JP2008157209A - シリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】開口内壁に潤滑油が留まり易くなるように開口内壁を焼き入れしたシリンダブロックを提供することである。
【解決手段】シリンダブロック20の開口内壁71を、螺旋状に焼き入れする。開口内壁21が、複数の傾斜した線に沿って焼き入れされる。開口内壁71が複数の傾斜した線を単位として加熱され、加熱箇所を前記単位毎に移動させて、開口内壁71が焼き入れる。直前の加熱箇所を冷却する。誘導加熱コイル10をシリンダブロック20の開口70内に挿入し、開口70内において誘導加熱コイル10の一部がシリンダブロック20の開口内壁71に近接しており、誘導加熱コイル10に高周波電流を通電しつつ回転させ、同時に誘導加熱コイル10を軸方向に移動させて開口内壁71を加熱し、開口内壁71が螺旋状に焼き入れされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、開口内壁を焼き入れしたシリンダブロックに関するものである。
高周波誘導焼入を応用したシリンダブロックの焼入装置が知られている。
例えば特許文献1には、内燃機関のシリンダブロックの開口内壁を高周波誘導焼き入れする焼入装置が開示されている。
特許文献1に開示されたシリンダブロックの焼入装置は、シリンダブロックの開口内壁を斑点状に焼き入れするものである。
具体的には、昇降台を降下して誘導加熱コイルをシリンダの開口内に挿入し、誘導加熱コイルに高周波電流を供給してシリンダブロックの開口内壁の特定の高さの内周を破線状に加熱する。そして誘導加熱コイルへの電流供給を停止した後に急冷し、シリンダブロックの開口内壁を斑点状に焼き入れする。そして昇降台を昇降し、さらに昇降台上の円盤を回転させて誘導加熱コイルを僅かに回転させる。その後、再度誘導加熱コイルに高周波電流を供給してシリンダブロックの開口内壁の一部を加熱し、急冷する。この作業を繰り返し、シリンダブロックの開口内壁に斑点状の焼入部を面状であって千鳥状に分布させる。
特開平9−3531号公報
ところで従来技術におけるシリンダの焼入パターンは、前記した様に斑点状の焼入部を面状に分布させたものであったが、焼入部は未焼入部よりも硬度が高く、ピストンが摺動することによって未焼入部の方が比較的摩耗し易い。摩耗した箇所には凹部やへこみが形成される。ところで、シリンダブロックの開口内壁とピストンの摩擦を小さくするために、通常、潤滑油(エンジンオイル)が使用されるが、潤滑油は、未焼入部の摩耗した箇所(凹部やへこみ)を伝って下方へ落下する。
従来のシリンダの焼入パターンは斑点状なので、従来の焼入装置で焼き入れされたシリンダブロックには、斑点部分以外の部分が摩耗し易く、潤滑油を保持するための、いわゆる「油溜まり」が連続的に形成されない。
そのため、開口内壁に潤滑油が長時間留まることができず、従来の焼入装置には改善の余地があった。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題を解決し、開口内壁に潤滑油が留まり易くなるように開口内壁を焼き入れしたシリンダブロックを提供することを課題とするものである。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、開口内壁が、螺旋状に焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロックである。
請求項1の発明を実施したシリンダブロックでは、開口内壁が螺旋状に焼き入れされるため、螺旋状の焼き入れ部位が硬化する。一方、螺旋状の焼き入れ部位以外の未焼き入れ部位は硬化しない。すなわち、焼き入れ部位は硬度が高く、未焼き入れ部位は硬度が低い。エンジンの馴らし運転等によってシリンダ内におけるピストンの摺動を繰り返すと、未焼き入れ部位が削られ、焼き入れ部位が極めて僅かに突出する。その結果、ピストンを動作させた時に、当該焼き入れ部位に潤滑油(エンジンオイル)が僅かに残留する。そして本発明のシリンダブロックでは、焼き入れ部位が開口内壁に螺旋状に連続するので、潤滑油は開口内壁の広範囲に渡って螺旋に沿って付着し、強い油膜が形成される。
すなわち、螺旋の溝に入った潤滑油は、螺旋に沿って下方へ移動するが、螺旋を超えて真っ直ぐに下方へ移動することはできず、内壁から離脱するまで時間が掛かり、内壁上に潤滑油が留まり易くなる。これにより、ピストン摺動時の潤滑性が良好になり、焼け付きを防止することができ、エンジンの耐久性が向上する。
請求項2の発明は、開口内壁が、複数の傾斜した線に沿って焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロックである。
請求項2の発明では、開口内壁が、複数の傾斜した線に沿って焼き入れされるので、請求項1の発明と同様に開口内壁に連続する溝が形成される。この溝は、傾斜した線に沿っているので、溝に侵入した油(潤滑油)は落下しにくく、溝内に留まりやすくなる。その結果、ピストンの摺動時の潤滑性が良好になり、焼け付きを防止することができ、エンジンの耐久性が向上する。
複数の傾斜した線を、等間隔で平行に設定すると、シリンダブロックの開口内壁に一様な溝が形成され、潤滑油が開口内壁の全域に渡って留まり易くなる。
請求項3の発明は、開口内壁が複数の傾斜した平行線を単位として加熱され、加熱箇所を前記単位毎に移動させて、開口内壁が焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロックである。
請求項3の発明では、複数の傾斜した平行線を単位として、この単位毎に開口内壁を加熱するので、焼き入れに要する時間を短縮することができる。
請求項4の発明は、直前の加熱箇所が冷却されて、開口内壁が焼き入れされたことを特徴とする請求項3に記載のシリンダブロックである。
請求項4の発明では、複数の傾斜した平行線を単位とし、この単位毎に焼き入れした直後に冷却するので、開口内壁に対して確実な焼き入れを行うことができる。
