JP2008156795A - 繊維処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた柔軟性、平滑性を付与することができ、さらには黄変化、経時安定性の低化、風合いや感触などの優れた繊維処理剤を提供する。
【解決手段】[RbSiO(4-b)/2]単位及び[RcASiO(3-c)/2]単位を構成単位とするアミノシリコーンを有効成分とする繊維処理剤。
(ここで、Rは炭素数が1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基である。Aは式-R1-NR2R3 で示され、R1は炭素数1〜10の2価の分岐鎖を有する炭化水素基であり、R2、R3 は水素原子または非置換または置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。さらにb=1〜3、c=0〜2である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は繊維製品に優れた表面平滑性、耐久性、柔軟性を有する風合いを付与することが可能で、しかも繊維製品の黄変という問題の少ない繊維処理剤に関する。
繊維製品に柔軟性、平滑性を付与するための処理剤としては、各種オルガノポリシロキサンが公知であり、ジメチルポリシロキサン、アミノ基含有ポリシロキサン、エポキシ基含有ポリシロキサンなどの使用が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
特に、アミノ基含有基として、
-(CH2)a-(NHCH2CH2)b-NHR4
(ここにR4は水素原子または1価炭化水素基、a は1〜10の整数、b は0〜10の整数)で示されるアミノ基または置換アミノ基を1分子中に少なくとも1個有するジオルガノポリシロキサンが、代表とする化合物とされている。具体的には、-(CH2)3-NH-CH2CH2-NH2で示されるアミノ基を有するジオルガノポリシロキサンが工業的に有用とされてきた(特許文献3参照)。しかし、かかるアミノ基含有ジオルガノポリシロキサンでは、柔軟性、平滑性を向上させるために、アミノ基を多量に導入する必要があり、そのため、黄変化、経時安定性の低化、風合いや感触の不具合が生じてしまっている。
その対策として、アミノポリオルガノシロキサンと特定化合物の配合により、黄変化と柔軟性を付与する処理剤とする提案もあるが(特許文献4参照)、十分な、柔軟性、平滑性が得られていない。
特公昭48−1480号公報 特公昭54−43617号公報 特公昭57−43673号公報 特公平7−122222号公報
本発明は、上記従来技術の欠点を解決し、優れた柔軟性、平滑性を付与することができ、さらには黄変化、経時安定性の低化、風合いや感触などの優れた繊維処理剤の提供を目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、側鎖に分岐鎖を有するモノアミノアルキル基を導入したシリコーンを主成分とすることにより、平滑性、柔軟性、黄変性ともに良好で優れた感触を与える表面処理剤が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、[RbSiO(4-b)/2]単位及び[RcASiO(3-c)/2]単位を構成単位とするアミノシリコーンを有効成分とする繊維処理剤である。
(ここで、Rは炭素数が1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基である。Aは式-R1-NR2R3 で示され、R1は炭素数1〜10の2価の分岐鎖を有する炭化水素基であり、R2、R3 は水素原子または非置換または置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。さらにb=1〜3、c=0〜2である。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するアミノシリコーンは、[RbSiO(4-b)/2]単位及び[RcASiO(3-c)/2]単位を構成単位とするものである。
式中、Rは炭素数が1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基(アルコキシ基を含む)であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、メトキシ基、エトキシキ基などのアルコキシ基、またはこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される炭素数が1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基で、メチル基が最も一般的なものとされるが、これはメチル基と他の基との組合せであってもよい。
また、Aは式-R1-NR2R3 で示され、R1は炭素数1〜10の2価の分岐鎖を有する炭化水素基である。R1の具体例としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、イソへキサレン基等が挙げられ、好ましくはネオペンチレン基、2,2 ジメチルブチレン基、3,3 ジメチルブチレン基、2,2 ジメチルヘキサレン基である。特に2,2 ジメチルブチレン基を有する1−ブタナミン,4−(メチルシリルシロキシ)−2,2−ジメチル〔NH2CH2C(CH3)2(CH2)2Si(OCH3)2CH3〕は、側鎖に正対称な有機基を持つため、処理剤として、より安定して平滑性や柔軟性を保持する。
