JP2008168830A - 車輪構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業効率やメンテナンス性の低下及び耐久性の低下を招くことのない車輪構造を提供すること。
【解決手段】本発明によるブ車輪構造1は、ハブ6とブレーキディスクロータ5とホイール2とから構成される車輪構造であって、ハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5との間の隙間に介在部材11を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明によるブ車輪構造1は、ハブ6とブレーキディスクロータ5とホイール2とから構成される車輪構造であって、ハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5との間の隙間に介在部材11を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両の車輪に適用されて好適な車輪構造に関する。
従来から、車両の荷重を支持し、駆動及び制動力を地面に伝達し、旋回走行時の横力を発生させる車輪に適用される車輪構造としては、特許文献1に記載されているようなものがある。この車輪構造においては、車輪を回転自在に支持するナックルの内周側に構成される外輪に、ベアリングのアウターレースが圧入嵌合され、ベアリングのインナーレースにハブが圧入嵌合され、ハブのディスク部に車幅方向内側から外側に向けて雄ネジが形成されるハブボルトが設けられて、そのハブボルトにブレーキディスクロータ及びホイールのディスクが挿通されて、ハブボルトの雄ネジにナットを螺合することにより、ホイールとブレーキディスクロータ及びハブが一体となって車輪が構成されている。さらに、ハブの外面には錆の発生を防止するメッキが施されている。
特開2005−239115号公報
ところが、このような車輪構造においては、錆の発生を防止するメッキが施されてはいるものの、依然として経時変化によりメッキが剥がれて、そこに水が侵入して酸化されると錆が発生し、特にはハブのディスク部とブレーキディスクロータのハット部との間の隙間においてその錆が成長して、ハブ側から成長した錆とブレーキディスクロータ側から発生した錆とが結合して、ハブとブレーキディスクロータとが固着してしまうという問題が生じた。
このような固着が発生してしまうと、定期点検時におけるブレーキディスクロータの取り外し作業及びブレーキディスクロータやキャリパブレーキに不具合が生じた場合のブレーキディスクロータの取り外し作業において、ブレーキディスクロータの取り外しが困難となり、作業効率やメンテナンス性が低下すると共に、無理にハブからブレーキディスクロータを取り外そうとすると、ブレーキディスクロータとハブのいずれかに破損が発生して構成要素の耐久性の低下を招いてしまうというおそれもあった。
本発明は、上記問題に鑑み、作業効率やメンテナンス性の低下及び耐久性の低下を招くことのない車輪構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明による車輪構造は、
ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間に介在部材を備えることを特徴とする。
ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間に介在部材を備えることを特徴とする。
ここで、前記車輪構造において、
前記介在部材を、合成樹脂、ゴム部材又は防錆部材により構成することを特徴とすることが好ましい。当該介在部材は前記ブレーキディスクロータ側に設けても良いし前記ハブ側に設けても良い。
前記介在部材を、合成樹脂、ゴム部材又は防錆部材により構成することを特徴とすることが好ましい。当該介在部材は前記ブレーキディスクロータ側に設けても良いし前記ハブ側に設けても良い。
これによれば、前記隙間に設けた前記介在部材により、前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間において錆が発生しても、その錆の成長及び堆積を防止することができる。
さらに、ハブ側から成長した錆とブレーキディスクロータ側から発生した錆とが結合することを、前記隙間に設けた前記介在部材により防止することができるので、前記ハブと前記ブレーキディスクロータとが固着してしまうことを防止することができる。
つまり、前記ブレーキディスクロータを前記ハブから取り外す作業において、前記ブレーキディスクロータの取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブからブレーキディスクロータを取り外す必要性を廃して、前記ブレーキディスクロータと前記ハブのいずれかに破損が発生して構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