請求項5の発明は、誘導加熱コイルをシリンダブロックの開口内に挿入し、開口内において誘導加熱コイルの一部がシリンダブロックの内壁に近接しており、シリンダブロックの開口内の誘導加熱コイルに高周波電流を通電しつつ回転させ、同時に誘導加熱コイルを軸方向に移動させて開口内壁を加熱し、開口内壁が螺旋状に焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロックである。
請求項5の発明のシリンダブロックは、開口内に誘導加熱コイルを配置し、回転させながら軸方向に移動させることができる焼入装置で焼き入れされるので、誘導加熱コイルに高周波電流を通電すると、開口内壁に螺旋状の焼き入れを施すことができる。この螺旋状の焼き入れは、高周波電流が通電された誘導加熱コイルを回転させながら軸方向に移動させて行うので、焼き入れを円滑に行うことができる。よって、開口内壁への焼き入れを速やかに行うことができ、耐久性に優れたシリンダブロックを提供することができる。
請求項6の発明は、交流電流が供給される固定側コイルと、前記固定側コイルの近傍に配置され固定側コイルと電磁的に結合されていて誘導電流を発生させる可動側コイルと、シリンダブロックの開口内に挿入可能な誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルをシリンダブロックに対して相対的に軸方向に移動させる軸方向移動手段と、誘導加熱コイルをシリンダブロックの開口内で回転させるコイル操作手段とを有し、前記誘導加熱コイルが可動側コイルに接続され、前記可動側コイルは固定側コイルに対して回転可能であり、コイル操作手段が誘導加熱コイルを回転させる際に可動側コイルが追従可能である焼入装置で、開口内壁を焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロックである。
ここで「コイル操作手段が誘導加熱コイルを回転させる際に可動側コイルが追従可能である」とは、「誘導加熱コイルを回転させる際に可動側コイルが動くことができ、可動側コイルが誘導加熱コイルを動作させることの障害にならない」という意味である。従ってコイル操作手段が誘導加熱コイルを回転し、誘導加熱コイルの動きに可動側コイルが追従する場合の他、コイル操作手段が可動側コイルを回転させることによって間接的に誘導加熱コイルが回転又は姿勢変更する様な場合も含む。
本発明では、シリンダブロックの開口内壁を焼き入れる焼入装置が、固定側コイルと可動側コイルとを持ち、固定側コイルに交流電流を供給して可動側コイルに誘導電流を発生させる。この誘導電流は固定側コイルと同様に交流である。そして、可動側コイルに発生した誘導電流を誘導加熱コイルに流してシリンダブロックの開口内壁を加熱する。これにより、開口内壁への螺旋状の焼き入れが円滑に行われ、耐久性に優れたシリンダブロックを提供することができる。
請求項7の発明は、シリンダブロックの開口内壁に配される第一接触子と、第二接触子と、導電部材とを備えており、前記第一接触子及び第二接触子はシリンダブロックの特定の位置と接触可能であり、前記第一接触子とシリンダブロックと第二接触子及び導電部材の組み合わせが接続されて高周波電流が通電され、前記第一接触子の接触位置と第二接触子の接触位置とは軸方向及び回転方向に離れた位置であり、導電部材の一部又は全部が第一接触子と第二接触子を繋ぐ仮想線に対向する位置に配された焼入装置で、開口内壁を螺旋状に焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロックである。
請求項7の発明では、第一接触子及び第二接触子をシリンダブロックと接触させ、いわゆる直接通電方式によってシリンダブロックの開口内壁を加熱するので、振動等の影響を受けることなく、開口内壁に対して螺旋状の焼き入れを行うことができる。よって、安定した品質のシリンダブロックを提供することができる。
請求項8の発明は請求項7の発明において、前記第一接触子とシリンダブロックと第二接触子及び導電部材の組み合わせを複数組有しており、各組同士が並列に接続されていることを特徴とするシリンダブロックである。
請求項8の発明では、第一接触子とシリンダブロックと第二接触子及び導電部材の組み合わせを複数組有しているので、同時に複数箇所に焼き入れを施すことができ、焼き入れに要する時間を短縮することができる。
本発明のシリンダブロックは、開口内壁に螺旋状の線又は傾斜した線に沿った連続する焼入部が形成され、この焼入部に沿って油溜まりが形成されるので、潤滑油は下方へ移動しにくくなる。そのため、開口内壁の広範囲に渡って潤滑油が長時間留まり、強い油膜が形成される。その結果、ピストン摺動時の摩耗が少なくなり、ピストン摺動時の潤滑性が良好になり、焼け付きを防止することができ、シリンダブロックの耐久性を向上させることができる。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のシリンダブロックを螺旋状に焼き入れすることができる焼入装置を概念的に表した概略斜視図である。図2は、図1のシリンダブロックの焼入装置で採用する誘導加熱コイルの正面図である。図3は、誘導加熱コイルの変形例の正面図である。
本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置1は、図1の様にベース2に、X−Yテーブル3と昇降テーブル5を備え、昇降テーブル5にトランス6、固定側コイル7、可動側コイル8が取り付けられ、さらに可動側コイル8に誘導加熱コイル10が取り付けられたものである。また昇降テーブル5には、誘導加熱コイル10を回転させるためのモータ(コイル操作手段)11が設けられている。
以下順次説明する。
ベース2は、定盤であり、通常の機械の基台と同様である。X−Yテーブル3についても公知のそれと同一であり、図示しないボールネジとモータを有し、シリンダブロック20を保持してこれを平面的に移動させることができるものである。
