JP2008164373A - 新規道路幅算出システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ナビゲーション装置等に記憶された地図情報に対して追加する新規道路の道路幅を算出する新規道路幅算出システムを提供する。
【解決手段】プローブカーである車両3がナビゲーション装置4の備えるナビ地図データ53に含まれない道路を走行する際の走行軌跡情報をプローブデータとして地図配信センタ2に送信し、一方、各車両3のナビゲーション装置4から走行軌跡情報を受信した地図配信センタ2は、受信したデータを収集して、収集した走行軌跡情報の走行軌跡に基づいて新規道路の道路幅の算出を行うように構成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、ナビゲーション装置等に記憶された地図情報に対して追加する新規道路の道路幅を算出する新規道路幅算出システムに関するものである。
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マーク(ロケーション)を地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
ここで、日本全国においては毎年新しい道路(新規道路)が建設されている。また、これに伴って、既存の道路がなくなったり、既存の道路の形状が変更されたりする。その際、ナビゲーション装置が所有する地図データが生成された後に新しく作られた新規道路に関する情報は、地図情報データに登録されていないという問題がある。即ち、新規道路を含まない地図データを持つナビゲーション装置では、新規道路が液晶モニタに表示されず、また、新規道路が経路検索の対象とならないため、ナビゲーション装置は新規道路を通過しない遠回りの誘導経路を探索してしまうことがある。このような不具合を回避するためには、ナビゲーション装置に記憶させる地図データはある程度の時間間隔で更新することが必要となる。ここで、地図データの更新は、新しいDVDを購入して古いDVDと交換したり、地図情報配信センタ等から配信された更新用の地図データに基づいてHDDの内容を書き換えることによって行われる。
そして、ナビゲーション装置の地図データに追加する為の新規道路に関する新規道路情報を生成する生成手段としては、人が実際に新規道路を現地で調査した調査データに基づいて生成されるのが一般である。しかしながら、新設される新規道路の数は毎年非常に多く、人の手によって全ての必要事項を調査しようとすると、膨大な時間が必要となっていた。その結果、新規道路がナビゲーション装置の地図データに反映されるまで相当時間が必要となり、ナビゲーション装置の信頼性が低下する原因となっていた。
そこで、従来では車両の走行履歴を用いることによって、新規道路情報を生成することについて行われている。また、走行履歴に基づいて生成することができる新規道路情報としては、道路の形状に関する情報に限らず、道路幅に関する情報も可能となっていた。例えば、特開2002−54934号公報には、各車両と交信を行うことによって情報センタが車両の走行履歴を取得し、特に車両の平均車速から新規道路の道路幅を推定する道路幅の算出方法について記載されている。また、特開平9−243391号公報には、各車両と更新を行うことによって情報センタが車両の走行軌跡情報を取得する際に車種に関するデータも取得し、車両の車種から新規道路の道路幅を推定する道路幅の算出方法について記載されている。
特開2002−54934号公報(第6頁、図3) 特開平9−243391号公報(第5頁、図7)
ここで、上記特許文献1に記載の道路幅の算出方法では、平均車速が速いほどその道路の道路幅が広くなるように算出する。しかし、広い道路であっても渋滞している場合には走行する車両の車速が遅くなってしまうので、実際の道路幅より狭く算出されてしまう虞があった。また、上記特許文献2に記載の道路幅の算出方法では、小型車のみが通ることが可能な狭い道路においては、走行した車種の情報から道路幅を算出することが可能であるが、複数車線からなる道路や小型車でも大型車でも通ることが可能な広い道路では道路幅を算出することが困難であった。その結果、誤った道路幅の情報に基づいて新規道路に関する新規道路情報が生成されてしまう虞があった。
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、例えば、車両の走行軌跡から新規道路に関する情報を生成する場合において、その新規道路の正確な道路幅を算出することが可能な新規道路幅算出システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る新規道路幅算出システム(1)は、道路網を含む地図情報(53)を記憶する地図情報記憶手段(44)と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(41)と、前記現在位置検出手段により検出された車両の現在位置と前記地図情報に基づいて、前記地図情報の道路網に含まれない道路を走行する車両の走行軌跡を特定する走行軌跡特定手段(45)と、前記走行軌跡特定手段により特定された車両の走行軌跡を累積的に記憶する走行軌跡記憶手段(24)と、前記走行軌跡記憶手段に記憶された複数の走行軌跡に基づいて新規道路の道路幅を算出する道路幅算出手段(20)と、を有することを特徴とする。
また、請求項2に係る新規道路幅算出システムは、請求項1に記載の新規道路幅算出システム(1)であって、前記走行軌跡特定手段(45)により特定された車両の走行軌跡が、前記走行軌跡記憶手段(24)に記憶されている過去の走行軌跡と同一の道路を走行する走行軌跡であるか否かを判定する道路判定手段(20)と、前記道路判定手段によって同一の道路を走行する走行軌跡であると判定された場合に同一の道路を走行する複数の走行軌跡間の離間距離を算出する距離算出手段(20)と、を有し、前記道路幅算出手段は前記距離算出手段によって算出された離間距離に基づいて新規道路の道路幅を算出することを特徴とする。
また、請求項3に係る新規道路幅算出システムは、請求項2に記載の新規道路幅算出システム(1)であって、前記道路幅算出手段(20)は前記距離算出手段(20)によって算出された離間距離の平均値に基づいて新規道路の道路幅を算出することを特徴とする。
また、請求項4に係る新規道路幅算出システムは、請求項2又は請求項3に記載の新規道路幅算出システム(1)であって、前記距離算出手段(20)は、同一道路を走行する複数の走行軌跡の内、離間距離が最も大きい2本の走行軌跡を基準軌跡として選択する基準軌跡選択手段(20)を備え、前記基準軌跡選択手段によって選択された基準軌跡間の離間距離を算出することを特徴とする。
また、請求項5に係る新規道路幅算出システムは、請求項2又は請求項3に記載の新規道路幅算出システム(1)であって、前記距離算出手段(20)は、同一道路を走行する複数の走行軌跡の所定距離毎の位置座標を比較する比較手段(20)と、前記比較手段の比較結果に基づいて前記所定距離毎に位置座標間の離間距離が最も大きい2点の位置座標を選択する座標選択手段(20)と、を備え、前記座標選択手段によって選択された2点の位置座標間の離間距離を走行軌跡間の離間距離として算出することを特徴とする。
また、請求項6に係る新規道路幅算出システムは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の新規道路幅算出システム(1)であって、車両情報を記憶する車両情報記憶手段(43)を有し、前記道路幅算出手段(20)は前記走行軌跡記憶手段(24)に記憶された複数の走行軌跡とその走行軌跡を走行した車両の車両情報とに基づいて新規道路の道路幅を算出することを特徴とする。
更に、請求項7に係る新規道路幅算出システムは、請求項6に記載の新規道路幅算出システム(1)であって、前記車両情報は車種又は車幅に関する情報であることを特徴とする。
前記構成を有する請求項1に係る新規道路幅算出システムでは、地図情報の道路網に含まれない道路を走行する車両の走行軌跡を累積的に記憶し、記憶された複数の走行軌跡に基づいて新規道路の道路幅を算出するので、新規道路についての現地調査を行う必要なく、新規道路の道路幅を迅速且つ正確に算出することが可能となる。また、例えば、ナビゲーション装置等が備える地図データを更新する際には、算出された新規道路の道路幅に関する情報を用いることにより、最新の道路網を反映した正確な地図データへの更新が可能となる。
