JP2008163748A - スロットルバルブ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】デフォルト開度における開度停滞を確実に抑制することができるスロットルバルブ制御装置を提供する。
【解決手段】スロットルバルブ開度を制御信号に基づいて制御する制御手段11と、デフォルト開度で前記スロットルバルブ14の駆動軸15に負荷段差が生じるように前記スロットルバルブ14の位置決めをする位置決め手段とを備えるスロットルバルブ制御装置1であって、スロットルバルブ14の目標開度を算出する目標開度算出手段30と、目標開度に基づいて所定の応答遅れを持った開度応答値と電流応答値とを算出する応答値算出手段B30と、開度応答値に基づいてスロットルバルブ14のデフォルト開度近傍での動作を補正する電流補正値を算出する電流補正値算出手段B60と、電流応答値と電流補正値とから制御信号を算出する制御信号算出手段23と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】スロットルバルブ開度を制御信号に基づいて制御する制御手段11と、デフォルト開度で前記スロットルバルブ14の駆動軸15に負荷段差が生じるように前記スロットルバルブ14の位置決めをする位置決め手段とを備えるスロットルバルブ制御装置1であって、スロットルバルブ14の目標開度を算出する目標開度算出手段30と、目標開度に基づいて所定の応答遅れを持った開度応答値と電流応答値とを算出する応答値算出手段B30と、開度応答値に基づいてスロットルバルブ14のデフォルト開度近傍での動作を補正する電流補正値を算出する電流補正値算出手段B60と、電流応答値と電流補正値とから制御信号を算出する制御信号算出手段23と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、エンジンのスロットルバルブ制御装置に関する。
電動式のスロットルバルブ制御装置では、スロットルバルブの開度を調整する電動モータに制御信号が印加されていない場合には、スロットルバルブが閉弁するように作用するバネと開弁するように作用するバネによって、スロットルバルブは僅かに開弁した位置(以下「デフォルト開度」という。)に設定される。これにより、電動モータなどが故障してもエンジンへ吸気を流し、車両の走行性が確保される。このようなスロットルバルブ制御装置では、スロットルバルブの駆動軸の負荷特性に起因して、スロットルバルブがデフォルト開度を通過する場合にデフォルト開度で一時的に停止(以下「開度停滞」という。)し、スロットルバルブの応答性が悪化する。
そのため、特許文献1では、スロットルバルブの開度指令値がデフォルト開度を通過する場合に、電流補正値を電動モータの電流指令値に加えることによってスロットルバルブの開度停滞を抑制し、スロットルバルブの応答性の向上を図る。
特開平10−331664号公報
ところで、上記したスロットルバルブ制御装置では、スロットルバルブの開度指令値がデフォルト開度を通過すると同時に電動モータへの電流指令値を補正する。しかしながら、スロットルバルブの実開度は開度指令値に対してある程度の遅れが生じるので、電流指令値に対する補正を行うタイミングが合わず、スロットルバルブの開度停滞を確実に抑制することができないという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、デフォルト開度における開度停滞を確実に抑制することができるスロットルバルブ制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
スロットルバルブ開度を制御信号に基づいて制御する制御手段(11)と、デフォルト開度で前記スロットルバルブ(14)の駆動軸(15)に負荷段差が生じるように前記スロットルバルブ(14)の位置決めをする位置決め手段とを備えるスロットルバルブ制御装置(1)であって、スロットルバルブ(14)の目標開度を算出する目標開度算出手段(30)と、目標開度に基づいて所定の応答遅れを持った開度応答値と電流応答値とを算出する応答値算出手段(B30)と、開度応答値に基づいてスロットルバルブ(14)のデフォルト開度近傍での動作を補正する電流補正値を算出する電流補正値算出手段(B60)と、電流応答値と電流補正値とから制御信号を算出する制御信号算出手段(23)と、を備える。
本発明によれば、スロットルバルブの目標開度に対して所定の応答遅れを持った開度応答値を算出し、その開度応答値に基づいて電流補正値を設定する。そのため、スロットルバルブの目標開度と実開度にある程度の遅れが生じていても、タイミングよく制御手段の電流値を補正できる。これにより、スロットルバルブの開度停滞を確実に防止でき、デフォルト開度でスロットルバルブの応答性が悪化するのを抑制することが可能となる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照にして本発明の第1実施形態を説明する。