昇降テーブル5は、ベース2に対して上下方向に昇降するものである。即ち昇降テーブル5は、昇降装置(軸方向移動手段)21によって昇降する。本実施形態では、昇降装置21は、ボールネジ22及びモータ23によって構成されている。ボールネジ22は、ベース2に対して垂直方向に設けられ、ベース2に対して回転可能である。モータ23は、ギヤードモータ等の低速回転が可能なモータであり、ボールネジ22を回転させることができる。
昇降テーブル5は、雌ねじ部材25を有し、当該雌ねじ部材25が前記したボールネジ22と螺合している。また昇降テーブル5には、図示しないガイドが設けられており、当該ガイドによって水平姿勢を維持した状態で昇降可能である。
従って昇降テーブル5は、モータ23を回転させることにより、水平姿勢を維持した状態で上下方向に昇降する。
昇降テーブル5には、図1の様に開口27が設けられている。
さらに昇降テーブル5にはトランス6が載置されている。トランス6は、焼入に要する電力を供給するものであり、高周波の交流を発生させる。即ちトランス6は、内部に一次コイルと二次コイルを有し、一次側コイルに高周波電流を入力し、二次コイル側に高周波電流を発生させる。
固定側コイル7は、円形環状のワンターンコイルであり、図示しない支持部材によって昇降テーブル5の開口27上に固定されている。固定側コイル7は昇降テーブル5に一体的に固定されていて動かない。また固定側コイル7には前記したトランス6の二次側コイルが接続されており、高周波電流が供給される。
なお固定側コイル7及び後記する可動側コイル8は、共に銅等の金属を素材とする管を曲げ加工して作られたものであり、中心部に図示しない導通孔が連通している。当該導通孔には冷却水が流される。
本実施形態では、固定側コイル7は断面形状が長方形の角パイプを使用して成形されているが、固定側コイル7のコイル線の断面形状は円であっても楕円であってもよい。
また昇降テーブル5の下面には、モータ(コイル操作手段)11が取り付けられている。さらに当該モータ11から動力伝導を受ける小ギア36がある。
可動側コイル8は、コイル本体部42と導電部30及びギア部31によって構成されている。
可動側コイル8のコイル本体部42は、円形環状のワンターンコイル部33と、ワンターンコイル部33の両端からワンターンコイル部33の中心部に向かう水平方向直線部35によって構成されている。なお水平方向直線部35は、二本の導電体が水平に並んで中心方向に向かうものであるが、両者の間は絶縁されている。
ワンターンコイル部33の外径は、前記した固定側コイル7の内径よりも僅かに小さい。
導電部30は、水平方向直線部35の末端部から垂直下方に延びる導電体である。導電部30は直線状であり、その位置は、ワンターンコイル部33の中心軸線と一致している。
可動側コイル8のコイル本体部42及び導電部30は銅等の金属を素材とする管を曲げ加工して作られたものであり、中心部に図示しない導通孔が連通している。当該導通孔には冷却水が流される。
ギア部31は、導電部30の周囲に絶縁体(図示せず)を介してギアが取り付けられたものである。またギア部31には、昇降テーブル5の下面に設けられたモータ(コイル操作手段)11の小ギア36が係合している。
可動側コイル8は、図1の様にコイル本体部42が固定側コイル7の内側にある。即ち可動側コイル8のコイル本体部42は、固定側コイル7と同一平面上にあり、且つ可動側コイル8のコイル本体部42の中心線は、固定側コイル7の中心線と一致する。
前記した様に、可動側コイル8のワンターンコイル部33の外径は、固定側コイル7の内径よりも僅かに小さいので、可動側コイル8は、固定側コイル7の近傍に配置されることとなる。可動側コイル8と固定側コイル7の位置は、両者の間が電磁的に結合され得る距離である。
可動側コイル8のコイル本体部42は、固定側コイル7に対して回転可能である。ただし可動側コイル8のコイル本体部42は、固定側コイル7に対して軸方向には一体的に固定されている。従って可動側コイルのコイル本体部42は、常に固定側コイル7と同一平面上にあり、この位置関係が崩れることはない。可動側コイル8の支持方法については後記する。
誘導加熱コイル10は、図2の様に菊形環状のワンターンコイル部40と、ワンターンコイル部40の両端からワンターンコイル部40の中心部に向かう水平方向直線部41によって構成されている。すなわち、ワンターンコイル部40が誘導加熱コイル10の大径部を構成しており、隣接するワンターンコイル部40の間には小径部が形成されている。
すなわち、ワンターンコイル部40は、凸部45(誘導加熱コイル10の一部)と凹部46とが交互に設けられたものであり、凸部45の外径は、シリンダブロック20(ワーク)の開口70の内径よりも僅かに小さい。ワンターンコイル部40の凸部45は等間隔に設けられている。
水平方向直線部41は、二本の導電体が水平に並んで中心方向に向かうものであるが、両者の間は絶縁されている。水平方向直線部41の終端部は、ワンターンコイル部40の中心にある。
誘導加熱コイル10は、銅等の金属を素材とする断面形状四角形の管を曲げ加工して作られたものであり、中心部に図示しない導通孔が連通している。当該導通孔には冷却水が流される。
本実施形態で採用する誘導加熱コイル10は、シリンダプロック20の開口70の内壁71を焼き入れするものであり、後記する様にシリンダブロック20の開口70内に誘導加熱コイル10が挿入される。
本実施形態では、誘導加熱コイル10は、凸部45と凹部46とが交互に設けられたものであるから、凸部45の先端がシリンダブロック20の開口70内の内壁71に近接し、内壁71を加熱する。
なお誘導加熱コイル10は、図3に示すように凹部46に磁性体を取り付けてもよい。また凹部を設けずに磁性体を一定間隔で取り付けても同様の作用効果が期待できる。
