JP2008162232A - 真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物 - Google Patents

真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP2008162232A
JP2008162232A JP2007000078A JP2007000078A JP2008162232A JP 2008162232 A JP2008162232 A JP 2008162232A JP 2007000078 A JP2007000078 A JP 2007000078A JP 2007000078 A JP2007000078 A JP 2007000078A JP 2008162232 A JP2008162232 A JP 2008162232A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
area
printed
region
printing
printed matter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007000078A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuko Sugimoto
杉本和子
Yasushi Ozaki
靖 尾▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Printing Bureau
Original Assignee
National Printing Bureau
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Printing Bureau filed Critical National Printing Bureau
Priority to JP2007000078A priority Critical patent/JP2008162232A/ja
Publication of JP2008162232A publication Critical patent/JP2008162232A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】貴重印刷物に適用される真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物に関する。
【解決手段】真偽判別可能な印刷物の作製方法において、紙基材1の表面の所定領域に表面改質手段によって、開口部を有するマスクを介して表面改質処理を施して、表面改質処理がされた表面改質処理領域3a及び表面改質未処理領域3bを形成し、表面改質処理領域3a及び表面改質未処理領域3bの上に印刷手段によって同一の網点を印刷することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、商品券又はカード等の偽造防止を必要とする貴重印刷物に適用される真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物に関するものである。
銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、商品券又はカード等の貴重印刷物は、その性質上、偽造や改ざんされないことが要求される。これら貴重印刷物の偽造防止策には、貴重印刷物に印刷模様を形成し、貴重印刷物を複写機で複写した場合に、印刷模様から潜像画像が出現する複写防止技術がある。また、貴重印刷物に赤外線吸収性色素を含むブラックインキと、赤外線吸収性色素を含まないインキを用いて印刷模様を形成し、赤外線領域で観察した場合に赤外線吸収性色素を含むブラックインキで形成した領域が確認できる真偽判別技術がある。さらに、貴重印刷物の印刷模様内に肉眼では確認できない識別情報を埋め込む電子透かし技術等が用いられている。
複写防止技術としては、基材の表面に例えば85線30%の網点である微細構成素子より成る文字を表示した潜像を銀インキによって印刷し、次にこの潜像以外の余白部に前述した潜像より粗又は密(例えば150線30%)の網点で印刷を施し、さらに、潜像の上面に彩紋や地紋等の印刷模様を施す複写による偽造防止に適する潜像入り印刷物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
赤外線領域で確認できる真偽判別技術としては、一つの第1の領域と、その第1の領域に隣接する一つの第2の領域とが複数組配置され、各々の第2の領域の周囲が、複数の第1の領域により囲まれ、第1の領域は、第2の領域より面積が大きく、第2の領域は、赤外線吸収性色素を含むブラックインキを用いて構成された第2aの領域と、赤外線吸収性色素を含まないインキを用いて構成された黒色系である第2bの領域とを有し、各々の第2の領域における第2aの領域と前記第2bの領域との比率に応じて、複数の第2の領域における第2aの領域により階調画像が構成されていることを特徴とする網点印刷物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
