JP2008160840A - 基本振動子のネットワークによって形成された機械振動子 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が簡単で、少数の要素によって形成される、互いに接続された機械振動子または電気−機械振動子のネットワークを提供する。
【解決手段】閉曲線結合ビーム(3)によって違相振動する2つの質量(1、2)を有する基本振動子(18)が、略直線状かまたは2次元のネットワークに複数組で配置されている。連結ビーム(19、20)は、振動子及び固定点(21)を基体に固定するために接合すべくネットワークの行を通過する。このネットワークはデータまたは動揺の伝搬を可能にし、このネットワークによるエネルギー損失は非常に低い。
【選択図】図2

Description

本発明は、基本振動子のネットワークによって形成される機械振動子に関する。
基本機械振動子のネットワークは、ネットワーク内で初期位置から他の位置へ信号または動揺を伝搬させるのに適した結合を有する。信号及びその位相の空間的変化または時間的変化が利用される分野は、非線形システムまたはカオスシステム、データのコーディングまたはデコーディング、動揺伝搬解析システム(disturbance propagation analysis systems)、ニューラルネットワーク、代表的な定常状態を生成することにより境界条件を解明するためのシステム、非定常動揺変数(instationary disturbance variables)の増幅及び解析を可能にするネットワーク、及び圧力、加速度などにおける変動などの物理的動揺変数に感応するネットワークがある。振動子ネットワークは、マイクロメカニクスにおいて使用される蒸着技術及びエッチング技術によって構成することができる。
従来技術の文献において、複数のともに組み合わせられた機械振動子ネットワークが提案されているが、具体的な製品はほとんどないように思われる。非特許文献1では、平行な振動ビーム間の結合は、結合ワイヤまたはビームによって生成される。この接続素子の相対的な剛性によって振動ビーム間の強い結合または弱い結合が得られるが、この結合は、多くの用途において調整することができることが望ましいにもかかわらず変化せず、また、そのような結合を、ビームの大きなネットワーク、とりわけ2次元のものに拡張する方法は知られていない。特許文献1に示されたわずかに異なる設計では、振動子間の結合は、バネとしてモデル化することができる変形可能な弾性のビームによって生成され、その特性は、組立体の共振モードを規定するために調整することができる。バネ結合には、基本振動子間のエネルギーのやりとりが過大であるため全体的に振動子を安定させることができない不都合がある。従来技術の他の設計には、それらの構成によって、これらの不都合の1つまたはその他の不都合がある。
本出願人の特許文献2によって、ネットワークを備える基本振動子を構成することができ、発明の独創性が求められるのは、そのような振動子に関する特別な方法におけるものである。特許文献1は振動子ネットワークには言及していない。
米国特許第6917138号明細書 仏国特許第2876180号明細書 「Surface micromachine segmented mirrors for adaptive optics」(Cowan W.D.; Lee M.K.; Welsh, B.M. Bright, V.M.; Roggemann, M.C.; IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, Vol 5, Issue 1, Jan.-Feb. 1999 Page(s): 90-101)
構造が簡単で、少数の要素によって形成される、互いに接続された機械振動子または電気−機械振動子のネットワークを新規作製する必要性がある。これは、具体的にはマイクロメカニクスまたはナノメカニクスのマイクロ工学における通常の蒸着技術及びエッチング技術向けに、特定の寸法を有する製品を産する容易な製造をもたらすであろう。そこで、極めて小型の振動子のネットワークを構築することが可能になり、従って、本発明の振動子ネットワークにおける信号の伝達を損わず、過度のエネルギー損失もなく、特定の振動モードの前後の伝達を抑制する(cut)ための優れた特性を有して少なくともギガヘルツ台の高周波数を通過させる、基体上の高レベルの集積化が可能になるであろう。最終的に、製造パラメータを容易に調整すること、従って特定周波数及び結合特性などネットワークの特性を容易に調整すること、または、ネットワークに統合される特定の調整手段を加え、一旦デバイスが製造されたら同じ調整可能性を提供すること、が可能になるであろう。これらの利点を提供するために、振動子及び結合手段は少数の要素によって形成されるべきである。