R2、R3 は水素原子または炭素数1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基であり、1価炭化水素基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などのアルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基が挙げられる。また、誘導体として、アルキルアミド基、ポリオキシエチレン基、クロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される炭素数が1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基も挙げられる。水素原子が最も一般的なものとされるが、これはその他の1価炭化水素基との組合せであってもよい。
[RbSiO(4-b)/2]単位及び[RcASiO(3-c)/2]単位を構成単位とするアミノシリコーンにおいて、b=1〜3、c=0〜2である。
また、アミノシリコーンの構成単位のうち、分岐単位[RSiO3/2] 及び/又は[RcASiO3/2] は10.0モル%未満であることが好ましい。より好ましくは、分岐単位[RSiO3/2] 及び/又は[RcASiO3/2]が5モル%未満の場合である。
[RbSiO1/2]、[RcASiO1/2]単位を構成単位としてなるアミノシリコーンが、平滑性、柔軟性において、もっとも適している。
かかるアミノシリコーンは、粘度50〜100000 (cSt, 25C)でアミノ量0.01〜2.0wt%、好ましくは、粘度500〜20000 (cSt, 25C)でアミノ量0.1〜1.0wt%のものが繊維処理剤として特に優れている。
また、本発明の繊維処理剤には従来から繊維処理剤として使用されている各種のオルガノポリシロキサン、オルガノシラン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、オキシアルキレン基含有ポリシロキサンを添加してもよく、これにはまた雲母、タルク、シリカなどの無機質微粉末、従来公知の帯電防止剤、柔軟剤、防しわ剤、耐熱剤、難燃剤などの添加剤を併用してもよい。
本発明の繊維処理剤による繊維製品の処理において、上記した主成分はこれをトルエン、キシレン、ベンゼン、n-ヘキサン、ヘプタン、パークロロエチレンなどの溶剤で希釈して所望の濃度に調整して用いてもよいし、乳化してエマルジョンとしてから水で希釈して使用してもよい。また、これによる繊維製品の処理はこの混合液、溶剤希釈液またはエマルジョン希釈液をスプレー、ローラー、浸漬などの手段で繊維を処理して繊維にシロキサン分を付着させたのち、乾燥すればよく、この付着量については特に制限はないが、通常布に対して0.1〜5重量%程度とすればよい。
なお、上記したエマルジョン化に使用される界面活性剤に特に制限はなく、これには例えば高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸ポリオキシアルキレン付加物、アルキルフェノールポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸ソルビタンエステル、第4級アンモニウム塩などがあげられる。
なお、本発明の繊維処理剤で処理される繊維材料としては、材質的には羊毛、絹、麻、木綿、アスベストのような天然繊維、レーヨン、アセテートのような再生繊維、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、スパンデックスのような合成繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、シリコンカーバイド繊維等が例示され、形状的にはステーブル、フィラメント、トウ、糸、織物、編物、不織布、樹脂加工布などいずれでもよいが、織物、編物、不織布、ふとん綿などのシート状のものが連続的に処理できるので効率的である。
以下に合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお実施例中の「部」は重量部を、また「%」は重量%を表す。なお、粘度をはじめとして、各物性の測定値は25℃の値を示す。
合成例1
撹拌器、温度計、還流器および窒素ガス吹込口を取り付けた300ミリリットルの四つ口フラスコにオクタメチルシクロテトラシロキサン81.6g、1−ブタナミン,4−(ジメトキシメチルシリル)−2,2−ジメチル〔NH2CH2C(CH3)2(CH2)2Si(OCH3)2CH3〕13.4g、分子鎖末端がトリメチルシリル基で封鎖されている平均重合度20のジメチルポリシロキサン4.9gを仕込み、150℃で30分間加熱、還流、脱水させたのち、(C4H9)7POH 40%水溶液0.2gを滴下し撹拌しながら110℃で2時間平衡化反応を行った後、150℃まで1時間かけ、ゆっくり昇温させた後、10mmHgの減圧下で2時間、140〜150℃で加熱して未反応物をストリッピングしたところ、化合物A−1〔1−ブタナミン,2,2−ジメチル基含有ポリジメチルシロキサン〕が得られた。
合成例2
撹拌器、温度計、還流器および窒素ガス吹込口を取り付けた300ミリリットルの四つ口フラスコにオクタメチルシクロテトラシロキサン93.1g、1−ブタナミン,4−(ジメトキシメチルシリル)−2,2−ジメチル〔NH2CH2C(CH3)2(CH2)2Si(OCH3)2CH3〕4.1g、分子鎖末端がトリメチルシリル基で封鎖されている平均重合度20のジメチルポリシロキサン2.7gを仕込み、150℃で30分間加熱、還流、脱水させたのち、(C4H9)7POH 40%水溶液0.2gを滴下し撹拌しながら110℃で2時間平衡化反応を行った後、150℃まで1時間かけゆっくり昇温させた後、10mmHgの減圧下で2時間、140〜150℃で加熱して未反応物をストリッピングしたところ、化合物A−2〔1−ブタナミン,2,2−ジメチル基含有ポリジメチルシロキサン〕が得られた。