誘導加熱コイル10は、前記した可動側コイル8の導電部30に接続されている。即ち誘導加熱コイル10の水平方向直線部41が可動側コイル8の導電部30の末端に接続されている。より具体的には、誘導加熱コイル10の水平方向直線部41及び可動側コイル8の導電部30は、共に二本の管状導体であり、これらが機械的にも電気的にも一体的に接合されている。また誘導加熱コイル10と可動側コイル8の導通孔は連通する。
本実施形態のシリンダブロックの焼入装置1を使用する際には、トランス6に給電し、トランス6の二次側に高周波電流を発生させる。この高周波電流は、固定側コイル7に伝導される。その結果、固定側コイル7が磁界を発生させ、磁束が可動側コイル8のコイル本体部42を通過する。そのため、可動側コイル8のコイル本体部42には誘導電流が発生する。この誘導電流は、高周波交流である。
また可動側コイル8は、誘導加熱コイル10に接続されているので、誘導加熱コイル10に高周波電流が流れ、近接位置にあるシリンダブロック20に誘導電流を生じさせて発熱させる。
なおこの時、各コイルには冷却水が流され、コイルの発熱が抑制される。
本実施形態のシリンダブロックの焼入装置1では、誘導加熱コイル10を昇降させることができるばかりでなく、誘導加熱コイル10を回転させることもできる。
即ち誘導加熱コイル10を昇降させる場合には、昇降テーブル5のボールネジ22をモータ23によって回転させ、ボールネジ22と係合する昇降テーブル5を昇降させる。
その結果、固定側コイル7が昇降するが、前記した様に、可動側コイル8のコイル本体部42は、固定側コイル7に対して軸方向には一体的に固定されているから、固定側コイル7の昇降に応じて可動側コイル7も昇降し、可動側コイル7から垂下された誘導加熱コイル10も昇降する。
また誘導加熱コイル10を回転させる際には、昇降テーブル5の下面に設けられたモータ(コイル操作手段)11を回転させる。その結果、小ギア36が回転する。ここで可動側コイル8は、固定側コイル7に対して軸方向には一体的に固定されているものの、固定側コイル7に対して回転方向には自由度を持つ。そのためモータ(コイル操作手段)11を回転させると小ギア36が回転し、小ギア36と係合するギア部31が回転し、可動側コイル8が全体的に回転して誘導加熱コイル10が回転する。即ち本実施形態では、コイル操作手段11が誘導加熱コイル10を回転させる際には、可動側コイル8が円滑に追従し、捩じれ等が生じない。
以上、本実施形態のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置1の概略構成を概念的に説明したが、実際にシリンダブロックの焼入装置1を設計するに際しては、各部の絶縁性確保や、支持方法に工夫が必要である。図4は、本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置1の固定側コイル7及び可動側コイル8の組み合わせ部分の一例を示す断面斜視図である。
なお図4に示された部材の中で、前述した図1に図示された部材と同一の部材には同一の番号が付されている。
図4に示す実施形態では、固定側コイル7は、ホルダー部材片50,51の間に挟み込まれて保持されている。ホルダー部材片50,51と固定側コイル7との間には絶縁性及び断熱性を備えた部材が介在されている(図示せず)。
固定側コイル7の内壁側はホルダー部材片50,51の内側に露出している。
ホルダー部材片50,51はフランジ部53を有し、当該フランジ部53が昇降テーブル5の開口27の縁部にネジ止めされている。
従って固定側コイル7は、ホルダー部材片50,51を介して昇降テーブル5に固定されており。固定側コイル7は昇降テーブル5と一体的に移動する。
またホルダー部材片50,51の内周端近傍であって、その内側部分にはレール部材55,56が環状に敷設されている。レール部材55,56は、絶縁体で作られている。
そして当該レール部材55,56の間に可動側コイル8のコイル本体部42が配置されている。
従って可動側コイル8のコイル本体部42は、固定側コイル7に対して軸方向には一体的に移動し、回転方向には自由度がある。
次に、前述した実施形態のシリンダブロックの焼入装置1の作用を代表的な使用例について説明する。
上記したシリンダブロックの焼入装置1は、内燃機関のシリンダブロック20をワークとするものであり、シリンダボア(開口70内)の内壁71を焼き入れするものである。
図5は、図1のシリンダブロックの焼入装置1によって焼入されたシリンダボア(開口70内)の内壁71の破断斜視図である。図6は、シリンダボアの展開図である。
本実施形態のシリンダブロックの焼入装置1を使用すれば、シリンダボア70の内壁71の焼入パターンを連続的な螺旋状の線にすることができる。
即ち本実施形態のシリンダブロックの焼入装置1を使用してシリンダボア70の内壁71を焼き入れする場合は、ワークたるシリンダブロック20をX−Yテーブル3に固定し、X−Yテーブル3を動作させてシリンダボア(開口70)を誘導加熱コイル10の直下に移動させる。
続いて昇降テーブル5を降下させ、誘導加熱コイル10をシリンダブロック20の開口70内の最奥部(下端部)まで挿入する。
そしてトランス6に通電する。その結果固定側コイル7に磁界が発生し、可動側コイル8のコイル本体部42には誘導電流が発生し、誘導加熱コイル10に高周波電流が流れる。ここで誘導加熱コイル10に凸部45が設けられているので、当該凸部45と近接する部位が加熱されて赤熱する。
この状態で、昇降テーブル5を上昇させ、同時に昇降テーブル5の下面に設けられたモータ(コイル操作手段)11を回転させて誘導加熱コイル10を回転させる。
その結果、誘導加熱コイル10の凸部46は、螺旋軌跡を描いて移動する。そのためシリンダボア(開口70内)の内壁71に、螺旋軌跡を描いた赤変部ができる。そして当該赤変部を放水等によって冷却し、焼入を行う。その結果、図5,6の様な螺旋状の焼入軌跡72が形成される。
また上記した一連の工程を自動的に行うことができる制御装置を備えることが望ましい。図7は、図1のシリンダブロックの焼入装置1の動作を示すフローチャートである。
制御装置の信号に基づき、次の工程が自動的に行われる。