また、請求項2に係る新規道路幅算出システムでは、同一の道路を走行する複数の走行軌跡間の離間距離を算出し、算出された離間距離に基づいて新規道路の道路幅を算出するので、渋滞の有無や道路幅の大小に関わらず実際に新規道路を走行する車両の走行軌跡に基づいた正確な道路幅を算出することが可能となる。
また、請求項3に係る新規道路幅算出システムでは、複数の走行軌跡間の離間距離の平均値に基づいて新規道路の道路幅を算出するので、車両の走行軌跡が蛇行していた場合でも、正確な道路幅を算出することが可能となる。
また、請求項4に係る新規道路幅算出システムでは、同一道路を走行する複数の走行軌跡の内、離間距離が最も大きい2本の走行軌跡を基準軌跡として選択し、選択された基準軌跡間の離間距離を算出することによって道路の道路幅を算出するので、道路幅の算出を行う際に対象となる走行軌跡が多数ある場合に、それらの内から道路幅を求める為に最適な走行軌跡を選択して正確な道路幅を算出することが可能となる。
また、請求項5に係る新規道路幅算出システムでは、同一道路を走行する複数の走行軌跡において所定距離毎の位置座標を比較し、比較結果に基づいて所定距離毎に位置座標間の離間距離が最も大きい2点の位置座標を選択し、選択された2点の位置座標間の離間距離を走行軌跡間の離間距離として算出するので、道路幅の算出を行う際に対象となる走行軌跡が多数ある場合に、それら走行軌跡を構成する位置座標から道路幅を求める為に最適な位置座標を選択して正確な道路幅を算出することが可能となる。特に、走行軌跡が交差している場合においても、正確な道路幅を算出することができる。
また、請求項6に係る新規道路幅算出システムでは、複数の走行軌跡とその走行軌跡を走行した車両の車両情報とに基づいて新規道路の道路幅を算出するので、その走行軌跡を走行した車両の種類や車幅を考慮して、より正確な道路幅を算出することが可能となる。
更に、請求項7に係る新規道路幅算出システムでは、複数の走行軌跡とその走行軌跡を走行した車両の車種又は車幅とに基づいて新規道路の道路幅を算出するので、その走行軌跡を走行した車両の種類や車幅を考慮して、より正確な道路幅を算出することが可能となる。
以下、本発明に係る道路幅算出システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る道路幅算出システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る道路幅算出システム1を示した概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る道路幅算出システム1は、地図配信センタ2と、プローブカーである車両3と、車両3に設置されるナビゲーション装置4とから基本的に構成されている。
ここで、地図配信センタ2は、全国各地を走行する各車両3から送信されたプローブデータとしての走行軌跡情報を収集して蓄積するとともに蓄積された走行軌跡情報から新設された新規道路の道路幅等に関する新規道路情報を生成する。そして、生成された新規道路情報を参照して、古いバージョンの地図データを新設された新規道路を含む新たなバージョンの地図データへと更新する為の更新データの生成、及び生成した更新データの配信を行う配信センタである。尚、更新データとしてはナビゲーション装置4に記憶された地図データを全て書き換えて更新する(以下、全更新という)為の全更新データと、地図データの特定エリアのみを書き換えて更新する(以下、差分更新という)差分更新データの2種類がある。そして、以下に説明する本実施形態では、特に更新データとして差分更新データを用いた実施形態のみを説明することとする。
また、車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとして地図配信センタ2とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに通信モジュール5を使ってセンタに送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
ここで、本実施形態に係る道路幅算出システム1おいて車両3が取得し、地図配信センタ2に対して送信するプローブデータとしては、特に、ナビゲーション装置4が備えるナビ地図データ53(図5参照)に含まれない道路を車両3が走行する際の車両3の位置座標(緯度・経度)、方位、車速がある。即ち、車両3はナビゲーション装置4の備えるナビ地図データ53に含まれない道路を走行する走行軌跡に関する走行軌跡情報をプローブデータとして取得及び送信する。尚、地図配信センタ2と通信可能にある車両3は複数台である必要はなく、1台のみであっても良い。その場合には、他車の走行軌跡については考慮せず、自車の走行軌跡のみに基づいたナビ地図データ53の更新が行われることとなる。
また、ナビゲーション装置4は車両3に設置され、格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。ここで、地図配信センタ2とナビゲーション装置4は予め車両に搭載された携帯電話機等の車両用の通信モジュール5(以下、単に通信モジュール5という)を用いて双方向に通信可能に構成されており、両者間でプローブデータとしての走行軌跡情報や差分更新データ等の各種情報を送受信する。
また、本実施形態に係るナビゲーション装置4は、地図配信センタ2から差分更新データが送信された場合には、送信された差分更新データに基づいて格納する地図データの更新を行う。
尚、以下に説明する本実施形態に係る道路幅算出システム1では、ナビゲーション装置4は地図配信センタ2から直接に差分更新データを取得して、地図の更新を行うこととしているが、ユーザが所有するユーザPC(Personal Computer)やディーラ等の販売店を介して地図更新を行うこととしても良い。
例えば、ユーザPCを介して地図更新を行う場合には、地図配信センタ2とインターネット回線等の通信網を介して通信可能に構成されたユーザPCにおいて、地図配信センタ2から差分更新データをダウンロードする。そして、ダウンロードした差分更新データを一旦HDD(Hard Disk Drive)へ格納し、更に格納したデータをCD−RやDVD−R等のメディアへと記録してナビゲーション装置4に読み取らせることにより、ナビゲーション装置4に対して差分更新データを受け渡すことが可能となるように構成するのが望ましい。
一方、販売店を介して地図更新を行う場合には、衛星通信等のネットワークを介して販売店に設置された販売店PCに全更新データをダウンロードする。また、販売店は販売店PCに接続された記憶媒体である販売店HDDを取り外し可能に構成する。そして、取り外した販売店HDDを新たにナビゲーション装置4とIEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)規格等で接続することにより、ナビゲーション装置4に対して全更新データを受け渡すことが可能となるように構成するのが望ましい。
続いて、道路幅算出システム1を構成する地図配信センタ2について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る道路幅算出システム1の構成を示したブロック図である。
地図配信センタ2は、図2に示すようにサーバ(道路幅算出手段、道路判定手段、距離算出手段、基準軌跡選択手段、比較手段、座標選択手段)20と、サーバ20に接続された情報記録部としての走行軌跡情報DB24と、新規道路情報DB25と、センタ側地図情報DB26と、バージョン管理DB27と、報知用ディスプレイ28と、センタ側通信装置29とを備える。
サーバ20は、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、車両3から収集したプローブデータとしての走行軌跡情報から不適当な情報を除外する不適情報除外処理、除外されなかった走行軌跡情報に対して同一道路を走行する走行軌跡情報をグループ化する情報グループ化処理、グループ化された走行軌跡情報に基づいてグループ毎に一の新規道路に関する道路幅を算出する道路幅算出処理、算出された道路幅を含む新規道路情報を生成する新規道路情報生成処理、生成された新規道路情報に対してその新規道路の車両の走行数に基づいて優先順位を設定する優先順位設定処理、設定された優先順位に従って新規道路情報を報知用ディスプレイ28に表示する新規道路情報報知処理、古いバージョンの地図データ及び新しいバージョンの地図データとに基づいて古いバージョンの地図データの道路網に含まれていなかった新規道路情報を含む差分更新データを生成する更新データ生成処理、生成した差分更新データを要求のあったナビゲーション装置4に対して配信する地図データ配信処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM23等の内部記憶装置を備えている。尚、CPU21に代えてMPU等を使用することもできる。
