JP2008163847A - 固定スクロールの位置決め装置 - Google Patents

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Takashi Hirouchi
隆 廣内
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Abstract

【課題】固定スクロールの背面全面を均一な力で押し付けるようにして固定スクロールの位置決め精度の向上を図る。
【解決手段】
スクロール流体機械(10)の組立過程における固定スクロール(34)と可動スクロール(31)との各ラップ(35,32)の位置関係に基づいて固定スクロール(34)を位置決めする。押付機構(56)は、固定スクロール(34)に当接する複数の押さえロッド(28)と、固定スクロール(34)に対する各押さえロッド(28)の押付力を調整するための調整機構(5a)とを備えている。調整機構(5a)は、各押さえロッド(28)を支持するベース部材(59)と、各押さえロッド(28)をベース部材(59)から固定スクロール(34)の方向に向かって付勢するバネ(28c)とを備えている。
【選択図】図9

Description

本発明は、スクロール流体機械を組み立てる際に固定スクロールの位置決めを行う装置に関するものである。
従来より、スクロール流体機械において、可動スクロールをスムーズに動かすには、公転している可動スクロールのラップが固定スクロールのラップに強く当たることのない位置に、固定スクロールを正確に配置する必要がある。このため、スクロール流体機械を組み立てる際には、固定スクロールの位置決めを正確に行うことが必要となる。このような固定スクロールの位置決めを行うための装置や方法は、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載された位置決め装置では、図14に示すように、可動スクロール(a)と、これに係合するクランク軸(b)と、クランク軸(b)の軸受けを構成するハウジング部材(c)とが組み合わされて一体となった組立体(d)が用意される。次に、この組立体(d)の可動スクロール(a)に固定スクロール(e)を噛み合わせ、この状態でクランク軸(b)をモータ(f)で回転させる。続いて、クランク軸(b)を回転させるのに必要なトルクの変動を検出し、それに基づいて可動スクロール(a)と固定スクロール(e)の接触度合いや接触方向(接触位置)を割り出す。そして、この可動スクロール(a)と固定スクロール(e)の接触度合いや接触方向に応じて固定スクロール(e)を移動させるべき距離や方向を算出する。さらに、算出結果に基づいて、固定スクロール(e)を押付機構(g)によってハウジング部材(c)に押し付けながら、固定スクロール(e)に互いに直交するX軸方向及びY軸方向への衝撃力(瞬間的な打撃力)を与えて、該固定スクロール(e)を移動させるようにしている。
特開2006−207528号公報
上記特許文献1の位置決め装置では、押付機構(g)によって固定スクロール(e)をハウジング部材(c)に押し付けているが、この押付機構(g)は、固定スクロール(e)の背面全面にベースプレート(h)がシュー(i)を介して押し付けるように構成されている。
したがって、上記組立体(d)が傾いて固定スクロール(e)の背面とベースプレート(h)との平行度が保たれていない場合、固定スクロール(e)を正確に位置決めできないという問題があった。つまり、上記押付機構(g)によって固定スクロール(e)をハウジング部材(c)に押し付けた状態において、固定スクロール(e)の側面から衝撃力を与えて該固定スクロール(e)を移動させて位置決めするようにしている。その際、上記ベースプレート(h)が固定スクロール(e)の背面全面に均一な力で押し付けていないと、押し付け力の大きい部分と小さい部分とで上記衝撃力による固定スクロール(e)の移動量が異なることになる。この結果、固定スクロール(e)の位置決め精度が低くなるという問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、固定スクロールの背面全面を均一な力で押し付けるようにして固定スクロールの位置決め精度の向上を図ることを目的とする。
本発明は、押付部材の押付力の調整機構を設けるようにしたものである。
第1の発明は、スクロール流体機械(10)の組立過程における可動スクロール(31)とクランク軸(20)と該クランク軸(20)を支持するハウジング部材(36)とが一体となった組立体(11)を固定する固定用部材(63)と、上記スクロール流体機械(10)の固定スクロール(34)を上記ハウジング部材(36)に押し付ける押付機構(56)と、上記ハウジング部材(36)に押し付けられた固定スクロール(34)に衝撃力を与えて該固定スクロール(34)を移動させる移動機構(75)とを備え、上記スクロール流体機械(10)の組立過程における固定スクロール(34)を移動して該固定スクロール(34)を位置決めするための位置決め装置を対象としている。そして、上記押付機構(56)は、上記固定スクロール(34)に当接する複数の押付部材(28)と、該押付部材(28)の押付力を発生させるための押付力発生源(57)と、上記固定スクロール(34)に対する各押付部材(28)の押付力を調整するための調整機構(5a)とを備えている。
上記第1の発明では、固定スクロール(34)の位置決めする際、押圧機構(56)が固定スクロール(34)をハウジング部材(36)に押し付ける。この際、組立体(11)が傾く場合があっても、各押付部材(28)の押付力が調整機構(5a)によって調節され、固定スクロール(34)がハウジング部材(36)に対して全面にほぼ均一な押付力でもって押し付けられることになる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記調整機構(5a)が、各押付部材(28)を固定スクロール(34)の方向に移動自在に支持する支持部材(59)と、各押付部材(28)を支持部材(59)から固定スクロール(34)の方向に向かって付勢する弾性部材(28c)とを備えている。