(1)誘導加熱コイル10の降下
(2)固定側コイル7への通電
(3)誘導加熱コイル10を回転させつつ上昇
(4)固定側コイル7への通電停止
(5)シリンダブロック20の開口70内の内壁71の冷却
即ち図7のフローチャートの様に、ステップ1で誘導加熱コイル10がシリンダブロック20の開口70内に降下される。続くステップ2で、固定側コイル7に通電される。その結果、誘導加熱コイル10に高周波電流が流れ、シリンダボア(開口70内)の内壁71を加熱する。
続くステップで、誘導加熱コイル10を回転させつつ上昇させる。そして誘導加熱コイル10がシリンダブロック20の開口70の端近傍に至ると、自動的に固定側コイル7への通電が停止され(ステップ4)、赤変部が放水等によって冷却される(ステップ5)。
固定側コイル7への通電停止及び内壁の冷却は、シリンダボアの軸方向の全長に渡って加熱した後に行ってもよいが、シリンダブロック20の全長が長い場合には、例えば全長の3分の1ずつ加熱し、固定側コイル7への通電を停止し、放水等によって冷却してもよい。
また上記した実施形態では、固定コイル7への通電を停止してから加熱部分を冷却したが、シリンダブロック20が大きい場合には誘導加熱を追いかけて加熱部分を冷却することが望ましい。
ここでステップ1では、誘導加熱コイル10を降下させたが、さらにシリンダブロック20を上昇させてもよい。また、代わりに、誘導加熱コイル10を固定し、シリンダブロック20を上昇させてもよい。同様にステップ3では、誘導加熱コイル10のみを上昇させたが、誘導加熱コイル10とシリンダブロック20とが相対的に軸方向に移動するように、シリンダブロック20を降下させてもよい。
図8乃至図10は、本発明の実施形態のシリンダブロックの焼入装置1の動作を示し、(a)は焼き入れ開始時のシリンダブロック20の断面図であり、(b)は動作途中におけるシリンダブロック20の断面図である。
図8に示すシリンダブロック20の焼入装置78では、誘導加熱コイル10の下部に冷却水配管80が設けられている。冷却水配管80は、誘導加熱コイル10の支持部材(図示せず)に取り付けられており、誘導加熱コイル10と一体的に昇降する。
冷却水配管80には多数のノズル(開口)81が設けられている。また冷却水配管80には図示しない冷却液槽から冷却液が供給され、前記したノズル81から冷却液がシリンダブロック20の内壁71に向かって噴射される。
図8に示すシリンダブロック20の焼入装置78では、誘導加熱コイル10がシリンダブロック20の開口70内に降下され、固定側コイル7に通電され誘導加熱コイル10に高周波電流が流れてシリンダボアの内壁71が加熱されると共に、冷却水配管80に冷却液が供給される。
そして誘導加熱コイル10を回転させつつ上昇させる。その結果、誘導加熱コイル10の凸部46が螺旋軌跡を描いて移動する。そして本実施形態では、冷却水配管80が誘導加熱コイル10と一体的に昇降し、冷却水配管80のノズル81(開口)から冷却液がシリンダブロック20の内壁71に向かって噴射されるので、加熱部分が順次冷却される。
図8で示したシリンダブロックの焼入装置78では、冷却装置として冷却水配管80を利用したが、冷却装置はこの構成に限定されるものではなく、冷却液が入った槽を利用することも考えられる。
図9、図10は、冷却装置として冷却液槽を利用する構成を示すものである。
図9に示すシリンダブロックの焼入装置83では、冷却装置として冷却液槽85を備えている。冷却液槽85には、ポンプ86が接続されており、冷却液がポンプ86によって出し入れされる。即ち本実施形態では、ポンプ86を駆動することにより、冷却液槽85内の冷却液の液面を昇降させることができる。
図9に示すシリンダブロック20の焼入装置83においても、誘導加熱コイル10がシリンダブロック20の開口70内に降下され、固定側コイル7に通電され誘導加熱コイル10に高周波電流が流れて内壁71が加熱される。そして誘導加熱コイル10を回転しつつ上昇させる。その結果、誘導加熱コイル10の凸部46が螺旋軌跡を描いて移動する。
また本実施形態では、これら一連の動作と平行してポンプ86によって冷却液が冷却液槽85に供給され、冷却液の液面が次第に上昇する。液面の上昇速度は、固定側コイル7の上昇速度と略一致させるのが好ましい。
そのため誘導加熱コイル10によって加熱された部位に冷却液の液面が至り、加熱部位を順次冷却してゆく。
図9で示した実施形態では、冷却液槽85の液面を上昇させることによって誘導加熱を追う構成としたが冷却液槽85自体を昇降させたり、シリンダブロック20の方を昇降させて冷却液槽85に浸ける構成を採用してもよい。図10は、シリンダブロック20を降下させて冷却液槽85に浸ける例を示している。
以上説明した実施形態では、可動側コイル8は回転方向にのみ自由度を持つが、さらに加えて昇降方向(軸方向)に自由度を持たせてもよい。
図11は、本発明のその他の実施形態のシリンダブロック20の焼入装置60の概念図である。図12は、図11に示すシリンダブロック20の焼入装置60の動作を示す説明図であり、(a)は、可動側コイル8が上端近傍にある場合を示し、同(b)は、可動側コイル8が降下した状態を示す。
図11において、先の実施形態と同一の部材には同一の番号を付している。
図11に示す焼入装置60では、可動側コイル8は回転方向と軸方向の双方に自由度を持つ。
図11に示す焼入装置60では、固定側コイル61は、円環状であるが、その軸方向の長さが先の実施例のものに比べて長い。また軸方向に昇降することができる。
本実施形態では、固定側コイル61が軸方向に長いから、可動側コイル8が図12(b)の様に降下しても、可動側コイル8は固定側コイル61で囲まれた空間から外れない。
上記した実施形態では、いずれも固定側コイル7及び移動側コイル8にコアが設けられていないが、公知のトランスの如く、コアを設けてもよい。
また上記した実施形態では、コイルはいずれもワンターン形のコイルであるが、代わりに複数の巻き数を有するコイルを使用してもよい。
