JP2008157578A - 蓄熱システム及び蓄熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄熱体の短寿命化を防止できる蓄熱システム及び蓄熱装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る蓄熱システム100において、蓄熱容器1aには、エリスリトール3及び油2が収容される。エリスリトール3は潜熱蓄熱により蓄熱するもので、油2は、エリスリトール3に接触することで熱交換し、エリスリトール3よりも比重が小さくエリスリトール3とは分離するものである。そして、蓄熱システム100は、蓄熱容器1aの内部へ窒素を供給する供給機構8を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、発生した熱を蓄え、離れた場所に熱を輸送することができる、又は定置式の蓄熱システム及び蓄熱装置に関する。
工場(例えば、製鉄所、ゴミ処理場等)において発生する熱は、工場付近の様々な施設に利用されている。また、工場で発生した熱を一時的に蓄熱体等に蓄え、その蓄熱体を輸送することで、工場から離れた場所においても熱を利用することができる。
特許文献1には、蓄熱体の融解潜熱を利用する蓄熱装置に関する技術が開示されている。特許文献1の蓄熱装置に含まれる貯蔵容器(蓄熱容器)には、エリスリトール等の蓄熱体と、蓄熱体よりも比重が小さい油(熱交換媒体)とが収容されている。蓄熱した状態にある蓄熱体は融解状態にあるため、蓄熱体より比重の小さな油とは混合することなく、上下に分離して収容される。貯蔵容器(蓄熱容器)には、油を外部から供給し、また、外部へと排出するための供給管及び排出管が貫設されており、当該供給管及び排出管に接続される熱交換器側パイプは、熱交換器へ熱的に接続されている。また、供給管及び排出管に接続される熱交換器側パイプは、熱交換器の内部で連通している。
そして、貯蔵容器(蓄熱容器)へ蓄熱する場合には、油は、供給管、排出管及び熱交換器側パイプを通り、工場側の熱交換器内部で熱供給され、その熱供給された状態で、供給管を通って蓄熱体の下方に送り込まれる。送り込まれた油は比重が小さいため、蓄熱体の上方まで上昇する。この上昇の間に、蓄熱体と油との直接接触により熱交換が行なわれ、油の熱が蓄熱体へ供給される。以上の動作を繰り返すことで、蓄熱体への蓄熱が行なわれるようになっている。
一方、蓄熱体に蓄熱された熱を回収して利用する場合には、熱供給されていない油を、蓄熱体の下方へ送り込む。そして、送り込まれた油が蓄熱体内を上昇する間に、蓄熱体と油との直接接触により熱交換が行なわれ、蓄熱体に蓄熱された熱が、上昇する油へ供給される。そして、別途設けられた熱交換器において、上記のようにして熱供給された油の熱を回収することができる。以上の動作を繰り返すことで、蓄熱体に蓄熱された熱を回収して利用することができる。
そして、上記の貯蔵容器(蓄熱容器)は、トラック等により輸送可能となっているため、熱を発生する工場等と、その熱を利用する温水プール等の施設とが互いに離れている場合であっても、蓄熱された状態の蓄熱体が収容されている貯蔵容器を輸送することにより、熱輸送を行なうことができる。また、貯蔵容器内に蓄えられた熱を利用することにより、熱を利用する温水プール等の施設において、地球温暖化ガスであるCOの排出量を削減することができる。
特開2005−188916号公報
ところで、特許文献1に記載されている貯蔵容器(蓄熱容器)の内部において、蓄熱体(エリスリトール)及び熱交換媒体(油)部分を除いた上部の「空間部分」には、通常、空気が充填されていることになるので、この空間部分は酸素雰囲気であるといえる。そして、比重が蓄熱体よりも小さい熱交換媒体は、この空間部分の空気と接触しているために、熱交換媒体には酸素が取り込まれ易い。この状態において、蓄熱時に140度以上となった高温の熱交換媒体を循環させて蓄熱体を加熱すると、熱交換媒体中に含まれる酸素の影響によって、蓄熱体が酸化により劣化し、その結果、蓄熱体が短寿命化してしまう。
そこで、本発明の目的は、蓄熱体の短寿命化を防止できる蓄熱システム及び蓄熱装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び効果
上記の目的を達成するために、本発明に係る蓄熱システムは、潜熱蓄熱により蓄熱する蓄熱体と、前記蓄熱体に接触することで熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく前記蓄熱体とは分離する熱交換媒体と、前記蓄熱体及び前記熱交換媒体を収容する蓄熱容器と、前記蓄熱容器の内部へ不活性ガスを供給する供給手段と、を有する。
この構成によると、供給手段により、蓄熱容器内部へ不活性ガスが供給されることで、蓄熱容器内部の空間部分における酸素の比率が小さくなり、且つ、不活性ガスの比率が大きくなるために、蓄熱体の酸化が抑止される。そのため、蓄熱体の短寿命化を防止できる。
前記蓄熱容器は、前記不活性ガスが前記蓄熱容器内部へ滞留可能となるように密閉状に形成されていてもよい。これによると、供給手段により供給された不活性ガスが蓄熱容器内部に滞留するために、蓄熱容器内部の不活性ガスの比率を効率的に高めることができ、蓄熱体の酸化がより効率的に抑止される。
前記蓄熱容器内部の気体を排気する排気手段と、前記供給手段により不活性ガスが供給されているときに前記蓄熱容器内部の気体が排気されるように前記排気手段を制御する排気制御手段と、をさらに有していてもよい。これによると、蓄熱容器内部の酸素を取り除き、且つ、蓄熱容器内部へ不活性ガスを供給することで、蓄熱体の酸化がより効率的に抑止される。そのため、蓄熱体の短寿命化をより効率的に防止できる。また、不活性ガスの供給時において排気するために、蓄熱容器内部の気圧を大きく変化させることなく、蓄熱容器内部の気体を不活性ガスと置換することができる。