電子透かし技術としては、カラー画像の赤成分、緑成分、青成分の各成分にそれぞれ1ビットずつの識別情報を埋め込む識別情報埋め込み処理と、識別情報が埋め込まれたカラー画像をあらかじめ定められた解像度で出力する印刷処理とによって作製された識別情報が埋め込まれた印刷物であって、印刷物に同種または異種のカラー画像のデータが一つ以上出力されており、個々のカラー画像のデータごとに、それぞれ3ビットの識別情報が埋め込まれていることを特徴とする識別情報が埋め込まれた印刷物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭57−20395号公報(第1、2頁、第1−3図) 特許第3544536号公報(第1−10頁、第1−9図) 特開2002−157626号公報(第1−14頁、第1−13図)
しかしながら、特開昭57−20395号公報、特許第3544536号公報及び特開2002−157626号公報は、潜像画像や識別情報を印刷模様内に埋め込むために画像処理ソフトウェアで網点の径、配置又は形状を編集する必要があった。また、特許第3544536号公報は、赤外線吸収性色素を含むブラックインキと赤外線吸収性色素を含まないインキを用いる必要があった。また、このような印刷模様を作製するためには、画像処理ソフトウェアを使いこなす必要があり、熟練技術者でなければ作製することが困難であった。
本発明は、前述した問題点を解決することを目的としたもので、紙基材の表面に部分的に表面改質処理を施すことによってなされるもので、印刷模様内に埋め込み画像を埋め込む場合に画像処理ソフトウェアで網点の径、配置又は形状を編集する必要がなく、特殊なインキで印刷することなく、熟練技術者でなくとも容易に作製可能な真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物を提案するものである。
本発明は、真偽判別可能な印刷物の作製方法において、紙基材の表面の所定領域に表面改質手段によって、開口部を有するマスクを介して表面改質処理を施して、表面改質処理がされた表面改質処理領域及び表面改質未処理領域を形成し、表面改質処理領域及び表面改質未処理領域の上に印刷手段によって同一の網点を印刷することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製方法である。
また、本発明は、表面改質処理が、コロナ放電処理、オゾン処理又はプラズマ処理であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製方法である。
また、本発明は、真偽判別可能な印刷物の作製装置において、紙基材の表面の所定領域に表面改質処理領域及び表面改質未処理領域を形成するための開口部を有するマスクを介して表面改質処理を施す表面改質手段と、表面改質処理領域及び表面改質未処理領域の上に同一の網点が印刷される印刷手段を備えたことを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製装置である。
また、本発明は、表面改質処理が、コロナ放電処理、オゾン処理又はプラズマ処理であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製装置である。
また、本発明は、紙基材の表面に網点によって印刷模様が形成された真偽判別可能な印刷物であって、印刷模様は第1の印刷領域と第2の印刷領域から成り、第1の印刷領域と第2の印刷領域は、互いに近接又は隣接され、第1の印刷領域は紙基材の表面が表面改質処理領域から成り、第2の印刷領域は紙基材の表面が表面改質未処理領域から成り、表面改質処理領域上に印刷された第1の印刷領域の網点は、表面改質未処理領域上に印刷された第2の印刷領域の網点より大きく、真偽判別可能な印刷物は可視光下で肉眼で観察した場合に第1の印刷領域と第2の印刷領域を区分けして確認することができないことを特徴とした真偽判別可能な印刷物である。
また、本発明は、第1の印刷領域の網点の大きさは、第2の印刷領域の網点の大きさの1.10〜1.25倍であることを特徴とする真偽判別可能な印刷物である。
本発明は、表面改質処理領域及び表面改質未処理領域の上に印刷する手段が、同一の網点(色彩、径、間隔)を印刷する印刷設定であっても、表面改質処理領域である第1の印刷領域に形成される網点と、表面改質未処理領域である第2の印刷領域の網点の径が異なった印刷物が作製できる。
本発明の印刷物は可視光下で肉眼で観察した場合に第1の印刷領域と第2の印刷領域を区分けして確認することができない。また、第1の印刷領域及び第2の印刷領域の網点の違いも肉眼では確認できない。真偽判別方法として、レーザ顕微鏡で観察した場合に第1の印刷領域の網点は、第2の印刷領域の網点よりも大きい場合に「真」と判断し、同一の場合に「偽」と判断することで真偽判別が可能となる。
第1の印刷領域に形成される網点と、第2の印刷領域の網点の径の違いは、微細であるためプリンタ等で複製しようと試みても、第1の印刷領域に形成される網点を再現するが困難である。
本発明は、印刷模様内に埋め込み画像を埋め込む場合に画像処理ソフトウェアで網点の径、配置又は形状を編集する必要がないため、熟練技術者でなくとも容易に作製可能である。
