JP2008157082A - 内燃機関のノック判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】筒内圧力センサで検出した振動波形を用いたノック判定の判定精度を向上させる。
【解決手段】筒内圧力センサ30の出力から求めた振動波形のうちの所定のノック判定区間における振動波形と理想ノック波形(ノッキング特有の波形を表す振動波形)とを比較してノッキングの有無を判定する。その際、エンジン回転速度に応じてノック判定区間を変化させて、エンジン回転速度が低くなるほど、振動波形のピーク位置から始まるノック判定区間を短くする。これにより、エンジン回転速度が低くなるほど振動波形の減衰速度が速くなって振動波形の減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)が短くなるのに対応してノック判定区間を短くして、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間(例えば振動波形の減衰期間とほぼ同じか又はそれよりも短い区間)を設定する。
【選択図】図1
【解決手段】筒内圧力センサ30の出力から求めた振動波形のうちの所定のノック判定区間における振動波形と理想ノック波形(ノッキング特有の波形を表す振動波形)とを比較してノッキングの有無を判定する。その際、エンジン回転速度に応じてノック判定区間を変化させて、エンジン回転速度が低くなるほど、振動波形のピーク位置から始まるノック判定区間を短くする。これにより、エンジン回転速度が低くなるほど振動波形の減衰速度が速くなって振動波形の減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)が短くなるのに対応してノック判定区間を短くして、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間(例えば振動波形の減衰期間とほぼ同じか又はそれよりも短い区間)を設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の筒内圧力を検出する筒内圧力センサの出力から求めた振動波形を用いてノッキングの有無を判定する内燃機関のノック判定装置に関する発明である。
一般に、内燃機関のノック判定装置は、内燃機関のシリンダブロックに、ノッキング振動を検出するノックセンサ(振動センサ)を取り付け、このノックセンサの出力から抽出した振動波形のピーク値や積分値をノック判定閾値と比較してノック判定を行うようにしたものが多い。
しかし、近年、筒内噴射エンジンの燃料噴射弁の駆動ノイズや可変バルブタイミング装置の駆動ノイズ等、新技術導入に伴う新たな機械ノイズが増加しているため、ノイズとノッキングとを精度良く区別することが困難になってきている。
そこで、特許文献1(特開2004−353531号公報)に記載されているように、ノックセンサの出力から抽出した振動波形と理想ノック波形(ノッキング特有の波形を表す振動波形)とを比較することで、ノイズとノッキングとを精度良く区別できるようにしたものがある。
特開2004−353531号公報(第2頁等)
ところで、本発明者らは、機械ノイズ等の影響を更に低減するために、内燃機関の筒内圧力を検出する筒内圧力センサの出力から求めた振動波形と理想ノック波形とを比較してノック判定を行うシステムを研究しているが、その研究過程で、次のような新たな課題が判明した。
ノッキングが発生した場合、筒内圧力センサはノッキング振動(筒内圧力波の振動)を直接検出するが、ノックセンサ(振動センサ)はシリンダブロックに伝達したノッキング振動を検出するため、図2に示すように、筒内圧力センサで検出した振動波形は、ノックセンサで検出した振動波形よりも速く減衰して減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)が短くなる傾向があり、また、内燃機関の回転速度が低くなるほど筒内圧力センサで検出した振動波形の減衰速度が速くなって減衰期間が短くなる傾向がある。
このため、筒内圧力センサで検出した振動波形を用いてノック判定を行うシステムでは、常に一定のノック判定区間における振動波形を用いるようにすると、振動波形の減衰速度が速くなって減衰期間が短くなる低回転領域で、振動波形の減衰期間がノック判定区間よりも短くなってノック判定区間の途中で振動波形がバックグランドレベル付近に減衰してしまう可能性があり、このようなノック判定区間における振動波形(つまりバックグランドレベル付近に減衰した波形を含んだ振動波形)を用いてノック判定を行うと、ノック判定の判定精度が低下する可能性がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、筒内圧力センサで検出した振動波形を用いたノック判定の判定精度を向上させることができる内燃機関のノック判定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の筒内圧力を検出する筒内圧力センサと、この筒内圧力センサの出力から求めた振動波形のうちの所定のノック判定区間における振動波形と理想ノック波形とを比較してノッキングの有無を判定するノック判定手段とを備えた内燃機関のノック判定装置において、ノック判定手段は、内燃機関の運転状態に応じてノック判定区間を変化させるようにしたものである。