また、走行軌跡情報DB24には、全国を走行する各車両3から収集した車両の走行軌跡に関する走行軌跡情報を累積的に記憶する記憶手段である。本実施形態に係る走行軌跡情報DB24に記憶される走行軌跡情報は、ナビゲーション装置4のナビ地図データの道路網に含まれない道路を車両3が走行する際の走行軌跡に関する走行軌跡情報である。
以下に、図3を用いて走行軌跡情報DB24に記憶される走行軌跡情報についてより詳細に説明する。図3は走行軌跡情報DB24の記憶領域の一例を示した図である。
図3に示すように走行軌跡情報は、走行軌跡を走行した車両の車種(普通車、中型車、大型車、特大車、軽自動車等)と、ナビ地図データに含まれる既存の道路リンクからナビ地図データの道路網に含まれない道路へ車両が走行を開始した走行軌跡開始地点(図8の点S)の道路リンク(以下、開始リンクという)のリンク番号である開始リンク番号Lと、ナビ地図データの道路網に含まれない道路からナビ地図データに含まれる既存の道路リンクへと車両が戻った走行軌跡終了地点(図8の点E)の道路リンク(以下、終了リンクという)のリンク番号である終了リンク番号Lと、地図データに含まれない道路を車両3が走行している間において所定時間間隔(例えば、1sec毎)で取得される時刻tと位置座標P(x、y)と進行方向Nと車速Sとから構成される。
そして、走行軌跡情報DB24には上記の走行履歴情報が、各車両3から収集した数だけ累積的に記憶されている。尚、走行軌跡情報としては走行した車両の車種の代わりに車幅を記憶することとしても良い。
一方、新規道路情報DB25には、走行軌跡情報DB24に記憶された複数の走行軌跡情報を後述のように同一道路を走行する走行軌跡情報毎にグループ化することによって生成された新規道路に関する新規道路情報を記憶する記憶手段である。本実施形態に係る新規道路情報DB25に記憶される新規道路情報は、車両3から収集した走行軌跡情報に対して後述する不適情報除外処理(図9のS12)及び情報グループ化処理(図9のS13)を行うことによって同一の新規道路を走行する走行軌跡に関する走行軌跡情報として分類された走行軌跡情報に基づいて生成された新規道路に関する情報である。また、同じく後述する優先順位設定処理(図9のS17)によって設定され、報知用ディスプレイ28での報知やナビゲーション装置4への配信を行う際の優先順位に関する情報についても記憶される。
以下に、図4を用いて新規道路情報DB25に記憶される新規道路情報についてより詳細に説明する。図4は新規道路情報DB25の記憶領域の一例を示した図である。
具体的には、図4に示すように、各グループに属する走行軌跡の開始地点がある既存の道路リンクの開始リンク番号LASと、走行軌跡の終了地点がある既存の道路リンクの終了リンク番号LAEと、グループに属する走行軌跡について開始地点からの所定距離(例えば、10m)毎の平均の位置座標P(X、Y)と、道路幅Wから構成される。そして、図4に示す新規道路情報で特定される新規道路は、道路幅Wで、リンク番号LASの既存の道路リンクから開始し、位置座標P(X、Y)を通ってリンク番号LAEの道路リンクに至る道路となる。
また、センタ側地図情報DB26には、外部からの入力データや入力操作に基づいて生成され、ナビゲーション装置4に記憶されたナビ地図データを更新する際の基本となる地図データである基本地図データ30がバージョン毎に区分されて記憶されている。ここで、バージョンとは地図データが作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図データが作成された時期を特定することが可能となっている。また、センタ側地図情報DB26には、基本地図データ30に基づいてサーバ20により作成され、ナビゲーション装置4に格納された地図データの一部を新たなバージョンの地図データへと差分更新する為の差分更新データ31についてもそれぞれバージョン毎に区分されて記憶されている。
そして、バージョン管理DB27には、各ナビゲーション装置4に格納されているナビ地図データのバージョンに関する情報が記録されている。ここで、ナビ地図データや基本地図データ30は道路網を始めとして経路案内及び地図表示に必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
また、報知用ディスプレイ28は、生成された新規道路情報を地図配信センタ2側に報知する為の報知手段である。具体的に新規道路の報知は、新規道路とその周辺の地図を表示し、更に新規道路を他の道路より強調表示した地図を表示することによって行われる(図12参照)。そして、地図配信センタ2では表示された地図を参照して、新規道路を実際に現地で調査し、新規道路を含めた新たなバージョンの基本地図データ30を生成する。尚、報知用ディスプレイ28による新規道路情報の報知は優先順位設定処理(図9のS17)によって設定された優先順位に従って報知が行われる。
更に、センタ側通信装置29はナビゲーション装置4とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。ここで、ネットワーク8としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
次に、本実施形態に係る道路幅算出システム1を構成するナビゲーション装置4の概略構成について図5を用いて説明する。図5は本実施形態に係るナビゲーション装置4の構成を示したブロック図である。
図5に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置4は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部(現在位置検出手段)41と、走行軌跡情報DB42と、車両情報DB(車両情報記憶手段)43と、地図情報DB(地図情報記憶手段)44と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(走行軌跡特定手段)45と、操作者からの操作を受け付ける操作部46と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ47と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ48と、CDやDVD等の記録メディアを読み取り可能な読取装置であるDVDドライブ49と、VICSセンタ等の交通情報センタや地図配信センタ2との間で通信を行う通信モジュール5と、から構成されている。また、ナビゲーションECU45には自車の走行速度を検出する車速センサ50、ACC(アクセサリーキー)のON/OFF(即ち、エンジンの起動/停止)を検出するACCスイッチ51、シフトレバーの位置を検出するシフトレバーセンサ52が接続される。
以下に、ナビゲーション装置4を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部41は、GPS61、地磁気センサ62、距離センサ63、ステアリングセンサ64、方位検出部としてのジャイロセンサ65、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
また、走行軌跡情報DB42には、地図情報DB44に格納されたナビ地図データ53の道路網に含まれない道路を車両3が走行する際の走行軌跡に関する走行軌跡情報を、一時的に記憶する記憶手段である。具体的には、既に図3に示したように、車両3の車種と、ナビ地図データに含まれる既存の道路リンクからナビ地図データの道路網に含まれない道路へ車両が走行を開始した走行軌跡開始地点の道路リンクのリンク番号である開始リンク番号Lと、ナビ地図データの道路網に含まれない道路からナビ地図データに含まれる既存の道路リンクへと車両が戻った走行軌跡終了地点の道路リンクのリンク番号である終了リンク番号Lと、地図データに含まれない道路を車両3が走行している間において所定時間間隔(例えば、1sec毎)で取得される時刻tと位置座標P(x、y)と進行方向Nと車速Sとが、GPS61やジャイロセンサ65によって検出されて走行軌跡情報DB42に順次記憶される。そして、走行軌跡情報DB42に記憶された走行履歴情報は、所定のタイミングで車両情報DB43に記憶された車種に関する情報とともにプローブデータとして地図配信センタ2に送信される。また、送信された走行軌跡情報については、その都度、走行軌跡情報DB42から削除される。