特殊なインキで印刷することなく、インクジェットプリンタ等で作製可能であることから、低コストである。
本発明を実施するための最良の形態は、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
(真偽判別可能な印刷物)
図1に真偽判別可能な印刷物Aを示す。図1(a)に示すように紙基材1の表面に印刷模様2が形成され、印刷模様2は第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bから成る。第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bは、同一の網点で印刷される。同一の網点は、網点の色彩、網点の径及び網点の間隔が同一になるように、製版段階又はプリンタでの印刷設定で行われる。網点の径は40〜100μm程度であることが好ましい。図1(a)では、第1の印刷領域2aは第2の印刷領域2bに囲まれているが、本発明はこれに限定されることなく、第2の印刷領域2bは第1の印刷領域2aに囲まれていてもよく、また、第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bは、互いに近接又は隣接して形成することもできる。さらに、図1(a)では第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bで印刷模様2を形成しているが、複数の第1の印刷領域2aと複数の第2の印刷領域2bで印刷模様2を形成しても良い。印刷模様2、第1の印刷領域2a又は第2の印刷領域2bの形状については特に限定されるものではない。例えば、印刷模様2、第1の印刷領域2a又は第2の印刷領域2bは文字、記号、図柄及び絵柄等の形状で作製できる。印刷模様2は地紋模様に用いることが好ましい。
ここでいう、第1の印刷領域2aが第2の印刷領域2bに囲まれているとは、図2(a)に示すように第2の印刷領域2bの非印刷領域S1に第1の印刷領域2aが形成されることである。第2の印刷領域2bが第1の印刷領域2aに囲まれているとは、図2(b)に示すように第1の印刷領域2aの非印刷領域S2に第2の印刷領域2bが形成されことである。また、ここでいう、隣接とは、図2(c)に示す第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bが隣り合って接して形成されることである。また、ここでいう、近接とは、図2(d)に示す第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bが近い位置に形成されることである。
さらに、真偽判別可能な印刷物AのX−X’断面図を図1(b)に示す。第1の印刷領域2aは、基材の表面が表面改質処理領域3aから成り、第2の印刷領域2bは、紙基材1の表面が表面改質未処理領域3bから成る。
紙基材1は塗工紙又は光沢紙が好ましい。また、表面改質処理後の表面改質処理領域3aは、表面改質未処理領域3bに比べて親水基の増加率が20〜30%であることが好ましい。
表面改質処理領域3aと表面改質未処理領域3bの動的接触角は異なっている必要があり、表面改質処理領域3aの動的接触角は、表面改質未処理領域3bの動的接触角よりも低い接触角度を有する必要がある。
このように、表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2a及び表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bは、図1(a)の真偽判別可能な印刷物Aの一部拡大図である図1(c)に示すように網点の径が異なって形成される。図1(c)に示すように表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点4aは、表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点4bよりも網点の径が大きくなる。さらに、表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの一部又は全部の網点4aは、互いに近傍する網点同士の一部が接していることが好ましい。表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点の形状は、互いに近傍する網点同士が接していないことが好ましい。第1の印刷領域2aの網点の径は、第2の印刷領域2bの網点の径の1.10〜1.25倍程度が好ましい。1.10倍より小さい場合は、互いに近傍する網点4a同士の一部が接することなく、後述するレーザ顕微鏡で観察した場合に表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点4aと、表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点4bの差異が判断し難い状態となる。1.25倍より大きい場合は、後述する第1の印刷領域2a及び第2の印刷領域2bを区分けして視認される状態となる。