筒内圧力センサの出力から求めた振動波形は、内燃機関の運転状態(例えば回転速度)に応じて振動波形の減衰速度が変化して振動波形の減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)が変化するため、内燃機関の運転状態に応じてノック判定区間を変化させれば、内燃機関の運転状態に応じて振動波形の減衰期間が変化するのに対応してノック判定区間を変化させて、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間(例えば振動波形の減衰期間とほぼ同じか又はそれよりも短い区間)を設定することができる。これにより、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間における振動波形(バックグランドレベル付近に減衰する前の振動波形)を用いてノック判定を行うことができ、筒内圧力センサで検出した振動波形を用いたノック判定の判定精度を向上させることができる。
この場合、請求項2のように、内燃機関の回転速度が低くなるほどノック判定区間の終了時期を早めて該ノック判定区間を短くするようにすると良い。このようにすれば、内燃機関の回転速度が低くなるほど振動波形の減衰速度が速くなって振動波形の減衰期間が短くなるのに対応してノック判定区間を短くすることができる。
また、請求項3のように、ノック判定区間を振動波形がバックグランドレベルに減衰するまでの区間に設定するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の運転状態に左右されずに、ノック判定区間を振動波形の減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)とほぼ同じ区間に設定することができ、筒内圧力センサで検出した振動波形を用いたノック判定の判定精度を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図7に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
一方、エンジン11の排気管23には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、エンジン11のクランク軸27が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ28が取り付けられている。このクランク角センサ28の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
更に、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎(又は特定の気筒のみ)に筒内圧力を検出する筒内圧力センサ30が設けられている。この筒内圧力センサ30は、点火プラグ22と一体化したタイプのものを用いても良いし、点火プラグ22とは別体のセンサ部を燃焼室内に臨ませるように取り付けるタイプのものを用いても良い。
これら各種センサの出力は、制御回路(以下「ECU」と表記する)29に入力される。このECU29は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
また、ECU29は、後述する図3乃至図7のノック判定用の各ルーチンを実行することで、筒内圧力センサ30の出力から求めた振動波形のうちのそのピーク位置のクランク角から始まる所定のノック判定区間における振動波形と理想ノック波形(ノッキング特有の波形を表す振動波形)とを比較してノッキングの有無を判定する。
ところで、図2に示すように、筒内圧力センサ30で検出した振動波形は、ノックセンサ(振動センサ)で検出した振動波形よりも速く減衰して減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)が短くなる傾向があり、また、エンジン回転速度が低くなるほど筒内圧力センサ30で検出した振動波形の減衰速度が速くなって減衰期間が短くなる傾向がある。
