JP2008157589A - 内面溝付き管とその製造方法、及びその内面溝付き管を用いた熱交換器 - Google Patents
内面溝付き管とその製造方法、及びその内面溝付き管を用いた熱交換器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008157589A JP2008157589A JP2006349476A JP2006349476A JP2008157589A JP 2008157589 A JP2008157589 A JP 2008157589A JP 2006349476 A JP2006349476 A JP 2006349476A JP 2006349476 A JP2006349476 A JP 2006349476A JP 2008157589 A JP2008157589 A JP 2008157589A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tube
- heat transfer
- groove
- grooved tube
- concavo
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Heat-Exchange Devices With Radiators And Conduit Assemblies (AREA)
Abstract
【課題】沸騰伝熱を促進して、伝熱性能を向上することのできる内面溝付き管を提供する。
【解決手段】内面溝付き管(1)の溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に微細な凹凸部(13)を形成する。この凹凸部(13)によって、核沸騰の核となる気泡が発生しやすくなり、核沸騰を促進することができる。これにより、管の伝熱性能の向上を図れる。上記凹凸部(13)は、深さが10nm〜10μmであるのが好ましい。
【選択図】図4
【解決手段】内面溝付き管(1)の溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に微細な凹凸部(13)を形成する。この凹凸部(13)によって、核沸騰の核となる気泡が発生しやすくなり、核沸騰を促進することができる。これにより、管の伝熱性能の向上を図れる。上記凹凸部(13)は、深さが10nm〜10μmであるのが好ましい。
【選択図】図4
Description
本発明は、内面に溝部の形成された内面溝付き管に関し、特に、熱交換効率の向上を図る技術に係るものである。
従来より、冷凍装置等の熱交換器(いわゆるフィンチューブ型熱交換器)の伝熱管として、管内面に多数の溝を形成して伝熱性能を高めた内面溝付き管がよく用いられている。例えば、特許文献1の内面溝付き管の内面には、管軸方向に螺旋状に延びる溝が形成されていて、これにより、溝間に多数の突条部が形成されている。この内面溝付き管では、突条部の断面が先細の山型に形成され、溝の断面が逆台形状に形成されている。
特開平8−174044号公報
ところで、上述のような熱交換器を蒸発器として用いる場合、外部と熱交換する際の伝熱形態として、強制対流による伝熱と冷媒の沸騰による伝熱とがある。一般的に、これらの伝熱形態のうち冷媒の沸騰による伝熱の方が、気泡による撹乱効果によって熱伝達率を大幅に向上することができるため、熱交換効率が高い。特に、冷媒としてCO2を用いる場合には、蒸発器内での冷媒の圧力が臨界圧に近くなるため、沸騰による伝熱が支配的になる。
そのため、上記熱交換器の構成としては、冷媒の沸騰をより促進できるような構成であるのが好ましい。ところが、上述のように、内面溝付き管の内面に溝を設けただけの構成では、沸騰の核となる気泡が生じにくく、沸騰伝熱はあまり促進されない。
一方、上述のような冷凍装置等の熱交換器で一般的によく用いられているフィンチューブ型の熱交換器では、その製造方法として、伝熱管をプレートフィンの穴部内に挿通させた状態で、該伝熱管の内部に治具を挿入して内側から拡管し、該伝熱管とプレートフィンとを接合させる方法が一般的に用いられている。
このような製造方法において、上述のように管内面に多数の溝が形成された内面溝付き管を伝熱管として用いる場合、該内面溝付き管を拡管する際に治具によって管内面の凸部が潰れて、伝熱促進の効果が損なわれてしまうという問題が生じる。
このような問題は、上述のように冷媒としてCO2を用いた場合により顕著になる。すなわち、冷媒としてCO2を用いると、伝熱管を高耐圧設計にする必要があり、該伝熱管の肉厚が大きくなるため、該伝熱管を拡管させる拡管推力が大きくなって、内面の凸部はより大きな変形を生じて伝熱促進の効果が著しく損なわれることになる。