第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bは、同一の網点が印刷される製版又はプリンタでの設定で印刷されるが、網点4aの径は網点4bよりも大きい。表面改質処理領域3aは、表面改質未処理領域3bより濡れ指数が向上している。このため、表面改質処理領域3a上に印刷される第1の印刷領域2aの網点4aは、網点4bよりもにじむ状態となる。よって、網点4aの径は網点4bの径よりも大きくなる。
表面改質処理領域3aと表面改質未処理領域3bは、同一の網点が印刷される製版又はプリンタでの設定で印刷され、第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bが形成される。同一の網点は、網点の色彩、網点の径及び網点の間隔が同一になるように、製版段階又はプリンタでの印刷設定で行われる。色彩については特に限定されることなくCMYKの少なくとも一色で印刷可能である。印刷濃度については、地紋模様に適用可能な個々の網点が接することがない薄い色彩が好ましい。第1の印刷領域と第2の印刷領域を形成する印刷方式は、インクジェット印刷、オフセット印刷等が適用可能であり、特にインクジェット印刷が好ましい。例えば、インクジェットプリンタでは、赤(R)225、緑(G)253、青(B)253、色合い(U)0、鮮やかさ(S)253、明るさ(L)254の印刷設定で印刷を施す。
図3に示すように真偽判別可能な印刷物Aは可視光下で肉眼で観察した場合、第1の印刷領域2a及び第2の印刷領域2bから成る印刷模様2が確認でき、第1の印刷領域2aの網点4a及び第2の印刷領域2bの網点4bの径の違いは肉眼で確認することができない。さらに、第1の印刷領域及び第2の印刷領域を区分けして確認することができない。これは、第1の印刷領域2aの網点4aと第2の印刷領域2bの網点4bが微細であり、さらにその網点形状の違いがわずかであるからである。
真偽判別可能な印刷物Aを複写機で複写した場合は、網点4aと網点4bの微細な違いは再現されることなく、表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点4aと、表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点4bは、同一の網点で複写される。よって、レーザ顕微鏡で観察した場合に複写物であることが容易に判断できる。
(真偽判別可能な印刷物の真偽判別方法)
真偽判別可能な印刷物の真偽判別方法について図4を用いて説明する。図4はレーザ顕微鏡等の拡大写真であり、図4(a)は表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点であり、図4(b)は表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点である。表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点4aは、表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点4bよりも網点の径が大きいことがわかる。また、表面改質未処理領域3b上に印刷された第2の印刷領域2bの各々の網点4bは互いに接することがない。これに対して、表面改質処理領域3a上に印刷された第1の印刷領域2aの一部の網点4aは、互いに近傍する網点4a同士の一部が接している。このように網点4aと網点4bに差異を有して確認できた場合は、「真」と判断し、確認できなかった場合は「偽」と判断して、真偽判別可能な印刷物の真偽判別を行う。
(真偽判別可能な印刷物の作製方法)
真偽判別可能な印刷物の作製方法について図5を用いて説明する。ステップ1で紙基材の表面の所定領域に表面改質手段によって、開口部を有するマスクを介して表面改質処理を施し、表面改質処理がされた表面改質処理領域及び表面改質未処理領域を形成する。
表面改質手段は、コロナ放電処理、オゾン処理又はプラズマ処理等、特に限定されるものではない。
コロナ放電処理とは、高周波高電圧を利用して発生させた電子を素材表面に衝突させることである。例えば、プラスチックは表面にカルボニル基等が生成され、濡れ性が向上し、接着力が向上することが知られている。コロナ放電処理の電圧は10KV又は12KVである。
紙基材は塗工紙、光沢紙が好ましい。また、表面改質処理後の表面改質処理領域3aは表面改質未処理領域3bに比べて親水基の増加率が20〜30%であることが好ましい。
表面改質処理領域と表面改質未処理領域の動的接触角は、異なっている必要があり、表面改質処理領域の動的接触角は、表面改質未処理領域の動的接触角よりも低い接触角度を有する必要がある。