このため、筒内圧力センサ30で検出した振動波形を用いてノック判定を行うシステムでは、常に一定のノック判定区間における振動波形を用いるようにすると、振動波形の減衰速度が速くなって減衰期間が短くなる低回転領域で、振動波形の減衰期間がノック判定区間よりも短くなってノック判定区間の途中で振動波形がバックグランドレベル付近に減衰してしまう可能性があり、このようなノック判定区間における振動波形(つまりバックグランドレベル付近に減衰した波形を含んだ振動波形)を用いてノック判定を行うと、ノック判定の判定精度が低下する可能性がある。
この対策として、ECU29は、エンジン回転速度に応じてノック判定区間を変化させて、エンジン回転速度が低くなるほど、振動波形のピーク位置から始まるノック判定区間の終了時期を早めてノック判定区間を短くするようにしている。これにより、エンジン回転速度が低くなるほど振動波形の減衰速度が速くなって振動波形の減衰期間が短くなるのに対応してノック判定区間を短くして、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間(例えば振動波形の減衰期間とほぼ同じか又はそれよりも短い区間)を設定するようにしている。
以下、ECU29が実行する図3乃至図7のノック判定用の各ルーチンの処理内容を説明する。
[ノック判定ルーチン]
図3に示すノック判定ルーチンは、ECU29の電源オン中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうノック判定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、所定の積算区間(例えば上死点から上死点後90℃Aまでの区間)が開始されるまで待機する。この後、積算区間が開始された時点で、ステップ102に進み、筒内圧力センサ30の出力にデジタルフィルタ処理を施すことで、筒内圧力センサ30の出力から複数の周波数成分(ノッキング振動の周波数を含むノック周波数成分やノック周波数成分を含まないノイズ周波数成分)を抽出する。
図3に示すノック判定ルーチンは、ECU29の電源オン中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいうノック判定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、所定の積算区間(例えば上死点から上死点後90℃Aまでの区間)が開始されるまで待機する。この後、積算区間が開始された時点で、ステップ102に進み、筒内圧力センサ30の出力にデジタルフィルタ処理を施すことで、筒内圧力センサ30の出力から複数の周波数成分(ノッキング振動の周波数を含むノック周波数成分やノック周波数成分を含まないノイズ周波数成分)を抽出する。
この後、ステップ103に進み、筒内圧力センサ30の出力から抽出した各周波数成分を積算する強度積算処理を実行し、この強度積算処理を所定クランク角(例えば5℃A)が経過するまで繰り返す(ステップ104)。そして、所定クランク角が経過する毎に、各周波数成分の強度積算値をRAMに格納して記憶した後(ステップ105)、各周波数成分の強度積算値をリセットして(ステップ106)、再び、各周波数成分を積算する強度積算処理を繰り返す。
以上のような所定クランク角間隔の強度積算処理を積算区間が終了するまで繰り返すことで(ステップ107)、筒内圧力センサ30の出力から抽出した各周波数成分の振動波形s(θ)を作成する。ここで、θはクランク角である。
この後、積算区間が終了した時点で、ステップ108に進み、後述する図4の補正ノック強度算出ルーチンを実行して、筒内圧力センサ30の出力から抽出した各ノック周波数成分の振動波形s(θ)と理想ノック波形a(θ)とを比較して、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)の補正ノック強度を算出する。
この後、ステップ109に進み、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)の補正ノック強度のうちの最大値を最大補正ノック強度として選択した後、ステップ110に進み、図示しないバックグランドレベル作成ルーチンを実行して、筒内圧力センサ30の出力から抽出したノイズ周波数成分の振動波形の平均強度を算出し、それをバックグランドレベルBGL(ノッキングが発生していない状態における振動強度)とする。
この後、ステップ111に進み、最大補正ノック強度をバックグランドレベルBGLで除算してノック判定パラメータ(=最大補正ノック強度/バックグランドレベルBGL)を求めた後、ステップ112に進み、ノック判定パラメータが所定の判定閾値よりも大きいか否かをが判定する。