さらに、前記ブレーキディスクロータを前記ハブから取り外す作業において、前記ブレーキディスクロータを取り外すと同時に、前記介在部材を前記ハブ又は前記ブレーキディスクロータから取り外すことができるので、前記介在部材の取り外しにあたり前記ハブ及び前記ブレーキディスクロータに生じた錆を取り除くことができる。これによりメンテナンス性及び耐久性を高めることができる。
あるいは、前記車輪構造において、
前記介在部材を、防錆鋼板により構成することを特徴としてもよい。
前記介在部材を、防錆鋼板により構成することを特徴としてもよい。
これによっても、前記隙間に設けた前記介在部材により、前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間において錆が発生しても、その錆の成長及び堆積を防止することができる。
さらに、ハブ側から成長した錆とブレーキディスクロータ側から発生した錆とが結合することを、前記隙間に設けた前記介在部材により防止することができるので、前記ハブと前記ブレーキディスクロータとが固着してしまうことを防止することができる。
つまり、前記ブレーキディスクロータを前記ハブから取り外す作業において、前記ブレーキディスクロータの取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブからブレーキディスクロータを取り外す必要性を廃して、前記ブレーキディスクロータと前記ハブのいずれかに破損が発生して構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
さらに、前記ブレーキディスクロータを前記ハブから取り外す作業において、前記ブレーキディスクロータを取り外すと同時に、前記介在部材を前記ハブ又は前記ブレーキディスクロータから取り外すことができるので、前記介在部材の取り外しにあたり前記ハブ及び前記ブレーキディスクロータに生じた錆を取り除くことができる。これによりメンテナンス性及び耐久性を高めることができる。
なお、前記介在部材を前記隙間に対して隙間無く設けた場合には、前記介在部材により、前記ブレーキディスクロータの表面及び前記ハブのディスク部の表面を覆って、当該表面が酸素に晒されることを防止して、錆の発生そのものも防止することができる。
あるいは、上記の課題を解決するため、本発明による車輪構造は、
ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間への水の侵入を防止する防水手段を備えることを特徴としてもよい。
ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間への水の侵入を防止する防水手段を備えることを特徴としてもよい。
ここで、前記車輪構造において、
前記防水手段を、弾性部材により構成することを特徴とすることが好ましい。
前記防水手段を、弾性部材により構成することを特徴とすることが好ましい。
これによれば、前記弾性部材により前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間への水の侵入を防止することができるので、当該隙間において錆が発生することを防止することができる。
これにより、ハブ側から成長した錆とブレーキディスクロータ側から発生した錆とが結合することを防止することができるので、前記ハブと前記ブレーキディスクロータとが固着してしまうことを防止することができる。
すなわち、前記ブレーキディスクロータを前記ハブから取り外す作業において、前記ブレーキディスクロータの取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブからブレーキディスクロータを取り外す必要性を廃して、前記ブレーキディスクロータと前記ハブのいずれかに破損が発生して構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
あるいは、上記の課題を解決するため、本発明による車輪構造は、
ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間の水を排水する排水手段を備えることを特徴としてもよい。
ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間の水を排水する排水手段を備えることを特徴としてもよい。
ここで、前記車輪構造において、
前記排水手段を、前記ブレーキディスクロータの前記ハブのディスクの外周側に位置する部分に孔部を設けることにより構成することを特徴とすることが好ましい。
前記排水手段を、前記ブレーキディスクロータの前記ハブのディスクの外周側に位置する部分に孔部を設けることにより構成することを特徴とすることが好ましい。
