JP2008169080A - コーティング基板の製造方法、前記方法により製造されるコーティング基板、および、その用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイヤモンド基板に難水溶性溶媒にシラン化合物を含有させた処理液、易水溶性溶媒にシラン化合物を含有させた処理液を順次塗布する。これによリ難水溶性処理液のシラン化合物とダイヤモンド基板表面とが化学結合して、ダイヤモンド基板表面に第1のコーティング層が形成され、さらに、前記易水溶性処理液のシラン化合物と前記第1のコーティング層表面とが化学結合して、第1のコーティング層表面に第2のコーティング層が形成される。これにより2層のコーティング膜が、前記ダイヤモンド基板表面に均一に形成され、表面との結合が強固となる。得られるコーティング基板は核酸やタンパク質等の生体物質を固定化したバイオチップと等として有用である。
【選択図】図1
Description
(A) ダイヤモンド基板を準備する工程
(B) シランカップリング剤処理液として、難水溶性溶媒中にシラン化合物を含有した難水溶性処理液と、易水溶性溶媒中にシラン化合物を含有した易水溶性処理液とを準備する工程
(C) 前記(B)工程で調製した二種類のシランカップリング剤を、ダイヤモンド基板の少なくとも一方の表面に塗布することにより、前記表面にコーティング膜を形成する工程であって、下記(c1)および(c2)工程を含む工程。
(c1) ダイヤモンド基板表面に前記難水溶性処理液を塗布する工程
(c2) ダイヤモンド基板表面に前記易水溶性処理液を塗布する工程
(A) ダイヤモンド基板を準備する工程
(B) シランカップリング剤処理液として、難水溶性溶媒中にシラン化合物を含有した難水溶性処理液と、易水溶性溶媒中にシラン化合物を含有した易水溶性処理液とを準備する工程
(C) 前記(B)工程で調製した二種類のシランカップリング剤を、ダイヤモンド基板の少なくとも一方の表面に塗布することにより、前記表面にコーティング膜を形成する工程であって、下記(c1)および(c2)工程を含む工程。
(c1) ダイヤモンド基板表面に前記難水溶性処理液を塗布する工程
(c2) ダイヤモンド基板表面に前記易水溶性処理液を塗布する工程
Y−(CH2)nSiX3 (I)
(1) 曲率半径1.0×10−8mの四角錐型チップを有する、ばね定数1.7N/mのSiNカンチレバーを準備する工程
(2) 前記SiNカンチレバーの四角錐型チップにより、前記コーティング基板の前記コーティング膜表面に対して垂直に、5.0×10−7N(500nN)の力を加える工程
(3) 前記5.0×10−7Nの力を加えた状態で、前記SiNカンチレバーの四角錐型チップを前記コーティング膜表面に対して平行方向に移動させ、前記コーティング膜表面を引っ掻く工程
H2NCH2CH2CH2Si(OC2H5)3
一回目の塗工用のシランカップリング剤処理液として、前記難水溶性処理液に代えて、下記溶媒にAPTESを混合した処理液をそれぞれ単独で使用し、且つ、二回目の塗工を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてコーティング基板を製造した。
(比較例1) トルエン 1mL
(比較例2) エタノール水溶液(エタノールと水の混液(エタノール95体積%および水5体積%)に酢酸を加えてpHを4.7に調整したもの)1mL
(比較例3) アセトン 1mL
(比較例4) アセトニトリル 1mL
(比較例5) テトラヒドロフラン 1mL
(比較例6) クロロホルム 1mL
(比較例7) n−オクタノール 1mL
(比較例8) n−ヘプタン 1mL
製造した実施例1および比較例1〜8の各コーティング基板について、それぞれコーティング膜表面を原子間力顕微鏡(商品名SPI3700、セイコーインスツルメント社製)で観察し、前記コーティング膜の均一性を確認した。
製造した実施例1および比較例1〜8の各コーティング基板について、以下に示す引っ掻き(スクラッチ)試験により前記コーティング膜の機械的強度(耐摩耗性)を試験した。
Claims (17)
- シラン化合物を含有するシランカップリング剤処理液をダイヤモンド基板に塗布することにより、前記シラン化合物を化学結合によってダイヤモンド基板に固定化したコーティング基板の製造方法であって、
下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とする製造方法。
(A) ダイヤモンド基板を準備する工程
(B) シランカップリング剤処理液として、難水溶性溶媒中にシラン化合物を含有した難水溶性処理液と、易水溶性溶媒中にシラン化合物を含有した易水溶性処理液とを準備する工程
(C) 前記(B)工程で調製した二種類のシランカップリング剤を、ダイヤモンド基板の少なくとも一方の表面に塗布することにより、前記表面にコーティング膜を形成する工程であって、下記(c1)および(c2)工程を含む工程。
(c1) ダイヤモンド基板表面に前記難水溶性処理液を塗布する工程
(c2) ダイヤモンド基板表面に前記易水溶性処理液を塗布する工程 - 前記(c1)工程の後に前記(c2)工程を行う、請求項1記載の製造方法。
- 前記(c1)工程において、ダイヤモンド基板表面に前記難水溶性処理液を塗布して、前記難水溶性処理水中のシラン化合物を化学結合によって前記ダイヤモンド基板表面に固定化することにより、前記表面に第1のコーティング層を形成し、