以下、図面を参照にして本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、スロットルバルブ制御装置1の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
スロットルバルブ制御装置1は、スロットルバルブ駆動部10と、角度センサ2と、センサ信号処理回路3と、電流制御アンプ4と、コントローラ20とを備える。
スロットルバルブ駆動部10は、電動モータ11と、ギア12と、吸気通路13に設置されたスロットルバルブ14とから構成される。
スロットルバルブ駆動部10の電動モータ11は例えばDCモータであり、車両の運転状態に応じてスロットルバルブ14を駆動する。電動モータ11の駆動力は、ギア12によって減速されて駆動軸15に伝達する。この駆動軸15は、バタフライ型のスロットルバルブ14を有する。スロットルバルブ14は吸気通路13の内部に配置され、駆動軸15を中心に回転する。このように、スロットルバルブ駆動部10は、電動モータ11によってスロットルバルブ14を制御し、吸気通路13の吸気流通面積を変化させてエンジンに導入される吸気量を調整する。
上記したスロットルバルブ14の駆動軸15は、スロットルバルブ14を閉弁するように作用する図示しない閉弁バネ(位置決め手段)と、スロットルバルブ14を開弁するように作用する図示しない開弁バネ(位置決め手段)とを有する。そのため、スロットルバルブ14は、スロットルバルブ駆動部10に制御信号が印加されていない状態では、閉弁バネと開弁バネとの作用によってデフォルト開度に設定される。これにより、電動モータ11などが故障してもエンジンへ吸気を流し、車両の走行性を確保する。
角度センサ2は、駆動軸15の端部に設置される。角度センサ2はスロットルバルブ14の実開度を検出し、センサ信号処理回路3に検出信号を出力する。この角度センサ2は、アナログ信号を出力するポテンショメータである。なお、角度センサ2はポテンショメータではなく、高精度な光学式エンコーダを用いるようにしてもよい。
センサ信号処理回路3は、増幅器とA/D変換器とから構成される。センサ信号処理回路3は、角度センサ2から入力したアナログ信号を増幅してディジタル信号に変換し、コントローラ20に出力する。
電流制御アンプ4は、フィードフォワード式の電流制御アンプである。この電流制御アンプ4は、電動モータ11に流れる実際のモータ電流と、コントローラ20からの電流指令値とが一致するようにパワートランジスタのスイッチング時間を制御する。
上記したスロットルバルブ駆動部10の動作を制御するため、コントローラ20が備えられる。コントローラ20は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
コントローラ20には、電流制御アンプ4の電源電圧VB、角度センサ2によって検出されるスロットルバルブの実開度θ、運転者のアクセル開度(アクセルペダルの踏込量)から算出されるスロットルバルブの開度指令値θCOMが入力する。そして、スロットルバルブの開度指令値θCOMと実開度θとが一致するように電動モータ14への電流指令値を演算し、その電流指令値に基づいて電流制御アンプ4へのDuty指令値Dを決定してスロットルバルブ駆動部10を制御する。
図2は、開度停滞を防止するスロットルバルブ制御装置1のコントローラ20の構成を示すブロック図である。
コントローラ20は、フィードフォワード(F/F)補償部B30と、入力制限値算出部B31と、フィードバック(F/B)補償部B40と、外乱補償部B50と、負荷段差補正部B60とから構成される。このコントローラ20は、電流制御アンプ4と、スロットルバルブ駆動部10と、角度センサ2と、センサ信号処理回路3とからなる制御対象100を制御する。
F/F補償部B30は、入力制限値ILMTを使用して、アクセル開度に基づいて開度指令値算出部30で算出されたスロットルバルブ開度指令値θCOMと、角度センサ2からの実開度θとが所定の応答特性で一致するようにスロットルバルブ開度の規範応答値θSIMと電流指令値ICOM_FFとを算出する。なお、入力制限値ILMTは、電動モータ11の逆起電力推定値V* REV(後述する同一次元オブザーバによる推定値には以下「*」を付す。)と、電流制御アンプ4の電源電圧VBとから入力制限値算出部B31で算出される。