本発明の全般的な実施形態は、互いに接合されたセルのネットワークを含むことを特徴とする機械振動子を含み、各セルは変形可能な閉曲線ビームを含む基本振動子であり、また、変形可能な連結ビームが行(rows)に亘って延び、複数の閉曲線ビームに結合される。
本発明の意味では、変形可能なビームは、運動エネルギー及び変形エネルギーの吸収と回復を交互に行うことにより、振動中に実際に形状を変化させ、また、多くの場合直線の連結ビームが、前記ビームと平行に整列した複数のセルに沿ってネットワーク内で長い距離に亘って延びる。最終的に、連結ビームは、セルの間隔(step)の倍数と等しい間隔によって規則的に離隔された、静止している基体への固定点を含む。この配置は、十分な数の振動子によって対になった固定点(anchoring points)間に複雑な変形を課することが容易であることの結果として連結ビーム内に超高周波数で振動モードをもたらすことを可能にし、この振動モードが連結ビームに沿ってネットワーク内の他の領域へ伝達される。上記の複雑な変形がこれらの超高周波数に特有のモードに相当する。
基本振動子は、閉曲線ビームに固接された剛体の振動質量も含むことが多い。
振動子は有利には共振子である。
多くの実施形態において、セルのネットワークは2次元であり、そこで、連結ビームは、連結ビームの2つの両側上に対になって分配された複数の閉曲線ビームに接合することができ、これによって、連結ビームの方向ばかりでなく垂直方向にも結合を確立することが可能になり、従って、連結ビームの方向並びに連結ビームの方向と垂直な方向に情報を伝達することができる。
前述の2つの連結ビームに他の2つの連結ビームを加え、接合して4辺形を形成し、これらのセルの境界を定めることもできる。そこで、ネットワークの2つの主要な方向間に実質的に一様な結合を確立することができる。
本発明の重要な要素は、結合特性を調整するために、静止している基体にネットワークを固定することに関する。本発明によれば、基体への固定点は、基本的に連結ビーム上に存在する。前述の特許文献2で説明される絶縁された振動子で必要な設計と異なり、このネットワークの固定点は周期的なモードに一致して配置することができ、セルの長さの倍数と等しい間隔を可能にし、このことはセルの大部分の点が固定されないことを意味する。生じる弱い結合は、エネルギー消費が少なく、ネットワーク内のより優れたデータ伝送を可能にする。
ネットワークは、対になった隣接セル間に振動する剛体質量がない(free of oscillating rigid masses)変形可能な閉曲線ビームを含む結合デバイスで補完することができる。そのような配置には、ネットワークの振動特性を容易に変更することができる利点がある。
ネットワーク内の結合を調整するための別の重要な手段は、ビームの剛性(stiffness)を加減し、従ってそれらが伝達する振動の周波数を加減するために、閉曲線ビーム、連結ビームまたはすべての前方に電界を生成するためにネットワークに電極を設けることである。
次に、本発明のこれらの態様並びにその他が、以下の図に照らして説明されることになる。
図1は基本振動子を示す。これは、2つの平行で変形可能な固定ビーム4及び5によって支持され変形可能な閉曲線ビーム3に囲まれた2つの剛体の質量1及び2を含み、これらの固定ビームは(ネットワークの組立を容易にするために)有利には直線であり、4つの固定点6、7、8及び9を下にある基体へ導く。変形可能な閉曲線ビーム3は、接続ビーム10、11、12及び13によって、質量1及び2並びに固定ビーム4及び5に結合される。対になった平行ビームにおいてこの場合二重化されるこれらの接続ビームは、以前のものに対して非常に剛性が高いうえに短く、そのため、これらが結合する要素の移動または変形を完全に伝えるものと見なすことができる。最終的に、振動子は、閉曲線ビーム3と質量1及び2、接続ビーム10及び11の間に収容された、静止している櫛(comb)14及び15によって構成される、質量1及び2の振動を引き起こすための手段を含む。これらは振動子の他の要素から切り離されるが、櫛14及び15の各々に3つあり得て16として共通的に参照される固定点によって基体に取り付けられる。質量1及び2上に確立された可動性の櫛の歯(17として共通的に参照される)において、これらの歯はオーバラップするか、またはこの分野で頻繁に使用される用語に従うと「互いにかみ合わせられる(interdigitated)」。この振動子は、少なくとも静止している櫛上は導電層で被覆されたシリコンで作製されており、電界を生成する働きをする。