第2の発明では、各押付部材(28)は押付力発生源(57)の押圧力と弾性部材(28c)の押圧力とを合わせた押付力でもって固定スクロール(34)をハウジング(36)に押し付ける。そして、弾性部材(28c)の変形量でもって各押付部材(28)の押付力が調整されるので、固定スクロール(34)がハウジング(36)に対して均一な力で押し付けられることになる。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記調整機構(5a)が、各押付部材(28)を固定スクロール(34)の方向に移動自在に支持する支持部材(59)と、該支持部材(59)の内部に充填され、各押付部材(28)を支持部材(59)から固定スクロール(34)の方向に向かって付勢するために各押付部材(28)の端面に所定の押圧力を作用させる非圧縮性流体(59b)とを備えている。
第3の発明では、各押付部材(28)は押付力発生源(57)の押圧力と非圧縮性流体(59b)の押圧力とを合わせた押付力でもって固定スクロール(34)をハウジング(36)に押し付ける。そして、各押付部材(28)において押付力が常に等しくなるので、固定スクロール(34)がハウジング(36)に対して均一な力で押し付けられることになる。
第4の発明は、上記第1の発明において、上記押付部材(28)が、固定スクロール(34)をハウジング部材(36)に3点で押し付けるように等間隔に配置された3つの部材で構成されている。
第4の発明では、3つの押付部材(28)が固定スクロール(34)をハウジング部材(36)に3点で押し付けることとなる。
第5の発明は、上記第1の発明において、上記押付力発生源(57)がエアシリンダである構成としている。
第5の発明では、エアシリンダ(57)が押付部材(28)を固定スクロール(34)に押圧することとなる。
上記本発明によれば、押付部材(28)の押付力を調整する調整機構(5a)を設けるようにしたために、固定スクロール(34)をハウジング(36)に対して全面にほぼ均一な押付力でもって押し付けることができる。
つまり、上記固定スクロール(34)をハウジング(36)に押し付けた状態において、固定スクロール(34)に衝撃力を与えた際、押付力の大きい部分と小さい部分とがないことから、上記衝撃力による固定スクロールの移動量を均一にすることができる。この結果、固定スクロールの位置決め精度を向上させることができる。
また、上記第2の発明によれば、調整機構(5a)に弾性部材(28c)を用いるようにしているので、簡易な構成でもって固定スクロール(34)の押付力の均一化を図ることができる。
また、上記第3の発明によれば、調整機構(5a)に非圧縮性流体(59b)を用いるようにしているので、押付力発生源(57)の押圧力と非圧縮性流体(59b)の押圧力とを合わせた押付力は、各押付部材(28)において等しくなることから、固定スクロール(34)がハウジング(36)に対して全面に均一な押付力でもって押し付けることができる。
また、上記第4の発明によれば、3つの押付部材(28)でもって3点で固定スクロール(34)を押し付けるようにしているので、少ない部品点数でもって固定スクロール(34)の押付力の均一化を図ることができる。
また、上記第5の発明によれば、発生源(57)にエアシリンダ(57)を用いているので、過度な押付力が生ずることがなく、固定スクロール(34)をハウジング(36)に適正な押付力で押し付けることができる。
〈実施形態1〉
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、まず本実施形態に係る位置決め装置(40)を利用して組み立てられるスクロール圧縮機(10)の構造について説明し、次に本実施形態に係る位置決め装置(40)について説明する。
−スクロール圧縮機の構造−
図1に示すように、上記スクロール圧縮機(10)は、いわゆる全密閉形に構成されている。このスクロール圧縮機(10)は、縦長の密閉容器状に形成されたケーシング(15)を備えている。このケーシング(15)は、縦長の円筒状に形成された1つの胴部材(16)と、それぞれ椀状に形成されて胴部材(16)の上端と下端に1つずつ取り付けられた鏡板部材(17,18)とによって構成されている。
上記ケーシング(15)の内部には、下から上へ向かって順に、下部軸受部材(23)と、圧縮機モータ(25)と、圧縮機構(30)とが配置されている。また、上記ケーシング(15)の内部には、上下に延びるクランク軸(20)が設けられている。
上記ケーシング(15)には、上側の鏡板部材(17)を貫通する吸入管(11)が固定され、この吸入管(11)は圧縮機構(30)の吸入口に連通している。また、上記ケーシング(15)には、胴部材(16)を貫通する吐出管(12)が圧縮機構(30)と圧縮機モータ(25)との間の位置に設けられている。圧縮機構(30)には上記吸入管(11)を介して低圧ガスが吸入され、圧縮機構(30)で圧縮された高圧ガスはケーシング(15)内における圧縮機構(30)の下方の空間に充満した後、吐出管(12)から吐出される。ケーシング(15)の内部は、圧縮機構(20)の上方の空間(S1)が低圧空間で、下方の空間(S2)が高圧空間になっている。
上記クランク軸(20)は、主軸部(21)と偏心部(22)とを備えている。該主軸部(21)は、その上端部がやや大径に形成されている。上記偏心部(22)は、主軸部(21)の上端部よりも小径の円柱状に形成され、主軸部(21)の上端面に立設されている。この偏心部(22)は、その軸心が主軸部(21)の軸心に対して偏心している。
上記下部軸受部材(23)は、ケーシング(15)の胴部材(16)の下端付近に固定されている。下部軸受部材(23)の中心部には滑り軸受け(23a)が形成され、この滑り軸受けは主軸部(21)の下端部を回転自在に支持している。
上記圧縮機モータ(25)は、いわゆるブラシレスDCモータである。この圧縮機モータ(25)は、ステータ(26)とロータ(27)とを備え、駆動用モータを構成している。ステータ(26)は、ケーシング(15)の胴部材(16)に固定されている。このステータ(26)は、ケーシング(15)の胴部材(16)に取り付けられた給電端子(19)と電気的に接続されている。一方、ロータ(27)は、ステータ(26)の内側に配置され、クランク軸(20)の主軸部(21)に固定されている。
上記圧縮機構(30)は、可動スクロール(31)と、固定スクロール(34)と、ハウジング部材(36)としてのハウジング(36)とを備えている。