前記排気手段により排気された気体中の酸素量を測定する酸素量測定手段と、前記酸素量測定手段を用いて測定された酸素量に応じて前記供給手段及び前記排気手段を制御する給排気制御手段と、をさらに有していてもよい。これによると、排気された気体中の酸素量に応じて不活性ガスの供給量、排気される気体の量を変化させることで、供給手段、排気手段を効率的に制御して、蓄熱体の短寿命化をさらに効率的に防止できる。また、不活性ガスの供給量を必要とされる最小限の量とすることができる。
前記供給手段による不活性ガスの供給は、前記蓄熱体への蓄熱時において行なわれてもよい。特に蓄熱時には、高温の熱交換媒体が蓄熱体内部を経由して循環流通するために、蓄熱体の酸化による劣化が早い。そのため、このような構成にすることにより、蓄熱体の短寿命化を効率的に防止できる。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る蓄熱装置は、潜熱蓄熱により蓄熱する蓄熱体と、前記蓄熱体に接触することで熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく前記蓄熱体とは分離する熱交換媒体と、前記蓄熱体及び前記熱交換媒体を収容する蓄熱容器と、を有する蓄熱装置であって、前記蓄熱容器には、前記蓄熱容器の内部へ不活性ガスを供給するための供給用開口部が設けられている。
この構成によると、供給手段により蓄熱容器内部へ不活性ガスが供給されることで、蓄熱体の酸化が抑止される。そのため、蓄熱体の短寿命化を防止できる。
前記蓄熱容器は、前記不活性ガスが前記蓄熱容器内部へ滞留可能となるように密閉状に形成されていてもよい。これによると、供給手段により供給された不活性ガスが蓄熱容器内部に留まるために、蓄熱容器内部の不活性ガスの比率を効率的に高めることができ、蓄熱体の酸化がより効率的に抑止される。
前記蓄熱容器から排気される気体の圧力を調整する圧力調整弁をさらに有していてもよい。これによると、蓄熱装置の運搬中に、内部のガス抜きをすることができ、蓄熱容器内部の圧力を適切に調整できる。また、蓄熱時等においても、排気される気体の量を細かく調整できるので、排気された気体の酸素量に応じて、気体が排気される量をより適切に調整でき、蓄熱体の短寿命化をさらに効率的に防止できる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(全体構成)
まず、本発明の第1実施形態に係る蓄熱システム及び蓄熱装置を用いた蓄熱について、図1の概略図を参照しながら説明する。
本実施形態の蓄熱システム及び蓄熱装置は、例えば、図1に示すように、熱を発生する工場(熱源)80とその熱を利用する施設(熱利用機構)85とが互いに離れている場合に適用される。まず、蓄熱装置1(蓄熱容器1a)への蓄熱についての概要を説明する。蓄熱装置1は、蓄熱体及び熱交換媒体(後述)を収容する可搬式の蓄熱容器1aを含んで構成される。この場合、蓄熱容器1aは熱交換器5aに対して、接続口51、52を介して着脱可能に接続され、蓄熱の完了した(蓄熱済みの)蓄熱容器1aは、トラック等の輸送機構50の荷台50bに搭載され、工場80から施設85へと輸送される。工場80は、具体的には製鉄所等であり、その他、ごみ焼却場や発電所等であってもよい。そして、そこで排出される熱が熱交換器5a及び熱交換媒体を介して蓄熱容器1aに蓄えられる。また、熱交換器5aは、工場80の熱を、熱交換器5a中を流通する熱交換媒体へ伝達するためのものである。一つの蓄熱容器1aの蓄熱が完了した後、待機している未蓄熱状態の蓄熱容器1aの接続口を、熱交換器5aとの接続口51、52へ接続することで、次の未蓄熱状態の蓄熱容器1aに対して同様に蓄熱が行なわれる。このようにして工場80の熱を順次蓄熱容器1aに蓄熱することができる。
次に、蓄熱容器1aに蓄えられた熱の利用(以下、これを放熱と記す)についての概要を説明する。この場合、蓄熱容器1aは、熱交換器5bに対して、接続口53、54を介して着脱可能に接続され、放熱の完了した蓄熱容器1aは、トラック等の輸送機構50により、施設85から工場80へと輸送される。施設85は、温水プールや病院等の施設であり、蓄熱容器1aに蓄えられた熱が熱交換媒体及び熱交換器5bを介して放熱されることで、施設85内の温調設備等に適用される。また、熱交換器5bは、蓄熱容器1aに蓄積された熱を施設85へ伝達するためのものである。一つの蓄熱容器1aの放熱が完了した後、待機している次の蓄熱済み蓄熱容器1aの接続口を、熱交換器5bとの接続口53、54へ接続することで、施設85において、さらに熱を利用することができる。このようにして、施設85において、順次蓄熱容器1aに蓄えられた熱を放熱して利用することができる。
(蓄熱システム及び蓄熱装置について)
次に、図2を参照しながら、本実施形態に係る蓄熱システム及び蓄熱装置1の具体的な構成について説明する。図2は蓄熱装置1を含む蓄熱システム100の蓄熱側を示す概略図である。図2においては、工場80を省略して示している。また、図2の蓄熱容器1a部分については、鉛直方向断面概略図として示している。
図2に示すように、蓄熱システム100は、エリスリトール3、油2、蓄熱容器1a、供給管4、排出管6、供給機構8、排気機構9、コンピュータ10を含んで構成されている。また、蓄熱装置1は、エリスリトール3、油2、蓄熱容器1a、供給管4、排出管6を含んで構成されている。そして、供給機構(窒素供給機構)8、排気機構9等は、コンピュータ10と電気的に接続されており、供給機構8、排気機構9等は、コンピュータ10からの命令を受けて制御される。