また上記した実施形態では、いずれも固定側コイルが外側にあり、可動側コイルが内側に設けられているが、逆に固定側コイルを内側に設け、その外周を可動側コイルが取り巻くように構成してもよい。また電磁的結合が維持されるならば固定側コイルと可動側コイルとを並列的に並べてもよい。
以下において、さらに本発明の別の実施形態について説明する。
図13は、図5及び図6に示す焼入軌跡72とは別の軌跡を描くことができる焼入装置の概略斜視図である。図14は、図13の焼入装置を実体的に記載した斜視図である。図15は、図14のシリンダブロックの焼入装置を展開的に記載した正面図である。図16は、図14のシリンダブロックの焼入装置の断面斜視図である。図17は、図15のXVII−XVII断面図である。
焼入装置100は、シリンダブロック20の内壁71を直接通電方式によって加熱し、焼き入れを行うものである。従ってシリンダブロックの焼入装置100は、シリンダブロックの内壁71に通電するための第一接触子4a,4bと、第二接触子9a,9bを備えている。
またトランス6からこれらに給電するための導電部材12a,12b及び給電線13,14を備えている。
焼入装置100では、トランス6の2個の出力端子(図示せず)にそれぞれ給電線13,14が接続されている。そして給電線13,14は、図13の様に途中で各々2本に分岐している。一方の給電線13は、分岐した各々に第一接触子4a,4bが接続されている。
また他方の分岐した給電線14は、導電部材12a,12bを介して第一接触子5a,5bに各々接続されている。なお本実施形態における導電部材12a,12bでは、図16の様にシリンダ(シリンダブロック)の内壁71と対向接触しない面にコア34が設けられている。コア34は、フェライト等の磁性体で構成されている。
第一接触子4aと、シリンダの内壁71と、第二接触子9a及び導電部材12aの組み合わせは直列回路を構成している。
同様に、第一接触子4bと、シリンダの内壁71と、第二接触子9b及び導電部材12bの組み合わせについても直列回路である。
ただしトランス6を基準とすると、前記した2組の直流回路同士は、並列である。
また各部材の位置関係を見ると、各直流回路を構成する第一接触子4と、第二接触子9は、軸方向にも回転方向にも離れた位置でシリンダの内壁71と接触する。より具体的には、一方の直流回路を構成する第一接触子4aと、第二接触子9aは、軸方向にも回転方向にも離れた位置にあり、両者を結ぶ仮想線15aは、傾斜している。より正確には、仮想線15aは螺旋である。同様に、他方の直流回路を構成する第一接触子4bと、第二接触子9bは、軸方向にも回転方向にも離れた位置にあり、両者を結ぶ仮想線15bは、傾斜し、螺旋状である。
また導電部材12a,12bは、図16,17の様に、前記した仮想線15a,15bに対向する位置にある。即ち導電部材12a,12bと、シリンダの内壁71との距離はいずれの部位でも同一であり、且つ導電部材12a,12bは、仮想線15a,15bとシリンダボアの中心軸とを含む平面上にある。
また焼入装置100は、第一接触子4a,4b等の横に冷却ジャケット16を備えている。冷却ジャケット16には冷却液が供給され、側面に設けられた開口26(すなわち、図16に示すノズル26)からシリンダの内壁71に向かって冷却液を噴射することができる。
焼入装置100を使用する際は、トランス6に給電し、トランス6の二次側に高周波電流を発生させる。この高周波電流は、第一接触子4a,4bと、第二接触子9a,9bを介してシリンダブロックの開口内壁71に流れる。
また本実施形態では、第一接触子4a,4bと、第二接触子9a,9bを結ぶ仮想線15a,15bに対して導電部材12a,12bが対向し、当該導電部材12a,12bにも通電される。そのため内壁71側においては、仮想線15a,15b上の電流密度が他の部位に比べて高いものとなる。即ちシリンダブロック内で電流は広がらず、螺旋曲線に沿って流れることとなる。
また導電部材12a,12bを流れる高周波電流によって磁界が生じ、シリンダの内壁71の仮想線15a,15b上に誘導電流が発生する。
その結果、シリンダの内壁71の、第一接触子4a,4bと第二接触子9a,9bを結ぶ螺旋曲線上の部位が昇温し、赤熱する。
その後、トランス6に対する給電を停止し、冷却ジャケット16からシリンダの内壁71に向かって冷却液を噴射して赤熱部分を急冷する。すなわち、仮想線15a,15bに沿って2条で一組の部位が焼き入れされ、その後、第一接触子4a,4bと第二接触子9a,9bの接触位置を所定の角度だけ回転させて、仮想線15a,15bに隣接する別の部位に焼き入れ対象の部位を移動させ、この部位を同様に焼き入れするが、そのとき、並行して仮想線15a,15bの部位が冷却液で直ちに冷却される。
その結果、シリンダの内壁71の仮想線15a,15bの部位に2条の焼き入れが完了する。
そして、さらにその後、第一接触子4a,4bと第二接触子9a,9bの接触位置を所定の角度だけ回転させ、先と同一の工程を繰り返す。
すなわち、仮想線15aと15bとが一組で焼き入れする際の一つの単位となる。図13に示す例では、開口内壁71に対する焼き入れは2条(仮想線15a,15b)であるが、3条以上にしても差し支えない。その際には、給電線13及び14を分岐させ、第一接触子(4a),第二接触子(9a),及び導電部材(12a)で構成される回路の数を増やし、仮想線15a,15bと並行且つ同じ間隔で図示しない3つ目以降の仮想線を開口内壁71上に形成する。
その結果、図18、図19に示すように、シリンダブロック20の内壁71の全面に複数の連続的な線(曲線)に沿った焼き入れを施すことができる。内壁71には、焼き入れされて硬化した部位と、焼き入れされない未硬化部位とが層状に形成され、比較的軟性の未硬化部位がピストン(図示せず)の摺動によって摩耗して溝が形成される。この溝が油溜まりとなる。これにより、内壁71は、ピストン(図示せず)が摺動する際の潤滑性と,焼け付き防止機能,及び耐摩耗性とを兼ね備えることができる。なお図18は、図13のシリンダブロックの焼入装置によって焼き入れされたシリンダの内壁71の破断斜視図である。図19は、シリンダの内壁71の展開図である。