上記ハウジング(36)は、その中央部が窪んだ比較的厚肉の円板状に形成され、その外周部が胴部材(16)の上端部と接合されている。また、上記ハウジング(36)の中央部には、クランク軸(20)の主軸部(21)が挿通している。このハウジング(36)は、クランク軸(20)の主軸部(21)を回転自在に支持する軸受け(36a)を構成している。
上記可動スクロール(31)は、可動側鏡板(31a)と、その前面側(図1における上面側)に立設された渦巻き壁状の可動側ラップ(32)と、その背面側(図1における下面側)に突出した円筒状の突出部(33)とを備えている。この可動スクロール(31)は、図1には示していないが図13のオルダムリング(39)を介してハウジング(36)の上面に載置されている。また、可動スクロール(31)の突出部(33)には、クランク軸(20)の偏心部(22)が挿入されている。つまり、可動スクロール(31)は、クランク軸(20)に係合している。
上記固定スクロール(34)は、比較的厚肉の円板状に形成され、固定側鏡板(34a)を有している。この固定スクロール(34)の中央部には、渦巻き壁状の固定側ラップ(35)が設けられている。固定側ラップ(35)は、固定スクロール(34)を下面側から彫り込むことによって形成されている。
図2に示すように、上記圧縮機構(30)では、固定スクロール(34)の固定側ラップ(35)と、可動スクロール(31)の可動側ラップ(32)とが噛み合わされている。固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)とが互いに噛み合うことによって、固定側ラップ(35)の外周面と可動側ラップ(32)の内周面との間、及び固定側ラップ(35)の内周面と可動側ラップ(32)の内周面との間に、複数の圧縮室(37)が形成されている。
−固定スクロールの位置決め装置−
本実施形態の位置決め装置(40)は、上記スクロール圧縮機(10)を組み立てる過程において、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)との位置関係に基づいて固定スクロール(34)を位置決めするためのものである。具体的にいうと、この位置決め装置(40)は、スクロール圧縮機(10)の組立過程で形成される後述の組立体(11)に固定スクロール(34)を取り付ける際に、固定スクロール(34)の位置を調節して固定スクロール(34)と可動スクロール(31)の位置関係を適正化するためのものである。
上記組立体(11)は、胴部材(16)とハウジング(36)と圧縮機モータ(25)と下部軸受部材(23)とクランク軸(20)と可動スクロール(31)とを一体に組み立てたものである。この組立体(11)では、ハウジング(36)と圧縮機モータ(25)と下部軸受部材(23)とが胴部材(16)に固定され、可動スクロール(31)がクランク軸(20)と係合した状態でハウジング(36)上に載置されている。この組立体(11)において、圧縮機モータ(25)のステータ(26)は、給電端子(19)と電気的に接続されている。
上記位置決め装置(40)の構成について、図3を参照しながら説明する。この位置決め装置(40)は、第1フレーム体(45)と第2フレーム体(60)を備えている。
上記第1フレーム体(45)は、それぞれ1枚ずつの台座板(46)および上部板(47)と、4本の支柱部材(48)とを備えている。台座板(46)は、四角形状に形成されて概ね水平に設けられている。支柱部材(48)は、台座板(46)の角部に1本ずつ立設されている。支柱部材(48)は台座板(46)を貫通し、支柱部材(48)の下端は台座板(46)から下方へ突出している。上部板(47)は、立設された4本の支柱部材(48)の上端に固定されている。
上記台座板(46)の上面では、その中央部に円筒状のガイド部材(50)が突設されている。このガイド部材(50)は、組立体(11)を台座板(46)へ載せる際に胴部材(16)を所定の位置へ案内するためのものであって、その内径が胴部材(16)の外径より若干大きくなっている。台座板(46)の中央には、貫通孔(52)が形成されている。この貫通孔(52)は、ガイド部材(50)と同心円状に形成された円形の孔であって、台座板(46)を貫通している。
上記台座板(46)の下面には、ブラケット(54)を介してロータリーエンコーダ(53)が取り付けられている。ロータリーエンコーダ(53)は、貫通孔(52)の下方に配置され、その回転軸(53a)が貫通孔(52)へ向かって上方へ延びている。ロータリーエンコーダ(53)の回転軸(53a)には、カップリング(55)が取り付けられている。このカップリング(55)は、クランク軸(20)の下端部に設けられているオイルピックアップ(20a)が貫通孔(52)から下方へ突出した部分と、ロータリーエンコーダ(53)の回転軸(53a)とを連結している。なお、オイルピックアップ(20a)は、図1では省略しているが、図3には示しているようにクランク軸(20)と一体に設けられている。このオイルピックアップは、図示しないオイルポンプを装着することにより、クランク軸(20)の中心部を上下方向へのびる給油路(図示せず)を通じて潤滑油を軸受けや圧縮機構(30)の摺動部に供給する。
上記上部板(47)には、固定スクロール(34)を下方へ押し付けるための押圧機構(56)が取り付けられている。この押圧機構(56)は、本発明の特徴とするものであって、上部板(47)の概ね中央に配置されている。
上記押圧機構(56)は、図9に示すように、エアシリンダ(57)とガイド(41)と3つの押さえロッド(28)と押付力の調整機構(5a)とを備えている。上記エアシリンダ(57)は、押さえロッド(28)の押付力を発生するための押付力発生源を構成し、ロッド(57a)が下方に向かって突出している。該ロッド(57a)の下端には平板状の押え部材(58)が取り付けられている。そして、上記押圧機構(56)は、エアシリンダ(57)によってロッド(57a)を送り出し、押え部材(58)とガイド(41)とを下方へ移動させて、固定スクロール(34)に押圧力を付与するように構成されている。