このステップ112で、ノック判定パラメータが判定閾値よりも大きいと判定された場合には、ステップ113に進み、ノッキングが発生したと判定する。
一方、上記ステップ112で、ノック判定パラメータが判定閾値以下であると判定された場合には、ステップ114に進み、ノッキングが発生していないと判定する。
[補正ノック強度算出ルーチン]
図4に示す補正ノック強度算出ルーチンは、前記図3のノック判定ルーチンのステップ108で実行されるサブルーチンであり、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)毎に振動波形s(θ)と理想ノック波形a(θ)とを比較して補正ノック強度を算出する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)のピーク値pを検索する。
図4に示す補正ノック強度算出ルーチンは、前記図3のノック判定ルーチンのステップ108で実行されるサブルーチンであり、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)毎に振動波形s(θ)と理想ノック波形a(θ)とを比較して補正ノック強度を算出する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)のピーク値pを検索する。
この後、ステップ202に進み、図示しない理想ノック波形演算ルーチンを実行して、予め記憶した理想ノック波形a(θ)を読み込むか又は筒内圧力センサ30で検出した筒内平均圧力の減衰形状に基づいて理想ノック波形a(θ)を演算した後、ステップ203に進み、理想ノック波形a(θ)にピーク値pを乗算してスケール調整を行う。
この後、ステップ204に進み、後述する図5のピーク値前波形の相関演算ルーチンを実行して、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)のピーク値前補正強度を算出した後、ステップ205に進み、後述する図6のピーク値後波形の相関演算ルーチンを実行して、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)のうちのノック判定区間における振動波形のピーク値後補正強度を算出する。
この後、ステップ206に進み、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)のピーク値前補正強度とピーク値後補正強度とを加算して補正ノック強度を求める。
補正ノック強度=ピーク値前補正強度+ピーク値後補正強度
補正ノック強度=ピーク値前補正強度+ピーク値後補正強度
[ピーク値前波形の相関演算ルーチン]
図5に示すピーク値前波形の相関演算ルーチンは、前記図4の補正ノック強度算出ルーチンのステップ204で実行されるサブルーチンであり、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)毎にピーク値前補正強度を算出する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、理想ノック波形a(θ)の強度が振動波形s(θ)の強度よりも小さいか否かを判定し、理想ノック波形a(θ)の強度が振動波形s(θ)の強度よりも小さいと判定された場合には、ステップ302に進み、ピーク値前補正ノック強度を次式により算出する。
ピーク値前補正ノック強度=a(θ)×[1−{s(θ)−a(θ)}/a(θ)]
図5に示すピーク値前波形の相関演算ルーチンは、前記図4の補正ノック強度算出ルーチンのステップ204で実行されるサブルーチンであり、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)毎にピーク値前補正強度を算出する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、理想ノック波形a(θ)の強度が振動波形s(θ)の強度よりも小さいか否かを判定し、理想ノック波形a(θ)の強度が振動波形s(θ)の強度よりも小さいと判定された場合には、ステップ302に進み、ピーク値前補正ノック強度を次式により算出する。
ピーク値前補正ノック強度=a(θ)×[1−{s(θ)−a(θ)}/a(θ)]
一方、上記ステップ301で、理想ノック波形a(θ)の強度が振動波形s(θ)の強度以上であると判定された場合には、ステップ303に進み、理想ノック波形a(θ)の強度をピーク値前補正ノック強度として採用する。
ピーク値前補正ノック強度=a(θ)
ピーク値前補正ノック強度=a(θ)
[ピーク値後波形の相関演算ルーチン]