さらに、前記車輪構造において、
前記孔部に絞りを設けることを特徴とするが好ましい。
前記孔部に絞りを設けることを特徴とするが好ましい。
これによれば、前記孔部により前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間に侵入した水を排出することができるので、当該隙間において錆が発生することを防止することができる。なお前記絞りを前記孔部に設けることにより、前記孔部を通過する空気の流れを速くして、当該孔部が水分を含んだ空気を車輪の回転により吸い込んで排出する効果を高めることができる。
これにより、ハブ側から成長した錆とブレーキディスクロータ側から発生した錆とが結合することを防止することができるので、前記ハブと前記ブレーキディスクロータとが固着してしまうことを防止することができる。
つまり、前記ブレーキディスクロータを前記ハブから取り外す作業において、前記ブレーキディスクロータの取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブからブレーキディスクロータを取り外す必要性を廃して、前記ブレーキディスクロータと前記ハブのいずれかに破損が発生して構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
本発明によれば、作業効率やメンテナンス性の低下及び耐久性の低下を招くことのない車輪構造を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る車輪構造の一実施形態を、中心軸線を含む断面で示す模式断面図である。
図1に示すように、本実施例1に係わる車輪構造1は、リム2及びディスク3からなるホイール4と、ブレーキディスクロータ5と、ハブ6と、ハブボルト7と、ベアリング8と、ナックル9と、キャリパブレーキ10と、シート11とを備えて構成される。ここで、図1中左側は車幅方向内側を示し、図1中右側は車幅方向外側を示す。
ホイール4は、リム2とディスク3とから構成される。リム2は、車幅方向内側のフランジ2aと、車幅方向内側のビードシート2bと、車幅方向内側のハンプ2cと、ウェル2dと、車幅方向外側のハンプ2eと、車幅方向外側のビードシート2fと、車幅方向外側のフランジ2gとを備えて構成される。ディスク3は、その内周側にハブボルト穴を備えている。ホイール4はスチール又はアルミ等により構成される。
フランジ2aはここでは図示しないタイヤの車幅方向内側のビード部の車幅方向内側への移動を規制するものである。ビードシート2bはここでも図示しないタイヤの車幅方向内側のビード部を支持すると共に、タイヤのビード部とビードシート2bとの間を密閉して、タイヤ内部の空気を所定の圧力に保つ役割を果たすものである。
ウェル2dは、ここでは図示しないタイヤをホイール4に脱着する際に、その脱着を容易にするために設けられる広幅の溝状部分である。ハンプ2cは、外周側に突出する突状部を形成し、ここでは図示しないタイヤの車幅方向内側のビード部の車幅方向外側への移動を規制するものである。ハンプ2eは、外周側に突出する突状部を形成し、ここでは図示しないタイヤの車幅方向外側のビード部の車幅方向内側への移動を規制するものである。
ビードシート2fは、ここでは図示しないタイヤの車幅方向外側のビード部を支持すると共に、ビード部とビードシート2fとの間を密閉して、タイヤ内部の空気を所定の圧力に保つ役割を果たすものである。フランジ2gはここでは図示しないタイヤの車幅方向外側のビード部の車幅方向外側への移動を規制するものである。
ディスク3はビードシート2fの内周面から内周側に延びる円盤状の部分であり、その内周側にはハブボルト7を挿通する穴が設けられ、この穴にハブボルト7を挿通した後ハブボルト7の雄ネジに図示しないナット螺合することにより、ディスク3はハブ6に駆動連結される。
ブレーキディスクロータ5は、インナーブレーキディスク5aと、アウターブレーキディスク5bと、フィン5cと、ハット部5dと、座面部5eとから構成される。
インナーディスクロータ5aは例えば鋳鉄等の材質により構成される円環状板であり、キャリパブレーキ10のパッドが車幅方向内側から押し付けられることにより摩擦を発生させて、車両に制動力を発生させるものである。
アウターディスクロータ5bも例えば鋳鉄等の材質により構成される円環状板であり、キャリパブレーキ10のパッドが車幅方向外側から押し付けられることにより摩擦を発生させて、車両に制動力を発生させるものである。
フィン5cはインナーディスクロータ5a及びアウターディスクロータ5bの径方向及び軸方向に平行な平板状に寿鉄等の材質により形成されて、周方向上に複数箇所設けられて、その車幅方向外側端面をアウターディスクロータ5bの車幅方向内側に、その車幅方向内側端面をインナーディスクロータ5aの車幅方向外側に、それぞれ溶接等により接合されることにより、インナーディスクロータ5aとアウターロータディスク5bを連結して、ブレーキディスクロータ5を構成するものである。
