JP2008163213A - 機能性コーティング用組成物 - Google Patents

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Abstract


【課題】本発明の目的は機能剤の表面物性を十分に反映でき、かつ機能剤の担持性が大で、高温での耐久性に優れたコーティング用組成物を提供することにある。
【解決手段】コーティング用組成物の機能性フィラーの結着剤として耐熱性樹脂から作成される特定水分率の水膨潤フィブリル化繊維を使用することにより達成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性フィラーと耐熱性フィブリル化繊維とからなるコーティング用組成物に関する。
コーティング用組成物は、組成物中の機能剤を被コーティング材(以下、基材)上へ固着させ、基材の表面物性を改質したり、新しい機能を付与する目的で使用される。従来のコーティング用組成物はポリマー溶液中、溶融マトリックス樹脂中または熱可塑性樹脂の水分散体エマルジョン/ディスパージョン中に機能剤フィラーを分散させたものを基材上へ塗布しバインダー成分を硬化させることで機能剤を固着させるものであった。
近年、半導体製造・液晶製造等の先端産業では、製品の歩留まりや品質、信頼性を確保するため、クリーンルーム内における空気や製品表面の汚染制御が重要となっている。特に半導体産業分野では製品の高集積度化が進むにつれ、HEPA(High Efficienncy Particulate Air Filter)、ULPA(Ultra Low Particulate Air Filter)等を用いた粒子状汚染物質の制御に加え、イオン性ガス状汚染物質及びTOC(全有機炭素)の制御が不可欠となっている。イオン性ガス状汚染物質には、塩基性ガスや酸性ガスがある。このうち、例えば塩基性ガスであるアンモニアは、半導体製造時の露光工程において、露光時の解像性の悪化や、ウェハー表面の曇りの原因になるとされている。また、酸性ガスであるSOガスは、半導体製造時の熱酸化膜形成工程において、基板内に積層欠陥を引き起こしてデバイス特性や信頼性を悪化させる原因となる。
また、自動車製造工場では、塗装等に使用される塗料に含まれる有機溶剤が、印刷工場では、インクに含まれる有機溶剤が揮発する。そして、工場内の空気を大気へ排出する際には、排出規制値以下の濃度になるまで該有機溶剤ガスを除去しなければならない。
こうしたことの対策として、有害ガスや粒子状物質等の吸着性能の高いフィルターの開発が進められている。
例えば、特開2006−212509号公報では、被処理空気中の除去対象物を除去するために、イオン交換樹脂、活性炭、ゼオライト、金属酸化物触媒等の機能性フィラーを担持させたエアフィルタを作製する方法として、結着剤として熱可塑性樹脂を使用している。
しかし、機能性フィラーの表面特性が重要となるフィルター、吸着剤などの用途では、ポリマー溶液、溶融樹脂、熱可塑性樹脂などをバインダーとして使用した場合、通気抵抗が増大したり、フィラーの表面を樹脂が被覆してしまい、添加量に対して十分にフィラー物性を反映した材料が得られなかった。
また、バインダー成分の耐熱性が不十分であると、バインダー成分の耐熱性がボトルネックとなり高温に曝される用途ではその結着性が長期間維持されないといった問題があった。
特開2001−219023号公報や特開2001−239122号公報には吸着剤と繊維バインダー(特にフィブリル化したアラミド繊維)を含むスラリーを抄紙構造として積層された吸着板及びそれからなるフィルターが提案されている。確かにフィブリル化したアラミド繊維をバインダーとして用いることにより、耐熱性が高く且つ吸着剤の表面は従来のように樹脂結着剤によって覆われないため吸着力、吸着能が大幅に向上する。しかしながら用いられるフィブリル化アラミド繊維のフィブリルの吸着剤粒子の担持力、拘束力は強いものでなく、吸着板から脱落し易く耐久性に劣るという問題があった。
また、特開2004−92904号公報では、係合の安定化、摩擦安定化、耐熱性および耐久性の向上を目的として、繊維質基材(第1層)の表面にフェノール樹脂など繊維質バインダーを含まない結着材を使用して摩擦改質粒子を第1層に固着させ表面改質層(第2層)を形成させた摩擦材が提案されている。基材上に表面改質層を形成することで確かに上記目的を達成することが可能であるが、摩擦改質粒子の固着性が不十分であるため、使用を継続すると摩擦改質層が徐々に剥がれ落ちてしまうといった問題が生じている。
