JP2008161939A - 接着剤を伴う金属製詳細部の面を補修する熱管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着接合の機能を退化させることなく、さらに金属製詳細部を補修している間に、熱により基材に損傷を与えることなく、下に位置する基材に接着接合された金属製詳細部を寸法補修できる方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの接着剤を伴う金属製詳細部の面の補修を可能にする熱管理方法は、金属製詳細部上の少なくとも1つの損傷領域を準備するステップと、金属製詳細部が接合された接着剤または接着剤の近傍の面領域上に少なくとも1つの熱管理構成要素を配置するステップと、少なくとも面領域と接着剤をマスキング剤でマスキングするステップと、接着剤、基材、またはこれらの間の接合境界面を劣化させ得る温度より低い加工温度で製品上に配置された金属製詳細部の面を寸法補修するステップとを含んでいる。
【選択図】図4

Description

本発明は、基材に接着された金属製詳細部の補修に関し、より詳細には、基材に接着結合された金属製詳細部が、基材に接着された状態で寸法が補修されるようにする非侵襲性(non−invasive)の熱管理方法に関する。
接着接合は、金属製詳細部を金属、セラミック、木材または複合材料の面のような基材に接合する手段として長い間使用されている。使用中に、金属製詳細部が磨耗した場合に、寸法補修は、接着剤を剥がし、詳細部を基材から分離し、金属製詳細部を補修または交換し、この詳細部を基材に再接着することによって一般的に実施される。従来技術として図1Aおよび図1Bに示されるように、この方法は、金属製詳細部12の除去中に、基材10が損傷を受ける傾向がある。損傷は、フィレット14の形状(geometry)20の変更やフィレット14および金属製詳細部12の接合面18での剥離つまり分離によって生じる。さらに、金属製詳細部12は、基材10上の適切な位置および方向に正確に再取付されるように工具を必要とする。
したがって、接着接合の機能を退化させることなく、さらに金属製詳細部を補修している間に、熱により基材に損傷を与えることなく、下に位置する基材に接着接合された金属製詳細部を寸法補修できる方法が必要である。
本発明の1つの様態において、少なくとも1つの接着剤を伴う金属製詳細部の補修を可能にする熱管理方法は、金属製詳細部上の少なくとも1つの損傷領域を準備するステップと、接着剤または金属製詳細部が接合される接着剤の近傍の面領域上に少なくとも1つの熱管理構成要素を配置するステップと、面領域と接着剤の少なくとも1つにマスキング剤を塗布するステップと、接着剤、基材、またはこれらの間の接合境界面を劣化させ得る温度より低い加工温度で製品上に配置された金属製詳細部を寸法補修するステップとを含んでいる。
図2および図3を参照すると、製品30は、基材32と、接着剤34によってこの基材に接着された金属製詳細部36とを備える。接着剤34は、金属製詳細部36を複合材料や、アルミニウム、マグネシウムなどの低融点合金からなる下の基材32に取り付けるために必要とされている。一般的に、これらの金属製詳細部36は、約300°F(約149℃)以下の最高運転使用温度を有する。この最高運転使用温度によって、ウレタン、エポキシ、シリコンのような一般の接着剤の利用が溶接の代替として利用可能となる。この結果、多数の金属製詳細部36が溶接によって接合される代わりに基材に接着される。例えば、基材32は接合面40つまり接着境界面において、接着剤34によってフィレット(fillet)38の外側部分に接着され、金属製詳細部36は、接合面40において、接着剤34によってフィレット38の内側部分に接着される。金属製詳細部36が、補修領域44に少なくとも1つの損傷領域42を有する場合に、金属製詳細部36の損傷した特徴部や詳細部は、本明細書で説明されるような例示的な熱管理方法を用いて補修や寸法補修され、金属製詳細部36を基材32から物理的に分離することを不要にする。
図4を参照すると、基材に接着された金属製詳細部を補修する本発明による一般的な例示の熱管理方法を表したフローチャートが示されている。この例示の熱管理方法は、一組の面準備ステップ50および一組の寸法補修ステップ60を備えている。当業者に知られているように、損傷領域42は、金属製詳細部36の詳細部や特徴部の補修以前に準備される。一般的に、この準備作業は、図4のステップ52において、金属製詳細部36の損傷領域42(図3)の少なくとも一部分を除去するステップを最初に含んでいる。この除去ステップは、当業者に知られている適切な機械加工で実施されてもよい。次に、図4のステップ54において、当業者に知られている第1のマスキング剤を製品に塗布する。このマスキング剤は、接着剤34および基材32の近傍の少なくとも露出した面領域に塗布される。第1のマスキング剤の塗布方法は、当業者に知られている適切な方法で実施されてもよい。露出した接着剤34およびその近傍の面領域39が塗布された後に、図4のステップ55において、損傷領域42は、当業者に知られている適切な洗浄方法を用いて洗浄される。例えば、グリッドブラストが寸法補修を要する金属製詳細部36の面を洗浄するのに使用されてもよい。その後、図4のステップ56において、当業者に知られている適切なマスキング剤除去方法を用いて第1のマスキング剤を除去する。