さらに、ハット部5dは、アウターディスクロータ5bの内周側端部から車幅方向外側に円筒状に延びて一体に形成されて、アウターディスクロータ5bと座面部5eとを連結するものである。
座面部5eには周方向上にハブボルト7を挿通する穴が設けられ、この穴にハブボルト7を挿通した後ハブボルト7の雄ネジに図示しないナットを螺合することにより、ブレーキディスクロータ5はハブ6及びディスク3に駆動連結される。
インナーディスクロータ5a、アウターディスクロータ5b、複数のフィン5cにより画成される空間により冷却風路が構成され、この冷却風路の車輪の回転に伴って風が導かれることにより制動時に発生する摩擦熱により熱せられたブレーキディスクロータ5が冷却される。
ハブ6は、円板状のディスク部6aと、ディスク部6aの内周側から車幅方向内側に延びる円筒状の嵌合部6bと、ハブボルト穴6cを備え、鋳鉄等の材質により構成されるものである。
ハブボルト穴6cにハブボルト7を挿通した後、ハブボルト7の雄ネジに図示しないナットを螺合することにより、ハブ6はブレーキディスクロータ5及びディスク3に駆動連結される。
さらに、ナックル9の内周側に構成される外輪に、ベアリング8のアウターレースが圧入嵌合され、ベアリング8のインナーレースにハブ6の嵌合部6bが圧入嵌合されて、ハブ6、ブレーキディスクロータ5、ディスク3、リム2及び図示しないタイヤがナックル9に対して回転自在に支持される。
キャリパブレーキ10は周知のフローティングキャリパであり、ブレーキディスクロータ5のインナーディスクロータ5aとアウターディスクロータ5bを挟むようにコの字型に形成された筐体と、この筐体内部に設けられた図示しないシリンダとピストンとを備えて構成されるものであり、ナックル9の外周側のいずれかの箇所に設けられる。
このキャリパブレーキ10は、ブレーキ指令に基づきシリンダに油圧が送り込まれると、図示しないピストンが押し出されて、ブレーキディスクロータ5の軸方向両側に位置するパッドをブレーキディスクロータ5の軸方向両側から挟持して、パッドをブレーキディスクロータ5のインナーディスクロータ5aとアウターディスクロータ5bに押しつけて、制動力を発生させる。
シール11は、合成樹脂により円筒形状に形成されて、介在部材を構成し、ハブ6のディスク部6aの外周面を包み込むように圧入又は一体樹脂成形により設けられる。加えて、シール11は、ハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との間の隙間にほぼ隙間無く設けられる。
走行中の車両においては、車輪構造1の主に車幅方向内側から車幅方向外側に向かって風が流れ、これらの風には雨天時には雨水が含まれており、また、ブレーキディスクロータ5は走行時においては回転し、その冷却風路の外周側の周速が、冷却風路の内周側の周速よりも高くなることに起因して、冷却風路の内周側の開口部から風が吸い込まれて、その風は外周側に向かって誘導される。
この場合において、冷却風路の開口部から雨水を含んだ風の一部がハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との間の隙間に吸い込まれて、雨水がハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面に付着する。また、僅かではあるがブレーキディスクロータ5の座面部5eとハブ6のディスク部6aとの間からも雨水を含んだ風は侵入する。
それによりハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5d内周面に錆が発生する。本実施例1のようなシール11が設けられていない場合には、この錆が成長し、ハブ6側から成長した錆とブレーキディスクロータ5側から発生した錆とが結合して、ハブ6とブレーキディスクロータ5とが固着してしまう不具合が生じる。
ところが、本実施例1のように、シール11をハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との間の隙間に設けることにより、この隙間に設けたシール11により、ハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5のハット部5dとの間の隙間において錆が発生しても、その錆の成長及び堆積を防止することができる。
さらに、ハブ6側から成長した錆とブレーキディスクロータ5側から発生した錆とが結合することを、この隙間に設けたシール11により防止することができるので、ハブ6とブレーキディスクロータ5とが固着してしまうことを防止することができる。