開口部の形状は、図2(a)に示すような第2の印刷領域2bに第1の印刷領域2aが囲まれている形態の場合、第1の印刷領域2aの形状と同一である必要がある。図2(b)に示すような第1の印刷領域2aに第2の印刷領域2bが囲まれている形態の場合、第1の印刷領域2aの形状と同一又は、第1の印刷領域2aの形状よりも大きい形状にする必要がある。また、図2(c)に示すように隣接された場合は、第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bが接する領域の形状は第1の印刷領域2aの形状と同一であり、接していない領域の形状は、第1の印刷領域2aの形状と同一又は第1の印刷領域2aの形状よりも大きい形状にする必要がある。また、図2(d)に示すような近接された場合は、第1の印刷領域2aと同一又は第1の印刷領域2aの形状よりも大きい形状にする必要がある。ただし、第1の印刷領域2aの形状よりも大きい形状にする場合は、第2の印刷領域2bに入り込まないように形成する必要がある。開口部を有するマスクの材質は、金属を除く、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂、天然樹脂、さらに紙等であってもよい。
ステップ1で得られた表面改質処理領域及び表面改質未処理領域の上にステップ2で印刷手段によって同一の網点を印刷する。同一の網点は、網点の色彩、網点の径、網点の間隔が同一になるように、製版段階又はプリンタでの印刷設定で行われ、表面改質処理領域上に第1の印刷領域、表面改質未処理領域上に第2の印刷領域が形成される。ステップ1及びステップ2によって表面改質処理領域上に印刷された第1の印刷領域と前記表面改質未処理領域上に印刷された第2の印刷領域の網点の径が異なっていることを特徴とする真偽判別可能な印刷物が得られる。表面改質処理領域上に印刷される第1の印刷領域の網点が、表面改質未処理領域上に印刷される第2の印刷領域の網点よりも滲み量が多いため、第1の印刷領域の網点は第2の印刷領域の網点よりも大きい網点となる。
色彩については特に限定されることなくCMYKの少なくとも一色で印刷可能である。 印刷濃度については地紋模様に適用可能な個々の網点が接することがない薄い色彩が好ましい。第1の印刷領域と第2の印刷領域を形成する印刷方式はインクジェット印刷又はオフセット印刷等が適用可能であり、特にインクジェット印刷が好ましい。例えば、インクジェットプリンタでは、赤(R)225、緑(G)253、青(B)253、色合い(U)0、鮮やかさ(S)253、明るさ(L)254の印刷設定で印刷を施す。
(真偽判別可能な印刷物の作製装置)
図6に示すように真偽判別可能な印刷物の作製装置10は、紙基材1は搬送手段11によって搬送され、紙基材1の表面の所定領域に表面改質処理領域3a及び表面改質未処理領域3bを形成するための開口部12を有するマスク13を介して表面改質処理を施す表面改質手段14を有する。
表面改質処理領域3a及び表面改質未処理領域3bの上に同一の網点が印刷される印刷手段15を備える。搬送手段11の下部には処理ローラ16を備える。同一の網点は、網点の色彩、網点の径、網点の間隔が同一になるように、製版段階又はプリンタでの印刷設定で行われ、表面改質処理領域上に第1の印刷領域、表面改質未処理領域上に第2の印刷領域が形成される。また、個々の網点が接することがない薄い印刷設定であることが好ましい。
表面改質手段は、コロナ放電処理、オゾン処理又はプラズマ処理等、特に限定されるものではない。
コロナ放電処理とは、高周波高電圧を利用して発生させた電子を素材表面に衝突させることである。例えば、プラスチックは表面にカルボニル基等が生成され、濡れ性が向上し、接着力が向上することが知られている。コロナ放電処理の電圧は10KV又は12KVである。
印刷手段15は第1の印刷領域及び第2の印刷領域に同一の網点(色彩、径、間隔)で印刷できれば良い。インクジェット印刷、オフセット印刷等が適用可能であり、特にインクジェット印刷が好ましい。
開口部12の形状及びマスク13の材質は、前述した真偽判別可能な印刷物の作製方法の説明と同様である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み65μm、坪量54.9g/mの紙基材(Npiコート:日本製紙社製)に、コロナ発生装置(マルチダイン1:ナビタス社製)を用いて、コロナ放電処理を処理電圧12kV、処理速度18mm/sec、板間距離14mmで行なった。図7は、紙基材1に部分的なコロナ放電処理を施した図である。図7は紙基材1に、塗工紙の一部分を切り抜いて開口部12を形成したマスク13を重ねて、その上から前述の設定でコロナ発生装置14によってコロナ放電処理した。コロナ放電処理領域8aと、コロナ放電未処理領域8bが作製された。
紙基材1に形成したコロナ放電処理領域8aと、コロナ放電未処理領域8bについて接触角計(fFACE CA−X型:協和界面化学社製)により網点を形成する皮膜の動的接触角を測定し、コロナ放電処理による濡れ性の変化を測定した。図8は濡れ性の変化を示している。コロナ放電未処理領域8bの動的接触角は、0〜30秒後にかけて、約95〜80°であり、コロナ放電処理領域8aの動的接触角は、0〜30秒後にかけて、約30°であった。コロナ放電未処理領域8bの動的接触角は、コロナ放電未処理領域8aの動的接触角に比べ、低い値を示しており、濡れ性が大幅に増加していることが認められた。