F/B補償部B40は、制御対象100が有する非線形性や生産バラツキの影響、外乱補償部B50の補償遅れなどを低減するため、スロットルバルブ14の実開度θと規範応答値θSIMとが一致するように電流指令値ICOM_FBを算出する。
そして、加算部21は、F/F補償部B30からの電流指令値ICOM_FFとF/B補償部B40からの電流指令値ICOM_FBとを加算して電流指令値ICOM1を算出する。
外乱補償部B50は、スロットルバルブ14の実開度θと前回の電流指令値ICOMとからパラメータ変動を含む外乱を推定し、その外乱を相殺するように外乱補償値IDISを算出する。
減算部22は、電流指令値ICOM1から外乱補償値IDISを減算し、電流指令値ICOMを算出する。これにより、パラメータ変動などの外乱を相殺して、制御対象100の動特性を一定化する。
負荷段差補正部B60は、スロットルバルブ14のデフォルト開度θdにおける開度停滞を防止するため、F/F補償部で算出された所定の応答遅れを有する規範応答値θSIMに基づいて電流補正値ICORを決定する。
加算部23は、電流補正値ICORを上記した電流指令値ICOMに加算して電流指令値ICCを算出する。このように算出された電流指令値ICCによって電動モータ11が駆動される。これにより、スロットバルブ14の開度を制御して、エンジンに導入される吸気量を調整する。
ところで、上記したスロットルバルブ制御装置1では、スロットルバルブ14はデフォルト開度θdで閉弁バネと開弁バネとの作用力が釣り合うように設定されているので、スロットルバルブ動作時に駆動軸15にかかる軸負荷トルクではデフォルト開度θdにおいてトルク段差(負荷段差)が生じる。
図12は、スロットルバルブ開度と駆動軸15の軸負荷トルクとの関係を示す図である。横軸はスロットルバルブ開度を示し、縦軸は駆動軸15の軸負荷トルクを示す。
図12に示すように、スロットルバルブ開度がデフォルト開度θdにあるときに、閉弁バネと開弁バネとの作用によって軸負荷トルクTがTclからTopの幅で変動し、負荷段差が生じる。このように軸負荷トルクに負荷段差があると、スロットルバルブ14はデフォルト開度θdで応答性が悪化する。
図13は、スロットルバルブ開度と、電動モータ11を流れるモータ電流の電流値との関係を示す図である。
図13に示すように、コントローラ20は、実線Cで示すスロットルバルブ14の開度指令値に応じた電流指令値(実線A)を出力する。実線Aで示す電流指令値と、破線Bで示す電動モータ11を流れる実際のモータ電流の電流値はほぼ一致し、この実電流値によってスロットルバルブ14の実開度が制御される。しかしながら、スロットルバルブ14がデフォルト開度θdになると、破線Dに示すように、上記した負荷段差の影響によって電動モータ11への実電流値を変化させてもスロットルバルブ14が作動せずに開度停滞する。そのため、従来手法では、スロットルバルブ14の開度指令値がデフォルト開度θdを通過するときに、電流補正値を電流指令値に加えることで、スロットルバルブ14の開度停滞を抑制する。
図14は、デフォルト開度において電流補正値を電流指令値に加える従来手法のスロットルバルブ開度と、電動モータの電流値との関係を示す図である。
図14に示すように、従来手法は、実線Dで示すスロットルバルブ14の開度指令値がデフォルト開度θdを通過すると同時に、一点鎖線Bで示す電流補正値を電流値に加えて実線Aで示す電流指令値を算出する。破線Cで示す電動モータ11を流れる実際のモータ電流の電流値は実線Aとほぼ一致する。しかしながら、破線Eの実開度は、実線Dで示すスロットルバルブ開度指令値に対してある程度遅れが生じるため、開度指令値に基づいて電流指令値に電流補正値を加えても補正を行うタイミングがずれ、破線Eで示すようにスロットルバルブ14は開度停滞を生じる。
そこで、本実施形態では、図2に示したようにF/F補償部B30でスロットルバルブ14の開度指令値θCOMに基づいて所定の応答遅れを持った規範応答値θSIMを算出する。そして、その規範応答値θSIMから負荷段差補正部B60で電流補正量を決定することで、デフォルト開度θdにおけるスロットルバルブ14の開度停滞を確実に防止する。
図2において示した各制御部B30〜B60での処理の詳細について、図3を参照して説明する。図3は、コントローラ20が行う制御を示すフローチャートである。この制御はエンジンの運転開始ともに実行され、一定周期、例えば10ミリ秒周期で実施される。
ステップS10では、コントローラ20は、角度センサ2からの出力信号と電流制御アンプ4の電源電圧とから、スロットルバルブ14の実開度θと電源電圧VBとを検出する。