そして、蓄熱システム100においては、蓄熱、放熱時に、蓄熱容器1aの内部と熱交換器5aとの間で、熱交換媒体である油2が循環流通するようになっており、また、エリスリトール3の酸化による短寿命化を防止するため、蓄熱容器1a内部の気体の排気、蓄熱容器1a内部への窒素(不活性ガス)の供給ができるようになっている。
(コンピュータについて)
図2に示されているコンピュータ10は、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって構成されている。かかる情報処理装置には、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、FDやCDの駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、当該情報処理装置を機能させるためのプログラム(このプログラムは、CD−ROM、FD、MOなどのリムーバブル型記録媒体に記録しておくことにより、任意のコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、後述するような各部が構築されている。
図3に示すように、コンピュータ10は、内部に給排気制御部10c、記憶部10dを有している。また、給排気制御部10cは、供給制御部10a、排気制御部10b、判断部10eを有して構成されている。
給排気制御部10cは、供給制御部10a、排気制御部10bを統括的に制御するものである。また、給排気制御部10cは、排気機構9により排気された気体中の酸素量を測定する酸素計9w(後述する)を用いて測定された酸素量に応じて、供給制御部10a及び排気制御部10bを適宜制御する。
供給制御部10aは、供給機構8の動作の制御を行なうものであり、これにより、供給機構8が窒素を蓄熱容器1aへ供給し又は窒素の供給を停止する。具体的には、供給制御部10aは、エリスリトール3への蓄熱時において、供給機構8による窒素の供給が行なわれるように供給機構8を制御する。
排気制御部10bは、蓄熱容器1a内部の気体を排気する排気機構9の動作の制御を行なうものであり、これにより、排気機構9が蓄熱容器1a内部の気体を外部へ排気し、又は気体の排気を停止する。具体的には、排気制御部10bは、供給機構8により窒素(不活性ガス)が供給されているときに蓄熱容器1a内部の気体が排気されるように排気機構9を制御する。
判断部10eは、供給機構8及び排気機構9の具体的制御内容についての判断を行なうものである。例えば、酸素計9wを用いて測定された酸素量を読み取り当該酸素量と、記憶部10d(後述)に記憶された酸素量の上限値とを比較して、供給機構8及び排気機構9の具体的動作について判断を行ない、その判断結果を供給制御部10a及び排気制御部10bへ伝達する。また、判断部10eは、蓄熱装置1(蓄熱システム100)が蓄熱を行なっている状態、放熱を行なっている状態、及びそれ以外のどの状態にあるかを判断し、状態に応じて、供給制御部10a及び排気制御部10bへ制御命令を出すかどうか、どのような制御を行なうか等について判断する。
記憶部10dには、蓄熱システム1の運転管理に必要な各種情報が記憶されている。例えば、蓄熱時、放熱時、及びその他のそれぞれの状態において、蓄熱容器1a内部の許容される酸素量の上限値が記憶されており、この上限値を基に、判断部10eが、供給機構8及び排気機構9の制御について判断することになる。本実施形態においては、この酸素量の上限値としては、実験により経験的に蓄積されたデータを基に、エリスリトール3の酸化による劣化を考慮して得られた値が用いられるが、このような値には限られない。
(蓄熱容器)
蓄熱容器1aの構成について説明する。蓄熱容器1aの形状は図2のようになっている。すなわち、蓄熱容器1aは、底部、上部、及び四方の側部を構成する複数の板状部材から成る。そして、蓄熱容器1aの上部(上板部)には、蓄熱容器1aの内部へ不活性ガスを供給するための供給用開口部1i、及び、蓄熱容器1a内部の気体を排気するための排気用開口部1eが形成されている。また、蓄熱容器1aの側部(側板部)には、供給管4、排出管6を貫通設置するための、供給管用孔部1y、排出管用孔部1zが形成されている。
そして、蓄熱時及び放熱時において、蓄熱容器1aには、油(熱交換媒体)2と、エリスリトール(蓄熱体)3とが収容される。そして、蓄熱容器1aの内部において、エリスリトール3及び油2部分を除いた上部には空間部分1pが形成される。
また、蓄熱容器1aは、供給機構8により供給された不活性ガスが蓄熱容器1a内部へ滞留可能となるように密閉状に形成されている。ここで、「密閉状」とは、蓄熱容器1aの外部との間における流体の出入りのために必要な、供給管用孔部1y、排出管用孔部1z、供給用開口部1i、排気用開口部1eを除いて密閉された構造となっており、且つ、流体の出入り量を任意に調整できるということを表わしている。
また、蓄熱容器1aの上板部には、蓄熱容器側供給管1rが設けられており、蓄熱容器側供給管1rは、その内部空間が、供給用開口部1iを通じて蓄熱容器1aの内部空間へ連通するように配置されている。また、蓄熱容器1aの上板部には、蓄熱容器側排気管1sが設けられており、蓄熱容器側排気管1sは、その内部空間が、排気用開口部1eを通じて蓄熱容器1aの内部空間へ連通するように配置されている。また、供給管4及び排出管6が、供給管用孔部1y、排出管用孔部1zを貫通して蓄熱容器1aに取り付けられている。
