JP2008159471A - リレー装置 - Google Patents

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Koji Yokoyama
浩司 横山
Riichi Uotome
利一 魚留
Shoichi Kobayashi
昌一 小林
Katsumi Kakimoto
勝己 垣本
Hideki Ueda
英喜 上田
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Abstract

【課題】導電性流体の先端位置を調整することを可能とする。
【解決手段】導電性流体5が基体1の内部空間10に注入された時点では、内部空間10の圧力が大気圧より低くなっている。この時点で、導電性流体5の先端が流体通路13の所定の位置を越えている(液溜め部12側とは反対方向に行き過ぎている)場合がある。このような場合、突起部162,162のいずれか又は両方を折って、調整用空間16の上端を開放すると、大気圧より低くなっていた内部空間10の圧力が、調整用空間16を介して大気圧まで上がる。これにより、導電性流体5の先端を所定の位置まで移動させる(戻す)ことができる。これに対して、導電性流体5が内部空間10に注入された時点で導電性流体5の先端が既に所定の位置にあった場合、突起部162,162はそのままにし、調整用空間16を開放させる必要はない。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の接点間の導通と絶縁を切り替えるリレー装置に関するものである。
複数の接点間の導通と絶縁を切り替える従来のリレー装置として、特許文献1には、スイッチング流体(導電性流体)を用いて電極(接点)間の導通と絶縁を切り替える流体式スイッチ(第1従来例のリレー装置)が開示されている。特許文献1の流体式スイッチは、複数のキャビティ(内部空間)が基板(基体)に形成され、一のキャビティにスイッチング流体が保持され、他のキャビティに作動流体が保持されているものである。このような構成の流体式スイッチにおいて、作動流体を加熱して作動流体の圧力を変化させると、スイッチング流体は、一のキャビティで形状が変化し、移動し、分岐する。このような一のキャビティでのスイッチング流体の変化に基づいて電極間を導通させたり絶縁させたりする。
ところが、上記第1従来例のリレー装置には、作動流体を加熱する必要があることから、消費電力が大きくなるという問題があった。また、加熱による温度上昇によって品質劣化しやすくなることから、寿命を長くすることができないという問題もあった。
上記問題を解決するものとして、アクチュエータの撓みで、基体に形成された内部空間の容積を変化させることによって、この内部空間に収納された導電性流体が内部空間内を移動し、複数の接点間の導通と絶縁を切り替える第2従来例のリレー装置がある。
特開2005−158717号公報(段落0006〜0030及び第5〜7図)
しかしながら、上記第2従来例のリレー装置には、初期状態の導電性流体の先端を所定の位置にすることが難しいという問題があった。初期状態の導電性流体の先端位置が複数の接点間の導通と絶縁の切り替えの精度に大きく影響することから、複数のリレー装置間で上記精度のばらつきが大きくなってしまった。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、導電性流体の先端位置を調整することを可能とするリレー装置を提供することにある。
請求項1の発明は、流体を収納可能とする内部空間と、弾性変形することで前記内部空間の容積を変化させるダイアフラムとが形成された基体と、それぞれが離隔して前記内部空間に露出する複数の接点と、前記内部空間に収納された導電性流体と、前記ダイアフラムを弾性変形させ、前記導電性流体を前記内部空間内で移動させることで当該導電性流体を介して前記複数の接点間を導通させるアクチュエータとを備え、前記基体に、一端が前記内部空間に連通し他端を大気に開放可能とする調整用空間が形成されたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記調整用空間の他端を塞ぐように設けられ、取り外されると前記他端を大気に開放させる突起部を備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、導電性流体を内部空間に注入した後に、必要であれば調整用空間の他端を開放し、内部空間内の圧力を大気圧にすることで、導電性流体の先端位置を調整することを可能とする。
請求項2の発明によれば、調整用空間を容易に大気に開放させることができる。
まず、本発明の実施形態に係るリレー装置の構成について図1を用いて説明する。このリレー装置は、複数の接点間の導通と絶縁を切り替えるものであり、内部空間10及びダイアフラム11が形成された基体(積層体)1と、ダイアフラム11を弾性変形させるアクチュエータ2と、それぞれが離隔して内部空間10に露出する4つの接点3,3,4,4と、内部空間10に収納された導電性流体(液体金属)5とを備えている。
基体1は、図1(c)に示すように、シリコン基板6と、このシリコン基板6と接合するガラス基板7と、後述の注入口15を封止するガラス蓋8とを備えている。