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、沸騰伝熱を促進して、伝熱性能を向上することのできる内面溝付き管を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る内面溝付き管(1)では、内面に形成される溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面に微細な凹凸部(13)を設けることで、管内部を流れる流体の沸騰を促進するようにした。
具体的には、第1の発明では、内面に複数の溝部(11)が形成されていて、管内部を流れる流体と外部との間で熱交換を行うように構成された内面溝付き管を対象とする。そして、上記溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面には、上記流体の沸騰を促進するための凹凸部(13)が形成されているものとする。
この構成により、内面溝付き管(1)の内面には、複数の溝部(11)だけでなく、該溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面に微細な凹凸部(13)が形成されるため、この凹凸部(13)内で沸騰の核となる流体の気泡が発生しやすくなり、いわゆる核沸騰を促進することができる。しかも、上記凹凸部(13)は、上記溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面に設けられるため、上記内面溝付き管(1)を拡管して板状のフィン(13)と圧着させる場合でも、上記凹凸部(13)が治具(3)と接触して該凹凸部(13)が潰れるのを防止することができる。
したがって、上述のような構成にすることで、沸騰伝熱を促進することができ、伝熱性能を向上することができる。
上述の構成において、上記凹凸部(13)は、その深さが10nm以上で且つ10μm以下であるのが好ましい(第2の発明)。これにより、流体の核沸騰に適した大きさの凹凸部(13)が形成されるため、上述のような核沸騰をより促進することができ、伝熱性能をより向上することができる。
また、上記内面溝付き管(1)は、表面に上記溝部(11)及び上記凹凸部(13)の形成された板材(21)が管状に丸められてなるものとする(第3の発明)。これにより、管の内面に微細な凹凸部(13)が形成された内面溝付き管(1)を容易に形成することができる。
また、上記凹凸部(13)は、ショットピーニング、サンドブラストまたは金型との摩耗による表面加工法のいずれか一つの方法によって形成されるのが好ましい(第4の発明)。これにより、内面溝付き管(1)の内面に微細な凹凸部(13)を広範囲に亘って且つ容易に形成することができる。さらに、上記凹凸部(13)は、エッチングまたはナノ加工のいずれか一方の方法によって形成してもよい(第5の発明)。このような方法によれば、凹凸部(13)を精度良く且つ確実に形成することができるとともに、その形状を複雑な形状にすることも可能となる。
また、上記内面溝付き管(1)は、板状のフィン(2)に形成された穴部(2a)に挿通された状態で拡管されるものとする(第6の発明)。これにより、上述の各発明の構成を有する内面溝付き管(1)を用いて、熱交換効率の良いフィンチューブ型の熱交換器を構成することができる。詳しくは、上記内面溝付き管(1)を拡管させてフィン(2)と圧着させる場合、該内面溝付き管(1)の内部に治具(3)を挿入して該内面溝付き管(1)に塑性変形を生じさせる必要があり、該内面溝付き管(1)の内面に形成された突条部(12)は、その先端が治具によって潰れてしまう。これに対し、上記各発明の内面溝付き管(1)を用いて構成することで、拡管時にほとんど潰れない凹凸部(13)で流体の核沸騰が促進されるため、伝熱性能を確実に向上することができる。
さらに、上記流体は、CO2からなる冷媒であるのが好ましい(第7の発明)。このように、沸騰による伝熱が支配的なCO2の冷媒を用いることにより、微細な凹凸部(13)での核沸騰がより促進されて、伝熱性能を向上することができる。しかも、CO2の冷媒を用いた場合には、高耐圧設計にする必要があり、管の肉厚が大きくなるため、拡管推力が大きくなって、管内面の変形が大きくなる。このような場合でも、溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面に微細な凹凸部(13)を形成することで、伝熱促進の効果が損なわれるのを防止することができる。
第8の発明は、上記請求項1から7のいずれか一つに記載の内面溝付き管の製造方法を対象とする。そして、板材(21)の表面に溝部(11)及び凹凸部(13)を形成する表面加工工程と、上記溝部(11)及び凹凸部(13)の形成された上記板材(21)を管状に丸めて内面溝付き管(1)を形成する管形成工程と、を備えているものとする。