また、蓄熱容器1aには、供給管4及び排出管6が、蓄熱容器1a内部に連通して設けられている(詳細は後述する)。そして、供給管4及び排出管6と、熱交換器側内部を通る熱交換器側パイプとが接続されて、熱交換媒体である油2が、蓄熱容器1aの内部及び熱交換器の内部を経由しつつ循環流通できるようになっている。
(蓄熱装置)
また、蓄熱容器1aは、供給管4、排出管6、蓄熱容器側供給管1r及び蓄熱容器側排気管1sが蓄熱容器1aに取り付けられている状態で、上記の輸送機構50により輸送可能となっている。図2の破線A部分が、この輸送可能な部分を表わしており、A部分が蓄熱装置1に相当する。なお、本実施形態においては、蓄熱容器1aに、供給管4及び排出管6が固定設置されているが、例えば、蓄熱、放熱時にのみ、供給管及び排出管を蓄熱容器内部へ挿入し、運搬時には供給管、排出管を取り外す、という形態であってもよい。蓄熱容器側供給管1r及び蓄熱容器側排気管1sについても同様である。
また、蓄熱装置1は、蓄熱容器1a内部の圧力を機械的に自動調整する圧力調整弁1qを有する。圧力調整弁1qは、逃がし弁(安全弁)であり、容器内の圧力が規定値以上になると自動的に作動し、気体を外に排出して圧力を調整する。そして、圧力が所定の値以下に降下すれば、再び弁体が閉じる機能を有する。このような弁としては、バネ式のもの、てこ式のもの等がある。圧力調整弁1qの作用により、容器内部の気体を放出して内部圧力を低下させることができる。また、圧力調整弁1qの調整(開状態、閉状態でのロック等)は、オペレータが行なってもよい。
(供給管)
次に供給管4について説明する。供給管4は、蓄熱容器1aの外部から内部へ貫通して設けられている。また、供給管4は、収容されたエリスリトール3が位置する蓄熱容器1aの下層部分において蓄熱容器1aへ取り付けられており、水平方向に伸びるように形成されている。すなわち、供給管4は、蓄熱容器1aの内部において全体的にエリスリトール3と接触するように配置されている。また、供給管4は内部空間を有しており、熱交換器5aに熱供給された油2が当該内部空間を流通するようになっている。また、供給管4はパイプ状に形成されている。なお、供給管4の先端部は一本でもよいし、複数設けられていてもよい。
また、供給管4は、放出孔4hをその軸方向に沿って複数有しており、供給管4の内部を流通する油2はこの放出孔4hから放出される。なお、供給管4に設けられた放出孔4hは、上向きに開口するように設けられている。
なお、放出孔の配置はこのようなものには限られない。また、本実施形態においては、熱交換媒体の供給部としてパイプ状の供給管4を用いているが、供給部はこのようなパイプ状のものには限られず、油2が流通する内部空間を有する直方体状(ボックス状)で、表面に複数の放出口が設けられた供給部(先端部)を有しているものであってもよい。
(排出管)
次に排出管6について説明する。排出管6もまた、蓄熱容器1aの外部から内部へ貫通して設けられている。また、排出管6は、収容された油2が位置する蓄熱容器1aの上層部分において蓄熱容器1aへ取り付けられており、蓄熱容器1a内の油2は、排出管6を通して蓄熱容器1aの外部へ排出される。また、排出管6は、油2と接触するように配置されており、蓄熱容器1a内部の油2は、排出管6の先端に設けられた排出口6hより排出管6へ取り込まれるようになっている。
また、図2に示すように、蓄熱時には、供給管4の接続口41が、熱交換器側パイプ7aとの接続口51に着脱可能に接続され、排出管6の接続口61が、熱交換器側パイプ7bとの接続口52に着脱可能に接続された状態となる。
(供給機構)
供給機構8は、蓄熱容器1aの内部へ不活性ガスである窒素を供給するものであり、窒素が貯蔵されている窒素貯蔵容器8a、貯蔵容器側供給管8r、蓄熱容器側供給管1rを有して構成されている。貯蔵容器側供給管8rは、窒素貯蔵容器8aの内部と連通しており、蓄熱容器側供給管1rは、蓄熱容器1aの内部空間と連通している。また、貯蔵容器側供給管8r及び蓄熱容器側供給管1rは、カップリング8c、1cを介して接続され、また、運搬時等においてカップリング8c、1cを切り離すことで、貯蔵容器側供給管8rと蓄熱容器側供給管1rとを切り離すことができる。また、貯蔵容器側供給管8rの途中にはバルブ8vが、蓄熱容器側供給管1rの途中にはバルブ1vがそれぞれ設けられている。また、バルブ1v、8vは、コンピュータ10と電気的に接続されている。このような構成により、窒素貯蔵容器8aの内部は、貯蔵容器側供給管8r及び蓄熱容器側供給管1rを介して蓄熱容器1aの内部空間と連通し、バルブ1v、8vを適宜調整制御することにより、窒素貯蔵容器8a内部の窒素を蓄熱容器1a内部へ供給することができる。また、バルブ1v、8vを調整することで、供給量を調整することもできる。運搬時には、バルブ1vは閉状態となる。
なお、本実施形態においては、不活性ガスとして窒素を用いているが、供給機構によって供給される不活性ガスは窒素には限られず、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスを用いてもよい。
(排気機構)