特開2006−212509号公報 特開2001−219023号公報 特開2001−239122号公報 特開2004−92904号公報
本発明の目的は機能剤の表面物性を十分に反映でき、かつ機能剤の担持性、拘束力が大で、コーティング層からの機能剤の脱落の少ないコーティング用組成物を提供することにある。
コーティング用組成物の機能性フィラーのマトリックスバインダーとして、特定耐熱性樹脂から作成される特定含水率の水膨潤フィブリル化繊維を使用することにより達成する。
本発明の水膨潤フィブリル化繊維は通常のフィブリル化繊維と異なり、フィブリルが1μm以下と微細で且つ加熱乾燥により収縮する性質があるため、コーティング用組成物の機能性フィラーのマトリックスバインダー(結着剤と略称する場合がある)として用いる時、加熱乾燥により機能性フィラーをフィブリル内に強力に担持し且つ拘束するため、機能性フィラーの表面特性を損なうことなく、脱落を防止し、コーティング層性能の持続性、耐久性を向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
一般的にフィブリル化繊維とは、繊維形成性重合体の単繊維をリファイナーやビーター、ミル、高圧ホモジナイザー、摩砕装置等の装置によりその主軸に沿って機械的、物理的にランダムに解裂して形成された多数のフィブリルを有する繊維状物を指すが、本発明でいう水膨潤フィブリル化繊維とは、一般的なフィブリル化繊維と異なり、フィブリッドと呼ばれる微小のフィブリルを有する薄葉状、鱗片状の小片、又は、ランダムにフィブリル化した微小短繊維で、且つ繊維の結晶構造が強固に形成されること無く、非結晶状態で水分子又は水分が結晶構造内に存在するようなものを指す。
そのような含水フィブリッドとしては、繊維形成性高分子重合体溶液を水系凝固浴に導入して得られた成形物を、乾燥することなく回収し、必要に応じて叩解等のフィブリル化処理することにより得られる。例えば、WO2004/099476 A1、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報等に記載された方法により、ポリマー重合体溶液をその沈澱剤と剪断力の存在する系において混合することにより製造されるフィブリッドや、特公昭59−603号公報に記載された方法により、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から成形した分子配向性を有する非晶質含水成形物であり、必要に応じて叩解処理を施すことができる。この叩解処理は、デイスクリファイナー、ビーター、その他の機械的切断作用を及ぼす抄紙原料処理機器によって実施することができる。
本発明の水膨潤フィブリル化繊維に使用する繊維形成性高分子重合体としては、溶液を水系凝固することが出来るものであれば差し支えないが、芳香族ポリアミド、中でもパラ型芳香族ポリアミドが耐熱性、強度、弾性率の点で好ましい。芳香族ポリアミドとは、アミド結合の60%以上、好ましくは85%以上が芳香環に直接結合した線状高分子化合物を意味する。このようなアラミドとしては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミドおよびその共重合体、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびその共重合体、ポリ(パラフェニレン)−コポリ(3,4−ジフェニルエーテル)テレフタルアミドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらのアラミドの中でも高耐熱性の観点から、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、もしくは、その共重合体であるポリ(パラフェニレン)−コポリ(3,4−ジフェニルエーテル)テレフタルアミドが適している。