また、車両情報DB43は、ナビゲーション装置4が設置された車両3に関する情報が記憶される記憶手段である。車両3に関する情報としては、例えば、車種(普通車、中型車、大型車、特大車、軽自動車等)や車幅に関する情報がある。そして、この車種や車幅に関する情報は後述するように新規道路の道路幅を算出する際に用いられる(図15参照)。
また、地図情報DB44には、ナビゲーション装置4の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図データ53が記憶される。尚、本実施形態においては、走行軌跡情報DB42、車両情報DB43、地図情報DB44の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
ここで、ナビ地図データ53は前記した基本地図データ30と同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、ナビ地図データ53は、全国の全エリアの地図データを一括で更新する全更新、又は特定のエリアのみの地図データを更新する差分更新のいずれかによって更新される。尚、全更新及び差分更新の具体的な更新処理の方法については、既に公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。
また、ナビゲーション装置4を構成するナビゲーションECU45は、ナビゲーション装置4の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU71、並びにCPU71が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM72、制御用のプログラムのほか、車両3がナビゲーション装置4のナビ地図データ53の道路網に含まれない道路を走行する際の走行軌跡情報を取得してプローブデータとして地図配信センタ2に対して送信するプローブデータ収集処理プログラム(図7)、ナビ地図データ53に基づいて経路の探索や案内を行う経路案内処理プログラム、差分更新データに基づいてナビ地図データ53の差分更新を行う地図データ更新処理プログラム(図17)等が記録されたROM73、ROM73から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ74等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM72、ROM73、フラッシュメモリ74等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU71に代えてMPU等を使用することも可能である。
次に、上記のように構成された道路幅算出システム1によるシステム全体の基本的な流れについて図6を用いて説明する。図6は本実施形態に係る道路幅算出システム1の基本的な流れを示した説明図である。
先ず、図6に示すようにナビゲーション装置4は、地図情報DB44に格納されたナビ地図データ53と、GPS61等の各種センサの検出結果に基づいてマップマッチングを行い、マッチングポイントが抽出できなかった際(即ちナビゲーション装置4が備えるナビ地図データ53に含まれない道路を車両3が走行する際)の車両3の位置座標(緯度・経度)等を検出する。その後、検出された位置座標等を走行軌跡情報として地図配信センタ2に送信する。
一方、各車両3のナビゲーション装置4から走行軌跡情報を受信した地図配信センタ2は、受信したデータを収集して、データの分析を行う。データの分析では、先ず、装置のエラー等によって検出された異常値の除去が行われる。次に、車両3が新規道路を走行していないと予測される走行軌跡情報が除外されて対象データの絞り込みが行われる。続いて、同一の道路を走行する走行軌跡情報をそれぞれグループ化して、各グループに対してそのグループが属する一の新規道路の道路幅を算出して、算出された道路幅を含む新規道路情報を生成する。更に、生成された新規道路情報の新規道路を車両が走行した走行数について算出する。そして、算出された走行数に基づいて新規道路情報に優先順位を設定する。
その後、優先順位が設定された新規道路情報に基づいて地図配信センタ2は地図データの生成を行う。地図データの生成では、先ず、設定された優先順位に従って道路幅に関する情報を含む新規道路情報を報知用ディスプレイ28に表示し、地図配信センタ2側に対して道路幅に関する情報を含む新規道路情報の報知を行う。そして、地図配信センタ2は表示された新規道路情報を参照し、実際に現地へ赴き新規道路に関する情報の収集を行う。そして、報知用ディスプレイ28に報知された新規道路情報や現地で収集した情報に基づいて、新規道路を含む新しいバージョンの差分更新データの作成を行う。その後、バージョン更新の要求のあったナビゲーション装置に対して、新規道路情報に設定された優先順位に従って差分更新データを配信する。
それに対して、差分更新データを受信したナビゲーション装置4は、地図情報DB44に格納されたナビ地図データ53を、新規道路を含む新しいバージョンの地図データに更新する。そして、ナビゲーション装置4は更新されたナビ地図データ53に基づいて、再びマップマッチングを行い、以後同様に、新たな新規道路情報の生成、差分更新データの配信が繰り返し行われる。
次に、本実施形態に係る道路幅算出システム1において車両3のナビゲーションECU45及び地図配信センタ2のサーバ20が実行するプローブデータ収集処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る道路幅算出システム1におけるプローブデータ収集処理プログラムのフローチャートである。ここで、プローブデータ収集処理プログラムは車両3がナビゲーション装置4のナビ地図データ53の道路網に含まれない道路を走行する際の走行軌跡情報を取得してプローブデータとして地図配信センタ2に対して送信するとともに、地図配信センタ2が各車両3から送信された走行軌跡情報を収集するプログラムである。尚、以下の図7にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置4が備えているRAM72やROM73、又はサーバ20が備えているRAM22やROM23に記憶されており、CPU71或いはCPU21により所定間隔(例えば200ms毎)で実行される。
先ず、図7に基づいてナビゲーション装置4のCPU71が実行するプローブデータ収集処理プログラムについて説明すると、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU71は、GPS61によって自車の現在位置を検出する。次に、S2でCPU71は、前記S1で検出した自車の現在位置と地図情報DB44に格納されたナビ地図データ53を用いてマップマッチング処理を行い、地図データ上における自車位置を特定する。
続いて、S3でCPU71は、前記S2のマップマッチングにおいてマッチングポイントが抽出できなかったか否か、即ち、ナビゲーション装置4が備えるナビ地図データ53の道路網に含まれない道路を走行しているか否かを判定する。その結果、ナビ地図データ53の道路網に含まれる道路を走行していると判定された場合(S3:NO)には、S8へと移行する。
一方、ナビ地図データ53の道路網に含まれない道路を走行していると判定された場合(S3:YES)には、車両が既存の道路リンクに乗っていた最後の地点の位置座標を、ナビ地図データ53に含まれる既存の道路リンクからナビ地図データ53の道路網に含まれない道路へ車両が走行を開始した走行軌跡開始地点Sとして特定する。更に、特定された走行軌跡開始地点Sとナビ地図データ53とに基づいて、走行軌跡開始地点Sのある道路リンクを開始リンクとして特定し、開始リンク番号Lを取得する(S4)。
その後、S5においてCPU71は、GPS61及び各種センサにより所定時間間隔(例えば、1sec毎)で走行軌跡情報としての各種パラメータを取得し、走行軌跡情報DB42に記憶する。ここで、図8は車両がナビ地図データ53の道路網に含まれない道路101を走行した際の走行軌跡情報の取得例を示した図である。