上記ガイド(41)は、図4に示すように、押え部材(58)とベース部材(59)との間に設けられ、互いに直交するX軸レール(49a)及びY軸レール(49b)と、X軸レール(49a)及びY軸レール(49b)に係合する直線運動軸受け(51)とを備えている。
上記X軸レール(49a)は、同じ長さの2本のレール部材から構成されている。これら2本のX軸レール(49a)は、ベース部材(59)の上面に所定の間隔で平行に並べられて固定されている。上記Y軸レール(49b)は、同じ長さの2本のレール部材から構成されている。これら2本のY軸レール(49b)は、押え部材(58)の下面に所定の間隔で平行に並べられて固定されている。
上記直線運動軸受け(51)は、X軸レール(49a)とY軸レール(49b)とが交差する箇所に1つずつ設けられている。つまり、ガイド(41)には、合計4つの直線運動軸受け(51)が設けられている。各々の直線運動軸受け(51)は、略直方体であって、下面にX軸方向の溝が形成され、上面にY軸方向の溝が形成されている。各直線運動軸受け(51)には、下面の溝にX軸レール(49a)が嵌め込まれ、上面の溝にY軸レール(49b)が嵌め込まれ、Z軸方向(ベース部材(59)の面直角方向)へ抜け止めが施されている。直線運動軸受け(51)のX軸方向及びY軸方向の溝には、図示していないが多数のボール部材が埋設されている。各直線運動軸受け(51)は、多数のボール部材を介してX軸レール(49a)及びY軸レール(49b)に接し、レールに沿って真っ直ぐ移動する転がり案内構造になっている。これによって、ガイド(41)は、固定スクロール(34)に押圧力を付与している状態において、互いに直交するX軸方向及びY軸方向への固定スクロール(34)の平行移動を許容するが、該固定スクロール(34)の回転を規制する。
上記ベース部材(59)は、押さえロッド(28)の支持部材を構成し、扁平な箱形に形成され、内部が所定容積の空間に形成されている。上記ベース部材(59)には、下面より上記押さえロッド(28)の上端部が挿入され、上記ベース部材(59)の下面には、上記押さえロッド(28)を固定スクロール(34)の方向である上下方向に移動自在に支持するスライドブッシュが設けられている。
上記3つの押さえロッド(28)は、図11に示すように、固定スクロール(34)を3点で押さえつけるように等間隔に配置されている。上記各押さえロッド(28)の下端には、固定スクロール(34)の回り止めをするためのスパイク(28a)が形成され、上端には、抜け止めのストッパ(28b)が設けられている。そして、上記スパイク(28a)とスライドブッシュとの間には、弾性部材であるバネ(28c)が設けられている。該バネ(28c)は、各押さえロッド(28)を固定スクロール(34)に向かって付勢する圧縮バネで構成され、上記ベース部材(59)とバネ(28c)とによって調整機構(5a)が構成されている。つまり、上記調整機構(5a)は、図8に示すように、組立体(11)が傾いた状態においても各押さえロッド(28)が固定スクロール(34)に対して均一な押付力で押し付けるように押付力を調整している。
尚、上記スパイク(28a)は、押さえロッド(28)が固定スクロール(34)に押圧力を付与している状態で固定スクロール(34)が移動する時に、固定スクロール(34)がガイド(41)に対して滑ることを禁止するためのものである。つまり、上記押さえロッド(28)の下端にスパイク(28a)が形成されているため、押さえロッド(28)と固定スクロール(34)との接触面には、固定スクロール(34)とハウジング(36)との接触面よりも大きな摩擦力が発生する。
一方、上記第2フレーム体(60)は、1つの枠状部材(61)と4本の支柱部材(62)とを備え、台座板(46)の上に固定されている。これら4本の支柱部材(62)は、それぞれが台座板(46)の上に立設され、ガイド部材(50)の周囲に等間隔で配置されている。枠状部材(61)は、4本の支柱部材(62)の上に設置されている。
上記枠状部材(61)には、組立体(11)を固定するためのクランプ機構(63)が設けられている。このクランプ機構(63)は、固定用部材を構成している。クランプ機構(63)は、枠状部材(61)の内側へ突出した可動式のクランプヘッド(64)を複数備えている。そして、クランプ機構(63)は、組立体(11)を構成する胴部材(16)の外周面にクランプヘッド(64)を押し当てて、組立体(11)を胴部材(16)の径方向の両側から挟み込むことによって組立体(11)を拘束するように構成されている。クランプ機構(63)は、例えばX軸方向とY軸方向の径線上の合計4箇所に設けるとよい。
上記枠状部材(61)の上には、固定スクロール(34)のX軸方向の位置とY軸方向の位置とを検出する2つの位置検出機構(65)と、X軸上とY軸上に2つずつ、合計4つの打撃ユニット(70)とが設置されている。位置検出機構(65)としては、例えば電気マイクロメータ(66)を用い、測定対象の位置や寸法を測定する。なお、上記位置検出機構(65)には、電気マイクロメータ(66)に代えてレーザー変位計などの他の位置測定器を用いてもよい。
上記各打撃ユニット(70)は、先端側に突起が形成されたヘッド部(74)を備えている(図6参照)。これら4つの打撃ユニット(70)は、固定スクロール(34)に衝撃力を与えて該固定スクロール(34)を移動させる移動機構(75)を構成している。
図5に示すように、4つの打撃ユニット(70)は、上記組立体(11)のハウジング(36)上の固定スクロール(34)を中心として放射状に90°間隔で配置されている。つまり、固定スクロール(34)の第1の径方向(X軸方向)に沿って2つの打撃ユニット(70)が配置され、この径方向と直交する第2の径方向(Y軸方向)に沿って残り2つの打撃ユニット(70)が配置されている。つまり、1つの径方向に沿って配置された2つの打撃ユニット(70)は、固定スクロール(34)を挟んで互いに向かい合っている。すなわち、ガイド(41)が固定スクロール(34)の移動を許容するX軸方向及びY軸方向と、上記打撃ユニット(70)によって固定スクロール(34)に与えられる衝撃力の方向とが一致している。
上記打撃ユニット(70)は、図6に示すように、本体部(71)とエアシリンダ部(100)とを備え、該本体部(71)とエアシリンダ部(100)とは、同軸上に配置されている。