図6に示すピーク値後波形の相関演算ルーチンは、前記図4の補正ノック強度算出ルーチンのステップ205で実行されるサブルーチンであり、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)毎にノック判定区間における振動波形のピーク値後補正強度を算出する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、後述する図7のノック判定区間算出ルーチンを実行して、ノック判定区間を算出する。このノック判定区間は、振動波形s(θ)がピーク値となるクランク角位置(以下「ピーク位置」という)が区間開始位置に設定され、この区間開始位置(ピーク位置)から所定クランク角度だけ進んだクランク角位置が区間終了位置に設定される。
図6に示すピーク値後波形の相関演算ルーチンは、前記図4の補正ノック強度算出ルーチンのステップ205で実行されるサブルーチンであり、各ノック周波数成分の振動波形s(θ)毎にノック判定区間における振動波形のピーク値後補正強度を算出する。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、後述する図7のノック判定区間算出ルーチンを実行して、ノック判定区間を算出する。このノック判定区間は、振動波形s(θ)がピーク値となるクランク角位置(以下「ピーク位置」という)が区間開始位置に設定され、この区間開始位置(ピーク位置)から所定クランク角度だけ進んだクランク角位置が区間終了位置に設定される。
この後、ステップ402に進み、ノック判定区間において理想ノック波形a(θ)と振動波形s(θ)との差d(θ)の絶対値を算出する。
d(θ)=|s(θ)−a(θ)|
d(θ)=|s(θ)−a(θ)|
この後、ステップ403に進み、ノック判定区間においてピーク値後補正ノック強度を次式により算出する。
ピーク値後補正ノック強度=a(θ)×{1−d(θ)/a(θ)}
ピーク値後補正ノック強度=a(θ)×{1−d(θ)/a(θ)}
[ノック判定区間算出ルーチン]
図7に示すノック判定区間算出ルーチンは、前記図6のピーク値後波形の相関演算ルーチンのステップ401で実行されるサブルーチンである。ここで、ノック判定区間は、振動波形s(θ)のピーク位置が区間開始位置に設定され、この区間開始位置(ピーク位置)から所定クランク角度だけ進んだクランク角位置が区間終了位置に設定される。
図7に示すノック判定区間算出ルーチンは、前記図6のピーク値後波形の相関演算ルーチンのステップ401で実行されるサブルーチンである。ここで、ノック判定区間は、振動波形s(θ)のピーク位置が区間開始位置に設定され、この区間開始位置(ピーク位置)から所定クランク角度だけ進んだクランク角位置が区間終了位置に設定される。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、現在のエンジン回転速度を読み込んだ後、ステップ502に進み、現在のエンジン回転速度に応じた所定クランク角度をマップ又は数式等により算出し、この所定クランク角度を区間開始位置(振動波形のピーク位置)に加算したクランク角位置を区間終了位置に設定する。
所定クランク角度のマップ又は数式等は、エンジン回転速度が低くなるほど所定クランク角度が小さくなるように設定されている。これにより、エンジン回転速度が低くなるほど振動波形の減衰速度が速くなって振動波形の減衰期間が短くなるのに対応してノック判定区間を短くして、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間(例えば振動波形の減衰期間とほぼ同じか又はそれよりも短い区間)を設定するようにしている。
以上説明した本実施例では、筒内圧力センサ30の出力から求めた振動波形は、エンジン回転速度が低くなるほど振動波形の減衰速度が速くなって振動波形の減衰期間が短くなることを考慮して、エンジン回転速度が低くなるほど、振動波形のピーク位置から始まるノック判定区間を短くするようにしたので、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間(例えば振動波形の減衰期間とほぼ同じか又はそれよりも短い区間)を設定することができる。これにより、振動波形の減衰期間に対応した適正なノック判定区間における振動波形(バックグランドレベル付近に減衰する前の振動波形)を用いてノック判定を行うことができ、筒内圧力センサ30で検出した振動波形を用いたノック判定の判定精度を向上させることができる。
尚、本実施例1では、エンジン回転速度に応じてノック判定区間を変化させるようにしたが、エンジン回転速度と相関関係があるエンジン運転状態パラメータやそれ以外のエンジン運転状態パラメータに応じてノック判定区間を変化させるようにしても良く、要は、筒内圧力センサ30の出力から求めた振動波形の減衰速度や減衰期間に影響を及ぼすエンジン運転状態パラメータに応じてノック判定区間を変化させるようにしても良い。