図8では、車両が既存の道路リンク102から道路101へと進入し、その後、既存の道路リンク103へと復帰した走行例を示す。図8に示す走行を行った場合には、所定時間(例えば1sec)間隔での通過ポイントP11〜P15において、時刻tと位置座標P(x、y)と進行方向Nと車速SとをGPS61、ジャイロセンサ65、車速センサ50により取得する。更に、自車のエンジンが停止されたことをACCスイッチ51により検出した場合、又はシフトレバーが「R」に設定され、後退したことをシフトレバーセンサ52により検出した場合には、その旨とその時点での位置座標も走行軌跡情報として記憶される。
更に、S6でCPU71は、ナビゲーション装置4が備えるナビ地図データ53の道路網に含まれる既存の道路へと車両が復帰したか否かを判定する。その結果、ナビ地図データ53の道路網に含まれる道路へと復帰したと判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。それに対して、ナビ地図データ53の道路網に含まれる道路へと復帰していないと判定された場合(S6:NO)にはS5へと戻り、継続して走行軌跡情報の取得が行われる。
S7でCPU71は、GPS61により検出した現在の位置座標を、ナビ地図データ53の道路網に含まれない道路からナビ地図データ53に含まれる既存の道路リンクへと戻った走行軌跡終了地点Eとして特定する。更に、GPS61により検出した現在の位置座標とナビ地図データ53とに基づいて走行軌跡終了地点Eの道路リンクを終了リンクとして特定し、終了リンク番号Lを取得する。以上S4〜S7の処理によって、ナビ地図データ53の道路網に含まれない道路を走行する車両の走行軌跡を特定することができる。尚、上記S4〜S7が走行軌跡特定手段の処理に相当する。
その後、S8でCPU71は、前記S4で取得した走行軌跡情報(図3参照)をプローブデータとして地図配信センタ2に送信するタイミングであるか否かを判定する。そして、送信のタイミングであると判定された場合(S8:YES)には、走行軌跡情報DB42に記憶された走行軌跡情報を送信する(S9)。その際、自車の車種に関する情報についても車両情報DB43から取得して走行軌跡情報として送信する。
それに対して、送信のタイミングでないと判定された場合(S8:NO)には、走行軌跡情報の送信を行わずにプローブデータ収集処理プログラムを終了する。
続いて、図7に基づいて地図配信センタ2のCPU21が実行するプローブデータ収集処理プログラムについて説明する。先ず、CPU21はS101でナビゲーション装置4から送信された走行軌跡情報を受信する。その後、S102において前記S101で受信した走行軌跡情報を走行軌跡情報DB24に対して累積的に格納する(図3参照)。そして、格納した走行軌跡情報を用いて後述のように新規道路情報や差分更新データの生成が行われる。
次に、本実施形態に係る道路幅算出システム1において地図配信センタ2のサーバ20が実行する新規道路情報生成及び報知処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は本実施形態に係る道路幅算出システム1における新規道路情報生成及び報知処理プログラムのフローチャートである。ここで、新規道路情報生成及び報知処理プログラムは、前記プローブデータ収集処理プログラム(図7)で地図配信センタ2が収集した走行軌跡情報に基づいて、新設された新規道路の道路幅等に関する新規道路情報を生成し、生成した新規道路情報を地図配信センタ2側に対して報知するプログラムである。尚、以下の図9にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ20が備えているRAM22やROM23に記憶されており、CPU21により所定間隔(例えば200ms毎)で実行される。
CPU21は、先ずS11で各車両3から新たに収集し、走行軌跡情報DB24に記憶された走行軌跡情報から、装置のエラー等によって検出された異常値の除去が行われる。具体的には、連続して取得されているはずの車両3の位置座標が、途中の一点の座標のみ他と全く異なる位置座標となっている場合には、その位置座標に関するデータが除去される。
続いて、S12でCPU21は、新たに収集した走行軌跡情報の内から車両3が新規道路を走行していないと予測される走行軌跡情報を除外する不適情報除外処理が行われる。具体的に本実施形態では、以下の(1)〜(5)のいずれかの条件に該当すると判定された走行軌跡情報が除外される。
(1)同一リンクに戻ってくる走行軌跡に関する走行軌跡情報。
(2)エンジンが途中で停止している走行軌跡に関する走行軌跡情報。
(3)途中で車両が後退している走行軌跡に関する走行軌跡情報。
(4)走行軌跡開始地点Sと走行軌跡終了地点Eとの間が所定距離(例えば10m)未満の走行軌跡に関する走行軌跡情報。
(5)地図配信センタ2の有する基本地図データ30に含まれている道路網を走行する走行軌跡に関する走行軌跡情報。
例えば、図10は上記(1)の条件に該当する走行軌跡情報の走行軌跡105を示した図である。図10に示す走行軌跡105は、既存の道路リンク106からポイントP11〜P14を通過して、再び同一の道路リンク106へと戻っている。このような走行軌跡は、駐車場やショッピングセンタ等の大型施設内を走行した走行軌跡である可能性が高く、新規道路を走行した可能性は極めて低い。従って、新規道路を走行した走行軌跡情報ではないと判定して除外する。
また、図11は上記(4)の条件に該当する走行軌跡情報の走行軌跡107を示した図である。図11に示す走行軌跡107は、既存の道路リンク108の走行軌跡開始地点Sから道路リンク109の走行軌跡終了地点Eへと進入し、且つ、走行軌跡開始地点Sから走行軌跡終了地点Eまでの距離nが10m未満となっている。このような走行軌跡は、ショートカットの為に駐車場を通過した走行軌跡である可能性が高く、新規道路を走行した可能性は極めて低い。従って、新規道路を走行した走行軌跡情報ではないと判定して除外する。
同様に、上記(2)、(3)の条件に該当する走行軌跡情報の走行軌跡も、駐車場やショッピングセンタ等の大型施設内を走行した走行軌跡である可能性が高く、新規道路を走行した可能性は極めて低い。従って、新規道路を走行した走行軌跡情報ではないと判定して除外する。
また、上記(5)の条件に該当する走行軌跡情報の走行軌跡は、地図配信センタ2では既に既存の道路として把握している道路を走行する走行軌跡である。従って、このような走行軌跡はナビゲーション装置4が新しいバージョンの地図情報へと更新されていないことにより誤って収集された既存の道路を走行する走行軌跡である。従って、新規道路を走行した走行軌跡情報ではないと判定して除外する。また、上記S12の不適情報除外処理では上記(1)〜(5)のいずれか一の条件に該当すると判定された走行軌跡情報が除外されるが、上記(1)〜(5)の内の複数条件に該当すると判定された走行軌跡情報を除外するようにしても良い。
続いて、S13でCPU21は、新たに収集した走行軌跡情報に対して、同一の道路を走行する走行軌跡情報を同じグループへと分類することによって、走行軌跡情報をグループ化する情報グループ化処理が行われる。具体的に本実施形態では、走行軌跡開始地点Sと走行軌跡終了地点Eとが共に所定距離(例えば、10m)以内にある走行軌跡に関する走行軌跡情報を、同一の道路を走行する走行軌跡情報として同一グループへと分類する。
次に、S14でCPU21は、前記S13でグループ化された各グループに対して、そのグループに属する走行規制情報によって特定される一の新規道路の道路幅を算出する後述の道路幅算出処理(図12)を行う。
次に、S15でCPU21は、各グループの走行軌跡情報によって特定される新規道路に対して、前記S14で算出された道路幅を含む新規道路情報を生成する新規道路情報生成処理が行われる。具体的には、図4に示すようにグループ化された走行軌跡情報について、各グループ毎に開始リンク番号LASと、終了リンク番号LAEと、グループに属する走行軌跡について開始地点からの所定距離(例えば、10m)毎の平均の位置座標P(X、Y)とが算出され、その組合せによって新規道路情報を生成する。尚、複数のグループが存在する場合には、グループの数だけ新規道路情報が生成される。但し、前回の新規道路情報生成処理が行われてから新たに収集した走行軌跡情報が分類されなかったグループに関しては、再度新規道路情報を生成することは行わない。