ステップS20では、コントローラ20は、入力制限値算出部B31で使用する電動モータ11の逆起電力推定値V* REVを算出する。この逆起電力推定値V* REVは、同一次元オブザーバを用いて推定されたスロットルバルブ14の角速度ω*θに基づいて以下のように算出する。
電流指令値ICOMからスロットルバルブ開度θまでの制御対象の連続系伝達特性を次式(1)に示す。
ここで、(1)式を状態空間表現に直すと次式(2)のように示される。
したがって、(2)式のシステムに対して同一次元オブザーバ設計すると次式(3)のようになる。
本来ならスロットルバルブ角速度推定値ω*θとしてオブザーバ出力であるx* 2を用いるが、モデル化誤差の影響を軽減し推定精度の向上を図るためx* 2‐K1(x* 1−x1)をスロットルバルブ角速度推定値ω*θとする。そして、このスロットルバルブ角速度推定値ω*θから次式(4)によって電動モータ14の逆起電力推定値V* REVを算出する。
ステップS30では、コントローラ20はF/F補償部演算処理を実行する。つまり、F/F補償部B30において、上記で推定した逆起電力推定値V* REVと、電流制御アンプ4の電源電圧VBとから算出した入力制限値ILMTを使用し、スロットルバルブ14の開度指令値θCOMと実開度θとが所定の応答特性で一致するようにスロットルバルブ開度の規範応答値θSIMと電流指令値ICOM_FFとを算出する。このF/F補償部演算処理の詳細については図6〜図8を参照して後述する。
ステップS40では、コントローラ20はF/B補償部演算処理を実行する。F/B補償部B40において、スロットルバルブ14の規範応答値θSIMと実開度θとが一致するように規範応答値θSIMと実開度θとの偏差に対して次式(5)に示すF/B補償器を施し、電流指令値ICOM_FBを算出する。
ここで、制御定数KP、KDは、ゲイン余裕や位相余裕を考慮して決定する。また、TDIVは、適切なロバスト安定性を確保することができるようにゲイン余裕や位相余裕などの評価指標を用いて決定する。上記した(5)式は、実際にはタスティン近似などで離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
ステップS50では、コントローラ20は外乱補償部演算処理を実行する。つまり、外乱補償部B50において、スロットルバルブ14の実開度θと、前回の電流指令値ICOMとからパラメータ変動を含む外乱を推定し、その外乱を相殺して制御対象100の動特性を一定化させるように外乱補償値IDISを算出する。
図4は、外乱補償部B50における処理を示すブロック図である。
図4に示す通り、外乱補償部B50は制御ブロックB51〜B53と、減算部54によって外乱補償値IDISを算出する。
制御ブロックB51は、電動モータ11に流れるモータ電流の上下限値に相当するリミッタである。制御ブロックB51は、モータ電流が飽和したときに外乱補償部B50への入力を制限することで、外乱補償値IDISに誤差が溜まるのを防止して応答性能の悪化を防止する。なお、リミッタの制限値は、図2に示す入力制限値算出部B31で算出された入力制限値ILMTを用いることによって、入力制限による誤差の蓄積をより正確に防止できる。
制御ブロックB52は、定常ゲインが1であるローパスフィルタH0(z-1)に、Gp(z-1)のゼロ点を有するQ(z-1)を付加したフィルタH(z-1)である。この制御ブロックB52は、前回の電流指令値ICOMをローパスフィルタ処理して電流指令値ICOM2を出力する。
制御ブロックB53は、フィルタH(z-1)/Gp(z-1)である。したがって、−1に収束するゼロ点が相殺されるので、制御ブロックB53は安定なデジタルフィルタとなる。この制御ブロックB53は、電流指令値ICOMからスロットル開度θまでの制御対象100の離散系伝達特性Gp(z-1)と、スロットルバルブ14の実開度θとに基づいて電流指令値ICOMを逆算し、さらにローパスフィルタ処理して電流指令値ICOM3を出力する。
減算部54では、上記のように算出された電流指令値ICOM3から電流指令値ICOM2を減算し、電流アンプ4からセンサ信号処理回路3までの制御対象の外乱やパラメータ変動による電流指令値ICOMのずれ量(外乱補償値)IDISを算出する。そして、減算部22で電流指令値ICOM1から外乱補償値IDISを減算し、外乱やパラメータ変動による影響を排除した電流指令値ICOMを出力する。
上記した外乱補償値IDISは、制御対象100に外乱やパラメータ変動がない場合にはゼロとなる。これに対して、制御対象に外乱dやパラメータ変動Δがある場合には、スロットルバルブ開度θは次式(6)で表される。
H(z-1)のゲイン特性が1である周波数帯域では、次式(7)のようになる。