前記(c2)工程において、前記(c1)工程で形成した前記第1コーティング層の表面に前記易水溶性処理液を塗布して、前記易水溶性処理液中のシラン化合物を化学結合によって前記第1のコーティング層表面に固定化することにより、前記表面に第2のコーティング層を形成して、
前記ダイヤモンド基板の表面に、前記第1のコーティング層および第2のコーティング層を含むコーティング膜を形成する、請求項1または2記載の製造方法。 - 前記難水溶性溶媒が、分子中に孤立電子対を含まない溶媒である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記難水溶性溶媒が、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ブチルベンゼン、シメン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、o-ジエチルベンゼン、m-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、クロロホルムおよびn−オクタノールからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒である、請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記易水溶性溶媒が、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、イソブチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルセロソルブ、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトニトリル、およびプロピオニトリルからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒である、請求項1から5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記ダイヤモンド基板が、表面が酸素終端化されたダイヤモンド基板である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記(A)工程において、ダイヤモンド基板に水酸化処理を施す、請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記水酸化処理が、前記ダイヤモンド基板を水または水溶液中で煮沸する処理である、請求項8記載の製造方法。
- 前記シラン化合物が、アルコキシシランである、請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記シラン化合物が、一方の末端に、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基(ホルミル基)、イソシアネート基(−N=C=O)、イソチオシアネート基(−N=C=S)、リン酸基、チオール基(メルカプト基)、マレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、またはビニルスルホン基を有する化合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の製造方法。
- さらに、下記(D)工程を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法。
(D) 前記(C)工程において形成されたコーティング膜の表面に、生体物質を結合させる工程 - シラン化合物を化学結合により前記ダイヤモンド基板上に固定化したコーティング基板であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法により製造されるコーティング基板。
- 前記コーティング基板におけるコーティング膜が、シラン化合物から形成される単層体、または、前記単層体が積層された多層体である、請求項13記載のコーティング基板。
- 前記コーティング基板が、下記工程(1)〜(3)を含む引っ掻き試験によって、前記コーティング膜がダイヤモンド基板から剥離されないコーティング基板である、請求項13または14記載のコーティング基板。
(1) 曲率半径1.0×10−8mの四角錐型チップを有する、ばね定数1.7N/mのSiN(窒化シリコン)カンチレバーを準備する工程
(2) 前記SiNカンチレバーの四角錐型チップにより、前記コーティング基板の前記コーティング膜表面に対して垂直に、5.0×10−7N(500nN)の力を加える工程
(3) 前記5.0×10−7Nの力を加えた状態で、前記SiNカンチレバーの四角錐型チップを前記コーティング膜表面に対して平行方向に移動させ、前記コーティング膜表面を引っ掻く工程 - コーティング基板の表面に生体物質を固定化したバイオチップであり、前記コーティング基板が、請求項13から15のいずれか一項に記載のコーティング基板であることを特徴とするバイオチップ。
- 前記生体物質が、核酸、タンパク質、ポリペプチドおよびアミノ酸からなる群から選択された少なくとも一つである、請求項16記載のバイオチップ。
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