好ましい実施形態では、閉曲線ビーム3は楕円であり、固定ビーム4及び5はビーム3の楕円の大きな軸と平行であり、固定点6、7、8及び9は長方形の隅にあり、質量1及び2は半月形の形状であって、それらの歯17は、互いから離れてドーム状の表面に配置されて、前記楕円の大きな軸の方向に向けられ、櫛14及び15の歯も同様に向けられる。この配置は、楕円の大きな軸の方向に質量1及び2の運動を引き起こすために(図示されないが、従来技術において周知のデバイス用に)静止している櫛14及び15の電位を制御することにより電気的な力を生成することを可能にし、この運動が、閉曲線ビーム3と固定ビーム4及び5を変形させる。ビーム3の閉曲線、具体的にはその楕円形状、並びに固定ビーム4及び5の配向が、励振されたとき互いに接近と離隔を絶え間なく繰り返す質量1及び2の運動において位相シフトが出現するのを助長する一方で、例えば、質量1及び2の同相の運動に対してビームのネットワークの剛性がはるかに高いはずなので、その他の可能な振動モードは非常に出現し辛い。
図1では、静止している櫛14及び15で提案された(元の)構成が、単一の電気信号で所望の運動を違相(out of phase)に限定する。2つの別個の櫛に対して信号を違相にする必要性はない。このデバイスは、従来技術のような2本の電線及び2組の櫛の代りに、電気接続図(electrical connection plot)、1本の電線及び静止している1組の櫛を含む。
この基本振動子は、櫛及びそれらの歯が示されない簡略化された表現で、以下に説明されるネットワークに見られることになる。しかし、櫛は、それらが振動子のモータなのかまたは単に振動子の伝導物なのかということ次第で、振動子上に存在しても存在しなくてもよい。振動子は、任意選択で、具体的には質量及び剛性に関して互いに異なることができる。特に、超高周波数で伝搬させることができるネットワークを作製するとき、振動質量1及び2自体を省略することができる。
本発明のある実施形態は、図2〜図5に示される割合を有することになり、これらの図において基本振動子は18で参照され、2次元のネットワークにグループ化され、その中で各基本振動子が1つのセルを占有する。考慮するべき重要な態様は、図1の基本振動子の固定ビーム4及び5が、ここでは複数の基本振動子18に共通なことであり、すなわち、これらの固定ビームは、基本振動子18からその隣まで、大きなものであり得る距離に亘って連続的に延長される。次に、19で参照される(ここでは図1の基本振動子の固定ビーム4及び5のように楕円の大きな軸に沿って)一方向に延びる連結ビーム、及び20で参照される、以前のものに類似のビーム、具体的には変形可能であるが楕円の小さな軸と平行に延びるビームを説明する。これら第2の連結ビーム20(図1のデバイス内には同等のものがない)は、一般にそれらの交点の位置で連結ビーム19に接合される。
連結ビーム19及び20は、基本振動子18に共通のものとして示されており、基本振動子18の両側に延び、すなわちこれら基本振動子のすべてに結合されているが、これは必須のことではなく、これらは、例えば図10、図11及び図16に示されるように、各々がそれぞれの側の基本振動子18に結合された、平行で隣接する連結ビーム19及び20を有する配置によって置換されてよい。
図2の実施形態では、第1の連結ビーム19及び第2の連結ビーム20は、一方の上に他方が乗るように交差して、各基本振動子18を取り巻くそれぞれのセル向けに連続的な長方形の輪郭を形成する。同じことが図3に当てはまる。図4は、第2の連結ビーム20だけが存在する配置を示し、図5は、第1の連結ビーム19だけが存在する配置を示す。
