JP2008169249A - 水性エマルジョン組成物及びそれで処理された紙又は繊維加工品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイオキシンやハロゲン化水素を発生する恐れのあるハロゲン系成分を含有せず、紙や繊維加工品に優れた強度、剛軟性及び難燃性を付与することのできる水性エマルジョン組成物を提供すること。
【解決手段】ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合して得られることを特徴とする水性エマルジョン組成物である。この水性エマルジョン組成物で処理された紙又は繊維加工品は、優れた防炎性、強度及び剛軟性を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性を付与することができる水性エマルジョン組成物及びそれで処理された紙又は繊維加工品に関する。
各種の紙及び繊維加工品は多種多様な用途に使用されており、その物性向上剤として合成樹脂が広く用いられている。近年、建築材料や自動車内装材などの用途において、使用される紙及び繊維加工品の難燃化が求められており、これに対応する合成樹脂も開発されている。
一般的に合成樹脂を難燃化する方法としては、主に樹脂成分に難燃剤を添加する方法が挙げられる。例えば、赤リンやリン酸塩、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤、ペンタブロモビフェニル、オクタブロモビフェニル、デカブロモビフェニルなどのハロゲン系難燃剤、リン酸グアニジン、トリフェニルホスフェート、スルファミン酸などの非ハロゲン系難燃剤がよく知られている。
しかし、これら難燃剤は一般的に合成樹脂との相溶性に問題があり、難燃剤成分が分離したり、沈降したりすることがある。またこれらの難燃性樹脂は加工品に難燃性や防炎性を付与するだけでなく、強度や風合いなど他の諸物性に悪影響を与えないことが必要であるが、難燃性を付与するためには一般的に多量の添加が必要であり、樹脂自身の物性を阻害する原因となっている。
無機系難燃剤については樹脂の難燃化性能が乏しく、樹脂への多量の添加が必要であり、合成樹脂との比重差から沈降が生じやすい。またこれらを用いた加工品を硬くしてしまい、紙や繊維の本来の風合いを損なうといった問題も生じる。
ハロゲン系難燃剤は難燃化性能に優れているため、添加量が少なくて済むことから、合成樹脂の物性に与える影響は少ないが、塩素や臭素といったハロゲン元素を含有しているため、これらを用いた加工品を焼却する場合にダイオキシンやハロゲン化水素といった有害物質を発生する恐れがあり、EU諸国を始めとした世界各国で規制や使用の見直しが行なわれている。
非ハロゲン系難燃剤については、ハロゲン系難燃剤と比較して、安全性に優れているため、リン系を始めとした難燃剤が多く検討されている。しかし、リン系難燃剤の難燃化性能はハロゲン系よりも低く、比較的多量に使用しなければならないため、加工品物性を低下させてしまう。例えば、水溶性の難燃剤は潮解性が高く、見かけ上、樹脂を可塑化するため、これらを用いた加工品の強度、風合いを低下させる要因となる。また油溶性のものも樹脂の可塑化や樹脂表面へのブリードにより、強度、風合いを低下させるだけでなく、ベタツキを生じさせる要因となっている。
これらを解決する手段として、リン酸基や亜リン酸骨格を有する不飽和単量体と、アクリル酸系不飽和単量体と、酢酸ビニル単量体とを共重合した非ハロゲン系の難燃性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平7−18028号公報
しかしながら、特許文献1に開示される難燃性樹脂組成物を用いた加工品は、強度、剛軟性を満足するものではなく、更なる物性向上が望まれていた。
従って、本発明は、ダイオキシンやハロゲン化水素を発生する恐れのあるハロゲン系成分を含有せず、紙や繊維加工品に優れた強度、剛軟性及び難燃性を付与することのできる水性エマルジョン組成物及びこれで処理された防炎性や自己消火性を有する紙又は繊維加工品を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記のような従来の課題を解決すべく鋭意研究、開発を遂行した結果、ポリビニルアルコールを保護コロイドとし、リン酸基を有する不飽和単量体とアクリル酸系不飽和単量体とを共重合して得られ、且つ固形分中に特定量のリンが含有される水性エマルジョン組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合して得られ、且つ固形分中のリン含有量が2〜15質量%である水性エマルジョン組成物である。
また、本発明は、上記水性エマルジョン組成物で処理された紙又は繊維である。
本発明によれば、ダイオキシンやハロゲン化水素を発生する恐れのあるハロゲン系成分を含有せず、紙や繊維加工品に優れた強度、剛軟性及び難燃性を付与することのできる水性エマルジョン組成物及びこれで処理された防炎性や自己消火性を有する紙又は繊維加工品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性エマルジョン組成物は、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合して得られるものである。
本発明において保護コロイドとして用いられるポリビニルアルコールとしては、鹸化度、平均重合度、変性の有無に関係なく使用することができるが、平均重合度は、重合安定性、製品粘度の観点から200〜2,400であることが好ましく、鹸化度は、重合安定性の観点から、80%〜100%であることが好ましい。