シリコン基板6の下面60には、図1(b)に示すように、導電性流体5を収納可能とする内部空間10として、下面60側(図1(b)の正面側)から見て菱形状に形成された液溜め部12と、下面60側から見てJ字状に形成され一端が液溜め部12の図1(b)の左側角部と連通する流体通路13と、液溜め部12の図1(b)の右側角部と連通する注入用通路14とが形成されている。流体通路13は液溜め部12より断面積が小さく、他端が閉塞されている。また、シリコン基板6には、図1(c)に示すように、注入用通路14と連通し導電性流体5を外部から注入するための注入口15が下面60から上面61まで貫通して形成されている。注入口15は、上面61側から下面60側に向けて徐々に内径が小さくなるテーパ状のものである。
一方、シリコン基板6の上面61には、上面61側(図1(a)の正面側)から見て正方形状となるダイアフラム11が、液溜め部12の裏側にエッチングによって形成されている。ダイアフラム11は、弾性変形することで内部空間10の容積を変化させる。具体的に説明すると、ダイアフラム11が下側に押されて弾性変形すると内部空間10の容積が減少する。
また、シリコン基板6には、一端が内部空間10に連通し他端を大気に開放可能とする調整用空間16が形成されている。以下、具体的に説明すると、シリコン基板6の下面60には、2つの調整用空間16,16の溝部160,160が形成されている(図1(b)参照)。それぞれの溝部160,160から上面61側に向かって穴部161,161が形成されている(図1(e)参照)。これら穴部161,161の一端に対向する上面61には、2つの円錐状の突起部162,162が形成されている。突起部162は、調整用空間16の上端を塞ぐように設けられ、取り外されると上端を大気に開放させるものである。なお、突起部162は円錐状に限定されるものではなく、例えば円柱状など他の形状であってもよい。また、調整用空間16は、液溜め部12より接点3に近い位置で流体通路13と連通するほうが好ましい。
ガラス基板7には、図1(b)に示すように、下面70側(図1(b)の正面側)から見てそれぞれが円状となる4つの貫通孔71,71,72,72が流体通路13と対向する位置に形成されている。図1(d)に示すように、それぞれの貫通孔71,72は下側から上側に向けて徐々に内径が小さくなるテーパ状のものであり、流体通路13と連通している。ガラス基板7は上面73を接合面として、液溜め部12、流体通路13、注入用通路14及び調整用空間16を塞ぐようにシリコン基板6と陽極接合している。
図1(c)に示すガラス蓋8は、導電性流体5が注入口15から内部空間10に注入された後、注入口15を封止するものである。
アクチュエータ2は例えば圧電材料で短冊状に形成されたものであり、図1(f)に示すように、シリコン基板6の上面61におけるダイアフラム11の周縁部に長手方向の一端部20が固着されるとともに、長手方向の他端部21がダイアフラム11のピボット110に対向している。このアクチュエータ2は通電すると、他端部21が下側に撓んでピボット110を押圧し、ダイアフラム11を液溜め部12側に弾性変形させる。一方、アクチュエータ2への通電が停止されると、他端部21がピボット110を押圧する力がなくなり、ダイアフラム11は元に戻る。
各接点3,4は、図1(d)に示すように、例えば銅やニッケルなど導電性を有する金属材料がガラス基板7の貫通孔71,72に設けられたものである。各接点3,4の上側は閉塞し、流体通路13に露出している。また、図1(b)に示すように、2つの接点3,3は、導電パターン30を介して電極パッド31と電気的に接続している。同様に、2つの接点4,4は、導電パターン40を介して電極パッド41と電気的に接続している。導電パターン30,40及び電極パッド31,41はガラス基板7の下面70上に形成されている。
導電性流体5は例えば水銀などであり、注入口15(図1(c)参照)から注入されて液溜め部12及び流体通路13の一部に移動自在に収納されている。この導電性流体5は、アクチュエータ2の動作停止時において、すべての接点3,3,4,4と接触せず、接点3,3と接点4,4を絶縁させているのに対し、アクチュエータ2の動作時において、内部空間10の容積が減少することで、先端が流体通路13内を液溜め部12とは反対側に移動し、接点3,3と接点4,4を導通させる。その後、アクチュエータ2の動作が停止すると内部空間10が元に戻り、これに伴って、導電性流体5の先端は流体通路13内を液溜め部12側に移動し、すべての接点3,3,4,4と接触しなくなる(図1(b)参照)。
次に、本実施形態に係るリレー装置の製造方法について説明する。最初に導電性流体5の注入前までの工程について図1を用いて説明する。まず、シリコン基板6の下面60をエッチングして液溜め部12、流体通路13、注入用通路14及び調整用空間16の溝部160を形成し、下面60から上面61まで貫通させて注入口15を形成するとともに、溝部160の端部に穴部161を形成する(第1工程)。上記シリコン基板6において、注入口15は上面61に貫通しているが、調整用空間16の穴部161は上面73には貫通していない。また、シリコン基板6の上面61を異方性エッチングして穴部161の上端に2つの突起部162,162を形成し、さらに異方性エッチングしてダイアフラム11を形成する(第2工程)。第1,2工程とは別に、ガラス基板7に4つの貫通孔71,71,72,72を形成する(第3工程)。第3工程後、それぞれの貫通孔71,72の孔壁をめっきして孔内に金属材料を設けて接点3,4を形成する(第4工程)。また、ガラス基板7の下面70に導電パターン30,40及び電極パッド31,41を形成する(第5工程)。第1〜5工程後に、シリコン基板6の下面60とガラス基板7の上面73とを対向させて、シリコン基板6とガラス基板7を陽極接合してサンプル9(図2参照)を形成する(第6工程)。なお、第1,2工程と第3〜5工程の順序は限定されるものではなく、どちらの工程を先に行ってもよい。
