14d 第4プーリ
14e スペーサ部材
14f シャフト部材
15 インナーケーブル
15a 第1インナーケーブル
15b 第2インナーケーブル
15c 第3インナーケーブル
16 アウターケーシング
16a 第1アウターケーシング
16b 第2アウターケーシング
16c 第3アウターケーシング
17 保持部
17a インナーエンド
18 インナーエンド

Claims (5)

  1. 平行に設けられた左右のガイドレールと、
    それらガイドレールに沿って移動すると共に左右方向の移動が拘束されている左右のキャリアプレートと、
    前記ガイドレールの間に、ガイドレールと略平行に配置される中間レールと、
    その中間レールに沿って移動する中間スライダと、
    前記左右のキャリアプレートを同期させて往復駆動させる駆動手段とからなり、
    前記左右のキャリアプレートと前記中間スライダとが移動方向にずれており、
    前記キャリアプレートと中間スライダとで透明板を支持すると共に、
    前記中間レールが中間スライダを、左右方向の移動を許すようにガイドしている透明板駆動装置。
  2. 前記左右のキャリアプレートと中間スライダとがスタビライザによって連結されており、そのスタビライザが透明板を支持している請求項1記載の透明板の駆動装置。
  3. 前記中間レールが、略Z字状の断面形状を呈している請求項1または2記載の透明板の駆動装置。
  4. 前記駆動手段が、
    駆動モータと、
    その駆動モータにより正逆回転するドラムと、
    そのドラムに巻き取られあるいは送り出されるインナーケーブルと、
    前記左右のガイドレールの両端近辺にそれぞれ回動自在に配置される4つのプーリとからなり、
    前記インナーケーブルが、左右のガイドレールのそれぞれの両端近辺のプーリの間に渡され、かつ、左の一端近辺のプーリと右の他端近辺のプーリとの間および右の一端近辺のプーリと左の他端近辺のプーリとの間をそれぞれ渡して略8の字のループ状の配索経路を形成し、
    ガイドレールの両端近辺のプーリ間の配索経路の途中で、左右のキャリアプレートを係止している請求項1、2または3記載の透明板の駆動装置。
  5. 前記中間レール、左右のガイドレールおよび駆動モータが板状のベースに固定され、
    前記駆動モータが左右のガイドレールの間に配置されている請求項4記載の透明板の駆動装置。
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