この方法により、内面溝付き管(1)は、表面に溝部(11)及び凹凸部(13)の形成された板材(21)を管状に丸めることによって得られるため、該内面溝付き管(1)の内面に微小な凹凸部(13)を確実且つ容易に形成することができる。
第9の発明は、熱交換器を対象としていて、上記請求項1から7のいずれか一つに記載の内面溝付き管(1)と、上記内面溝付き管(1)が挿通可能な穴部(2a)が形成されていて、上記内面溝付き管(1)が該穴部(2a)を挿通した状態で拡管されることにより内面溝付き管(1)と一体化される板状のフィン(2)と、を備えているものとする。
この構成により、上述の各発明の作用を有する熱交換器(10)が得られ、熱交換器(10)の熱交換効率の向上を図ることができる。
以上より、第1の発明に係る内面溝付き管(1)によれば、内面の溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面に微細な凹凸部(13)を形成したので、該凹凸部(13)により管内部で流体の核沸騰が生じやすくなり、沸騰伝熱の促進が図られる。これにより、管の伝熱性能を向上することができる。特に、第2の発明によれば、上記凹凸部(13)の深さを10nm以上10μm以下にすることで、核沸騰をより促進することができ、管の伝熱性能をより向上することができる。
また、第3の発明によれば、上記内面溝付き管(1)は、板材(21)を管状に丸めたものであるため、上記溝部(11)及び凹凸部(13)が内面に形成された管を容易に形成することができる。
また、第4の発明によれば、上記凹凸部(13)は、ショットピーニング、サンドブラストまたは金型との摩耗による表面加工法のいずれか一つの方法によって形成されるため、凹凸部(13)を広範囲に亘って且つ容易に形成することができる。一方、第5の発明によれば、上記凹凸部(13)をエッチングまたはナノ加工のいずれか一方の方法によって形成するため、より確実に且つ精度良く凹凸部(13)を形成することができる。
また、第6の発明によれば、上記各発明の内面溝付き管(1)を用いることで、板状のフィン(2)と接合するために拡管されても、伝熱性能の向上を図ることができる。
さらに、第7の発明によれば、上記流体はCO2からなる冷媒であるため、上記凹凸部(13)での核沸騰がより促進されて、伝熱性能をより向上することができるとともに、CO2の冷媒用に厚肉に内面溝付き管(1)を設計した場合でも、上述のような各発明の構成にすることで、伝熱促進の効果を確実に得ることができる。
第8の発明に係る内面溝付き管(1)の製造方法によれば、表面に溝部(11)及び凹凸部(13)の形成された板材(21)を管状に丸めることによって、容易且つ確実に上記各発明の構成を有する内面溝付き管(1)を形成することができる。
第9の発明に係る熱交換器(10)によれば、上記各発明の構成を有する内面溝付き管(1)を備えているため、熱交換効率の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本実施形態に係る内面溝付き管は、例えば、図1に示すように、冷凍装置等に設けられる熱交換器(10)(いわゆる、フィン・アンド・チューブ型熱交換器)の伝熱管(1)として用いられ、内部を冷媒が流れるものである。この内面溝付き管を流れる冷媒は、管周囲を流通する空気や水と熱交換して蒸発または凝縮する。なお、上記熱交換器(10)は、上記伝熱管(1)が貫通した状態で接合される複数の平板状のフィン(2,2,…)を備えていて、該フィン(2,2,…)を介して外部の気体と効率良く熱交換できるように構成されている。
上記内面溝付き管(以下、伝熱管(1)という。)は、材質が銅または銅合金の管部材であり、図2〜図4に示すように、その内面には、管軸方向に螺旋状に延びる溝部(11)が複数形成されている。この溝部(11)と溝部(11)との間には突条部(12)が形成されている。これらの溝部(11)や突条部(12)は、互いに並行に形成され、且つ、管軸方向に対して所定の角度だけ傾斜している。なお、本実施形態では、上記溝部(11)が管軸方向に対して傾斜して延びる螺旋状に形成されているが、この限りではなく、管軸を中心とするリング状に形成してもよい。また、上記溝部(11)は、溝同士が交差する交差溝であってもよい。
上記突条部(12)は、その突出端側である先端部(12a)が円弧状に形成され、基端部(12b)側に向かって幅広になるように形成されている。すなわち、上記突条部(12)は、断面円弧状の先端部(12a)と、平面状の壁面を有する側壁部(12c)とを有している。なお、この円弧状の先端部(12a)は、後述するように伝熱管(1)を拡管する際に、治具(3)によって潰れてしまう。