すなわち、ブレーキディスクロータ5をハブ6から取り外す作業において、ブレーキディスクロータ5の取り外しを容易なものとすることができる。これにより、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブ6からブレーキディスクロータ5を取り外す必要性を廃して、ブレーキディスクロータ5とハブ6のいずれかに破損が発生して車輪構造1を構成する構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
さらに、ブレーキディスクロータ5をハブ6から取り外す作業において、ブレーキディスクロータ5を取り外すと同時に、シール11をハブ6及びブレーキディスクロータ5から取り外すことができるので、シール11の取り外しにあたりハブ6及びブレーキディスクロータ5に生じた錆を取り除くことができる。これにより、メンテナンス性及び耐久性を高めることができる。
加えて、ハブ6のディスク部6aの外周面及びブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面の錆の発生量が多い場合には、シール11を取り外した後、これらの錆をサンドペーパー等による研磨により除去して、シール11自体も新品に取り替えることができる。これによっても、メンテナンス性及び耐久性を高めることができる。
なお、シール11をブレーキディスクロータ5のハット部5dとディスク部6aの外周面との隙間に対して隙間無く設けることにより、シール11により、ブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面及びハブ6のディスク部6aの外周面を覆って、これらの表面が酸素に晒されることを防止して、錆の発生そのものも防止することができる。
本実施例1においては、シール11をハブ6のディスク部6aの外周面に設けたが、シール11をブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面に圧入又は一体樹脂成形により設けることもできる。ただし、ハブ6にブレーキディスクロータ5を取り付ける際には、ハブ6を基準として取り付けるため、組み付け上はシール11をハブ6のディスク部6aの外周面に設けた方がよい。また、シール11はゴム部材又は防錆部材により構成することもできる。
なお、本実施例1に示したブレーキディスクロータ5においてはアウターディスクロータ5bの内周側をハット部5dに連結するいわゆるアウターハットタイプの構造を採用しているが、インナーディスクロータ5aの内周側をハット部5dに連結するタイプのインナーハットタイプの構造とすることもできる。
上述した実施例1においては介在部材としてシール11を用いたが、介在部材を防錆鋼板よりなるスペーサとすることもできる。以下それに関連する実施例2について述べる。
図2は、本発明に係る車輪構造の一実施形態を、中心軸線を含む断面で示す模式断面図である。なお、スペーサ以外の構成要素は図1に示したものと同様であるため、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は割愛する。
本実施例2に係わる車輪構造21は、リム2及びディスク3からなるホイール4と、ブレーキディスクロータ5と、ハブ6と、ハブボルト7と、ベアリング8と、ナックル9と、キャリパブレーキ10と、スペーサ22と、図示しないビスを備えて構成される。ここで、図2中左側は車幅方向内側を示し、図2中右側は車幅方向外側を示す。
ハブ6は、円板状のディスク部6aと、ディスク部6aの内周側から車幅方向内側に延びる円筒状の嵌合部6bと、ハブボルト穴6cと、スペーサ22を取り付ける図示しないビスを螺合する穴6dを備え、鋳鉄等の材質により構成されるものである。ハブボルト穴6cと穴6dは周上交互に設けられる。
スペーサ22は、SUS材、亜鉛メッキ鋼板、樹脂コーティング材等の防錆鋼板により構成され介在部材をなし、ハブ6のディスク部6aの外周面を外包する円筒部分22aと、図示しないビスによりハブ6のディスク部6aの車幅方向内側面に取り付けるための座部22bと、穴22cを備えている。
スペーサ22をハブ6のディスク部6aの外周面に嵌め込んだ後、座部22bの穴22cに図示しないビスを挿通し、穴6dに図示しないビスを螺合することにより、スペーサ22はハブ6のディスク部6aに設けられる。加えて、スペーサ22は、ハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との間の隙間にほぼ隙間無く設けられる。
本実施例2によっても、ハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との隙間に設けたスペーサ22により、ハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5との間の隙間において錆が発生しても、その錆の成長及び堆積を防止することができる。