上記本体部(71)は、基部(72)と圧電素子(73)とヘッド部(74)とを備えている。上記基部(72)とヘッド部(74)とは同軸に配置され、基部(72)とヘッド部(74)の間に圧電素子(73)が挟み込まれ、上記ヘッド部(74)の先端側には、突起が形成されている。上記本体部(71)において、圧電素子(73)に電圧を印加すると、圧電素子(73)が本体部(71)の軸方向へ伸長し、それに伴ってヘッド部(74)が押し出される(図6(B)参照)。一方、圧電素子(73)への通電を停止すると、圧電素子(73)の長さが元に戻り、それに伴ってヘッド部(74)が引き戻される(図6(A)参照)。
上記エアシリンダ部(100)は、シリンダ(101)と、ピストン(102)と、ロッド(103)とを備えている。上記ピストン(102)は、シリンダ(101)内に挿入され、シリンダ(101)の軸方向へ移動可能となっている。上記ロッド(103)は、その基端がピストン(102)に接続され、先端がシリンダ(101)の外部へ延びている。上記ロッド(103)の先端は、本体部(71)の基部(72)の端面に接合されている。シリンダ(101)の内部は、ピストン(102)によって第1エア室(104)と第2エア室(105)とに区画されている。該第1エア室(104)には、第1エア配管(106)が接続され、第2エア室(105)には、第2エア配管(107)が接続されている。
上記打撃ユニット(70)において、第1エア室(104)へ空気が供給されると同時に第2エア室(105)から空気が排出されると、本体部(71)が打撃ユニット(70)の先端側(図6における左側)へ送り出される。また、上記第2エア室(105)へ空気が供給されると同時に第1エア室(104)から空気が排出されると、本体部(71)が打撃ユニット(70)の基端側(図6における右側)へ引き戻される。
上記位置決め装置(40)には、図7に示すように、インバータ(81)と、インバータ(81)のドライバ(82)と、制御器(制御手段)(80)とが設けられている。このうち、インバータ(81)とドライバ(82)は、給電手段(83)を構成している。
上記インバータ(81)は、その入力側が商用電源(85)に接続され、その出力側が上記組立体(11)の給電端子(19)に接続される。一方、ドライバ(82)には、ロータリーエンコーダ(53)の出力信号が入力される。
上記位置決め装置(40)には、図7には示していないが、クランク軸(20)の位相を測定するためのレーザ変位計が設けられている。この位相測定用のレーザー変位計は、クランク軸(20)及び可動スクロール(31)の位相を測定するものであって、ロータリーエンコーダ(53)とともに位相検知機構を構成している。
上記ドライバ(82)は、ロータリーエンコーダ(53)の出力信号に基づいてクランク軸(20)の回転角度や角速度を算出し、それに応じてインバータ(81)の出力電流値や出力周波数に関する指令値を定める。そして、上記ドライバ(82)は、インバータ(81)の出力が指令値に対応したものとなるように、インバータ(81)に対してスイッチングのタイミング等の指令を出力する。上記インバータ(81)は、ドライバ(82)からの指令に応じて動作し、交流電流を上記組立体(11)の圧縮機モータ(25)へ供給する。上記制御器(80)には、インバータ(81)の出力電流に関する指令値や、クランク軸(20)の回転角度に関する情報がドライバ(82)から入力される。
上記制御器(80)は、クランク軸(20)が回転している間の所定の回転位置(位相)をロータリーエンコーダ(53)で検出しながら、可動スクロール(31)の位相ないし回転角度に基づいて固定スクロール(34)の移動方向を決定するとともに、打撃ユニット(70)により固定側ラップ(35)の外周面が所定の位置において可動側ラップ(32)の内周面から離れる方向へ所定距離(数ミクロンから10ミクロン程度)だけ移動させた後、可動スクロール(31)を約180°反転させる制御を行う。このとき、可動側ラップ(32)の外周面が固定側ラップ(35)の内周面に接触すると可動側ラップ(32)反発力で固定スクロール(34)が移動する。固定スクロール(34)の移動を電気マイクロメータ(66)で検出すると、その位置を固定スクロール(34)の可動範囲の限界点として認識する。一方、固定スクロール(34)の打撃後に可動スクロール(31)を反転させても固定スクロール(34)が移動しなければ、両ラップ(31,35)がまだ接触しておらず、可動範囲の限界点に達していないと考えられるので、固定スクロール(34)の打撃と可動スクロール(31)の反転を両ラップ(31,35)が接触するまで繰り返す。
この操作をX軸のプラス方向(第1方向)とマイナス方向(第2方向)について行うと、固定スクロール(34)のX軸の可動範囲の両端を検出できるので、固定スクロール(34)をX軸の可動範囲の中心に移動させる。次に、同様の操作をY軸のプラス方向とマイナス方向について行った後、可動スクロール(31)をY軸の可動範囲の中心に移動させる。この時点で固定スクロール(34)はほぼ中心に位置決めされているが、1回目のX軸方向の芯出しはY軸中心が出ていない状態で行っているため、本実施形態ではより確実に芯出しをするために、再度X軸のプラス方向とマイナス方向について同様の操作を行い、その可動範囲の中心に固定スクロール(34)をセットする制御を行う。
上記打撃ユニット(70)の具体的な制御は以下の通りである。位相検知機構(90)の信号から固定スクロール(34)の移動方向が定められると、制御器(80)は、その移動方向に対応する打撃ユニット(70)を制御する。具体的に、まず制御器(80)は、本体部(71)を移動させる。上記打撃ユニット(70)を移動させると、制御器(80)は、打撃ユニット(70)の圧電素子(73)へパルス電圧を印加する。打撃ユニット(70)の圧電素子(73)へパルス電圧を印加すると、パルス波形に応じて圧電素子(73)が伸縮する。この時、圧電素子(73)の伸長に伴って押し出されたヘッド部(74)の慣性力が固定スクロール(34)に作用し、該固定スクロール(34)が僅かに(数ミクロンから10ミクロン程度)移動する。