上記溝部(11)は、上記突条部(12)の側壁部(12c)によって構成される側面(11a,11a)と、底面(11b)と、によって断面略逆台形状に形成されている。すなわち、上記溝部(11)の側面(11a,11a)は、隣り合う突条部(12,12)の側壁部(12c,12c)の壁面によって構成されている。なお、上記溝部(11)を構成する上記側面(11a,11a)と底面(11b)との間に、製造時に欠けや割れ等の不良が発生しないように、所定の半径を有する円弧状の底部角部を設けるようにしてもよい。
そして、本発明の特徴部分として、図4に示すように、上記溝部(11)を構成する側面(11a,11a)及び底面(11b)には、冷媒の沸騰を促進するための微細な凹凸部(13)が形成されている。すなわち、冷凍装置等の冷媒回路において、特に蒸発器として用いられる熱交換器の伝熱性能が問題になるが、上述のように微細な凹凸部(13)を設けることで、冷媒の気泡が生じやすくなるため、冷媒の核沸騰が促進される。そうすると、気泡の撹乱効果によって熱伝達率が著しく増大し、高い伝熱性能が得られる。
特に、冷媒としてCO2を用いる場合には、強制対流による伝熱よりも沸騰による伝熱の方が支配的であるため、上述のように核沸騰を促進することで、伝熱性能をより効果的に向上することができる。
上記凹凸部(13)は、沸騰の核となる気泡の大きさや上記溝部(11)の大きさを考慮して、例えば、その深さが10nm〜10μmであるのが好ましい。これにより、上記凹凸部(13)は上述のような冷媒の核沸騰に適した大きさになり、該核沸騰をより促進することができる。なお、上記沸騰の核となる気泡の大きさは、約10nm以上であり、上記溝部(11)の深さは一般的に0.1〜0.2mm程度である。
上記凹凸部(13)は、例えば、ショットピーニングやサンドブラスト、金型との摩耗による表面加工法など、表面に凹凸を付与する方法によって形成される。このような方法によって形成することで、凹凸を広範囲に且つ容易に形成することができる。なお、上記金型との摩耗による表面加工法とは、金型の表面の粗さを予め大きくしておいて、該金型によって上記側面(11a,11a)及び底面(11b)を摩耗させることで、それらの面(11a,11a,11b)に凹凸を形成する方法である。
また、上記凹凸部(13)を形成する方法としては、上述のような方法に限らず、例えばナノ加工やエッチングなどによって表面を多孔質化する方法であってもよい。このような方法を用いれば、確実且つ精度良く凹凸部を形成することができるとともに、該凹凸部を複雑な形状にすることも可能になる。なお、上記ナノ加工は、ナノオーダーの加工ができる方法であれば、機械的な加工方法であってもよいし、粒子やビーム等を用いた加工方法であってもよい。
〈伝熱管とフィンとの接合方法〉
次に、上記伝熱管(1)を平板状のフィン(2,2,…)と接合して上記熱交換器(10)を製造する方法について、図5に基づいて説明する。
〈伝熱管とフィンとの接合方法〉
次に、上記伝熱管(1)を平板状のフィン(2,2,…)と接合して上記熱交換器(10)を製造する方法について、図5に基づいて説明する。
上記各フィン(2)には、伝熱管(1)を挿通させるための貫通穴(2a)(穴部)が形成されているため、まず、この貫通穴(2a)が一直線上に並ぶように、複数のフィン(2,2,…)を互いに平行に配置する。ここで、上記貫通穴(2a)は、伝熱管(1)の外径よりも大径に形成されている。
そして、上記複数のフィン(2,2,…)の貫通穴(2a,2a,…)内に、上記伝熱管(1)を一方側から挿通させる。このように該伝熱管(1)がフィン(2,2,…)の貫通穴(2a,2a,…)を挿通した状態で、該伝熱管(1)の内径よりも大きな外径を有する治具(3)を該伝熱管(1)内に押し込む。
そうすると、上記伝熱管(1)は、治具(3)によって上記貫通穴(2a)の内面まで押し拡げられて(拡管されて)、上記フィン(2,2,…)に圧着される。このとき、上記伝熱管(1)全体が塑性変形を生じることになるが、特に、上記治具(3)と接触する内面が大きく潰れることになる。
以上により、上記伝熱管(1)は、平板状のフィン(2,2,…)と接合されて、伝熱性能の良い熱交換器が得られる。すなわち、従来の伝熱管の構成では、上述のように治具(3)によって拡管する際に、伝熱管の内面が大きく変形してしまい、期待されるような伝熱促進の効果が得られないが、上述のように、伝熱管(1)の内面のうち溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に微細な凹凸部(13)を形成することで、伝熱管の内面が変形しても、該凹凸部(13)はほとんど潰れることなく、該凹凸部(13)で核沸騰を促進することができ、伝熱性能の向上を図ることができる。
〈伝熱管の製造方法〉
次に、上記伝熱管(1)の製造方法について、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、本実施形態の伝熱管(1)は、平板(板材)(21)の表面に加工を施した後、該平板(21)を管状に丸めて溶接して管にする、いわゆる電縫管である。そのため、以下の説明では、電縫管の基本的な製造方法の詳細については説明を省略する。