さらに、ハブ6側から成長した錆とブレーキディスクロータ5側から発生した錆とが結合することを、ハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との隙間に設けたスペーサ22により防止することができるので、ハブ6とブレーキディスクロータ5とが固着してしまうことを防止することができる。
つまり、ブレーキディスクロータ5をハブ6から取り外す作業において、ブレーキディスクロータ5の取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブ6からブレーキディスクロータ5を取り外す必要性を廃して、ブレーキディスクロータ5とハブ6のいずれかに破損が発生して車輪構造21の構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
さらに、ブレーキディスクロータ5をハブ6から取り外す作業において、ブレーキディスクロータ5を取り外すと同時に、スペーサ22をハブ6から取り外すことができるので、スペーサ22の取り外しにあたりハブ6のディスク部6aの外周面及びブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面に生じた錆を取り除くことができる。これによりメンテナンス性及び耐久性を高めることができる。
また、スペーサ22をハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との隙間に対してほぼ隙間無く設けているため、スペーサ22により、ブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面及びハブ6のディスク部6aの外周面を覆って、これらの表面が酸素に晒されることを防止して、錆の発生そのものも防止することができる。
加えて、ハブ6のディスク部6aの外周面及びブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面の錆の発生量が多い場合には、スペーサ22を取り外した後、これらの錆をサンドペーパー等による研磨により除去して、スペーサ22自体も新品に取り替えることができる。これにより、メンテナンス性及び耐久性を高めることができる
本実施例2においても、スペーサ22をハブ6のディスク部6aの外周面に設けたが、スペーサ22をブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面に圧入により設けることもできる。ただし、ハブ6にブレーキディスクロータ5を取り付ける際には、ハブ6を基準として取り付けるため、組み付け上はスペーサ22をハブ6のディスク部6aの外周面に設けた方がよい。
本実施例2においても、スペーサ22をハブ6のディスク部6aの外周面に設けたが、スペーサ22をブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面に圧入により設けることもできる。ただし、ハブ6にブレーキディスクロータ5を取り付ける際には、ハブ6を基準として取り付けるため、組み付け上はスペーサ22をハブ6のディスク部6aの外周面に設けた方がよい。
また、本実施例2においては、スペーサ22をハブ6に設けるにあたり、専用の穴6dとビスを用いたが、ハブボルト穴6cとハブボルト7を用いて設ける事ももちろん可能である。但し、ハブボルト7により固定する構成要素の数が増えて、寸法公差の積み重ねによるハブボルト7の組み付け不良を防止する観点からは本実施例2の構成の方が好ましい。
上述した実施例1及び実施例2においてはハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との間の隙間に、介在部材としてシール11又はスペーサ22を設けたが、この隙間に雨水を含んだ風が侵入しないようにOリングを設けた構造とすることもできる。以下それに関連する実施例3について述べる。
図3は、本発明に係る車輪構造の一実施形態を、中心軸線を含む断面で示す模式断面図である。なお、Oリング以外の構成要素は図1に示したものと同様であるため、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は割愛する。
本実施例3に係わる車輪構造31は、リム2及びディスク3からなるホイール4と、ブレーキディスクロータ5と、ハブ6と、ハブボルト7と、ベアリング8と、ナックル9と、キャリパブレーキ10と、Oリング32と、Oリング33を備えて構成される。ここで、図3中左側は車幅方向内側を示し、図3中右側は車幅方向外側を示す。
ハブ6は、円板状のディスク部6aと、ディスク部6aの内周側から車幅方向内側に延びる円筒状の嵌合部6bと、ハブボルト穴6cと、Oリング32を嵌合する溝部6eと、Oリング33を嵌合する溝部6fを備え、鋳鉄等の材質により構成されるものである。