本発明の水膨潤フィブリル化繊維のフィブリル径とは、上述した手法により製造される繊維状もしくはフィルム状の主軸からランダムに解裂して形成された枝分かれ繊維状部分の繊維径を示し、水膨潤フィブリル化繊維の径としては、本発明における水膨潤フィブリル化繊維の役割はフィラーをフィブリル網目内に担持拘束すること、機能性フィラー同士を結着させること、および基材へ固着させることであるため、この水膨潤フィブリル化繊維の繊維径は1μm以下、好ましくは0.1〜1μmである。フィブリル径が1μmを超えると、網目状構造内のフィブリル間の隙間が大きくなり過ぎて、フィラー微粒粉体を抱き込む効果が乏しくなる。また、フィブリル径が小さ過ぎるとフィブリルが切断し易くなる。フィブリル径の下限は0.1μm程度であることが好ましい。
水膨潤フィブリル化繊維の含水率は70〜99wt%が好ましい。含水率が70wt%未満の場合は、上記収縮作用、結着作用が不十分で、機能性フィラーの担持拘束や基材への固着、および機能性フィラー同士の結着が不十分となる。99%を超える場合はバインダーとしての強度が取れない。
本発明の水膨潤フィブリル化繊維の含水率(%)は以下の式によって算出される。
{(水膨潤時の繊維重量)−(絶乾時の繊維重量)}/(水膨潤時の繊維重量)*100
水膨潤フィブリル化繊維は繊維内部に多くの水を含み、乾燥時に膨潤水が繊維内から抜けることで大きく収縮すると共に結晶構造が形成され強度、耐熱性を発現する。この収縮と同時に繊維に担持された機能性フィラーを抱きこみ拘束し、かつ結着剤同士で強固に固着するので積層体としての強度が高まり、又積層する基材への接着強度も高まる。
通常のフィブリル化繊維は乾燥した短繊維にリファイナーやビーター、ミル、高圧ホモジナイザー、摩砕装置等を用いてフィブリルを形成するため、多量の水に浸してもその多くは繊維表面への吸着水であり、繊維内部に水分が入り込みにくい。そのため、乾燥時の収縮は少なく上記のようなフィラー担持力、結着作用が小さい。一方、水膨潤フィブリル化繊維はその製法に由来して繊維結晶構造内部に多くの水を含んでいるため乾燥と共に収縮及び結晶構造が発現し、上記のような機能性フィラー−基材間および機能性フィラー同士の結着作用を高めるバインダーとして効果的に働く。
本発明の水膨潤フィブリル化繊維は乾燥により収縮するが、乾燥収縮率としては10〜50%が好ましい。より好ましくは15〜40%である。乾燥収縮率が10%未満の場合は、収縮によるフィラーの抱き込み効果が低く、基材へコーティングした後のフィラーの脱落が大きい。一方、50%を超える場合は、基材へ該組成物をコーティングし乾燥した際に基材の反り返り等が生じ好ましくない。乾燥収縮率は下記に表される。対象とするフィブリル化繊維のみを用いて上記した公知の湿式抄造法により100g/mの紙を抄造し、抄造直後の湿紙シート面積と、その湿紙シートを無圧下、乾燥後のシート面積から算出する。
S=[(S1−S2)/S1]×100
S:乾燥収縮率(%)
S1:TAPPI式手漉き抄造マシーンを使用して得られた水膨潤フィブリル化繊維100g/mの湿紙状態でのシート面積
S2:120℃で5時間乾燥後のシート面積
本発明において機能性フィラーの水膨潤フィブリル化繊維への担持は、機能性フィラーが水膨潤フィブリル化繊維表面に発達しているフィブリル繊維に絡め取られることによる物理的作用が大きい。したがって、機能性フィラーの担持は、水膨潤フィブリル化繊維と機能性フィラーを水などの分散媒中で湿式混練することによってなされる。このとき水膨潤フィブリル化繊維はせん断力により分散媒中でフィブリルが広がり、フィラーを絡め取ると考えられる。その後乾燥により収縮するため、担持したフィラーを強く拘束することが出来る。
本発明でいう機能性フィラーとは、例えば粉体としては、活性炭、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、顔料、チタン、シリカ、シーライト、鉄、フェライト、ゼオライト、ガリウム、砒素、砂、土、すす、珪藻土フィラー、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、光酸化触媒チタン、トルマリン、モザナイト、さんご礁粉体、多孔質シリカ、キシリトール、蛍光染料樹脂粉末、お茶殻の粉体、キト酸粉体、シルクパウダー、各種抗菌剤、金、銀、銅、白金、コバルト、金属酸化物フィラー、窒化物フィラー、水素貯蔵合金、イオン交換樹脂等が挙げられ、有機から無機の化合物の幅広い粉体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。