つまり、外乱やパラメータ変動の影響が完全にキャンセルされて、制御対象の動特性がノミナルモデルGp(z-1)に一定化される。H(z-1)のカットオフ周波数を上げると高周波数域まで同様な効果が得られるが、逆にハイゲインフィードバックとなり、安定余裕が減少するのでトレードオフ設計が必要となる。
ステップS60では、コントローラ20は負荷段差補正処理を実行する。つまり、負荷段差補正部B60において、スロットルバルブ14のデフォルト開度θdにおける開度停滞を防止するために、F/F補償部B30で算出された規範応答値θSIMに基づいて負荷段差補正マップから電流補正値ICORを決定する。
図5は、負荷段差補正マップを示す図である。横軸は規範応答値θSIMを示し、縦軸は電流補正値ICORを示す。
図5に示すように、負荷段差補正マップは、電流補正値ICORがデフォルト開度θdにおいて、IclからIopに変化するように設定されている。そして、規範応答値θSIMがデフォルト開度θdを通過するときに、その規範応答値θSIMに基づいて電流補正値ICORを決定し、次式(8)によって電動モータ11のモータ電流の電流指令値ICCを算出する。
ステップS70では、コントローラ20は、電流アンプ4からのモータ電流が電流指令値ICCと一致するようにDuty指令値Dを次式(9)から算出する。
次に、F/F補償部B30で実行するF/F補償部演算処理の詳細について、図6〜図8を参照して説明する。
図6は、F/F補償部演算処理のフローを示す図である。
ステップS31では、コントローラ20は入力制限値算出処理を実行する。つまり、入力制限値算出部B31において、入力制限値ILMTを次式(10)により算出する。
(10)式により入力制限値ILMTを算出することで、逆起電力推定値V* REVや電源電圧VBや内部抵抗値RSIMの変動を入力制限値ILMTに反映することが可能となる。
ステップS32では、コントローラ20は、F/F補償部B30の制御対象モデルGp(s)の規範応答値θSIMがスロットルバルブ14の開度指令値θCOMに対して所定の応答特性で一致するようにF/F補償部B30のモデルマッチング制御部において電流指令値ICOM0を算出する。
ここで、図7はF/F補償部B30での処理を示すブロック図である。
F/F補償部B30では、モデルマッチング制御部B32と、電流リミッタなどを含む制御対象33とによって電流指令値ICOM_FFと規範応答値θSIMを算出する。
制御対象33の連続系伝達関数Gp(s)を離散化した伝達特性Gp(z-1)は次式(11)のように表される。
ここで、Gp(z-1)のゼロ点(−bp1/bp0)は、サンプリングタイムが小さいほど−1に収束するので、Gp(z-1)の逆系を補償器に用いると不安定になってしまう。これを避けるために次のようにモデルマッチング制御部B32を設計する。
所定の応答特性を連続系規範モデル伝達特性GM0(s)(0次/2次)で与える。これを離散化した規範モデル伝達特性GM0(z-1)とすると、制御対象33の伝達特性Gp(z-1)と同様に、サンプリングタイムを小さくすると−1に収束するゼロ点を有する。したがって、モデルマッチング制御部B32の設計の際に両者を相殺させる目的で規範モデル伝達特性GM0(z-1)のゼロ点を制御対象伝達特性Gp(z-1)のゼロ点で置き換えたGM(z-1)を規範モデル伝達特性として用いる。なお、サンプリングタイムが十分小さければ、GM(z-1)とGM0(z-1)との差はほとんどなく、実用上問題はない。ここで、GM(z-1)は次式(12)のように表される。
(11)式及び(12)式を用いると、モデルマッチング制御部B32は、図8に示すように制御ブロックB321のBmfと、制御ブロックB322のL(z-1)と、制御ブロックB323の1/R(z-1)とから構成される。
図8は、モデルマッチング制御部B32での処理を示すブロック図である。
ここで、Bmf、L(z-1)、R(z-1)は(13)式から(15)式によって示される。
したがって、図8に示すように、制御対象モデルの出力値で規範応答値θSIMにL(z-1)の処理を行った値と、スロットルバルブ14の開度指令値θCOMにBmfの処理を行った値との差分を減算部324で算出し、その差分に1/R(z-1)の処理を行った値が電流指令値ICOM0となる。
ステップS33では、コントローラ20は、ステップS32で求めた電流指令値ICOM0と、入力制限値算出部B31で算出した入力制限値ILMTとを使用してリミッタ処理を実行し、F/F補償部B30の出力の一つである電流指令値ICOM_FFとする。つまり、図7に示すように、電流指令値ICOM0の絶対値と、入力制限値算出部B31で算出した入力制限値ILMTを比較し、下記のように小さい方を電流指令値ICOM_FFとして出力する。