これらのネットワークでは、固定点の別の態様が考慮されるべきである。連結ビーム19及び20による基本振動子18のネットワークの接合によって、基本振動子18のうち1つの各隅におけるものよりも使用する固定点の数を少なくすることが可能になる。図2の実施形態では、固定点21は、各基本振動子18の対向する2つの隅にあり、すなわち、これらの固定点は、1つの連結ビーム19または20から次のものまで互い違いの行に配置されて各連結ビーム19及び20上にセル2つの間隔で存在し、1つの連結ビーム19または20から次のものへ位相シフトを伴う。図3の実施形態では、固定点22は、各連結ビーム19及び20上にセル3つの間隔で存在し、これもまた位相シフトを伴って、それらを互い違いに配置する。固定点の他の配置が可能であり、周期的なものが好まれる。連結ビーム19と20の相互接続のある交点によって、基体の剛性が非常に低い場合を除いて、基体上にネットワークを保持するための固定点の使用を非常に少数にすることが理論上可能になる。図4の製作及び図5の製作では、参照21によって示される、図2のパターンに類似した固定点21のパターンが選択された。
各基本振動子18に対して違相の振動が助長され、また、楕円の閉曲線ビーム3は、面に垂直な両方向に変形されて、そのうち1つの変形が連結ビーム19及び20によってその隣に、またネットワークの全体に亘って伝搬され得る。
ネットワークの動作は、基本振動子18の特性に加えて、以下のいくつかの要因に依存することになる。
− 隣接した基本振動子18間の連結ビームの有無。
− 適当な二重連結ビームを平行にし、隣接したビームの一方が片側面の基本振動子18の行の運動に追従し、他方は、反対側の基本振動子18の行の運動に追従する。そのような二重の隣接したビームは独立して変形することができて、この配置が採用されるとき、最上部と最下部の対向する振動子は、たとえこれらの運動が中央に結合された基本振動子18及び共通の連結ビーム19または20によって必然的に対抗されても、独立して運動する。
− 固定点の数及び分布。略周期的な固定点の間隔がネットワークにおけるパターンを規定し、その特性は同一である。図2、図4及び図5の実施形態では、パターンは、2×2のセルのスパンを有することになり、図3の実施形態では、パターンは、3×3のセルのスパンを有することになる。
− 固定点が設けられていないセルの境界で連結ビーム19または20の接続がある交点の存在。
− 連結ビームの剛性。
− 連結ビーム19及び20に沿って定義された主要な2方向用のネットワークの等方性または異方性。
− ネットワーク表面上の振動子及び連結ビームの特性の安定性。
一般に、変形可能なビームの剛性及び振動質量の値、並びに振動ビーム(これらは固定点でほとんど動かず、また、これらの角運動が同一になるように、交点で垂直な連結ビームへの接続を伴って互いに結合される)の境界条件を変更することは可能であり、そこで、調整が含むのはネットワーク全体かあるいはその一部なのか、ということ次第で、ネットワークの全体的または局所的な共振周波数に作用することも可能であり、従って、データがネットワークを通って伝わる速度に作用することも可能である。次に、以下の図を参照して、いくつかの動作を説明する。
図6は、特定の基本振動子18が変形される道筋を示す。質量1及び2は違相に運動し、閉曲線ビーム3は楕円の両軸の長さの比で変形され、また、連結ビーム19も、例えばそれらの位置でセルをくぼませることにより違相に変形され、連結ビーム20も、存在するときは互いに反対方向に変形し、この変形は連結ビーム19の変形とも対向し、その結果セルはその位置でくぼむ。変形の速度及び共振周波数は、とりわけ境界条件に依存し、具体的には、基本振動子18の隅の固定点、または連結ビームの結合のある交点の存在及び数に依存する。
図7は、一対の共通の連結ビーム20aによってともに結合されている隣接した振動子18を示す。すなわち、連結ビーム20aは、振動子18a及び18bの各々の質量のうちの1つに結合される。連結ビーム19と共通連結ビーム20aの交点P及びQに固定点がない場合、連結ビーム19は、この場合、対象の基本振動子18の対に沿った2つの振動ループを含んで、それが形成する4辺形A B C Dの境界点AとBの間での複雑なモードによって大きなスパンに亘って変形することができる。既に示されているように、モードの周波数及びその形状も、剛性、寸法、質量及び境界条件といった複数のパラメータに依存することになる。