上記固定スクロール(34)が移動すると、ヘッド部(74)は固定スクロール(34)から離れるので、再びヘッド部(74)の突起が固定スクロール(34)に接触するように打撃ユニット(70)を移動させる。そして、再び打撃ユニット(70)の圧電素子(73)へパルス電圧を印加すると、圧電素子(73)の伸縮によって固定スクロール(34)が僅かに移動する。この繰り返しによって、ハウジング(36)へ押し付けられた状態の固定スクロール(34)は徐々に移動する。上記固定スクロール(34)の移動が終了すると、制御器(80)は、打撃ユニット(70)を元の位置に引き戻す。
この制御器(80)の動作について、図5を参照しながら説明する。なお、この段落における「右」「左」「上」「下」は、何れも図5におけるものを意味している。例えば、固定スクロール(34)をX軸の左側(または右側)へ移動させる場合には、制御器(80)が右側(または左側)の打撃ユニット(70)を制御する。具体的には、制御器(80)が、エアシリンダ部(100)の第1エア室(104)及び第2エア室(105)内の空気量を調節して本体部(71)を移動させながら該本体部(71)の圧電素子(73)へパルス電圧を供給し、固定スクロール(34)へ左向き(または右向き)の衝撃力を作用させる。また、固定スクロール(34)をY軸の下側(または上側)へ移動させる場合には、制御器(80)が上側(または下側)の打撃ユニット(70)を制御する。
−固定スクロール(34)の位置決め動作−
次に、上記位置決め装置(40)を用いて行われる固定スクロール(34)の位置決め動作について説明する。
上記組立体(11)は、ハウジング(36)が上側に位置する姿勢で台座板(46)の上に載せられ、組立体(11)の回りには、押圧機構(56)、クランプ機構(63)、打撃ユニット(70)、ロータリーエンコーダ(53)及びカップリング(55)、位置検出機構(65)、位相検知機構(図示省略)及びナットランナー(図示省略)等が待機している。
上記組立体(11)を台座板(46)に載せた状態では、胴部材(16)の下端部がガイド部材(50)の内側に嵌り込み、クランク軸(20)の下端面が貫通孔(52)の上方に位置するとともに、オイルピックアップ(20a)が貫通孔(52)から下方へ突出する。
また、上記組立体(11)の胴部材(16)の外周面にクランプ機構(63)のクランプヘッド(64)を押し当てて組立体(11)を周囲から固定し、給電端子(19)に給電コネクタ(42)を接続する。また、ロータリーエンコーダ(53)の回転軸(53a)をクランク軸(20)のオイルピックアップ(20a)にカップリング(55)で連結するとともに、押圧機構(56)のエアシリンダ(57)を動作させて固定スクロール(34)を組立体(11)のハウジング(36)に押し付ける。
その後、上記固定スクロール(34)をハウジング(36)に固定しているボルトをナットランナー(図示省略)によって緩める。
この状態から、先ず、図7のドライバ(82)により圧縮機モータ(25)にインバータ(81)から通電してクランク軸(20)を例えば1秒間に4回転程度の低速一定の回転速度で回転させ、図示しないが、レーザー変位計で固定スクロール(34)の切り欠きを通して可動スクロール(31)の外周凸部(図示省略)を検出する。そして、ドライバ(82)は、この外周凸部の位置とロータリーエンコーダ(53)の回転位置信号とに基づいて、クランク軸(20)の位相、つまり可動スクロール(31)の位相を検知する。
上記可動スクロール(31)の位相検知が終了すると、打撃ユニット(70)を前進させる。また、位置検出機構(65)である電気マイクロメータ(66)を、X軸上に配置されたものとY軸上に配置されたものの両方とも前進させて、固定スクロール(34)の位置を検出できる状態にする。
次に、圧縮機モータ(25)によりクランク軸(20)及び可動スクロール(31)を回転させたまま、打撃ユニット(70)で固定スクロール(34)を移動させて位置決めする。その際、一旦X軸方向について固定スクロール(34)の可動範囲の両端を検出してその中心位置に固定スクロール(34)を位置決めする第1芯出し作業と、Y軸方向について固定スクロール(34)の可動範囲の両端を検出してその中心位置に固定スクロール(34)を位置決めする第2芯出し作業と、再度X軸方向について固定スクロール(34)の可動範囲の両端を検出してその中心位置に固定スクロール(34)を位置決めする第3芯出し作業とを順に行う。
上記各芯出し作業では、固定スクロール(34)の位相ないし回転角度が検出されているので、その位相に基づいて、まず、所定の位置(隙間の狭い位置または接触している位置)について固定側ラップ(35)の外周面が可動側ラップ(32)の内周面から離れる方向へ移動するように該固定スクロール(34)をX軸のマイナス方向(またはプラス方向)へ移動させる。これは、図5に示すように可動スクロール(31)がX軸のプラス方向端(図の右側端)にある状態で図の右側の打撃ユニット(70)を動作させると、押圧機構(56)で固定スクロール(34)の回転を規制しているにもかかわらず、摩擦力を打撃力が上回って固定スクロール(34)が回転してしまうおそれがあるため、位置決め制御が不正確になるおそれがあるためである。
そこで、本実施形態では、可動スクロール(31)がX軸のマイナス方向端(図の左側端)にある状態で図の右側の打撃ユニット(70)を動作させる。そして、可動スクロール(31)を反転させたときに固定スクロール(34)が変位するかどうかを判別し、固定スクロール(34)の変位が検知されなければ両ラップ(32,35)が接触していないので固定スクロール(34)の打撃と可動スクロール(31)の反転を繰り返す。一方、固定スクロール(34)の移動を検知すると両ラップ(32,35)が接触して固定スクロール(34)が押し戻されたと判断し、その位置を可動範囲の一端と判断する。同様の操作をX軸のプラス方向(またはマイナス方向)について行って、両ラップ(32,35)の可動範囲の他端を検知する。このようにして、X軸やY軸についてマイナス方向とプラス方向の2箇所(複数箇所)で両ラップ(32,35)の接触位置を検出し、その中心に固定スクロール(34)を位置決めする。
上述した第1から第3の芯出し作業の具体内容は以下の通りである。