ステップS34では、コントローラ20は、ステップS33で出力した電流指令値ICOM_FFに対して(11)式に示す制御対象の応答特性Gp(z-1)を施し、F/F補償部B30のもう一つの出力値スロットルバルブ開度規範応答値θSIMを算出し、処理を一旦抜ける。
上記したスロットルバルブ制御装置1では、開度指令値θCOMに対して所定の応答遅れを持った規範応答値θSIMに基づいて電流補正値ICORを決定し、電流指令値ICCによってスロットルバルブ14の開度を調整する。
図9は、規範応答値θSIMに基づいて電流補正値ICORを決定したときのスロットルバルブ14の実開度θを示す図である。
実線Dで示すスロットルバルブ14の開度指令値θCOMではなく、一点鎖線Eの規範応答値θSIMがデフォルト開度θdを通過したときに、電流値に一点鎖線Bの電流補正値ICORを加えて実線Aで示す電流指令値ICCとする。そして、破線Cで示す実電流は電流値Iccとほぼ一致するので、破線Fで示すスロットルバルブ14の実開度θはデフォルト開度θdを通過しても開度停滞が生じない。
このように、開度指令値θCOMからF/F補償部B30で所定の応答遅れを持った規範応答値θSIMを算出し、その規範応答値θSIMに基づいて負荷段差補正マップから電流補正値ICORを設定するので、スロットルバルブ開度指令値と実開度にある程度の遅れが生じていても、電動モータ11のモータ電流をタイミングよく補正できる。これにより、スロットルバルブ14の開度停滞を確実に防止でき、デフォルト開度θdにおいてスロットルバルブ14の応答性が悪化するのを防止することが可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態のスロットルバルブ制御装置の構成は、第1実施形態と基本構成はほぼ同様であるが、負荷段差補正部の負荷段差補正マップにおいて一部相違する。つまり、デフォルト開度近傍の電流補正値に所定の傾きを持たせるようにしたもので、以下にその相違点を中心に説明する。
第2実施形態のスロットルバルブ制御装置の構成は、第1実施形態と基本構成はほぼ同様であるが、負荷段差補正部の負荷段差補正マップにおいて一部相違する。つまり、デフォルト開度近傍の電流補正値に所定の傾きを持たせるようにしたもので、以下にその相違点を中心に説明する。
図10は、負荷段差補正部B60の負荷段差補正マップを示す図である。図10(A)は、第1実施形態の負荷段差補正マップを示し、図10(B)は第2実施形態の負荷段差補正マップを示す。横軸は規範応答値θSIMを示し、縦軸は電流補正値ICORを示す。
図10(A)に示すように、第1実施形態の負荷段差補正マップでは、スロットルバルブ14のデフォルト開度設計値θdで電流補正値がIclからIopに変化するように設定されている。しかしながら、スロットルバルブ14のデフォルト開度設計値θdと実際のデフォルト開度θd’との間に、ずれが生じる場合には、規範応答値θSIMがデフォルト開度設計値θdとなったときに規範応答値θSIMから電流補正値ICORを決定して電流指令値ICCを算出しても、スロットルバルブ14の開度停滞を確実に防止できず、さらに一度に電流指令値を補正してしまうためスロットルバルブ14にオーバシュートなどが発生して応答性が悪化してしまう。
そこで、第2実施形態では、図10(B)に示すように、デフォルト開度設計値θdの近傍において、規範応答値θSIMに対して電流補正値ICORに所定の傾きを持たせる。このように、規範応答値θSIMがデフォルト開度設計値θdの近傍になると、徐々に電流補正値ICORを変化させて電流指令値ICCを補正するので、デフォルト開度設計値θdと実際のデフォルト開度θd’とが、ずれた場合であってもスロットルバルブ14にオーバシュートなどが発生することがない。
図11は、規範応答値θSIMに基づいて図10(B)の負荷段差補正マップから電流補正値ICORを決定したときのスロットルバルブ14の実開度θを示す図である。
図11のように、実線Dで示す開度指令値θCOMではなく、一点鎖線Eで示す規範応答値θSIMに基づいて電流値を補正する。一点鎖線Eの規範応答値θSIMがデフォルト開度設計値θdの近傍になると、一点鎖線Bで示す電流補正値ICORを電流値に徐々に加え、実線Aで示す電流指令値ICCとする。破線Cで示す実電流は実線Aの電流指令値ICCとほぼ一致する。このように、デフォルト開度設計値θdの近傍から電流値を徐々に補正するので、デフォルト開度設計値θdと実際のデフォルト開度θd’とが、ずれた場合であっても、破線Fで示すようにスロットルバルブ14は開度停滞をほとんど生じない。