排気機構9は、蓄熱容器側排気管1s、排気管9sを有して構成されている。蓄熱容器側排気管1sは、蓄熱容器1aの内部空間と連通している。また、排気管8rは、図示しない排気部へと連通している。排気部は、例えば、外部空間への放出口等であり、途中にエアフィルター等の排気処理機構を設置してもよい。また、蓄熱容器側排気管1s及び排気管9sは、カップリング1d、9cを介して接続され、また、運搬等においてカップリング1d、9cを切り離すことで、蓄熱容器側排気管1s、排気管9sを切り離すことができる。また、蓄熱容器側排気管1sの途中にはバルブ1wが、排気管9sの途中にはバルブ9vがそれぞれ設けられている。また、バルブ1w、バルブ9vは、コンピュータ10と電気的に接続されている。このような構成により、蓄熱容器1aの内部は、蓄熱容器側排気管1s、排気管9sを介して外部空間と連通し、バルブ1w、9vを適宜調整制御することにより、蓄熱容器1a内部の気体を、容器の外部へ排気することができるようになっている。また、バルブ1w、バルブ9vを調整することで、排気量を調整することもできる。
また、排気機構9の排気管9sの途中には、酸素計(酸素量測定手段)9wが設置されており、この酸素計9wにより、排気機構9によって蓄熱容器1aの内部から排気された(排気管9s中を通る)排気中の酸素量をモニタリングすることができる。そして、酸素計9wもまたコンピュータ10と電気的に接続されており、コンピュータ10の給排気制御部10cは、酸素計9wからの酸素量情報に応じて、供給機構8及び排気機構9を制御する。また、ここでの酸素量の測定値は、具体的には、酸素の体積濃度、重量濃度、酸素分圧等を測定することで得られるもので、酸素計としては、ジルコニア式等が用いられる。
(熱交換媒体)
本実施形態において熱交換媒体として用いられる油2は、エリスリトール3との間で、直接接触による熱交換を行なう。まず、蓄熱時には、油2は排出管6、熱交換器側パイプ7aを通り、熱交換器5a内で熱供給された後、パイプ7b、供給管4を通ってエリスリトール3内に放出される(以下の説明において、蓄熱時に熱交換器5aで熱供給された油2を特に油2aと、また、放熱時に蓄熱容器1aでエリスリトール3から熱供給された油2を特に油2bと記す)。放出された油2aは、比重がエリスリトール3よりも小さいため、上層の油2の位置にまで上昇し、油2に取込まれる。この上昇中に、エリスリトール3との直接接触により、油2aの熱がエリスリトール3に伝達されるようになっている。
また、放熱時には、油2は排出管6、熱交換器側パイプを通り、熱交換器5b(図1参照)内で放熱後、供給管4を通ってエリスリトール3内に放出される。この放出された(放熱後の)油2は、比重がエリスリトール3よりも小さいため、上層の油2の位置にまで上昇し、油2に取込まれる。この上昇中に、エリスリトール3との直接接触により、エリスリトール3に蓄熱された熱が油2に伝達されるようになっている。
なお、熱交換器側パイプ7aの途中にはポンプ6pが設置されており、ポンプ6pの作用により、熱交換器5a及び蓄熱容器1aの間を油2が循環流通するようになっている。また、ポンプ6pはコンピュータ10に電気的に接続されており、コンピュータ10によってポンプ6pの動作を制御することができるようになっている。
(蓄熱体)
エリスリトール3は、蓄熱時には、上記の油2aから伝達された熱を蓄える。また、放熱時には、放熱後の油2へ熱を伝達する。エリスリトール3の融点は約119度であり、平時には(室温状態では)固体となっている。そして、油2aから直接接触により熱が伝達されることにより、固体から液体に状態変化し、液体状態のときに蓄熱されるようになっている。すなわち、エリスリトール3は、潜熱蓄熱を利用して蓄熱するものである。一方、エリスリトール3は、液体から固体へ状態変化するときに放熱するので、熱を取り出すことができる。ここで、エリスリトールは、融解熱が76kcal/kgと高いことから、その蓄熱量が大きいために蓄熱体として望ましい。ここではエリスリトールを用いているが、蓄熱体としては、その他にも、酢酸ナトリウム(融解熱:63kcal/kg)、糖アルコール類等、融解熱(潜熱)が大きいものを用いることができる。
(油及びエリスリトール)
油2とエリスリトール3とは互いに混合せず、油2がエリスリトール3よりも比重が小さいため、蓄熱容器1a内では、油2が上層、エリスリトール3が下層となるように収容される。また、油2とエリスリトール3とが互いに混合しないため、油2とエリスリトール3との間には、夫々を分離するための部材等は介在せず、油2とエリスリトール3とは直接接触している。
(熱交換器)
図1、2に示すように、蓄熱側の熱交換器5aは、工場80で発生した熱を油2へ伝達するためのものである。そして、熱交換器側パイプ7b、7aには、接続口52、51において、供給管4及び排出管6の接続口41、61がそれぞれ着脱可能に接続される。また、熱交換器側パイプ7b、7aは、熱交換器5aの内部において連通するように構成されている。そして、蓄熱容器1a内部の油2が蓄熱容器1a側から熱交換機5a内部へと取り込まれる。一方、工場80から排出された高温の蒸気や空気等の熱媒体が熱交換器5a内部へ送り込まれる。そして、取り込まれた油2が流通する熱交換器側パイプ7a、7b、及び、熱媒体が流通するパイプが、熱交換器5aの内部で互いに接触するように設けられており、且つ、これらの配管が熱伝導率の高い部材から形成されているために、パイプの壁を通して、熱媒体の熱が間接的に油2に伝達される。このようにして、蒸気や空気等の熱媒体を介して送り込まれた熱が、熱交換器5a内での熱交換により、熱交換器側パイプ7a、7b中を流通する油2へ伝達される。そして、熱交換器側パイプ7a、7b及び油2により熱を取り除かれた蒸気等の熱媒体が、再び工場80へ還流するようになっている。そのため、工場(熱源)80と熱交換器側パイプ7a、7bとは、熱的に接続されているといえる。