更に、S16においてCPU21は、前記S15で生成された新規道路情報の新規道路を車両が走行した走行数を算出する。具体的には、生成された新規走路情報の基となった同一のグループに属する走行軌跡情報の数が、その新規道路を車両が走行した走行数となる。
また、S17でCPU21は、前記S16で算出された走行数に基づいて新規道路情報に対して優先順位を設定する。具体的には、走行数が多い新規道路に関する新規道路情報から順に上位の優先順位が設定される。
そして、S18では前記S17で設定された優先順位に従って、報知用ディスプレイ28を用いて地図配信センタ2側に新規道路情報が報知される。ここで、図12は新規道路情報を報知する報知用ディスプレイ28の表示画面120を示した図である。
図12に示すように表示画面120は、新規道路121を含む周辺の地図画像と、新規道路リスト122から構成される。ここで、新規道路リスト122は新規道路の位置を示す住所と算出された道路幅がリスト状に示され、設定された優先順位が上位にある新規道路ほど上に配置される。そして、ユーザが新規道路リスト122から新規道路を選択すると、選択された新規道路とその周辺の地図が報知用ディスプレイ28に表示される。例えば、図12では、新規道路リスト122において、最も優先順位の高い「愛知県○×市△○町」にある新規道路が選択されており、該当する新規道路121が地図上に表示される。従って、表示画面120を参照することにより、新規道路の位置と道路幅を容易に把握することが可能となる。
続いて、前記S14で地図配信センタ2のサーバ20が実行する道路幅算出処理プログラムについて図13に基づき説明する。図13は本実施形態に係る道路幅算出処理プログラムのフローチャートである。
先ず、S21において、CPU71は地図配信センタ2で新たに収集された走行軌跡情報が前記S13で分類されたグループ(具体的には、同一道路を走行すると判定された走行軌跡が分類されたグループ)において、既に基準軌跡が存在するか否か判定される。ここで、基準軌跡とは後述のS24で設定される走行軌跡であり、新規道路を走行する複数の走行軌跡の内で、道路幅を算出する際の算出基準となる2本の走行軌跡である。
その結果、既に基準軌跡が存在すると判定された場合(S21:YES)にはS26へ移行する。一方、基準軌跡が存在しないと判定された場合(S21:NO)には更に、新たに収集された走行軌跡情報が分類されたグループに他の走行軌跡の走行軌跡情報があるか否か判定される(S22)。そして、他の走行軌跡が存在しないと判定された場合(S22:NO)には、道路幅の算出を行うことができないので当該道路幅算出処理を終了する。
一方、他の走行軌跡が存在すると判定された場合(S22:YES)には、同一グループにある2本の走行軌跡間の離間距離の平均値が算出される(S23)。
ここで、特にS23の平均値の算出方法について図14の具体例を示して説明する。図14には2本の走行軌跡に関する走行軌跡情報を示しており、一方の走行軌跡情報は、既存の道路リンク111にある走行軌跡開始地点Sから既存の道路リンク112にある走行軌跡終了地点Eまでを走行する走行軌跡113に関する走行軌跡情報である。
また、他方の走行軌跡情報は、同じく既存の道路リンク111にある走行軌跡開始地点Sから既存の道路リンク112にある走行軌跡終了地点Eまでを走行する走行軌跡114に関する走行軌跡情報である。尚、走行軌跡113及び走行軌跡114は、車両の所定時間間隔の通過ポイントの座標から走行軌跡を直線近似した線により示す。
そして、本実施形態では走行軌跡開始地点S、Sから所定距離毎の位置座標間の離間距離の平均値を、走行軌跡間の離間距離の平均値とする。具体的には、図14に示すように走行軌跡113の走行軌跡開始地点Sから半径r(例えば10m)の円C11を描き、円C11と走行軌跡113との交点T11の座標を算出する。また、走行軌跡114の走行軌跡開始地点Sから半径rの円C21を描き、円C21と走行軌跡114との交点T21の座標を算出する。
次に、走行軌跡113の交点T11から半径rの円C12を描き、円C12と走行軌跡113との交点T12の座標を算出する。また、走行軌跡114の交点T21から半径rの円C22を描き、円C22と走行軌跡114との交点T22の座標を算出する。以下同様にして、交点T13〜T16、交点T23〜T26を順次算出する。そして、交点T11とT21の間の距離W、交点T12とT22の間の距離W、交点T13とT23の間の距離W、交点T14とT24の間の距離W、交点T15とT25の間の距離W、交点T16とT26の間の距離Wをそれぞれ算出する。更に、W〜Wの平均値Wを走行軌跡113、114間の離間距離の平均値として算出する。尚、上記S22が道路判定手段の処理に相当し、S23が距離算出手段の処理に相当する。
その後、S24では前記S23で離間距離の平均値が算出された2本の走行軌跡を、そのグループに分類されている走行軌跡の基準軌跡として設定し、新規道路情報DB25に保存する。従って、前記S23や後述するS26では基準軌跡間の離間距離を算出したこととなる。尚、上記S24が基準軌跡選択手段の処理に相当する。
続いて、S25でCPU21は道路幅Wの算出を行う。本実施形態に係る道路幅算出システム1では前記S23や後述するS26で算出した基準軌跡間の離間距離の平均値Wに対して、更に走行した車種に関する情報を用いることによって、道路幅Wを算出する。
ここで、特にS25の道路幅Wの算出方法について図15の具体例を示して説明する。図15に示すように基準軌跡は走行する車両の略中心位置をトレースした線である。更に、車両は道路の端を走行するのではなく、道路の端から一定の距離を空けて走行するのが一般である。従って、正確な道路幅Wを算出する為には、基準軌跡間の離間距離の平均値Wに対して、一方の走行軌跡を走行する車両の車幅Laの1/2と、他方の走行軌跡を走行する車両の車幅Lbの1/2と、路肩の幅を規定する所定距離αの2倍を加算した値を道路幅Wとして算出する。尚、車幅La及び車幅Lbは、車両から送信された走行軌跡情報として記録された車種(普通車、中型車、大型車、特大車、軽自動車等)に基づいて決定される。尚、車幅に関する情報が走行軌跡情報として送信されている場合には、送信された車幅の値を直接に用いることができる。
また、S25の処理では、車種や車幅を考慮せずに、前記S23や後述するS26で算出した基準軌跡間の離間距離の平均値Wを道路幅Wとして算出しても良い。
一方、S26では、CPU21は分類されたグループに既に存在する基準軌跡と新たに収集された走行軌跡との離間距離の平均値をそれぞれ算出する。
ここで、特にS26の離間距離の平均値算出方法について図16の具体例を示して説明する。尚、図16では2本の基準軌跡113、114に対して走行軌跡115が追加された場合を示す。先ず、図14にも示したように半径r(例えば10m)の円を描くことによって、走行軌跡開始地点E〜Eから所定距離r毎の地点である地点T11〜T16、地点T21〜T26、地点T31〜T36をそれぞれ算出する。
そして、地点T11〜T16と地点T31〜T36との各距離W11〜W16を算出し、W11〜W16の平均値W1Aを基準軌跡113と走行軌跡115間の離間距離の平均値として算出する。また、地点T21〜T26と地点T31〜T36との各距離W21〜W26を算出し、W21〜W26の平均値W2Aを基準軌跡114と走行軌跡115間の離間距離の平均値として算出する。尚、図13では1本の走行軌跡のみが新たに収集された場合を示したが、複数本の走行軌跡が新たに収集された場合には、それぞれの走行軌跡について基準軌跡間との離間距離の平均値を算出する。
続いて、S27でCPU21は前記S26で算出された平均値を比較し、算出された離間距離の平均値が、前記S23で算出されている基準軌跡間の離間距離の平均値より大きいか否かが判定される。その結果、基準軌跡間の離間距離の平均値より大きいと判定された場合(S27:YES)には、大きいと判定された平均値を構成する走行軌跡と基準軌跡の2本の軌跡を新たな基準軌跡へと設定し直して、新規道路情報DB25に保存する(S24)。従って、前記S27では同一道路を走行する複数の走行軌跡の内、離間距離が最も大きい2本の走行軌跡を基準軌跡として選択することとなり、前記S26では選択された基準軌跡間の離間距離を算出したこととなる。尚、S24が基準軌跡選択手段の処理に相当する。
その後、設定された基準軌跡を用いて前述した図15に示す道路幅Wの算出を行う(S25)。
