JP2008163327A - 配管施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ポリエチレン100質量部に対し、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.0002〜0.5質量部存在下でシラン化合物0.2〜5質量部を反応させることにより生成するシラングラフトポリエチレン樹脂組成物を成形し、架橋した架橋ポリエチレン管であって、温度上昇遊離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組み合わせたクロス分別装置を用いた測定において、総溶出量の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比が、前記のベース樹脂としてのポリエチレンでMw/Mnが2.51〜8.80であり、前記の架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンでMw/Mnが1.52〜8.17である架橋ポリエチレン管を給水・給湯管として用いる管内滞留水のにおい付着を防止した配管施工方法。
【選択図】なし
Description
ポリエチレンを架橋させる方法の1つとしては、該ポリエチレンに遊離ラジカル発生剤の存在下でシラン化合物をグラフト反応させた後、シラノール縮合触媒と水分の存在下で架橋させるシラン架橋法がある。
そこで、耐圧性と施工性を兼ね備えた管を得るために、シングルサイト触媒を用いて重合したポリエチレンをベース樹脂として使用するポリエチレン管について多数の特許出願が公開されている(例えば、特許文献1、2参照)。
シングルサイト触媒を用いて重合したポリエチレンは、高分子量成分を多く含むため、マルチサイト触媒を用いて重合したポリエチレンと比較した場合に、同じ密度でも耐久性があり、耐塩素水性も向上する。
さらに、成形性や耐圧性にも優れ、配管施工性や生産性の良好な架橋ポリエチレン管を用いる配管施工方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ポリエチレン100質量部に対し、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.0002〜0.5質量部存在下でシラン化合物0.2〜5質量部を反応させることにより生成するシラングラフトポリエチレン樹脂組成物を成形し、架橋した架橋ポリエチレン管であって、温度上昇遊離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組み合わせたクロス分別装置を用いた測定において、総溶出量の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比が、前記のベース樹脂としてのポリエチレンでMw/Mnが2.51〜8.80であり、前記の架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンでMw/Mnが1.52〜8.17である架橋ポリエチレン管を給水・給湯管として用いる管内滞留水のにおい付着を防止した配管施工方法を提供するものである。
ベース樹脂とするポリエチレンのMw/Mnが2.51〜8.80及び架橋ポリエチレンのキシレン溶解分の乾燥ポリエチレンのMw/Mnが1.52〜8.17であり、耐圧性や耐久性がより優れ、においの点でも特に好適な架橋ポリエチレン管な配管施工方法とすることができる。
本発明に用いられる架橋ポリエチレン管における樹脂組成物のベース樹脂としては、シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンが用いられる。シングルサイト触媒とは、活性点が均一のもので、メタロセン触媒に代表されるような、遷移金属(Ti、Zr、Hf、Ru、V、Cr等)が配位子としてシクロペンタジエニル等の不飽和の環状化合物を持つ構造の化合物である。助触媒としてトリメチルアルミニウムと水との化合物であるメチルアルモキサン(MAO)を用いても良い。
密度が低ければ得られる管は耐圧性能を満足せず、高すぎると管の施工性が悪くなる。MFRが低ければ、目標架橋度への到達は容易になるが粘度や樹脂圧が上昇し生産性が低下する。高くなり過ぎると、生産性は向上するが分子鎖の絡み合いが少ないため到達架橋度が低下する。
ここで、密度はJIS K7112のD法(試験温度23℃)、MFRはJIS K7210(試験温度190℃、試験荷重21.18N)に準じる方法で測定した値である。
Mw/Mn比が低すぎると成形性が悪く、Mw/Mn比が高すぎると、低分子量成分が多く含まれるためシラングラフト化工程において樹脂臭がするし、また得られるポリエチレン管の衝撃強度が低下する。
(測定条件)
カラム構成:Shodex AD−806M/S(昭和電工(株))
GPC測定温度:140℃溶媒:オルトージクロロベンゼン流速:1.0ml/分
試料濃度:0.4h/100m1(酸化防止剤のBHTを0.1%含む)
注入量:0.5ml検出器:赤外検出(3.42μ)
溶出温度:29フラクション
0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,
76,79,82,85,88,91,95,100,120,140℃
コーティング:プレカラムへのコーティング条件は次のとおり140℃から
0℃へ、140分かけて冷却(−1℃/分)
分子量の換算:汎用較正曲線を使用し、ポリエチレンとして分子量に換算した。
このシラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンは、温度上昇遊離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組み合わせたクロス分別装置を用いた測定において、総溶出量の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比、Mw/Mnが1.52〜8.17である。
Mw/Mnが低すぎるとシラン架橋ポリエチレンの酸化防止剤などの添加物が析出されやすく、管の長期性能が劣る。一方、Mw/Mnが高すぎると樹脂臭がする。