本発明におけるポリビニルアルコールの使用量は、特に制限されるものではないが、重合安定性の観点から、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との合計100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがさらに好ましい。
本発明において用いるリン酸基を有する不飽和単量体としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物、この化合物の金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩が挙げられる。
Figure 2008169249
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素又はアルキル基を表しており、Yは、ヒドロキシル基、アルキル基又はアルキルエステル基を表しており、Zは、ヒドロキシル基、アルキル基又はアルキルエステル基を表すか、又は存在しない、nは1〜20の整数である)
上記化合物の具体例としては、アシッド・ホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクロイル・オキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びアシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、それらの金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩などを挙げることができる。これらの化合物は、単独で又は二種以上の混合物として使用することができる。
また、本発明において用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプルピレングリコールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられ、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、重合安定性や加工品物性に与える影響の観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との重合割合は、得られる樹脂中に含まれるリン量(水性エマルジョン組成物の固形分中のリン含有量)が2〜15質量%となるように適宜決定すればよい。難燃性付与と樹脂の物性発現のバランスを考慮すると、リン含有量が4〜10質量%となるように重合することが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、リン酸基を有する不飽和単量体や(メタ)アクリル酸エステル単量体以外の単量体、例えば、エテン、プロペン、ブテン、イソブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、それらの金属塩、アンモニウム塩などを単独であるいは二種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の水性エマルジョン組成物は、ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の共重合方法を用いて製造することができる。また、連続式重合法でも回分式重合法でも製造することができる。
ラジカル重合によって水性エマルジョン組成物を得る場合、重合は開始剤の存在下にて行われる。開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、N,N−アゾイソブチルニトリルなどを挙げることができ、反応によっては適当な還元剤を使用してもよい。開始剤の使用量は、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体との合計に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.2〜10質量%が更に好ましい。
本発明の水性エマルジョン組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、充填剤、防腐剤、着色剤、消泡剤、難燃剤、発泡剤、分散剤、乳化剤、連鎖移動剤、流動性調整剤、可塑剤、pH調整剤、各種油剤などの添加剤を配合してもよい。
上述した本発明の水性エマルジョン組成物は、原液あるいは任意の割合に希釈した状態で各種紙基材や繊維基材に塗布又は含浸させた後、必要に応じて乾燥させることにより難燃性加工品を形成することができる。こうして得られる紙又は繊維加工品は、防炎性及び自己消火性に優れ、従来の難燃性樹脂を用いた加工品と比較して、強度、耐水性、風合い(剛軟性)などの諸物性に優れる。
各種紙基材や繊維基材に対する水性エマルジョン組成物の使用量は、基材自身の難燃性にもよるが、樹脂付着量が10〜200質量%/基材となる量が適当である。また、本発明の水性エマルジョン組成物は、他の樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の各種樹脂組成物と混合した状態で各種紙基材や繊維基材を処理してもよい。水性エマルジョン樹脂組成物と各種樹脂組成物との混合割合は任意でよい。