次に、上記伝熱管(1)の製造方法について、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、本実施形態の伝熱管(1)は、平板(板材)(21)の表面に加工を施した後、該平板(21)を管状に丸めて溶接して管にする、いわゆる電縫管である。そのため、以下の説明では、電縫管の基本的な製造方法の詳細については説明を省略する。
まず、図7(a)に示すように、平板(21)の表面に、上記溝部(11)を複数形成する。このとき、伝熱管(1)の内面に螺旋状に溝部(11)を形成する場合には、図7(a)に示すように平板(21)に対して斜めに溝を形成し、伝熱管(1)の内面に管軸を中心とするリング状に溝部(11)を形成する場合(図示省略)には、平板(21)の一辺に対して平行に溝を形成する。
そして、上記溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に凹凸部(13)を形成する。この凹凸部(13)の形成方法は、上述のとおり、ショットピーニング、サンドブラスト、金具による表面加工、ナノ加工若しくはエッチングなどである。ここで、上記凹凸部(13)は、その深さ寸法が10nm〜10μmになるように形成される。
なお、上記凹凸部(13)を形成する場合、上記溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に限らず、上記平板(21)全体に対して形成するようにしてもよい。
上述のようにして、上記平板(21)の表面に溝部(11)及び凹凸部(13)を形成した後、該平板(21)を図7(b)のように管状に丸め、その接合部分を溶接する。
これにより、内面に上記溝部(11)及び凹凸部(13)の形成された伝熱管(1)が得られる。
ここで、上記平板(21)の表面に溝部(11)及び凹凸部(13)を形成する工程が本発明の表面加工工程に、上記平板(21)を管状に丸めて伝熱管(1)を形成する工程が本発明の管形成工程に、それぞれ対応している。
なお、本実施形態では、電縫管によって上記伝熱管(1)を構成するようにしたが、この限りではなく、従来のように素管の内面を溝付きプラグによって加工した後、凹凸部(13)を設けるようにしてもよい。この場合には、上記凹凸部(13)を確実且つ精度良く形成するのが難しいが、電縫管によって構成する場合に比べて製造コストの低減を図れる。
−実施形態の効果−
以上より、この実施形態によれば、伝熱管(1)の内面の溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に、微細な凹凸部(13)を形成したため、核となる気泡が発生しやすくなり、冷媒の核沸騰を促進することができる。したがって、沸騰伝熱を促進することができ、上記伝熱管(1)によって構成される熱交換器(10)の伝熱性能の向上を図ることができる。
以上より、この実施形態によれば、伝熱管(1)の内面の溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に、微細な凹凸部(13)を形成したため、核となる気泡が発生しやすくなり、冷媒の核沸騰を促進することができる。したがって、沸騰伝熱を促進することができ、上記伝熱管(1)によって構成される熱交換器(10)の伝熱性能の向上を図ることができる。
しかも、上記凹凸部(13)は、溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)に形成されているため、上記伝熱管(1)の拡管によって内面の突条部(12)の先端が潰れても、該凹凸部(13)が潰れることはなく、上述のような効果が確実に得られる。したがって、上述のような構成にすることで、上記伝熱管(11)の拡管の影響を受けることなく、熱交換器(10)の伝熱性能の向上を図ることができる。
また、上記伝熱管(1)を、平板(21)から丸めて作る電縫管とすることで、その内面に、溝部(11)及び凹凸部(13)を確実に形成することができる。しかも、該凹凸部(13)をショットピーニングなどの方法により形成することで、凹凸を広範囲に且つ容易に形成することができる。一方、上記凹凸部(13)をエッチングやナノ加工によって形成すれば、より確実且つ精度良く凹凸を形成することができるとともに、複雑な形状の凹凸にすることも可能になる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、伝熱管(1)の溝部(11)の側面(11a,11a)及び底面(11b)の両方に微細な凹凸部(13)を設けるようにしているが、この限りではなく、いずれか一方のみに設けてもよい。
また、上記実施形態では、伝熱管(1)の材質を銅または銅合金としているが、この限りではなく、アルミニウム等であってもよい。