このように、開度指令値θCOMから所定の応答遅れを持った規範応答値θSIMを算出し、その規範応答値θSIMと、デフォルト開度設計値θdの近傍の電流補正値に所定の傾きを持たせた負荷段差補正マップとから電流補正値ICORを設定する。そのため、スロットルバルブ14のデフォルト開度設計値θdと実際のデフォルト開度θd’とが、ずれた場合であっても、スロットルバルブ14の開度停滞を抑制することができるとともにスロットルバルブ14のオーバシュートなどの発生を抑制することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
1 スロットルバルブ制御装置
2 角度センサ
10 スロットルバルブ駆動部
11 電動モータ(制御手段)
12 ギア
14 スロットルバルブ
15 駆動軸
20 コントローラ
23 加算部(制御信号算出手段)
30 開度指令値算出部(目標開度算出手段)
B30 F/F補償部(応答値算出手段)
B31 入力制限値算出部
B40 F/B補償部
B50 外乱補償部
B60 負荷段差補正部(電流補正値算出手段)
2 角度センサ
10 スロットルバルブ駆動部
11 電動モータ(制御手段)
12 ギア
14 スロットルバルブ
15 駆動軸
20 コントローラ
23 加算部(制御信号算出手段)
30 開度指令値算出部(目標開度算出手段)
B30 F/F補償部(応答値算出手段)
B31 入力制限値算出部
B40 F/B補償部
B50 外乱補償部
B60 負荷段差補正部(電流補正値算出手段)
Claims (4)
- スロットルバルブ開度を制御信号に基づいて制御する制御手段と、デフォルト開度で前記スロットルバルブの駆動軸に負荷段差が生じるように前記スロットルバルブの位置決めをする位置決め手段とを備えるスロットルバルブ制御装置であって、
スロットルバルブの目標開度を算出する目標開度算出手段と、
前記目標開度に対して所定の応答遅れを持った開度応答値と電流応答値とを算出する応答値算出手段と、
前記開度応答値に基づいて前記スロットルバルブのデフォルト開度近傍での動作を補正する電流補正値を算出する電流補正値算出手段と、
前記電流応答値と前記電流補正値とから前記制御信号を算出する制御信号算出手段と、
を備えたことを特徴とするスロットルバルブ制御装置。 - 前記応答値算出手段は、
前記スロットルバルブの目標開度に対して予め設定された規範応答を実現するようにフィードバック制御して開度応答値と電流応答値とを算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスロットルバルブ制御装置。 - 前記電流補正値算出手段は、
前記開度応答値がデフォルト開度以上となる場合には、前記開度応答値がデフォルト開度よりも小さい場合よりも前記電流補正値を大きくする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットルバルブ制御装置。 - 前記電流補正値算出手段は、
前記電流補正値がデフォルト開度近傍において所定の傾きで徐々に変化する、
ことを特徴とする請求項3に記載のスロットルバルブ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006350654A JP2008163748A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | スロットルバルブ制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006350654A JP2008163748A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | スロットルバルブ制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008163748A true JP2008163748A (ja) | 2008-07-17 |
Family
ID=39693562
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006350654A Pending JP2008163748A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | スロットルバルブ制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008163748A (ja) |
-
2006
- 2006-12-26 JP JP2006350654A patent/JP2008163748A/ja active Pending
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