ラジカル発生剤としてシラン架橋に使用されている公知の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド等を使用した場合は、架橋ポリエチレン管の作製中に不快な臭気が生じ、また、後記する比較例でも明らかなように管内に滞留する水ににおいが付着する。
これは、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(パーブチルD)は、上記のラジカル発生剤と異なり、分子構造中に芳香環を含まないので衛生の点でも問題が少なく、また、反応性が高いので過剰に添加しなくても良く、かつ分解生成物が少ないことによるものと思われる。
ラジカル発生剤であるジ−tert−ブチルパーオキサイドの添加量はポリエチレン100質量部に対し、0.0002〜0.5質量部とする。
一段製造法で架橋ポリエチレン管を製造する場合は、反応が可能な押出機等を用い、ベース樹脂にシラン化合物、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、シラノール縮合触媒、また必要に応じて酸化防止剤などの添加剤を配合し、押出機内で加熱しながら溶融・混練反応の工程を経て管状に押出し、成形・冷却することでシラングラフトポリエチレン組成物からなる成形管とし、その成形管に水の存在下で適当な熱を加えることでシラノール縮合反応を促進させる架橋処理を施すことで架橋ポリエチレン管を得ることができる。
各実施例・比較例で、反応が可能な押出機はスクリュー径50mm、L/D=30の単軸押出機を用いた。製造方法は、シラングラフト工程でシラングラフトポリエチレン、及び触媒/酸化防止剤マスターバッチを各々個別に製造した後、これを押出成形機で混合・押出しし、管状に成形し、次いで水分環境下に曝し、架橋処理を行うことにより架橋ポリエチレン管を製造する二段製造法、及びシラングラフト工程と触媒混合及び管成形工程を一工程に統合した一段製造法の両方を行った。
成形した管に精製水1リットルを入れ、40℃の恒温槽で72時間滞留した。この滞留水について、におい官能試験を3点比較フラスコ法で行った。3点比較フラスコ法とは、3個のフラスコのうち、任意の1個にのみ管内滞留水を入れ、においと味から管内滞留水を当てる方法である。パネラーは50人で行った。
正解率が5%未満のものを「10」判定、5%以上10%未満を「9」判定、10%以上20%未満を「8」判定、20%以上30%未満を「7」判定、30%以上40%未満を「6」判定、40%以上50%未満を「5」判定、50%以上60%未満を「4」判定、60%以上70%未満を「3」判定、70%以上80%未満を「2」判定、80%以上を「1」判定とした。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂として用いた。このポリエチレンの密度は0.941g/cm3、MFRは2.3g/10minで、Mw/Mn=2.53である。
次いで、シラングラフトポリエチレン組成物のベースに用いたのと同様のポリエチレン100質量部に対して、ジブチルスズジラウレートを1質量部、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンを5質量部配合して、ストランドダイ温度を200℃に設定した押出機を用いて混練して、ストランド形状に押出し、冷却、カッティングを経て、ペレット状の酸化防止剤、及びシラノール縮合触媒マスターバッチを作製した。
シラングラフトポリエチレン組成物100質量部に対して、触媒マスターバッチ5質量部の割合で混練して、パイプダイ温度を222℃に設定した押出機にて管状に押出し、真空成形、冷却を経て、内径10mm、肉厚1.5mmの成形管を得た。得られた成形管を95℃の温水に12時間浸漬し、架橋ポリエチレン管を作製した。
そして、シラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.941g/cm3、MFRは2.3g/10minで、Mw/Mn=2.04であった。
いずれの管作製工程においても、作業中架橋ポリエチレン特有の不快臭は認められなかった。
管内滞留水のにおい官能試験の結果は、表1に示すとおり「9」判定となった。
シングルサイト触媒を使用して重合されたポリエチレンをベース樹脂として用いた。この樹脂の密度は0.943g/cm3、MFRは5.1g/10minで、Mw/Mn=8.80であり、ビニルトリメトキシシラン1.00質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.006質量部を添加した以外は、実施例1と同様に架橋ポリエチレン管を2種類の方法で作製した。
シラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.944g/cm3、MFRは5.2g/10minで、Mw/Mn=7.30であった。
管作製作業中架橋ポリエチレン特有の不快臭は認められなかった。管内滞留水のにおい官能試験の結果は、「9」判定となった。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂に用いた。この密度は0.938g/cm3、MFRは3.8g/10minで、Mw/Mn=2.51であり、ビニルトリメトキシシラン1.40質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.09質量部を添加した以外は、実施例1と同様に管を作製した。
そして、シラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.938g/cm3、MFRは3.8g/10minで、Mw/Mn=1.52であった。
管作製作業中架橋ポリエチレン特有の不快臭は認められなかった。管内滞留水のにおい官能試験の結果は「9」判定となった。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂に用いた。この密度は0.941g/cm3、MFRは2.1g/10minで、Mw/Mn=8.38であり、ビニルトリメトキシシラン1.50質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.01質量部を添加した以外は、実施例1と同様に管を作製した。
シラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.942g/cm3、MFRは2.3g/10minで、Mw/Mn=7.90であった。
管作製作業中架橋ポリエチレン特有の不快臭は認められなかった。管内滞留水のにおい官能試験の結果は「9」判定となった。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂に用いた。この密度は0.942g/cm3、MFRは6.5g/10minで、Mw/Mn=8.50であり、ビニルトリメトキシシラン1.40質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.20質量部を添加した以外は、実施例1と同様に管を作製した。
シラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.943g/cm3、MFRは6.7g/10minで、Mw/Mn=8.17であった。
管作製作業中及び得られた管に架橋ポリエチレン特有の不快臭がやや認められた。管内滞留水のにおい官能試験の結果は「8」判定となった。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂に用いた。この密度は0.942g/cm3、MFRは3.0g/10minで、Mw/Mn=2.57であり、ビニルトリメトキシシラン4.95質量部、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.0002質量部を添加した以外は、実施例1と同様に管を作製した。
シラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.942g/cm3、MFRは4.2g/10minで、Mw/Mn=1.52であった。
管作製作業中架橋ポリエチレン特有の不快臭は認められなかった。管内滞留水のにおい官能試験の結果は「10」判定となった。
実施例1と同じシングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ビニルトリメトキシシランの添加量を1.50質量部とした。
ラジカル発生剤を実施例1とは異なり、それぞれ2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ25B)、t−ブチルクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーブチルA)、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製、商品名パーブチルP)とし、他は実施例1と同じである。
管内滞留水のにおい官能試験の結果は、それぞれ「5」判定となった。なお、管作製時にはラジカル発生剤の分解生成物特有の不快臭がした。
実施例1と異なり、マルチサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂として用いた。このポリエチレンの密度は0.941g/cm3、MFRは3.5g/10minで、Mw/Mn=4.07である。ビニルトリメトキシシランの添加量を1.50質量部とし、その他については、実施例1と同じである。
得られたシラン架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンが、密度は0.942g/cm3、MFRは4.7g/10minで、Mw/Mn=1.82であった。
管内滞留水のにおい官能試験の結果は「3」判定となった。なお、管作製時は、ポリエチレンの不快な樹脂臭が認められた。
実施例1と異なり、比較例4と同様なマルチサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ビニルトリメトキシシランの添加量も比較例4と同じ1.50質量部とした。
ラジカル発生剤を実施例1とは異なり、それぞれ2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンとし、他は実施例1と同様にして管を作製した。
管内滞留水のにおい官能試験の結果は、それぞれ「1」、「1」、「2」判定となった。なお、管作製時は、ポリエチレンの樹脂臭に加えて、ラジカル発生剤の分解生成物特有の不快臭がした。
シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ラジカル発生剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイドを添加したものは、そのにおい官能試験の結果から、水へのにおいの付着がほとんど無いことが分かった。
たとえ、シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂としても、他のラジカル発生剤を使用した場合、管から水へのにおいの付着はまぬがれ得ない。また、マルチサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ラジカル発生剤としてジ−tert−ブチルパーオキサイドを添加しても同様ににおいの付着は甚だしい。
Claims (1)
- シングルサイト触媒を用いて重合されたポリエチレンをベース樹脂とし、ポリエチレン100質量部に対し、ジ−tert−ブチルパーオキサイド0.0002〜0.5質量部存在下でシラン化合物0.2〜5質量部を反応させることにより生成するシラングラフトポリエチレン樹脂組成物を成形し、架橋した架橋ポリエチレン管であって、温度上昇遊離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組み合わせたクロス分別装置を用いた測定において、総溶出量の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比が、前記のベース樹脂としてのポリエチレンでMw/Mnが2.51〜8.80であり、前記の架橋ポリエチレンのキシレン溶解分を乾燥させて得られるポリエチレンでMw/Mnが1.52〜8.17である架橋ポリエチレン管を給水・給湯管として用いる管内滞留水のにおい付着を防止した配管施工方法。
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