以上説明したように、本発明は、内面に溝を有する内面溝付き管及びその製造方法として有用である。
1 伝熱管(内面溝付き管)
2 フィン
2a 貫通穴(穴部)
3 治具
10 熱交換器
11 溝部
11a 側面
11b 底面
12 突条部
12a 先端部
12b 基端部
12c 側壁部
13 凹凸部
21 平板(板材)
2 フィン
2a 貫通穴(穴部)
3 治具
10 熱交換器
11 溝部
11a 側面
11b 底面
12 突条部
12a 先端部
12b 基端部
12c 側壁部
13 凹凸部
21 平板(板材)
Claims (9)
- 内面に複数の溝部(11)が形成されていて、管内部を流れる流体と外部との間で熱交換を行うように構成された内面溝付き管であって、
上記溝部(11)の側面(11a)及び底面(11b)のうち少なくとも一方の面には、上記流体の沸騰を促進するための凹凸部(13)が形成されていることを特徴とする内面溝付き管。 - 請求項1において、
上記凹凸部(13)は、その深さが10nm以上で且つ10μm以下であることを特徴とする内面溝付き管。 - 請求項1または2において、
表面に上記溝部(11)及び上記凹凸部(13)の形成された板材(21)が管状に丸められてなることを特徴とする内面溝付き管。 - 請求項1から3のいずれか一つにおいて、
上記凹凸部(13)は、ショットピーニング、サンドブラストまたは金型との摩耗による表面加工法のいずれか一つの方法によって形成されることを特徴とする内面溝付き管。 - 請求項1から3のいずれか一つにおいて、
上記凹凸部(13)は、エッチングまたはナノ加工のいずれか一方の方法によって形成されることを特徴とする内面溝付き管。 - 請求項1から5のいずれか一つにおいて、
板状のフィン(2)に形成された穴部(2a)に挿通された状態で拡管されることを特徴とする内面溝付き管。 - 請求項1から6のいずれか一つにおいて、
上記流体は、CO2からなる冷媒であることを特徴とする内面溝付き管。 - 上記請求項1から7のいずれか一つに記載の内面溝付き管の製造方法であって、
板材(21)の表面に溝部(11)及び凹凸部(13)を形成する表面加工工程と、
上記溝部(11)及び凹凸部(13)の形成された上記板材(21)を管状に丸めて内面溝付き管(1)を形成する管形成工程と、
を備えていることを特徴とする内面溝付き管の製造方法。 - 上記請求項1から7のいずれか一つに記載の内面溝付き管(1)と、
上記内面溝付き管(1)が挿通可能な穴部(2a)が形成されていて、上記内面溝付き管(1)が該穴部(2a)を挿通した状態で拡管されることにより内面溝付き管(1)と一体化される板状のフィン(2)と、を備えていることを特徴とする熱交換器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006349476A JP2008157589A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | 内面溝付き管とその製造方法、及びその内面溝付き管を用いた熱交換器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006349476A JP2008157589A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | 内面溝付き管とその製造方法、及びその内面溝付き管を用いた熱交換器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008157589A true JP2008157589A (ja) | 2008-07-10 |
Family
ID=39658684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006349476A Pending JP2008157589A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | 内面溝付き管とその製造方法、及びその内面溝付き管を用いた熱交換器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008157589A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3367037A1 (en) | 2017-02-24 | 2018-08-29 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Heat exchanger, heat exchange method using heat exchanger, heat transport system using heat exchanger, and heat transport method using heat transport system |