コロナ放電処理領域8aについてESCA(PHI−5600ciパーキンエルマー社製)により、試料最表面の化学結合状態を測定した。X線源としてMgKα線を15kV−200Wの出力で使用し、測定時の真空度は約10−6、分析面積は800μmφ、光電子の取り込み角度を45°として測定を行なった。図9に、紙表面の化学結合状態を測定した結果を示す。コロナ放電処理後のスペクトル9aは、処理前のスペクトル9bに比べて、親水性のカルボキシル基(−COOH)などの官能基が結合したことにより、高エネルギー側にシフトしていることが確認された。コロナ放電処理領域8aはコロナ放電未処理領域8bに比べて親水基の増加率が20〜30%であった。
次に、紙基材1の部分的に表面改質されたコロナ放電処理領域8aとコロナ放電未処理領域8bに印刷を施した。コロナ放電処理領域8a上の一部に印刷された第1の印刷領域2aとし、コロナ放電未処理領域8b上の一部に印刷された第2の印刷領域2bとし、英字Aから成る印刷模様2を形成し真偽判別可能な印刷物B1を作製した。印刷方式は、染料タイプのインクジェットプリンタ(PM−740DU:EPSON社製)を使用し、色の設定は、赤(R)225、緑(G)253、青(B)253、色合い(U)0、鮮やかさ(S)253、明るさ(L)254にして印刷を行なった。
図10(a)に真偽判別可能な印刷物B1とその一部のレーザ顕微鏡写真を示す。図10(a)に示すように第2の印刷領域2bの網点4bは、二つの網点が接することなく、ある程度の間隔を保って印刷された。それに対して、第1の印刷領域2aの網点4aは紙の濡れ性が向上する影響で、網点の径が広がるため、近傍した網点同士が接して形成された。第2の印刷領域2bの網点4bの径は50〜80μmであり、第1の印刷領域2aの網点4aの径は60〜100μm程度であった。第1の印刷領域2aの網点4aの径は、第2の印刷領域2bの網点4bより1.2倍程度増加していることがわかった。
図10(b)に示すように真偽判別可能な印刷物B1は可視光下で肉眼で観察した場合、第1の印刷領域2a及び第2の印刷領域2bから成る印刷模様2が確認できた。また、第1の印刷領域2aの網点4a及び第2の印刷領域2bの網点4bの違いが肉眼で確認することができず、さらに第1の印刷領域及び第2の印刷領域を区分けして確認することはできなかった。
(実施例2)
実施例1に示したプリンタとは異なる機種(deskjet990CXI:HEWLETT PACKARD社製)を使用し、真偽判別可能な印刷物B2を作製した。なお、プリンタの機種以外は実施例1と同様な材料及び装置を用いて作製した。真偽判別可能な印刷物B2の第2の印刷領域2bの網点4bの径は40〜45μmであり、第1の印刷領域2aの網点4aの径は50〜56μm程度であった。第1の印刷領域2aの網点4aの径は、第2の印刷領域2bの網点4bより1.25倍程度増加していることがわかった。
真偽判別可能な印刷物B1及び真偽判別可能な印刷物B2の第1の印刷領域及び第2の印刷領域の網点の形状の評価を行った。第1の印刷領域の網点と第2の印刷領域の網点の大きさについては、全ての網点において第1の印刷領域の網点と第2の印刷領域の網点の径が違うものを○、一部の網点において第1の印刷領域の網点と第2の印刷領域の網点の径が違うものを△、第1の印刷領域の網点と第2の印刷領域の網点の径が同じものを×、という3段階によって顕微鏡写真での目視評価を行った。第1の印刷領域の網点形状については、互いに近傍する網点同士の一部が接している網点を有するものを○、互いに近傍する網点同士の一部が接しているものと、接していいない網点を有するものを△、互いに近傍する網点同士が接していないものを×、という3段階によって顕微鏡写真での目視評価を行った。第2の印刷領域の網点形状については互いに近傍する網点同士が接していないものを○、互いに近傍する網点同士の一部が接しているものと、接していない網点を有するものを△、互いに近傍する網点同士の一部が接している網点を有するものを×、という3段階によって顕微鏡写真での目視評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2008162232
真偽判別可能な印刷物B1及びB2は、コロナ放電処理領域8a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点の径と、コロナ放電未処理領域8b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点の径では、第1の印刷領域2aの網点の径の方が大きかった。真偽判別可能な印刷物B1の第1の印刷領域の網点は互いに近傍する網点同士の一部が接している網点を有し、第2の印刷領域の網点は互いに近傍する網点同士の一部が接しているものと、接していない網点を有していた。真偽判別可能な印刷物B2の第1の印刷領域の網点は互いに近傍する網点同士の一部が接しているものと、接していない網点を有し、第2の印刷領域の網点は互いに近傍する網点同士が接することがなかった。
(実施例3)
実施例1に示した塗工紙(Npiコート:日本製紙社製)以外の3種類の塗工紙(OK金藤N、サテン金藤N、OKトップコートN:王子製紙社製)を用いて、真偽判別可能な印刷物B3、B4、B5を作製した。なお、塗工紙の種類以外の仕様に関しては実施例1と同様な材料、装置を用いて作製した。真偽判別可能な印刷物B3は、OK金藤Nで作製し、真偽判別可能な印刷物B4は、サテン金藤Nで作製し、真偽判別可能な印刷物B5は、OKトップコートNで作製した。真偽判別可能な印刷物B3、B4、B5の第1の印刷領域及び第2の印刷領域の網点の形状の評価を行った。評価方法については実施例2と同様な方法で行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2008162232