まず、上記第1芯出し作業においては、X軸のマイナス方向への固定スクロール(34)の移動と可動スクロール(31)の反転を繰り返して、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)が接触したことを検出した位置をX軸方向の第1接触位置とした後、X軸のプラス方向への固定スクロール(34)の移動と可動スクロール(31)の反転を繰り返して、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)が接触したことを検出した位置をX軸方向の第2接触位置として、第1接触位置と第2接触位置の中央位置を固定スクロール(34)のX軸方向の中心位置とする。
また、上記第2芯出し作業においては、Y軸のマイナス方向への固定スクロール(34)の移動と可動スクロール(31)の反転を繰り返して、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)が接触したことを検出した位置をY軸方向の第1接触位置とした後、Y軸のプラス方向への固定スクロール(34)の移動と可動スクロール(31)の反転を繰り返して、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)が接触したことを検出した位置をY軸方向の第2接触位置として、第1接触位置と第2接触位置の中央位置を固定スクロール(34)のY軸方向の中心位置とする。
さらに、上記第3芯出し作業においては、X軸のマイナス方向への固定スクロール(34)の移動と可動スクロール(31)の反転を繰り返して、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)が接触したことを検出した位置をX軸方向の第1接触位置とした後、X軸のプラス方向への固定スクロール(34)の移動と可動スクロール(31)の反転を繰り返して、固定側ラップ(35)と可動側ラップ(32)が接触したことを検出した位置をX軸方向の第2接触位置として、第1接触位置と第2接触位置の中央位置を固定スクロール(34)のX軸方向の中心位置とする。
以上のように、第1から第3の芯出し作業は、固定スクロール(34)の可動範囲の両端をX軸方向とY軸方向のそれぞれについて検知した後にその可動範囲の中央に該固定スクロール(34)を位置決めするものであり、第1から第3の芯出し作業を経ることにより、固定スクロール(34)の中心が求められて固定スクロール(34)が位置決めされる。
この打撃ユニット(70)により固定スクロール(34)を移動させるとき、固定スクロール(34)の移動方向が押圧機構(56)のガイド(41)によりX軸方向とY軸方向に規制されていて、しかも所定の位置(隙間が狭い位置または接触している位置)についてラップ(32,35)同士が離れる方向への打撃が加えられるので、固定スクロール(34)は回転せずに平行移動をする。
上記固定スクロール(34)の位置決めが完了すると、圧縮機モータ(25)への通電が止められ、クランク軸(20)及び可動スクロール(31)の回転が停止する。そして、打撃ユニット(70)と電気マイクロメータ(66)が後退し、ナットランナーによってボルトが締め付けられ、固定スクロール(34)がハウジング(36)に締結される。このとき、固定スクロール(34)は正確に位置決めされている。
その後、上記ナットランナーが上昇するとともに、エアシリンダ(57)のロッド(57a)が後退することにより押圧機構(56)の押さえ部材(58)が上昇する。また、ロータリーエンコーダ(53)とカップリング(55)が一体的に下降してクランク軸(20)のオイルピックアップ(20a)から外れ、さらにクランプ機構(63)が後退するとともに給電コネクタ(42)が後退して給電端子(19)から外れる。
以上により固定スクロール(34)の位置決めを行う工程全てが完了する。そして、図29に示すように組立体(11)を芯出し組み立て設備である位置決め装置(40)から搬出するワーク搬出工程を行う。
上述したように、固定スクロール(34)の位置決めする際、組立体(11)が台座板(46)の上に設置され、押圧機構(56)は、エアシリンダ(57)の押圧力とバネ(28c)のバネ力とを合わせた押付力でもって固定スクロール(34)をハウジング(36)に押し付ける。
その際、図8及び図10に示すように、押圧機構(56)の押さえ部材(58)と固定スクロール(34)とが平行に維持されず、組立体(11)が傾く場合がある。この場合、エアシリンダ(57)がロッド(57a)を伸張させた際、バネ(28c)の伸張長さが異なり、隙間の大きい部分のバネ(28c)が大きく伸び、隙間の小さい部分のバネ(28c)が小さく伸びる。つまり、3つの押さえロッド(28)は、ベース部材(59)からの突出量が異なることになり、この結果、固定スクロール(34)がハウジング(36)に対して全面にほぼ均一な押付力でもって押し付けられることになる。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態によれば、押さえロッド(28)の押付力を調整する調整機構(5a)を設けるようにしたために、固定スクロール(34)をハウジング(36)に対して全面にほぼ均一な押付力でもって押し付けることができる。
つまり、上記固定スクロール(34)をハウジング(36)に押し付けた状態において、固定スクロール(34)に衝撃力を与えた際、押付力の大きい部分と小さい部分とがないことから、上記衝撃力による固定スクロールの移動量を均一にすることができる。この結果、固定スクロールの位置決め精度を向上させることができる。
また、上記調整機構(5a)にバネ(28c)を用いるようにしているので、簡易な構成でもって固定スクロール(34)の押付力の均一化を図ることができる。
また、上記3つの押さえロッド(28)でもって3点で固定スクロール(34)を押し付けるようにしているので、少ない部品点数でもって固定スクロール(34)の押付力の均一化を図ることができる。
また、上記エアシリンダ(57)を用いているので、過度な押付力が生ずることがなく、固定スクロール(34)をハウジング(36)に適正な押付力で押し付けることができる。
〈実施形態2〉
次に、本発明の実施形態2について図面に基づき詳細に説明する。
本実施形態2は、図12及び図13に示すように、上記実施形態1が調整機構(5a)にバネ(28c)を用いたのに代わり、非圧縮性流体(59b)を用いたものである。