-
2006
- 2006-12-26 JP JP2006349476A patent/JP2008157589A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3367037A1 (en) | 2017-02-24 | 2018-08-29 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Heat exchanger, heat exchange method using heat exchanger, heat transport system using heat exchanger, and heat transport method using heat transport system |
RU2677779C1 (ru) * | 2017-02-24 | 2019-01-21 | Тойота Дзидося Кабусики Кайся | Теплообменник, способ теплообмена с использованием теплообменника, система для транспортировки тепла, в которой используется теплообменник, и способ транспортировки тепла с использованием системы для транспортировки тепла |
US10816283B2 (en) | 2017-02-24 | 2020-10-27 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Heat exchanger, heat exchange method using heat exchanger, heat transport system using heat exchanger, and heat transport method using heat transport system |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
ES2258647T3 (es) | Tubo de transferencia de calor mejorado con superficie interior ranurada. | |
US5975196A (en) | Heat transfer tube | |
JPH08128793A (ja) | 内部フィン付伝熱管とその製造方法 | |
JP2007163122A (ja) | 熱交換器および熱交換器マニホールドの製造方法 | |
JP5094771B2 (ja) | 熱交換器の製造方法及びその熱交換器を用いた空気調和機 | |
JP2009186063A (ja) | 熱交換器及びその製造方法 | |
KR20030010505A (ko) | 액매용 내면홈이 있는 전열관과 그 전열관을 이용한열교환기 | |
JP2007078325A (ja) | 熱交換用多穴管及びその製造方法 | |
JP2003004394A (ja) | 熱交換器用タンクおよびその製造方法 | |
JP6542984B2 (ja) | パイプ拡管パンチ | |
WO2011122388A1 (ja) | 熱交換器の製造方法 | |
KR20150092151A (ko) | 그루브형 튜브 | |
JP2012097920A (ja) | 熱交換器 | |
JP2006130558A (ja) | 熱交換器の製造方法 | |
JP5645852B2 (ja) | 管継手、熱交換器、及び熱交換器の製造方法 | |
JP2008157589A (ja) | 内面溝付き管とその製造方法、及びその内面溝付き管を用いた熱交換器 | |
JP7148782B2 (ja) | 金属製管状部材の接合構造 | |
JP2008051375A (ja) | 熱交換器の製造方法 | |
WO2017080269A1 (zh) | 换热器和换热管 | |
JP2004279025A (ja) | クロスフィンチューブ式熱交換器 | |
JP2009058215A (ja) | 熱交換器 | |
JP6815205B2 (ja) | 扁平管、フィンチューブ式熱交換器、およびそれらの製造方法 | |
JP2009058186A (ja) | 内面溝付伝熱管の製造方法 | |
JP2004239486A (ja) | 熱交換器およびその製造方法 | |
KR20150008773A (ko) | 콘덴싱 보일러용 잠열교환기 및 그 제조방법 |