なお、本実施形態においては、工場から排出された熱媒体を熱交換器へ供給するためのパイプ、及び、熱交換後の熱媒体を再び工場へ向けて熱交換器から排出するためのパイプが熱交換器の内部で連通しているが、このような構成には限られず、これらのパイプが熱交換器の内部で連通せず、上流側パイプから、高温の蒸気や空気等の熱媒体が熱交換器内部へ送り込まれ、油へ熱が伝達された後、熱を取り除かれた蒸気等の熱媒体が、下流側パイプから排出されるようになっていてもよい。
また、放熱側の熱交換器5bは、蓄熱容器1aに蓄えられた熱を、施設85へ伝達するためのものである。そして、蓄熱側と同様に、熱交換器側パイプには、接続口54、53において、供給管4及び排出管6の接続口41、61がそれぞれ着脱可能に接続される。また、熱交換器側パイプは、熱交換器5bの内部において連通するように構成されている。そして、熱交換器5bには、蓄熱容器1aのエリスリトール3に蓄えられた熱が供給された油2bが、蓄熱容器1a側から取り込まれる。一方で、熱交換器5bには、施設85に熱を伝達するための熱媒体が施設85側から取り込まれる。ここで、取り込まれた油2bが流通する熱交換器側パイプ、及び、熱媒体が流通するパイプが、熱交換器5bの内部で互いに接触するように設けられており、且つ、これらの配管が熱伝導率の高い部材から形成されているために、パイプの壁を通して、油2bの熱が間接的に熱媒体に伝達される。そして、このような熱交換により熱を与えられた熱媒体が、パイプを通って施設85へ還流するようになっている。以上から、施設85と熱交換器側パイプとは、熱的に接続されているといえる。
(熱輸送システムにおける各行程について)
次に、熱輸送システムによる蓄熱、輸送、放熱の各工程について説明する。
(蓄熱)
まず、蓄熱工程において、蓄熱容器1aへの蓄熱が行なわれる。このとき、蓄熱容器1aには、予め熱交換媒体である油2が注入・供給された状態となっている。蓄熱工程においては、工場80から蒸気として排出された熱が、熱交換器5aにおいて、油2へと伝達される。
そして、熱供給された油2aが、熱交換器側パイプ7b及び供給管4を通って、放出孔4hから、エリスリトール3が位置する蓄熱容器1aの下層部分に供給される。ここで、油2aは、エリスリトール3よりも比重が小さいため、油2aが放出孔4hから蓄熱容器1aの下層部分へ導入されたときに、エリスリトール3と直接接触しつつ、蓄熱容器1aの上層部分へと上昇する。このときに、エリスリトール3が、高温の油2aと直接接触することで、エリスリトール3に油2aの熱が供給される。
そして、エリスリトール3に熱を供給した油2は、排出口6hから排出管6に流入する。そして、油2は、排出管6、熱交換器側パイプ7a、7b内を流通し、そこで工場80から排出された熱が、油2へと伝達されて熱供給される。蓄熱工程では、以上のようにして蓄熱が行なわれる。
次に、エリスリトール3への蓄熱が完了したかどうかが判断される。具体的には、例えばエリスリトール3の平均温度をモニタリングしておき、これがある基準値以上となった場合に蓄熱完了とする等の判断手法が考えられる。判断手法はこれ以外であってもよい。これにより、蓄熱が未だ完了していなければ、再び蓄熱工程が繰り返される。このように、蓄熱工程を繰り返すことで、工場80で発生した熱を蓄熱容器1aに十分蓄えることができる。一方、蓄熱が完了していると判断されれば、蓄熱工程が終了し、次の工程が行なわれる。
(熱輸送)
次に、輸送工程において、蓄熱容器1aの輸送が行なわれる。これは、蓄熱の完了した蓄熱容器1aを搭載したトラック等の輸送機構50により行なわれるもので、蓄熱容器1aが、工場80から熱が利用される施設85へと輸送される。ここで、輸送機構50はトラック等の陸上走行車両には限られず、船舶や航空機であってもよい。また、蓄熱容器1aは、接続口51、52における接続を解除して輸送される。以上のようにして、蓄熱及び蓄熱容器1aの輸送が行なわれる。ここで、蓄熱容器1aにおいて、蓄熱に対する寄与の小さい油2の含有量を少なくすることにより、油2が大量に含まれる場合に比べて、蓄熱容器1aの重量が小さくなり熱輸送効率が高くなる。
(放熱)
次に、放熱工程では、施設85において、蓄熱容器1aに蓄えられた熱が回収・利用される。まず、接続口53、54において、熱交換器側パイプと、輸送工程により施設85へ運び込まれた蓄熱容器1aとが接続される。
そして、蓄熱容器1aに蓄えられた熱の放熱が行なわれる。すなわち、施設85において、蓄熱容器1aの熱が利用される。放熱工程においては、蓄熱容器1aに蓄えられた熱が、熱交換器5bを介して、施設85へと伝達されることになる。
そして、熱供給後の油2が、熱交換器側パイプ7b及び供給管4を通って、放出孔4hから、エリスリトール3が位置する蓄熱容器1aの下層部分に供給される。ここで、油2はエリスリトール3よりも比重が小さいため、油2が、放出孔4hから蓄熱容器1aの下層部分へ導入されたときに、エリスリトール3と直接接触しつつ、蓄熱容器1aの上層部分へと上昇する。このときに、高温のエリスリトール3が、油2と直接接触することで、油2にエリスリトール3の熱が供給される。
そして、エリスリトール3から熱供給された油2bは、排出口6hから排出管6に流入する。そして、排出管6、熱交換器側パイプ7aへ送られ、そこで油2bから施設85へと熱が伝達され、施設85において、蓄熱容器1aの熱が利用される。放熱工程では、以上のようにして放熱が行なわれる。
次に、放熱が完了したかどうかが判断される。具体的には、例えばエリスリトール3の平均温度等をモニタリングしておき、これがある基準値以下となった場合に放熱完了と判断する等の手法が考えられる。判断手法はこれ以外であってもよい。これにより、放熱が未だ完了していなければ再び蓄熱工程が繰り返される。このように、放熱工程を繰り返すことで、蓄熱容器1aのエリスリトール3に蓄えられた熱を、施設85において十分に利用することができる。一方、放熱が完了していると判断されれば、放熱工程が終了する。