一方、基準軌跡間の離間距離の平均値の方が大きいと判定された場合(S27:NO)には、そのグループで既に算出されている新規道路の道路幅に変更は無いので、道路幅を算出せずに終了する。
続いて、本実施形態に係る道路幅算出システム1において車両3のナビゲーションECU45及び地図配信センタ2のサーバ20が実行する地図データ更新処理プログラムについて図17に基づき説明する。図17は本実施形態に係る地図データ更新処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図データ更新処理プログラムは、地図配信センタ2から新たに配信された差分更新データに基づいて、ナビゲーション装置4の有するナビ地図データ53の特定エリアを新たなバージョンの地図データに更新するプログラムである。尚、以下の図17にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置4が備えているRAM72やROM73、又はサーバ20が備えているRAM22やROM23に記憶されており、CPU71或いはCPU21により所定間隔(例えば200ms毎)で実行される。
先ず、図17に基づいてナビゲーション装置4のCPU71が実行する地図データ更新処理プログラムについて説明する。先ず、S31において、CPU71は地図更新の開始条件を満たしたか否か、具体的にはアクセサリがONされたこと、操作部46を用いて自宅の登録(変更を含む)が行われたこと、又は操作部46を用いて経路探索の目的地が設定されたことのいずれかを満たしたか否かを判定する。そして、上記いずれの条件も満たしていないと判定された場合(S31:NO)には処理プログラムを終了する一方、上記いずれかの条件を満たしたと判定された場合(S31:YES)にはS32へと移行する。
S32で、CPU71は地図配信センタ2へと地図更新実行の為のナビゲーション情報を送信する。ここで、ナビゲーション情報として送信される情報としては、ナビゲーション装置4を特定する識別ID、登録された自宅の座標、及び目的地が設定されている場合には目的地の座標がある。
次に、S33でCPU71は地図配信センタ2から送信された差分更新データ31を通信モジュール5を介して受信する。尚、受信した差分更新データ31には差分更新データ31のバージョンを特定する為のバージョン情報が含まれている。更に、S34では前記S33で受信した差分更新データ31を用いて地図情報DB44に格納されたナビ地図データ53の差分更新処理を行う。その結果、新設された新規道路を含む新たな地図データへと更新される。
次に、地図配信センタ2のCPU21が実行する地図データ更新処理プログラムについて説明する。先ず、S131において、CPU21は、ナビゲーション装置4から地図更新実行の為のナビゲーション情報を受信する。ここで、ナビゲーション装置4からのナビゲーション情報は、ナビゲーション装置4の電源が投入された場合や自宅の登録があった場合、目的地の設定が行われた場合に送信される。
次に、S132においてCPU21は、現在、ナビゲーション装置4の地図情報DB44に記憶されているナビ地図データ53のバージョンを取得する。具体的には、バージョン管理DB27を参照し、前記S131でナビゲーション情報として受信した識別IDから更新対象となるナビゲーション装置4を特定し、特定したナビゲーション装置4のナビ地図データ53のバージョンをエリア毎にバージョン管理DB27から抽出する。
その後、S133でCPU21はナビゲーション情報を送信してきたナビゲーション装置4の更新対象エリアにおいて、現在ナビゲーション装置4が有する地図データのバージョンと地図配信センタ2が有する地図データの最新バージョンとを比較し、更新するエリアがあるか否かを判定する(S134)。尚、更新対象エリアはナビゲーション装置4が地図データの差分更新処理を開始した条件と登録された自宅位置、設定された目的地位置によって異なる。
そして、更新するエリアがあると判定された場合(S134:YES)には、そのエリアを更新する為に必要となる全ての差分更新データ31をセンタ側地図情報DB26から抽出する(S135)。そして、抽出された差分更新データ31をナビゲーション装置4へと配信する(S136)。ここで、特に本実施形態に係る道路幅算出システム1では、差分更新データを配信する際に、新たに追加された新規道路情報の優先順位の高いデータを優先して、ナビゲーション装置4へと配信する。
一方、更新するエリアがないと判定された場合(S134:NO)には、差分更新データ31をナビゲーション装置4へと送信することなく処理を終了する。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る道路幅算出システム1では、プローブカーである車両3がナビゲーション装置4の備えるナビ地図データ53に含まれない道路を走行する際の走行軌跡情報をプローブデータとして地図配信センタ2に送信し(S7)、一方、各車両3のナビゲーション装置4から走行軌跡情報を受信した地図配信センタ2は、受信したデータを収集して、収集した走行軌跡情報の走行軌跡に基づいて新規道路の道路幅の算出を行う(S14)ので、新規道路についての現地調査を行う必要なく、新規道路の道路幅を迅速且つ正確に算出することが可能となる。また、ナビゲーション装置4が備えるナビ地図データ53を更新する際には、算出された新規道路の道路幅に関する情報を用いることにより、最新の道路網を反映した正確な地図データへの更新が可能となる。
また、同一の道路を走行する複数の走行軌跡間の離間距離の平均値を算出し(S23)、算出された離間距離に基づいて新規道路の道路幅を算出する(S25)ので、渋滞の有無や道路幅の大小に関わらず実際に新規道路を走行する車両の走行軌跡に基づいた正確な道路幅を算出することが可能となる。また、車両の走行軌跡が蛇行していた場合でも、正確な道路幅を算出することが可能となる。
また、同一道路を走行する複数の走行軌跡の内、離間距離が最も大きい2本の走行軌跡を基準軌跡として選択し(S24)、選択された基準軌跡間の離間距離を算出する(S23、S26)ことによって道路の道路幅を算出する(S25)ので、道路幅の算出を行う際に対象となる走行軌跡が多数ある場合に、それらの内から道路幅を求める為に最適な走行軌跡を選択して正確な道路幅を算出することが可能となる。
更に、走行軌跡を走行した車両の車両情報(車種や車幅)を用いて新規道路の道路幅を算出する(S25)ので、その走行軌跡を走行した車両の種類や車幅を考慮して、より正確な道路幅を算出することが可能となる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では新規道路の道路幅を算出する際に、走行軌跡の離間距離の平均値を求めることにより算出(図13参照)していたが、走行軌跡の最も外側に位置する地点を記憶してゆき、記憶された地点を結ぶことによって道路形状を特定して道路幅を算出するようにしても良い。
ここで、図18は上記他の実施形態の道路幅の算出方法を示した図である。図18では既存の道路リンク211、212をそれぞれ開始リンク及び終了リンクとした2本の基準軌跡213、214に対して走行軌跡215が追加された場合を示す。他の実施形態では、先ず、図14にも示したように半径r(例えば10m)の円を描くことによって、走行軌跡開始地点S〜Sから所定距離r毎の地点である地点T11〜T16、地点T21〜T26、地点T31〜T36をそれぞれ算出する。
次に、地点T11〜T16と地点T31〜T36との各距離W11〜W16を算出する。また、地点T21〜T26と地点T31〜T36との各距離W21〜W26を算出する。更に、地点T11〜T16と地点T21〜T26との各距離W31〜W36を算出する。そして、同一道路を走行する複数の走行軌跡の所定距離毎の位置座標を比較する為に、先ずW11とW21とW31を比較し、位置座標間の離間距離が最も大きい2点の位置座標を選択する。以下、同様にしてW12とW22とW32、W13とW23とW33、・・・を比較し、所定距離毎に最も大きい2点の位置座標を選択する。そして、それぞれ選択された2点の位置座標を結ぶ線を新たな基準軌跡とし、その基準軌跡の形状によって道路形状を特定することが可能となる。尚、それぞれ選択された2点の位置座標間の離間距離の平均値を求めることによって、本実施形態と同様に道路幅を算出することが可能となる。
そして、上記他の実施形態に係る道路幅の算出方法によれば、図18に示すように走行軌跡が途中で交差している場合においても、正確な道路幅を算出することができる。即ち、他の実施形態では走行軌跡が途中で交差していた場合であっても、常に最も外側に位置する走行軌跡に基づいた基準軌跡の設定が可能である。