このことは、より多くの振動子に一般化することができる。例えば図8の3つの基本振動子18a、18b及び18cの場合、2つの共通連結ビーム20a及び20bが、これら3つの基本振動子を結合し、連結ビーム19は、対象の3つのセルのスパンに亘って拡張するモードによって変形され、このモードも、このセルのパターンの隅A、B、C、及びDでの境界条件を含む同じパラメータに依存する。
実際上、シリコンマイクロマシニング技術では、キロヘルツまたはメガヘルツ台の共振周波数が、1つの側につき少なくとも2個または3個のセルのパターンまたは10個のセルのパターンでさえ求められる。ナノマシニング技術では、より高次のパターン及びギガヘルツより高い共振周波数を使用することが可能になるはずであり、また、振動質量1及び2を軽減するか、または少なくともネットワークのセルのうちいくつかについて振動質量を完全に除去さえすることにより、更に向上させることができる。本発明がより小さなスケールかつ多くのセルで実行されると、ネットワークはより多くのセルを有することができ、従って伝搬時間をより大きく変化させることができる。
図2のネットワークに関して、第1に、比較的高い等方性をもたらすその構造の規則性のために、そして次に、図9に示されるように基本振動子が2つの組に分配されるという事実のために、図2は好ましい実施形態のうちの1つを示すことが強調される。ネットワークの行並びに列(column)をたどると、基本振動子18は、互い違いに配置された固定点21の存在及び連結ビーム19及び20の共通の性質のために、パターンのスパン対して、18d及び18eでそれぞれ示された2つの逆変形位相を交互にとることが分かる。従って、信号の1つの位相並びにその逆位相の同時伝送が完全に決定され、ネットワークに沿って加えられる。この特別な特性は、エレクトロニクスの多くの用途で求められている。また、ネットワークの重心が動かないままなので、これは機械的観点からも有利であり、このことによってより安定化し、定常状態においてエネルギー損失が最小限になる。
図10及び図11は他の可能性を示すものであって、連結ビーム20または連結ビーム19だけが共通で他のものが二重化されたときに得られる。隣接セル間の逆位相の交番(alternation)は、図10の配置において行に沿うものと図11の配置において列に沿うものでのみ実現されるが、結合がない状態での隣接した基本振動子18間の位相分布は、ある行から別の行、またはある列から別の列へ任意のものであり得て、それらが同位相であることがあり得る。このことはこれらの図に示されている。従って、行または列は独立した伝送器である。
次に本発明の他の特徴を説明する。先ず、主な実施形態である図12及び図13に示された結合器を、ネットワーク内の前述のセルのうちいくつかの間のある位置へ加えることができる。これら2つの実施形態は、好ましくはビーム3のように楕円である閉曲線ビーム25を共に有し、閉曲線ビーム25には、ネットワークの隣接した部分に連結ビーム26及び27が備わっており、図12において、これらの連結ビームは平行であり、接続ビーム28及び29によって楕円の大きな軸による閉曲線ビーム25の端に接合され、あるいは、図13では、楕円の小さな軸の端にある一対の接続ビーム30及び31によって、この軸の方向に向けられる。
以下の図に例によって示されるように、これらの結合器23及び24は、ネットワーク上に様々なやり方で埋め込むことができる。図14では、列に整列された結合器23が基本振動子18を各行に分離し、それらの連結ビーム26は連結ビーム19と合併している。接続ビーム28及び29と連結ビーム19の交点でのように、ネットワークの剛性を増すために追加の固定点32を加えることができ、また、互い違いのパターンに従って、交点が各列に沿って2つに亘り、1つの連結ビーム19から次へ列へのシフトを伴って加えることもできる。示されたこの実施形態では、基本振動子18の2つの行に共通の連結ビーム19は、結合器23の連結ビーム26及び27の延長部にあって、それらと合併する。
図15のネットワーク用に類似の配置が使用されているが、ここでは、図14の結合器23(ここに示される)に対して逆のやり方で(すなわち垂直の楕円軸を有して)配置された第2のタイプの結合器24によって行が分離されている。そのような配置によって、基本振動子18のビーム12及び13の前方で、接続ビーム30及び31を連結ビーム19に結合することが可能になる。この場合、連結ビーム20は、結合器24の位置で中断される。固定点33は、もう少し複雑なやり方で分配されていて、4つの基本振動子18と4つの結合器23及び24を含む各パターンの隅にあり(33a、33b、33c及び33d)、また、パターンの中心の近くで、結合器23の接続ビームであるビーム28及び29と連結ビーム19の間の結合部にある(33d及び33e)。