(供給機構、排気機構の動作について)
次に、供給機構8及び排気機構9の動作について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。蓄熱容器1aの内部において、エリスリトール3及び油2部分を除いた上部の空間部分1pには、供給機構8、排気機構9を動作させていない使用開始時等の状態では、空気が充填されていることになるので、この空間部分1pは酸素雰囲気であるといえる。そして、比重がエリスリトール3(比重:約1.4)よりも小さい油2(比重:約0.8)は、この空間部分1pの空気と接触しているために、油2には酸素が取り込まれ易い。この状態において、蓄熱時に140度以上となった高温の油2を循環させてエリスリトール3を加熱すると、油2中に含まれる酸素の影響によって、エリスリトール3が酸化により劣化し、その結果、エリスリトールが短寿命化してしまう。そこで、蓄熱システム100では、エリスリトール3の劣化を防止するために、供給機構8及び排気機構9を用いて、蓄熱容器1aの内部の空気を、外部から供給した窒素で置換する。以下、具体的に説明する。
まず、コンピュータ10内の判断部10eが、蓄熱容器1aが、蓄熱時であるかどうかを判断する(図4のステップS101)。この判断については、例えばオペレータによるコンピュータ10への入力操作によるものであってもよいし、蓄熱装置1の所定部位の温度をモニタリングすることにより、記憶部10dのデータに基づいて判断部10eが現在の状態を判断してもよい。
そして、蓄熱時であると判断された場合には(ステップS101:Yes)、判断部10eは、酸素計9wによって測定された酸素量の計測値と、記憶部10d(後述)に記憶された酸素量の上限値を比較する(ステップS102)。そして、酸素量の計測値が上限値よりも大きい場合には(ステップS102:Yes)、排気機構9の制御により蓄熱容器1a内部の気体を排気し、供給機構8の制御により蓄熱容器1a内部へ窒素を供給する(ステップS103)。
次に、判断部10eは、蓄熱が終了しているかどうかを判断する(ステップS104)。そして、蓄熱が終了していれば(ステップS104:Yes)動作は終了となり、蓄熱が終了していなければ(ステップS104:No)、再び酸素量と上限値とを比較(ステップS102)する。そして、酸素量の計測値が記憶部10dの上限値よりも大きい場合には(ステップS102:Yes)、さらに再び排気、窒素供給を行なう(ステップS103)。
また、酸素量と上限値との比較(ステップS102)において、酸素量の測定値が上限値以下である場合には(ステップS102:No)、排気、窒素供給(ステップS103)を行なわずに蓄熱終了かどうかの判断(ステップS104)を行なう。
また、ステップS101の判断において、蓄熱時ではないと判断された場合にも(ステップS101:No)、窒素供給用のバルブ1v、8vのうち少なくとも一方、及び、排気用のバルブ1w、9vのうち少なくとも一方を閉じて、蓄熱容器1aを密閉化して外気が容器内部へ侵入するのを防止する(ステップS201)。そして、動作は終了となる。
(効果)
本発明に係る蓄熱システム100は上記のように構成されているので、供給機構8により、蓄熱容器1a内部へ不活性ガスが供給されることで、蓄熱容器1a内部の空間部分1pにおける酸素の比率が小さくなり、且つ、窒素(不活性ガス)の比率が大きくなるために、エリスリトール3の酸化が抑止される。そのため、蓄熱体であるエリスリトール3の短寿命化を防止できる。
また、蓄熱容器1aは、窒素が蓄熱容器1a内部へ滞留可能となるように密閉状に形成されているので、供給機構8により供給された窒素が蓄熱容器1a内部に滞留するために、蓄熱容器1a内部の不活性ガスの比率を効率的に高めることができ、エリスリトール3の酸化がより効率的に抑止される。
また、蓄熱システム100は、蓄熱容器1a内部の気体を排気する排気機構9と、供給機構8により窒素が供給されているときに蓄熱容器1a内部の気体が排気されるように排気機構9を制御する排気制御部10bをさらに有しているので、蓄熱容器1a内部の酸素を取り除き、且つ、蓄熱容器1a内部へ窒素を供給することで、蓄熱容器1aの内部の空気が窒素で置換され、エリスリトールの酸化がより効率的に抑止される。そのため、蓄熱体であるエリスリトールの短寿命化をより効率的に防止できる。また、窒素の供給時において排気するために、蓄熱容器1a内部の気圧を大きく変化させることなく、安定した内部状態を維持しつつ、蓄熱容器1a内部の気体(空気)を窒素と置換することができる。
また、蓄熱システム100は、排気機構9により排気された気体中の酸素量を測定する酸素計9wと、酸素計9wを用いて測定された酸素量に応じて供給機構8及び排気機構9を制御する給排気制御手段10cと、をさらに有しているので、排気された気体中の酸素量に応じて窒素の供給量、及び、排気される気体の量を変化させることで、供給機構8、排気機構9を効率的に制御して、エリスリトールの短寿命化をさらに効率的に防止できる。また、窒素の供給量を必要とされる最小限の量とすることができる。
また、供給機構8による窒素の供給は、エリスリトール3への蓄熱時において行なわれる。特に蓄熱時には、高温の油(熱交換媒体)2がエリスリトール3内部を経由して循環流通するために、エリスリトール3の酸化による劣化が早い。そのため、このような構成にすることにより、エリスリトールの短寿命化を効率的に防止できる。