真偽判別可能な印刷物B3、B4及びB5は、コロナ放電処理領域8a上に印刷された第1の印刷領域2aの網点の径と、コロナ放電未処理領域8b上に印刷された第2の印刷領域2bの網点の径では、第1の印刷領域2aの網点の径の方が大きかった。また、真偽判別可能な印刷物B3、B4及びB5の第1の印刷領域の網点は互いに近傍する網点同士の一部が接している網点を有し、第2の印刷領域の網点は互いに近傍する網点同士の一部が接しているものと、接していない網点を有していた。
真偽判別可能な印刷物A及びその断面図並びに一部拡大した模式図である。 第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bの関係を示す説明図である。 真偽判別可能な印刷物Aを可視光下で肉眼で観察した場合を示す図である。 真偽判別可能な印刷物の第1の印刷領域2aと第2の印刷領域2bのレーザ顕微鏡等の拡大写真を示す図である。 真偽判別可能な印刷物の作製方法についての説明図である。 真偽判別可能な印刷物の作製装置を示す図である。 紙基材1に部分的なコロナ放電処理を施した図である。 コロナ放電処理による濡れ性の変化を示した図である。 コロナ放電処理による紙表面の化学結合状態の変化を示した図である。 真偽判別可能な印刷物B1を示す図である。
符号の説明
1 紙基材
2 印刷模様
2a 第1の印刷領域
2b 第2の印刷領域
3a 表面改質処理領域
3b 表面改質未処理領域
4a 第1の印刷領域の網点
4b 第2の印刷領域の網点
8a コロナ放電処理領域
8b コロナ放電未処理領域
9a コロナ放電処理領域の炭素の結合エネルギーのスペクトル
9b コロナ放電未処理領域の炭素の結合エネルギーのスペクトル
10 真偽判別可能な印刷物の作製装置
11 搬送手段
12 開口部
13 マスク
14 表面改質手段
15 印刷手段
16 ローラ
A、B1、B2、B3、B4、B5 真偽判別可能な印刷物
S1、S2 非印刷領域

Claims (6)

  1. 真偽判別可能な印刷物の作製方法において、紙基材の表面の所定領域に表面改質手段によって、開口部を有するマスクを介して表面改質処理を施して、前記表面改質処理がされた表面改質処理領域及び表面改質未処理領域を形成し、前記表面改質処理領域及び前記表面改質未処理領域の上に印刷手段によって同一の網点を印刷することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製方法。
  2. 前記表面改質処理が、コロナ放電処理、オゾン処理又はプラズマ処理であることを特徴とする請求項1記載の真偽判別可能な印刷物の作製方法。
  3. 真偽判別可能な印刷物の作製装置において、紙基材の表面の所定領域に表面改質処理領域及び表面改質未処理領域を形成するための開口部を有するマスクを介して表面改質処理を施す表面改質手段と、前記表面改質処理領域及び前記表面改質未処理領域の上に同一の網点を印刷する印刷手段を備えたことを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作製装置。
  4. 前記表面改質処理が、コロナ放電処理、オゾン処理又はプラズマ処理であることを特徴とする請求項3記載の真偽判別可能な印刷物の作製装置。
  5. 紙基材の表面に網点によって印刷模様が形成された真偽判別可能な印刷物であって、前記印刷模様は第1の印刷領域と第2の印刷領域から成り、前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域は、互いに近接又は隣接され、前記第1の印刷領域は前記紙基材の表面が表面改質処理領域から成り、前記第2の印刷領域は前記紙基材の表面が表面改質未処理領域から成り、前記表面改質処理領域上に印刷された第1の印刷領域の網点は、前記表面改質未処理領域上に印刷された第2の印刷領域の網点より大きく、前記真偽判別可能な印刷物は可視光下で肉眼で観察した場合に前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域を区分けして確認することができないことを特徴とした真偽判別可能な印刷物。
  6. 前記第1の印刷領域の網点の大きさは、前記第2の印刷領域の網点の大きさの1.10〜1.25倍であることを特徴とする請求項5記載の真偽判別可能な印刷物。
JP2007000078A 2007-01-04 2007-01-04 真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物 Pending JP2008162232A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007000078A JP2008162232A (ja) 2007-01-04 2007-01-04 真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007000078A JP2008162232A (ja) 2007-01-04 2007-01-04 真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008162232A true JP2008162232A (ja) 2008-07-17