図16に別の配置が示されている。これは、図14でのように基本振動子18の列を分離する列に配置された第2のタイプの結合器24を排他的に含むが、結合器24は、基本振動子18に対して互い違いに配列される。すなわち、結合器24の小さな楕円軸が連結ビーム19に整列され、結合器24の接続ビーム30及び31が連結ビーム19と合併する。これらの接続ビーム30及び31が2つの平行要素を含むよくあるケースでは、基本振動子18の上部行及び下部行にそれぞれ関連する二重化された連結ビーム19a及び19bを使用することが示される。この場合、結合器24には、短い剛体の接続ビーム34が備わっており、これらが結合器24をその大きな楕円軸の終端で接合する。固定点35は、これらの接続ビーム34に配置される。
図17のネットワークは、次の2つの特性によって以前のものから区別される。この場合23’によって参照される結合器は、振動子18の2倍の長さを有し、すなわち、この結合器は各々の振動子の2対の間に延びる。また、この結合器は1つの列から別の列へ互い違いに延びる。すなわち、結合器の隅とその小さな楕円軸は、連結ビーム19に沿って交番し、連結ビーム19は、楕円25の小さな軸の前に達すると中断される。ネットワークの固定点は36で参照され、連結ビーム19のこれらの中断個所に配置される。この場合、これらも連結ビーム20との交点に配置される。
他のタイプの結合器も提案され得るが、本発明の振動子のネットワークの中で、それらを使用することが必ずしも必要だとは限らない。結合器の機能は、振動子と無関係にネットワークの局所的及び全般的特性を調整することである。というのは、結合器はほとんど質量がなく、その剛性は振動子のものとは大きく異なり得て、結合器の振動特性が振動子のものとは大きく異なるからである。
次に説明される本発明の最後の重要な特徴によっても、ネットワークの要素間の結合並びにネットワーク中のデータの伝搬を時間に亘って調整すること(動的結合)が可能になる。
図18では、基本振動子18の連結ビーム19及び20に電極が備わっており、これによってこれらの連結ビームが電界を受ける。これらの電極は、連結ビーム19及び20に隣接し、少なくとも連結ビームの片側、または両側に延びる。電界は直流または交流であり得る。連結ビーム19及び20に作用する電気的な力によって、振動におけるそれらの剛性を変化させることが可能になり、従って質量1及び2または隣接した基本振動子18に伝えられた運動に反応するのが容易になる。このように、別の振動子への1つの振動子の弱い結合または強い結合を制御することができる。また、基本振動子18が動かないと見なされる高剛性を課することによって結合を更に完全に防ぐことができ、従ってデータ伝送は中断されることになる。
この実施形態は、連結ビーム19及び連結ビーム20用の連続した電極37及び38、並びに連結ビーム19の他のもの及び連結ビーム20の他のもの用の不連続な電極39及び40を示す。不連続な電極は区分ごとに制御することができ、従って、より大きな調整の自由度をもたらす。連続した電極及び不連続な電極の任意の分配が可能である。
図19の実施形態は、第1のタイプの結合器23を含む。電極41は、楕円のビーム25のまわりに(より詳細には対の電極の一方についてはそのまわりに、他方についてはその中に)延び、電極42及び43は連結ビーム26及び27の前方に延びる。ここでも連続した電極または不連続な電極の選択は任意であり、連続した電極41及び42並びに不連続な電極43が示されている。
最後に、図20は、第2のタイプの結合器24の楕円のビーム25のまわりの一対の電極44を示す。
連続した電極は、連結ビームなどネットワークの他の要素とぶつかる場所では、もちろん中断される。
電極は、振動質量1及び2が備わっている基本振動子18の閉曲線ビーム3の近くに配置されてもよい。