Oリング32は、ゴム等の弾性部材をなし、ハブ6のディスク部6aの外周面の車幅方向内側寄りに周方向に延在させて設けられた溝部6eに嵌合され、Oリング33も、ゴム等の弾性部材をなし、ハブ6のディスク部6aの車幅方向外側面に周方向に延在させて設けられた溝部6fに嵌合される。
このように構成されるハブ6にブレーキディスクロータ5をハブボルト7に図示しないナットを螺合することにより組み付けると、Oリング32とOリング33は、ハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5のハット部5dとの間で圧縮されて、これらの隙間を密閉し防水する。すなわちOリング32とOリング33は防水手段を構成する。
これによれば、Oリング32及びOリング33によりハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5のハット部5dとの間の隙間への水の侵入を防止することができるので、この隙間において錆が発生することを防止することができる。なお、Oリング32は車幅方向内側からの水の侵入を主に防止し、Oリング33は車幅方向外側からの水の侵入を主に防止する。
これにより、ハブ6側から成長した錆とブレーキディスクロータ5側から発生した錆とが結合することを防止することができるので、ハブ6とブレーキディスクロータ5とが固着してしまうことを防止することができる。
すなわち、ブレーキディスクロータ5をハブ6から取り外す作業において、ブレーキディスクロータ5の取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブ6からブレーキディスクロータ5を取り外す必要性を廃して、ブレーキディスクロータ5とハブ6のいずれかに破損が発生して車輪構造31の構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
上述した実施例3においてはハブ6のディスク部6aの外周面とブレーキディスクロータ5のハット部5dの内周面との間の隙間に、防水手段すなわち弾性部材としてOリングを設けた構造としたが、ブレーキディスクロータ5のハット部5dに排水手段としての孔部を設けた構造とすることもできる。以下それに関連する実施例4について述べる。
図4は、本発明に係る車輪構造の一実施形態を、中心軸線を含む断面で示す模式断面図である。なお、孔部以外の構成要素は図1に示したものと同様であるため、共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は割愛する。
本実施例4に係わる車輪構造41は、リム2及びディスク3からなるホイール4と、ブレーキディスクロータ5と、ハブ6と、ハブボルト7と、ベアリング8と、ナックル9と、キャリパブレーキ10と、孔部42と、オリフィス43を備えて構成される。ここで、図4中左側は車幅方向内側を示し、図4中右側は車幅方向外側を示す。
ブレーキディスクロータ5は、インナーブレーキディスク5aと、アウターブレーキディスク5bと、フィン5cと、ハット部5dと、座面部5eとから構成される。
ハブ6は、円板状のディスク部6aと、ディスク部6aの内周側から車幅方向内側に延びる円筒状の嵌合部6bと、ハブボルト穴6cとを備え、鋳鉄等の材質により構成されるものである。
さらに、ブレーキディスクロータ5のハット部5dのハブ6のディスク部6aの外周面と対向する部分には、周方向数カ所に、ハット部5dの内周側と外周側とを連通する孔部42が穿設され、孔部42の外周側に開口する部分にはオリフィス43が設けられる。孔部42及びオリフィス43は排水手段を構成する。
これによれば、車輪の回転に伴う孔部42の吸込作用によりハブ6のディスク部6aとブレーキディスクロータ5のハット部5dとの間の隙間に侵入した水を排出することができるので、この隙間において錆が発生することを防止することができる。なお孔部42にオリフィス43すなわち絞りを設けることにより、孔部42を通過する空気の流れを速くして、孔部42が水分を含んだ空気を車輪の回転により吸い込んで排出する効果を高めることができる。
これにより、ハブ6側から成長した錆とブレーキディスクロータ5側から発生した錆とが結合することを防止することができるので、ハブ6とブレーキディスクロータ5とが固着してしまうことを防止することができる。
つまり、ブレーキディスクロータ5をハブ6から取り外す作業において、ブレーキディスクロータ5の取り外しを容易なものとして、作業効率やメンテナンス性が低下することを防止することができる。これとともに、無理にハブ6からブレーキディスクロータ5を取り外す必要性を廃して、ブレーキディスクロータ5とハブ6のいずれかに破損が発生して車輪構造41の構成要素の耐久性の低下を招いてしまうことも防止することができる。