図4および図5を参照すると、図4のステップ58において、少なくとも1つの熱管理構成要素が、面86の少なくとも一部分、あるいは実質的に全てつまり全体に任意選択的に積層される。ここで面86は、接着剤34および製品の近傍の面領域39が露出した面である。チルブロック70のような熱管理構成要素は、一般的に当業者に知られている。例えば、少なくとも1つのチルブロック70が、面領域39や接着剤34上に直接置かれてもよい。任意選択的に、追加のチルブロック70を、図5に見られるように、基材32の近傍の他の領域や、接着剤34の反対にある基材面74のように接着剤34が実質的にあるいは全く無い基材面に配置してもよい。任意に追加するチルブロック70は、図6に示されるように、金属製詳細部36の外側面86および反対側の寸法補修領域84からなる開口部82の端部80の近傍または上に配置されてもよい。
ここで、再び図4を参照すると、このような熱管理構成要素が所定の位置に置かれた後に、寸法補修ステップが実行される。当業者に知られているような第2のマスキング剤あるいは一連の第2のマスキング剤を熱管理構成要素70の面76と、熱管理構成要素70の近傍の面領域とに適用する。この第2のマスキング剤は、面76および接着剤34を効果的に保護し、補修処理中のアッセンブリ30またはその構成要素、もしくは接着剤34の熱による劣化を防止または軽減する。
図4のステップ62において、第2のマスキング剤が設けられる際に、断熱材をマスキングすべき領域上に配置し、当業者に知られている第2のマスキング剤を断熱材上に設けるようにしてもよい。航空産業で使用されることを許可された典型的な接着剤は、約200°F(93℃)〜約600°F(316℃)の温度に耐えることができる。例えば、許可されたエポキシは約300°F(149℃)まで、許可されたシリコンは約500°F(260℃)までの温度で熱的に安定であり、許可されたポリイミドは約600°F(316℃)を超える動作温度に耐えることができる。一般的に、前述の最高動作温度の範囲内にある航空産業で許可された接着剤は、エポキシ、ポリエステル、シアノアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、およびこれらの組み合わせを含んでいる。必要であれば、断熱材は接着剤または基材より高い温度に耐えられる任意の断熱材であってもよい。一般的に、断熱材は、それぞれの最高動作温度を超過しないように、接着剤34または基材32への熱の流れを十分減少させる量で存在する。
本発明の例示のステップ中に、接着剤34およびその下に位置する基材32の温度を、例えば、当業者に知られているような熱電対72、または赤外線温度計の従来の装置を用いて監視するようにしてもよい。例えば、熱電対は、補修ステップ中の温度を監視するために、少なくとも1つのリード線(図示せず)を用いて、少なくとも接着剤34または基材32に取り付けられてよい。図5に示されるように、任意選択的に、温度表示装置は、寸法補修ステップ中にこの表示装置を視認できるようにフィレット38の面に取り付けてもよい。寸法補修ステップは、測定温度が、接着剤や基材や接合面が劣化し始める温度、または必要であれば、これらの3つの温度の全てより低く予め設定された温度に近づいた場合には、ステップが完了する以前に、速度を遅くされる、または終了されてもよい。
ステップ62において、マスキング剤を塗布するステップが完了すると、図4のステップ64において、寸法補修つまり積層される。1つまたは複数の金属製詳細部36を寸法補修する適切な金属追加方法は、限定はしないが、溶射、プラズマ蒸着、デュアルワイヤアーク溶射(dual wire arc)、蒸着、メッキ、肉盛り溶接、および当業者に知られている他の方法を含んでよい。一般に、これらのような方法は、接着されたアッセンブリでの使用は実施されていない。これは、これらの方法が、接着剤34、基材32または接合面の物理的特性が退化する温度、または構成要素材料の熱膨張係数の相違により接着剤の剪断強さを超過する温度を超えるような基材面の温度勾配を生じてしまうからである。しかし、特定の動作パラメータと組み合わされた前述の熱管理構成要素は、接着剤34、基材32および接合面40の境界面の温度を減少するように使用される。寸法補修ステップの後に、図4のステップ66において、第2のマスキング剤は、当業者に知られている任意の適切なマスキング剤除去方法を用いて除去される。その後、ステップ68において、必要であれば、アッセンブリを劣化させるような熱エネルギを与えない当業者に知られている任意の方法を用いて形状および大きさを再成形する。最後に、図4のステップ69において、熱管理構成要素70および温度監視装置72を除去する。
接着された金属製構成要素を補修する例示の非侵襲性の熱管理方法は、従来技術に対していくつかの利点を提供している。ここで述べられた方法は、金属製詳細部36を基材32または接着剤34から分離する必要がない。強固に接着された部分が基材から取り除かれる場合は、基材が常に構造的または寸法的に損傷を受ける危険性がある。基材の損傷の可能性に加えて、この部分は再位置合わせして、基材に再接着されなければならないので、ずれる可能性がある。さらに、一部分を補修される基材から取り除かなければならないとなると、時間、労力、および関連するコストの全てが増加する。ここに説明されている例示の方法は、下に位置する基材の構造的な損傷と再接着される部分の位置ずれの両方の可能性を排除し、このような作業によって付加的な費用がかからないようにする。