Family

ID=39692333

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007000078A Pending JP2008162232A (ja) 2007-01-04 2007-01-04 真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008162232A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110214828A1 (en) * 2008-10-10 2011-09-08 Arjowiggins Security Process for making a security document
JP2017124626A (ja) * 2009-10-14 2017-07-20 キシレコ インコーポレイテッド 紙製品のマーキング法
US10410453B2 (en) 2014-07-08 2019-09-10 Xyleco, Inc. Marking plastic-based products

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110214828A1 (en) * 2008-10-10 2011-09-08 Arjowiggins Security Process for making a security document
JP2017124626A (ja) * 2009-10-14 2017-07-20 キシレコ インコーポレイテッド 紙製品のマーキング法
JP2018111307A (ja) * 2009-10-14 2018-07-19 キシレコ インコーポレイテッド 紙製品のマーキング法
US10380388B2 (en) 2009-10-14 2019-08-13 Xyleco, Inc. Marking paper products
US10410453B2 (en) 2014-07-08 2019-09-10 Xyleco, Inc. Marking plastic-based products

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008213242A (ja) 偽造防止印刷物
JP2008517485A (ja) スキャンに耐えるセキュリティ模様を具えるドキュメント
KR20140133860A (ko) 프린트의 진위를 검사하기 위한 보안 요소 및 방법
JP2010110943A (ja) 印刷物、印刷物の真偽判別方法及び真偽判別プログラム
JP2008162232A (ja) 真偽判別可能な印刷物の作製方法、作製装置及びその印刷物
EP1389537B1 (en) Forgery preventing printed matter having flip-flop or color flip-flop characteristic
JP2002154262A (ja) 有価証券類
JP5585915B2 (ja) 真偽判別可能な印刷物及びその該印刷物の認証方法
JP4682282B2 (ja) 彩紋の一部に文字を有する印刷物
JP6656695B2 (ja) すかし入り用紙及びその製造方法
JPH0353970A (ja) 凹版印刷物及びその印刷方法
JP5544540B2 (ja) 潜像凹版印刷物の作製方法
JP3495822B2 (ja) 複写防止印刷物
JP3495829B2 (ja) 複写防止印刷物およびその製造方法
KR101470619B1 (ko) 복사 위조방지용 잠상원도 제조방법
Tkachenko et al. Authentication of Medicine Blister Foils: Characterization of the Rotogravure Printing Process.
KR100574871B1 (ko) 복사 및 컴퓨터 프린팅에 의한 위조 방지용 용지, 이의제조방법 및 필터 인식기를 이용한 위조 여부 확인방법
RU2392125C2 (ru) Носитель данных с полутоновым изображением
JP4595068B2 (ja) 真偽判別可能な印刷物
JP2006205625A (ja) コピー牽制印刷物
GB2411862A (en) Printed security information using numismatics
JP2005171429A (ja) 透かし入り用紙
JP2004262167A (ja) 偽造防止帳票
JP5652787B2 (ja) 真偽判別可能な印刷物及びその該印刷物の認証方法
JP5190621B2 (ja) 秘匿情報を有する偽造防止印刷物