次に、図8を用いて本発明の実施例2を説明する。
前記実施例1では、エンジン回転速度に応じてノック判定区間を変化させるようにしたが、本実施例2では、後述する図8のノック判定区間算出ルーチンを実行して、ノック判定区間を振動波形のピーク位置からその振動波形がバックグランドレベルに減衰するまでの区間に設定することで、ノック判定区間を振動波形の減衰期間とほぼ同じ区間に設定するするようにしている。
前記実施例1では、エンジン回転速度に応じてノック判定区間を変化させるようにしたが、本実施例2では、後述する図8のノック判定区間算出ルーチンを実行して、ノック判定区間を振動波形のピーク位置からその振動波形がバックグランドレベルに減衰するまでの区間に設定することで、ノック判定区間を振動波形の減衰期間とほぼ同じ区間に設定するするようにしている。
図8のノック判定区間算出ルーチンでは、まず、ステップ601で、クランク角θi における振動波形s(θi )の強度がバックグランドレベルよりも小さいか否かを判定する。ここで、クランク角θi の初期値θ0 は、振動波形s(θ)のピーク位置のクランク角(つまりノック判定区間の区間開始位置に相当するクランク角)に設定されている。
このステップ601で、クランク角θi における振動波形(θi )の強度がバックグランドレベル以上であると判定された場合には、ステップ602に進み、クランク角θi を規定する番号iを「1」だけインクリメントした後、ステップ601に戻り、次のクランク角θi (例えば5℃A進んだクランク角)における振動波形(θi )の強度がバックグランドレベルよりも小さいか否かを判定する処理を繰り返す。
この後、ステップ601で、クランク角θi における振動波形(θi )の強度がバックグランドレベルよりも小さいと判定された時点で、ステップ603に進み、現在のクランク角θi (つまり振動波形がバックグランドレベルに減衰するクランク角)をノック判定区間の区間終了位置に設定する。これにより、ノック判定区間は、振動波形のピーク位置のクランク角θ0 から振動波形がバックグランドレベルに減衰するクランク角θi までの区間に設定される。
以上説明した本実施例2では、ノック判定区間を振動波形がバックグランドレベルに減衰するまでの区間に設定するようにしたので、エンジン運転状態に左右されずに、ノック判定区間を振動波形の減衰期間(振動波形がバックグランドレベル付近に減衰するまでの期間)とほぼ同じ区間に設定することができ、筒内圧力センサ30で検出した振動波形を用いたノック判定の判定精度を向上させることができる。
尚、筒内圧力センサ30の出力から求めた振動波形と理想ノック波形とを比較してノッキングの有無を判定するノック判定の方法は、上記各実施例1,2で説明した方法に限定されず、適宜変更しても良いことは言うまでもない。
また、ノック判定区間の開始位置は、振動波形のピーク位置に限定されず、ピーク位置の直前の位置又は直後の位置であっても良く、或は、エンジン回転速度等のエンジン運転条件に応じてマップ等によりノック判定区間の開始位置を設定するようにしても良い。
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管、29…ECU(ノック判定手段)、30…筒内圧力センサ
Claims (3)
- 内燃機関の筒内圧力を検出する筒内圧力センサと、この筒内圧力センサの出力から求めた振動波形のうちの所定のノック判定区間における振動波形と理想ノック波形とを比較してノッキングの有無を判定するノック判定手段とを備えた内燃機関のノック判定装置において、
前記ノック判定手段は、内燃機関の運転状態に応じて前記ノック判定区間を変化させることを特徴とする内燃機関のノック判定装置。 - 前記ノック判定手段は、内燃機関の回転速度が低くなるほど前記ノック判定区間の終了時期を早めて該ノック判定区間を短くすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のノック判定装置。
- 内燃機関の筒内圧力を検出する筒内圧力センサと、この筒内圧力センサの出力から求めた振動波形のうちの所定のノック判定区間における振動波形と理想ノック波形とを比較してノッキングの有無を判定するノック判定手段とを備えた内燃機関のノック判定装置において、
前記ノック判定手段は、前記ノック判定区間を前記振動波形がバックグランドレベルに減衰するまでの区間に設定することを特徴とする内燃機関のノック判定装置。
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