図18及び図19に示す焼き入れ部位を示す線15a(焼入軌跡)は、図5及び図6に示す焼入軌跡72とは異なっている。すなわち、図5及び図6は、シリンダブロック20を破断させたり、展開して示しているため、各曲線が連続していないように見えるが、実際には焼入軌跡72は、1条又は複数条の連続した曲線(螺旋曲線)である。
一方、図18及び図19に示す線15a(焼入軌跡)は、全ての線(15a)が、シリンダブロック20の開口内壁71の上端から下端に至っている。これらの線15a(焼入軌跡)は傾斜している。
以上、シリンダブロックの焼入装置100の概略構成を概念的に説明したが、実際にシリンダブロックの焼入装置100を設計するに際しては、各部の絶縁性確保や、反力の確保に工夫が必要である。図20は、本発明のシリンダブロックを焼き入れる焼入装置17のその他の実施形態を示す斜視図である。図21は、図20に示すシリンダブロックの焼入装置で採用する導電部材の断面斜視図である。
シリンダブロックの焼入装置17は、二組の焼き入れブロック18,19を有し、この焼き入れブロック18,19同士の間に小型のシリンダ28,29(例えばエアシリンダ)を設けたものである。
本実施形態で採用する焼き入れブロック18,19は、それぞれが図13に示す部材と回路構成を備えている。
即ち焼き入れブロック18,19は、それぞれシリンダの内壁71に通電するための第一接触子4a,4bと、第二接触子9a,9bを備えている。
またトランス(図示せず)からこれらに給電するための導電部材12a,12b及び給電線13,14を備えている。なお本実施形態における導電部材12a,12bでは、図21の様にシリンダの内壁71と対向接触しない面にコア34が設けられている。コア34は、フェライト等の磁性体で構成されている。さらにコア34の外周は、絶縁体24で覆われている。
第一接触子4と、シリンダの内壁71と、第二接触子9及び導電部材12の組み合わせは直列回路を構成している。
さらに各直流回路を構成する第一接触子4と、第二接触子9は、軸方向にも回転方向にも離れた位置でシリンダの内壁71と接触し、直流回路を構成する第一接触子4と、第二接触子9は、軸方向にも回転方向にも離れた位置にあり、両者を結ぶ仮想線15は、傾斜している。
導電部材12は、仮想線15に対向する位置にある。
焼入装置17では、小型のシリンダ28,29を収縮させた状態で、シリンダの開口内に焼き入れブロック18,19を挿入する。そして焼き入れブロック18,19を挿入した状態で小型のシリンダ28,29を伸長させる。その結果、焼き入れブロック18,19同士が離間している。その結果、各接触子3,5が、焼き入れブロック18,19によってシリンダの内壁71に押圧される。
この状態で、第一接触子4と、第二接触子9の間に高周波電流を流し、第一接触子4と第二接触子9を結ぶ曲線に沿って加熱され、昇温する。
その後、ノズル37からシリンダブロックの開口に冷却液を噴射し、赤熱部分を冷却する。ここで、ノズル37は、図示しない冷却槽と接続されており、冷却槽内の冷却液を噴射することができるようになっている。
以上の実施形態では、冷却装置として冷却ジャケット16(図16)の開口26(ノズル)から冷却液を噴射する例と、図示しない冷却槽内の冷却液をノズル37から噴射する例とを示したが、冷却装置はこれらの構成に限定されるものではなく、冷却液が入った冷却槽内にシリンダブロックを配置することも考えられる。すなわち、焼き入れ処理後のシリンダブロックを、図示しない冷却槽内の冷却液に液没させたり、冷却槽内の冷却液の液位をポンプ等で昇降制御可能にしておき、シリンダブロックを冷却槽内に配置し、焼き入れ処理後に冷却槽内の液位を上昇させて、シリンダブロックを冷却液に浸して冷却することも可能である。
さらにその後、小型のシリンダ28,29を収縮させ、ギヤードモータ38を回転させて焼き入れブロック18,19を回転させる。
さらにその後、小型のシリンダ28,29を伸長させて各接触子3,5をシリンダブロック20の内壁71に押圧し、先と同様の工程で焼き入れを行う。
以上説明した実施形態では、小型のシリンダ28,29によって焼き入れブロック18,19間を離間させたり接近させたりする構成を採用したが、リンク機構を利用して同様の作用を行わしめることもできる。
図22は、本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置のさらに別の実施形態を示す正面図であり、焼き入れブロック18,19が接近した状態を示す。図23は、図22に示すシリンダブロックの焼入装置32の正面図であり、焼き入れブロック18,19が離間した状態を示す。
焼入装置32では、焼き入れブロック18,19が4節回転連鎖機構の一部を構成し、中央の摺動部材39を下げると、図22から図23の様に焼き入れブロック18,19が離間し、焼き入れブロック18,19がシリンダの内壁71に接触する。
そして、曲線状の焼入軌跡72が内壁71に形成される。