紙基材としては、パルプを原料とした障子紙、襖紙、壁紙、板紙などやポリプロピレンなどの合成繊維を原料とした合成紙などが挙げられる。また、繊維基材としては、例えば、木綿、麻、絹、羊毛、コラーゲン繊維、アクリル繊維、レーヨン、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、アラミド、ポリアリレート及びこれらの混紡品からなる織物、不織布、編物などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に説明するが、本発明は実施例及び比較例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
イオン交換水150gを1Lの五つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。エチルアクリレート36g、メチルメタクリレート54g、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトエステルP−1M)60g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205(鹸化度86.5〜89.0%、平均重合度500))15g、イオン交換水190gを均一に乳化、過硫酸カリウム0.2gを添加し、反応を開始した。単量体乳化物は4時間掛けてセパラブルフラスコ内に添加、同時に3%過硫酸カリウム水溶液30gも4時間掛けて添加した。単量体乳化物の添加終了後、80℃で1時間攪拌し、反応を終了した。セパラブルフラスコ内を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を8g添加し、系内を中和した。得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量は5質量%であった。
〔実施例2〕
イオン交換水150gを1Lの五つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。メチルメタクリレート60g、ブチルアクリレート15g、エチルアクリレート15g、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトエステルP−1M)60g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205(鹸化度86.5〜89.0%、平均重合度500))15g、イオン交換水190gを均一に乳化、過硫酸カリウム0.2gを添加し、反応を開始した。単量体乳化物は4時間掛けてセパラブルフラスコ内に添加、同時に3%過硫酸カリウム水溶液30gも4時間掛けて添加した。単量体乳化物の添加終了後、80℃で1時間攪拌し、反応を終了した。セパラブルフラスコ内を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を8g添加し、系内を中和した。得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量は5質量%であった。
〔実施例3〕
イオン交換水150gを1Lの五つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。エチルアクリレート24g、メチルメタクリレート36g、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトエステルP−1M)90g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205(鹸化度86.5〜89.0%、平均重合度500))15g、イオン交換水190gを均一に乳化、過硫酸カリウム0.2gを添加し、反応を開始した。単量体乳化物は4時間掛けてセパラブルフラスコ内に添加、同時に3%過硫酸カリウム水溶液30gも4時間掛けて添加した。モノマー乳化物の添加終了後、80℃で1時間攪拌し、反応を終了した。セパラブルフラスコ内を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を8g添加し、系内を中和した。得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量は7.5質量%であった。
〔比較例1〕
イオン交換水150gを1Lの五つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。エチルアクリレート55g、メチルメタクリレート83g、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトエステルP−1M)12g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205(鹸化度86.5〜89.0%、平均重合度500))15g、イオン交換水190gを均一に乳化、過硫酸カリウム0.2gを添加し、反応を開始した。モノマー乳化物は4時間掛けてセパラブルフラスコ内に添加、同時に3%過硫酸カリウム水溶液30gも4時間掛けて添加した。単量体乳化物の添加終了後、80℃で1時間攪拌し、反応を終了した。セパラブルフラスコ内を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を8g添加し、系内を中和した。得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量は1質量%であった。
〔比較例2〕