フィラーの形状としては、無定形粒状、球状、針状、繊維状、板状などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フィラーの粒子径としては、サブミクロン〜数10μmのものを捕捉しやすいが、これに限定されるものでは無い。例えば、サブミクロン以下の粉体であれば、水中で分散せず、浮遊するケースがあるが、このような場合は、超音波を使用するとか、アルコール類を少量添加するなどすることにより、水中への分散を可能とすることができれば、捕捉することができる。逆に、大きな粒状物質に対しても有用である。
以上の水膨潤フィブリル化繊維と機能性フィラーを水に分散させてコーティング組成物とする。ここで分散を容易にするために必要に応じ水に有機溶剤等を加えてもよい。
本発明の機能性コーティング用組成物を基材に積層する方法としては、フィラーと水膨潤フィブリル化繊維を水系スラリーとし、常法により湿式抄造して抄紙構造とし、基材と貼り合わせて積層体とすることもできるが、スラリーを適度な濃度に希釈して、スプレー装置により基材上にコーティングし、乾燥して積層体を形成することが好ましい。本発明の水膨潤フィブリル化繊維は繊維径が小さく、繊維長も短いものが多く、スプレー法で積層することが特に適している。基材としては不織布や織編物等の繊維構造物が好ましい。
本発明の機能性コーティング組成物の調整方法としては、まず機能性フィラーと水膨潤フィブリル化繊維を水を分散媒として分散させたスラリーを作製する。離解機などの公知の撹拌装置を用いて十分に離解することにより、各成分が均一に分散したスラリーを得ることができる。又効果を阻害しない範囲で機能性コーティング組成物と基材との接着性を向上させる目的でスラリーに樹脂バインダー成分を添加することもできる。
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお物性評価は下記の通り実施した。
燥収縮率の測定
1)乾燥収縮率
上記の方法で行った。
2)坪量: JIS L1096に準拠して行った。
3)比表面積
ガスによるBET法 (島津製作所製、フローソーブIII 2310)
得られた布帛状サンプルを10×5mmに切断後、測定セルに投入して測定を行った。
4)フィラーの脱落性
得られたサンプルのコーティング面を下にして、白い紙の上で垂直方向から3回叩き、白い紙の上に脱落した活性炭の有無を観察した。
[実施例1]
水膨潤フィブリル化繊維として90wt%の含水率を有する芳香族ポリアミドフィブリッド(帝人トワロン製、WO2004/099476の手法に準じて作製)を絶乾重量で6.25g秤量し、水1.5Lとともに公知の離解機を用いて3分間離解し、抄紙用スラリーを作製した。その後、寸法25×25cmのTAPPI式角型手漉きシートマシン(熊谷理機製)を使用して25×25cm角の手漉きシートを作製した。得られたシートを無圧下、120℃で5時間乾燥させたときの面積を測定し、フィブリル化繊維の乾燥収縮率を測定したところ、29.4%であった。
この水膨潤フィブリル化繊維を絶乾重量換算で50量部と粉末状活性炭(クラレケミカル製、RP−15(比表面積1250m/g))50重量部と水1000重量部を公知のミキサーを用いて湿式混練し、コーティング用組成物を得た。
得られたコーティング用組成物を公知の噴霧器に投入し、被コーティング基材(帝人テクノプロダクツ製、メタアラミド不織布、寸法;20×20cm、坪量;480g/m)上に均一に塗布した。このとき均一にコーティングできるように、被コーティング基材を白色の濾紙上に配置することで基材表面に液溜りが発生するのを抑制した。これを乾燥機にて120℃×2hrで十分に乾燥処理を施し、積層体を得た。
[実施例2]
実施例1において用いた水膨潤芳香族ポリアミドフィブリッドを絶乾重量換算で30重量部、粉末状活性炭を70重量部とした以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[実施例3]