また、本発明に係る蓄熱装置1は、上記のように構成されているため、供給機構8により蓄熱容器1a内部へ窒素が供給されることで、エリスリトールの酸化が抑止される。そのため、エリスリトールの短寿命化を防止できる。
また、蓄熱装置1は、蓄熱容器1aから排気される気体の圧力を調整する圧力調整弁1qをさらに有しているため、蓄熱装置1の運搬中に、内部のガス抜きをすることができ、蓄熱容器1a内部の圧力を適切に調整できる。また、蓄熱時においても、排気される気体の量を細かく調整できるので、排気された気体の酸素量に応じて、気体が排気される量をより適切に調整でき、エリスリトールの短寿命化をさらに効率的に防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
例えば、蓄熱容器には、容器内部の温度をモニタリングするための温度センサが設置されており、この温度センサからの温度情報に基づいて、供給機構及び排気機構の制御を行なってもよい。
また、上記の実施形態では、蓄熱容器が密閉状となるように形成されているが、不活性ガスと容器内部の熱交換媒体との接触状態を維持できる機構(例えば、不活性ガスを容器内部の熱交換媒体表面に向かって常時供給し続けるような機構)があれば、蓄熱容器は必ずしも密閉状でなくてよい。
また、上記の実施形態では、排気機構(排気手段)が設けられており、排気制御手段は、供給機構(供給手段)により窒素が供給されているときに蓄熱容器内部の気体が排気されるように排気機構を制御するが、排気機構はなくてもよく、また、排気機構は、窒素の供給時以外に容器内部の気体を排気してもよい。関連して、蓄熱容器の上板部の排気用開口部はなくてもよい。
酸素計(酸素量測定手段)及び給排気制御部(給排気制御手段)はなくてもよい。また、窒素の供給は、蓄熱時以外において行なわれてもよい。また、蓄熱装置の圧力調整弁はなくてもよい。
また、上記の実施形態においては、移動式の蓄熱装置について説明しているが、本発明は定置式の蓄熱装置に適用されてもよい。
また、上記の実施形態においては、蓄熱容器内部の空気と不活性ガスとを置換しているが、不活性ガスと置換される気体は空気でなくてもよい。
また、蓄熱材として融解熱の高いエリスリトールを用いることで、蓄熱量が大きく、且つ、高い温度(約119度)での蓄熱が可能な熱輸送システムが得られ、熱利用施設85において、蓄熱容器1aを、例えば冷凍機に接続することにより、冷暖房に利用すること等が可能となる。
本発明の第1実施形態に係る蓄熱システム及び蓄熱装置を用いた蓄熱についての概略図。 蓄熱装置を含む蓄熱システムの蓄熱側を示す概略図。 図1のコンピュータの概略構成を示すブロック図。 図1の供給機構及び排気機構の動作を示すフローチャート。
符号の説明
1 蓄熱装置
100 蓄熱システム
1a 蓄熱容器
1i 供給用開口部
1q 圧力調整弁
2 油(熱交換媒体)
3 エリスリトール(蓄熱体)
8 供給機構(供給手段)
9 排気機構(排気手段)
9w 酸素計(酸素量測定手段)
10b 排気制御部(排気制御手段)
10c 給排気制御部(給排気制御手段)

Claims (8)

  1. 潜熱蓄熱により蓄熱する蓄熱体と、
    前記蓄熱体に接触することで熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく前記蓄熱体とは分離する熱交換媒体と、
    前記蓄熱体及び前記熱交換媒体を収容する蓄熱容器と、
    前記蓄熱容器の内部へ不活性ガスを供給する供給手段と、を有することを特徴とする蓄熱システム。
  2. 前記蓄熱容器は、前記不活性ガスが前記蓄熱容器内部へ滞留可能となるように密閉状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱システム。
  3. 前記蓄熱容器内部の気体を排気する排気手段と、
    前記供給手段により不活性ガスが供給されているときに前記蓄熱容器内部の気体が排気されるように前記排気手段を制御する排気制御手段と、をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の蓄熱システム。
  4. 前記排気手段により排気された気体中の酸素量を測定する酸素量測定手段と、
    前記酸素量測定手段を用いて測定された酸素量に応じて前記供給手段及び前記排気手段を制御する給排気制御手段と、をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の蓄熱システム。
  5. 前記供給手段による不活性ガスの供給は、前記蓄熱体への蓄熱時において行なわれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
  6. 潜熱蓄熱により蓄熱する蓄熱体と、
    前記蓄熱体に接触することで熱交換し、前記蓄熱体よりも比重が小さく前記蓄熱体とは分離する熱交換媒体と、
    前記蓄熱体及び前記熱交換媒体を収容する蓄熱容器と、を有する蓄熱装置であって、
    前記蓄熱容器には、前記蓄熱容器の内部へ不活性ガスを供給するための供給用開口部が設けられていることを特徴とする蓄熱装置。
  7. 前記蓄熱容器は、前記不活性ガスが前記蓄熱容器内部へ滞留可能となるように密閉状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の蓄熱装置。
  8. 前記蓄熱容器から排気される気体の圧力を調整する圧力調整弁をさらに有することを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄熱装置。
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