続いて、導電性流体5の注入工程について図2を用いて説明する。まず、第6工程後、図2(a)に示すように、導電性流体5が入った液溜め槽Bが設置された真空チャンバA内にサンプル9を収納する(第7工程)。このとき、調整用空間16(図1参照)の上端は塞がっている。また、サンプル9の内部空間10内の圧力P1、真空チャンバA内の圧力P2及び真空チャンバA外の圧力P3はすべて等しい。第7工程後、真空チャンバAの真空引きを行う(第8工程)。圧力P1〜P3の関係は、P1=P2、P1(P2)<P3となる。第8工程後、図2(b)に示すように、サンプル9を液溜め槽Bの導電性流体5の中に浸す(第9工程)。第9工程後、図2(c)に示すように、真空チャンバA内の圧力P2を上昇させて、圧力P1〜P3の関係をP1<P2<P3とし、液溜め槽Bの導電性流体5をサンプル9の内部空間10に注入する(第10工程)。図2(d)に示すように、真空チャンバA内の圧力P2を目標値まで上昇させて、導電性流体5を所定量注入する(第11工程)。第11工程後に、サンプル9を液溜め槽Bから取り出して注入口15をガラス蓋8(図1(a)参照)で封止し、サンプル9を真空チャンバA内から取り出す(第12工程)。
その後、図1に示すように、シリコン基板6のダイアフラム11の周縁部に一端部20を固着して、他端部21をダイアフラム11のピボット110に対向させて、アクチュエータ2を取り付ける(第13工程)。
次に、本実施形態に係るリレー装置における導電性流体5の先端位置の調整方法について図1を用いて説明する。導電性流体5が内部空間10に注入された時点では、内部空間10の圧力が大気圧より低くなっている。この時点で、導電性流体5の先端が流体通路13の所定の位置を越えている(液溜め部12側とは反対方向に行き過ぎている)場合がある。このような場合、突起部162,162のいずれか又は両方を折って、調整用空間16の上端を開放すると、大気圧より低くなっていた内部空間10の圧力が、調整用空間16を介して大気圧まで上がる。これにより、導電性流体5の先端を所定の位置まで移動させる(戻す)ことができる。その後、調整用空間16の上端を封止する。これに対して、導電性流体5が内部空間10に注入された時点で導電性流体5の先端が既に所定の位置にあった場合、突起部162,162はそのままにし、調整用空間16の上端を開放させる必要はない。
次に、本実施形態に係るリレー装置の動作について図1を用いて説明する。アクチュエータ2への通電が行われていないとき、接点3,3,4,4上には導電性流体5が存在していないので、接点3,4間は絶縁している。その後、アクチュエータ2への通電が行われると、このアクチュエータ2によってダイアフラム11が図1(c)の下側に弾性変形し、内部空間10の容積が減少し、導電性流体5の先端が流体通路13を移動する。これにより、接点3,3,4,4上に導電性流体5が存在するので、導電性流体5を介して接点3,4間は導通する。その後、アクチュエータ2への通電が行われなくなると、ダイアフラム11の変形が元に戻り、内部空間10の容積も元に戻るので、導電性流体5の先端が流体通路13を液溜め部12側に移動する。これにより、接点3,3,4,4上には導電性流体5が存在しなくなるので、接点3,4間は絶縁する。
以上、本実施形態によれば、導電性流体5を内部空間10に注入した後に、必要であれば調整用空間16の上端を開放し、内部空間10内の圧力を大気圧にすることで、導電性流体5の先端位置を調整することを可能とする。
また、調整用空間16の上端に、折り取ることが可能な突起部162が設けられていることから、内部空間10への導電性流体5の注入後にユーザが突起部162を簡単に折り取ることができるので、調整用空間16を容易に大気に開放させることができる。
本発明の実施形態に係るリレー装置を示すものであって、(a)が上面図、(b)が下面図、(c)がA−A’断面矢視図、(d)がB−B’断面矢視図、(e)がC−C’断面矢視図、(f)がD−D’断面矢視図である。 同上に係るリレー装置の導電性流体の注入工程図である。
符号の説明
1 基体
10 内部空間
12 液溜め部
13 流体通路
16 調整用空間
162 突起部
5 導電性流体

Claims (2)

  1. 流体を収納可能とする内部空間と、弾性変形することで前記内部空間の容積を変化させるダイアフラムとが形成された基体と、
    それぞれが離隔して前記内部空間に露出する複数の接点と、
    前記内部空間に収納された導電性流体と、
    前記ダイアフラムを弾性変形させ、前記導電性流体を前記内部空間内で移動させることで当該導電性流体を介して前記複数の接点間を導通させるアクチュエータと
    を備え、
    前記基体に、一端が前記内部空間に連通し他端を大気に開放可能とする調整用空間が形成された
    ことを特徴とするリレー装置。
  2. 前記調整用空間の他端を塞ぐように設けられ、取り外されると前記他端を大気に開放させる突起部を備えることを特徴とする請求項1記載のリレー装置。
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