水膨潤フィブリル化繊維として70wt%の含水率を有する芳香族ポリアミドフィブリッドを使用して乾燥収縮率を算出したところ、15.6%であった。
この水膨潤芳香族ポリアミドフィブリッドを絶乾重量換算で30重量部、粉末状活性炭を70重量部とした以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
[比較例1]
実施例1,2,3において被コーティング基材として用いた不織布を比較例1サンプルとした。(組成物のコーティングなし)
[比較例2]
実施例1の90wt%の含水率を有する芳香族ポリアミドフィブリッドを乾燥機で乾燥させ、水分率を40wt%とした芳香族ポリアミドフィブリッドの乾燥収縮率を算出したところ、8.9%であった。
この芳香族ポリアミドフィブリッドを用いた以外は実施例1と同様の方法で行った。
[比較例3]
実施例1において90wt%の含水率を有する芳香族ポリアミドフィブリッドの代わりに、水膨潤化繊維でないが、含水率60%の高度にフィブリル化したアラミドパルプ(帝人テクノプロダクト製 トワロン1094 )の乾燥収縮率を算出したところ、4.0%であった。
この高度にフィブリル化してはいるが水膨潤化フィブリル繊維でないアラミドパルプを用いた以外は実施例1と同様の方法で行った。
評価結果
実施例1,2,3および比較例1から、活性炭/コーティングの有無によって比表面積が大幅に向上している。これは含水率70wt%以上の芳香族ポリアミドフィブリッドが繊維状であるため、活性炭の細孔を被覆せずに基材に定着させていることを示唆している。
また、実施例1,2,3および比較例2,3積層体からの活性炭の脱落性の結果から、含水率が高い芳香族ポリアミドフィブリッドは、含水率の低いもの及び高度にフィブリル化したアラミドパルプと比べて活性炭粉末の担持力、拘束力が強く、又活性炭粉末同士および活性炭粉末−基材との結着力も優れるという、バインダーとしての効果が高いことを示唆している。これは含水率の高い水膨潤芳香族ポリアミドフィブリッドが乾燥時に収縮効果があるため単にバインダーとしての役割だけでなく収縮により活性炭粉末を把持する効果が大きいと考えられる。
又特に比較例2、3の場合は、基材を載せていた白色の濾紙をスプレーコーティング後に観察したところ、基材を敷いていた部分に多くの活性炭が付着していた。これは、スプレー時に活性炭が繊維から脱落しやすく、基材を通過したためと考えられる。含水率が低い水膨潤芳香族ポリアミドフィブリッドや水膨潤フィブリルを有しないアラミドパルプは、フィブリル繊維といってもそれ自体が乾燥処理によって、水膨潤フィブリルのような超微細なミクロフィブリルが減少或いは少なくなっているためと考えられる。それ故水膨潤フィブリル化繊維は本発明のスプレーコー−ティング積層法に適していることが分かる。
Figure 2008163213
本発明のコーティング組成物は例えば空気清浄機やクリーンルームにおける有害ガスや粒子状物等の効率的な除去フィルター等に使用される。また、繊維質バインダーを含んでいるため、摩擦材等の表面に珪藻土などの摩擦改質フィラー層を安定的に固着させることができる。

Claims (5)

  1. 機能性フィラーと水膨潤フィブリル化繊維と水を主体とする組成物において、下記要件を満足することを特徴とする機能性コーティング用組成物。
    a)該水膨潤フィブリル化繊維の含水率が70〜99wt%であること。
    b)該水膨潤フィブリル化繊維が1μm以下のフィブリル径を有すること。
  2. 該水膨潤フィブリル化繊維の融点または炭化温度が300℃以上である請求項1記載の機能性コーティング用組成物。
  3. 該水膨潤フィブリル化繊維が芳香族ポリアミド系繊維であることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項記載の機能性コーティング用組成物。
  4. 請求項1〜3記載の機能性コーティング用組成物の非水部分が基材上に積層されている積層体。
  5. 機能性フィラーと、含水率が70〜99wt%、フィブリル径が1μm以下の芳香族ポリアミド系水膨潤フィブリル化繊維を水系スラリーとし、基材上にスプレー塗布後乾燥させることを特徴とする積層体の製造方法。
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