本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置を概念的に表した概略斜視図である。 図1のシリンダブロックの焼入装置で採用する誘導加熱コイルの正面図である。 誘導加熱コイルの変形例の正面図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置の固定側コイル及び可動側コイルの組み合わせ部分の一例を示す断面斜視図である。 図1の焼入装置によって焼き入れされたシリンダブロックの開口内壁の破断斜視図である。 シリンダブロックの開口内壁の展開図である。 図1のシリンダブロックの焼入装置の動作を示すフローチャートである。 本発明のシリンダブロックを焼き入れする別の実施形態の焼入装置の動作を示し、(a)は焼き入れ開始時のシリンダブロックの断面図であり、(b)は動作途中におけるシリンダブロックの断面図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れするさらに別の焼入装置の動作を示し、(a)は焼き入れ開始時のシリンダブロックの断面図であり、(b)は動作途中におけるシリンダブロックの断面図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れするさらに別の焼入装置の動作を示し、(a)は焼き入れ開始時のシリンダブロックの断面図であり、(b)は動作途中におけるシリンダブロックの断面図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れするさらに別の焼入装置の概念図である。 図11に示すシリンダブロックの焼入装置の動作を示す説明図であり、(a)は、可動側コイルが上端近傍にある場合を示し、同(b)は、可動側コイルが降下した状態を示す。 本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置を概念的に表した概略斜視図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置を実体的に記載した斜視図である。 図14のシリンダブロックの焼入装置を展開的に記載した正面図である。 図14のシリンダブロックの焼入装置の断面斜視図である。 図15のXVII−XVII断面図である。 図13の焼入装置によって焼き入れされたシリンダブロックの開口内壁の破断斜視図である。 シリンダブロックの開口内壁の展開図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置の他の実施形態を示す斜視図である。 図20の焼入装置で採用する導電部材の断面斜視図である。 本発明のシリンダブロックを焼き入れする焼入装置の、さらに他の実施形態を示す正面図であり、焼き入れブロック同士が接近した状態を示す。 図22の焼入装置の正面図であり、焼き入れブロック同士が離間した状態を示す。
符号の説明
1,17,32,100 シリンダブロックの焼入装置
2 ベース
3 X−Yテーブル
4a,4b 第一接触子
5 昇降テーブル
6 トランス
7 固定側コイル
8 可動側コイル
9a,9b 第一接触子
10 誘導加熱コイル
11 モータ(コイル操作手段)
12a,12b 導電部材
13,14 給電線
15a,15b 仮想線
16 冷却ジャケット
18,19 焼き入れブロック
20 シリンダブロック
21 昇降装置(軸方向移動手段)
24 絶縁体
26 冷却ジャケットの冷却液を噴射する開口(ノズル)
28,29 小型のエアシリンダ
34 コア
37 冷却液を噴射するノズル
60 シリンダブロックの焼入装置
70 シリンダブロックの開口
71 シリンダブロックの開口の内壁
72 焼入軌跡
81 ノズル(開口)

Claims (8)

  1. 開口内壁が、螺旋状に焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロック。
  2. 開口内壁が、複数の傾斜した線に沿って焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロック。
  3. 開口内壁が複数の傾斜した線を単位として加熱され、加熱箇所を前記単位毎に移動させて、開口内壁が焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロック。
  4. 直前の加熱箇所が冷却されて、開口内壁が焼き入れされたことを特徴とする請求項3に記載のシリンダブロック。
  5. 誘導加熱コイルをシリンダブロックの開口内に挿入し、開口内において誘導加熱コイルの一部がシリンダブロックの開口内壁に近接しており、シリンダブロックの開口内の誘導加熱コイルに高周波電流を通電しつつ回転させ、同時に誘導加熱コイルを軸方向に移動させて開口内壁を加熱し、開口内壁が螺旋状に焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロック。
  6. 交流電流が供給される固定側コイルと、前記固定側コイルの近傍に配置され固定側コイルと電磁的に結合されていて誘導電流を発生させる可動側コイルと、シリンダブロックの開口内に挿入可能な誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルをシリンダブロックに対して相対的に軸方向に移動させる軸方向移動手段と、誘導加熱コイルをシリンダブロックの開口内で回転させるコイル操作手段とを有し、前記誘導加熱コイルが可動側コイルに接続され、前記可動側コイルは固定側コイルに対して回転可能であり、コイル操作手段が誘導加熱コイルを回転させる際に可動側コイルが追従可能である焼入装置で、開口内壁を焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロック。
  7. シリンダブロックの開口内壁に配される第一接触子と、第二接触子と、導電部材とを備えており、前記第一接触子及び第二接触子はシリンダブロックの特定の位置と接触可能であり、前記第一接触子とシリンダブロックと第二接触子及び導電部材の組み合わせが接続されて高周波電流が通電され、前記第一接触子の接触位置と第二接触子の接触位置とは軸方向及び回転方向に離れた位置であり、導電部材の一部又は全部が第一接触子と第二接触子を繋ぐ仮想線に対向する位置に配された焼入装置で、開口内壁を螺旋状に焼き入れされたことを特徴とするシリンダブロック。
  8. 前記第一接触子とシリンダブロックと第二接触子及び導電部材の組み合わせを複数組有しており、各組同士が並列に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のシリンダブロック。
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