合成例3
撹拌器、温度計、還流器および窒素ガス吹込口を取り付けた2リットルの四つ口フラスコにオクタメチルシクロテトラシロキサン97.3g、1−ブタナミン,4−(ジメトキシメチルシリル)−2,2−ジメチル〔NH2CH2C(CH3)2(CH2)2Si(OCH3)2CH3〕1.5g、分子鎖末端がトリメチルシリル基で封鎖されている平均重合度20のジメチルポリシロキサン1.0gを仕込み、150℃で30分間加熱、還流、脱水させたのち、(C4H9)7POH 40%水溶液0.2gを滴下し撹拌しながら110℃で2時間平衡化反応を行った後、150℃まで1時間かけゆっくり昇温させた後、10mmHgの減圧下で2時間、140〜150℃で加熱して未反応物をストリッピングしたところ、化合物A−3〔1−ブタナミン,2,2−ジメチル基含有ポリジメチルシロキサン〕が得られた。
A−1〜A−3の粘度、比重、屈折率、アミノ量および重量平均分子量の測定値を表1に示す。
アミノ量:試料をイソプロパノールに溶解し、指示薬としてテトラブロモフェノールフタレインエチルエステルカリウム塩を用い、過塩素酸で滴定してアミン当量を測定した。
重量平均分子量:高速液体クロマトグラフ(GPC)によって測定した。
Figure 2008156795
実施例1
合成例1で得られた化合物A−1の100部に、ポリオキシエチレンオレイルエーテル30部および水100部を加えて、ホモゲナイザーで混合し、透明で均質な可溶化物を得た。これに、系中のA−1の濃度が1%になるように水を加えて希釈してエマルジョンを形成することにより、本発明の繊維柔軟仕上げ剤を調製した。
なお、上記の可溶化物について、45℃で3日間放置して安定性を観察したところ、可溶化物は放置後も透明性を維持し、成分の分離もなく、良好な状態を保っていた。また、乳化して得られた繊維柔軟仕上げ剤も、成分の分離を示さず、良好な安定性を有していた。
得られた繊維柔軟仕上げ剤に布(綿100%ブロード#40)を浸漬し、マングロールを用いてウェットピックアップを100%に調整し、熱風式乾燥機中で100℃で5分乾燥させ、さらに150℃で5分加熱して、処理布を得た。
得られた処理布を用いて、柔軟性、黄変および吸水性の評価を行った。その結果を表2にまとめる。
なお、柔軟性は、下記のハンドテストおよび純曲げ試験によって評価した。
ハンドテスト:処理布の風合いを指触により評価した。その結果を次のような記号で示す。
○:非常に柔軟
□:柔軟
×:かたい
純曲げ試験:川端式純曲げ試験機(KES−FB2、カトーテック(株)製)を用いて曲げ剛性(B)および回復性(2HB)を測定し、次式より風合い値を算出した。風合い値は小さいほど柔軟であることを示す。なお、Bおよび2HBのサフィックス1は縦糸、2は横糸についての値を表す。
B=(B1+B2)/2
2HB=(2HB1+2HB2)/2
風合い値=B+2HB/2
黄変は、下記のような試験法を用いて評価した。
黄変試験:処理布を熱風式乾燥機中で、温度180℃において5分加熱し、目視により黄変の程度を評価した。その結果を次のような記号で示す。
○:未処理布と同等で黄変がみられない。
×:黄ばみが認められる。
実施例2
化合物A−1の代わりにA−2を使用した以外は実施例1と同様にして、繊維柔軟仕上げ剤を調製した。得られた繊維柔軟仕上げ剤を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。また、得られた可溶化物およびエマルジョンは、いずれも実施例1と同様に良好な安定性を示した。
実施例3
化合物A−1の代わりにA−3を使用した以外は実施例1と同様にして、繊維柔軟仕上げ剤を調製した。得られた繊維柔軟仕上げ剤を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。また、得られた可溶化物およびエマルジョンは、いずれも実施例1と同様に良好な安定性を示した。
比較例1
化合物A−1の代わりに、次式で示される3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基〔NH2(CH2)2NH(CH2)3-〕含有ポリジメチルシロキサン化合物B−1を使用した以外は実施例1と同様にして、繊維柔軟仕上げ剤を調製した。尚、B−1の粘度、比重、屈折率、アミノ量および重量平均分子量の測定値は表1に示す通りである。
この場合、ホモゲナイザーによって混合した際に、透明な可溶化物は得られず、乳濁液になった。この乳濁液およびエマルジョンの安定性を実施例1と同様の条件で観察したところ、いずれもわずかに成分の分離がみられた。得られた繊維柔軟仕上げ剤を実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2008156795
表2から明らかなように、本発明の繊維柔軟仕上げ剤は、繊維に優れた柔軟性、平滑性を与え、また黄変をもたらさないという有利性が与えられる。

Claims (1)

  1. [RbSiO(4-b)/2]単位及び[RcASiO(3-c)/2]単位を構成単位とするアミノシリコーンを有効成分とする繊維処理剤。
    (ここで、Rは炭素数が1〜20の非置換または置換の1価炭化水素基である。Aは式-R1-NR2R3 で示され、R1は炭素数1〜10の2価の分岐鎖を有する炭化水素基であり、R2、R3 は水素原子または非置換または置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基である。さらにb=1〜3、c=0〜2である。)
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