つまり、上記ベース部材(59)には、油などの非圧縮性流体(59b)が充填されている。そして、上記非圧縮性流体(59b)は、所定圧力に維持され、押さえロッド(28)の端面であるストッパ(28b)に対して固定スクロール(34)の方向に向かって付勢するように所定の押圧力を作用させている。
したがって、上記押圧機構(56)は、エアシリンダ(57)の押圧力と非圧縮性流体(59b)の押圧力とを合わせた押付力でもって固定スクロール(34)をハウジング(36)に押し付ける。そして、上記押圧機構(56)の押さえ部材(58)と固定スクロール(34)とが平行に維持されず、組立体(11)が傾いた場合、図13に示すように、エアシリンダ(57)がロッド(57a)を伸張させた際、3つの押さえロッド(28)は、ベース部材(59)からの突出量が異なり、隙間の大きい部分のベース部材(59)からの突出量が大きく、隙間の小さい部分のベース部材(59)からの突出量が小さくなる。この結果、固定スクロール(34)がハウジング(36)に対して全面にほぼ均一な押付力でもって押し付けられることになる。
特に、上記エアシリンダ(57)の押圧力と非圧縮性流体(59b)の押圧力とを合わせた押付力は、3つの押さえロッド(28)において等しくなることから、固定スクロール(34)がハウジング(36)に対して全面に均一な押付力でもって押し付けられることになる。その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同様である。
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態1において、弾性部材としてバネ(28c)を用いるようにしたが、ゴムなどの弾性部材であってもよい。
また、上記各実施形態は、調整機構(5a)を押さえロッド(28)とベース部材(59)との間に設けるようにしたが、調整機構(5a)として、エアシリンダ(57)のロッド(57a)に設けたボールジョイントなどで構成するようにしてもよい。
また、本発明のスクロール流体機械は、圧縮機に限られず、膨張機などであってもよい。
また、上記各実施形態は、3つの押さえロッド(28)を設けるようにしたが、押さえロッド(28)は、2つ又は4つ以上設けてもよい。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、スクロール流体機械を組み立てる際に固定スクロールの位置決めを行う装置について有用である。
本発明の実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 圧縮機構の横断面図である。 本発明の実施形態1に係る位置決め装置の構造図である。 位置決め装置のX−Yガイドを示す斜視図である。 位置決め装置における打撃ユニットの配置図である。 打撃ユニットの構造図である。 位置決め装置の制御を示すブロック図である。 組立体が傾いた状態を示す位置決め装置の概略構造図である。 押付機構の拡大断面図である。 組立体が傾いた状態を示す押付機構の拡大断面図である。 押さえロッドの配置図である。 実施形態2の押付機構の拡大断面図である。 実施形態2の組立体が傾いた状態を示す押付機構の拡大断面図である。 従来技術を示し、組立体が傾いた状態の位置決め装置の概略構造図である。
符号の説明
10 スクロール流体機械(スクロール圧縮機)
11 組立体
20 クランク軸
28 押さえロッド(押付部材)
28c バネ(弾性部材)
31 可動スクロール
32 ラップ(可動側ラップ)
34 固定スクロール
35 ラップ(固定側ラップ)
36 ハウジング(ハウジング部材)
40 位置決め装置
5a 調整機構
56 押圧機構
57 エアシリンダ
59 ベース部材(支持部材)
59a 非圧縮性流体
63 クランプ機構
70 打撃ユニット
75 移動機構

Claims (5)

  1. スクロール流体機械(10)の組立過程における可動スクロール(31)とクランク軸(20)と該クランク軸(20)を支持するハウジング部材(36)とが一体となった組立体(11)を固定する固定用部材(63)と、
    上記スクロール流体機械(10)の固定スクロール(34)を上記ハウジング部材(36)に押し付ける押付機構(56)と、
    上記ハウジング部材(36)に押し付けられた固定スクロール(34)に衝撃力を与えて該固定スクロール(34)を移動させる移動機構(75)とを備え、
    上記スクロール流体機械(10)の組立過程における固定スクロール(34)を移動して該固定スクロール(34)を位置決めするための位置決め装置であって、
    上記押付機構(56)は、上記固定スクロール(34)に当接する複数の押付部材(28)と、該押付部材(28)の押付力を発生させるための押付力発生源(57)と、上記固定スクロール(34)に対する各押付部材(28)の押付力を調整するための調整機構(5a)とを備えている
    ことを特徴とする固定スクロールの位置決め装置。
  2. 請求項1において、
    上記調整機構(5a)は、各押付部材(28)を固定スクロール(34)の方向に移動自在に支持する支持部材(59)と、各押付部材(28)を支持部材(59)から固定スクロール(34)の方向に向かって付勢する弾性部材(28c)とを備えている
    ことを特徴とする固定スクロールの位置決め装置。
  3. 請求項1において、
    上記調整機構(5a)は、各押付部材(28)を固定スクロール(34)の方向に移動自在に支持する支持部材(59)と、該支持部材(59)の内部に充填され、各押付部材(28)を支持部材(59)から固定スクロール(34)の方向に向かって付勢するために各押付部材(28)の端面に所定の押圧力を作用させる非圧縮性流体(59b)とを備えている
    ことを特徴とする固定スクロールの位置決め装置。
  4. 請求項1において、
    上記押付部材(28)は、固定スクロール(34)をハウジング部材(36)に3点で押し付けるように等間隔に配置された3つの部材で構成されている
    ことを特徴とする固定スクロールの位置決め装置。
  5. 請求項1において、
    上記押付力発生源(57)は、エアシリンダである
    ことを特徴とする固定スクロールの位置決め装置。
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