なお、本実施例4の孔部42はハット部5dの径方向に延在するように設けたが、この延在方向を径方向に対して、外周側が内周側に対して車幅方向外側にオフセットするように傾斜させる事もできる。これによれば、孔部42を通過する空気を、アウターディスクロータ5bを回避させて排出させて、水分を含んだ空気の排出効果をより高める事ができる。
また、孔部42にオリフィス43を設ける事により、ハット部5dに設ける孔部42の断面積をなるべく小さくして、孔部42を穿設することによるハット部5dの強度が低下する事を防止する事ができる。
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
本発明は、車両の車輪構造に関するものであり、作業効率やメンテナンス性の低下及び耐久性の低下を招くことのない車輪構造を提供することができるので通常の乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
1 車輪構造
2 リム
3 ディスク
4 ホイール
5 ブレーキディスクロータ
5a インナーブレーキディスク
5b アウターブレーキディスク
5c フィン
5d ハット部
5e 座面部
6 ハブ
6a ディスク部
6b 嵌合部
6c ハブボルト穴
6d 穴
6e 溝部
6f 溝部
7 ハブボルト
8 ベアリング
9 ナックル
10 キャリパブレーキ
11 シール
21 車輪構造
22 スペーサ
22a 円筒部分
22b 座部
31 車輪構造
32 Oリング
33 Oリング
41 車輪構造
42 孔部
43 オリフィス
2 リム
3 ディスク
4 ホイール
5 ブレーキディスクロータ
5a インナーブレーキディスク
5b アウターブレーキディスク
5c フィン
5d ハット部
5e 座面部
6 ハブ
6a ディスク部
6b 嵌合部
6c ハブボルト穴
6d 穴
6e 溝部
6f 溝部
7 ハブボルト
8 ベアリング
9 ナックル
10 キャリパブレーキ
11 シール
21 車輪構造
22 スペーサ
22a 円筒部分
22b 座部
31 車輪構造
32 Oリング
33 Oリング
41 車輪構造
42 孔部
43 オリフィス
Claims (8)
- ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間に介在部材を備えることを特徴とする車輪構造。 - 前記介在部材を、合成樹脂、ゴム部材又は防錆部材により構成することを特徴とする請求項1に記載の車輪構造
- 前記介在部材を、防錆鋼板により構成することを特徴とする請求項1に記載の車輪構造。
- ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間への水の侵入を防止する防水手段を備えることを特徴とする車輪構造。 - 前記防水手段を、弾性部材により構成することを特徴とする請求項4に記載の車輪構造。
- ハブとブレーキディスクロータとホイールとから構成される車輪構造であって、
前記ハブのディスク部と前記ブレーキディスクロータとの間の隙間の水を排水する排水手段を備えることを特徴とする車輪構造。 - 前記排水手段を、前記ブレーキディスクロータの前記ハブのディスク部の外周側に位置する部分に孔部を設けることにより構成することを特徴とする請求項6に記載の車輪構造。
- 前記孔部に絞りを設けることを特徴とする請求項7に記載の車輪構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007005131A JP2008168830A (ja) | 2007-01-12 | 2007-01-12 | 車輪構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007005131A JP2008168830A (ja) | 2007-01-12 | 2007-01-12 | 車輪構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008168830A true JP2008168830A (ja) | 2008-07-24 |
Family
ID=39697323
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007005131A Pending JP2008168830A (ja) | 2007-01-12 | 2007-01-12 | 車輪構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008168830A (ja) |
-
2007
- 2007-01-12 JP JP2007005131A patent/JP2008168830A/ja active Pending
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