基本振動子の実施形態を示す図である。 図1のような振動子のネットワークの実施形態を示す図である。 図1のような振動子のネットワークの実施形態を示す図である。 図1のような振動子のネットワークの実施形態を示す図である。 図1のような振動子のネットワークの実施形態を示す図である。 一般的な場合に従って、1つのセル内の振動の伝搬モードを示す図である。 一般的な場合に従って、1つのセル内の振動の伝搬モードの次に2つのセルにおける振動の伝搬モードを示す図である。 一般的な場合に従って、2つのセルの振動の伝搬モードの次に3つ以上(ネットワーク)のセルにおける振動の伝搬モードを示す図である。 2次元ネットワークにおける振動モードを示す図である。 2次元ネットワークにおける振動モードを示す図である。 2次元ネットワークにおける振動モードを示す図である。 質量のない結合器の一実施形態を示す図である。 質量のない結合器の一実施形態を示す図である。 図12または図13に示されたような結合器が与えられたネットワークの一実施形態を示す図である。 図12または図13に示されたような結合器が与えられたネットワークの一実施形態を示す図である。 図12または図13に示されたような結合器が与えられたネットワークの一実施形態を示す図である。 図12または図13に示されたような結合器が与えられたネットワークの一実施形態を示す図である。 ビームの剛性を調整するための電極の配置を示す図である。 ビームの剛性を調整するための電極の配置を示す図である。 ビームの剛性を調整するための電極の配置を示す図である。
符号の説明
1,2 質量
3,25 閉曲線ビーム
4,5 固定ビーム
6,7,8,9,16,21,22,32,33,35,36 固定点
10,11,12,13,28,29,30,31,34 接続ビーム
14,15 櫛
17 櫛の歯
18 基本振動子
19,20,26,27 連結ビーム
23,23’,24 結合器
37,38,39,40,41,42,43 電極

Claims (9)

  1. 互いに接合されたセルのネットワークを含む機械振動子であって、
    前記セルの各々が、変形可能な閉曲線ビーム(3)を含む基本振動子(18)であり、
    変形可能な連結ビーム(19,20)が前記閉曲線ビーム(3)を接合する、機械振動子において、
    前記閉曲線ビーム(3)が変形可能であり、
    前記連結ビーム(19,20)が複数のセルに沿った行に亘って延び、
    前記振動子が、静止している基体へ前記連結ビームを固定するための固定点(21,22)を含み、
    該固定点が、各連結ビームに沿って周期パターンに従って配置され、セルの長さの倍数と等しい間隔を可能としていることを特徴とする機械振動子。
  2. 前記連結ビームが、該連結ビームの2つの両側上に対になって分配された複数の閉曲線ビームに接合され、セルの前記ネットワークが2次元であることを特徴とする請求項1に記載の機械振動子。
  3. 前記連結ビームのうちの2つと他の2つの連結ビームとが接合されて4辺形を形成し、これによって前記セルの境界が定められていることを特徴とする請求項1または2に記載の機械振動子。
  4. 前記パターンが、互い違いに配列されていると共に、平行な連結ビームについては同一であるが、前記平行な連結ビームの1つのものから別のものへとオフセットされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の機械振動子。
  5. 対になったセルの間に延びる結合デバイス(23,24)を含み、該結合デバイスが、質量がない剛体の振動する変形可能な閉曲線ビーム(25)を含み、前記基本振動子(18)の各々が、前記基本振動子の閉曲線ビーム(3)に固接された2つの振動質量を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の機械振動子。
  6. 前記結合デバイスが、複数の前記セル対に沿って延びていることを特徴とする請求項5に記載の機械振動子。
  7. 前記結合デバイスが、互い違いの態様で平行な行に延び、該平行な行の前記結合デバイスの1つのものから別のものへとオフセットされていることを特徴とする請求項6に記載の機械振動子。
  8. 前記閉曲線ビームの前方で剛性を調整するための電界を作るために電極(41,44)を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の機械振動子。
  9. 前記閉曲線ビームの前方で剛性を調整するための電界を作るために電極(39,40,42,43)を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の機械振動子。
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