本発明の1つまたは複数の実施例を説明してきた。しかし、本発明の真意または範囲を逸脱することなく、多くの変更がなされても良いことを理解されたい。したがって、他の実施例は請求項の範囲に含まれるものとする。
詳細部を除去する以前の従来技術の製品の図である。 詳細部を除去する間の基材に生じる損傷を示した従来技術の製品の図である。 本発明の例示のステップを実施する際に使用される製品アッセンブリの図である。 本発明の例示のステップを使用して補修される製品の図である。 本発明の例示のステップを示したフローチャートである。 本発明の例示のステップによって補修される図3の製品の図である。 ボルトまたはリベットの穴のような内部開口部を備えた製品上に利用可能な付加的な面を表す図3の製品の代替の実施例を示した図である。

Claims (18)

  1. 少なくとも1つの接着剤を伴う金属製詳細部の面の補修を可能にする熱管理方法であって、
    基材に接着された金属製詳細部上の少なくとも1つの損傷領域を準備するステップと、
    前記金属製詳細部が接着された接着剤または該接着剤の近傍の面領域上に少なくとも1つの熱管理構成要素を配置するステップと、
    少なくとも前記面領域と前記接着剤をマスキング剤でマスキングするステップと、
    前記接着剤、前記基材、またはこれらの間の接合境界面を劣化させ得る温度より低い加工温度で、製品上に配置されている前記金属製詳細部の面を寸法補修するステップと、
    を含む方法。
  2. 前記配置ステップが、前記金属製詳細部が結合される前記接着剤および該接着剤の近傍の前記面領域上に、少なくとも1つの熱管理構成要素を配置することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも前記接着剤または前記基材の温度を監視するステップをさらに含むことを特徴とする請求1に記載の方法。
  4. 前記監視ステップは、温度表示装置を用いることを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記温度表示装置は、熱電対または赤外線温度計であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記寸法補修ステップは、前記金属製詳細部の面を積層する金属付加プロセスを使用することと、積層した前記金属製詳細部の面を形状づけることとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記金属付加プロセスは、プラズマ溶射、溶射、デュアルワイヤアーク溶射、蒸着、メッキ、肉盛り溶接の任意の1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 前記寸法補修ステップは、前記金属製詳細部の少なくとも1つの特徴部を寸法補修することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記準備ステップが、
    前記金属製詳細部から損傷領域の少なくとも一部分を取り除くことと、
    少なくとも前記接着剤と前記面領域を第1のマスキング剤でマスキングすることと、
    前記一部分を洗浄することと、
    前記第1のマスキング剤を除去することと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記マスキングが、少なくとも前記面領域と前記接着剤を第2のマスキング剤でマスキングすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記金属製詳細部の面を寸法補修した後に前記第2のマスキング剤を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記寸法補修ステップが完了した後に、前記少なくとも1つの熱管理構成要素を取り除くステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 前記基材が、複合材料または金属であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 前記配置ステップが、前記少なくとも1つの熱管理構成要素を、前記金属製詳細部が接着されるフィレット上または近傍に配置することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 前記配置ステップが、前記少なくとも1つの熱管理構成要素を、前記接着剤が実質的に無い前記基材の面上に配置することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 前記マスキングが、前記マスキング剤で前記少なくとも1つの熱管理構成要素をマスキングすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  17. 前記マスキングは、前記金属製詳細部が接着されるフィレットを前記マスキング剤でマスキングすることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. 前記接着剤は、エポキシ、ポリエステル、シアノアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、およびこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
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