また、本実施形態では、車両3の走行軌跡情報の記録(S5)、開始リンクや終了リンクの特定(S4、S7)についてはナビゲーション装置4が行い、各車両3からの走行軌跡情報の収集(S102)、不適データの除外(S11、S12)、情報のグループ化(S13)、道路幅の算出(S14)、優先順位の設定(S16)については地図配信センタ2が行っている。しかしながら、上記の処理は、ナビゲーション装置4及び地図配信センタ2の何れが行っても良い。
例えば、別の実施形態として、車両3の走行軌跡情報の記録(S5)、開始リンクや終了リンクの特定(S4、S7)、不適データの除外(S11、S12)についてはナビゲーション装置4が行い、各車両3から不適データの削除された走行軌跡情報の収集(S102)、情報のグループ化(S13)、道路幅の算出(S14)、優先順位の設定(S16)については地図配信センタ2が行うようにしても良い。
また、別の実施形態として、車両3の走行軌跡情報の記録(S5)、開始リンクや終了リンクの特定(S4、S7)、不適データの除外(S11、S12)、情報のグループ化(S13)、道路幅の算出(S14)、優先順位の設定(S16)について全てナビゲーション装置4が行うようにしても良い。その場合には、他車の走行軌跡を考慮して新規道路情報の生成を行うことはできないが、新規道路情報の生成に関して地図配信センタ2を介する必要が無い。従って、実際に地図配信センタ2側で新規道路の調査を行う必要なく、ナビ地図データ53の更新が可能となる。それにより、通信費用を削減することができ、また、より迅速な地図データの更新が可能となる。
更に、別の実施形態として、車両3の走行軌跡情報の記録(S5)のみをナビゲーション装置4が行い、各車両3からの走行軌跡情報の収集(S102)、開始リンクや終了リンクの特定(S4、S7)、不適データの除外(S11、S12)、情報のグループ化(S13)、道路幅の算出(S14)、優先順位の設定(S16)については地図配信センタ2が行うようにしても良い。
また、地図配信センタ2の有する基本地図データ30や差分更新データ31については、人の手を介することなくサーバ20が生成することとしても良い。即ち、サーバ20がS14で生成された新規道路情報と過去のバージョンの地図情報とに基づいて、新規道路を含む新たなバージョンの地図データを生成するように構成することも可能である。
また、本実施形態では、設定された優先順位に従って新規道路情報の報知や配信を行うこととしているが、ナビ地図データ53の更新についても優先順位に従って行うこととしても良い。例えば、優先順位の高い新規道路情報を含む差分更新データによる更新を優先的に行うことが可能である。
また、本実施形態では、生成された新規道路情報の報知は、地図配信センタ2の備える報知用ディスプレイ28にて行うこととしているが、ナビゲーション装置4のユーザが所有するPCにて報知可能に構成しても良い。即ち、図9の前記S17で優先順位を設定した後に、ユーザのPCに対して新規道路情報を配信することにより、ユーザが新規道路情報についてPCを介して確認可能に構成することができる。尚、ユーザのPCに対する配信は、優先順位の高い新規道路情報ほど優先的に配信することが望ましい。
本実施形態に係る道路幅算出システムを示した概略構成図である。 本実施形態に係る道路幅算出システムの構成を示したブロック図である。 走行軌跡情報DBの記憶領域の一例を示した図である。 新規道路情報DBの記憶領域の一例を示した図である。 本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。 本実施形態に係る道路幅算出システムの基本的な流れを示した説明図である。 本実施形態に係る道路幅算出システムにおけるプローブデータ収集処理プログラムのフローチャートである。 車両がナビ地図データの道路網に含まれない道路を走行した際の走行軌跡情報の取得例を示した図である。 本実施形態に係る道路幅算出システムにおける新規道路情報生成及び報知処理プログラムのフローチャートである。 ステップ12において除外される走行軌跡情報の例を示した図である。 ステップ12において除外される走行軌跡情報の例を示した図である。 新規道路情報を報知する報知用ディスプレイの表示画面を示した図である。 本実施形態に係る道路幅算出処理プログラムのフローチャートである。 ステップ23における走行軌跡間の離間距離の平均値の算出方法を説明した図である。 ステップ25における新規道路の道路幅の算出方法を説明した図である。 ステップ26における基準軌跡と走行軌跡間の離間距離の平均値の算出方法を説明した図である。 本実施形態に係る道路幅算出システムにおける地図データ更新処理プログラムのフローチャートである。 他の実施形態に係る道路幅の算出方法を説明した図である。
符号の説明
1 道路幅算出システム
2 地図配信センタ
3 車両
4 ナビゲーション装置
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
45 ナビゲーションECU
51 ACCスイッチ
52 シフトレバーセンサ
53 ナビ地図データ
71 CPU
72 RAM
73 ROM

Claims (7)

  1. 道路網を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
    車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
    前記現在位置検出手段により検出された車両の現在位置と前記地図情報に基づいて、前記地図情報の道路網に含まれない道路を走行する車両の走行軌跡を特定する走行軌跡特定手段と、
    前記走行軌跡特定手段により特定された車両の走行軌跡を累積的に記憶する走行軌跡記憶手段と、
    前記走行軌跡記憶手段に記憶された複数の走行軌跡に基づいて新規道路の道路幅を算出する道路幅算出手段と、を有することを特徴とする新規道路幅算出システム。
  2. 前記走行軌跡特定手段により特定された車両の走行軌跡が、前記走行軌跡記憶手段に記憶されている過去の走行軌跡と同一の道路を走行する走行軌跡であるか否かを判定する道路判定手段と、
    前記道路判定手段によって同一の道路を走行する走行軌跡であると判定された場合に同一の道路を走行する複数の走行軌跡間の離間距離を算出する距離算出手段と、を有し、
    前記道路幅算出手段は前記距離算出手段によって算出された離間距離に基づいて新規道路の道路幅を算出することを特徴とする請求項1に記載の新規道路幅算出システム。
  3. 前記道路幅算出手段は前記距離算出手段によって算出された離間距離の平均値に基づいて新規道路の道路幅を算出することを特徴とする請求項2に記載の新規道路幅算出システム。
  4. 前記距離算出手段は、
    同一道路を走行する複数の走行軌跡の内、離間距離が最も大きい2本の走行軌跡を基準軌跡として選択する基準軌跡選択手段を備え、
    前記基準軌跡選択手段によって選択された基準軌跡間の離間距離を算出することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の新規道路幅算出システム。
  5. 前記距離算出手段は、
    同一道路を走行する複数の走行軌跡の所定距離毎の位置座標を比較する比較手段と、
    前記比較手段の比較結果に基づいて前記所定距離毎に位置座標間の離間距離が最も大きい2点の位置座標を選択する座標選択手段と、
    を備え、
    前記座標選択手段によって選択された2点の位置座標間の離間距離を走行軌跡間の離間距離として算出することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の新規道路幅算出システム。
  6. 車両情報を記憶する車両情報記憶手段を有し、
    前記道路幅算出手段は前記走行軌跡記憶手段に記憶された複数の走行軌跡とその走行軌跡を走行した車両の車両情報とに基づいて新規道路の道路幅を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の新規道路幅算出システム。
  7. 前記車両情報は車種又は車幅に関する情報であることを特徴とする請求項6に記載の新規道路幅算出システム。
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