イオン交換水150gを1Lの五つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。エチルアクリレート36g、メチルメタクリレート54g、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトエステルP−1M)60g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ5g、イオン交換水190gを均一に乳化、過硫酸カリウム0.2gを添加し、反応を開始した。単量体乳化物は4時間掛けてセパラブルフラスコ内に添加、同時に3%過硫酸カリウム水溶液30gも4時間掛けて添加した。単量体乳化物の添加終了後、80℃で1時間攪拌し、反応を終了した。セパラブルフラスコ内を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を8g添加し、系内を中和した。得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量は5質量%であった。
〔比較例3〕(アクリル樹脂+リン系難燃剤)
イオン交換水150gを1Lの五つ口セパラブルフラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。エチルアクリレート60g、メチルメタクリレート90g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA205(鹸化度86.5〜89.0%、平均重合度500))15g、イオン交換水190gを均一に乳化、過硫酸カリウム0.2gを添加し、反応を開始した。単量体乳化物は4時間掛けてセパラブルフラスコ内に添加、同時に3%過硫酸カリウム水溶液30gも4時間掛けて添加した。単量体乳化物の添加終了後、80℃で1時間攪拌し、反応を終了した(得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量は0質量%であった)。得られた水性エマルジョン組成物における樹脂固形分中のリン含有量が7質量%となるように、リン酸グアニジン系難燃剤を水性エマルジョン組成物に添加、均一に混合した。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた水性エマルジョン組成物を用いて、加工品の物性評価を行なった。加工品の作製及び評価は下記の方法に従って行った。結果を表1に示した。
(加工品の作製−1)
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた水性エマルジョン組成物をイオン交換水で15%に希釈し、加工浴液とした(なお、実施例3の水性エマルジョン組成物では、水性エマルジョン組成物100gに対して5gの水溶性エポキシ樹脂(市販品)を併用した)。この加工浴液に、基材であるろ紙(No.2、東洋濾紙株式会社製)を含浸させ、樹脂付着量が約15質量%/基材となるように二本マングルで絞った後、熱風式乾燥機にて110℃で10分間乾燥させた。
(加工品の作製−2)
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた水性エマルジョン組成物をイオン交換水で20%に希釈し、加工浴液とした(なお、実施例3の水性エマルジョン組成物では、水性エマルジョン組成物100gに対して5gの水溶性エポキシ樹脂(市販品)を併用した)。この加工浴液に、基材であるT/Cブロード(#40、株式会社谷頭商店製)を含浸させ、樹脂付着量が約15質量%/基材となるように二本マングルで絞った後、ピンテンターにて110℃で5分間乾燥させた。
(加工品の評価)
加工品の燃焼性、常態強度、湿潤強度及び剛軟性について評価した。なお、常態強度及び湿潤強度の評価には(加工品の作製−1)で得られた加工品を用い、燃焼性及び剛軟性については(加工品の作製−2)で得られた加工品を用いた。
(1)燃焼性
加工品作製後、23℃、65%RHの条件下に12時間以上静置した試験体をJIS L1091 A−1法(45°ミクロバーナー法)に準拠し、燃焼性試験を行なった。なお、この試験における区分は、1から3になるに従って燃焼性が低いことを意味している。
(2)常態強度
加工品作製後、23℃、65%RHの条件下に12時間以上静置した試験体を25×100mmに裁断し、AUTOGRAPH(AG−2000A、株式会社島津製作所製)を用いて、200mm/分の速度で引っ張り強度測定を行なった。この時のチャック間距離は50mmとした。
(3)湿潤強度
加工品作製後、23℃、65%RHの条件下に12時間以上静置した試験体を25×100mmに裁断し、イオン交換水に10分間浸漬した後、常態強度と同様の方法で強度測定を行なった。
(4)剛軟性
加工品作製後、23℃、65%RHの条件下に12時間以上静置した試験体を150×150mmに裁断し、JIS L 1096 一般織物試験方法に記載される8.19.5 E法(ハンドルオメータ法)に準拠し、測定を行なった。なお、剛軟性(g)は繊維の硬さ、柔らかさを表しており、数値が大きいほど加工品の風合いは硬いことを示す。
Figure 2008169249
表1から分かるように、実施例1〜3で得られた水性エマルジョン組成物で処理された加工品は、防炎性、常態強度、湿潤強度及び剛軟性に優れていた。これに対し、比較例1〜3で得られた水性エマルジョン組成物で基材を処理しても、防炎性、常態強度、湿潤強度及び剛軟性のすべてが優れる加工品は得られなかった。

Claims (2)

  1. ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、リン酸基を有する不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合して得られ、且つ固形分中のリン含有量が2〜15質量%であることを特徴とする水性エマルジョン組成物。
  2. 請求項1に記載の水性エマルジョン組成物で処理された紙又は繊維加工品。
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